JP5245421B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
また、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)においても、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に伴って、低温定着性に優れたトナーが要求される一方で、耐オフセット性、及び保存性(耐ブロッキング性)という低温定着性とは相反する特性を持ったトナーが必要とされている。
また、ポリオレフィン等の離型剤にビニル系樹脂をグラフトした樹脂を分散剤として使用して、離型剤を適度に分散させる方法が提案されている(例えば特許文献2〜6参照)。しかし、これらの提案は、脂肪族系アルコールを用いたポリエステル樹脂に適した分散剤ではなく、離型性を改善できるものでは無かった。
<1> 少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、
前記結着樹脂が、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下であるポリエステル系樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満であるポリエステル系樹脂(B)と、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)とを少なくとも含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかが、実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させてなるポリエステル系樹脂であり、かつ該アルコール成分の65モル%以上が1,2−プロパンジオールであることを特徴とするトナーである。
<2> アルコール成分の90モル%以上が、脂肪族アルコールである前記<1>に記載のトナーである。
<3> ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのアルコール成分が、更にグリセリンを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分が、更に1,3−プロパンジオールを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのカルボン酸成分が、炭素数2〜4の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのカルボン酸成分が、精製ロジンを含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の質量比〔(A)/(B)〕が、10/90〜90/10である前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 軟化点Tm(A)とTm(B)との差〔Tm(A)−Tm(B)〕が、10℃以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> ポリオレフィン樹脂(C)の軟化点が、70℃〜170℃である前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> ポリオレフィン樹脂(C)が、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、及び1−オクタデセンから選択される少なくともいずれかをモノマー単位として含む前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> ポリオレフィン樹脂(C)の数平均分子量が500〜20,000であり、かつ重量平均分子量が800〜100,000である前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーである。
<12> ビニル系樹脂(D)のSP値が10.0〜12.6である前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーである。
<13> グラフト重合体(E)の添加量が、離型剤100質量部に対し、10質量部〜500質量部である前記<1>から<12>のいずれかに記載のトナーである。
<14> ビニル系樹脂(D)が、スチレン、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、及びメタクリル酸から選択される少なくとも1種をモノマー単位として含む前記<1>から<13>のいずれかに記載のトナーである。
<15> 離型剤が、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス及びパラフィンワックスの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<14>のいずれかに記載のトナーである。
<16> ポリエステル系樹脂(A)及び(B)と、グラフト重合体(E)との質量比〔(E)/((A)+(B))〕が、3/97〜20/80である前記<1>から<15>のいずれかに記載のトナーである。
<17> 結着樹脂に対する離型剤の質量比率〔(離型剤/結着樹脂)×100〕が、1質量%〜20質量%である前記<1>から<16>のいずれかに記載のトナーである。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<19> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
<20> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記トナーが、前記<1>から<17>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<21> 帯電手段が、静電潜像担持体と非接触で帯電させる帯電手段である前記<20>に記載の画像形成装置である。
<22> 帯電手段が、静電潜像担持体と接触して帯電させる帯電手段である前記<20>に記載の画像形成装置である。
<23> 現像手段が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有している前記<20>から<22>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<24> 現像手段が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を有する前記<20>から<23>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<25> 転写手段が、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に転写する転写手段である前記<20>から<24>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<26> 少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列してなり、
前記転写手段は前記複数の画像形成要素の各静電潜像担持体との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体に、順次、前記各静電潜像担持体上に形成された可視像を転写する転写手段である前記<20>から<25>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<27> 転写手段が、静電潜像担持体上に形成された可視像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有する前記<20>から<24>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<28> クリーニング手段を有し、かつ該クリーニング手段が、静電潜像担持体表面と当接するクリーニングブレードを有する前記<20>から<27>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<29> 現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収する前記<20>から<27>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<30> 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である前記<20>から<29>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<31> 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である前記<20>から<29>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<32> 定着手段が、未定着画像が形成された記録媒体を、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されると共にこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されると共に、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する定着手段において、前記トナー加熱媒体と前記加圧ローラの間を通過させて前記未定着画像を加熱定着する前記<20>から<29>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<33> 静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記トナーが、前記<1>から<17>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
<34> 帯電工程が、静電潜像担持体と非接触で帯電させる帯電手段を用いて行われる前記<33>に記載の画像形成方法である。
<35> 帯電工程が、静電潜像担持体と接触して帯電させる帯電手段を用いて行われる前記<33>に記載の画像形成方法である。
<36> 現像工程が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転する現像剤担持体を用いる前記<33>から<35>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<37> 現像工程が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を用いる前記<33>から<35>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<38> 転写工程が、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に転写する転写工程である前記<33>から<37>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<39> 少なくとも静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列してなり、
前記転写手段は、前記複数の画像形成要素の各静電潜像担持体との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体に、順次、各静電潜像担持体上に形成された可視像を転写する転写手段である前記<33>から<38>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<40> 転写工程が、静電潜像担持体上に形成された可視像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを用いる前記<33>から<37>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<41> クリーニング工程を含み、かつ該クリーニング工程は、静電潜像担持体表面と当接するクリーニングブレードを用いる前記<33>から<40>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<42> 現像工程が、静電潜像担持体上に当接される現像剤担持体を有し、静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収する前記<33>から<40>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<43> 定着工程がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面側から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着工程である前記<33>から<42>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<44> 定着工程がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面側から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着工程である前記<33>から<42>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<45> 定着工程が、未定着画像が形成された記録媒体を、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、前記加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと前記定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されると共にこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体と、前記トナー加熱媒体を介して前記定着ローラに圧接されると共に、前記トナー加熱媒体に対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する定着手段を用いて、前記トナー加熱媒体と前記加圧ローラの間を通過させて前記未定着画像を加熱定着する前記<33>から<42>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<46> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記トナーが、前記<1>から<17>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジである。
