JP2007057660A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた低温定着性を有し、さらに良好な帯電性と熱保管性を両立する静電荷像現像用トナー及び現像剤、画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】 着色剤とガラス転移点が60℃以下の非結晶性樹脂とを含むコア粒子の表面を、融点が65℃〜100℃の芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆してなることを特徴とする静電荷像現像用トナー、及び該トナーを含有する静電荷像現像剤、並びに該静電荷像現像剤を用いた画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置において、静電荷像の現像の為に使用する静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(静電潜像担持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。また、同種の技術として、ロールの一方または両方をベルトに代えた定着法も知られている。これらの技術は、他の定着法に比べ、直接画像と接触するため、高速で堅牢な画像が得られ、かつエネルギー効率が高い。
近年画像形成に際して必要なエネルギーの省力化への要求の高まりに伴い、ある程度の使用電力を占める定着工程の省電力化を図り、また、前記定着条件を拡大させるためには、トナーの定着温度をより低温化させる必要がある。トナー定着温度を低温化させることにより、前記省電力化および前記定着条件の拡大に加えて、電源入力時における定着ロール等の定着部材表面の定着可能温度までの待ち時間、いわゆるウォームアップタイムの短時間化、定着部材の長寿命化が可能等、大きなメリットがある。
一方、トナーの定着温度を低くする手段としては、トナー用樹脂(結着樹脂)のガラス転移点を低くする技術が一般的に行われている。しかし、ガラス転移点をあまりに低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなり、トナーの保管時や現像機内において、トナーブロッキングが発生してしまうという問題があった。また可塑剤を用いることによっても、定着温度を下げることはできるが、同様にトナーのブロッキングが発生するという問題があった。
低温定着化とトナー保存性とを両立させるためには、トナーのガラス転移点をより高温に保ったまま、高温領域でトナーの粘度が急速に低下するいわゆるシャープメルト性をもつことが必要である。しかしながらトナーに使用される樹脂は、通常ある程度ガラス転移点、分子量等に幅を持つため、シャープメルト性を得るためには、極端に樹脂の組成と、分子量とを均一にする必要がある。このような均一性の高い樹脂を得るためには、特殊な製法を用いたり、樹脂をクロマトグラフィ等で処理をすることにより樹脂の分子量を整える必要が生じてしまう。この場合、均一性の高い樹脂を作製するためのコストが高くならざるをえず、また均一性の高い樹脂の作製に際して不要な樹脂(廃棄物)が生じ、近年の環境保護の観点からも好ましくない。
一方ブロッキング防止、および、低温定着性を両立させる手段として、結晶性樹脂を結着樹脂として用いる方法が古くから知られている(例えば、特許文献2、3等参照)。しかし、結晶性樹脂は、混練粉砕法では粉砕が困難で収率が低い為、製造性の観点から実用性に欠しいという問題があった。また、製造上の実用性を確保できた場合でも、定着温度を下げることは可能であるが、必ずしも十分な耐オフセット性を得ることはできない、また結晶性樹脂は一般に樹脂強度が低く、十分な定着後の画像強度を得られないという問題があった。特に近年のフルカラー化にともない、画像面積当たりのトナー量が多い場合や、コート紙のような平滑紙を用いた場合には、そのような問題が発生しやすくなる。
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。即ち、ガラス転移温度40℃以上の非結晶性ポリエステル樹脂と、融点130〜200℃の結晶性ポリエステル樹脂とを混合して用いる技術である。しかしこの技術では、優れた微粉砕性、耐ブロッキング性を有するが、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いため、今以上の低温定着性は達成できず問題があった。
一方、低融点結晶性樹脂と非結晶性樹脂の混合し、相溶化度を制御する事で低温定着を獲得する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。更に、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂を混合して用い、定着時の温度履歴により結晶性部分が相溶化することで透明性を損なうことなく、排出時の紙同士のブロッキングを防止する技術が紹介されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし結晶性樹脂と非結晶性樹脂の相溶化が進行することで混合樹脂の可塑化が発生し、十分な熱保管性が確保できないという問題が生じる。特に海外への輸送状況や海外での使用条件を考慮すると、60℃程度での熱保管性の保障は必要となってくる。
また、湿式製法を用い、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂粒子を無定形高分子で被覆したトナーが提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
しかしながら、このトナーは定着画像強度及び帯電性の観点で必ずしも十分ではない場合がある。また安定した帯電性や製造性を得られない場合がある。
この様に、結晶性樹脂を用いたトナーでは、結晶性樹脂の利点である低温定着性は確保できるものの、熱保管性、帯電性、及び定着画像強度は十分満足できるものではなかった。
よって、相反するこれら諸特性を両立させるトナーが要求されているが、いまだ提供されていないのが現状である。
したがって、低温定着性に加えて十分な熱保管性と定着画像強度を確保し、さらに、その他の諸特性も高いレベルで両立させたトータルバランスの優れたトナーを提供することが重要である。
特公昭42−23910号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特公昭63−25335号公報 特開2004−206081号公報 特開2003−50478号公報 特開2004−191927号公報
本発明は、優れた低温定着性を有し、さらに良好な帯電性と熱保管性を両立する静電荷像現像用トナー及び現像剤、画像形成方法を提供することにある。
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1> 着色剤とガラス転移点が60℃以下の非結晶性樹脂とを含むコア粒子の表面を、融点が65℃〜100℃の芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆してなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
<2> 前記非結晶性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記静電荷像現像用トナー中における前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3〜40質量%であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
