JP4352924B2 - 電子写真用トナーおよびその製造方法、電子写真用現像剤、並びに、画像形成方法 - Google Patents

電子写真用トナーおよびその製造方法、電子写真用現像剤、並びに、画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法または静電記録法などにより形成される静電潜像を現像する際に用いられる電子写真用トナー、電子写真用トナーおよびその製造方法、電子写真用現像剤、並びに、画像形成方法に関する。
電子写真法等、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電工程、露光工程を経ることにより感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、この静電荷像をトナーを含む現像剤で現像する現像工程を経た後、更に転写工程、定着工程を経て記録媒体上に画像が形成される。
ここで用いられる現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤とがある。このトナーの製造法は、通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックス等の離型剤と共に溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕法が使用されている。 このようにして形成されたトナーには、必要に応じて流動性やクリーニング性を改善するための無機或いは有機の微粒子が添加され、トナー粒子表面に付着させる。
しかし、通常の混練粉砕法で得られたトナーは、トナー形状およびトナーの表面構造は不定形である。また、トナー形状および表面構造は、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により微妙に変化するものの、これらの意図的な制御は困難である。更に、特に粉砕性の高い材料を用いて作製されたトナーの場合、現像機中における機械力などにより、微粉の発生を招いたり、トナー形状の変化を招いたりすることがしばしばである。
これらの影響により、二成分現像剤においては、微粉のキャリア表面への固着により現像剤の帯電劣化が加速されたり、一成分現像剤においては、粒度分布の拡大によりトナー飛散が生じたり、トナー形状の変化による現像性の低下により画質の劣化が生じやすくなったりする。
また、ワックス等の離型剤を内添して作製されたトナーでは、トナーの作製に用いた離型剤と熱可塑性樹脂との組み合わせによっては、トナー表面に離型剤が露出するため現像に際して種々の影響を与えることが多い。例えば、トナー表面に露出した離型剤が、画像形成に際して加わる機械力によって、他の部材へとより容易に移行するために、現像ロール、感光体およびキャリアの表面汚染を生じやすく、信頼性の低下を招いてしまう場合がある。
一方、近年、湿式製法を利用して作製されたトナーが使用されるようになってきている。このようなトナーは、離型剤を内包することができるためトナー表面に離型剤が露出することを防げる上、現像機中での微粉の発生が少なく、現像ロール、感光体およびキャリアの表面汚染の抑制に対しては有利である。このような湿式製法としては乳化凝集合一法が挙げられる(例えば、特許文献1、2等参照)。
乳化凝集合一法は、粒径が1μm以下の樹脂微粒子等のトナー構成原料からなる各種の微粒子を凝集させ、トナー径に相当する凝集体を形成した後、この凝集体を合一させる工程を経てトナーを作製する方法である。凝集体を合一させる工程において、凝集体は、最終的にその形状が球形に近づくように合一化が進むが、合一過程の途中で、形状が不定形を保ったままトナーを得ることもできる。
乳化凝集合一法で作製されたトナーは、混練粉砕トナーより球形に近いため、一般的に転写効率は、混練粉砕トナーより良好である。さらに、乳化凝集合一法を利用すれば、離型剤を含むコア層と、このコア層を被覆するシェル層とを設けたような所謂コア/シェル構造を有するトナーを作製することにより、離型剤をトナーに内包することもできる。また、上述したように不定形なトナーも得られる。このため、クリーニング性および転写性の双方に優れたトナーを得ることもできる
また、省エネルギー化の観点からは、定着時にトナーを熱定着する際の定着温度は低い方が好ましく、この点で、結着樹脂として低温定着性に優れた結晶性樹脂が利用されるようになってきた。このような結晶性樹脂は、その融点が50℃〜100℃程度と低いため、低温定着には好適である。
このため、結晶性樹脂を用い、乳化凝集合一法を利用して作製された離型剤を内包するコア/シェル構造を有するトナーは、低温定着性に優れることに加えて、離型剤のトナー表面への露出を抑制できるため現像ロールや、感光体、キャリア等の表面汚染を防ぐことができる。
しかし、コア/シェル構造を有するトナーでは、シェル層を設け、その厚みを厚くすることにより、コア層に含まれる離型剤の露出が抑制されるというメリットがあるものの、シェル層の厚みの増大に伴い定着時の離型剤の溶出性の低下により剥離性が低下するというデメリットもあった。
加えて、離型剤を内包させたコア/シェル構造を有するトナーを作製しようとする場合には、合一を行う際の加熱により結晶性樹脂の粘度が低くなり過ぎる傾向にあるため結晶性樹脂マトリックス中に分散している離型剤が溶融することによって次第に大きなドメインを形成してしまい、OHPフィルム上に画像を形成した場合、画像層内部に離型剤が残留して透明性が悪化してしまうという問題もあった。
一方、離型剤を含むワックス層を中間層として設けたトナーが提案されている(特許文献3参照)。このようなトナーは、離型性の向上や、結着樹脂マトリックス中での大きな離型剤ドメインの形成による透明性低下の防止することができるため、上述した離型剤を内包するコア/シェル構造を有するトナーの欠点を補うことができる。さらに、離型剤の使用量を少なくすることができるため画像形成後の画像表面のべたつきを抑制することもできる。
しかし、この技術は、低温定着のニーズが弱かった頃に開発された技術であるため、低温定着への対応については殆ど考慮されておらず、この技術を用いて作製されたトナーでは、低温定着には十分に対応することが出来ない。
特開昭63−282752号公報 特開平6−250439号公報 特開平11−327201号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、剥離性および低温定着性に優れると共に、更に画像形成時に加わるストレスに対する耐久性にも優れた電子写真用トナーおよびその製造方法、これを用いた電子写真用現像剤、並びに、画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1>
結晶性樹脂と、着色剤と少なくとも含むコア層と、該コア層を被覆する離型剤を含むワックス層と、該ワックス層を被覆するアモルファス樹脂を含むシェル層と、を有することを特徴とする電子写真用トナーである。
<2>
前記離型剤の融点が、75℃以下であることを特徴とする<1>に記載の電子写真用トナーである。
<3>
前記離型剤が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エステルワックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の電子写真用トナーである。
<4>
前記アモルファス樹脂の重量平均分子量が5000〜50000の範囲内であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーである。
<5>
前記シェル層の厚みが0.05〜0.5μmの範囲内であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載のの電子写真用トナーである。
<6>
湿式製法を利用することを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーの製造方法である。
<7>
前記湿式製法が、前記結晶性樹脂からなる微粒子を含む結晶性樹脂微粒子分散液と、前記着色剤からなる微粒子を含む着色剤分散液と、を少なくとも混合した混合溶液中で、コア凝集体を形成する凝集工程と、
