JP5709262B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーに関する。
ビスフェノールA系モノマーを用いたポリエステルは、帯電特性の環境依存性、耐熱保存性(保管性)、定着特性等優れた特性を示すため、トナー用途に幅広く使用されている。しかしながら、その一方で、ビルフェノールAには環境ホルモンとしての懸念があり、ビスフェノールA系モノマーを用いないポリエステルの設計が必要となっている。
そこで、ビスフェノールA系モノマーに代わるアルコールとして、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が検討されている。
例えば、特許文献1には、炭素数2〜6の2価の脂肪族アルコールを2価のアルコール成分中70モル%以上含有したアルコール成分と、マレイン酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルが開示されている。
一方、特許文献2には、酸成分が(1)芳香族ジカルボン酸及び(2)不均化ロジン、アルコール成分が(3)3価以上の多価アルコールから構成され、前記アルコール成分(3)及び酸成分(1)のモル比(3)/(1)が1.05〜1.65であり、前記酸成分(2)及び(1)のモル比(2)/(1)が0.40〜2.60であるトナー用ポリエステル樹脂が開示されている。
特開2007−292819号公報 特開2010−20170号公報
特許文献1のように、脂肪族ジオールを用いて得られたポリエステルは、ビスフェノール系モノマーを用いた場合に比べ、エステル基濃度が高いこと、末端基が多いこと、低分子量成分の熱特性が低いことから、高温高湿下での保管性能に劣るという課題があることを確認した。
そこで、本件発明者らは、この課題に対し、エステル基濃度を下げるべく、嵩高いカルボン酸成分であるアクリル化ロジンの使用、末端基を減らすべく架橋剤の低減等を試みたが効果は低く、さらに耐久性等の課題が生じた。
本発明の課題は、脂肪族ジオールを用いたポリエステルを結着樹脂として含有していても、高温高湿下での保管性に優れ、良好な耐久性を有するトナーを提供することにある。
本発明は、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂Aと、3価以上の脂肪族アルコールを70モル%以上含有したアルコール成分とロジン及び芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂Bとを含み、該ポリエステル樹脂Bの含有量が5〜40重量%である結着樹脂を含有してなるトナーに関する。
本発明のトナーは、高温高湿下での保管性(以下、HH保管性という)に優れ、良好な耐久性を有するという優れた効果を奏するものである。
本発明のトナーは、結着樹脂が、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族ジオールを用いて得られるポリエステル樹脂Aに加えて、ロジンと芳香族ジカルボン酸化合物と3価以上の脂肪族アルコールとを用いて得られるポリエステル樹脂Bを特定量含有している点に特徴を有しており、これにより、耐久性を損なうことなく、高温高湿下での保管性が格段に向上する。これは、ポリエステル樹脂Bは末端基が少なく、エステル基濃度低いことに起因しているものと推測されるが、それだけであると、ポリエステル樹脂Aの原料モノマーにロジンを使用しても同様の効果が得られるように考えられるが、その場合には十分な効果が得られない。このことから、詳細な理由は不明なるも、ポリエステル樹脂Bが脆く、トナー製造過程で粉砕でトナー表面に出易いため、高温高湿下での保管性に影響の大きいトナー表面に露出しやすいのではないかと推測される。
ポリエステル樹脂Aは、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である。
前記脂肪族ジオールの含有量は、HH保管性及び耐久性の観点から、アルコール成分中、80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%である。
前記脂肪族ジオール以外のアルコールとしては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール及びネオペンチルグリコール以外の脂肪族ジオール、式(I):
Figure 0005709262
(式中、R1O及びOR1はオキシアルキレン基であり、R1はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、1,4−ソルビタン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
カルボン酸成分としては、トナーの保管性及び帯電量の環境安定性の観点からは、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。本発明においては、カルボン酸、酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体等を含め、総称してカルボン酸化合物という。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が好ましい。
カルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、トナーのHH保管性、耐久性及び帯電量の環境安定性の観点から、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは40〜95モル%、さらに好ましくは40〜70モル%、よりさらに好ましくは40〜60モル%、よりさらに好ましくは40〜56モル%である。
一方、トナーの低温定着性の観点からは、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、好ましくは炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。
他のカルボン酸成分としては、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;ロジン;フマル酸、マレイン酸又はアクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。
なお、ロジンについては、後述のポリエステル樹脂Bのカルボン酸成分として詳細に記載しているが、加えて、ポリエステル樹脂Aに用いられるロジンは、分子量制御の観点から、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等で変性されたロジンであることが好ましく、HH保管性及び耐久性の観点から、(メタ)アクリル酸で変性されたロジン((メタ)アクリル酸変性ロジン)がより好ましい。
