JP4749213B2 - トナー - Google Patents
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により算出される。ここで、SP値とは、後述の環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。式(A)の分子は、マレイン酸又は無水マレイン酸で変性したロジンのSPの上昇度を意味するものであり、式(A)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
(1) 試料の調製
ロジン10gを、170℃で2時間ホットプレートで溶融する。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK-61M)で10秒間粉砕する。
(2) 測定
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を測定する。トナー30mgにテトラヒドロフラン10mlを加え、ボールミルで1時間混合後、ポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液を調製する。
溶融した状態の試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行う。
測定機:環球式自動軟化点試験器 ASP-MGK2((株)メイテック製)
昇温速度:5℃/min
昇温開始温度:40℃
測定溶剤:グリセリン
式(A):
により算出する。飽和SP値とは、マレイン酸とロジンの反応を、得られるマレイン酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。なお、ロジン1モルの分子量は、酸価をx(mgKOH/g)とすると、ロジン1gに対して水酸化カリウム(分子量:56.1)がxmg(x×10-3g)反応していることになるから、式(B):
分子量=56100÷x (B)
により算出することができる。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した2000ml容の蒸留フラスコに1000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
A. ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
サンプル温度: 200℃
ループ温度: 200℃
トランスファーライン温度: 200℃
サンプル加熱平衡時間: 30min
バイヤル加圧ガス: ヘリウム(He)
バイヤル加圧時間: 0.3min
ループ充填時間: 0.03min
ループ平衡時間: 0.3min
注入時間: 1min
分析カラム: DB-1(60m-320μm-5μm)
キャリアー: ヘリウム(He)
流量条件: 1ml/min
注入口温度: 210℃
カラムヘッド圧: 34.2kPa
注入モード: split
スプリット比: 10:1
オーブン温度条件: 45℃(3min)-10℃/min-280℃(15min)
イオン化法: EI(電子衝撃)法
インターフェイス温度: 280℃
イオン源温度: 230℃
四重極温度: 150℃
検出モード: Scan 29-350m/s
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77℃)332g(1モル)と無水マレイン酸98g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応の無水マレイン酸及び低沸点物の留去を行い、マレイン酸変性ロジンを得た。得られたマレイン酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値は116℃であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した1000ml容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)338g(1モル)と無水マレイン酸98g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、5.3kPaの減圧下で未反応の無水マレイン酸及び低沸点物の留去を行い、マレイン酸変性ロジンを得た。得られたマレイン酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したマレイン酸変性ロジンの飽和SP値は116℃であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)
6084g(18モル)と無水マレイン酸1234.8g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンAを得た。マレイン酸変性ロジンAのSP値は116℃、マレイン酸変性度は100であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)と無水マレイン酸882g(9モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンBを得た。マレイン酸変性ロジンBのSP値は106.2℃、マレイン酸変性度は75であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)と無水マレイン酸529g(5.4モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンCを得た。マレイン酸変性ロジンCのSP値は96.4℃、マレイン酸変性度は50であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン(SP値:76.8℃)6084g(18モル)と無水マレイン酸352.8g(3.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンDを得た。マレイン酸変性ロジンDのSP値は88.6℃、マレイン酸変性度は30であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)6084g(18モル)と無水マレイン酸352.8g(3.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンEを得た。マレイン酸変性ロジンEのSP値は88.7℃、マレイン酸変性度は30であった。
