JP7200769B2 - 電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤及び電子写真画像形成方法に関する。より詳しくは、省エネルギーやマシンの高速化に対応するための低温定着性を実現しながら、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性を向上させ、かつ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる電子写真用の静電荷像現像用トナー等に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用されるトナーは、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。
その際、静電潜像担持体面上に転写されなかったトナーが残存するため、次の静電荷像の形成を妨げないように残存トナーをクリーニングする必要がある。残存トナーのクリーニングは、装置が簡便でクリーニング性が良好であるブレードクリーニングが多用されているが、トナー粒径が小さくなるほど、またトナー形状が球形に近づくほどクリーニングが困難となることが知られている。
その一方で、近年ますます高画質化・高解像度化が求められており、トナーの小径化、高円形度化が進んでいる。また、高画質化に伴って、製造時に生成する粗粒等により生じる大径成分に起因する画像不良の発生を防止する要求のレベルはますます高くなっている。例えば、特許文献1には粗粒により生じる画像不良の発生の防止とトナーの流動性を両立する大径成分の個数割合が開示されている。しかしながら近年の高画質化に求められるレベルを満足するものではなかった。
また、トナーの高円形度化や特許文献2に開示されているような外添剤として大径の無機微粒子を配合しトナーの流動性を向上させることで、トナーの大径成分の量を減らすことも検討されている。
しかしながら、さらなる高画質化の進行に伴って粗粉量の低減が必要となったため、製造時の粗粒の発生の抑制や風力分級、ふるい分け等により、大径成分である粗粉量を低減したところ、特定の領域に微量の大径成分が存在することで、ブレードクリーニングによるクリーニングがなされており、その微量成分も除去してしまった場合には、逆にブレードクリーニングが困難になるという問題が発生した。
特開2002-258515号公報 特開2012-053164号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、省エネルギーやマシンの高速化に対応するための低温定着性を実現しながら、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなくクリーニング性を向上させ、かつ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤及び電子写真画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、静電荷像現像用トナーが、特定の体積平均粒径及び平均円形度を有し、かつ、当該静電荷像現像用トナーを特定の目開きのメッシュの篩上で篩った後の残存量が特定の関係式を満たす場合に、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなくクリーニング性を向上させ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる静電荷像現像用トナーが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を有し、かつ、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーを用いる電子写真画像形成方法であって、
前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、
前記静電荷像現像用トナーの平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり
前記静電荷像現像用トナーが下記式(1)と式(2)を同時に満たし、
前記静電荷像現像用トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする電子写真画像形成方法
式(1) W(6)≦100質量ppm
式(2) 50質量ppm≦W(3)-W(6)≦300質量ppm
(ここで、W(3)は前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。W(6)は前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。)
2.前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が、4.00~6.50μmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の電子写真画像形成方法
3.前記静電荷像現像用トナーの50℃における貯蔵弾性率G′(50)が、5.0×10~6.0×10Paの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真画像形成方法
前記静電荷像現像用トナーにおける角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
.前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比Dv/Dnが、1.05~1.20の範囲内であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
前記静電荷像現像用トナーを、静電荷像現像用現像剤の一成分として用い、当該静電荷像現像用現像剤が、前記静電荷像現像用トナーと、体積平均粒径が20~60μmの範囲内であるキャリア粒子とを含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
7.少なくとも、潜像形成手段、現像手段、中間転写手段、転写手段、定着手段、及びクリーニング手段を有し、かつ、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーを用いる電子写真画像形成装置であって、
前記潜像形成手段で用いる静電荷像担持体として、表面層が硬化型表面層である静電荷像担持体を用い、
前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、
前記静電荷像現像用トナーの平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり、
前記静電荷像現像用トナーが下記式(1)と式(2)を同時に満たし、
前記静電荷像現像用トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
式(1) W(6)≦100質量ppm
式(2) 50質量ppm≦W(3)-W(6)≦300質量ppm
(ここで、W(3)は、前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。W(6)は、前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。)
本発明の上記手段により、省エネルギーやマシンの高速化に対応するための低温定着性を実現しながら、高転写効率・高画質性、さらには現像性を損なうことなく、クリーニング性を向上させ、かつ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させる静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤及び電子写真画像形成方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
高画質化・高解像度化の要求からトナーの小径化が進んでいるが、一方でトナーを小径化することにより、物理的付着力が増加するために転写性能は低下する傾向にある。そのため、トナーを球形に近づけることで転写性を向上させることが検討されているが、確かにトナーを球形化することで転写効率が向上する一方で、僅かながら発生する転写残トナーによりクリーニング不良を発生してしまうことがあった。
本発明者らは、高画質化のために、トナーに含まれる大径成分の量(粗粉量)の低減を進める中で、当該粗粉量の低減に伴って、記録媒体上に形成した単色ベタ画像について、該ベタ画像濃度に対比して粗粉が原因で生じる濃色点を形成すると、当該濃色点の周辺部にトナーが転写されないことによって、周辺部に淡色域を有する画像不良(以下、「色ホタル」と称することがある。)や、粗粉自体も転写されずに、淡色域のみを有する画像不良(以下、「白ホタル」と称することがある。)等の画像不良の発生は抑制できる。しかしながら、特定の粒径領域の粗粉が完全に存在しない状態としてしまうと、ブレードクリーニング時のクリーニング不良による画像不良が発生してしまい、かえって画質が低下してしまうことがあることを見出した。
さらに、本発明者らは前記画像不良である「ホタル」とクリーニング不良の発生を同時に抑制することが可能なトナーの粒径分布を検討した結果、静電荷像現像用トナーが、特定の体積平均粒径及び平均円形度を有し、かつ、前記当該静電荷像現像用トナーを特定の目開きのメッシュの篩上で篩った後の篩上の残存量が特定の関係式を満たす場合、すなわち粗粉の量を特定範囲に調整することによって、「ホタル」とクリーニング性の両立を可能にした静電荷像現像用トナーが得られたものと推察される。
角のないトナー粒子及び角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図 電子写真画像形成装置の全体構成の一例を示す模式図 感光体とクリーニングブレードとの配置関係を示す拡大模式図
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーであって、前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり、かつ、前記式(1)と式(2)を同時に満たすことを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が、4.00~6.50μmの範囲内であることが、好ましい。
4.00μm以上であることで、感光体や中間転写ベルトへの物理的及び静電的な付着力が適度なレベルとなり、付着力が高すぎることによる転写不良を抑制でき、GI値を良好なレベルとすることができる。また、6.50μm以下であることで、ドットを構成するトナーの粒子数が十分な数となり、階調性の向上とGI値の低減が確実に実現できる。
また、前記静電荷像現像用トナーの50℃における貯蔵弾性率G′(50)が、5.0×10~6.0×10Paの範囲内であることが、好ましい。G′(50)が5.0×10以上であることで、感光体のクリーニングニップ部でのトナーの変形が抑制され、トナーのすり抜けや感光体へのフィルミングによる画像不良の発生が抑制される。G′(50)が6.0×10以下であることで、定着初期のニップ入り口付近でのトナー層の圧縮が起こり、空隙率が低下し低温定着性が実現できる。
前記静電荷像現像用トナーの結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することが、好ましい。結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有することで、低温時にクリーニング性の確保に必要な高い貯蔵弾性率を有していても、定着時に貯蔵弾性率を低下させることが可能になり、低温定着が実現可能となる。
また、結晶性ポリエステルの使用により低温定着性は確保できるが、結晶性ポリエステルを用いると、クリーニングブレードのニップ部で結晶性が不十分な結晶性ポリエステル部分が感光体部分にフィルミングしてしまうことがあるという問題があったが、本願の構成とすることでブレードニップ部への過度のストレスを低減することが可能となり、フィルミングの発生を抑制することができる。
本発明のトナー粒子は、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることが、好ましく、角が存在するトナーの割合が多すぎる場合にはニップ部での流動性が不足し、同一のトナーがストレスを受け続けることになり、外添剤の埋没が進むことによるトルクの上昇や感光体へのフィルミングが発生しやすくなる。また角に過度のストレスがかかりその部分が摩耗しやすいことも感光体へのフィルミングの発生の原因になっているため、角がないトナー粒子が好ましい。
<角がないトナー粒子の割合>
本発明の静電荷現像用トナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70~100個数%の範囲内である。
ここに、「角がないトナー粒子」とは、電荷の集中するような突部又はストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子をいい、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。すなわち、図1(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図1(b)及び(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行う。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を無作為に100個のトナー粒子について行った。
また、樹脂粒子を塩析/融着させる場合の融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数及び攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比Dv/Dnが、1.05~1.20の範囲内であることが、好ましく、主成分である(小径の)トナーの粒径分布がシャープであることで、流動可能な堰き止め層の流動性が良好となり、クリーニング性が向上する。トナーの粒径分布がブロードな場合にはニップ部に段階的に堰き止め層が形成されることになり、ニップ先端付近に存在することになる小径トナーの流動性が低下するためにクリーニング性が悪化することを抑制する。
また、前記静電荷像現像用トナーの質量基準の粒度分布において、体積平均粒径(Dv)よりも大粒径側に少なくとも一つの極大値を有し、極大値の粒径をDxとし、DvとDxの間の極小値のうち質量割合の低い極小値の粒径をDyとしたとき、Dx及びDyが、前記式(3)と式(4)を同時に満たすことが、好ましい。