(メタ)アクリル酸変性ロジンは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、(メタ)アクリル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、(メタ)アクリル酸とによる加熱下でのディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て得ることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。従って、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル酸変性ロジン」は、アクリル酸で変性されたロジン又はメタクリル酸で変性されたロジンを意味する。本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンとしては、ディールス-アルダー(Diels-Alder)反応における反応活性の観点から、立体障害の少ないアクリル酸で変性したアクリル酸変性ロジンが好ましい。
(メタ)アクリル酸によるロジンの変性度((メタ)アクリル酸変性度)は、ポリエステルユニットの分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、5〜105が好ましく、20〜105がより好ましく、40〜105がさらに好ましく、60〜105がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸変性度は、式(Aa):
Figure 0005709262
(式中、Xa1は変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値、Xa2は(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出される。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンとの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。式(Aa)の分子は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Aa)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
(メタ)アクリル酸変性ロジンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンと(メタ)アクリル酸を混合し、180〜260℃程度、好ましくは180〜210℃に加熱することで、ディールス-アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸に(メタ)アクリル酸を付加させて、(メタ)アクリル酸変性ロジンを得ることができる。(メタ)アクリル酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
変性ロジンの場合は変性前のロジンの軟化点は、HH保管性(得られた樹脂のガラス転移温度の観点)の観点から、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、65〜85℃がさらに好ましい。本発明におけるロジンの軟化点とは、後述記載の方法により、ロジンを一度溶融させ、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させた後に測定される軟化点を意味する。
変性ロジンの場合は変性前のロジンの酸価は、変成後の反応性の観点から、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gがさらに好ましい。
ロジンの含有量は、HH保管性及び耐久性を向上させる観点から、カルボン酸成分中、5〜40モル%が好ましく、10〜35モル%がより好ましい。
トナーの低温定着性及び保管性を高める観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくはトリメリット酸化合物、より好ましくは無水トリメリット酸を含有していることが望ましい。3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、HH保管性及び耐久性の観点から、カルボン酸成分中、0.1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましく、10〜25モル%がよりさらに好ましく、15〜25モル%がよりさらに好ましい。
ポリエステル樹脂Bは、3価以上の脂肪族アルコールを70モル%以上含有したアルコール成分とロジン及び芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である。
3価以上の脂肪族アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられ、これらの中では、耐久性の観点から、グリセリンが好ましい。
3価以上の脂肪族アルコールの含有量は、HH保管性及び耐久性の観点から、アルコール成分中、70モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%である。
3価以上の脂肪族アルコール以外のアルコールとしては、ポリエステル樹脂Aのアルコール成分に例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明におけるロジンは、松類から得られる天然ロジン、異性化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等の、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンであれば、公知のロジンを特に限定することなく使用できる。天然ロジンとしては、天然ロジンパルプを製造する工程で副産物として得られるトール油から得られるトールロジン、生松ヤニから得られるガムロジン、松の切株から得られるウッドロジン等が挙げられる。
本発明におけるロジンは、トナーのHH保管性の観点から、天然ロジンが好ましい。天然ロジンは、精製ロジン、未精製ロジンいずれであっても、又、その混合物であっても好ましく使用することができる。
本発明において、ロジンは、精製工程により不純物が低減されたロジンであってもよい。ロジンを精製することにより、ロジンに含まれる不純物が除去される。主な不純物としては、2-メチルプロパン、アセトアルデヒド、3-メチル-2-ブタノン、2-メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、n-ヘキサナール、オクタン、ヘキサン酸、ベンズアルデヒド、2-ペンチルフラン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、1-メチル-2-(1-メチルエチル)ベンゼン、3,5-ジメチル-2-シクロヘキセン、4-(1-メチルエチル)ベンズアルデヒド等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、ヘキサン酸、ペンタン酸及びベンズアルデヒドの3種類の不純物の、ヘッドスペースGC-MS法により揮発成分として検出されるピーク強度を精製ロジンの指標として用いることができる。