前記コア凝集体を、前記結晶性樹脂の融点近傍かつ融点以上の温度域側で加熱することにより融合・合一し、コア融合体を形成する融合工程と、
前記コア融合体が形成された混合溶液に、前記離型剤からなる微粒子を含む離型剤分散液を添加し、前記コア融合体の表面に前記離型剤からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス凝集体を形成する離型剤付着工程と、
前記コア/ワックス凝集体が形成された混合溶液に、前記アモルファス樹脂からなる微粒子を含むアモルファス樹脂微粒子分散液を添加し、前記コア/ワックス凝集体の表面に前記アモルファス樹脂微粒子からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス/シェル凝集体を形成するアモルファス樹脂付着工程と、を含むことを特徴とする<6>に記載の電子写真用トナーの製造方法である。
<8>
<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真用トナーを含む電子写真用現像剤である。
<9>
潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含み、一定のプロセススピードで画像を形成する画像形成方法において、
前記プロセススピードが、200mm/s以上であることを特徴とする画像形成方法である。
<10>
前記熱定着時の加熱温度が、160℃以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法である。
<11>
前記定着工程が、オイルレス定着により行われることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成方法である。
以上に説明したように本発明によれば、剥離性および低温定着性に優れると共に、更に画像形成時に加わるストレスに対する耐久性にも優れた電子写真用トナーおよびその製造方法、これを用いた電子写真用現像剤、並びに、画像形成方法を提供することができる。
<電子写真用トナーおよびその製造方法>
本発明の電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、結晶性樹脂と、着色剤と少なくとも含むコア層と、該コア層を被覆する離型剤を含むワックス層と、該ワックス層を被覆するアモルファス樹脂を含むシェル層と、を有する。
従って、本発明のトナーは、従来の2つのタイプのトナー、すなわち、剥離性に関しては劣る場合があるものの、低温定着性に優れた結晶性樹脂を用いたコア/シェルタイプのトナー、および、低温定着性に関しては劣る場合があるものの、剥離性に優れた中間層としてワックス層を設けたトナーの双方の構造を兼ね備えたトナーとすることにより、剥離性および低温定着性の双方を高いレベルで両立させることができる。
一方、中間層としてワックス層を設けたトナーでは、このワックス層を被覆する最外層を構成する材料が柔軟性に劣る場合には、最外層の耐衝撃性は低下するため、画像形成に際してトナーに加わるストレスによって最外層が破壊される場合がある。このようなトナーの破壊が起こった場合には、離型剤がトナー表面に露出して、画像形成装置内の他の部材を汚染したり、トナーから離型剤が流出して離型性そのものが失われる場合がある。
加えて、画像形成装置には、近年、ビジネスユーズ、パーソナルユースを問わず、更なる高速化が求められている。このような高速化に対応するには画像形成時のプロセススピードを更に向上させる必要があるが、この場合、画像形成に際してトナーはより大きい機械力(ストレス)に曝されることになる。このため、従来のような中間層としてワックス層を設けたトナーでは、高速化への対応は益々困難になると考えられる。
しかしながら、本発明のトナーは最外層であるシェル層が、柔軟性に優れたアモルファス樹脂を含むものであるため、トナーに加わるストレスを受け止めるシェル層の耐衝撃性に優れ、上述したようなトナーの破壊が起こりにくい。このため、従来よりも更に高速で画像形成を行うことができる画像形成装置に本発明のトナーを用いても、本発明のトナーはストレスに対する耐久性に優れているため、トナーの破壊に伴うような何らのトラブル無く極めて信頼性の高い画像形成を行うことが可能である。
次に、本発明のトナーの具体的な構造や、構成材料等についてより詳細に説明する。
−トナーの構造−
本発明のトナーの層構造は、上述したようにコア層と、これを被覆する離型剤を含むワックス層と、このワックス層を被覆するシェル層とを有するものであり、通常は、この3層から構成されることが好ましい。また、各々の層の大きさ、すなわちコア層の直径や、ワックス層、シェル層の厚みは適宜選択することができる。
しかし、画像形成に際してトナーに加わるストレスに対する耐久力を十分に確保するために、シェル層の厚みは少なくとも0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることが更に好ましい。シェル層の厚みが0.01μm未満である場合には、柔軟性に優れたアモルファス樹脂を用いて形成されたシェル層であっても、厚みが薄すぎるためにストレスが加わった際にシェル層が破壊されてしまう場合がある。
なお、シェル層の厚みはストレスに対する耐久性を高めるために厚い方が好ましいが、厚過ぎる場合には定着に際してワックス層からの離型剤の溶出が困難となり剥離性が低下する場合がある。このため、シェル層の厚みは0.5μm以下であることが好ましい。
一方、本発明のトナーは、その構成材料として、基本的に結晶性樹脂、着色剤、離型剤、および、アモルファス樹脂の4種類の材料を必ず用い、その他にも必要に応じて種々の内添剤および外添剤を利用することができる。
ここで、上記4つの材料に関しては、コア層には少なくとも結晶性樹脂および着色剤が、ワックス層には少なくとも離型剤が、シェル層にはアモルファス樹脂がそれぞれ必ず含まれる。しかし、コア層は結晶性樹脂および着色剤のみを含み、ワックス層は離型剤のみを含み、シェル層はアモルファス樹脂のみを含むことがより好ましい。特に、トナーに加わるストレスに対する耐久性の確保という点でシェル層がアモルファス樹脂が主成分として含まれていることは重要である。
また、トナーの体積平均粒子径は、3.0〜9.0μmの範囲内が好ましく、4.0〜8.0μmの範囲がより好ましい。体積平均粒子径が3.0μmより小さいと、流動性が低下しトナー粒子の帯電性が不十分になりやすく、また帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる場合がある。一方、体積平均粒子径が9.0μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなる場合がある。
−トナーの構成材料−
(結晶性樹脂)
本発明のトナーに用いられる結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が特に好適である。
なお、本発明において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指し、具体的には、吸熱ピークの半値幅が、15℃以下であることが必要であり、10℃以下であることが好ましい。これによりトナーが、温度の変化に対して粘度が急峻に変化する物性を有することができる。
また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も上述のような熱的特性を満たす場合には、本発明で定義する結晶性ポリエステル樹脂に分類されるものとする。
本発明のトナーのコア層を構成する結着樹脂の主成分である結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50〜100℃の範囲であることが好ましく、55〜95℃の範囲であることがより好ましく、60〜90℃の範囲であることが更に好ましい。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、融点が100℃より高いと、低温定着が困難になる場合がある。
