JP5950391B2 - トナー用結着樹脂 - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂、該結着樹脂を含有した電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
近年、プリンターやコピー機の高速化及び省エネ化に伴い、低温定着性に優れたトナーがますます必要となってきている。しかし、通常トナーの結着樹脂を低温で溶融させるために低分子量化を行うと、樹脂のガラス転移温度が低下し、保存性が低下する。
この課題を解決するために、低分子量でも高ガラス転移温度のトナー用結着樹脂として、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香環を有するカルボン酸を原料モノマーとして用いて得られたポリエステルが汎用されている。
特許文献1には、バイオマスを原料に用いて耐熱性、機械物性、耐候性に優れた、十分な分子量を有する熱可塑性樹脂を提供することを課題として、フラン構造を有し、還元粘度(ηsp/C)が0.48dL/g以上、末端酸価が200μeq/g未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂が開示されている。又、特許文献2には、フラン構造を有するジカルボン酸単位を含むポリエステル樹脂の製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、耐衝撃性に優れた成形品を製造するために用いることができる、新規なポリエステル樹脂を提供することを課題として、特定のフラン環の構造単位を有することを特徴とするポリエステル樹脂が開示されている。
イソソルバイドを含むポリエステル樹脂として、例えば特許文献4には、植物由来の原料成分を含み、定着性、保存性、耐ホットオフセット性に優れた環境負荷の低いポリエステル樹脂を提供することを課題として、植物原料由来のイソソルバイドを含有するポリエステル樹脂の製造方法が開示されている。
特開2008−291243号公報 特開2008−291244号公報 特開2009−197110号公報 特開2010−285555号公報
しかし、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の樹脂は、フィルム用途、射出成形品の用途及び成形品用組成物を主として使用するものであるため結晶性が高く、軟化点やガラス転移点が高いため、トナー用結着樹脂には適していない。
また、特許文献4に記載の樹脂も、軟化温度が110〜160℃であり、低温定着性に関して不十分である。
本発明の課題は、トナーの低温定着性と保存性を両立することができ、さらに粉砕性が良好な生産性の高いトナー用結着樹脂、該結着樹脂を含有した電子写真用トナー及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 フラン環を有する非晶質ポリエステルを含有してなるトナー用結着樹脂であって、前記非晶質ポリエステルがカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるものであり、前記アルコール成分が、イソソルバイドを含有してなるトナー用結着樹脂、
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂を含む原料の溶融混練工程及び粉砕工程を含む、前記〔2〕記載の電子写真用トナーの製造方法
に関する。
本発明のトナー用結着樹脂は、トナーの低温定着性と保存性を両立することができ、さらに生産性が向上するという優れた効果を奏するものである。
本発明の結着樹脂は、フラン環を有するとともに、イソソルバイドを原料モノマーとして用いて得られた非晶質ポリエステルを含有している点に特徴を有している。本発明者らは、非晶質ポリエステルの原料モノマーとしてフラン環を有する化合物を用いることにより、軟化点が低くとも、ガラス転移温度の高い樹脂、換言すれば、数平均分子量が低くとも、ガラス転移温度の高い樹脂が得られるため、トナーの低温定着性及び保存性を両立することができることを見出した。さらに、イソソルバイドを原料モノマーとして用いることで、粉砕性が良好となり、トナーの生産性が向上することを見出した。この理由は不明なるも、イソソルバイドを用いて得られるポリエステルは、分子骨格の硬いイソソルバイドにより分子運動が抑制されることから、低分子量の指標として、軟化点を低く設定しても、十分なガラス転移温度を有することが可能となる。その結果、トナーの低温定着性及び保存性を両立するとともに、トナーの粉砕工程における温度条件や機械条件の設定範囲に対して機械力を効率よく受けるための十分な硬さをもち、トナーの粉砕性が向上し、生産性が向上すると考えられる。
本発明において、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち、「軟化点/吸熱の最高ピーク温度」で定義される結晶性指数によって表される。一般に、この結晶性指数が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満では結晶性が低く非晶質部分が多い。本発明において、「非晶質」の樹脂とは、結晶性指数が1.4を超えるか、0.6未満の樹脂をいう。
「吸熱の最高ピーク温度」とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度のことを指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、最高ピーク温度を結晶性樹脂(結晶性ポリエステル)の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
樹脂の結晶性は、用いる原料モノマーの種類と組み合わせにより、容易に調整することができる。具体的には、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール等の分岐鎖構造を有するアルコール成分、分岐鎖構造を有するカルボン酸成分、3価以上のカルボン酸成分やアルコール成分等を適量用いることで、非晶質化を促進することができる。
本発明において、フラン環を有する非晶質ポリエステルは、カルボン酸成分とイソソルバイドを含有したアルコール成分とを縮重合して得られるものであり、カルボン酸成分とアルコール成分の少なくともいずれかが、少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分が用いられた樹脂であることが好ましい。フラン環としては、式(Ia)又は(Ib):
Figure 0005950391
で表される構造が好ましい。
フラン環を有するアルコールとしては、ジヒドロキシフラン等のフランジアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール等のヒドロキシメチルフルフリルアルコール;フルフリルアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。これらの中では、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
式(Ia)で表わされるフラン環を有するアルコールとして、5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール等のヒドロキシメチルフルフリルアルコール;ジヒドロキシフラン等のフランジアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。
式(Ib)で表わされるフラン環を有するアルコールとして、フルフリルアルコール等が挙げられる。
フラン環を有するカルボン酸化合物としては、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸化合物(本明細書中、カルボン酸化合物はカルボン酸、カルボン酸と炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルコールとのエステル及び酸無水物を含む);2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸等のフランカルボン酸化合物;5-ヒドロキシメチル-フラン-2-カルボン酸等のヒドロキシフランカルボン酸化合物;フルフリル酢酸化合物、3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオネート等のカルボン酸化合物等が挙げられる。