前記結着樹脂が、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下であるポリエステル系樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満であるポリエステル系樹脂(B)と、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)とを少なくとも含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかが、実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させてなるポリエステル系樹脂であり、かつ該アルコール成分の65モル%以上が1,2−プロパンジオールである。
本発明のトナーにおいては、高軟化点のポリエステル系樹脂(A)が耐オフセット性の向上に、低軟化点のポリエステル系樹脂(B)が低温定着性の向上にそれぞれ寄与し、これらを併用することにより、低温定着性と耐オフセット性との両立に有効である。炭素数3の分岐鎖型のアルコールである1,2−プロパンジオールは、炭素数2以下のアルコールと対比して耐オフセット性を維持したまま低温定着性を向上させるのに有効であり、極めて低い温度での定着が可能となり、保存性が向上する。また、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)を含む組成物は、本発明のポリエステル系樹脂(A)及び(B)のブレンド体に極めて良好に分散される。更に、一般的に用いられる離型剤との相溶性に優れるポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)を加えることで、このグラフト重合体が離型剤とトナーバインダーの間に入ることで、離型剤をトナー表面に露出するのを妨げるという効果と、定着装置を通過する際に速やかに離型効果を発揮するために安定してトナー粒子表面近傍に適度な分散径で分散できるトナーを得る効果を有する。そして、これらが相乗的に作用することにより、低温定着性、耐オフセット性、保存性、機械的強度、現像器に対する汚染性、静電潜像担持体及びキャリアへのフィルミング性、並びに粉砕性に優れ、かつ高画質画像が形成可能となる。
本発明の画像形成装置においては、前記帯電手段が、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光手段が前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写手段が、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして本発明の前記トナーを用いているので、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができる。
本発明の画像形成方法においては、前記帯電工程において、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光工程において、前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像工程において、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写工程において、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして本発明の前記トナーを用いているので、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができる。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有してなり、外添剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記結着樹脂は、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下のポリエステル系樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満のポリエステル系樹脂(B)と、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)とを少なくとも含有してなる。
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
前記ポリエステル系樹脂(A)は、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下であり、130℃〜155℃が好ましく、135℃〜155℃がより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(B)は、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満であり、85℃〜115℃が好ましく、90℃〜110℃がより好ましい。
前記Tm(A)とTm(B)との差〔ΔTm;Tm(A)−Tm(B)〕は、10℃以上が好ましく、15℃〜55℃がより好ましく、20℃〜50℃が更に好ましい。
また、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性を兼ね備えるため、前記ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)と質量比〔(A)/(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30が更に好ましい。
このような特性を備えた前記高軟化点のポリエステル系樹脂(A)は耐オフセット性の向上に、前記低軟化点のポリエステル系樹脂(B)は低温定着性の向上にそれぞれ寄与し、前記ポリエステル系樹脂(A)と、前記ポリエステル系樹脂(B)との併用は、低温定着性と耐オフセット性との両立に有効である。
前記アルコール成分に用いられる炭素数3の分岐鎖型のアルコールである1,2−プロパンジオールは、炭素数2以下のアルコールと対比して耐オフセット性を維持したまま低温定着性を向上させるのに有効であり、炭素数4以上の分岐鎖型アルコールと対比してガラス転移温度の低下に伴う保存性の低下防止に有効であり、極めて低い温度での定着が可能となり、保存性が向上するという驚くべき効果が奏される。また、1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含有するポリエステル系樹脂は、離型剤との相溶性に優れ、微分散しやすい。特に1,2−プロパンジオールの含有量が、アルコール成分中、65モル%以上であるときは、優れた低温定着性と耐オフセット性を発揮する。
前記2価のアルコール成分の含有量は、アルコール成分中60モル%〜95モル%が好ましく、65モル%〜90モル%がより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分には、耐オフセット性の観点から、1,3−プロパンジオールが含有されていることが好ましい。前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分における1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)は、99/1〜65/35が好ましく、95/5〜70/30がより好ましく、90/10〜75/25が更に好ましく、85/15〜77/23が特に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族アルコールが含有されていてもよいが、前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのアルコール成分は、実質的に脂肪族アルコールのみからなるものであり、好ましくはポリエステル系樹脂(A)及び(B)の両アルコール成分が、実質的に脂肪族アルコールのみからなるものである。
ここで、本願明細書において、「実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分」とは、脂肪族アルコールの含有量が、アルコール成分中90モル%以上であることを意味し、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上が更に好ましく、特に99モル%以上であるものを意味する。
前記カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数2〜4の脂肪族ジカルボン酸化合物が含有されていることが好ましい。前記炭素数2〜4の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えばアジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はこれらの酸の無水物などが挙げられる。これらの中でも、低温定着性の向上に有効である点からコハク酸、フマル酸、シトラコン酸、及びイタコン酸から選択される少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、イタコン酸が特に好ましい。
前記ロジンとは、松類から得られる天然樹脂であり、その主成分は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸、又はこれらの混合物である。
また、不均化ロジン、水素化ロジン等の変性ロジンであってもよいが、本発明においては、低温定着性及び保存性の観点から、変性をしていない、いわゆる生ロジンを使用することが好ましい。
前記精製ロジンは、精製工程により不純物が除去されたロジンである。主な不純物としては、例えば2−メチルプロパン、アセトアルデヒド、3−メチル−2−ブタノン、2−メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、n−ヘキサナール、オクタン、ヘキサン酸、ベンズアルデヒド、2−ペンチルフラン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、1−メチル−2−(1−メチルエチル)ベンゼン、3,5−ジメチル2−シクロヘキセン、4−(1−メチルエチル)ベンズアルデヒドなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、2−メチルプロパン、ペンタン酸及びベンズアルデヒドの3種類の不純物の、ヘッドスペースGC−MS法により揮発成分として検出されるピーク強度を精製ロジンの指標として用いることができる。なお、不純物の絶対量ではなく揮発成分を指標とするのは、本発明における精製ロジンの使用が、ロジンを使用した従来のポリエステル樹脂に対して、臭気を改良の課題の1つとしていることによる。
前記精製ロジンの含有量は、前記カルボン酸成分中、2モル%〜50モル%が好ましく、5モル%〜40モル%がより好ましく、10モル%〜30モル%が更に好ましい。
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。前記エステル化触媒としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。これらの中でも、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が特に好ましい。
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C3H7O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4H10O2N)2(C3H7O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C5H11O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C2H5O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(OHC8H16O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C18H37O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)1(C3H7O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6H14O3N)3(C3H7O)1〕などが挙げられる。これらの中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが特に好ましく、これらは、例えばマツモト交商株式会社製の市販品としても入手可能である。