<5> 静電潜像担持体上に形成された静電潜像を上記<4>に記載の静電荷像現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された転写画像を定着する接触加熱型定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、優れた低温定着性を有し、さらに良好な帯電性と熱保管性を両立する静電荷像現像用トナー及び現像剤、画像形成方法を提供することができる。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも着色剤とガラス転移点が60℃以下の非晶性樹脂からなるコア粒子表面を、融点が65〜100℃の芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆してなることを特徴とする。
本発明の前記構成とすることにより、60℃での熱保管性を確保することができる。また結晶性樹脂の融点以上の温度ではコア粒子である非結晶性樹脂も軟化しているため、被覆した結晶性樹脂が溶融すると同時に定着することが可能となるため、従来よりも低温で定着することが可能となる。また十分な画像強度の定着画像を得ることができる。また被覆する芳香族結晶性ポリエステル樹脂は電気抵抗も高く、帯電性の観点でも優れたトナーを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(芳香族結晶性ポリエステル樹脂)
本発明のトナーにおいては、コア粒子を芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆する必要がある。
被覆する結晶性樹脂が脂肪族結晶性ポリエステル樹脂の場合、樹脂抵抗が低いために、高温高湿下条件で十分な帯電量が得られず、また帯電の保持性が十分でなく、経時とともに帯電量が変化するため、結果として安定した帯電量が得られないと推察される。
また、被覆する結晶性樹脂がポリオレフィン系結晶性樹脂の場合、樹脂に極性がないために十分な帯電量を得ることができず、またコア粒子との接着性が十分でないために被覆層が脱離してしまう場合があり、好ましくない。またその他のポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂は十分な強度を有しているものの、融点が高すぎるため低温での定着が困難となると推察される。
一般にガラス転移点が60℃以下の非結晶性樹脂を結着樹脂として用いた場合、60℃での保管性を確保することはできないが、本発明のように非結晶性樹脂を芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆することで、60℃での保管性を確保することができる。
また定着時に芳香族結晶性ポリエステル樹脂が溶融する時には、コア粒子の非結晶性樹脂も低粘度化しており、いわゆるシャープメルト性を有しているため、従来のガラス転移点の高い非結晶性樹脂のみからなるトナーに比べ、低温での定着が可能となる。
なお、本発明において、「芳香族結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂を指す。また、前記芳香族結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も芳香族結晶性ポリエステルと呼ぶ。
前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の融点は、65〜100℃の範囲であることが必要であり、70〜95℃の範囲であることが好ましく、75〜90℃の範囲がより好ましい。融点が65℃より低いと十分なトナー熱保管性が得られない。また、100℃より高いと、従来のトナーに比べて十分な低温定着性を得ることができない。また製造性の観点でも水中での乳化凝集法によるトナー作製が困難になってしまう。
本発明において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、0℃から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性の樹脂においては、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピーク温度をもって融点とみなす。
トナー中における前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、熱保管性及び定着後の画像強度の観点から、3〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましい。3質量%未満では十分にコア粒子を被覆することができず、熱保管性が悪化してしまう場合が生じる。また40質量%を超えると十分な定着後の画像強度が得られない場合が生じる。
前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、酸成分もしくはアルコール成分のどちらか一方は少なくとも芳香族成分である必要があり、芳香族酸成分と脂肪族アルコール成分とから合成されることが好ましい。
本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
−酸由来構成成分−
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸が、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすい等の点で好ましい。
その他脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。
酸由来構成成分としては、その他として2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含有していてもよい。
なお、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分である脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコスト、融点を考慮すると1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
芳香族結晶性ポリエステル樹脂の分子量(重量平均分子量Mw)は、トナーの機械的強度、及び得られた定着画像の画像強度や製造性、また定着性の観点から、8000〜35000が好ましく、10000〜30000がさらに好ましい。8000より小さい場合は定着時の耐オフセット性が十分でなく、35000を越える場合は安定した樹脂製造が困難となり、コストも増加する場合がある。
また、前記同様の観点から数平均分子量(Mn)は、3000〜20000が好ましく、3500〜16000が更に好ましい。
本発明における樹脂分子量測定は、GPCによる分子量測定法を用いて測定した。即ち、THF可溶物を、GPC・HLC−8120(東ソー製)、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
芳香族結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、8〜30mgKOH/gの範囲が好ましく、10〜25mgKOH/gの範囲がより好ましい。8mgKOH/gより小さいと紙への親和性が懸念され、30mgKOH/gを超えると帯電の環境依存性に悪影響を及ぼす場合があり好ましくない。
(非結晶性樹脂)
