JP6617371B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
Rc−10℃≦T1≦Rc−5℃、Rc−25℃≦T2<Rc−10℃
(式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度である)
Rc−10℃≦T1≦Rc−5℃、Rc−25℃≦T2<Rc−10℃(式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度である)。以下、各工程を説明する。
上記第1の工程は、トナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を、トナー母体粒子中の結晶性樹脂の融点(Tm)以上の温度に加熱する工程である。第1の工程における分散液の温度は上記結晶性樹脂の融点以上であれば特に限定されず、その上限値は、当該水系媒体の沸点(例えば、水の沸点)である。分散液の加熱には、ヒーター等の公知の加熱装置を使用することができる。また、結晶性樹脂の融点は、後述する示差走査熱量測定(DSC)による実測値でも、カタログ値でもよい。
水系媒体とは、水の含有量が50質量%以上の媒体をいう。水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒が挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
上記トナー母体粒子は、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を凝集、融着させて生成される。例えば、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を水系媒体に分散させて調製した分散液を加熱することにより、当該結着樹脂の微粒子を凝集、融着させることができる。
上記結着樹脂の微粒子は、樹脂の単量体を重合開始剤とともに水系媒体中に添加し、当該単量体を重合反応させて、樹脂粒子の分散液を得る乳化重合法によって製造できる。乳化重合法は、重合反応を多段階で行うこともできる。例えば、3段階で重合反応させる場合、第1段目の重合により樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して、第2段目の重合をさせる。第2段目の重合により調製した分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して第3段目の重合をさせる。第2段目および第3段目の重合時には、先の重合により生成された分散液中の樹脂粒子をシード(種)として、この樹脂粒子に新たに添加した単量体をさらに重合させることができ、樹脂粒子の粒径等の均一化を図ることができる。また、各段階の重合反応の際、異なる単量体を用いることにより、樹脂粒子の構造も多層構造とすることができ、目的の特性を有する樹脂粒子を得やすい。
重合反応に使用できる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
重合反応時には、樹脂粒子の分子量を制御する観点から、連鎖移動剤を添加することができる。使用できる連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等のメルカプトプロピオン酸等が挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
重合反応時には、分散液中の上記樹脂微粒子の凝集等を防ぎ、良好な分散状態を維持する観点から、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等のカチオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル等のノニオン性界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる。これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第2の工程は、前記分散液の温度を、Rc−10℃以上、Rc−5℃以下の温度(以下、T1ともいう)に30分間以上維持する熱処理である。第2の工程の間、上記分散液の温度がT1の範囲内に維持されていればよく、上記熱処理開始から終了までの上記分散液の温度変化の態様は限定されない。例えば、上記分散液の温度は、熱処理の間、一定に保持されていても、一定の速度で上昇または降下し続けてもよく、あるいは、上昇と降下を繰り返す等、絶えず変化していてもよい。
第3の工程は、前記分散液の温度を、Rc−25℃以上、Rc−10℃未満の温度(以下、T2ともいう)に30分間以上維持する熱処理である。第2の工程と同様に、第3の工程の間、上記分散液の温度がT2の範囲内に維持されていればよく、上記熱処理開始から終了までの上記分散液の温度変化の態様は限定されない。例えば、上記分散液の温度は、熱処理の間、一定に保持されていても、一定の速度で上昇または降下し続けてもよく、あるいは、上昇と降下を繰り返す等、絶えず変化していてもよい。
以下、図1A〜Fを参照して、本発明における第1の工程後の分散液の温度変化の例を説明する。図中の略語の意味は下記のとおりである。
A:第2の工程または第3の工程の前に行われる冷却工程の区間
t1〜t3:30分間以上の時間
T1:Rc−10℃以上、Rc−5℃以下の温度域
T2:Rc−25℃以上、Rc−10℃未満の温度域
本実施形態に係る製造方法で製造されるトナーは、上述のとおり、少なくとも結着樹脂を含有するトナー母体粒子を含有し、当該トナー母体粒子は、結着樹脂によって主に構成され、必要に応じて着色剤、離型剤、電制御剤、界面活性剤などの種々の添加剤を含有する粒子である。まず、結着樹脂について説明する。
上記結着樹脂は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含む。本明細書において「結着樹脂が結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。また本明細書において、「結着樹脂が非結晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂における非結晶性樹脂セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントを含む態様であってもよい。
上記結晶性樹脂は、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナーに対して3〜30質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱性の低下を抑制することができる。
非結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点(Tg)を有するが、融点すなわち昇温時の前述の明確な吸熱ピークがない非結晶性を示す樹脂をいう。
上記非結晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合した非結晶性ビニル樹脂であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン−アクリル酸エステル樹脂(スチレン−アクリル樹脂)が好ましい。
上記非結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非結晶性を示すポリエステル樹脂である。コア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェル層の材料として非結晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