前記チタン化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、例えばシュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)などが挙げられる。
前記Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、例えば塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)などが挙げられ、これらの中でも、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ただし、R1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ただし、R2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、SnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)、酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、酸化錫(II)が更に好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180℃〜250℃の温度で行うことができる。ポリエステル系樹脂の軟化点は反応時間により調整することができる。
本発明で用いられるグラフト重合体(E)は、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)でグラフトされた構造を有する。
本発明のトナーにおいて、離型剤は、その少なくとも一部がグラフト重合体(E)中に内包されている。この場合の内包とは、「グラフト重合体(E)のポリオレフィン樹脂(C)部位と離型剤の相溶性が良好なため、選択的にグラフト重合体(E)のポリオレフィン樹脂(C)部位に離型剤が取り込まれること又は付着していること」を意味する。
また、グラフト重合体(E)は、その樹脂中での分散径が大きいほど、離型剤を取り込み易く又は付着し易くトナー表面から離型剤を容易にしみ出し易く又は離脱し易くする。しかし、樹脂中のグラフト重合体(E)の分散径が余りにも大きくなると、それに内包されている離型剤の分散径も大きくなる傾向を示す。
樹脂中のグラフト重合体(E)の分散径は、その長軸の長さで、0.1μm〜2.5μmが好ましく、0.3μm〜2.0μmがより好ましく、0.3μm〜1.5μmが更に好ましい。前記長軸径が2.5μmを超えるグラフト重合体(E)粒子は、樹脂中に実質的に含まれないのが好ましい。それが樹脂中に含まれても、その長軸径が2.5μmより大きいグラフト重合体(E)粒子の割合は、個数%で、1%以下、好ましくはゼロ%にするのがよい。より好ましくは、長軸径2.5μmを超えるグラフト重合体(E)粒子の割合は、個数%で、1%以下、より好ましくはゼロ%にするのがよい。
前記ポリオレフィン系樹脂(C)としては、オレフィン類の重合体、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物、オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物などが挙げられる。
オレフィン類の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
オレフィン類の重合体の酸化物としては、前記オレフィン類の重合体の酸化物などが挙げられる。
オレフィン類の重合体の変性物としては、前記オレフィン類の重合体のマレイン酸誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル等)付加物などが挙げられる。
オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物としては、不飽和カルボン酸[アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等]、不飽和カルボン酸アルキルエステル[アクリル酸アルキル(炭素数1〜18)エステル、メタクリル酸アルキル(炭素数1〜18)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜18)エステル等]等の単量体とオレフィン類との共重合体などが挙げられる。
キャリア等へのフィルミング及び離型性の観点から、前記ポリオレフィン樹脂の数平均分子量は500〜20,000が好ましく、1,000〜15,000がより好ましく、1,500〜10,000が更に好ましい。また、前記ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は800〜100,000が好ましく、1,500〜60,000がより好ましく、2,000〜30,000が更に好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂(C)の針入度は、5.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、1.0以下が更に好ましい。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、ハロゲン元素含有ビニル系モノマー、ジエン系モノマー(ブタジエン、イソブチレン等)、(メタ)アクリロニトリル;シアノスチレン等の不飽和ニトリル系モノマー、又はこれらの併用が挙げられ、スチレン、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、が特に好ましい。
前記ビニル系樹脂(D)のSP値(ソルビリティー パラメーター)としては、10.0〜12.6が好ましく、10.4〜12.6がより好ましく、10.6〜12.6(cal/cm3)1/2が更に好ましい。該SP値の範囲において、バインダー樹脂と離型剤のSP値差が最適な領域で分散が良好となるからである。なお、前記SP値は、例えば公知のFedors法で算出することができる。
前記(1−1)としては、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは(メタ)アクリロニトリルである。(1−2)としては、不飽和カルボン酸類又はその無水物[アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はその無水物等]、不飽和ジカルボン酸モノエステル類[マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル等]などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和ジカルボン酸モノエステル類が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸モノエステル[マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル]が特に好ましい。
前記ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃〜90℃が好ましく、45℃〜80℃がより好ましく、50℃〜70℃が更に好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、40℃以上で保存性が良好となり、90℃以下であると、低温定着性が良好になる。
(C):酸化型ポリプロピレン
(D):スチレン/アクリロニトリル共重合体
(C):ポリエチレン/ポリプロピレン混合物
(D):スチレン/アクリロニトリル共重合体
(C):エチレン/プロピレン共重合体
(D):スチレン/アクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体
(C):ポリプロピレン
(D):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸ブチル/マレイン酸モノブチル共重合体
(C):マレイン酸変性ポリプロピレン
(D):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体
(C):マレイン酸変性ポリプロピレン
(D):スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体
(C):ポリエチレン/マレイン酸変性ポリプロピレン混合物
(D):アクリロニトリル/アクリル酸ブチル/スチレン/マレイン酸モノブチル共重合体
前記グラフト重合反応で用いるパーオキサイド系開始剤の量は、反応原料の質量に基づいて0.2質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。
前記反応によって得られるグラフト重合体(E)には、未反応のポリオレフィン系樹脂(C)及びビニルモノマー同士の重合により生成したビニル系樹脂(D)が混入していても構わない。本発明においては、これらのポリオレフィン系樹脂(C)及びビニル系樹脂(D)は、グラフト重合体(E)から分離除去する必要はなく、該グラフト重合体(E)は、これらの成分を含む混合樹脂として好ましく用いることができる。
前記グラフト重合体(E)(未反応のポリオレフィン系樹脂(C)及びビニル系樹脂(D)を含めて)の含有量は、前記離型剤100質量部に対して、10質量部〜500質量部が好ましく、25質量部〜250質量部がより好ましい。該含有量範囲において、離型効果及びフィルミングに良好な離型剤を分散させる効果が充分に得られるからである。
また、トナー中に含まれる離型剤のうち、80質量%以上、好ましくは90質量%以上がグラフト重合体(E)中に含有されることが好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)と前記グラフト重合体(E)の質量比〔(E)/((A)+(B))〕は、3/97〜20/80が好ましく、5/95〜15/85がより好ましく、8/92〜13/87が更に好ましい。該質量比範囲において、離型剤を最適に分散させることができ、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐熱保存性を兼ね備えることができる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるがワックスが好ましい。該ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。これらの中でも、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス、パラフィンワックスが特に好ましい。
更に、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
また、これらの離型剤を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
特に粉砕法で製造されるトナーの場合、結着樹脂と離型剤の界面で粉砕されやすいため、トナーの表面に離型剤が露出し、感光体やキャリアへのフィルミングを発生させる等の問題があるが、本発明における結着樹脂は、離型剤の分散性が極めて良好であり、結着樹脂と離型剤の相溶作用により、離型剤がトナーから離脱しにくい。このため、従来のトナーと較べて、フィルミングの発生が極めて少ない。本発明に用いる結着樹脂に対しては、前記離型剤の中でも、カルナウバワックス、パラフィンワックスが良好な分散性を示すので更に好ましい。前記カルナウバワックスの中でも、遊離脂肪酸を脱離したものが特に好ましい。
また、2種以上の異なる種類の離型剤を併用することにより、離型剤の作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。可塑化作用を有する離型剤の種類としては、例えば、融点の低い離型剤、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。離型作用を有する離型剤としては、融点の高い離型剤が挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なる離型剤の融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種の離型剤を選択する際には、同様構造の離型剤の場合は、相対的に、融点の低い離型剤が可塑化作用を発揮し、融点の高い離型剤が離型作用を発揮する。この時、融点の差が10℃〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方の離型剤の融点が60℃〜120℃が好ましく、70℃〜110℃がより好ましい。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、60℃〜120℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70℃〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。本発明においては、DSCにおいて測定される離型剤(ワックス)の吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
ここで、前記離型剤又はトナーのDSC測定機器として示差走査熱量計(島津製作所製、TA−60WS、及びDSC−60)を用い、測定されるDSC曲線から求めた。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行った。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させて前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いた。
