JP4749210B2 - トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの結着樹脂として用いられるトナー用ポリエステル及び該ポリエステルを含有したトナーに関する。
電子写真技術の発展に伴い、低温定着性や保存性(耐ブロッキング性)に優れたトナーが要求されており、分子量等の物性を規定した線状ポリエステル樹脂を含有したトナー(特許文献1参照)、ポリエステル中に酸成分としてロジン類を使用した非線状架橋型ポリエステル樹脂を含有したトナー(特許文献2参照)、さらにマレイン酸で変性したロジンを使用し、定着性を改良したトナー(特許文献3参照)等が報告されている。
特開2004−245854号公報 特開平4−70765号公報 特開平4−307557号公報
しかし、近年のマシンの更なる高速化・省エネ化により、従来のトナー用結着樹脂では市場の要求に対しては不十分であることが判明した。即ち、定着工程での定着時間の短縮化及び定着機での加熱温度の低温化により、十分な定着強度を維持することが非常に困難になっている。
一方、低温定着性を高めるために樹脂の軟化点を下げるなどすると、オフセットが発生し、また、ガラス転移点の低下を必然的に伴うため、トナーが凝集してしまうなどの保存性に劣る結果となる。
また、特許文献2や特許文献3で用いられているロジン類は低温定着性の向上には有効であるものの、保存性に対してはさらなる改善が求められるとともに、ロジンの種類によっては臭気が発生しやすいという欠点も有している。
本発明の課題は、低温定着性、耐オフセット性及び保存性に優れ、臭気の発生も低減されるトナー用ポリエステル及び該ポリエステルを含有したトナーを提供することにある。
本発明は、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステル、及び該トナー用ポリエステルを含有してなるトナーに関する。
本発明のトナー用ポリエステルを含有したトナーは、低温定着性、耐オフセット性及び保存性に優れ、臭気の発生も低減されるという優れた効果を奏するものである。
本発明は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルにおいて、アルコール成分中に脂肪族多価アルコールが、カルボン酸成分中に(メタ)アクリル酸変性ロジンが、それぞれ含有されている点に大きな特徴を有する。(メタ)アクリル酸変性ロジンにより、極めて低い温度での定着が可能となり、保存性が向上する。従来使用されている変性ロジンであるマレイン酸で変性されたマレイン変性ロジンは、3つの官能基を有するため、架橋剤として機能する。このため、定着性を高めるためにマレイン変性ロジンを多量に含有したカルボン酸成分を用いて得られるポリエステルは、低分子量成分及び高分子量成分を多量に含有するため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性との両立が困難である。逆に、マレイン変性ロジンの量を低減すると、得られるポリエステルの低温定着性が低下する。しかしながら、本発明で用いられる(メタ)アクリル酸変性ロジンは2つの官能基を有するロジンであるために、ポリエステルの主鎖の一部として分子鎖を伸ばし、分子量を上げることができる一方、分子量500以下の低分子量成分、すなわち、残存モノマー成分やオリゴマー成分が低減される。さらに、本発明で用いられる脂肪族多価アルコール成分は、分子的にコンパクトで反応性が高いため、分子的に嵩高く、反応性の低い(メタ)アクリル酸変性ロジンを用いていても、数平均分子量の大きなポリエステルが得られる。すなわち、脂肪族多価アルコールを含有したアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させることにより、低分子量成分が低減されかつ数平均分子量の大きいポリエステルが得られるため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する物性の両立が可能となるという驚くべき効果を奏されるものと推定される。
本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンとは、(メタ)アクリル酸で変性されたロジンであり、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸及びレポピマール酸を主成分とするロジンに、(メタ)アクリル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、(メタ)アクリル酸とによる加熱下でのディールス-アルダー(Diels-Alder)反応を経て得ることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。従って、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリル酸変性ロジン」は、アクリル酸で変性されたロジン又はメタクリル酸で変性されたロジンを意味する。本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンとしては、ディールス-アルダー(Diels-Alder)反応における反応活性の観点から、立体障害の少ないアクリル酸で変性したアクリル酸変性ロジンが好ましい。
(メタ)アクリル酸によるロジンの変性度((メタ)アクリル酸変性度)は、ポリエステルの分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、5〜105が好ましく、20〜105がより好ましく、40〜105がさらに好ましく、60〜105がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸変性度は、式(A):
Figure 0004749210
(式中、X1は変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値、X2は(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出される。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。式(A)の分子は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSPの上昇度を意味するものであり、式(A)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
(メタ)アクリル酸変性ロジンの製造方法は特に限定されないが、例えば、ロジンと(メタ)アクリル酸を混合し、180〜260℃程度に加熱することで、ディールス-アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸に(メタ)アクリル酸を付加させて、(メタ)アクリル酸変性ロジンを得ることができる。(メタ)アクリル酸変性ロジンは、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンに使用されるロジンは、松類から得られる天然ロジン、異性化ロジン、二量化ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等の、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸及びレポピマール酸を主成分とするロジンであれば、公知のロジンを特に限定することなく使用できるが、色目の観点から、天然ロジンパルプを製造する工程で副産物として得られるトール油から得られるトールロジン、生松ヤニから得られるガムロジン、松の切株から得られるウッドロジン等の天然ロジンが好ましく、低温定着性の観点からトールロジンがより好ましい。