ここで「極大値」とは、横軸に粒径、縦軸に質量割合をとった粒度分布曲線において、粒径の値を変化させたときに質量割合の値が増加から減少に変わる点をいい、「極小値」とは、前記質量割合の値が減少から増加に変わる点をいう。
式(3)の領域の粒径の成分が、堰き止め層の厚みを大きくし、紙粉などの衝突によるブレード部への衝撃力を緩衝する効果が大きい成分であるために、極大値を有することが好ましく、式(4)の領域の粒径の成分は堰き止め層の厚みを大きくする効果はあるものの、主成分のトナーと同時に現像、転写の工程を経て移動しやすいために、画像の粒状性の低下が起こる原因となるために、極小値を有することが好ましい。
トナーの質量基準の粒度分布において、前記Dxにおける質量割合をXとし、前記Dyにおける質量割合をYとしたとき、前記式(5)をさらに満たすことが、好ましい。
式(3)で示される領域の大径成分が(式(2)を満たす量の範囲で)より多くなり、式(4)で示される領域の成分がより少なくなるために、クリーニング性と画質がより確実に両立できる。
本発明の静電荷現像用現像剤は、本発明の静電荷像現像用トナーと粒径が20~60μmの範囲内であるキャリア粒子とを含有することが、高画質化の観点から、このましい。
本発明の電子写真画像形成方法は、詳細は後述するが、少なくとも潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程、定着工程、及びリーニング工程を有する画像形成方法であって、本発明の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
前記潜像形成工程に用いる静電荷像担持体として、表面層が硬化型表面層である静電荷像担持体を用いることが、好ましい。
硬化型表面層を有することで感光体の耐久性が向上するなどの利点がある反面、感光体の表面層が削れにくいために、感光体の表面にフィルミングなどが発生しやすい現像剤を用いた場合には、画像不良が発生することがある。本発明の静電荷像現像用トナーとすることで感光体のフィルミングなどの発生を抑制することが可能となり、フィルミングやブレードの摩耗などに起因する感光体ユニットの交換を行う頻度も下げることが可能になり、硬化型表面層の感光体を用いる利点を最大化することが可能となる。
なお「硬化型表面層」とは、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子と、活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に、活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られる、静電荷像担持体の外周面上に形成した層をいう。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の静電荷像現像用トナーの概要≫
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーであって、前記微粒子が、体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり、かつ、下記式(1)と式(2)を同時に満たすことを特徴とする。
式(1) W(6)≦100質量ppm
式(2) 50質量ppm≦W(3)-W(6)≦300質量ppm
(ここで、W(3)は前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。W(6)は前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。)
前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であると、画像を形成するドットを構成するトナーの粒子数が増えることで、階調性の向上とGI値(Graininess Index)の低減が行えるとともに、トナー像を形成した際に紙との接触点の増加や空隙率の低減による熱伝導率の上昇により低温定着性が実現できる。3.00μm未満ではクリーニングを行うことが困難になる。
平均円形度は、0.945~0.985の範囲内であるが、0.945未満であると、高転写率とそれに伴う高画質を実現することができず、0.985より大きいとクリーニングを行うことが困難になる。
前記W(6)は、式(1) W(6)≦100質量ppmを満たすと、いわゆる「ホタル」の発生による画像不良の発生とトナー飛散による画像不良(粗粉を核とした転写不良による画像不良)の発生を許容できるレベル以下とすることができる。また100質量ppmを超えると、GI値も大きく低下することになる。
前記W(3)とW(6)の差分は、式(2) 50質量ppm ≦W(3)-W(6)≦300質量ppmの範囲内であり、300質量ppmを超えるとGI値の低下が許容できないレベルとなってしまう。50質量ppm以上存在することで、ブレード先端部への過度の圧力の発生を抑制できるとともに、主成分である小径のトナーと微量に存在する大径のトナーで形成される流動可能な堰き止め層の厚みが大きくなり、紙粉などの衝突によるブレード部への衝撃力を緩衝することが可能になり、クリーニング不良の発生を抑制できる。
ここで、体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、平均円形度、篩による残存トナー量及び貯蔵弾性率は以下の測定方法を採用する。
<トナーの体積平均粒径(Dv)>
トナーの体積平均粒径は、コールターマルチサイザー4e(ベックマン・コールター社製)で粒径に応じて、30~140μmのアパーチャーを使用して測定する。
<トナーの個数平均粒径(Dn)
トナーの個数平均粒径は、同様にコールターマルチサイザー4e(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。前記コールターマルチサイザーにおけるアパーチャーとしては、例えば、100μmのものを用いて、2μm以上(2~60μm)のトナーの個数分布を測定して粒度分布及び個数平均粒径を算出する。
<平均円形度>
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
平均円形度は、「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて、HPF検出数を5000個としたときの測定値である。
<篩による残存トナー質量>
本発明に係るW(3)は、前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表し、W(6)は前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。
前記W(3)及びW(6)は、具体的には篩分けのメッシュとしては目開きの精度の高い電成フルイを用い、エアジェットシーブ(ホソカワアルピネ製、e200LS)で10分間以上、かつ質量変化がなくなるまで篩粉し、トナー全質量に対する、篩上に残存する粉体質量を求める。
体積基準平均粒径の6.5倍に相当する目開きの篩での測定から開始し、体積基準平均粒径の1.5倍の目開き粒径となる粒径まで1μm毎に目開きの異なる篩で測定を行うことで大径側の粒径分布を測定する。
<貯蔵弾性率G′の測定>
測定サンプルとして、トナー母体粒子に外添剤を添加したトナーを0.2g計量し、圧縮成形機で25MPaの圧力を印加して加圧成型を行い、上記トナーからなる直径10mmの円柱状ペレットを作製した。
レオメーター(TA instrument製:ARES G2)を使用し、上に直径8mmのパラレルプレートを下に直径20mmのパラレルプレートのディスポーザブルのプレートのセットで用いて、周波数1Hzの条件で降温測定を行った。サンプルセットを100℃にて行い、Gapを一度1.4mmにセットした後にプレート間からはみ出したサンプルのかきとりを行った後に1.1mmにGapをセットし、Axial forceをかけつつ30℃まで10℃/minで降温し、30℃で30分保持した後、Axial forceを解除した状態で55℃まで10℃/minで昇温し、55℃で24時間加熱処理を行った。
加熱処理後のサンプルを室温まで戻した後、再びAxial forceをかけ、30℃から150℃まで昇温速度3℃/minにて貯蔵弾性率(G′)の昇温測定を行った。以下に詳細な測定条件を示す。
・Frequency:1Hz
・Ramp rate:3℃/min
・Axicial force:0g、sensitivity:10g
・Initial strain:3.0%、Strain adjust:30.0%、Minimum strain:0.01%、Maximum strain:10.0%
・Minimum torque:1g・cm、 Maximum torque:80g・cm
・Sampling interval:1.0℃/pt
なお、本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結着樹脂を含有するトナー母体粒子と外添剤と着色剤とからなる。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂のほか、必要に応じて離型剤、帯電制御剤、界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上述のトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの構成要素について説明する。
〔1〕結着樹脂
本発明に係る結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、非晶性ビニル樹脂とを含有することが好ましい。また、結晶性樹脂としては、本発明の効果発現を阻害しない限り、その他の公知の樹脂を使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂等も使用できる。
なお、特に区別の必要がない場合、非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂をまとめて単に「非晶性樹脂」ともいう。
また、本発明において「結着樹脂が結晶性樹脂を含有する」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。また本発明において、「結着樹脂が非晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂など非晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における非晶性樹脂セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。
(結晶性樹脂)
上記結晶性樹脂は、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナー母体粒子を構成する樹脂(すなわち、結着樹脂と離型剤。)に対して5~20質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱保管性の低下を抑制することができる。
上記結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアセタール樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリブチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリフェニレンサルファイド樹脂、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂、結晶性ポリテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
中でも、結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂が融解して非晶性樹脂の可塑化剤として働くために低温定着性をより向上させることができるため好ましい。当該結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合反応による公知の合成法により得ることができる。上記結晶性ポリエステル樹脂は、1種でもそれ以上の種類を用いてもよい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーは、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することが好ましい。芳香族モノマーを用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いものとなることが多く、分岐型の脂肪族モノマーを用いた場合には結晶性が低くなることが多いことから直鎖脂肪族モノマーを用いることが好ましい。また、直鎖脂肪族モノマーが50%以上とすることで、トナー中において結晶性を維持することができる。80%以上にすることで十分な結晶性を維持することが可能になる。
上記多価カルボン酸の例には、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;それらの酸無水物;及びそれらの炭素数1~3のアルキルエステル;が含まれる。上記多価カルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
上記多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;及びグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上のアルコール;が含まれる。上記多価アルコールは、脂肪族ジオールであることが好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル重合セグメントと、他種構造の重合セグメントとが化学結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。すなわち、他種構造の樹脂(例えば、スチレン・アクリル樹脂、以下、「St・Ac樹脂」ともいう。)により変性されたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド結晶性樹脂」ともいう)であることが好ましい。ハイブリッド結晶性樹脂は、例えば、他種構造の樹脂がスチレン・アクリル樹脂であれば、当該スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。また、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナー母体粒子に含有される結着樹脂や離型剤の相溶及び非相溶並びに結晶化の調整を好適にでき、ひいては、本発明の効果をより好適に発現できる。さらには、トナー母体粒子が後述のコア・シェル構造を有し、シェルがハイブリッド結晶性樹脂を含有する場合、スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、コア粒子の表面全体を被覆しやすくなる。