前記結着樹脂に対する前記離型剤の質量比率〔(離型剤/結着樹脂)×100〕は、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましい。該質量比率の範囲において、トナー中における離型剤の分散性が良好となり、極めて優れた定着離型性を発揮することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
本発明において、トナーの帯電量を制御するための帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
前記疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知のトナーの製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、混練・粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法等が挙げられる。これらの中でも、離型剤及び着色剤の分散性、生産性の観点から、混練・粉砕法が特に好ましい。
前記混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
前記重合法によるトナーの製造方法としては、例えば、有機溶媒中に少なくともウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂、着色剤、及び離型剤を含むトナー材料溶解乃至分散させる。そして、この溶解乃至分散物を水系媒体中に分散し、重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去し、洗浄して得られる。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えばエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えばアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えばアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)の中でも、B1及びB1と少量のB2の混合物が特に好ましい。
ここで、前記トナーの重量平均粒径は、例えば、以下のようにして測定することができる。
・測定機:コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)
・アパーチャー径:100μm
・解析ソフト:ベックマン コールター マルチサイザー 3 バージョン3.51(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンIII(ベックマンコールター社製)
・分散液:10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)
・分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させる。その後、電解液25mLを添加し、更に超音波分散機にて1分間分散させる。
・測定条件:ビーカーに電解液100mLと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定して、得られた分布から重量平均粒径を求めることができる。
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像剤担持体としての現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記二成分現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1質量部〜10.0質量部が好ましい。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、クリーニング手段、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含んでなり、クリーニング工程、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。なお、帯電工程と、露光工程とを合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
前記単層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記積層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記帯電工程は、静電潜像担持体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記磁気ブラシは、例えばZn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を支持する非磁性の導電スリーブと、該スリーブに内包されるマグネットロールとから構成される。前記ファーブラシは、例えばカーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物等により導電処理されたファーを金属又は導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりして形成される。
前記抵抗調整層313は、少なくとも熱可塑性樹脂及び高分子型イオン導電剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を、芯金312の周面に押出成形又は射出成形することにより形成される。
前記抵抗調整層313の体積固有抵抗値は、106〜109Ω・cmが好ましい。前記体積固有抵抗値が109Ω・cmを超えると、帯電量が不足し、感光体ドラムがムラのない画像を得るために十分な帯電電位を得ることができなくなることがあり、体積固有抵抗値が106Ω・cm未満であると、感光体ドラム全体へのリークが生じるおそれがある。
また、前記高分子型イオン導電剤として、4級アンモニウム塩基含有高分子化合物を用いることもできる。該4級アンモニウム塩基含有高分子化合物としては、例えば4級アンモニウム塩基含有ポリオレフィン等が挙げられる。前記抵抗調整層312の抵抗値を上記のような値にするため、その配合量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して10〜40質量部が好ましい。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えばコロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は静電潜像担持体表面から1.0〜2.0mm離れた位置に設けられている。
前記帯電手段としては、非接触方式のコロナ帯電器311が設けられ、感光体ドラム321表面はコロナ帯電器311によって一様に帯電される。
図4では、微小ギャップHの維持方法として、帯電ローラ310の両端部にフィルム302を巻きつけてスペーサ部材としている。このスペーサ302は、静電潜像担持体の感光面に接触させ、帯電ローラと静電潜像担持体の画像領域にある一定の微小ギャップHが得られるようになっている。また、印加バイアスは、AC重畳タイプの電圧を印加して、帯電ローラと静電潜像担持体との微小ギャップHに生じる放電により、静電潜像担持体を帯電させる。なお、図4に示すように、帯電ローラの軸311をスプリング303で加圧することで、微小ギャップHの維持精度が向上する。
また、前記スペーサ部材としては、熱収縮チューブを用いてもよい。このような熱収縮チューブとしては、例えば105℃用のスミチューブ(商品名:F105℃、住友化学株式会社製)などが挙げられる。
前記露光工程は、帯電された静電潜像担持体表面を露光する工程であり、前記露光手段により行われる。
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とディジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接静電潜像担持体上に投影する光学系であり、前記ディジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して静電潜像担持体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像手段に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記一成分現像手段としては、例えばトナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材とを有する一成分現像装置が好適に用いられる。
前記ゴム材料としては、例えばシリコーンゴム、ブタジエンゴム、NBRゴム、ヒドリンゴム、EPDMゴムなどが挙げられる。また、現像ローラ402の表面に、特に経時品質を安定化させるためにコート層を被覆することが好ましい。前記コート層の材料としては、例えばシリコーン系材料、テフロン(登録商標)系材料などが挙げられる。前記シリコーン系材料はトナー帯電性に優れ、前記テフロン(登録商標)系材料は離型性に優れている。なお、導電性を得るために適宜カーボンブラック等の導電性材料を含有させることもできる。前記コ−ト層の厚みは5〜50μmが好ましい。この範囲を外れると、割れ易い等の不具合が発生しやすくなることがある。
前記規制ブレードの材料としては、SUS304等の金属が好ましく、厚みは0.1〜0.15mmである。前記金属以外にも厚み1〜2mmのポリウレタンゴム等のゴム材料やシリコーン樹脂等の比較的硬度の高い樹脂材料が使用可能である。なお、金属以外でもカ−ボンンブラック等を混ぜ込むことにより低抵抗化できるので、バイアス電源を接続して現像ローラ402との間に電界を形成することも可能である。
前記規制ブレード413の当接圧は0.049〜2.45N/cmの範囲が好ましい。前記当接圧が2.45N/cmを超えると、現像ローラ402上のトナー付着量が減少し、かつトナー帯電量が増加し過ぎるので、現像量が減少して画像濃度が低くなることがあり、0.049N/cm未満であると、薄層が均一に形成されずにトナーの固まりが規制ブレードを通過することがあり、画像品質が著しく低下することがある。本実施形態にでは、現像ローラ402のJIS−A硬度が30゜のものを、規制ブレード413は厚み0.1mmのSUS板を使用し、その当接圧は60gf/cmに設定した。このとき、目標の現像ローラ上のトナー付着量を得ることができた。
前記二成分現像手段としては、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する二成分現像装置が好適である。
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.5〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であり、転写手段を用いて行われる。前記転写手段としては。静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、又は中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別される。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト、転写ローラなどが好適に挙げられる。
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。前記中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上103Ωcm以下であることが好ましい。このように中間転写体の体積抵抗を数Ωcm以上103Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にすることができる。
(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、例えばPC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)とPAT(ポリアルキレンテレフタレート)とのブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、PCとPATとのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にリブズレが生じにくいという利点を有している。
(2)上記(1)のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を形成した2〜3層構成のベルトであり、このような2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因して発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。
(3)樹脂、ゴム又はエラストマーを用いたヤング率の比較的低い弾性ベルトであり、このような弾性ベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じないという利点を有している。また、弾性ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止できるので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
これらの中でも、前記(3)の弾性ベルトが特に好ましい。