即ち、本発明における精製ロジンとは、後述のヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×107以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×107以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×107以下であるロジンをいう。さらに、保管性及び臭気の観点から、ヘキサン酸のピーク強度は、0.6×107以下が好ましく、0.5×107以下がより好ましい。ペンタン酸のピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。ベンズアルデヒドのピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。
さらに、保管性及び臭気の観点から、上記3種の物質に加え、n-ヘキサナールと2-ペンチルフランが低減されていることが好ましい。n-ヘキサナールのピーク強度は、1.7×107以下が好ましく、1.6×107以下がより好ましく、1.5×107以下がさらに好ましい。また、2-ペンチルフランのピーク強度は1.0×107以下が好ましく、0.9×107以下がより好ましく、0.8×107以下がさらに好ましい。
ロジンの精製方法としては、公知の方法が利用可能であり、蒸留、再結晶、抽出等による方法が挙げられ、蒸留によって、精製するのが好ましい。蒸留の方法としては、例えば特開平7−286139号公報に記載されている方法が利用でき、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられるが、減圧蒸留によって精製するのが好ましい。例えば、蒸留は通常6.67kPa以下の圧力で200〜300℃で実施され、通常の単蒸留をはじめ、薄膜蒸留、精留等の方法が適用され、通常の蒸留条件下では仕込みロジンに対し2〜10重量%の高分子量物がピッチ分として除去されると同時に2〜10重量%の初留分を除去する。
ロジンの軟化点は、ポリエステル樹脂Bの目標軟化点到達時の分子量(HH保管性)の観点から、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、65〜85℃がさらに好ましい。本発明におけるロジンの軟化点とは、後述記載の方法により、ロジンを一度溶融させ、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させた後に測定される軟化点を意味する。
ロジンの酸価は、反応性の観点から、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gがさらに好ましい。
ロジンの含有量は、HH保管性及び耐久性の観点から、カルボン酸成分中、40〜80モル%が好ましく、50〜75モル%がより好ましく、60〜70モル%がさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が好ましく、耐久性の観点から、テレフタル酸及びイソフタル酸がより好ましい。これらは併用されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、HH保管性及び耐久性の観点から、カルボン酸成分中、10〜60モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましく、25〜40モル%がさらに好ましい。
ロジン及び芳香族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、好ましくは炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bのいずれにおいても、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、樹脂の分子量調整やトナーの耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのいずれにおいても、カルボン酸成分とアルコール成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、好ましくは120〜250℃、より好ましくは140〜230℃が、それぞれ好ましい。
ポリエステル樹脂A及びBの製造に用いられるエステル化触媒として用いられる錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、ポリエステル樹脂中での分散性を良好にする観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましく、Sn-C結合を有しておらず、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましく、2−エチルヘキサン酸錫(II)がさらに好ましい。
エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総使用量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
本発明において、互いに隣接する3個の炭素原子に結合した水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するピロガロール化合物をエステル化触媒とともに助触媒として用いることが、ポリエステル樹脂の生産性を向上させる観点及びトナーの保管性を向上させる観点から好ましい。
ピロガロール化合物としては、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、トナーの保管性の観点からは、没食子酸及び没食子酸エステルが好ましい。
ピロガロール化合物の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総使用量100重量部に対して、ポリエステル樹脂の生産性を向上させる観点及びトナーの保管性の観点から、0.001〜1.0重量部が好ましく、0.005〜0.4重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部がさらに好ましい。ここで、ピロガロール系化合物の使用量とは、縮重合反応に供したピロガロール系化合物の全配合量を意味する。
ピロガロール化合物とエステル化触媒の重量比(ピロガロール化合物/エステル化触媒)は、ポリエステル樹脂の生産性を向上させる観点及びトナーの保管性の観点から、0.01〜0.5が好ましく、0.03〜0.3がより好ましく、0.05〜0.2がさらに好ましい。
なお、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、ポリエステル・ポリアミドや、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
ポリエステル樹脂Aの軟化点は、HH保管性及び耐久性の観点から、100〜160℃が好ましく、110〜155℃がより好ましく、130〜155℃がさらに好ましく、140〜150℃がよりさらに好ましい。