上記着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機または有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料および染料が含まれる。上記着色剤は一種でもそれ以上でもよい。
上記離型剤(ワックス)の例には、炭化水素系ワックスおよびエステルワックスが含まれる。当該炭化水素系ワックスの例には、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびパラフィンワックスが含まれる。また、上記エステルワックスの例には、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニルおよびクエン酸ベヘニルが含まれる。上記離型剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、および、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は一種でもそれ以上でもよい。
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、一種でもそれ以上でもよい。
本実施形態のトナー粒子の構造は、上述したトナー粒子のみの単層構造であってもよいし、上述したトナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
本実施形態に係るトナー粒子は、融点(Tm)が60〜90℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは65〜80℃の範囲内である。融点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性および耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの良好な耐熱性(熱的強度)も維持することができ、十分な耐熱保管性を得ることができる。融点(Tm)は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定することができる。
本実施形態に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。体積基準のメジアン径が上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの高解像度のドットを正確に再現することができる。なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
式(y)円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
本実施形態に係るトナー粒子は、例えば、上記トナー母体粒子と、その表面に存在する外添剤とを有してもよい。トナー粒子が外添剤を含有することは、トナー粒子の流動性や帯電性などを制御する観点から好ましい。当該外添剤は、一種でもそれ以上でもよい。当該外添剤の例には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子および酸化ホウ素粒子が含まれる。
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子およびキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%である。
式(b):MFe2O4
Rc−10℃≦T1≦Rc−5℃、Rc−25℃≦T2<Rc−10℃
(式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度である)
(結晶性ポリエステル樹脂1の合成)
両反応性モノマーを含む、下記の付加重合系樹脂(スチレン・アクリル樹脂:StAc)セグメントの原料モノマーおよびラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 36.0質量部
n−ブチルアクリレート 13.0質量部
アクリル酸 2.0質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7.0質量部
テトラデカン二酸 440質量部
1,4−ブタンジオール 153質量部
次いで、攪拌下で付加重合系樹脂(StAc)の原料モノマーを90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合モノマーを除去した。なお、このとき除去されたモノマー量は、上記の樹脂の原料モノマー比に対してごく微量であった。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、重量平均分子量(Mw)が24500、融点(mp)が75.5℃、再結晶化温度(Rc)が70.6℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1を調製した。分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
撹拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、テトラデカン二酸315質量部、1,4−ブタンジオール252質量部を入れた。この反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら8時間重合反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った。その後、反応容器内を10mmHgまで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂2は、重量平均分子量(Mw)が22,000、融点(mp)が75.0℃、再結晶化温度(Rc)が70.8℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂2 100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2を調製した。当該分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサーおよび精留塔を備えた反応容器に、ドデカン二酸200質量部、1,6−ヘキサンジオール102質量部を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4を0.3質量部投入し、更に、生成される水を留去しながら反応系の温度を190℃から6時間かけて240℃に上昇させ、更に、240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂3は、重量平均分子量(Mw)が14500、融点(mp)が70℃、再結晶化温度(Rc)が65.8℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂3 100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液3を調製した。当該分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック株式会社製、「クレアミックス」は同社の登録商標)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製した非結晶性ビニル樹脂粒子分散液を固形分換算で80質量部と、下記単量体、連鎖移動剤および離型剤を90℃にて溶解させた混合液とを添加した。
スチレン(St) 285.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 20.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 1.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 190.0質量部