前記弾性ベルトは、転写部においてトナー層、平滑性の悪い記録媒体に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、トナー層に対して過度に転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けが無く、平面性の悪い記録媒体に対しても均一性の優れた転写画像が得られる。
前記弾性ベルトに用いるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記伸びを防止する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、綿、絹等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられ、これら材料を織布状又は糸状としたものが好適に用いられる。
前記被覆層の厚みは、該被覆層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂が発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなって画像の伸びや縮みが大きくなることから厚すぎる(約1mm以上)ことは好ましくない。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着画像を転写可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記タンデム型画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列したものである。このタンデム型画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つの画像形成要素を搭載し、各々の可視像を4つの画像形成要素で並列に作成し、記録媒体又は中間転写体上で重ね合わせることから、より高速にフルカラー画像を形成できる。
また、前記(1)の直接転写方式では、記録媒体の搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成部Tに接近して配置することとなる。そのため、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、記録媒体Sの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚い記録媒体で顕著となる)や、定着装置7を通過するときの記録媒体の搬送速度と、転写搬送ベルトによる記録媒体の搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるので、定着装置7はほとんど画像形成に影響を及ぼさない。
以上のようなことから、最近では、特に間接転写方式のものが注目されている。このようなカラー画像形成装置では、図8に示すように、一次転写後に静電潜像担持体1上に残留する転写残トナーを、クリーニング手段としてのクリーニング装置8で除去して静電潜像担持体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、二次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。
前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着部材としては、例えば、公知の加熱加圧手段(加熱手段と加圧手段との組合せ)が挙げられる。前記加熱加圧手段としては、前記無端状ベルトと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せが挙げられ、前記ローラと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、などが挙げられる。
また、前記定着工程は、各色のトナーに対し、前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記ニップ部の面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5N/cm2以上が好ましく、7〜100N/cm2がより好ましく、10〜60N/cm2が更に好ましい。該ニップ部の面圧が高すぎると、ローラの耐久性が低下する場合がある。一方、前記ニップ部の面圧が5N/cm2未満であると、オフセット防止性が不充分となることがある。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものが挙げられる。このような加熱手段としては、例えばヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好適である。
前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。
前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
図9は、内部加熱方式の定着手段の一例を示すベルト式定着装置である。この図9のベルト式定着装置510は、加熱ローラ511と、定着ローラ512と、定着ベルト513と、加圧ローラ514とを備えている。
定着ベルト513は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ511と定着ローラ512とによって張架され、加熱ローラ511により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ511は、内部には加熱源515が内蔵されており、加熱ローラ511の近傍に取り付けられた温度センサ517により温度調節可能に設計されている。定着ローラ512は、定着ベルト513の内側に、かつ定着ベルト513の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ514は、定着ベルト513の外側に、かつ定着ベルト513の外面に、定着ローラ512を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。また、定着ベルト513の表面硬度は、加圧ローラ514の表面硬度よりも低く、定着ローラ512及び加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ512側に位置する。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ512及び加圧ローラ514間を通過し、定着ベルト513から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ514側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト513への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト513はクリーニングローラ516で清浄化される。
加熱ローラ520は、中空の金属シリンダー521を有し、その表面がオフセット防止層522で被覆されて形成されており、内部に加熱ランプ523が配設されている。また、加圧ローラ530は、金属シリンダー531を有し、その表面がオフセット防止層532で被覆されて形成されている。なお、加圧ローラ530は、金属シリンダー531が中空形状を有し、その内部に加熱ランプ533が配設されていてもよい。
加熱ローラ520と加圧ローラ530とは、バネ(不図示)により付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。また、加熱ローラ520におけるオフセット防止層522の表面硬度は、加圧ローラ530におけるオフセット防止層532の表面硬度よりも低く、加熱ローラ520及び加圧ローラ530間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、加熱ローラ520側に位置する。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、加熱ローラ520及び加圧ローラ530間を通過し、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ530側に向けて排出され、記録媒体Sの加圧ローラ530への巻き付きが防止される。なお、加熱ローラ520は、クリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
図11は、外部加熱方式の定着手段の一例を示す電磁誘導加熱式定着装置570である。この電磁誘導加熱式定着装置570は、加熱ローラ566と、定着ローラ580と、定着ベルト567と、加圧ローラ590と、電磁誘導加熱手段560とを備えている。
定着ベルト567は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ566と定着ローラ580とによって張架され、加熱ローラ566により所定の温度に加熱されている。
加熱ローラ566は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材を有し、例えば、外径が20〜40mm、肉厚が0.3〜1.0mmに設けられ、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
定着ローラ580は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金581を有し、その表面が耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状又は発泡状にした弾性層582で被覆されて形成されており、定着ベルト567の内側に、かつ定着ベルト567の内面に当接しながら回転可能に配置されている。定着ローラ580は、加圧ローラ590からの押圧力により、加圧ローラ590と定着ローラ580との間に所定幅のニップ部Nを形成するために、外径を20〜40mm程度に設け、加熱ローラ566よりも大きくしている。弾性層582は、その肉厚を4〜6mm程度とし、加熱ローラ566の熱容量が定着ローラ580の熱容量よりも小さくなるように形成され、加熱ローラ566のウォームアップ時間の短縮化を図っている。
加圧ローラ590は、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金591を有し、その表面を耐熱性及びトナー離型性の高い弾性層592で被覆されて形成されており、定着ベルト567の外側に、かつ定着ベルト567の外面に、定着ローラ580を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。なお、芯金591には上記金属以外にSUSを使用してもよい。
電磁誘導加熱手段560は、加熱ローラ566の近傍であって、加熱ローラ566の軸方向にわたって配設されている。電磁誘導加熱手段560は、磁界発生手段である励磁コイル561と、この励磁コイル561が巻き回されたコイルガイド板562とを有している。コイルガイド板562は加熱ローラ566の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル561は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板562に沿って加熱ローラ566の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル561は、発振回路が周波数可変の駆動電源(不図示)に接続されている。励磁コイル561の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア563が、励磁コイルコア支持部材564に固定されて励磁コイル561に近接配置されている。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ580及び加圧ローラ590間を通過し、定着ベルト567から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ590側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト567への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト567がクリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
定着ローラ520は、芯金521を有し、その表面は断熱弾性層522、発熱層523、及び離型層524がこの順に被覆されて形成されている。また、加圧ローラ530は、芯金531を有し、その表面は断熱弾性層532、発熱層533、及び離型層534がこの順に被覆されて形成されている。なお、離型層524及び離型層534は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)で形成されている。
定着ローラ520と加圧ローラ530とは、バネ(不図示)により付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。
電磁誘導加熱源540は、定着ローラ520及び加圧ローラ530の近傍にそれぞれ配設され、発熱層523及び発熱層533を電磁誘導により加熱する。
図12に示す定着装置においては、電磁誘導加熱源540により、定着ローラ520及び加圧ローラ530が均一かつ効率よく予熱される。また、ローラとローラとの組合せであるため、ニップ部Nの高面圧化を容易に実現することができる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
また、前記現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収することによって、クリーニング手段を設けることなくクリーニングを行うことができる(クリーニングレス方式)。