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに未精製ロジン(SP値:77.0℃)5976g(18モル)と無水マレイン酸176.4g(1.8モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、250℃にて2時間反応させた後、さらに5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンFを得た。マレイン酸変性ロジンFのSP値は83.8℃、マレイン酸変性度は17であった。
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて1時間反応を行った。220℃まで冷却した後、表2に示す無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧(101.3kPa)で反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステルを得た(炭素数2〜6の2価の脂肪族アルコールは、2価のアルコール成分中100モル%、アルコール成分中100モル%である)。
表2に示すアルコール成分、マレイン酸変性ロジンを含むカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た(実施例5のポリエステルにおいては、炭素数2〜6の2価の脂肪族アルコールは、2価のアルコール成分中100モル%、アルコール成分中74モル%であり、比較例1のポリエステルにおいては、炭素数2〜6の2価の脂肪族アルコールは、2価のアルコール成分中、100モル%、アルコール成分中69モル%である)。
表3に示す実施例及び比較例のそれぞれにおいて得られたポリエステル100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)1重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度を200r/min、ロール内の加熱温度を80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmの粉体を得た。
プリンター「ページプレスト N-4」(カシオ計算機社製、定着:接触定着方式、現像方式:非磁性一成分現像方式、現像ロール径:2.3cm)にトナーを実装し、トナー付着量を0.6mg/cm2に調整して未定着画像を得た。得られた未定着画像を接触定着方式の複写機「AR-505」(シャープ社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した定着機(定着速度:200及び420mm/s)を用いて、定着ロールの温度を100℃から250℃へと5℃ずつ上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
トナー4gを、直径5cm、高さ2cmの開封系の円筒容器に入れたサンプルを用意し、温度55℃、相対湿度60%の環境下に、7日間放置した。放置後、トナーを入れた容器を軽く振り、トナーの凝集発生の有無を目視により観察し、以下の評価基準に従って保存性を評価した。結果を表4に示す
◎:トナーの凝集は全く認められない。
○:トナーの凝集の粒が僅かに観測される。
△:トナーの凝集の粒が若干多く確認できるが、実使用上問題なし。
×:大きなトナーの凝集が多数認められる。
トナー40gを、樹脂コートされたフェライトキャリア960gと混合して、現像剤を調製し、それぞれの現像剤を高温高湿下(温度35℃・相対湿度85%)で1日放置した。放置前後の摩擦帯電量をブローオフ法により測定し、以下の評価基準に従って、環境安定性を評価した。結果を表4に示す。
放置前後での帯電量変化(放置前後の帯電量差/放置前の帯電量×100)が
◎:10%以内であり、極めて良好である。
○:10%より大きく、20%以内の範囲であり、良好である。
△:20%より大きく、30%以内の範囲であり、実施上使用可能である。
×:30%より大きく、不良である。
トナー20gをアルミカップに測り取り、150℃に加熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。結果を表4に示す。
◎:臭気は全く感じられない。
○:臭気はほとんど感じられない。
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない。
×:臭気が強く感じられる。
Claims (7)
- 炭素数2〜6の2価の脂肪族アルコールを2価のアルコール成分中70モル%以上含有したアルコール成分と、マレイン酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルを含有してなるトナーであって、前記マレイン酸変性ロジンの、式(A):
により算出されるマレイン酸変性度が30〜105であり、分子量が500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル中、12%以下である、トナー。 - マレイン酸変性ロジンの含有量が、カルボン酸成分中、15〜85重量%である、請求項1記載のトナー。
- マレイン酸変性ロジンが、精製ロジンをマレイン酸で変性して得られるものである、請求項1又は2記載のトナー。
- 精製ロジンが、ヘッドスペースGC−MS法の測定条件において、ヘキサン酸のピーク強度が0.8×10 7 以下であり、ペンタン酸のピーク強度が0.4×10 7 以下であり、ベンズアルデヒドのピーク強度が0.4×10 7 以下であるロジンである、請求項3記載のトナー。
- アルコール成分及び/又はカルボン酸成分が、3価以上のアルコール及び/又は3価以上のカルボン酸化合物を含有してなる、請求項1〜4いずれか記載のトナー。
- カルボン酸成分が、3価以上のカルボン酸化合物を、アルコール成分100モルに対して、0.1〜25モル含有してなる、請求項5記載のトナー。
- 縮重合を、チタン化合物及び/又はSn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在下で行う、請求項1〜6いずれか記載のトナー。
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