なお、本発明において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。但し、結晶性の樹脂においては、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークを示す温度をもって融点とみなす。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂は下記式(1)で示されるエステル濃度Mが、0.05以上0.11以下であることが好ましい。
・式(1) M=K/A
但し、式(1)中、Mはエステル濃度を表し、Kは結晶性ポリエステル樹脂に含まれるエステル基の数(1分子当たりの平均数)を表し、Aは結晶性ポリエステル樹脂の高分子鎖を構成する原子数(1分子当たりの平均数)を表す。
ここで、上記「エステル濃度M」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。前記式(1)中のKで表される「結晶性ポリエステル樹脂に含まれるエステル基の数」は、言い換えれば結晶性ポリエステル樹脂全体に含まれるエステル結合の数を指す。
前記式(1)中のAで表される「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」は、結晶性ポリエステル樹脂の高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つとの計10個の原子のうち、上記「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、上記「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」に含まれない。
結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2O−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式(1−1)により、求めることができる。
・式(1−1) M=2/A’
但し、上記式(1−1)中、Mはエステル濃度を、A’は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
また、結晶性ポリエステル樹脂が、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、前記式(1)に代入することで、求めることができる。例えば、共重合単位がXa、XbおよびXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(Xb)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式(1−2)により、求めることができる。
・式(1−2) M={KXa×a+KXb×b+KXc×c}/{AXa×a+AXb×b+AXc×c}
但し、上記式(1−2)中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。
結晶性ポリエステル樹脂のエステル濃度Mは、これを用いて作製したトナーの帯電性に大きな影響を与える。これはエステル濃度Mにより樹脂抵抗が変化するのが主要因であり、エステル濃度Mが大きくなると樹脂抵抗が低下し、帯電性が低下してしまう。本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂においては、そのエステル濃度を0.05〜0.11の範囲内とすることが好ましい。この場合、十分な帯電性や帯電安定性が得られるとともに、安定してトナーを作製することが容易である。
前記エステル濃度Mが0.05未満では、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなり、紙等の記録媒体表面への接着性も低下する。また、結晶性ポリエステル樹脂の構成単位としてスルホン酸成分を含有させても、疎水性が強く、かつ、溶剤への溶解性も低下することから安定してトナーを作製することが困難となる場合がある。さらに、結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるモノマーも高価になるためコスト的にも好ましくない場合がある。なお、エステル濃度の下限としては0.055がより好ましく、0.06が更に好ましい。
一方、エステル濃度が0.11を超えると、樹脂抵抗が低下し、トナーの帯電性が低下してしまう場合がある。また、融点も低くなりすぎるため、粉体や定着画像の安定性も低下してしまう場合がある。なお、エステル濃度の上限としては0.105がより好ましく、0.102が更に好ましい。
既述の如く、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、前記式(1)で定義されるエステル濃度Mが0.05〜0.11の範囲内の結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「特定のポリエステル樹脂」という場合がある。)を、主成分として用いることが好ましい。
ここで「主成分」とは、結着樹脂として用いられる結晶性樹脂およびアモルファス樹脂を構成する成分のうち、主たる成分のことを指し、具体的には、前記結着樹脂の50重量%以上を構成する成分を意味する。ただし、本発明において、前記結着樹脂のうち、特定のポリエステル樹脂が70%重量以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく、特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸が、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすい等の点で好ましい。
前記酸由来構成成分としては前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分や芳香族ジカルボン酸由来成分のほかに、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含むことが好ましい。結晶性樹脂を結着樹脂の主成分にした場合、従来の粉砕法によるトナー作製は困難となる。しかし、本発明のトナーを湿式製法で作製する場合には、トナーの作製に用いる結晶性樹脂としてスルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含有するものと利用することで、溶剤及び水への溶解性が向上し、湿式造粒性が格段に向上することができる。
加えて、後述するような湿式製法を利用して本発明のトナーを作製する際に使用する界面活性剤の量を低減または使用しないで造粒することが可能となるため、後の洗浄工程が簡易化できる。さらに分子間凝集力が向上するため、耐オフセット性に有効であり、加えて、コア層のマトリックスを構成する結晶性樹脂中に顔料等の着色剤の分散を良好にできる点でも有効である。
このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分の全酸由来構成成分における含有量としては、0.1〜6.0構成モル%であり、0.5〜5.0構成モル%がより好ましい。
前記含有量が6.0構成モル%を超えると、合成されるポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下したりしてしまう場合がある。また樹脂抵抗が低下し水分が吸着しやすくなるため、帯電量、特に高湿下での帯電量が低下し過ぎてしまう。0.1構成モル%より下回ると特にエステル濃度が低い場合に溶剤や水への溶解性が悪くなり、製造性が著しく悪くなってしまう場合や、顔料の分散性が悪化する場合もある。
また前記酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含んでもよい。尚、上記2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記2重結合を持つジカルボン酸は、その2重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
これらの、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分を含有させた場合、全酸由来構成成分における含有量としては、20構成モル%以下が好ましく、10構成モル%以下がより好ましい。前記含有量が20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下してしまう。