前記クリーニングブレードに用いられるゴムブレードの材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、等が挙げられ、これらの中でも、ウレタンゴムが特に好ましい。
図14は、現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図14において、1は静電潜像担持体としての感光体ドラム、620は接触帯電手段としてのブラシ帯電装置、603は露光手段としての露光装置、604は現像手段としての現像装置、640は給紙カセット、650はローラ転写手段、Pは記録媒体を示す。
ここで、現像手段604がクリーニング手段を兼ねるとは、転写後に感光体ドラム1上に若干残留したトナーを現像バイアス(現像剤担持体631に印加する直流電圧と感光体ドラム1の表面電位間の電位差)によって回収する方法を意味する。
このような現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス方式の画像形成装置では、転写残トナーは現像装置604に回収され、次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスフリーとなり、かつクリーナーレスシステムになるため、スペース面での利点も際だって大きく、画像形成装置を大幅に小型化することが可能となる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図15を参照しながら説明する。図15に示す画像形成装置100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレード60と、除電手段としての除電ランプ70とを備えている。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図17を参照しながら説明する。図17に示すタンデム型画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム型カラー画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
なお、二次転写手段22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
本発明で用いられるトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記トナーとして、本発明の前記トナーを用いる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
次に、図19に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
下記実施例及び比較例において、「樹脂の軟化点」、「ロジンの軟化点」、「樹脂及びロジンのガラス転移温度(Tg)」、「樹脂及びロジンの酸価」、「トナーの重量平均粒径」は、以下のようにして測定を行った。
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(1)試料の調製
ロジン10gを、170℃にて2時間ホットプレートで溶融した。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK−61M)で10秒間粉砕し、試料を調製した。
(2)測定
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.01g〜0.02gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
JIS K0070に記載の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
トナーの重量平均粒径(D4)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Multisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜた。次いで、イオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2質量%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2質量%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とした。
トナーの重量を測定後、重量分布を算出した。得られた重量分布から、トナーの重量平均粒径(D4)を求めた。
−ロジンの精製−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した2,000mL容の蒸留フラスコ内に1,000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195℃〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとした。
各ロジン20gをコーヒーミル(National MK−61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20mL)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサンプリングして、精製ロジン中の不純物を、以下のようにして、ヘッドスペースGC−MS法により分析した。結果を表1に示す。
A.ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
・サンプル温度 :200℃
・ループ温度 :200℃
・トランスファーライン温度:200℃
・サンプル加熱平衡時間 :30min
・バイアル加圧ガス :ヘリウム(He)
・バイアル加圧時間 :0.3min
・ループ充填時間 :0.03min
・ループ平衡時間 :0.3min
・注入時間 :1min
・分析カラム :DB−1(60m−320μm−5μm)
・キャリア :ヘリウム(He)
・流量条件 :1mL/min
・注入口温度 :210℃
・カラムヘッド圧 :34.2kPa
・注入モード :split
・スプリット比 :10:1
・オーブン温度条件:45℃(3min)−10℃/min−280℃(15min)
・イオン化法 :EI(電子イオン化)法
・インターフェイス温度:280℃
・イオン源温度 :230℃
・四重極温度 :150℃
・検出モード :Scan 29〜350m/s
−ポリエステル樹脂の合成1−
表2及び表3に示す樹脂H1〜H3、H5、及びH8のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、精留塔、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、210℃まで3時間かけて昇温を行い、常圧(101.3kPa)下、10時間反応させた後に、210℃、20kPaにて所望の軟化点まで反応を行ってポリエステル樹脂(樹脂H1〜H3、H5、及びH8)を合成した。
−ポリエステル樹脂の合成2−
表2、表3、及び表4に示す樹脂H4、H6、H7、及びL4のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、精製ロジンを投入し、200℃で15時間反応を行った。180℃まで冷却した後、イタコン酸を投入し、200℃で8時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂H4、H6、H7、及びL4)を合成した。
−ポリエステル樹脂の合成3−
表3、及び表4に示す樹脂H9、H10、L1、L6、L7、及びL8のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、精留塔、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、20kPaにて所望の軟化点まで反応を行ってポリエステル樹脂(樹脂H9、H10、L1、L6、L7、及びL8)を合成した。
−ポリエステル樹脂の合成4−
表4に示す樹脂L2のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、精留塔、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、イタコン酸を投入し、200℃で8時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂L2)を合成した。
−ポリエステル樹脂の合成5−
表4に示す樹脂L3のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、精製ロジンを投入し、200℃で15時間反応を行った。180℃まで冷却した後、イタコン酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂L3)を合成した。
−ポリエステル樹脂の合成6−
表4に示す樹脂L5のアルコール成分、テレフタル酸、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、精製ロジンを投入し、210℃まで3時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂L5)を合成した。
*エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して0.5質量部である。
*エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して0.5質量部である。
*エステル化触媒の使用量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して0.5質量部である。
−ポリエステル樹脂の合成7−
テレフタル酸9mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド7mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド3mol、及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド48molを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、20kPaにて1時間反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂L9)を合成した。
得られた樹脂L9の軟化点は100.3℃、ガラス転移温度は60.5℃、酸価は11.2mgKOH/gであった。
−ポリエステル樹脂の合成8−
フマル酸9mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド6mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド4mol、及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド63molを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸6molを投入し、210℃まで3時間かけて昇温を行い、常圧(101.3kPa)下、10時間反応させた後、210℃、20kPaにて所望の軟化点まで反応を行ってポリエステル樹脂(樹脂H11)を合成した。
得られた樹脂H11の軟化点は146.0℃、ガラス転移温度は62.1℃、酸価は28.0mgKOH/gであった。
−グラフト重合体の合成1−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、キシレン450質量部、ワックスとしての低分子量ポリエチレン(三洋化成工業株式会社製、サンワックスLEL−400、軟化点128℃)150質量部を入れ、充分溶解し、窒素置換後、スチレン594質量部、メタクリル酸メチル255質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.3質量部、及びキシレン120質量部の混合溶液を、155℃にて2時間で滴下し、重合して、更にこの温度で1時間保持した。次いで、脱溶剤を行い、数平均分子量が3,300、重量平均分子量が12,000、ガラス転移温度が65.2℃、ビニル系樹脂のSP値10.4(cal/cm3)1/2の変性体(G1)を合成した。
−グラフト重合体の合成2−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、キシレン450質量部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業株式会社製、ビスコール440P、軟化点153℃)200質量部を入れ、充分溶解し、窒素置換後、スチレン200質量部、メタクリル酸メチル600質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート32.3質量部、及びキシレン120質量部の混合溶液を、150℃にて2時間で滴下し重合し、更にこの温度で1時間保持した。次いで、脱溶剤を行い、数平均分子量が3,200、重量平均分子量が17,000、ガラス転移温度が55.3℃、ビニル系樹脂のSP値10.1(cal/cm3)1/2の変性体(G2)を合成した。