本発明では、非結晶性樹脂を含有するコア粒子を前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆する必要がある。芳香族結晶性ポリエステル樹脂のみでトナーを作製した場合、定着画像の強度が十分でなく、また一般的にコストが増加してしまう。そこでコア粒子に非結晶性樹脂を含有することで、定着時の画像強度が向上することができ、またコストも改善することができる。
前記非結晶性樹脂としては、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、等公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂を用いることで、芳香族結晶性ポリエステル樹脂との濡れ性が向上するため、芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆した場合に、被膜層が脱離しにくい。また定着時にコア粒子の非結晶性ポリエステル樹脂と相溶しやすいため、低温定着性が向上し、また定着画像強度をより向上することができる。
本発明において好ましく用いられる非結晶性ポリエステル樹脂とは、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。また非結晶性ポリエステル樹脂は、樹脂の酸価の調整や、イオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。
前記非結晶性ポリエステル樹脂における多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
前記非結晶性ポリエステル樹脂における多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用することも好ましい。
前記非結晶性樹脂のガラス転移点(以下Tg)は60℃以下である必要がある。Tgが60℃より高いと、低温での優れた定着ができなくなる。また、定着画像保存性の観点から、Tgは40℃以上であることが好ましい。Tgが40℃より低いと、芳香族結晶性ポリエステル樹脂を用いても定着画像の保存性が十分でない場合が生じてしまう。
本発明におけるTgの測定は、DSCスペクトルを、前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の融点の測定と同様にして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、階段状の吸熱量変化の中間点をガラス転移点(Tg)とした。
前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の溶解度パラメータSPAと、前記非結晶性樹脂の溶解度パラメータSPBが、下記式(2)及び下記式(3)の関係を満たすことが熱保管性の点で好ましい。
尚、溶解度パラメータ(以下、「SP値」という場合がある。)は、原子団の加成性を利用したFedorsらの方法[Polym.Eng.Sci.,vol.14,p147(1974)]を用いてモノマー構成より計算できる。
SP値=(ΣΔei / ΣΔvi)1/2
Δei:原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:原子または原子団のモル体積
SPB<SPA ・・・ 式(2)
SPA−SPB<0.7 ・・・ 式(3)
式(2)について、SPBがSPAよりも大きい場合、トナー作製時に芳香族結晶性樹脂がコア粒子表面を均一に被覆するのが困難になり、結果として十分な熱保管性が得られない場合が生じてしまう。
また式(3)について、SPAとSPBの差が0.7よりも大きい場合、芳香族結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂の相溶性が低下し、トナー作製時に芳香族結晶性樹脂がコア粒子表面を均一に被覆するのが困難になり、結果として十分な熱保管性が得られない場合が生じてしまう。
(着色剤)
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好ましい。
好ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用できる。
本発明の静電荷像現像用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、3〜16質量部が特に好ましい。
また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用することができる。添加形態は特に限定されず、固体状でも液状でもよい。
液状としては、例えば、着色剤分散剤を用いて着色剤分散液として使用することも有効である。該着色剤分散剤としては、特に限定されず、公知の分散剤を用いることができる。
着色剤分散液は、溶剤に着色剤を公知の分散機を用いて分散することによりえることができる。該溶剤としては、水系溶剤、有機溶剤が挙げられ、水系溶剤としては、後述のトナーの製造方法の項に記載のものが挙げられる。
前記分散機としては、後述のトナーの製造方法の項に記載のものを用いることができる。
前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
(その他の添加剤)
本実施形態におけるトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機微粒子(無機粉体)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
無機微粒子は、種々の目的のために添加できるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みを調整することができる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機微粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用することができるが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ微粒子が好ましく用いられる。
また、シリカ微粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
(静電荷像現像用トナーの製造方法)
本発明の静電荷像現像用トナー(電子写真用トナー)の製造方法としては、特に限定されず、公知の乾式製法と湿式製法等が用いることができる。
乾式製法である混錬/粉砕法の場合、シクロオレフィン系共重合樹脂と離型剤を混錬/粉砕後、分級して所望の粒径のコア粒子を作製後、あらかじめ微粒子化した被膜樹脂微粒子をハイブリダイザー等のメカノケミカル表面改質装置を用いて被膜する方法が挙げられる。
また湿式製法では、乳化凝集法、溶融懸濁法、溶解懸濁法等が挙げられる。
これらの中でも、製造性の観点から湿式製法が、また湿式製法の中でも被膜形成しやすい乳化凝集法が好ましい。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法の一例として、乳化凝集法による製造方法について説明する。
乳化凝集法は、トナーを構成する原料を乳化して乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程と、該乳化粒子(液滴)の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を融合させ熱融合させる融合工程と、を有する。