これらの中では、トナーの低温定着性と保存性の観点から、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のフラン環を有するカルボン酸化合物が好ましく、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点からフランジカルボン酸化合物がより好ましい。
式(Ia)で表わされるフラン環を有するカルボン酸化合物として、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸化合物;5-ヒドロキシメチル-フラン-2-カルボン酸等のヒドロキシフランカルボン酸化合物等のカルボン酸化合物等が挙げられる。
式(Ib)で表わされるフラン環を有するカルボン酸化合物として、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸等のフランカルボン酸化合物;フルフリル酢酸化合物等が挙げられる。
上記のカルボン酸化合物及びアルコールの中では、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、式(Ia)で表わされるフラン環を有する、カルボン酸化合物とアルコールとが好ましく、フランジカルボン酸化合物及びヒドロキシメチルフルフリルアルコールがより好ましく、フランジカルボン酸化合物がさらに好ましく、具体的には、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及び2,5-フランジカルボン酸が好ましく、2,5-フランジカルボン酸がより好ましい。
フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量は、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、カルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、30〜60モル%がさらに好ましい。
さらに、フラン環を有するカルボン酸化合物の含有量は、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは20〜100モル%、さらに好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは60〜100モル%であり、さらに好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、さらにより好ましくは95〜100モル%、さらにより好ましくは実質的に100モル%である。フランジカルボン酸化合物の含有量は、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは20〜100モル%、さらに好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは60〜100モル%であり、さらに好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、さらにより好ましくは95〜100モル%、さらにより好ましくは実質的に100モル%である。
フラン環を有するアルコールの含有量は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、アルコール成分中、好ましくは0〜90モル%、さらに好ましくは20〜80モル%である。
また、カルボン酸成分に、2種以上のフラン環を有するカルボン酸化合物を用いてもよく、アルコール成分に、2種以上のフラン環を有するアルコールを用いてもよい。なお、1種類とは、構造上の種類であり、組成式が同じであっても構造式が異なるものは、異なる種類としてみなす。
アルコール成分は、イソソルバイドを含有する。本発明におけるイソソルバイドは、植物から抽出等によって分離された植物原料由来のもの、公知の方法によって合成されたもののいずれであってもよいが、入手容易性及び環境負荷への配慮の観点から、植物原料由来のものが好ましい。
イソソルバイドの含有量は、アルコール成分中、トナーの低温定着性と保存性及び生産性の観点から、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上がさらにより好ましく、90モル%以上がさらにより好ましく、実質的に100モル%がさらにより好ましい。
フラン環を有するアルコール及びイソソルバイド以外のアルコール成分としては、トナーの低温定着性の観点から、脂肪族ジオールを用いることができる。脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性の観点から、2〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
これらの中では、フラン環とともに、樹脂の運動性をさらに低下させることで、トナーの保存性を向上させ、低温定着性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。かかる脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましい。具体的な好適例としては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、トナーの低温定着性と保存性の観点から、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールを用いる場合、脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分中、好ましくは2〜90モル%、より好ましくは5〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%であり、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、アルコール成分中、好ましくは2〜90モル%、より好ましくは5〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。
脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性の観点から、フラン環を有するアルコール及びイソソルバイド以外のアルコール成分中、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%であり、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、フラン環を有するアルコール及びイソソルバイド以外のアルコール成分中、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。
他のアルコール成分としては、トナーの保存性の観点から、芳香族アルコール等が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、トナーの保存性の観点から、式(II):
Figure 0005950391
(式中、R1O及びOR1はオキシアルキレン基であり、R1はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
式(II)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
フラン環を有するカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸化合物、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜6)エステル等が挙げられる。
その他のカルボン酸化合物として、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;未精製ロジン、精製ロジン等のロジン;フマル酸、マレイン酸又はアクリル酸等で変性されたロジン等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量の調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、トナーの低温定着性、保存性及び生産性の観点から、0.45〜1.5が好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、反応性の観点から、180〜250℃が好ましい。
錫化合物としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、反応性の観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、反応性の観点から、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)がさらに好ましい。