ポリエステル樹脂Bの軟化点は、HH保管性及び耐久性の観点から、80〜140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。ポリエステル樹脂A及び/又はポリエステル樹脂Bが2種以上の樹脂からなる場合は、軟化点の加重平均値が上記範囲内であることが好ましく、それぞれの樹脂の軟化点が上記範囲内であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂Aは、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは20〜60℃互いに異なる高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とを含むことがトナーの低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性の観点から、好ましい。高軟化点樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性の観点から、好ましくは120℃を超えて160℃以下、より好ましくは130〜155℃、さらに好ましくは140〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性の観点から、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃、さらに好ましくは100〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、トナーの低温定着性、耐ホットオフセット性、HH保管性及び耐久性の観点から、20/80〜80/20が好ましく、40/60〜75/25がより好ましく、50/50〜70/30がさらに好ましい。なお、ポリエステル樹脂Aとして軟化点の異なる3種類以上用いる場合は、3種類から選ばれるいずれか軟化点の異なる2種類の樹脂が上記の高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とを満足することが好ましい。
高軟化点のポリエステル樹脂Aは、結着樹脂中、30〜80重量%含有されることが好ましく、40〜70重量%含有されることがより好ましく、50〜60重量%含有されることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂Aが2種以上の樹脂からなる場合は、ポリエステル樹脂Aの少なくとも40重量%が軟化点140℃以上の樹脂であることが好ましく、140〜160℃の樹脂であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は、トナーの定着性、HH保管性、耐久性及び帯電量の環境安定性の観点から、35〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。ポリエステル樹脂A及び/又はポリエステル樹脂Bが2種以上の樹脂からなる場合は、ガラス転移温度の加重平均値が上記範囲内であることが好ましく、それぞれの樹脂のガラス転移温度が上記範囲内であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂Aの酸価は、トナーのHH保管性及び耐久性の観点から、5〜90mgKOH/gが好ましく、5〜80mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gがさらに好ましく、10〜40mgKOH/gがよりさらに好ましく、20〜35mgKOH/gがよりさらに好ましい。ポリエステル樹脂Aが2種以上の樹脂からなる場合は、酸価の加重平均値が上記範囲内であることが好ましく、それぞれの樹脂の酸価が上記範囲内であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂Bの酸価は、トナーの帯電量の環境安定性、HH保管性及び耐久性の観点から、5〜150mgKOH/gが好ましく、5〜70mgKOH/gがより好ましく、10〜50mgKOH/gがさらに好ましく、10〜30mgKOH/gがよりさらに好ましい。ポリエステル樹脂Bが2種以上の樹脂からなる場合は、酸価の加重平均値が上記範囲内であることが好ましく、それぞれの樹脂の酸価が上記範囲内であることがより好ましい。
トナーのHH保管性及び耐久性の観点から、ポリエステル樹脂Aの数平均分子量は、1500〜4500が好ましく、2000〜4000がより好ましく、3000〜3500がさらに好ましく、重量平均分子量は、1万〜400万が好ましく、1万〜150万がより好ましく、10万〜150万がさらに好ましく、50万〜100万がよりさらに好ましく、65万〜80万がよりさらに好ましい。
トナーのHH保管性及び耐久性の観点から、ポリエステル樹脂Bの数平均分子量は、400〜2500が好ましく、500〜2000がより好ましく、700〜1500がさらに好ましく、800〜1200がよりさらに好ましく、重量平均分子量は、2000〜40000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜10000がさらに好ましく、6000〜8000がよりさらに好ましい。
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの重量比(樹脂A/樹脂B)は、耐久性及びHH保管性の観点から、95/5〜60/40が好ましく、90/10〜70/30がより好ましい。
ポリエステル樹脂Aの含有量は、トナーのHH保管性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、60〜95重量%が好ましく、70〜90重量%がより好ましく、75〜85重量%がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂Bの含有量は、トナーのHH保管性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましく、15〜25重量%がさらに好ましい。
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂B以外の公知の結着樹脂、例えば、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの総含有量は、結着樹脂中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等の炭化水素系ワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(ヘキスト社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成社製)等が挙げられる。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」(以上、オリエント化学工業社製)、「T-77」(保土谷化学工業社製)、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット社製);サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「E-304」(以上、オリエント化学工業社製)、「TN-105」(保土谷化学工業社製);銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダゾール誘導体;有機金属化合物、例えば「TN105」(保土谷化学工業社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電立ち上がり性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましく、0.3〜3重量部がさらに好ましく、0.5〜3重量部がよりさらに好ましく、1〜2重量部がよりさらに好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、HH保管性の観点から、ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bを含む原料の溶融混練工程及び粉砕工程を含む方法により得られる粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、無機微粒子を外添剤として用いるのが好ましい。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上が好ましく挙げられ、これらの中では、シリカが好ましく、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが含有されているのがより好ましい。