−グラフト重合体の合成3−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、キシレン480質量部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業株式会社製、ビスコール151P、軟化点108℃)100質量部を入れ、充分溶解し、窒素置換後、スチレン755質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アクリル酸21質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間で滴下し、重合して、更にこの温度で0.5時間保持した。次いで脱溶剤を行い、数平均分子量が3,300、重量平均分子量が18,000、ガラス転移温度が65.0℃、ビニル系樹脂のSP値11.0(cal/cm3)1/2の変性体(G3)を合成した。
−ビニル樹脂の合成1−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、キシレン450質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン700質量部、メタクリル酸メチル300質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.3質量部、及びキシレン120質量部の混合溶液を155℃にて2時間で滴下し、重合して、更にこの温度で1時間保持した。次いで、脱溶剤を行い、数平均分子量が3,500、重量平均分子量が9,100、ガラス転移温度が68.8℃のビニル樹脂(V1)を合成した。
−マスターバッチ1の製造−
下記の組成の顔料、樹脂L1、及び純水を1:1:0.5(質量比)の割合で、混合して、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させて、シアントナーマスターバッチ1、マゼンタトナーマスターバッチ1、イエロートナーマスターバッチ1、及びブラックトナーマスターバッチ1からなるマスターバッチ1(MB1)を作製した。
・樹脂L1・・・100質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・樹脂L1・・・100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment red 122)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・樹脂L1・・・100質量部
・イエロー顔料(C.I.Pigment yellow 180)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・樹脂L1・・・100質量部
・ブラック顔料(カーボンブラック)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
−キャリアの製造−
二成分現像剤に用いられるキャリアを以下のようにして製造した。
下記組成の被覆材をスターラーで10分間分散して被覆液を調製し、この被覆液と、芯材(Mnフェライト粒子、質量平均粒径=35μm)5,000質量部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながら被覆を行うコーティング装置に投入して、前記被覆液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成して、キャリアを製造した。
〔被覆材の組成〕
・トルエン・・・450質量部
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、不揮発分50質量%)・・・450質量部
・アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・10質量部
・カーボンブラック・・・10質量部
<トナー1の製造>
以下のようにして、シアントナー1、マゼンタトナー1、イエロートナー1、及びブラックトナー1からなるトナー1を製造した。
表5に示すトナー1の使用原料であるポリエステル系樹脂(A)を50質量部、ポリエステル系樹脂(B)を40質量部、グラフト重合体(E)を10質量部、離型剤を5質量部、及びマスターバッチ4色の内シアンマスターバッチ20質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100℃〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2μm±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が6.8±0.3μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、シアントナー1を製造した。
得られたトナーに使用したポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の質量比〔(A)/(B)〕、ポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)、及びグラフト重合体(E)の質量比〔(E)/((A)+(B))〕、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の各軟化点であるTm(A)、Tm(B)の差〔Tm(A)−Tm(B)〕は表5に示した。
なお、表5に記載されている離型剤のW1はパラフィンワックス(HNP−9PD、日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)、W2は脱遊離脂肪酸カルナウバワックス(WA−03、東亞化成株式会社製、融点82.8℃)である。
シアントナー1の製造方法において、表5に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、マゼンタマスターバッチを使用した以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、マゼンタトナー1を製造した。
シアントナー1の製造方法において、表5に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、イエローマスターバッチを使用した以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、イエロートナー1を製造した。
シアントナー1の製造方法において、表5に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、ブラックマスターバッチを使用した以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、ブラックトナー1を製造した。
−トナー2〜23の作製−
実施例1のトナー1の製造と同様にして、シアントナー2〜23、マゼンタトナー2〜23、イエロートナー2〜23、及びブラックトナー2〜23からなるトナー2〜23を、表5に示される原料の組合せでそれぞれ製造した。
ただし、トナー19及び20は、グラフト重合体G1を、ポリオレフィン樹脂(三洋化成工業株式会社製、サンワックスLEL−400、軟化点128℃)と、ビニル樹脂V1とを15:85の質量比率で混合したグラフト重合していない樹脂に変えた以外は、トナー1の製造例と同様にして、表5に示される原料の組み合わせでそれぞれトナー19及び20を作製した。
得られた各トナーに使用したポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の質量比〔(A)/(B)〕、ポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)、及びグラフト重合体(E)の質量比〔(E)/((A)+(B))〕、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の各軟化点であるTm(A)、Tm(B)の差〔Tm(A)−Tm(B)〕は表5に示した。
*W2は、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス(WA−03、東亞化成株式会社製、融点82.8℃)
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、上記製造したキャリア(シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚みでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリア)を用い、該キャリア100質量部に対しトナー7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し、帯電させた。
得られたトナー1〜23について、以下のようにして、粉砕性、及び耐熱保存性を評価した。結果を表6に示す。
各トナーの内、ブラックトナー処方の溶融混練物をハンマーミルにて粒径200μm〜300μmに粗粉砕したものを10.00g精秤し、ミル&ミキサー MM−I型(株式会社日立リビングサプライ製)にて30秒間粉砕後、30メッシュ(目開き:500μm)の篩いにかけ、通過しない樹脂の質量(A)gを精秤し、下記数式(i)により、残存率を求め、この操作を3回行い、平均した残存率の平均値を粉砕性の指標とし、下記の評価基準に従って粉砕性を評価した。残存率の平均値が小さいほど粉砕性に優れる。
<<数式(i)>>
残存率=〔(A)/粉砕前の樹脂質量(10.00g)〕×100
〔評価基準〕
◎:残存率が5%未満
○:残存率が5%以上10%未満
△:残存率が10%以上15%未満
×:残存率が15%以上20%未満
××:残存率が20%以上
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。具体的には、各トナーを10g計量し、温度20℃〜25℃、40%RH〜60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。なお、トナー4色の測定結果のうち、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が20mm〜29mm
△:針入度が15mm〜19mm
×:針入度が8mm〜14mm
××:針入度が7mm以下
製造した各トナーを、図20に示す画像形成装置(評価機A)に装填して、画像形成を行い、以下のようにして、各種性能評価を行った。結果を表6及び表7に示す。
〔評価機A〕
図20に示す画像形成装置(評価機A)は、非接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
図20に示す画像形成装置(評価機A)は、帯電手段311として図3に示すような非接触のコロナ帯電器を採用している。現像手段324として図6に示すような二成分現像装置を採用している。クリーニング手段330として図13に示すようなクリーニングブレードを採用している。定着手段327として図12に示すような電磁誘導加熱方式のローラ式定着装置を採用している。
図20に示す画像形成装置(評価機A)における画像形成要素351は、感光体ドラム321の周辺に帯電手段311、露光手段323、現像手段324、一次転写手段325、クリーニング手段330が配設されている。画像形成要素351における感光体ドラム321は、回転しながら、帯電手段310による帯電、露光手段323による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段324でイエロートナーにより現像され、感光体ドラム321上にイエロートナーによる可視像が形成される。この可視像が一次転写手段325によって中間転写ベルト355上に転写され、クリーニング手段330によって感光体ドラム321上に残ったイエロートナーが除去される。同様にして、各画像形成要素352、353、354によって、中間転写ベルト355上にマゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーによる可視像が形成される。そして中間転写ベルト355上のカラー画像は、転写器356によって記録媒体326上に転写され、中間転写ベルトクリーニング手段358によって中間転写ベルト355上に残ったトナーが除去される。記録媒体326上に形成されたカラー画像は定着手段327によって定着される。
前記評価機Aを用い、厚紙の転写紙(株式会社NBSリコー製、複写印刷用紙<135>)にトナー付着量0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とし、下記基準により低温定着性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が120℃以下
○:定着下限温度が121℃以上130℃以下
△:定着下限温度が131℃以上145℃以下
×:定着下限温度が146℃以上155℃以下
××:定着下限温度が156℃以上
前記評価機Aを用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)にトナー付着量0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が230℃以上
○:定着上限温度が210℃以上230℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
前記評価機Aを用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200(縦目))にトナー付着量0.85±0.1mg/cm2のベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行い、定着ニップ出口付近に定着紙と定着ベルトを分離させる為に配置された分離爪に、A4サイズ横方向に排紙された定着画像が接触することで発生する定着画像上の傷跡の程度を目視評価した。傷跡の程度は、ランク見本により5段階で評価され、傷跡が全く発生しない上限温度を定着離型性の指標とした。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から0.5cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:上限温度が210℃以上