なお、ここで、他種構造の樹脂とは、樹脂種が異なるものを異なる種類の樹脂と定義し、単量体組成比が異なるもの、後述のスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂などの変性の有無のみの違いは異なる種類の樹脂とは呼ばない。
また、上述のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポエリステル樹脂に由来の構造を有する樹脂部分を「結晶性ポリエステル重合セグメント」といい、他種構造の樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を「他種構造の重合」セグメントという。
他種構造の樹脂としては、例えば、スチレン・アクリル樹脂などのビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などがあげられる。他種構造の重合セグメントとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記スチレン・アクリル樹脂は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合体である。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、p-エチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、3,4-ジクロロスチレン、これらの誘導体等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、6-ヒドロキシアクリル酸エチル、γ-アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体を使用することもできる。使用できる他の単量体としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
上記スチレン・アクリル樹脂は、上述した単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法などの公知の重合手法により重合することにより得ることができる。重合時、分子量を調整することを目的として、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどの通常用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
上記ハイブリッド結晶性樹脂中の他種構造の重合セグメントの含有量は、10質量%以下であることが低温定着性の観点から好ましい。
以下に、ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の具体例として、他種構造の重合セグメントとして、スチレン・アクリル重合セグメントを有する(すなわち、スチレン・アクリル樹脂により変性された)ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の製造方法について述べる。
上記ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の例としては、まず、それぞれ個別に用意した結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル樹脂とを反応させて化学結合させることにより得る製造方法があげられる。結合を容易にする観点からは、結晶性ポリエステル樹脂かスチレン・アクリル樹脂に、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を組み込むことが好ましい。例えば、スチレン・アクリル樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体とともに、結晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基[COOH]又はヒドロキシ基[OH]と反応可能な置換基と、スチレン・アクリル樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、結晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基又はヒドロキシ基と反応可能な置換基を有するスチレン・アクリル樹脂を得ることができる。
また、上記ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の、その他の例としては、あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン・アクリル樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン・アクリル樹脂の存在下で結晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応を行うことによって得る方法があげられる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。なお、このような化合物としては、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などが挙げられる。
なお、上記ハイブリッド結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、8500~12500であることが好ましく。9000~11000の範囲内であることが更に好ましい。この範囲内にあることが、低温定着性の観点からより好ましい。
結晶性樹脂の融点(T℃)は、55~80℃の範囲内にあることが、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできるため好ましい。
上記結晶性樹脂の融点は、結晶性樹脂を試料とするほかは、上述の結晶性樹脂由来の融点(T)の測定と同様にして計測できる。
上記結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は5~50質量%であることが好ましい。結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量が5質量%以上であると、低温定着の効果を十分に発揮でき、50質量%以下であれば耐熱保管性をより好適にできる。また、トナー母体粒子中の結晶性樹脂の含有量は、5~20質量%が好ましく、7~15質量%がより好ましい。5質量%以上であれば十分な可塑化効果を得られ、より好適な低温定着性を得られる。また、20質量%以下であれば、トナーとしての耐熱保管性や物理的なストレスに対する安定性をより良好にできる。また、7~15質量%の範囲内であれば、非晶性樹脂の構成や適切な製造法を選択することにより、好ましい貯蔵弾性率に制御することが容易になる。
また、非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性樹脂との合計量に占める当該結晶性樹脂の割合が、40質量%より大きく60質量%以下であることが好ましい。
この範囲内であれば、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性樹脂とが相溶しやすく低温定着性に優れる。また、結晶性樹脂が40質量%より大きいと、完全に非晶性樹脂に相溶することを回避でき、アニーリングにより好適に結晶化させることができるため、ひいては良好な耐熱性をえることができる。また、60質量%以下であれば、十分に相溶できるため、良好な低温定着性をえることができる。
本発明に係る結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000~50000の範囲内にあり、数平均分子量は2000~10000の範囲内にあることが、低温定着性及び光沢度安定性の観点から好ましい。
本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)に、ガードカラムとしてTSKguardcolumn SuperHZ-L、分析カラムとしてTSKgelSuperHZM-M(東ソー株式会社製)を3連で接続した装置を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.35mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
(非晶性樹脂)
本発明に係るトナー母体粒子は、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂又はその一部が変性された変性ポリエステル樹脂(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)と、非晶性ビニル樹脂とを含む。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点Tを有するが、融点すなわち昇温時の前述の明確な吸熱ピークがない非結晶性を示す樹脂をいう。
上記非晶性樹脂は、上記結晶性樹脂とともに結着樹脂として用いられ、上記トナー母体粒子を構成する。なお、非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂のほか、ウレタン系樹脂やウレア系樹脂を含んでいてもよい。上記非晶性樹脂は、例えば公知の合成法によって入手可能である。
(非晶性ビニル樹脂)
上記非晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合した非晶性ビニル樹脂であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。
上記非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量は、20000~150000の範囲内にあり、数平均分子量は、5000~20000の範囲内にあることが、定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量は、上記結晶性樹脂の場合と同様に測定することができる。
上記非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(T)は、定着性と耐熱保管性の両立の観点から、20~70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418-82に規定された方法(DSC法)に従って測定することができる。測定には、DSC-7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。
上記非晶性ビニル樹脂は、単量体のみの重合体であってもよいし、当該単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、スチレン、スチレンの誘導体などのスチレン系単量体などを使用できる。
前記結着樹脂における前記非晶性ビニル樹脂の含有量が、50質量%以上であることが好ましい。結着樹脂において、非晶性ビニル樹脂が主成分である(結着樹脂における非晶性ビニル樹脂の含有量が50質量%以上である。)ことにより、結晶性樹脂との相溶・非相溶の調整がしやすくなる。特に、結晶性樹脂と非晶性ビニル樹脂との構造が互いに異なるために非相溶化させることが容易であるため、より低温のアニーリングで結晶化を飽和させることができる。このため、前記結着樹脂における前記非晶性ビニル樹脂の含有量が、50質量%以上であると、高温で長期間保管した場合の低温定着性の変動及び結晶性材料のブリードアウトを好適に抑えることができるため好ましい。
(非晶性ポリエステル樹脂)
上記非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すポリエステル樹脂である。コア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェルの材料として非晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
上記多価カルボン酸及び多価アルコールとしては、上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様の材料を使用することができるほか、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物なども使用できる。これらの中でも、特にトナーの帯電均一性を向上させるという観点から、多価アルコール成分としてはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。これらの多価アルコール成分は1種単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基と多価カルボン酸のカルボキシ基との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1~1/1.5の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.2/1~1/1.2の範囲内である。
上記非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000~10000の範囲内にあることが好ましい。数平均分子量は、上記非晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、20~70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、上記非晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、上述の結晶性ポリエステル樹脂と同様、スチレン・アクリル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド非晶性樹脂」ともいう)であることができる。