乳化工程における乳化粒子(液滴)の形成は、水系媒体と、芳香族結晶性ポリエステル樹脂を混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより成される。その際、加熱してポリマー液の粘性を下げて粒子を形成することができる。また分散した乳化粒子の安定化のため、分散剤を使用することもできる。
また、芳香族結晶性ポリエステル樹脂が、油性の溶剤で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、それらの溶剤に該樹脂を溶かした後、水中に分散剤や高分子電解質と共に微粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、芳香族結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液を作製することができる。また、非結晶性樹脂の場合も同様にして非結晶性樹脂粒子分散液を作製することができる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられるが、水以外の溶媒を用いないことが帯電安定性、形状制御性の点で好ましい。
上記分散に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
乳化粒子(液滴)の大きさとしては、製造安定性及び保管性の観点から、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.8μmがより好ましく、0.03〜0.6μmがさらに好ましい。
前記凝集工程においては、まず得られた非結晶性樹脂の乳化粒子、及び着色剤顔料分散液を、非結晶性樹脂のガラス転移点以下の温度で加熱して凝集し、凝集コア粒子を形成する。乳化粒子の凝集形成は、攪拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、2〜7が好ましく、2.2〜6がより好ましく、2.4〜5がさらに好ましい。この際、凝集剤を使用するのも有効である。
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
前記2価以上の金属錯体としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化バリウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が挙げられ、凝集力の強く、安定的に造粒できるという点で、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムが好ましく、ポリ塩化アルミニウムがより好ましい。
前記凝集コア粒子が所望の粒径になったところで、被覆樹脂である芳香族結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子を添加する。この場合さらに凝集剤を添加したり、PH調整を行ってもよい。添加した芳香族結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子は凝集コア粒子表面を覆うように付着する。この際、凝集コア粒子を十分に被覆できるよう、芳香族結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子径や添加量を調整する。こうして芳香族結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子で被覆された凝集粒子を作製する。
前記融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3〜9の範囲に上昇することにより、凝集の進行を止め、前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集コア粒子を融合させるとともに、被覆樹脂である芳香族結晶性ポリエステル樹脂も融合し、コア粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合が十分に為される程度行えばよく、0.5〜10時間程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、芳香族結晶性ポリエステル樹脂の融点近傍で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。融合して得た融合粒子はろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。
(外添剤)
本発明においては、トナー粒子表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できるが、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は、30nm〜200nmの範囲、さらには30nm〜180nmの範囲の平均1次粒子径を有することが好ましい。
トナーが小粒径化することによって、感光体との非静電的付着力が増大し、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けが引き起こされ、重ね合わせ画像等の転写ムラを生じさせる原因となる場合がある。トナーに平均1次粒子径が30nm〜200nmの大径の外添剤を添加することにより、転写性を改善させることができる。
前記外添剤の平均1次粒子径が30nmより小さいと、初期的なトナーの流動性は良好であるが、トナーと感光体との非静電的付着力を十分に低減できず、転写効率が低下し画像のぬけが発生したり、画像の均一性を悪化させてしまったりする場合がある。また、経時による現像機内でのストレスによって微粒子がトナー表面に埋め込まれ、帯電性が変化し、コピー濃度の低下や背景部へのカブリ等の問題を引き起こす場合がある。平均1次粒子径が200nmより大きいと、トナー表面から脱離しやすく、また流動性悪化の原因ともなる場合がある。
(トナーの特性)
本発明におけるトナーの体積平均粒子径は、帯電性、及び画質の観点から、3.0〜9.0μmの範囲が好ましく、4.0〜8.0μmの範囲がより好ましい。体積平均粒子径が3.0μmより小さいと、流動性が低下し各粒子の帯電性が不十分になりやすく、また帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる場合がある。体積平均粒子径が9.0μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなる場合がある。
前記体積平均粒子径の測定は、例えば、コールターカウンター[TA−II]型(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行うことができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。本発明においては、この方法を採用する。
(静電荷像現像剤)
本発明の静電荷像現像剤(以下、「静電荷像現像用現像剤」、「現像剤」とも言う。)は、前記本発明の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする。
本発明の静電荷像現像剤は、前記静電荷像現像用トナーを含有することにより、良好な帯電性と熱保管性とを両立させることができる。