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜3重量部であり、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂及びロジンの酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料をテトラヒドロフランに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25JP)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔ロジンの軟化点〕
(1) 試料の調製
ロジン10gを、170℃で2時間ホットプレートで溶融する。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK-61M)で10秒間粉砕する。
(2) 測定
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔ロジンのSP値〕
溶融した状態の試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行う。
測定機:環球式自動軟化点試験器 ASP-MGK2((株)メイテック製)
昇温速度:5℃/min
昇温開始温度:40℃
測定溶剤:グリセリン
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
(1) 分散液の調製:分散液[「エマルゲン 109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液]5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解質[「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)]25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2) 測定装置:「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)
(3) アパチャー径:50μm
(4) 解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマンコールター社製)
(5) 測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
ロジンの精製例
分留管、還流冷却器及び受器を装備した2000ml容の蒸留フラスコに1000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
ロジン20gをコーヒーミル(National MK-61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20ml)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサンプリングして、未精製ロジン及び精製ロジン中の不純物を、ヘッドスペースGC−MS法により分析した結果を表1に示す。
〔ヘッドスペースGC−MS法の測定条件〕
A. ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
サンプル温度: 200℃
ループ温度: 200℃
トランスファーライン温度: 200℃
サンプル加熱平衡時間: 30min
バイヤル加圧ガス: ヘリウム(He)
バイヤル加圧時間: 0.3min
ループ充填時間: 0.03min
ループ平衡時間: 0.3min
注入時間: 1min
B. GC(ガスクロマトグラフィー)(Agilent社製、HP6890)
分析カラム: DB-1(60m-320μm-5μm)
キャリアー: ヘリウム(He)
流量条件: 1ml/min
注入口温度: 210℃
カラムヘッド圧: 34.2kPa
注入モード: split
スプリット比: 10:1
オーブン温度条件: 45℃(3min)-10℃/min-280℃(15min)
C. MS(質量分析法)(Agilent社製、HP5973)
イオン化法: EI(電子イオン化)法
インターフェイス温度: 280℃
イオン源温度: 230℃
四重極温度: 150℃
検出モード: Scan 29-350m/s
Figure 0005709262
アクリル酸変性ロジンの製造例
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸648.5g(9.0モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに、220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。アクリル酸変性ロジンのSP値は99.1℃、ガラス転移温度は53.2℃、アクリル酸変性度は66であった。
樹脂製造例1〔樹脂A1、A2、A4〜A6〕
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及び2-エチルヘキサン酸錫(II)50g、没食子酸3gを、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、室温から200℃まで4時間かけて昇温した後、200℃から230℃まで5時間かけて昇温した。その後、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて1時間反応を行った。220℃まで冷却した後、表2に示す無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
樹脂製造例2〔樹脂A3〕
表2に示すエチレングリコール以外のアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及び2-エチルヘキサン酸錫(II)50g、没食子酸3gを、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、エチレングリコールを加え、230℃まで8時間かけて昇温し、230℃で10時間縮重合反応させた。8kPaにて1時間反応を行った後、220℃まで冷却、さらに表2に示す無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