上記ハイブリッド非晶性樹脂は、スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性ビニル樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に非晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。トナー母体粒子がコア・シェル構造を有し、シェルが非晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、非晶性ビニル樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、表面全体を被覆しやすくなる。
本発明において「非晶性ポリエステル樹脂がスチレン・アクリル樹脂により変性された」とは、非晶性ポリエステル重合セグメントとスチレン・アクリル重合セグメントが化学結合していることをいう。非晶性ポリエステル重合セグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、非晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち非晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。スチレン・アクリル重合セグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、スチレン・アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン・アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。上記スチレン・アクリル樹脂は、上述のハイブリッド結晶性樹脂と同様の材料を用いて同様に製造することができる。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は2000~10000の範囲内にあることが、定着性の観点からより好ましい。
トナー母体粒子中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、定着性と帯電の環境安定性の観点から、1~50質量%の範囲内にあることが好ましい。
〔2〕離型剤
上記離型剤(ワックス)の例には、炭化水素系ワックス及びエステルワックスが含まれる。当該炭化水素系ワックスの例には、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスが含まれる。また、上記エステルワックスの例には、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル及びクエン酸ベヘニルが含まれる。上記離型剤は1種でもそれ以上でもよい。
〔3〕着色剤
上記着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機又は有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料が含まれる。上記着色剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びランプブラックが含まれる。上記磁性体の例には、鉄やニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金及びフェライトやマグネタイトなどの強磁性金属の化合物、が含まれる。
上記顔料の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60及び中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料、が含まれる。
上記染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93及び同95が含まれる。
〔4〕その他の添加剤
[帯電制御剤]
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体及びサリチル酸金属塩又はその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
[界面活性剤]
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系などのアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、1種でもそれ以上でもよい。
上記アニオン系界面活性剤の具体例には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。上記カチオン系界面活性剤の具体例には、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドが含まれる。非イオン系界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
〔5〕外添剤
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子表面に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加する。
本発明に係る外添剤は、1種でもそれ以上でもよい。当該外添剤としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子を使用できる。
上記外添剤は、ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子を含むことがより好ましい。ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子は、粒子径分布が狭いという特徴を有しているので、トナー母体粒子に対する外添剤の付着強度のバラツキを抑制する観点から好ましい。
また、上記シリカ粒子の個数平均一次粒子径は、70~200nmであることが好ましい。個数平均一次粒子径が上記範囲内にあるシリカ粒子は、他の外添剤に比べて大きい。したがって、二成分現像剤においてスペーサーとしての役割を有する。よって、二成分現像剤が現像装置中で撹拌されているときに、より小さな他の外添剤がトナー母体粒子に埋め込まれることを防止する観点から好ましい。また、トナー母体粒子同士の融着を防止する観点からも好ましい。
上記外添剤の個数平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の画像処理によって求めることが可能であり、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸が含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシランが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、が含まれる。
また、上記シリコーンオイルの例には、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル及びアミノが含まれる。
上記外添剤の添加量は、トナー粒子全体に対して0.1~10.0質量%が好ましい。より好ましくは1.0~3.0質量%である。
〔6〕トナー粒子の物性
[トナー粒子の構造]
本発明に係るトナー母体粒子は、トナー粒子のみの単層構造であってもよいが、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子とは、コア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェルとを備える多層構造を有するトナー母体粒子をいう。シェルは、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェルでガラス転移点、融点、硬度などの特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などを含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェルを形成することができる。シェルには、上述したように非晶性ポリエステル樹脂を使用することができ、中でもスチレン・アクリル樹脂により変性された非晶性ポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。
[トナー粒子の平均粒径]
本発明に係るトナー粒子の体積平均粒径(Dv)は3.00~8.00μmの範囲内にあり、好ましくは4.00~6.50μmの範囲内である。
なお、本発明においては、トナー粒子の粒径と、トナー母体粒子の粒径とは等しいものとして扱う。
体積平均粒径は、コールターマルチサイザー4e(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V4.03を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定することができる。具体的には、試料(トナー)0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナーの分散液を調製する。このトナーの分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。前記コールターマルチサイザーにおけるアパーチャーとしてはトナーの粒径分布に応じて適切なものを用いる必要があるが、(本発明の要件を満足するトナーであれば)体積基準の粒径分布の最頻径の15倍程度のアパーチャー径のものを用いることで、小径側、大径側の粒子のほとんどを測定範囲に含めることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、各アパーチャーの標準の測定範囲(例えば、アパーチャー径を100μmのものでは、2~60μmの範囲測定範囲) を対数間隔で400分割しての頻度値 を算出し、トナーの体積分布を測定して粒度分布及び体積平均粒径(Dv)を算出する。
同様に個数平均粒径(Dn)は、コールターマルチサイザー4e(ベックマン・コールター社製)等を用いて測定することができる。トナーの個数分布を測定して粒度分布及び個数平均粒径を算出する。
本発明の静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比Dv/Dnは、1.05~1.20の範囲内であることが好ましく、主成分である(小径の)トナーの粒径分布がシャープであることで、流動可能な堰き止め層の流動性が良好となり、クリーニング性が向上する。トナーの粒径分布がブロードな場合にはニップ部に段階的に堰き止め層が形成されることになり、ニップ先端付近に存在することになる小径トナーの流動性が低下するためにクリーニング性が悪化することを抑制する。
また、静電荷像現像用トナーの質量基準の粒度分布において、体積平均粒径(Dv)よりも大粒径側に少なくとも一つの極大値を有し、極大値の粒径をDx、DvとDxの間の極小値のうち質量割合の低い極小値の粒径をDyとするとき、Dx及びDyが、下記式(3)と式(4)を同時に満たすことが、好ましい。
式(3) 3.0≦Dx/Dv≦6.0
式(4) 1.5≦Dy/Dv≦4.0
さらに、前記静電荷像現像用トナーの質量基準の粒度分布において、前記Dxにおける質量割合をX、前記Dyにおける質量割合をYとするとき、下記式(5)をさらに満たすことが、好ましい。
式(5) Y/X≦0.5
上記式(3)~(5)の意義は以下のとおりである。
ここで、質量基準の粒度分布は、具体的には篩分けのメッシュとしては目開きの精度の高い電成フルイを用い、エアジェットシーブ(ホソカワアルピネ製、e200LS)で10分間以上、かつ質量変化がなくなるまで篩粉し、トナー全質量に対する、篩上に残存する粉体質量を求める。
体積基準平均粒径の6.5倍に相当する目開きの篩での測定から開始し、体積基準平均粒径の1.5倍の目開き粒径となる粒径まで1μm毎に目開きの異なる篩で測定を行うことで、横軸をメッシュの目開きとした大径側の質量基準のフルイ上積算分布を求めることができる。
フルイ上積算分布から1μm毎の各粒子径区分に含まれる質量割合に比例した高さを持つ、ヒストグラムの各区分の中点 を結んで連続的に示すことで、大径側の質量基準の粒度分布と、粒度分布における、極大値および極小値を求めることができる。 なお、極大値および極小値には代表値である各区分の中点の値を用いる。
ここで前述のとおり、「極大値」とは、横軸に粒径、縦軸に質量割合をとった粒度分布曲線において、粒径の値を変化させたときに質量割合の値が増加から減少に変わる点をいい、「極小値」とは、前記質量割合の値が減少から増加に変わる点をいう。
式(3)の領域の粒径の成分が、堰き止め層の厚みを大きくし、紙粉などの衝突によるブレード部への衝撃力を緩衝する効果が大きい成分であるために、式(3)の範囲内である極大値を有することが好ましい。
同時に式(4)の領域の粒径の成分は、堰き止め層の厚みを大きくする効果はあるものの、主成分のトナーと同時に現像、転写の工程を経て移動しやすいために、画像の粒状性の低下が起こる原因となるため、式(4)の範囲内である極小値を有することが好ましい。
さらに、式(3)の領域の大径成分が(式(2)を満たす量の範囲で)より多くなり、式(4)の成分がより少なくなることが、クリーニング性と画質がより確実に両立できることから、式(5)で表される質量割合の範囲内であることが好ましい。
[トナー粒子の平均円形度]
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.945~0.985の範囲内であり、0.955~0.975であることがより好ましく、0.960~0.970であることが特に好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
上記平均円形度は、次のようにして測定することができる。メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA-3000(シスメックス株式会社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。下記式(y)中、L1は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長(μm)を表し、L2は、粒子投影像の周囲長(μm)を表す。
式(y)円形度=L1/L2
前述のように本発明に係るトナー粒子は、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることが好ましい。角が存在するトナーの割合が多すぎる場合にはニップ部での流動性が不足し、同一のトナーがストレスを受け続けることになり、外添剤の埋没が進むことによるトルクの上昇や感光体へのフィルミングが発生しやすくなる。また角に過度のストレスがかかりその部分が摩耗しやすいことも感光体へのフィルミングの発生の原因になっているため、角がないトナー粒子が好ましい。