本発明の現像剤は、前記トナーを含有することを特徴とするが、前記静電荷像現像用トナーをそのまま一成分を含む一成分現像剤としても、あるいは他の一成分を加えた二成分現像剤としても用いることができる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用されることが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これらを芯材として用いて、該芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される前記被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmの範囲にあり、好ましくは30〜100μmの範囲にある。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明の前記トナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、特に限定されないが、帯電性、保存性の観点から、トナー:キャリア=1:100〜30:100の範囲であることが好ましく、3:100〜20:100の範囲がより好ましい。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像剤(静電荷像現像剤)を用いて現像してトナー画像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された転写画像を定着する接触加熱型定着工程とを有することを特徴とする。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本実施形態における画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
前記静電潜像担持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。
次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー画像を形成する(現像工程)。
形成されたトナー画像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の転写材上(表面)に転写される(転写工程)。
さらに、転写材表面に転写された転写画像は、定着機により接触加熱定着され、最終的なトナー像が形成される(接触加熱定着工程)。
なお、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、定着機における定着部材に離型オイルが供給される。前記離型オイルの使用量は2.0×10-2mg/cm2以下の範囲で前記定着部材に供給されていることが好ましく、8.0×10-3mg/cm2以下の範囲がより好ましい。
前記離型オイルの供給量が、2.0×10-2mg/cm2を越えると、定着後に画像表面に付着した離型オイルのために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、転写材への離型オイルの付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、離型オイルの供給量は、多くなるほど離型オイルを貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
離型オイルとしては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体離型剤等が挙げられる。中でも、前記定着部材の表面に吸着し、均質な離型オイル層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型オイル層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記離型オイルを供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、離型オイルを均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。
前記離型オイルの供給量は、以下のようにして測定できる。即ち、その表面に離型オイルを供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙を通過させると、該普通紙上に離型オイルが付着する。この付着した離型オイルをソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。このヘキサン中に含まれる離型オイルの量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型オイルの量を定量できる。この量を離型オイルの定着部材への供給量と定義する。
トナー像を転写する転写材(以下、「記録材」とも言う。)としては、特に限定されず用いることができ、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
またシアン、マゼンタ、イエローからなる画像面積率100%の単色画像の定着後の画像光沢度(75°)が50%以上であることが好ましい。フルカラー画像では発色性や写真画質再現性の観点から画像光沢度が高い事が好ましい。さらに高画質化のために塗工紙のような高光沢な紙を使用する場合、紙の光沢よりも画像光沢が著しく低いと視覚的に暗い画像に見えるため、定着画像が紙の光沢性よりも高光沢であることがより好ましい。例えば光沢度(75°)が50%以上のコート紙のような塗工紙を用いて定着した場合、定着後の画像光沢度は50%以上が好ましく、60%以上が好ましい。測定はJIS Z 8741:97に記載の75度鏡面光沢度に基づき測定する事ができ、本発明は該測定法を採用する。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の「%」及び「部」は、特に断らない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を示す。
(芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、テレフタル酸ジメチル200部と、1,9−ノナンジオール188部と、フマル酸ジメチル8.5部と、5−ターシャリーブチルイソフタル酸ジメチル22部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル4部と、ジメチルスルホキシド200部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.3部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。
その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)340部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は27500であり、数平均分子量(Mn)は7200であった。
また、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点(Tm)を、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)の熱分析装置を用いて測定した。測定は、室温から160℃まで毎分10℃の昇温速度で行い、融点をJIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。この方法で測定したところ明確なピークを有し、ピークトップの温度は82℃であった。
(芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製)