○:上限温度が201℃以上210℃未満
△:上限温度が181℃以上200℃未満
×:上限温度が161℃以上180℃未満
××:上限温度が160℃未満
初期の画像品質は、前記評価機Aを用いて、画像評価チャートをフルカラーモードで出力し、色調(色合い)変化、カブリ、画像濃度、及びカスレなどの有無について評価した。異常の有無、及び画質のランク評価を目視評価し以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:原画と比較するとごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
耐熱保存後の画質安定性は、温度を50℃にセットした恒温槽に各トナーを24時間放置した後、前記評価機Aを用いて、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
−:評価できない。
前記評価機Aを用い、フルカラーモードで80%画像面積(各色20%画像面積)の画像チャートを50,000枚ランニング出力した後、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが通常温湿度の環境下では問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
上記評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と50,000枚ランニング出力した後に、現像機内の現像ローラ上のトナー固着状態を目視評価を行った。出力画像の異常の有無も考慮し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全くなく、ローラ上のトナー固着はない。
○:画像異常が全くないが、ローラ上にうっすらとトナー固着が見られる。
△:若干の異常画像が見られ、ローラ上にも明らかなトナー固着が見られる。
×:明らかな画像異常が見られ、ローラ上のトナー固着がひどく問題のあるレベル。
××:明らかな画像異常が見られ、ローラ上のトナー固着がひどく、正常な画像が得ることができない。
キャリア汚染性は、トナーのキャリア汚染の指標となる特性であり、トナーの機械的強度が高い程、キャリア汚染が少ない。
評価法として具体的には、上記評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と30,000枚ランニング出力した後の現像剤を抜き取り、現像剤を目開き32μmのメッシュが張られたゲージ内に適量入れ、エアブローを行い、トナーとキャリアを分離した。得られたキャリア1.0gを50mlガラス瓶に入れ、クロロホルム10mlを加えて、50回手振りして、10分間静置させた。その後、上澄みのクロロホルム溶液をガラスセルに入れ、濁度計を用いてクロロホルム溶液の透過率を測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:透過率が95%以上
○:透過率が90%以上94%以下
△:透過率が80%以上89%以下
×:透過率が70%以上79%以下
××:透過率が69%以下
上記評価機Aを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と50,000枚ランニング出力した後に、感光体上のトナーフィルミング状態を目視評価を行った。出力画像の異常の有無も考慮し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全くなく、静電潜像担持体上のトナーフィルミングはない。
○:画像異常が全くないが、静電潜像担持体上にうっすらとトナーフィルミングが見られる。
△:若干の異常画像が見られ、静電潜像担持体上にも明らかなトナーフィルミングが見られる。
×:明らかな画像異常が見られ、静電潜像担持体上のトナーフィルミングがひどく、問題のあるレベル。
××:明らかな画像異常が見られ、静電潜像担持体上のトナーフィルミングがひどく、正常な画像が得ることができない。
実施例1において、トナー1の代わりにトナー13を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様にして粉砕性、及び耐熱保存性を評価した。結果を表6に示す。
また、実施例1における評価機Aの代わりに、図21に示す画像形成装置(評価機B)に装填して、画像形成を行い、上記評価機Aの場合と同様にして、低温定着性、耐ホットオフセット性、定着離型性、初期画像、耐熱保存後の画質安定性、経時安定性、現像ローラ汚れ、及び感光体フィルミングの評価を行った。結果を表6及び表7に示す。
〔評価機B〕
図21に示す画像形成装置(評価機B)は、接触帯電方式、一成分現像方式、直接転写方式、クリーナーレス方式、及び内部加熱のベルト定着方式を採用した直接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
この図21に示す画像形成装置は、帯電手段310として図2に示すような接触方式の帯電ローラを用いている。現像手段324として図5に示すような一成分現像装置を用いており、この現像装置が残留トナーを回収できるクリーナーレス方式を採用している。定着手段327として図9に示すようなベルト式定着装置を採用しており、この定着装置は、加熱ローラの熱源としてハロゲンランプを用いている。なお、図21中、330は搬送ベルトである。
図21に示す画像形成装置(評価機B)における画像形成要素341は、感光体ドラム321の周辺に帯電手段310、露光手段323、現像手段324、転写手段325が配設されている。画像形成要素341における感光体ドラム321は、回転しながら、帯電手段310による帯電、露光手段323による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段324でイエロートナーにより現像され、感光体ドラム321上にイエロートナーによる可視像が形成される。この可視像は転写手段325により記録媒体326上に転写され、その後、現像手段324によって感光体ドラム321上に残ったトナーが回収される。同様にして、各画像形成要素342、343、344によって、記録媒体326上にマゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーによる可視像が重ね合わされ、記録媒体326上に形成されたカラー画像が定着手段327によって定着される。
本発明の画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジは、本発明の前記トナーを用いており、長期間にわたって色調の変化がなく、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高画質な画像を形成することができるので、例えばレーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用できる。
2 転写手段(一次転写手段)
3 搬送ベルト
4 中間転写体
5 二次転写手段
6 給紙装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像手段
45Y イエロー用現像手段
45M マゼンタ用現像手段
45C シアン用現像手段
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング手段
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像手段
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
302 フィルム
303 スプリング
310 帯電ローラ
311 コロナ帯電器
312 芯金
313 抵抗調整層
314 保護層
321 静電潜像担持体
323 露光手段
324 現像手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
330 クリーニング手段
331 除電装置
400 原稿自動搬送装置(ADF)
401 ケーシング
402 現像ローラ
411 アジテータ
412 供給ローラ
413 規制ブレード
510 ベルト式定着装置
511 加熱ローラ
512 定着ローラ
513 定着ベルト
514 加圧ローラ
515 熱ロール式定着装置
525 ロール式定着装置
570 電磁誘導加熱式定着装置
613 クリーニングブレード
S 記録媒体
P 記録媒体
Claims (16)
- 結着樹脂、離型剤、及び着色剤を少なくとも用いて粉砕法でトナー母体粒子を形成する工程を含み、
前記結着樹脂が、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃以下であるポリエステル系樹脂(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満であるポリエステル系樹脂(B)と、ポリオレフィン樹脂(C)の少なくとも一部がビニル系樹脂(D)で変性されたグラフト重合体(E)とを少なくとも含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)が、実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させてなるポリエステル系樹脂であり、かつ前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかの前記アルコール成分の65モル%以上が1,2−プロパンジオールであることを特徴とするトナーの製造方法。 - アルコール成分の90モル%以上が脂肪族アルコールである請求項1に記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのアルコール成分が、更にグリセリンを含有する請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分が、更に1,3−プロパンジオールを含有する請求項1から3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのカルボン酸成分が、炭素数2〜4の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する請求項1から4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのカルボン酸成分が、トールロジンを1kPaの減圧下で蒸留した、195℃〜250℃での留出分である精製ロジンを含有する請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の質量比〔(A)/(B)〕が、10/90〜90/10である請求項1から6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 軟化点Tm(A)とTm(B)との差〔Tm(A)−Tm(B)〕が、10℃以上である請求項1から7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- オレフィン類の重合体にビニルモノマーを順次重合させることで生じるグラフト重合体(E)の製造に使用するポリオレフィン樹脂(C)の軟化点が、70℃〜170℃である請求項1から8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリオレフィン樹脂(C)が、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン及び1−オクタデセンから選択される少なくともいずれかをモノマー単位として含む請求項1から9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- オレフィン類の重合体にビニルモノマーを順次重合させることで生じるグラフト重合体(E)の製造に使用するポリオレフィン樹脂(C)の数平均分子量が500〜20,000であり、かつ重量平均分子量が800〜100,000である請求項1から10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- グラフト重合体(E)の添加量が、離型剤100質量部に対し、10質量部〜500質量部である請求項1から11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ビニル系樹脂(D)が、スチレン、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、及びメタクリル酸から選択される少なくとも1種をモノマー単位として含む請求項1から12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 離型剤が、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス及びパラフィンワックスの少なくともいずれかを含有する請求項1から13のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリエステル系樹脂(A)及び(B)と、グラフト重合体(E)との質量比〔(E)/((A)+(B))〕が、3/97〜20/80である請求項1から14のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 結着樹脂に対する離型剤の質量比率〔(離型剤/結着樹脂)×100〕が、1質量%〜20質量%である請求項1から15のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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