なお、本発明において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分としては脂肪族ジカルボン酸を用いることが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記アルコール由来構成成分は、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であるこことが好ましく、この場合、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上であるのが好ましい。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分等の構成成分が挙げられる。
前記2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
上記2重結合を持つジオール由来構成成分を含有させる場合、アルコール由来構成成分における含有量としては、20構成モル%以下が好ましく、10構成モル%以下がより好ましい。
上記含有量が20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下してしまう場合がある。
上記の結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、合成原料として用いるモノマーの種類によって使い分けて合成することができる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
得られた結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、後述する乳化分散法等を利用したトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの帯電性や環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、5〜30mgKOH/gであることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
(離型剤)
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル、ペンタエリスリトール、高級アルコールエステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。これらのワックスは2種以上を組み合わせて利用する事ができる。
また、離型剤の融点は、50〜120℃の範囲内が好ましく、50〜100℃の範囲内が好ましく、50〜75℃の範囲内がより好ましい。また、シェル層に含まれるアモルファス樹脂の融点以下であることがより好ましい。
離型剤の融点が50℃未満では、離型剤の変化温度が低すぎ、耐ブロッキング性が劣ったり、複写機内の温度が高まった時に現像性が悪化したりする場合がある。一方、融点が120℃を超える場合には、離型剤の変化温度が高過ぎ、結晶性樹脂の低温定着性を損ねてしまう場合がある。なお離型剤の融点は結晶性樹脂の融点と同様の方法で測定することができる。
離型剤の総含有量としては、トナーの主たる構成成分(すなわち、結晶性ポリエステル樹脂、アモルファス樹脂、離型剤、および、着色剤の総量)100質量部に対し4〜22質量部の範囲内が好ましく、4〜16質量部の範囲内がより好ましい。
離型剤の総含有量が4質量部未満であると、離型剤添加の効果がない場合がある。22質量部以上であると、帯電性への悪影響が現れやすくなり、また現像器内部においてトナーが破壊されやすくなるため離型剤やトナー樹脂のキャリアへのスペント化が生じ、帯電が低下しやすくなる等の影響が現れるばかりでなく、著しく造粒制御性が悪化し所望の粒度/分布のトナーを作製することが困難となってしまう場合がある。
(着色剤)
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好ましい。
好ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用できる。
また、着色剤として磁性粉を使用することもできる。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルなどの強磁性金属、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合金、酸化物などの公知の磁性体が使用できる。
これらは単独で使用可能な他、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これら着色剤の含有量としては、トナーの作製に用いる結着樹脂(すなわち、結晶性樹脂およびアモルファス樹脂)の100質量部に対して0.1〜40質量部の範囲内が好ましく、1〜30質量部の範囲内がより好ましい。
なお、前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
(アモルファス樹脂)
アモルファス樹脂としては公知のアモルファス樹脂を用いることができ、例えば、非結晶性のポリエステル樹脂や、非結晶性のビニル系樹脂等を挙げることができる。なお、後述するような湿式製法を利用して本発明のトナーを作製する場合には、樹脂ラテックスとして利用することができるアモルファス樹脂であることが好ましい。加えて、アモルファス樹脂は、シェル層に必ず含まれるものであるため、この点から以下のような物性を満たすことが好ましい。
まず、ガラス転移温度としては40℃〜80℃の範囲内であることが好ましく、50〜80℃の範囲内であることがより好ましい。ガラス転移温度が40℃未満である場合には、トナーが高温環境下に曝された場合に、シェル層が溶解し、更に離型剤が溶出/露出する等により、保存性などが劣化してしまう場合がある。一方、ガラス転移温度が80℃を超える場合には、低温定着に際してシェル層が溶解せず、シェル層の内側に設けられたワックス層から離型剤が十分に溶出できないため剥離性が低下してしまう場合がある。
加えて、アモルファス樹脂の重量平均分子量としては、5000〜50000の範囲内が好ましく、20000〜40000の範囲内がより好ましく、25000〜35000の範囲内が更に好ましい。重量平均分子量が5000未満の場合には、シェル層に加わるストレスに耐えうるだけの柔軟性が不足してくるために、トナーのストレスに対する耐久性が劣化してしまい、トナーの破壊が起こり易くなる場合がある。一方、重量平均分子量が50000を超える場合には、アモルファス樹脂の融点が高くなるため上述したように剥離性が低下してしまう場合がある。
(内添剤)
本発明のトナーには、種々の内添剤を必要に応じて添加できる。このような内添されるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、帯電制御剤等の公知の各種添加剤等を挙げることができる。
上記無機微粒子は、種々の目的のために添加されるが、トナーの粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みを調整することができる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機微粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用することができるが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ微粒子が好ましく用いられる。また、シリカ微粒子は種々の表面処理が施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、トナー全重量の0.5〜20重量%の範囲であることが好ましく、1〜15重量%の範囲であることがより好ましい。
また、本発明のトナーには結晶核剤を添加してもよい。結晶核剤を添加することで結晶性樹脂の結晶サイズを微細化するとともに結晶サイズが均質化されるため、結晶性樹脂の透明性を向上させることができる。