合成した芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)溶融体と同時に上記キャビトロン(株式会社ユーロテック製)に移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径0.20μmの芳香族結晶性ポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
(芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)の合成と分散液の作製)
前記「芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成」の合成において、5−ターシャリーブチルイソフタル酸ジメチルを除き、テレフタル酸ジメチルを215部とした以外は「芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成」と同様にして、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
得られた芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)のMwは12900であり、Mnは5200であった。また芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)のDSC測定では明確なピークを有し、融点は91℃であった。
芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製と同様にして、体積平均粒径0.24μmの芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
(脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と分散液の作製)
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル40部と、1,10−デカンジオール32.8部と、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル4.2部と、ジメチルスルホキシド27部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)65部を合成した。
得られた脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(MW)は6800であり、数平均分子量(Mn)は3600であった。また脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)のDSC測定では明確なピークを有し、融点は76℃であった。
芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製と同様にして、体積平均粒径0.19μmの脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
(結晶性ポリウレタン樹脂の合成と分散液の作製)
1.9−ノナンジオール40部とヘキサメチレンジアミン29部を原料に、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03部を用いて結晶性ポリウレタン樹脂64.5部を脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)と同様の条件で合成した。
得られた結晶性ポリウレタン樹脂のMwは12600であり、Mnは5000であった。また結晶性ポリウレタン樹脂のDSC測定では、明確なピークを有し、融点は137℃であった。
次に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製と同様にして、体積平均粒径0.32μmの結晶性ポリウレタン樹脂分散液(樹脂粒子濃度:15質量%)を得た。
(非結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と分散液の作製)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン90モル部と、エチレングリコール10モル部、テレフタル酸90モル部と、n−ドデセニルコハク酸10モル部と、これらの酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチル錫オキサイドと、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られた非結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は11200であり、数平均分子量(Mn)は5200であった。
DSCスペクトルを、前述の融点の測定と同様にして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移点(Tg)は52℃であった。
次に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製と同様にして、体積平均粒径0.21μmの非結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液(樹脂粒子濃度:20質量%)を得た。
(非結晶性ポリエステル樹脂(2)の合成と分散液の作製)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン35モル部と、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン65モル部と、テレフタル酸90モル部と、n−ドデセニルコハク酸10モル部を入れ、非結晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして非結晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
得られた非結晶性ポリエステル樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)は13200であり、数平均分子量(Mn)は6000であった。またガラス転移点(Tg)は65℃であった。
次に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液の作製と同様にして、体積平均粒径0.24μmの非結晶性ポリエステル樹脂(2)分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
(離型剤分散液の作製)
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径が0.23μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
(着色剤分散液の作製)
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。
着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は、0.16μm、着色剤粒子濃度は23質量%であった。
(実施例1)
−トナー(1)の製造−
・非結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液:325部
・着色剤分散液:21.74部