チタン化合物としては、反応性の観点から、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、総炭素数2〜28のアルケニルオキシ基又は総炭素数1〜28のアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
上記錫(II)化合物及びチタン化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。
本発明において、非晶質ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分の縮重合によるポリエステルユニットを含む樹脂をいい、ポリエステルだけでなく、ポリエステル・ポリアミド等も含まれるが、これらの中では、トナーの低温定着性、保存性及び生産性の観点から、ポリエステルが好ましい。
なお、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。
ポリエステル変性樹脂としては、例えば、ポリエステルがウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル、及びポリエステル成分と付加重合系樹脂成分を含む2種以上の樹脂成分を有する複合樹脂等が挙げられる。
前記非晶質ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性、保存性及び生産性の観点から、80〜180℃が好ましく、85〜150℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましく、90〜110℃がさらにより好ましい。
一般に、樹脂の軟化点とガラス転移温度は相関している。前記非晶質ポリエステルは、同程度の軟化点を有する樹脂に比べると、ガラス転移温度をより高くすることができるため、1種類の樹脂でも、トナーの低温定着性、保存性等を満足することができるが、軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用してもよい。軟化点の高い樹脂と低い樹脂とを併用する場合、具体的には、結着樹脂は、上記観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは20〜60℃異なる高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とからなることが好ましい。高軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは125〜160℃、より好ましくは130〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは80〜120℃、より好ましくは85〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
また、前記非晶質ポリエステルのガラス転移温度は、トナーの低温定着性、保存性及び生産性の観点から、45〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、60〜75℃がさらに好ましい。
本発明の結着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記非晶質ポリエステル以外の公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよいが、前記非晶質ポリエステルの結着樹脂の含有量は、全結着樹脂中、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明の結着樹脂を用いることにより、互いに相反する性能である低温定着性と保存性のいずれにも優れ、かつ生産性の良好な、本発明の電子写真用トナーが得られる。
ただし、本発明の結着樹脂が高軟化点樹脂のみからなる場合、例えば、好ましくは軟化点が125〜160℃、より好ましくは130〜150℃の樹脂のみからなる場合は、低軟化点樹脂を併用することが好ましい。具体的に、本発明の結着樹脂との軟化点の差は、上記観点から、10℃以上が好ましく、20〜60℃がより好ましい。低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90〜120℃、より好ましくは90〜110℃である。高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、黒色顔料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、画像品質を向上する観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、画像品質を向上する観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。
本発明には、帯電安定性を向上させるために、荷電制御樹脂を含有することが好ましい。荷電制御樹脂としては、スチレン系樹脂が好ましく、トナーの正帯電性発現の観点からは、4級アンモニウム塩基含有スチレン系樹脂がより好ましく、トナーの負帯電性発現の観点からは、スルホン酸基含有スチレン系樹脂がより好ましい。
荷電制御樹脂の使用量は、トナーの帯電安定性向上の観点から、結着樹脂100重量部に対して、3〜40重量部が好ましく、4〜30重量部がより好ましく、4〜20重量部がさらに好ましい。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。従って、本発明のトナーは、結着樹脂を含む原料の溶融混練工程及び粉砕工程を含む方法により得られるものが好ましい。具体的には、溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法が挙げられる。
結着樹脂、ワックスを含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
混練機としては生産性を向上させる観点から、二軸押出機を用いるのが好ましい。二軸押出機への混合物の供給量は、生産性を向上させる観点から、軸の単位断面積あたり、好ましくは1.3〜5.0kg/hr・cm2であり、より好ましくは1.5〜4.5kg/hr・cm2である。
二軸押出機での溶融混練は、バレル設定温度(混練機内部壁面の温度)、2軸の軸回転の周速、及び原料供給速度を調整することで行う。バレル設定温度は、着色剤や荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、及び生産性を向上させる観点から、80〜140℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
2軸の軸回転の周速は、着色剤や荷電制御剤の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、及び生産性を向上させる観点から、0.1〜1m/secが好ましい。
得られた混練物は、粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕し、分級する。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕、分級工程時の生産性を向上させるために、樹脂混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
本発明の分級工程を経て得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、画像品質を向上する観点から、3〜15μmが好ましく、3〜12μmがより好ましく、5〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、粉砕、分級工程後、さらに外添剤と混合する工程を含む方法により得られるものであってもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子等が挙げられ、これらの表面には疎水化処理が施されていてもよい。外添剤の添加量は、画像品質を向上する観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