本発明における(メタ)アクリル酸変性ロジンは、加熱下でのディールス-アルダー反応を経て得られるため臭気の原因となる不純物が低減されており、臭気が少ないものであるが、さらに臭気を低減し保存性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンは精製ロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものが好ましく、精製トールロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものがより好ましい。
本発明における精製ロジンは、精製工程により不純物が低減されたロジンである。ロジンを精製することにより、ロジンに含まれる不純物が除去される。主な不純物としては、2-メチルプロパン、アセトアルデヒド、3-メチル-2-ブタノン、2-メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、n-ヘキサナール、オクタン、ヘキサン酸、ベンズアルデヒド、2-ペンチルフラン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、1-メチル-2-(1-メチルエチル)ベンゼン、3,5-ジメチル2-シクロヘキセン、4-(1-メチルエチル)ベンズアルデヒド等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、ヘキサン酸、ペンタン酸及びベンズアルデヒドの3種類の不純物の、ヘッドスペースGC-MS法により揮発成分として検出されるピーク強度を精製ロジンの指標として用いることができる。なお、不純物の絶対量ではなく揮発成分を指標とするのは、本発明における精製ロジンの使用が、ロジンを使用した従来のポリエステルに対して、臭気を改良の課題の1つとしていることによる。
即ち、本発明における精製ロジンとは、後述のヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×107以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×107以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×107以下であるロジンをいう。さらに、保存性及び臭気の観点から、ヘキサン酸のピーク強度は、0.6×107以下が好ましく、0.5×107以下がより好ましい。ペンタン酸のピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。ベンズアルデヒドのピーク強度は、0.3×107以下が好ましく、0.2×107以下がより好ましい。
さらに、保存性及び臭気の観点から、上記3種の物質に加え、n-ヘキサナールと2-ペンチルフランが低減されていることが好ましい。n-ヘキサナールのピーク強度は、1.7×107以下が好ましく、1.6×107以下がより好ましく、1.5×107以下がさらに好ましい。また、2-ペンチルフランのピーク強度は1.0×107以下が好ましく、0.9×107以下がより好ましく、0.8×107以下がさらに好ましい。
ロジンの精製方法としては、公知の方法が利用可能であり、蒸留、再結晶、抽出等による方法が挙げられ、蒸留によって、精製するのが好ましい。蒸留の方法としては、例えば特開平7−286139号公報に記載されている方法が利用でき、減圧蒸留、分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられるが、減圧蒸留によって精製するのが好ましい。例えば、蒸留は通常6.67kPa以下の圧力で200〜300℃のスチル温度で実施され、通常の単蒸留をはじめ、薄膜蒸留、精留等の方法が適用され、通常の蒸留条件下では仕込みロジンに対し2〜10重量%の高分子量物がピッチ分として除去すると同時に2〜10重量%の初留分を同時に除去する。
変性前のロジンの軟化点は、50〜100℃が好ましく、60〜90℃が好ましく、65〜85℃がさらに好ましい。本発明におけるロジンの軟化点とは、後述記載の方法により、ロジンを一度溶融させ、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させた際に測定される軟化点を意味する。
さらに、変性前のロジンの酸価は、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。また、保存性の観点からは、85重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。これらの観点から、(メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量は、カルボン酸成分中、5〜85重量%が好ましく、5〜65重量%がより好ましく、10〜50重量%がさらに好ましい。
カルボン酸成分に含有される、(メタ)アクリル酸変性ロジン以外のカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロリメット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
アルコール成分には、脂肪族多価アルコールが含有されている。脂肪族多価アルコールとしては、変性ロジンを含むカルボン酸との反応性の観点から、2〜6価の脂肪族多価アルコールが好ましく、2〜3価の脂肪族多価アルコールがより好ましい。脂肪族多価アルコールは、分子構造がよりコンパクトで反応性に富む炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールを含有していることが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、グリセリン等が挙げられ、これらの中では、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール及びグリセリンが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの含有量は、脂肪族多価アルコール中、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
アルコール成分に含有される、脂肪族多価アルコール以外のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、及びそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