本発明の静電荷現像用トナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが好ましく、更に好ましくは70個数%以上100個数%以下とである。
[トナー粒子の軟化点]
トナー粒子の軟化点は低温定着性の観点から、80~120℃であることが好ましく、95~105℃がより好ましく、97~103℃が特に好ましい。
上記軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定される。具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、試料(トナー粒子)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP-10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2(3.75MPa)の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを上記軟化点とする。
〔7〕静電荷現像用トナーの製造方法
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、特に、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
また、本発明の静電荷現像用トナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液に貧溶媒を滴下して転相乳化を行ったのちに脱溶媒することで、樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法として、乳化凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
本発明の静電荷現像用トナーの製造方法においては、上記(3)の工程において、熱処理工程(アニーリング)があることが好ましい。トナー製造工程においてアニーリングを経ることで、実際のトナー使用条件で高温を含む様々な温度で保管した場合であっても低温定着性と耐熱保管性とを良好にするという効果を好適に発現できる。
以下に、上記(3)の工程の一例について、具体的に記載する。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂などの結着樹脂の粒子の分散液と、着色剤粒子分散液を投入し、凝集剤(例えば、塩化マグネシウム。)の溶液を、撹拌下、添加し、上記結着樹脂の粒子や着色剤の粒子を凝集、会合、融着させ、粒子を成長させる。所望のタイミングで、塩化ナトリウムの水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させる。次いで、昇温して撹拌し、トナー粒子の平均円形度が所望の値になるまで粒子の融着を進行させ、冷却し、液温を下げる。
その後、熱処理工程(アニーリング)として、撹拌しつつ、例えば、30分ほどかけて50℃まで昇温し、3時間ほど前記温度を維持する。その後冷却し30℃以下まで液温を下げる。その後、工程(4)~(6)を経ることで本発明の静電荷現像用トナーを製造することができる。
また、上記の(3)の工程以外の工程、すなわち、上記の(1)、(2)及び(4)~(6)の工程は、特に限定されず、公知の方法を好適に採用することができる。また、本願発明の効果発現を阻害しない範囲であれば、上記(1)~(6)の工程以外の公知の工程を採用することができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
〔8〕静電荷像現像用現像剤
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子及びキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0~8.0質量%である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子の例には、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子及び樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子、が含まれる。上記キャリア粒子は、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。当該磁性体は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、鉄、ニッケル及びコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物及び熱処理することにより強磁性を示す合金、が含まれる。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物の例には、鉄、下記式(a)で表されるフェライト及び下記式(b)で表されるマグネタイト、が含まれる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金又は金属酸化物の例には、マンガン-銅-アルミニウム及びマンガン-銅-スズなどのホイスラー合金及び二酸化クロム、が含まれる。
上記芯材粒子は、上記フェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像装置内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
上記被覆材は、1種でもそれ以上でもよい。被覆材には、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であることが、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点及び被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点、から好ましい。当該シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が含まれる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、被覆層とフェライト粒子との密着性の観点からシクロヘキシル基がより好ましい。
上記シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば10000~800000であり、より好ましくは100000~750000である。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば10~90質量%である。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、P-GC/MSやH-NMRなどの公知の機器分析法を利用して求めることが可能である。
上記二成分現像剤は、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。当該混合に用いられる混合装置の例には、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機が含まれる。
また、上記キャリア粒子の大きさ及び形状も、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。例えば、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、15~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20~60μmの範囲内である。当該キャリア粒子の体積平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(Sympatec社製)を用いて湿式にて測定することができる。また、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合などによって調整することが可能である。
〔9〕電子写真画像形成方法
本発明の電子写真画像形成方法は、少なくとも、潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を有する画像形成方法であって、本発明の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
すなわち、本発明の電子写真画像形成方法は以下の各工程を有する。
1)静電荷像担持体の表面を帯電する帯電工程と、
2)当該静電荷像担持体の表面を露光することにより、静電潜像を静電荷像担持体上に形成する潜像形成工程と、
3)当該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤により顕像化しトナー像を形成する現像工程と、
4)当該トナー像を中間転写体上に転写する中間転写工程及び画像形成支持体に転写する転写工程と、
5)当該画像形成支持体上に形成されたトナー像の定着工程と、
6)残存静電荷像現像用トナーをクリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程と、
を有する。
静電荷像担持体(電子写真感光体、単に感光体ともいう。)は、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
本発明の電子写真画像形成方法としては、具体的には、前記感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電(帯電工程)し、像露光(露光工程)することにより形成された静電潜像を、現像装置を用いて現像(現像工程)することにより顕像化させてトナー画像を得る。このトナー画像をコピー用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写(転写工程)し、その後、除電工程を経て、次の画像形成のサイクルが行われる。転写ベルト等の転写媒体上に転写されたトナー画像は、コピー用紙上に転写され、コピー用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着(定着工程)させることにより、可視画像を得る。転写工程の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード(ゴムブレード)等により除去(クリーニング工程)される。このクリーニング工程は、除電工程の前でも後であってもよいが、除電工程が光照射による除電の場合は、クリー ニング工程の後の方が、感光体上に残留するトナーが除電光の吸収を妨げることがないので、効果的に除電が行えるので好ましい。
なお、前記感光体が硬化型表面層を有することで、感光体の耐久性が向上するなどの利点がある反面、感光体の表面層が削れにくいために、感光体の表面にフィルミングなどが発生しやすい現像剤を用いた場合には、画像不良が発生することがある。本発明の静電荷像現像用トナーを用いることで感光体のフィルミングなどの発生を抑制することが可能となり、フィルミングやブレードの摩耗などに起因する感光体ユニットの交換を行う頻度も下げることが可能になり、硬化型表面層の感光体を用いる利点を最大化することが可能となる。
硬化型表面層は、前記感光体の外周面上の外周面上に形成され、金属酸化物粒子を含有することが好ましく、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム又は酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ又は酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。これら金属酸化物粒子を一種類、若しくは二種類以上混合して用いることができる。二種類以上混合して用いる場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。このような金属酸化物粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。さらに、前記金属酸化物微粒子が、表面処理を施された金属酸化物微粒子からなることが好ましい。
また、樹脂として(メタ)アクリレートモノマー、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー以外の多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。
本発明に係る硬化型表面層を有する感光体の詳細については、特開2014-081565号公報の段落〔0030〕~〔0075〕には感光体の表面層に用いられる重合性化合物を重合して得られる樹脂、表面処理金属酸化物粒子及び電荷輸送物質である有機化合物など、材料に関しての詳細、及び〔0076〕~〔0104〕には感光体の製造方法についての詳細が記載されているので、ともに参照することができる。
《電子写真画像形成装置》
次いで、具体的な電子写真画像形成方法について、電子写真画像形成装置を用いて説明する。
電子写真画像形成装置は、前記感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電する帯電手段、像露光することにより形成された静電潜像を形成する露光手段、現像装置を用いて現像することにより顕像化させてトナー画像を得る現像手段、このトナー画像を用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写する転写手段、及び除電手段を有している。コピー用紙上に直接転写されたトナー画像及び転写ベルト等の転写媒体を経て用紙上に転写されたトナー画像は接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着する定着手段により可視画像を得る。転写の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード等のクリーニング手段によりにより除去される。
図2は、本発明の電子写真感光体を備えるタンデム型の電子写真画像形成装置の構造を示す断面模式図である。
図2に示す画像形成装置300は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット70と、給紙手段21及び定着手段24とからなる。電子写真画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体1Y、1M、1C、1Kを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Kと、露光手段3Y、3M、3C、3Kと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4K、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C、5K、及び感光体1Y、1M、1C、1Kをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kより構成されている。