粉砕物や分級工程後に得られたトナー粒子と外添剤との混合には、回転羽根等の攪拌具を有する攪拌装置を用いることが好ましく、より好適な攪拌装置として、ヘンシェルミキサーが挙げられる。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所社製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で昇温し測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂A〜D、G、K、L、N〕
表1、2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、220℃まで昇温し、220℃にて5時間反応を行った。その後220℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、190℃まで冷却後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
樹脂製造例2〔樹脂E、J、M、O〕
表1、2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、190℃まで冷却後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
樹脂製造例3〔樹脂F〕
表1に示す無水トリメリット酸を除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、表1に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて軟化点が101.8℃に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
樹脂製造例4〔樹脂H、I〕
表2に示すグリセリンを除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、表2に示すグリセリンを投入した。1時間常圧にて反応を行った後、40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。
Figure 0005950391
Figure 0005950391
〔トナー製造例〕
実施例1〜11及び比較例1〜3(実施例1は参考例である)
表3に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)1重量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)5重量部、及び離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM-45」(池貝鉄工社製、軸の直径4.4cm、軸の断面積15.9cm2)を用いて溶融混練した。二軸押出機への混合物の供給量は、軸の単位断面積あたり、3.14kg/hr・cm2、バレル設定温度は80℃、軸回転の周速は200r/min(0.46m/sec)であった。得られた混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に、疎水性シリカ「NAX-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷の未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、最低定着温度に達するまで、各温度で未定着画像を定着させた。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、温度を30℃、総定着圧が40kgfになるように調整した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、トナーの低温定着性を評価した。結果を表3に示す。
試験例2〔保存性〕
トナー4gを半径12mmの円筒型容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナーを容器から取り出し、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、トナーの保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後で凝集が認められる。
C:48時間後で凝集が認められる。
試験例3〔生産性〕
表3に示す所定量の結着樹脂、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)5重量部、ワックス「HNP-9」(日本精鑞社製、融点75℃)3重量部、及び荷電制御剤「ボントロンE-84」(オリエント化学工業社製)1重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合し、得られた混合物を同方向回転二軸押出機PCM-30(池貝鉄工社製、軸の直径 3cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用して、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/minにて、原料供給速度 10kg/hrの条件で混練を行い、混練吐出物を直ちにシート化しつつ25℃まで冷却した。
得られたシート化物を、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製)で1.0mm以下まで粗粉砕し、さらにI-2型ジェットミル(日本ニューマチック社製)とDS2型気流分級機(日本ニューマチック社製)を連結した装置を用いて、粉砕圧を0.5MPaに固定し、粉砕フィード量(時間当たりの投入量kg/hr)を調整して、体積中位粒径が6.5μmになる様に粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得た。
下式を生産性の指標とした。値が大きいほど生産性に優れる。結果を表3に示す。
[生産性]=[粉砕フィード量]×([得られたトナー母粒子量]/[投入粗砕物の量])
Figure 0005950391
以上の結果より、実施例1〜11のトナーは、低温定着性、保存性及び生産性のいずれもが良好であることが分かる。これに対し、結着樹脂の原料モノマーにイソソルバイドが用いられていない非晶質ポリエステルを含有した比較例1のトナーは、生産性に欠けており、原料モノマーにフラン環を有する原料モノマーが用いられていない非晶質ポリエステルを含有した比較例2のトナーは、低温定着性に欠けている。また、イソソルバイドもフラン環も用いられていない非晶質ポリエステルを含有した比較例3のトナーは、保存性及び生産性に欠けていることが分かる。
本発明のトナー用結着樹脂は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂として好適に用いられる。

Claims (8)

  1. フラン環を有する非晶質ポリエステルを含有してなるトナー用結着樹脂であって、前記非晶質ポリエステルがカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合して得られるものであり、前記アルコール成分が、イソソルバイドを含有してなるトナー用結着樹脂。
  2. カルボン酸成分とアルコール成分の少なくともいずれかが、少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分である、請求項1記載のトナー用結着樹脂。
  3. イソソルバイドの含有量が、アルコール成分中、10〜100モル%である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂。
  4. フラン環を有する非晶質ポリエステルの軟化点が90〜110℃である、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂。
  5. フラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項2〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂。
  6. フラン環を有するアルコールが、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項2〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー。
  8. 請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂を含む原料の溶融混練工程及び粉砕工程を含む、請求項7記載の電子写真用トナーの製造方法。
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