脂肪族多価アルコールの含有量は、(メタ)アクリル酸変性ロジンとの反応性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、85モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
本発明のポリエステルには、耐オフセット性向上の観点から、保存性を損なわない範囲で、3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物がアルコール成分及び/又はカルボン酸成分に含まれていることが好ましい。本発明において用いられる(メタ)アクリル酸変性ロジンは、2つの官能基を有するロジンであるために、ロジンの低温定着性を損なうことなく3価以上の原料モノマーを使用することができ、低温定着性を維持しつつ、さらに耐オフセット性を向上することができる。これらの観点から、3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、0.001〜40モルが好ましく、0.1〜25モルがより好ましく、3価以上の多価アルコールの含有量は、アルコール成分中、0.001〜40モル%が好ましく、0.1〜25モル%がより好ましい。
3価以上の原料モノマーにおいて、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸及びその誘導体が好ましく、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられるが、これらの中では、分岐部位となる又は架橋剤として作用するだけでなく低温定着性の向上にも有効であることから、グリセリン、トリメリット酸及びその誘導体が好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。本発明におけるエステル化触媒の好適例としては、チタン化合物及びSn-C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。
チタン化合物としては、Ti-O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)1(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)1〕等が挙げられ、これらの中ではチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商(株)の市販品としても入手可能である。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ-n-ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等で挙げられ、これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー社等の市販品としても入手可能である。
チタン化合物の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでRは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましい。
錫(II)化合物の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
チタン化合物と錫(II)化合物を併用する場合、チタン化合物と錫(II)化合物の総存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.7重量部がより好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができる。
ポリエステルの軟化点は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、90〜160℃が好ましく、95〜155℃がより好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。ガラス転移点は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜75℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。帯電性と環境安定性の観点から、酸価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、5〜60mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gがさらに好ましく、水酸基価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、8〜50mgKOH/gがより好ましく、8〜40mgKOH/gがさらに好ましい。
本発明のポリエステルにおいて、低温定着性、耐オフセット性及び保存性の観点から、残存モノマー成分やオリゴマー成分等に起因する分子量が500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル中、12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、9%以下であることがさらに好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。低分子量成分の含有量は、ロジンの(メタ)アクリル酸変性度を高める等の方法により、低減することができる。
なお、本発明のポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
本発明のポリエステルをトナー用結着樹脂として用いることにより、低温定着性、耐オフセット性及び保存性に優れ、定着時の臭気も低減されるトナーを得ることができる。本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されていてもよいが、本発明のポリエステルの含有量は、結着樹脂中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することが出来る。トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔ロジンの軟化点〕
(1) 試料の調製
ロジン10gを、170℃で2時間ホットプレートで溶融する。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK-61M)で10秒間粉砕する。
(2) 測定
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂及びロジンの酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
〔分子量が500以下の低分子量成分の含有量〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を測定する。トナー30mgにテトラヒドロフラン10mlを加え、ボールミルで1時間混合後、ポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液を調製する。