さらに、結晶核剤は結晶性樹脂の結晶化度を向上させる効果もあり、これにより結晶性樹脂に含まれる非晶質部分の割合が減少するため、トナーの保存性や耐ブロッキング性、または流動性が向上し、感光体へのフィルミング、さらに二成分現像方法の場合にはキャリアへのフィルミングを防止することができる。
本発明に用いることができる結晶核剤としては公知の結晶核剤が使用できる。例えば、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタン等の無機系結晶核剤;ジベンジリデンソルビトールやジメチルベンジリデンソルビトール等の低級アルキルジベンジリデンソルビトール、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム等の安息香酸金属塩、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等のリン酸エステル金属塩、モンタン酸ナトリウム等の直鎖脂肪酸金属塩、ロジン酸部分金属塩等の有機系結晶核剤;が挙げられる。
特に、ジベンジリデンソルビトール等の有機系核剤はゲル化剤としても作用し、核剤同士のパーコレーションネットワークによってさらに結晶相を微細化/均質化することができる。
これら結晶核剤の含有量としては、無機系結晶核剤の場合は0.1〜20質量部の範囲が好ましく、0.3〜10質量部の範囲がより好ましい。有機系結晶核剤の場合は0.005〜10質量部の範囲が好ましく、0.01〜5質量部の範囲がより好ましい。
(外添剤)
本発明のトナーには必要に応じて種々の外添剤を添加することができる。外添剤としては、SiO2 、TiO2 、Al2 3 、CuO、ZnO、SnO2 、CeO2 、Fe2 3 、MgO、BaO、CaO、K2 O、Na2 O、ZrO2 、CaO・SiO2 、K2 O・(TiO2 n、Al2 3 ・2SiO2 、CaCO3 、MgCO3 、BaSO4 、MgSO4、カーボンブラック等の無機微粒子あるいはその疎水化処理品や、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できるが、これらの中でも特にシリカやチタニア微粒子が帯電性、コスト等の観点から好ましい。また、チタニア微粒子がメタチタン酸とシラン化合物との反応生成物であることが好ましい。
一般に酸化チタン微粒子は微粒子同士の合一が生じやすく、凝集体が多いため、トナーの流動性の悪化や、脱離によるキャリアやスリーブの表面汚染を引き起こしやすいが、メタチタン酸とシラン化合物との反応生成物であるチタン化合物微粒子は凝集が少なく、トナー粒子に外添した場合、トナーの流動性を悪化させることがない。また、同様の理由により、トナー表面からの遊離、または脱離がなくキャリアやスリーブ表面および感光体表面への移行が減少するため、フィルミング等の発生がなく、また優れた経時での帯電安定性が得られる。
外添剤の粒径としては、特に限定されないが、例えば2種類以上を用いる場合には、いずれか1種が平均一次粒子径Daが8〜30nmの範囲内、好ましくは10〜28nmの範囲内の小径外添剤であり、他の1種が平均一次粒子径Dbが30〜200nmの範囲内、好ましくは32〜180nmの範囲内の大径外添剤であることが好ましい。また小径外添剤がチタニア微粒子であり、大径外添剤がシリカ微粒子であることがより好ましい。
小径のチタニア微粒子を添加することで流動性を改善し、帯電性向上や帯電分布を改善することができる。さらに大径のシリカ微粒子を添加することにより、帯電性が向上し、かつ感光体とトナーとの非静電的付着力を低下させ、転写不良やホローキャラクターと呼ばれる画像抜けや、重ね合わせ画像等の転写ムラの原因となる転写性を改善させることができ、また透明性も大きく損なう事がない。
−トナーの製造方法−
次に、以上に説明した本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーの製造方法としては、湿式製法を利用したものであることが好ましい。このような湿式製法としては、特に乳化凝集合一法であることが好適である。
なお、本発明のトナーの作製に際し、乳化凝集合一法を利用する場合には、以下のような工程を含むものであることが好ましい。
すなわち、乳化凝集合一法を利用した本発明のトナーの好適な製造方法としては、〔1〕結晶性樹脂からなる微粒子を含む結晶性樹脂微粒子分散液と、着色剤からなる微粒子を含む着色剤分散液と、を少なくとも混合した混合溶液中で、コア凝集体を形成する凝集工程と、〔2〕このコア凝集体を、前記結晶性樹脂の融点近傍かつ融点以上の温度域側で加熱することにより融合・合一し、コア融合体を形成する融合工程と、〔3〕コア融合体が形成された混合溶液に、離型剤からなる微粒子を含む離型剤分散液を添加し、コア融合体の表面に離型剤からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス凝集体を形成する離型剤付着工程と、〔4〕コア/ワックス凝集体が形成された混合溶液に、アモルファス樹脂からなる微粒子を含むアモルファス樹脂微粒子分散液を添加し、コア/ワックス凝集体の表面に前記アモルファス樹脂微粒子からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス/シェル凝集体を形成するアモルファス樹脂付着工程とを含んでいることが好ましい。
なお、上記〔1〕〜〔4〕に示す各工程に用いられる各種の分散液は、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤、アモルファス樹脂を乳化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程を利用して予め準備することができる。
以下にこのような乳化工程について、結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合を例として説明する(なお、離型剤およびアモルファス樹脂の作製も結晶性ポリエステル樹脂と同様の方法で乳化できるため説明を省略する)。
結晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)の形成は、水系媒体と、結晶性ポリエステル樹脂を混合した溶液に剪断力を与えることにより成される。その際、加熱して結晶性ポリエステル樹脂を含む液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。液体中に分散させた乳化粒子の安定化のため、分散剤を使用することもできる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水などが挙げられる。上記分散に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる
乳化工程を利用して作製される乳化粒子は、顔料を用いた着色剤分散液のような懸濁液滴の作製と同様に作製できるが、溶剤を実質的に用いずに水中で液滴を作製するのが好ましい。乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.01〜1μmの範囲内が好ましく、0.02〜0.8μmの範囲内がより好ましく、0.03〜0.6μmの範囲内がさらに好ましい。
なお、着色剤分散液は、着色剤として顔料を用いる場合には、例えば、顔料、界面活性剤および水を混合し、これを回転せん断型ホモジナイザー等の分散機等を用いて分散させることにより得ることができる着色剤粒子の分散液として利用することができる。
次に、上述した凝集工程、融合工程、離型剤付着工程およびアモルファス樹脂付着工程について、具体的な数値や材料を挙げつつより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(凝集工程)
凝集工程においては、結晶性樹脂微粒子分散液および顔料分散液を少なくとも含む混合溶液を、結晶性樹脂の融点近傍かつ融点以下の温度域側にて加熱することにより、原料として用いた各種の分散液に含まれる微粒子を凝集させてコア凝集体を形成する。このコア凝集体の形成は、攪拌下、乳化液のpHを酸性にすることによってなされる。当該pHとしては、2〜6が好ましく、2.5〜5がより好ましく、2.5〜4がさらに好ましい。また、コア凝集体の形成に際し、凝集剤を使用するのも有効である。