なお、電子写真画像形成装置は、感光体1Y、1M、1C、1Kとして、各々感光体を用いる。感光体は、表面層が硬化型表面層であることが、感光体の耐久性が向上するなどの利点がある反面、感光体の表面層が削れにくいために、感光体の表面にフィルミングなどが発生しやすい現像剤を用いた場合には、画像不良が発生することがあるが、本願の静電荷像現像用トナー及び現像剤とすることで感光体のフィルミングなどの発生を抑制することが可能となり、フィルミングやブレードの摩耗などに起因する感光体ユニットの交換を行う頻度も下げることが可能になり、硬化型表面層の感光体を用いる利点を最大化することが可能となる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、備えるトナーの色がそれぞれイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色というように異なることを除き同じ構成である。よって、以下では、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。
帯電手段2Yは、感光体1Yの表面を一様に負極性に帯電させる手段である。本実施形態の電子写真画像形成装置においては、帯電手段2Yとして帯電ローラーを用いることが好ましい。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又は、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ、及び当該現像スリーブと感光体との間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
画像形成装置300としては、感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
中間転写体ユニット70は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体77を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Kより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材などの感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体77は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Kは常時、感光体1Kに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M及び1Cに当接する。
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体77に当接する。
また、装置本体Aから筐体80を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体80は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkと、中間転写体ユニット70とからなる。
画像形成部10Y、10M、10C及び10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Kの図示左側方には中間転写体ユニット70が配置されている。中間転写体ユニット70は、ローラー71、72、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体77、一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5K、並びにクリーニング手段6bとからなる。
以上のような画像形成装置において使用されるトナーとして、本発明の静電荷像現像用トナーを用いることで、低温定着性を実現しながら、高転写効率・高画質性、クリーニング性を向上させ、かつ、感光体のフィルミングや傷の発生を低減させることができる。
図3は、タンデム型の電子写真画像形成装置における、感光体とクリーニングブレードとの配置関係を示す拡大模式図である。
ここで、227はクリーニング手段としてのクリーニングブレード、228は光除電手段(除電光)としての除電ランプ、222は露光手段としての露光用光源、220は帯電手段としての帯電ローラー、223は現像手段としての現像器、225は転写手段としての転写ローラーである。露光用光源22に使用可能な光源としては、タングステン光、蛍光灯、ハロゲンランプ、レーザー光(半導体レーザー、He-Neレーザー)及びLED等が挙げられる。
現像器223は、正転現像用、及び反転現像用のいずれでもよいが、感光体は、特に反転現像プロセス適用時に画像メモリー改善の効果が得られる。適用可能な除電ランプ228としては、正転現像時、及び反転現像時いずれでも適用が可能である。除電ランプ228に使用可能な露光光源としては、タングステンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、白色LED、緑色LED、黄色LED、赤色LEDなどが挙げられ、上述のとおり光学フィルター等で波長領域を選定して使用してよい。
画像形成の一例としては、露光用光源222としてレーザー光源を用いた場合には、帯電ローラー220で負極性に帯電された感光体211はレーザー光源によって像露光され、現像器223で現像される。この場合、現像は反転現像となるため、トナーは負帯電したトナーである。これを転写ローラー225で転写媒体224に転写し、感光体211上に残留したトナー(転写残トナー)はクリーニングブレード227で掻き落とされる。その後、除電ランプ228で感光体211上の電荷を除電する。除電はクリーニング工程の前でも後でもよい。転写媒体としては、コピー用紙等の記録紙、若しくは転写ベルトである。転写ベルト上に転写されたトナーは、次にコピー用紙等の記録紙に転写されトナー画像が形成される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔結晶性ポリエステル樹脂C1の合成例〕
ポリエステル樹脂の単量体とビニル樹脂の単量体いずれとも反応する置換基を有する単量体(両反応性モノマー)を含む、下記の付加重合系樹脂(スチレンアクリル樹脂:StAc)ユニットの原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 21.7質量部
n-ブチルアクリレート 8質量部
アクリル酸 1.8質量部
重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド) 4質量部
また、下記の重縮合系樹脂(結晶性ポリエステル樹脂:CPEs)ユニットの原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
テトラデカン二酸 440質量部
ブタンジオール 135質量部
次いで、撹拌下で付加重合系樹脂(StAc)の原料モノマーを90分かけて滴下し、60分間熟成を行った。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次に200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂C1を得た。結晶性ポリエステル樹脂C1は、その全量に対してCPEs以外の樹脂(StAc)ユニットを5質量%含み、また、StAcにCPEsがグラフト化した形態の樹脂であった。得られた結晶性ポリエステル樹脂C1の数平均分子量(Mn)は4030、重量平均分子量(Mw)20100、融点(Tm)は77℃、 溶融粘度11.5、酸価が21.4mgKOH/gであった。
〔結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液CD1の調製例〕
上記合成例で得られた結晶性ポリエステル樹脂C1 82質量部をメチルエチルケトン82質量部に、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液 2.5質量部(中和度50%相当)を添加した。この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水236質量部を70分間に亘って滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一な乳化状の状態を得た。この乳化液の油滴の粒径をレーザー回折式粒度分布測定器「LA-750(HORIBA社製)」にて測定した結果、体積平均粒径は123nmであった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、結晶性ポリエステル樹脂C1の微粒子が分散された「結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液CD1」(固形分25質量%)を作製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液CD1中、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積平均粒径は85nmであった。
〔非晶性ポリエステル樹脂A1の合成例〕
下記ビニル樹脂の単量体、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n-ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ-t-ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 59.1質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
281.7質量部
テレフタル酸 63.9質量部
コハク酸 48.4質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A1の重量平均分子量(Mw)が24000、酸価が16.2mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。
(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液AD1の調製)
上記合成例で得られた非晶性ポリエステル樹脂(A1) 82質量部をメチルエチルケトン82質量部に、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液 1.9質量部(中和度50%相当)を添加した。この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水236質量部を70分間に亘って滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化状の状態を得た。この乳化液の油滴の粒径をレーザー回折式粒度分布測定器「LA-750(HORIBA社製)」にて測定した結果、体積平均粒径は113nmであった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、非晶性ポリエステル樹脂A1の微粒子が分散された「非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液AD1」(固形分25質量%)を作製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液AD1中、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積平均粒径は79nmであった。
〔非晶性ビニル樹脂V1の合成〕
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gをイオン交換水3Lに溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とした。
得られた溶液に、下記の成分を下記の量で混合してなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、その後、80℃で2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子x1が分散されてなる樹脂粒子分散液X1を調製した。
スチレン 480g
n-ブチルアクリレート 250g
メタクリル酸 68g
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム9gをイオン交換水1460mLに溶解させた溶液を仕込み、88℃に加熱した。
得られた溶液に、樹脂粒子分散液X1を樹脂粒子x1換算で80gとなる量で添加し、また、下記成分を下記の量で含有する80℃の単量体溶液を上記溶液に添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CREARMIX」は同社の登録商標)により1時間混合分散させて、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
スチレン 245g
n-ブチルアクリレート 95g
メタクリル酸 35g
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 4.0g
次いで、得られた分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mLに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃で1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子x2が分散されてなる樹脂粒子分散液X2を調製した。
(第3段重合)
上記樹脂粒子分散液X2に、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記成分を下記の量で含有する単量体組成物を上記溶液に1時間かけて滴下し、滴下後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った。その後、得られた分散液を28℃まで冷却した。こうして、非晶性ビニル系樹脂である非晶性ビニル樹脂V1の分散液を調製した。
スチレン 405g
n-ブチルアクリレート 160g
メタクリル酸 33g