溶離液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させ、試料溶液100μlを注入して測定を行う。なお、分析カラムには「GMHLX+G3000HXL」(東ソー(株)製)を使用し、分子量の検量線は数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成する。
分子量が500以下の低分子量成分の含有量(%)は、RI(屈折率)検出器により得られたチャート面積における該当領域の面積の割合として算出する。
〔ロジンのSP値〕
溶融した状態の試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行う。
測定機:環球式自動軟化点試験器 ASP-MGK2((株)メイテック製)
昇温速度:5℃/min
昇温開始温度:40℃
測定溶剤:グリセリン
〔ロジンの(メタ)アクリル酸変性度〕
式(A):
Figure 0004749210
(式中、X1は変性度を算出する(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値、X2は(メタ)アクリル酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンの飽和SP値、YはロジンのSP値を示す)
により算出する。飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。なお、ロジン1モルの分子量は、酸価をx(mgKOH/g)とすると、ロジン1gに対して水酸化カリウム(分子量:56.1)がxmg(x×10-3g)反応していることになるから、式(B):
分子量=56100÷x (B)
により算出することができる。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
ロジンの精製例
分留管、還流冷却器及び受器を装備した2000ml容の蒸留フラスコに1000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
ロジン20gをコーヒーミル(National MK-61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20ml)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサンプリングして、未精製ロジン及び精製ロジン中の不純物を、ヘッドスペースGC−MS法により分析した結果を表1に示す。
〔ヘッドスペースGC−MS法の測定条件〕
A. ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
サンプル温度: 200℃
ループ温度: 200℃
トランスファーライン温度: 200℃
サンプル加熱平衡時間: 30min
バイヤル加圧ガス: ヘリウム(He)
バイヤル加圧時間: 0.3min
ループ充填時間: 0.03min
ループ平衡時間: 0.3min
注入時間: 1min
B. GC(ガスクロマトグラフィー)(Agilent社製、HP6890)
分析カラム: DB-1(60m-320μm-5μm)
キャリアー: ヘリウム(He)
流量条件: 1ml/min
注入口温度: 210℃
カラムヘッド圧: 34.2kPa
注入モード: split
スプリット比: 10:1
オーブン温度条件: 45℃(3min)-10℃/min-280℃(15min)
C. MS(質量分析法)(Agilent社製、HP5973)
イオン化法: EI(電子衝撃)法
インターフェイス温度: 280℃
イオン源温度: 230℃
四重極温度: 150℃
検出モード: Scan 29-350m/s
Figure 0004749210
未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)332g(1モル)とアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.1℃であった。
精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値の測定
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)とアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.4℃であった。
アクリル酸変性ロジンの製造例1
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンAを得た。アクリル酸変性ロジンAのSP値は110.4℃、アクリル酸変性度は100であった。
アクリル酸変性ロジンの製造例2
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸648.5g(9.0モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンBを得た。アクリル酸変性ロジンBのSP値は99.1℃、アクリル酸変性度は66.4であった。
アクリル酸変性ロジンの製造例3
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)とアクリル酸259.4g(3.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンCを得た。アクリル酸変性ロジンCのSP値は91.9℃、アクリル酸変性度は44.9であった。
アクリル酸変性ロジンの製造例4
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)5976g(18モル)とアクリル酸907.6g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、250℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンDを得た。アクリル酸変性ロジンDのSP値は110.1℃、アクリル酸変性度は100であった。
実施例1〜5、7及び比較例1(実施例7は参考例である)
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、室温の冷水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で2時間縮重合反応させた後、6時間かけて210℃まで昇温し、その後66kPaにて1時間反応を行った。200℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、210℃に昇温し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステルを得た。
実施例6