・離型剤分散液:50部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturrax(IKA 社製)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散混合した。
ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、Ultraturraxの回転数を5000rpmにして15分間分散混合して原料分散液とした。
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、42℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、原料分散液のpHは2.2〜3.5の範囲に制御するため、必要に応じて、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行なった。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。この際コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて測定したコア凝集粒子の体積平均粒子径は約5.4μmであった。
次に、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液:100部を追添加し、コア凝集粒子表面に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)微粒子を付着させた。さらに44℃に昇温し、光学顕微鏡及びコールターカウンターで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。
続いて、凝集粒子を融合させるために、pHを8.0に上げた後、95℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後95℃で保持したまま、pHを6.0まで下げて、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥して着色粒子(1)を得た。
得られた着色粒子(1)の体積平均粒子径は6.2μmであった。
この着色粒子100部に対して、外添剤として、表面疎水化処理した、1次粒子径40nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)1.0部と、メタチタン酸100重量部にイソブチルトリメトキシシラン40部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10部で処理した反応生成物である1次粒子平均径20nmのメタチタン酸化合物微粒子1.0部とを添加し、ヘンシェルミキサーで5分間混合した。さらに超音波振動篩(ダルトン社製)にかけてトナー(1)を得た。
(キャリア)
・フェライト粒子(平均粒径;35μm) 100部
・トルエン 14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24dyn/cm)
1.6部
・カーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製、抵抗100Ωcm以下) 0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径;0.3μm、トルエン不溶) 0.3部
フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで分散し、被膜層形成液を調合した。さらにこの被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーにいれ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た。(ただし、キャリア樹脂であるパーフルオロアクリレート共重合体にカーボンブラックをトルエンに希釈してサンドミルで分散しておいた。)
<トナーの諸評価>
(粉体凝集性(耐トナーブロッキング性)の測定・評価)
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い、上段より目開き53μm、45μm、及び、38μmのふるいを直列的に配置し、53μmのふるい上に正確に秤量した2gの上記トナー(1)を投入し、振幅1mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のトナー重量を測定し、それぞれに0.5、0.3、及び、0.1の重みをかけて加算し、百分率で算出した。
試料(上記トナー(1))は60℃/50%RHの環境下で約24時間放置したものを用い、測定は25℃/50%RHの環境下で行った。結果を表1に示す。 尚、本発明において、前記粉体凝集性は前記振動後のトナー重量が40%以下であれば、通常実用上問題無く使用できるが、好ましくは30%以下である。
(帯電評価)
得られたトナー(1):36gと上記キャリア:414gを2LのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmのメッシュで篩分して現像剤(1)を作製した。
得られた現像剤(1)をDocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填して、28℃/85%RHの環境下(高温高湿環境下)でそれぞれ24時間シーズニングした。その後それぞれの現像機を3分間空回しを行い、現像剤の帯電量をブローオフ帯電量測定機(東芝社製)を用いて帯電量(μC/g)を測定した。結果を表1に表す。
(低温定着性、画像光沢性、耐筆記性の評価)
得られた現像剤(1)を定着装置を取り外したDocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填して、未定着画像を採取した。画像条件は40mm×50mmのソリッド画像で、トナー量は1.5mg/cm2、記録紙はミラーコートプラチナ紙(坪量:127gsm)を使用した。
ついで、DocuPrint C2220の定着機を定着温度が可変となるように改造して、定着温度を100℃から200℃の間で段階的に上昇させながら画像の低温定着性を評価した。
なお低温定着性は、離型不良による画像欠損のない、良好な定着画像を一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いをグレード付けし、実用上問題とならないグレードにおける定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。最低定着温度は、120℃以下であれば、従来に比べ十分な低温定着性を有しているといえるレベルである。結果を表1に表す。
また前記最低定着温度より20℃高い温度で定着したサンプルの画像光沢性の評価を行った。測定はJIS Z 8741に基づき、Gloss Meter GM−26D(村上色彩技術研究所製)を用い、入射角75°で測定した。画像光沢性が40%以上であれば、実用上好ましいレベルである。結果を表1に表す。
また定着画像強度表す指標として、前記最低定着温度より40℃高い温度で定着したサンプルの耐筆記性の評価を行った。
耐筆記性の評価は、定着画像にボールペンで書き込みを行い、耐筆記性レベルを目視で確認し、以下の基準によって判断した。用紙は、富士ゼロックスオフィスサプライ社製の商品名「ミラーコートプラチナ」を用いた。
○:ボールペンの書き込みに対して画像欠陥が生じない。
△:ボールペンの書き込みに対してわずかな画像欠陥が認められる。
×:ボールペンの書き込みに対して著しい画像欠陥が生じる。