上記第2段重合により得られた非結晶性ビニル樹脂粒子分散液にさらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体および連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン(St) 454.8質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 143.2質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
下記スチレン−アクリル樹脂の単量体、非結晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体および重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
上記シェル層非結晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のシェル層用非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。分散液中の非結晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(トナー1の製造)
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、コア用非結晶性ビニル樹脂粒子分散液285質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 40質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)およびイオン交換水2000質量部を投入した。室温(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(コールター・ベックマン社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
熱処理工程を表1に記載のスキーム2〜9にそれぞれ変更した以外、実施例1と同様にトナー2〜9を製造した。
熱処理工程を表1に記載のスキーム9に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー10を製造した。
熱処理工程を表1に記載のスキーム9に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を5℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー11を製造した。
熱処理工程を表1に記載のスキーム9に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を0.5℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー12を製造した。
結晶性ポリエステル樹脂1粒子分散液を結晶性ポリエステル樹脂2粒子分散液に変更し、熱処理工程を表1に記載のスキーム9に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー13を製造した。
結晶性ポリエステル樹脂1粒子分散液を結晶性ポリエステル樹脂3粒子分散液に変更し、熱処理工程を表1に記載のスキーム10に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー14を製造した。
熱処理工程を表1に記載のスキーム11に変更した以外は実施例1と同様にトナー15を製造した。
熱処理工程を表1に記載のスキーム12に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー16を製造した。
冷却・熱処理工程を表1に記載のスキーム13に変更し、かつ、Rcにおける冷却速度を2℃/分に変更した以外は実施例1と同様にトナー17を製造した。
(トナー18の製造)
トナー1の製造方法において、熱処理工程を行わずに冷却した後、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、得られたトナー粒子を、50℃、50%RH環境下で60分放置した後、61℃、50%RH環境下でさらに60分放置した。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部およびゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー18を得た。
(トナー19の製造)
スチレン(St) 50.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 16.7質量部
メタクリル酸(MAA) 3.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 7.0質量部
結晶性ポリステル樹脂1 8.0部
上記トナーのそれぞれを市販の複合機「bishub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製、「bishub」は同社の登録商標)に充填し、30℃、80%RHの環境下で、印字率が5%の文字画像をA4判の上質紙に20万枚プリントする耐久試験を行った。当該耐久試験の初期と20万枚プリント終了後のそれぞれにて、画素濃度が1.30のソリッド画像(20mm×50mm)を形成し、下記式により転写率を求めた。
転写率(%)=(W1/W0)×100
まず、上記トナーのそれぞれの定着下限温度TfI(℃)を測定した。次いで、上記トナーのそれぞれを、高温常湿環境下(50℃、40%RH)にて30日間保管した。次いで、高温常湿環境下で保管したトナーの定着下限温度Tf50(℃)を測定した。そして、高温常湿環境下での保存の前後における定着下限温度の差ΔTf(TfI−Tf50)を求めた。定着下限温度の差が小さいほど、高温環境での保管後においても低温定着性が低下しにくいことを意味し、当該差が4℃以下であれば実用上問題ない、と判定できる。
Claims (5)
- 結晶性樹脂の融点以上の温度に加熱して、結晶性樹脂を含む結着樹脂の微粒子を凝集、融着させて生成したトナー母体粒子と水系媒体とを含む分散液を準備する第1の工程と、
前記分散液の温度を下記T1の温度に30分間以上維持する第2の工程と、
前記分散液の温度を下記T2の温度に30分間以上維持する第3の工程とを含み、
前記第2の工程または前記第3の工程の前に、前記第1の工程で加熱された、前記結晶性樹脂のRcよりも高温の前記分散液をRc−25℃未満の温度まで冷却する工程を更に含む、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
Rc−10℃≦T1≦Rc−5℃、Rc−25℃≦T2<Rc−10℃
(式中、Rcは前記結晶性樹脂の再結晶化温度である) - 前記冷却する工程は、前記第1の工程で加熱された、前記Rcよりも高温の前記分散液を1℃/分以上の降温速度で冷却する工程である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記分散液を冷却する速度は2℃/分以上である、請求項2に記載の製造方法。
- 前記第3の工程の後に前記第2の工程を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記結晶性樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
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