表2に示すグリセリンを除くアルコール成分、無水トリメリット酸を除くカルボン酸成分及びエステル化触媒を、室温の冷水を通水した還流冷却管を上部に装備した98℃の温水を通水した分溜管、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で2時間縮重合反応させた後、6時間かけて210℃まで昇温し、その後66kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、グリセリンを投入して、200℃まで5℃/30分にて昇温した。さらに、200℃にて、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、66kPaにて1時間反応を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、210℃に昇温し、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステルを得た。
Figure 0004749210
トナーの製造例
表3に示す実施例及び比較例のそれぞれにおいて得られたポリエステル100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)1重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度を200r/min、ロール内の加熱温度を80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル社製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナー1〜7及び比較トナー1を得た。
試験例1〔低温定着性及び耐オフセット性〕
プリンター「ページプレスト N-4」(カシオ計算機社製、定着:接触定着方式、現像方式:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、トナー付着量を0.6mg/cm2に調整して未定着画像を得た。得られた未定着画像を接触定着方式の複写機「AR-505」(シャープ社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:250mm/s)を用いて、定着ロールの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
各定着温度で得られた画像を、「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ-1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(剥離後/剥離前)が最初に90%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って低温定着性を評価した。また同時に、ホットオフセットの発生を目視にて観察し、以下の評価基準に従って耐オフセット性を評価した。結果を表3に示す。
〔低温定着性の評価基準〕
◎:最低定着温度が150℃未満
○:最低定着温度が150℃以上、170℃未満
△:最低定着温度が170℃以上、180℃未満
×:最低定着温度が180℃以上
〔耐オフセット性の評価基準〕
◎:240℃でもホットオフセットは発生しない。
○:220℃以上、240℃以下でホットオフセットが発生する。
△:190℃以上、220℃未満でホットオフセットが発生する。
×:190℃未満でホットオフセットが発生する。
試験例2〔保存性〕
トナー4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れたサンプルを2個用意し、一方は温度40℃、相対湿度60%の環境下に、他方は温度55℃、相対湿度60%の環境下に、72時間放置した。放置後、トナーを入れた容器を軽く振り、トナーの凝集発生の有無を目視により観察し、以下の評価基準に従って保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:40℃、55℃のいずれの環境下でもトナーの凝集は全く認められない。
○:40℃の環境下ではトナーの凝集は全く認められないが、55℃の環境下ではトナーの凝集の粒が僅かに観測される。
△:40℃の環境下ではトナーの凝集の粒が僅かに観測され、55℃の環境下では明らかに凝集が認められる。
×:40℃、55℃のいずれの環境下で明らかに凝集が認められる。
試験例3〔臭気〕
トナー20gをアルミカップに測り取り、150℃に加熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:臭気は全く感じられない。
○:臭気はほとんど感じられない。
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない。
×:臭気が強く感じられる。
Figure 0004749210
以上の結果より、実施例のポリエステルを含有したトナーは、高速印字下においても低温定着性及び耐オフセット性に優れ、厳しい環境下でも良好な保存性を有することが分かる。これに対して、未精製のロジンを使用した比較例1のポリエステルを含有したトナーは、ポリエステル中の低分子量成分が多いために保存性が十分でなく、臭気にも問題があることが分かる。
本発明のトナー用ポリエステルは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂等として用いられるものである。

Claims (7)

  1. 脂肪族多価アルコールを85モル%以上含有し、該脂肪族多価アルコール中、炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールの含有量が60モル%以上であるアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルを含有してなるトナーであって、分子量が500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル中、12%以下である、トナー。
  2. (メタ)アクリル酸変性ロジンの含有量が、カルボン酸成分中、5〜85重量%である、請求項1記載のトナー。
  3. (メタ)アクリル酸変性ロジンが、精製ロジンを(メタ)アクリル酸で変性して得られるものである、請求項1又は2記載のトナー。
  4. 精製ロジンが、ヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×10 7 以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×10 7 以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×10 7 以下であるロジンである、請求項3記載のトナー。
  5. アルコール成分及び/又はカルボン酸成分が、3価以上のアルコール及び/又は3価以上のカルボン酸化合物を含有してなる、請求項1〜4いずれか記載のトナー。
  6. 3価以上のカルボン酸化合物の含有量がアルコール成分100モルに対して0.1〜25モルである、請求項5記載のトナー。
  7. 縮重合を、チタン化合物及び/又はSn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在下で行う、請求項1〜6いずれか記載のトナー。
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