樹脂製造例3〔樹脂B1〜樹脂B4、樹脂B6〕
ロジンを予め100℃の恒温槽で溶解した後、表3に示すアルコール成分、カルボン酸成分及び2-エチルヘキサン酸錫(II)50g、没食子酸3gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
樹脂製造例5〔樹脂B5〕
表3に示すアルコール成分、カルボン酸成分及び2-エチルヘキサン酸錫(II)50g、没食子酸3gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて軟化点が101℃に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂を得た。
Figure 0005709262
Figure 0005709262
実施例1〜12及び比較例1〜6
表4に示す結着樹脂100重量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製)5重量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1重量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、融点:80℃)2重量部及び離型剤「パラフリントH105」(サゾールワックス社製、融点110℃)2重量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。スクリューの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は100℃であり、混練物の温度は160℃、混練物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)7.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部に対し、外添剤として疎水性シリカ「アエロジル R-972」(日本アエロジル社製)1.0重量部及び疎水性シリカ「SI-Y」(日本アエロジル社製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添処理を行い体積中位粒径(D50)7.5μmのトナー粒子を得た。
試験例1
(1) 高温高湿(HH)下での保管性
トナー10gを半径12mmの円筒型容器に入れ、上から50gの重りをのせ、35℃及び相対湿度90%の環境で72時間保持した。パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)に、上から順に、篩いA(目開き250μm)、篩いB(目開き150μm)、篩いC(目開き75μm)の3つの篩を重ね合わせて設置し、篩いA上にトナー10gを乗せて60秒間振動を与えた。
篩いA上に残存したトナー重量WA(g)を、篩いB上に残存したトナー重量WB(g)を、篩いC上に残存したトナー重量WC(g)を、それぞれ測定し、下記式に従って算出される値(α)をもとに、以下の評価基準に従って、高温高湿(HH)下での保管性を評価した。結果を表4に示す。値(α)が100に近いほど、高温高湿(HH)下での保管性に優れる。
α=100−(WA+WB×0.6+WC×0.2)/10×100
αが、60以上であれば、良好な状態であり、80以上であればより好ましい状態であり、90以上であれば特に好ましい状態である。又、αの数値が3以上の差が有れば、保管性の性能の差が充分に認識できる範囲である。
(2) 保管性
トナー10gを半径12mmの円筒型容器に入れ、50℃及び相対湿度50%の環境で72時間保持した。パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)に、上から順に、篩いA(目開き250μm)、篩いB(目開き150μm)、篩いC(目開き75μm)の3つの篩を重ね合わせて設置し、篩いA上にトナー10gを乗せて60秒間振動を与えた。
篩いA上に残存したトナー重量WA(g)を、篩いB上に残存したトナー重量WB(g)を、篩いC上に残存したトナー重量WC(g)を、それぞれ測定し、下記式に従って算出される値(α)をもとに、以下の評価基準に従って、保管性を評価した。結果を表4に示す。値(α)が100に近いほど、保管性に優れる。
α=100−(WA+WB×0.6+WC×0.2)/10×100
αが、60以上であれば、良好な状態であり、80以上であればより好ましい状態であり、90以上であれば特に好ましい状態である。又、αの数値に3以上の差が有れば、保管性の性能の差が充分に認識できる範囲である。
試験例2
トナー3重量部と平均粒子径90μのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)97重量部とを混合して得られた現像剤を「プリテール50」(リコー社製)に実装し、15分間空転を行った。空転後のトナー粒径を測定した。空転前後のトナー中の粒径5μm以下の粒子の含有量(個数%)を算出し、以下の評価基準に従って、耐久性を評価した。
粒径5μm以下の粒子の含有量(個数%)が空転前と比較して5%以下であれば、耐久性は良好な状態であり、2%以下であればより好ましい状態である。また、0.3%以上の差が有れば、効果の差は有意な差として認識することができる。
Figure 0005709262
以上の結果より、比較例1〜6と対比して、実施例1〜12では、高温高湿下での保管性に優れ、耐久性も良好であることが分かる。
本発明のトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる。

Claims (7)

1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂Aと、3価以上の脂肪族アルコールを70モル%以上含有したアルコール成分とロジン及び芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂Bとを含み、該ポリエステル樹脂Bの含有量が5〜40重量%である結着樹脂を含有してなるトナー。
ポリエステル樹脂Bの芳香族ジカルボン酸化合物がテレフタル酸及び/又はイソフタル酸であり、3価以上の脂肪族アルコールがグリセリンである、請求項1記載のトナー。
ポリエステル樹脂Bのロジンが天然ロジンである、請求項1又は2記載のトナー。
ポリエステル樹脂Aの軟化点が100〜160℃である請求項1〜3いずれか記載のトナー。
ポリエステル樹脂Bの軟化点が80〜140℃である請求項1〜4いずれか記載のトナー。
ポリエステル樹脂Bの数平均分子量が400〜2500であり、重量平均分子量が2000〜40000である、請求項1〜5いずれか記載のトナー。
ポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bを含む原料の溶融混練工程及び粉砕工程を含む方法により得られる粉砕トナーである、請求項1〜6いずれか記載のトナー。
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