用いられる凝集剤は、乳化工程において分散液の調整のために添加した分散剤として用いた界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。
(融合工程)
このようにして得られたコア凝集体は、融合工程により融合・合一させてコア融合体とすることもできるし、あるいは、融合工程を行わずに、コア凝集体が形成された溶液に離型剤分散液を添加して、コア凝集体の表面に離型剤微粒子を付着させてコア/ワックス凝集体を形成することもできる。
なお、コア凝集体形成後の融合工程を省略して、離型剤付着工程を実施する場合は、これ以降の工程で適宜コア凝集体部分の融合・合一のみを目的として融合工程を実施することもでき、あるいは、他の目的での加熱処理(例えば、3層全てを形成した後の湿潤状態の粒子を乾燥処理する際の加熱等)を利用してコア凝集体部分の融合・合一を行うことができる。
なお、コア凝集体を融合・合一させる場合にはにおいては、凝集工程と同様の攪拌下で、コア凝集体を含む懸濁液のpHを3〜12の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、結晶性ポリエステル樹脂の融点近傍かつ融点以上の温度域側で加熱を行うことによりコア凝集体を融合させてコア融合体を得ることができる。また加熱時間としては、融合が十分に為される程度に行えばよく、通常は0.5〜10時間程度行えばよい。
(離型剤付着工程)
次に、離型剤付着工程においては、融合工程を経て形成されたコア融合体、あるいは、コア凝集体を含む溶液に対して離型剤分散液を添加し、その表面に離型剤微粒子を付着させることによりコア/ワックス凝集体を形成する。
コア体(但し、当該「コア体」とは、コア凝集体あるいはコア融合体を意味する)に離型剤微粒子を付着させる際の温度は、離型剤の融点以下で実施する。この際、コア体を含む溶液に新たに離型剤分散液を追添加した溶液の固形分濃度は3〜30重量%の範囲内が好ましく、5〜15重量%の範囲内がより好ましい。
あまりに固形分濃度が薄いと、離型剤微粒子がコア体表面に付着しずらい場合があり、一方、固形分濃度が濃過ぎる場合には、比較的均一な付着が進行しやすくなるが、溶液の粘度が上がるため撹拌にエネルギーが必要となる。
なお、コア体表面への離型剤微粒子の付着を補助するためには、凝集剤を併用することが望ましい。凝集剤としては、先に述べた、凝集合一法で用いられたものを使用できる。使用量は凝集剤の種類により異なるので、凝集剤の凝集力に合わせて決定される。使用量が多すぎる場合には、コア/ワックス凝集体同士が、凝集してしまう場合があり、少なすぎる場合にはワックス層が形成されにくくなる場合がある。
なお、上述したような付着プロセスは2回以上行うこともでき、例えば、2回行う場合には、1回目と2回目とで異なる離型剤分散液を利用することもできる。さらに、コア/ワックス凝集体を、離型剤の融点近傍まで加温することにより、このコア/ワックス凝集体を融合・合一させることができる。
(アモルファス樹脂付着工程)
上述したようなプロセスの全てを実施または一部を省略して実施することにより、コア融合体あるいはコア凝集体表面に離型剤微粒子を付着させたコア/ワックス凝集体や、これを更に融合合一して得られたコア/ワックス融合体を得ることができる(以下、「コア/ワックス凝集体」あるいは「コア/ワックス融合体」のいずれかを意味する場合は、「コア/ワックス体」と称す場合がある)。
このようなコア/ワックス体を形成した後には、アモルファス樹脂付着工程を実施することにより、アモルファス樹脂微粒子を付着させることによりコア/ワックス/シェル凝集体を作製する。
摩擦帯電性が高いアモルファス樹脂を付着させることにより、摩擦帯電性が低い結晶性樹脂のデメリットである摩擦帯電性の低さを補うことができると共に、画像形成時にトナーに加わるストレスに対して強いシェル層を形成することができる。
このアモルファス樹脂付着工程で用いられるアモルファス樹脂分散液は、樹脂ラテックスであることが好ましい。この樹脂ラテックスは乳化重合を利用して作製しても良いし、重縮合で得られた樹脂、たとえば非結晶性のポリエステルを機械力で乳化しても良い。乳化装置としては、ウルトラタラックス、ゴーリンホモジナイザー、クリアミックス、キャビトロン、等が挙げられるがラテックスが得られれば特に限定されない。ラテックス径は、0.02μmから1.0μmの範囲内が好ましく0.04から0.6μmの範囲内がより好ましい。
コア/ワックス体にアモルファス樹脂微粒子を付着させる際には、コア/ワックス体が形成された溶液に新たにアモルファス樹脂微粒子分散液を追添加した溶液の固形分濃度が3〜30重量%の範囲内であることが好ましく、5〜15重量%の範囲内であることがより好ましい。
あまりに固形分濃度が薄いと、アモルファス樹脂微粒子がコア/ワックス体表面に付着しずらい場合があり、一方、固形分濃度が濃過ぎる場合には、比較的均一な付着が進行しやすくなるが、溶液の粘度が上がるため撹拌にエネルギーが必要となる。また、コア/ワックス体表面へのアモルファス樹脂微粒子の付着を補助するためには、凝集剤を併用することが望ましい。
凝集剤としては、先に述べた、凝集合一法で用いられたものを使用できる。使用量は凝集剤の種類により異なるので、凝集剤の凝集力に合わせて決定される。使用量が多すぎる場合には、コア/ワックス/シェル凝集体同士が、凝集してしまう場合があり、少なすぎる場合にはシェル層が形成されにくくなる場合がある。
なお、凝集剤として金属塩を用いる場合、一般的には金属塩の価数が大きいと、凝集力が強く、凝集剤の量は少なくてすむ。凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを用いる場合の使用量は、溶液中に含まれるアモルファス樹脂の固形分量に対して0.05から0.3重量%程度が適当である。特に、コア/ワックス体表面に、アモルファス樹脂微粒子の凝集塊が付着するような条件が望ましい。また、凝集剤は、コア/ワックス体が形成された溶液に新たにアモルファス樹脂微粒子分散液を追添加する前に添加しておくことが好ましい。
以上のようなプロセスを経て形成されたコア/ワックス/シェル凝集体は、例えば50℃付近で一旦加熱することにより、コア/ワックス体と、その表面に付着したアモルファス樹脂微粒子からなる層との界面や、アモルファス樹脂微粒子同士を半癒着をさせる。その後、この半癒着プロセスを経たコア/ワックス/シェル凝集体を固液分離した後、洗浄し乾燥させる。乾燥の際は、アモルファス樹脂のガラス転移温度以下の温度で、ゆっくり脱水させることがシェル層の形成に有効である。乾燥に際しては、オーブン乾燥機やフラッシュジェット乾燥機の使用が有効である。
<電子写真用現像剤>
以上に説明したような本発明のトナーは、電子写真用現像剤(以下、「現像剤」と略す)として用いることができる。この場合、本発明のトナーからなる一成分現像剤として利用することもでき、あるいは、本発明のトナーとキャリアとを組合せた二成分系現像剤としても用いることができる。
なお、二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
次に、本発明の現像剤を用いた画像形成方法について説明する。本発明の画像形成方法としては、公知の電子写真方式が利用できるが、以下のようなプロセスを有することが好ましい。すなわち、潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を本発明の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含み、一定のプロセススピードで画像を形成する画像形成方法であることが好ましい。
なお、現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の公知の工程を含むものであってもよい。
このような画像形成方法において、そのプロセススピードは特に限定されないが、本発明の画像形成方法においてはプロセススピードが、200mm/s以上であることが好ましく、260mm/s以上であることがより好ましい。