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 10g
また、上記非晶性ビニル樹脂V1の分散液を、非晶性ビニル樹脂V1が30質量%となるようにイオン交換水で希釈し、得られた水系分散液をVD1とした。水系分散液VD1中の非晶性ビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径D50を測定したところ、121nmであった。また、非晶性ビニル樹脂V1の重量平均分子量Mwを測定したところ、27900であった。
〔非晶性ビニル樹脂V2の合成〕
非晶性ビニル樹脂V1の合成と同様にx1を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム9質量部をイオン交換水1460質量部に溶解させた溶液を仕込み、88℃に加熱した。
得られた溶液に、樹脂粒子分散液X1を樹脂粒子x1換算で40gとなる量で添加し、また、下記成分を下記の量で含有する80℃の単量体溶液を上記溶液に添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CREARMIX」は同社の登録商標)により1時間混合分散させて、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
スチレン 275g
n-ブチルアクリレート 103g
メタクリル酸 37g
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 4.5g
次いで、得られた分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mLに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃で1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子x3が分散されてなる樹脂粒子分散液X3を調製した。
(第3段重合)
上記樹脂粒子分散液X3に、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記成分を下記の量で含有する単量体組成物を上記溶液に1時間かけて滴下し、滴下後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った。その後、得られた分散液を28℃まで冷却した。こうして、非晶性ビニル系樹脂である非晶性ビニル樹脂V2の分散液を調製した。
スチレン 405g
n-ブチルアクリレート 160g
メタクリル酸 33g
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 10.5g
また、上記非晶性ビニル樹脂V2の分散液を、非晶性ビニル樹脂V2が30質量%となるようにイオン交換水で希釈し、得られた水系分散液をVD2とした。水系分散液VD2中の非晶性ビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径D50を測定したところ、123nmであった。また、非晶性ビニル樹脂V2の重量平均分子量Mwを測定したところ、20700であった。
〔非晶性ビニル樹脂V3の合成〕
非晶性ビニル樹脂V1の合成と同様にx1を調製した。
(第2段重合)
非晶性ビニル樹脂V2の合成の第2段重合でn-オクチル-3-メルカプトプロピオネートを4.5g用いたところを6.0g用いた以外は同様にして第2段重合を行った。
(第3段重合)
非晶性ビニル樹脂V2の合成の第3段重合でn-オクチル-3-メルカプトプロピオネートを10.5g用いたところを12.5g用いた以外は同様にして第3段重合を行った。
水系分散液VD3中の非晶性ビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径D50を測定したところ、121nmであった。また、非晶性ビニル樹脂V3の重量平均分子量Mwを測定したところ、17600であった。
〔着色剤粒子分散液Cyの調製〕
下記成分を混合した溶液をウルトラタラックスT50(IKA社製)にて十分に分散した後、超音波分散機で60分間処理することにより、着色剤粒子分散液(Cy)を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム 100質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 200質量部
イオン交換水 1700質量部
得られた着色剤粒子分散液Cyについて、着色剤粒子の体積基準のメジアン径は120nmであった。
〔離型剤粒子の水系分散液W1の調製〕
「ニッサンエレクトールWEP-3」(日油株式会社製、融点(Tm):73℃、「ニッサンエレクトール」及び「WEP」はいずれも同社の登録商標)50質量部、ポリオキシエチレン-2-ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部及びイオン交換水193質量部を混合し、90℃に加熱して、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーを用いて分散処理を行うことにより、離型剤粒子の水系分散液W1を調製した。水系分散液W1中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径D50vは121nmであった。「ニッサンエレクトールWEP-3」はベヘン酸ベヘニル(BB)を主成分とする精製品である。
[実施例のトナー1の作製]
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、ビニル樹脂粒子分散液VD1を固形分換算で272質量部、及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液Cyを固形分換算で4.5質量部、離型剤粒子の水系分散液W1を固形分換算で42質量部を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。5分間放置した後、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液CD1を固形分換算で28質量部を20分かけて投入した。投入完了後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(コールター・ベックマン社製)により測定した体積基準のメジアン径が3,0μmになるまで成長させた。
撹拌速度を上げて粒径成長を停止した後、固形分換算で40質量部の非晶性ポリエステル樹脂分散液AD1を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加した。次いで、昇温して85℃の状態で撹拌し、トナー粒子の平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させ、その後冷却し30℃以下まで液温を下げた。
その後、撹拌しつつ30分かけて50℃まで昇温し、3hr熱処理工程を行った。その後冷却し30℃以下まで液温を下げた。目開き34μmの金属メッシュで反応液を濾過し粗大粒子の除去を行った(粗大粒子除去工程1)。
生成したトナー母体粒子1の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子1のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、上記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が4μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した。その後、これを「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移し、ドライヤー入口での気体温度を90℃に制御した気流で、出口での気体温度が40℃となるようにウェットケーキの投入量を制御しながら水分量が2.0質量%程度となるまで乾燥処理を行った。(この時トナーの温度はスラリーに含まれる水分の気化熱によって冷却されるため、出口での気体温度よりも低い状態が維持されることになる。) その後、「振動流動層装置」(中央化工機社製)に移し、トナー温度が35℃の状態で1時間乾燥させた後、反応工程および乾燥工程で生じる粗大粒子の除去を行うため、高精度気流分級機「DSF分級機(DSF-2型) 」(日本ニューマチック工業社製) を用いて、粒径に応じて風量やルーバーの間隔を調整することで分級点を変更し、分級することで粗大粒子の除去(粗大粒子除去工程2)を行うことで、 水分量が0.5%程度である体積基準メジアン径が3.13μmのトナー母体粒子1を調製した。
なお、上記「気流分級機」は、トナー粒子への慣性力と遠心力のバランス調整により粗大粒子を分級する分級点を任意に変更できるものである。
得られたトナー母体粒子1 100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、目開き45μmの金属メッシュで粗大粒子を篩分けすることで粗大粒子の除去を行った(粗大粒子除去工程3)。その後、さらにメチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体でその表面が被覆されている、体積平均粒子径40μmのフェライトキャリア粒子をトナー濃度が6質量%となる量で混合し、109μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し(粗大粒子除去工程4)、実施例のトナー1を得た。
[実施例のトナー2~10、12~22及び比較例のトナー23~29の作製]
トナー1の製造例に従って、粒径成長の停止粒径と融着工程の停止円形度を変更し、さらに、表Iに記載の通り、除去工程1及び除去工程3の篩の目開きを変更した点以外は同様にして、実施例のトナー2~10、12~22及び比較例のトナー23~29を作製した。
[実施例のトナー11及び比較例のトナー30の作製]
実施例のトナー1で結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液投入完了後に80℃に昇温したところを、90℃に昇温するように変更し、粒子径の成長速度が0.05μm/分となるように撹拌速度を調整して、粒径成長の停止のために 撹拌速度を上げるまで90℃維持し、非晶性ポリエステル樹脂分散液を投入前に80℃に温度を下げるように変更した点と粗大粒子除去工程を表Iに記載の条件に変更した点以外は同様にして 、実施例のトナー11及び比較例のトナー30を作製した。
<感光体の作製>
下記評価に用いた画像形成装置用に以下の手順で作製した感光体1を装着して、評価をそれぞれ実施した。
(感光体1の作製)
下記のように感光体1を作製した。
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記組成の分散液を同じ溶媒にて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂(CM8000:東レ社製) 1質量部
酸化チタン(SMT500SAS:テイカ社製) 3質量部
メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:下記顔料(CG-1):チタニルフタロシアニンと(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と非付加体チタニルフタロシアニンの混晶
20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000-C:電気化学工業社製)
10質量部
酢酸t-ブチル 700質量部
4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン 300質量部
を混合し、超音波分散機を用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
CG-1は以下のようにして合成した。
(合成例1:顔料(CG-1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3-ジイミノイソインドリン;29.2質量部をo-ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ-n-ブトキシド;20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150~160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250質量部中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
次いでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
(2)(2R,3R)-2,3-ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG-1)の合成
前述の無定型チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)-2,3-ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をo-ジクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60~70℃で6時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)-2,3-ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG-1:10.3質量部を得た。CG-1のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO-Ti-Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390~410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混晶と推定される。
得られたCG-1のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m/gであった。
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(下記化合物A) 225質量部
ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)
300質量部
酸化防止剤(BHT:ジ-tert-ブチルヒドロキシトルエン)
