JP5893942B2 - トナー用結着樹脂 - Google Patents
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この課題を解決するために、低分子量でも高ガラス転移温度のトナー用結着樹脂として、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香環を有するカルボン酸を原料モノマーとして用いて得られたポリエステルが汎用されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の樹脂は、フィルム用途や射出成形品の用途を主として使用するものであるため結晶性が高く、トナー用結着樹脂には適していない。
しかし、特許文献3に記載の樹脂も、成形品用組成物であるため結晶性が高く、トナー用結着樹脂には適していない。
〔1〕 フラン環を有する非晶質ポリエステルを含むトナー用結着樹脂であって、前記非晶質ポリエステルがカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるものであり、該カルボン酸成分がロジン化合物を含む、トナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー
に関する。
により算出される。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンとの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。式(Aa)の分子は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Aa)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
により算出する。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。式(Aa)により算出される(メタ)アクリル酸変性度と同様に、式(Af)の分子は、フマル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味するものであり、式(Af)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で昇温し測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070の方法に基づき測定する。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料をクロロホルムに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25JP)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:LC-9130NEXT(日本分析工業社製)
分析カラム:TSKGel HXL-H + GMHXL + G3000HXL(東ソー社製)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
平均粒径は、個数平均粒径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃、トールロジン(ハートールR-WW(ハリマ化成社製)))332g(1モル)とアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.1℃であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃、トールロジン(ハートールR-WW(ハリマ化成社製)))6084g(18モル)とアクリル酸907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンAを得た。アクリル酸変性ロジンAのSP値は110.4℃、アクリル酸変性度は100であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃、トールロジン(ハートールR-WW(ハリマ化成社製)))332g(1モル)、フマル酸81g(0.7モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留して未反応のフマル酸及び低沸点物を留去し、フマル酸変性ロジンを得た。得られたフマル酸変性ロジンのSP値は130.6℃であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃、トールロジン(ハートールR-WW(ハリマ化成社製)))5408g(16モル)、フマル酸928g(8モル)及びt-ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル酸変性ロジンAを得た。フマル酸変性ロジンAのSP値は130.8℃、ガラス転移温度は74.4℃、フマル酸変性度は100であった。
表1、2に示す無水トリメリット酸を除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、表1、2に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて表1、2に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8kPaにて1時間反応を行った後、210℃まで冷却し、20kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
実施例1〜13及び比較例1、2
表3に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)1重量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)5重量部、及び離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機(池貝社製)を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
結着樹脂、着色剤等とともに、荷電制御樹脂「FCA-701PT」(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系樹脂、軟化点:123℃)を5重量部使用し、負帯電性荷電制御剤の代わりに、正帯電性荷電制御剤「ボントロン P-51」(オリエント化学工業社製)1重量部を使用し、外添剤として「NAX-50」の代わりに、疎水性シリカ「TG-C243」(キャボット社製、平均粒径100nm、疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン+オクチルトリエトキシシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
負帯電性荷電制御剤として、「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)の代わりに、「LR-147」(日本カーリット社製)1重量部を使用し、離型剤として、「三井ハイワックスNP055」の代わりに、「HNP-9」(日本精鑞社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2重量部を使用し、着色剤として、カーボンブラック「Regal 330R」の代わりに、実施例15では、シアン顔料「Toner Cyan BG」(クラリアント社製、P.B.15:3)5重量部、実施例17では、イエロー顔料「Paliotol Yellow D1155」(BASF社製、P.Y.185)6重量部を使用し、外添剤として「NAX-50」の代わりに、疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、平均粒径16nm、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
負帯電性荷電制御剤として、「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)の代わりに、「LR-297」(日本カーリット社製)1重量部を使用し、離型剤として、「三井ハイワックスNP055」の代わりに、「HNP-9」(日本精鑞社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2重量部を使用し、外添剤として「NAX-50」の代わりに、疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、平均粒径16nm、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシラン)1.0重量部を使用し、着色剤として、カーボンブラック「Regal 330R」の代わりに、マゼンタ顔料「スーパーマゼンタR」(大日本インキ化学工業社製、P.R.122)5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置(但し、実施例14の評価については、非磁性一成分現像方式プリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)を改造した装置)にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと10℃ずつ順次上昇させながら、最低定着温度に達するまで、各温度で定着紙に未定着画像を定着させた。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の画像の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表3に示す。
トナー4gを半径12mmの円筒型容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナーを容器から取り出し、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
A:72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後で凝集が認められる。
C:48時間後で凝集が認められる。
非磁性一成分現像装置として、ステンレス製の現像ロールを装備した「ページプレストN-4」(カシオ計算機社製)(但し、実施例14の評価については、非磁性一成分現像方式プリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製))にトナーを実装し、40℃、90%の高温高湿(HH環境下で500枚の画像を得た。50枚目と500枚目の画像を透過型マクベス濃度計「TR-927」を用いて画像濃度を測定し、高温高湿環境下での画像濃度の安定性(500枚目の画像濃度の値/50枚目の画像濃度の値)として評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (9)
- フラン環を有する非晶質ポリエステルを含むトナー用結着樹脂であって、前記非晶質ポリエステルがカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるものであり、該カルボン酸成分がロジン化合物を含む、トナー用結着樹脂。
- カルボン酸成分とアルコール成分の少なくともいずれかが、少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分である、請求項1記載のトナー用結着樹脂。
- フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量が、カルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、10〜95モル%である、請求項2記載のトナー用結着樹脂。
- アルコール成分が、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する炭素数3〜5の脂肪族ジオールを含む、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- ロジン化合物の含有量が、カルボン酸成分中、5〜50モル%である、請求項1〜4い
ずれか記載のトナー用結着樹脂。 - フラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項2〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- フラン環を有するアルコールが、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項2〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 〔ロジン化合物の量〕/〔フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量〕のモル比が0.05〜5である、請求項2〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 請求項1〜8いずれか記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー。
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