本発明の画像形成方法においては、現像剤がストレスに対する耐久力に優れた本発明のトナーを含むものであるため、従来の中間層としてワックス層を設けたトナーと比べてもより高速での画像の形成が可能であるため、プロセススピードとしては高速な領域である300mm/s以上での使用においても、ストレスによるトナーの破壊が起こらないため、信頼性の高い画像形成を行うことができる。また、プロセススピードの上限値は特に限定されないが、実用上の上限値である1000mm/s程度まで、十分に信頼性の高い画像形成を行うことが可能である。
また、画像形成に際して用いる本発明のトナーは低温定着性に優れるため、熱定着時の加熱温度は、150℃以下とすることが可能である。なお、省エネルギー化の点では、加熱温度は160℃以下に設定することが好ましい。
加えて、本発明のトナーは離型性に優れるために、定着に際して、画像形成装置本体からの定着部材表面に供給される離型剤の使用量を減らしたり、あるいは、このような離型剤の供給が不要なオイルレス定着も可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成>
5Lのフラスコ中に、セバシン酸1982g(9.8mol)、エチレングリコール1490g(25mol)、イソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウム59.2g(0.2mol)、及び、ジブチルスズオキシド0.8gを投入し混合した後、フラスコ内を窒素雰囲気下として180℃で5時間反応させ、続いて、減圧下220℃で縮合反応を行なった。
縮合反応に際しては、途中で生成したポリマーをサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)により分子量を測定することにより、Mw(重量平均分子量)=20000、Mn(数平均分子量)=8500になったところで、反応を止め、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点(DSCにより測定した極大ピークにおける温度)は71℃であり、核磁気共鳴法(NMR)によるイソフタル酸ジメチル5−スルホン酸ナトリウムの含有量の測定結果は1モル%(対全構成成分)であった。
<青顔料分散液B−1の調製>
下記組成を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)と超音波照射により分散し、中心粒径150nmの青顔料分散液B−1を得た。
・サイアン顔料 C.I.Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン 大日本インク製):50g
・アニオン性界面活性剤ネオゲンSC:5g
・イオン交換水:200g
<離型剤分散液(1)の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP−9、融点75℃):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を混合後、95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
<アモルファス樹脂ラテックス(アモルファス樹脂分散液)の合成>
・ドデカンチオール:19.9g
・β−カルボキシエチルアクリレート:23.9g
・ブチルアクリレート:143.3g
・スチレン:652.9g:
・Dowfax(アニオン界面活性剤):15.8g
・イオン交換水333.7g
以上の成分を混合してホモジザイザーを利用して乳化し、モノマー溶液を調整した。
また、これとは別途、Dowfax(アニオン界面活性剤)11.9gをイオン交換水740gに溶解し、2Lのフラスコに入れて窒素置換して、75℃に加温した。続いて、このフラスコ中に、先にホモジザイザーで乳化したモノマー溶液12gを加え、更に過硫酸アンモニウム12gを蒸留水60gに溶解した溶液をフラスコ中に滴下した。この状態で20分攪拌後、残りのモノマー溶液を約4時間かけて滴下した。モノマー溶液の滴下終了後、更に3時間加熱攪拌を続け、アモルファス樹脂ラテックスを得た。得られたアモルファス樹脂ラテックスの重量平均分子量Mwは17600、数平均分子量Mnは6500、ガラス転移温度Tgは57℃、平均粒子径は0.1μmであった。
<実施例1>
−結晶性ポリエステル樹脂ラテックスの作製−
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)40gをイオン交換水360gに加え、90℃に加熱後、5重量%のアンモニア水でpH=9に調整し、10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液0.8gを加えながら、Ultra Turrax T−50(IKA製)を用いて、8000rpmで攪拌し、中心径約300nmの結晶性ポリエステル樹脂ラテックス(1)を作製した。
−トナーおよび現像剤の作製−
丸型ステンレス製フラスコ中で下記の組成物をウルトラタラックスT50を用いて混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコ内の内容物を攪拌しながら55℃まで加熱し、55℃で1間保持した。
・結晶性ポリエステル樹脂ラテックス(1):1000g
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):8g
・青顔料分散液B−1:25g
・塩化カルシウム10質量%水溶液:10g
その後、得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約4.5μmの凝集粒子(コア凝集体)が生成していることが確認された。さらに加熱用オイルバスの温度を上げて60℃で20分時間保持した。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.5μmの凝集粒子(コア凝集体)が生成していることが確認された。水酸化ナトリウム水溶液で、pHを7.0に調整し、その後、加熱用オイルバスの温度を上げて75℃にし、30分間保持することにより融合・合一を行った後、熱交換器にて冷却した。
冷却後、コア融合体が形成された溶液500gに、ポリアルミニウムクロライド10重量%水溶液1.5gを滴下し、その後、離型剤分散液(1)40gを加えて、溶液のpHを4に調整し30分攪拌を続けた。続いて、この懸濁液を55℃に加温し、さらに3時間攪拌を続けた。その後室温まで放置冷却した。
放置冷却後のコア/ワックス凝集体が形成された溶液に、ポリアルミニウムクロライド10重量%水溶液3.0gを滴下し、その後、アモルファス樹脂ラテックス液(固形分濃度:40重量%)125gを加え、溶液のpHを4に調整し30分攪拌を続けた。続いてこの懸濁液を55℃に加温し、さらに3時間攪拌を続けることにより湿潤状態のトナーを得た。続いて得られた湿潤状態のトナーをろ過し、乾燥処理しトナー(1A)を得た。
次に、乾燥処理後のトナー(1A):100重量部に、メタチタン酸(平均粒径40nm、i−ブチルトリメトキシシラン処理品):1重量部、シリカ(平均粒径140nm、ゾルゲル法を利用したHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理品):2重量部、および、非着色複合粒子C:1重量部を加えてヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った後、目開き45μmのシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添剤を添加したトナーを得た。
続いて富士ゼロックス社製DCC500(ドキュセンターカラー500)用キャリア100重量部と、外添剤を添加したトナー10重量部とをV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、目開き212μmのシーブで篩分することにより現像剤(1A)を得た。
−評価−
現像剤(1A)を用いて、画像形成装置(DCC500、富士ゼロックス社製)にて定着温度を140℃に設定し、オイルレス定着により1000枚プリントアウトテストを実施した。なお、プリントアウトテストは、プロセススピードを、比較的低速の150mm/sおよび高速の260mm/sに設定して実施した。その結果、いずれのプロセススピードにおいても1枚の剥離不良も発生せず、また、高光沢で良好な画像が得られた。