20質量部
THF(テトラヒドロフラン) 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF-96:信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。
Figure 0007200769000001
この塗布液を前記電荷発生層の上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、120℃70分乾燥し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
〈保護層〉
続いて下記のような方法で保護層を形成した。
表面処理金属酸化物粒子1(アルミナ粒子(個数平均1次粒径 30nm)を
S-15にて表面処理) 200質量部
重合性化合物(下記化合物 M1) 100質量部
電荷輸送物質(下記化合物 CTM-13) 15質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製)
8質量部
2-ブタノール 360質量部
THF(テトラヒドロフラン) 40質量部
上記、表面処理金属酸化物粒子1(酸化スズをS-15にて表面処理)、重合性化合物及び2-ブタノールの混合液を超音波分散機「US-600T」(日本精機製作所社製)にて分散し、分散液を作製後その他の材料と混合することで、保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、保護層を塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.5μmの保護層を形成し、その後80℃にて70分間乾燥して感光体1を作製した。
Figure 0007200769000002
なお、上記CTM-13は以下のようにして合成した。
(合成例2:CTM-13の合成)
窒素気流下、冷却器の付いた四頭フラスコに第一ヨウ化銅0.52g(2.7mmol)、1,10-フェナントロリン・一水和物1.08g(5.5mmol)、キシレン10mlを入れ、60℃で30分攪拌した。次に4-メチルジフェニルアミン5.00g(27.3mmol)、4-ヨード-4′-n-プロピルビフェニル9.01g(32.8mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド3.28g(34.1mmol)、キシレン20mlを加え、130℃で6時間還流した。放冷後、水100mlを加えて30分攪拌し、水層が中性になるまで有機層を水洗した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、トルエンを留去した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒:n-ヘプタン/トルエン=1/1)を用いて精製し、7.52g(収率73%)の化合物(CTM-13)を得た。
≪評価≫
得られた実施例のトナー1~22及び比較例のトナー23~30を用いて下記評価を実施した。
<体積平均粒径(Dv)、平均円形度、W(3)、W(6)、貯蔵弾性率G′及び角なし粒子の個数の測定>
体積平均粒径(Dv)、平均円形度、W(3)、W(6)、貯蔵弾性率G′及び角なし粒子の個数については、前述の測定方法を用いてそれぞれ測定した。
<トナーの耐熱保管性>
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT-2000」(セイシン企業社製)を用い、室温で600回振とうした後、蓋を開けた状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下において2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながら全量をのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmとなる振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩を通過したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(A)によりトナー篩通過率を算出した。得られた篩通過率に基づいてトナー粒子の耐熱保管性の評価を行った。篩通過率が80質量%以上であるものを合格と判断した。
式(A):篩通過率(%)=(篩上に計量したトナーの質量(g)-篩上の残存トナー質量(g))/篩上に計量したトナーの質量(g)×100
◎:トナー篩通過率が97質量%以上(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー篩通過率が90質量%以上、97質量%未満(トナーの耐熱保管性がより良好)
△:トナー篩通過率が80質量%以上、90質量%未満(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー篩通過率が80質量%未満(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
<低温定着性評価>
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)を、定着上ベルト及び定着下ローラーの表面温度を変更可能に改造したものを用い、A4(坪量80g/m)普通紙の上に、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を、ニップ幅11.2mm、定着時間34msec、定着圧力133kPa、定着温度100~200℃にて出力する試験を、定着温度を5℃刻みで変更しながら、繰り返し行った。定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されない最低の定着温度を最低定着温度とした。
◎:135℃未満であれば低温定着性に優れる優良なトナー
〇:135℃以上、145℃未満であれば実用上問題ないレベル
△:145℃以上、155℃未満であれば定着プロセスの制御により使用可能となるため許容可能
×:155℃以上のトナーでは目標とする通紙速度では十分定着しておらず、実用上問題
<クリーニング評価>
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)を用い、ハーフトーン画像を10万枚プリントした際の画像不良を画像解析ソフトを用いて行った。次の印字時には表れない軽微なクリーニング不良の発生率と給紙方向の全面に複数枚の記録紙に連続して発生した重大なクリーニング不良が発生するまでの印刷枚数を表IIに示す。軽微なクリーニング不良に基づく画像不良のうち、感光体へのフィルミングに起因して発生する雨だれの発生率を別に示した。
「雨だれ」は、トナー微粒子等がクリーニングブレードの下をすり抜ける際に、感光体ドラム表面に押し付けられ、感光体ドラム表面に強固に付着しやすくなり、強固に付着された箇所を核として、潜像を形成する露光が遮断され、結果として、画像中に白く抜けた部分が現れる、画像不良である。
重大なクリーニング不良が発生した場合には評価を終了したため、軽微なクリーニング不良の発生率は評価終了までの印刷枚数に基づいて計算した。
軽微なクリーニング不良の発生率は、以下の基準でランク付けした。
◎:0.3%未満
○:0.3%以上、0.7%未満
△:0.7%以上、1.0%未満
×:1.0%以上
評価△以上が実用上許容内である。
雨だれの発生率は、以下の基準でランク付けした。
◎:0.05%未満
○:0.05%以上、015%未満
△:0.15%以上、0.20%未満
×:0.20%以上
評価△以上が実用上許容内である。
<「ホタル」評価>
粗粉の周りの転写が不十分となり画像不良が発生するいわゆる「ホタル」は、1枚当たりの平均個数をカウントし、以下の基準でランク付けを行った。
(初期)
◎:5個未満
○:5個以上、15個未満
△:15個以上、20個未満
×:20個以上
評価△以上が実用上許容内である。
(10万枚耐久後)
◎:10個未満
○:10個以上、20個未満
△:20個以上、30個未満
×:30個以上
評価△以上が実用上許容内である。
<画質(粒状性GI値)>
高温高湿環境下(30℃、80%RH)に評価機を48時間放置した後に、印字率10%の帯状ベタ画像を形成する印刷を10万枚プリントした後、階調率32段階の階調パターンを出力し、この階調パターンの粒状性について、下記評価基準に従って評価した。粒状性の評価は、階調パターンのCCDによる読み取り値にMTF(Modulation Transfer Function)補正を考慮したフーリエ変換処理を施し、人間の比視感度にあわせたGI値(Graininess Index)を測定し、最大GI値を求めた。GI値は小さいほどよい。なお、このGI値は、日本画像学会誌39(2)、84・93(2000)に掲載されている値である。本評価においては、以下の基準でランク付けを行った。
◎:0.230未満
○:0.230以上、0.240未満
△:0.240以上、0.245未満
×:0.245以上
評価△以上が実用上許容内である。
以上のトナー構成及び評価結果を表I及び表IIに示す。
Figure 0007200769000003
Figure 0007200769000004
表IIの評価結果より、本発明の構成である実施例のトナー1~22は、トナーの耐熱保管性、低温定着性評価、クリーニング評価、「雨だれ」、「ホタル」評価、及び画質(粒状性GI値)において、比較例のトナー23~30に対して、総合的に優れる結果が得られた。
T トナー粒子
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6K、6b クリーニング手段
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
30 ブレード部材
31 支持部材
41Y 現像手段4Yが備える現像スリーブ
70 中間転写体ユニット
71、72、73、74 ローラー
77 無端ベルト状中間転写体
80、501 筐体
82L、82R 支持レール
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 転写材
211 感光体
217 露光の光
220 帯電ローラー
222 露光用光源
223 現像器
224 転写媒体
225 転写ローラー
227 クリーニングブレード
228 除電ランプ
300 電子写真画像形成装置

Claims (7)

  1. 少なくとも、潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を有し、かつ、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーを用いる電子写真画像形成方法であって、
    前記潜像形成工程で用いる静電荷像担持体として、表面層が硬化型表面層である静電荷像担持体を用い、
    前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、
    前記静電荷像現像用トナーの平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり
    前記静電荷像現像用トナーが下記式(1)と式(2)を同時に満たし、
    前記静電荷像現像用トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする電子写真画像形成方法
    式(1) W(6)≦100質量ppm
    式(2) 50質量ppm≦W(3)-W(6)≦300質量ppm
    (ここで、W(3)は前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。W(6)は前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。)
  2. 前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が、4.00~6.50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法
  3. 前記静電荷像現像用トナーの50℃における貯蔵弾性率G′(50)が、5.0×10~6.0×10Paの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成方法
  4. 前記静電荷像現像用トナーにおける角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
  5. 前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比Dv/Dnが、1.05~1.20の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
  6. 前記静電荷像現像用トナーを、静電荷像現像用現像剤の一成分として用い、
    当該静電荷像現像用現像剤が、前記静電荷像現像用トナーと、体積平均粒径が20~60μmの範囲内であるキャリア粒子とを含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法
  7. 少なくとも、潜像形成手段、現像手段、中間転写手段、転写手段、定着手段、及びクリーニング手段を有し、かつ、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含む着色粒子に、少なくとも無機微粒子を含む微粒子が外添されてなる静電荷像現像用トナーを用いる電子写真画像形成装置であって、
    前記潜像形成手段で用いる静電荷像担持体として、表面層が硬化型表面層である静電荷像担持体を用い、
    前記静電荷像現像用トナーの体積平均粒径(Dv)が3.00~8.00μmの範囲内であり、
    前記静電荷像現像用トナーの平均円形度が0.945~0.985の範囲内であり、
    前記静電荷像現像用トナーが下記式(1)と式(2)を同時に満たし、
    前記静電荷像現像用トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
    式(1) W(6)≦100質量ppm
    式(2) 50質量ppm≦W(3)-W(6)≦300質量ppm
    (ここで、W(3)は、前記Dvの3倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。W(6)は、前記Dvの6倍の目開きのメッシュの篩上の残存トナー質量の、篩にかけたトナー質量に対する割合[質量ppm]を表す。)
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