耐筆記性は○が実用上好ましいレベルである。結果を表1に表す。
(実施例2)
非結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液:325部を275部に、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液:100部を150部に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー(2)を得た。トナー(2)の体積平均粒径は6.5μmであった。
得られたトナー(2)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(実施例3)
実施例2において、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を芳香族結晶性ポリエステル樹脂(2)分散液に換えた以外は実施例2と同様にしてトナー(3)を得た。トナー(3)の体積平均粒径は6.3μmであった。
得られたトナー(3)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例1)
実施例1において、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を脂肪族結晶性ポリエステル樹脂分散液に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー(4)を得た。トナー(4)の体積平均粒径は6.1μmであった。
得られたトナー(4)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例2)
実施例1において、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を結晶性ポリウレタン樹脂分散液に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー(5)を得た。トナー(5)の体積平均粒径は5.8μmであった。
得られたトナー(5)を電子顕微鏡でトナー表面観察を実施したところ、トナー表面のポリウレタン樹脂微粒子が完全に溶融しておらず、均一な被覆層が形成できていなかった。得られたトナー(5)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例3)
実施例1において、非結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を非結晶性ポリエステル樹脂(2)分散液に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー(6)を得た。トナー(6)の体積平均粒径は6.2μmであった。
得られたトナー(6)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例4)
実施例1において、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を脂肪族結晶性ポリエステル樹脂分散液に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー(7)を得た。トナー(7)の体積平均粒径は6.1μmであった。
得られたトナー(7)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例5)
実施例1において、非結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を425gに換え、コア凝集粒子を体積平均粒径は6.1μmまで凝集させた。次に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を添加せずに融合させ、実施例1と同様にしてトナー(8)を得た。トナー(8)の体積平均粒径は6.1μmであった。
得られたトナー(8)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
(比較例6)
比較例3において、非結晶性ポリエステル樹脂(2)分散液を425部に換え、コア凝集粒子を体積平均粒径は6.4μmまで凝集させた。次に芳香族結晶性ポリエステル樹脂(1)分散液を添加せずに融合させ、比較例3と同様にしてトナー(9)を得た。トナー(9)の体積平均粒径は6.4μmであった。
得られたトナー(9)を用いて実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に表す。
Figure 2007057660
表1に示す結果から、実施例1では60℃以下の低Tg非結晶性樹脂からなるコア粒子を芳香族結晶性樹脂で被覆したトナーであるため、60℃の熱凝集度が良好であり、また十分な帯電性を有している。また芳香族結晶性樹脂が溶融した瞬間にはコア粒子も低粘度化しており、相溶することでさらに低粘度化するため、優れた低温定着性と高い画像光沢性を実現している。また十分な定着画像強度も有している。実施例2は芳香族結晶性樹脂比率を、実施例3は芳香族結晶性樹脂の融点をそれぞれ上げているが、実施例1同様に良好な結果が得られている。
一方、比較例1では樹脂抵抗の低い脂肪族結晶性ポリエステル樹脂で被覆しているため、十分な帯電性が得られていない。比較例2では融点の高い結晶性ポリウレタンで被覆しているため、低温定着性が損なわれている。また融点に対して融合温度が低いため、均一で平滑な被覆層が形成できておらず、帯電性や熱凝集度も十分ではない。比較例3はコア粒子の非結晶性樹脂のTgが高いため、従来に比べ十分な低温定着性が得られていない。比較例4は脂肪族結晶性ポリエステル樹脂の比率が多すぎるため、結晶性樹脂の課題である定着画像強度が十分改善していない。比較例5は実施例1に対して芳香族結晶性樹脂で被覆していないため、60℃の熱凝集度が悪化しており、画像光沢性も低い。比較例6は従来Tgのトナーであり、低温定着性や画像光沢性の観点で十分ではない。

Claims (5)

  1. 着色剤とガラス転移点が60℃以下の非結晶性樹脂とを含むコア粒子の表面を、融点が65℃〜100℃の芳香族結晶性ポリエステル樹脂で被覆してなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記非結晶性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記静電荷像現像用トナー中における前記芳香族結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3〜40質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
  5. 静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項4に記載の静電荷像現像剤を用いて現像してトナー画像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を転写材上に転写して転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された転写画像を定着する接触加熱型定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015121661A (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

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