また、トナー(1A)の断面を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、3層構造を有しており、コア層、ワックス層、シェル層が形成されている事が確認できた。また、シェル層の厚みは0.15μmであった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてコア凝集体を作製後、融着操作を実施しないで放置冷却した。続いて、これにポリアルミニウムクロライド10重量%水溶液1.5gを滴下し、その後、離型剤分散液(1)40gを加えて、溶液のpHを4に調整し30分攪拌を続けた。続いて、この懸濁液を55℃に加温し、さらに3時間攪拌を続けた。その後室温まで放置冷却した。
放置冷却後のコア/ワックス凝集体が形成された溶液に、ポリアルミニウムクロライド10重量%水溶液3.0gを滴下し、その後、アモルファス樹脂ラテックス液(固形分濃度:40重量%)125gを加え、溶液のpHを4に調整し30分攪拌を続けた。続いてこの懸濁液を55℃に加温し、さらに3時間攪拌を続けることにより湿潤状態の凝集トナーを得た。その後、加熱用オイルバスの温度を上げて75℃にし、30分間保持することにより融合・合一を行った後、熱交換器にて冷却した。続いて得られた湿潤状態のトナーをろ過し、乾燥処理しトナー(2A)を得た。
次に、乾燥処理後のトナー(2A):100重量部に、メタチタン酸(平均粒径40nm、i−ブチルトリメトキシシラン処理品):1重量部、シリカ(平均粒径140nm、ゾルゲル法を利用したHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理品):2重量部、および、非着色複合粒子C:1重量部を加えてヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った後、目開き45μmのシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添剤を添加したトナーを得た。
続いて富士ゼロックス社製DCC500(ドキュセンターカラー500)用キャリア100重量部と、外添剤を添加したトナー10重量部とをV−ブレンダーで40rpm×20分間攪拌し、目開き212μmのシーブで篩分することにより現像剤(2A)を得た。
−評価−
現像剤(2A)を用いて、画像形成装置(DCC500、富士ゼロックス社製)にて定着温度を140℃に設定し、オイルレス定着により1000枚プリントアウトテストを実施した。なお、プリントアウトテストは、プロセススピードを、比較的低速の150mm/sおよび高速の260mm/sに設定して実施した。その結果、いずれのプロセススピードにおいても1枚の剥離不良も発生せず、また、高光沢で良好な画像が得られた。
また、トナー(2A)の断面を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、3層構造を有しており、コア層、ワックス層、シェル層が形成されている事が確認できた。また、シェル層の厚みは0.15μmであった。
(比較例1)
−トナーおよび現像剤の作製−
実施例1と同様にしてコア融合体を作製した。これをろ過、乾燥処理することによりトナー(1B)を得た。続いて、実施例1と同様にしてこのトナー(1B)に外添剤を添加し、キャリアと混合して現像剤(1B)を得た。
−評価−
現像剤(1A)を用いた以外は実施例1と同様にしてプリントアウトテストを実施したところ、いずれのプロセススピードにおいても1枚目から定着剥離不良が発生した。また、得られた画像は高光沢であった。
(比較例2)
実施例1と同様にしてコア凝集体を作製した後、融着操作を実施しないで放置冷却した。続いて、これにポリアルミニウムクロライド10重量%水溶液1.5gを滴下し、その後、離型剤分散液(1)40gを加えて、溶液のpHを4に調整し30分攪拌を続けた。続いて、この懸濁液を55℃に加温し、さらに3時間攪拌を続けた。
その後、加熱用オイルバスの温度を上げて75℃にし、30分間保持することにより融合・合一を行った後、熱交換器にて冷却し、コア/離型剤融合体を作製した。これをろ過、乾燥処理することによりトナー(2B)を得た。続いて、実施例1と同様にしてこのトナー(2B)に外添剤を添加し、キャリアと混合して現像剤(2B)を得た。
−評価−
現像剤(2B)を用いた以外は実施例1と同様にしてプリントアウトテストを実施したところ、いずれのプロセススピードにおいても500枚程度から感光体へのトナー成分付着が発生した。また、得られた画像は高光沢であった。

Claims (11)

  1. 結晶性樹脂と、着色剤と少なくとも含むコア層と、該コア層を被覆する離型剤を含むワックス層と、該ワックス層を被覆するアモルファス樹脂を含むシェル層と、を有することを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 前記離型剤の融点が、75℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記離型剤が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エステルワックスから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  4. 前記アモルファス樹脂の重量平均分子量が5000〜50000の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真用トナー。
  5. 前記シェル層の厚みが0.05〜0.5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真用トナー。
  6. 湿式製法を利用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  7. 前記湿式製法が、前記結晶性樹脂からなる微粒子を含む結晶性樹脂微粒子分散液と、前記着色剤からなる微粒子を含む着色剤分散液と、を少なくとも混合した混合溶液中で、コア凝集体を形成する凝集工程と、
    前記コア凝集体を、前記結晶性樹脂の融点近傍かつ融点以上の温度域側で加熱することにより融合・合一し、コア融合体を形成する融合工程と、
    前記コア融合体が形成された混合溶液に、前記離型剤からなる微粒子を含む離型剤分散液を添加し、前記コア融合体の表面に前記離型剤からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス凝集体を形成する離型剤付着工程と、
    前記コア/ワックス凝集体が形成された混合溶液に、前記アモルファス樹脂からなる微粒子を含むアモルファス樹脂微粒子分散液を添加し、前記コア/ワックス凝集体の表面に前記アモルファス樹脂微粒子からなる微粒子を付着させ、コア/ワックス/シェル凝集体を形成するアモルファス樹脂付着工程と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真用トナーを含む電子写真用現像剤。
  9. 潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像担持体表面に形成された静電潜像を請求項8に記載の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像担持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含み、一定のプロセススピードで画像を形成する画像形成方法において、
    前記プロセススピードが、200mm/s以上であることを特徴とする画像形成方法。
  10. 前記熱定着時の加熱温度が、160℃以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記定着工程が、オイルレス定着により行われることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成方法。
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