JP5361046B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法、及び該方法により得られる静電荷像現像用トナーに関する。
省エネルギー、アイドリング時間の短縮、装置の小型化等の観点から、トナーの低温定着性を向上する技術が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを溶融混練し、その溶融混練物を、溶融混練物のガラス転移温度とポリエステルの軟化点で特定される温度、時間で加熱処理することにより、低温定着性、粉砕性及び保存性が改良されたトナーの製造方法が開示されている。
特許文献2には、離型剤の分散性を高めて、低温定着性、高温オフセット性を良好にするために、重量平均分子量5000〜40000の樹脂Aと樹脂Aと主鎖の結合構造が同じである重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂Bを混合混練する第1の工程と、得られた混練物と樹脂Aよりも重量平均分子量の小さい離型剤成分を樹脂Aより分子量の大きい樹脂Cとともに混合混練する第2の工程とを有するトナーの製造方法が開示されている。
特開2005−308995号公報 特開2005−77833号公報
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを併用するトナーは、低温定着性が向上する反面、熱的に融着しやすいために保存性(保存時のケーキング)が問題となる場合がある。
また、静電荷像現像装置の高速化、多量現像化に伴い、特許文献1や2に開示された技術では、トナーの熱的耐久性が不十分となり、より優れた保存性が要求される。
本発明の課題は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを併用する静電荷像現像用トナーであって、保存性に優れる静電荷像現像用トナーの製造方法、及び該方法により得られる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為に検討を重ねた結果、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを含有する樹脂を溶融混練後、加熱処理して結晶性ポリエステルを含有するマスターバッチを調製し、該マスターバッチに、さらに非晶質樹脂を溶融混練することによって、優れた保存性を有する静電荷像現像用トナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂aを80〜150℃で溶融混練する工程(第1の溶融混練工程)、前記第1の溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃で加熱処理して結着樹脂aの加熱処理物を調製する工程(加熱処理工程)、前記加熱処理工程で得られた結着樹脂aの加熱処理物とさらなる非晶質樹脂とを主成分として含有する結着樹脂Aを溶融混練する工程(第2の溶融混練工程)、ならびに前記第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却後粉砕する工程(粉砕工程)、を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であり、
前記結晶性ポリエステルが融点120〜160℃であり、第2の溶融混練工程の溶融混練温度が該結晶性ポリエステルの融点よりも20℃以上低い、静電荷像現像用トナーの製造方法、
ならびに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー
に関する。
本発明の方法により、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを併用する静電荷像現像用トナーにおいて、保存性に優れたトナーを得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、
第1の溶融混練工程:結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂aを80〜150℃で溶融混練する工程
加熱処理工程:前記第1の溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃で加熱処理する工程
第2の溶融混練工程:前記加熱処理工程で得られた加熱処理物とさらなる非晶質樹脂とを主成分として含有する結着樹脂Aを溶融混練する工程、ならびに
粉砕工程:前記第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却後粉砕する工程
を含み、第1の溶融混練工程と加熱処理工程を行って得られる、結晶化度を向上した結晶性ポリエステルを含むマスターバッチを用いることに大きな特徴を有する。なお、本明細書において、「加熱処理」とは、加熱処理に供される結着樹脂の軟化点以下でかつガラス転移点以上の温度で処理することをいう。
本発明では、熱的耐久性(以下、保存性ともいう)を向上する観点から、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂を含有する結着樹脂aを加熱処理に供する。結晶性ポリエステルは低温定着性に優れる一方で、混練時に結晶構造がくずれると、トナーの保存性を低下させる原因となり得る。一般的に、加熱処理する工程は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との相分離構造を形成させ、個々の樹脂を安定化し、それぞれの樹脂の特性を十分に発揮させることができるという効果がある。本発明においては、このように良好な相分離構造が形成された、即ち、結晶化度が向上した結晶性ポリエステルを含むマスターバッチを、さらに非晶質樹脂と溶融混練することによって、理由は不明なるも、前記相分離構造が保持され、保存性を損なうことなく、定着温度域が拡大するという結晶性ポリエステルの特性が十分に生かされるものと推定される。
また、本発明では、マスターバッチにおいて結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との相分離構造を形成して安定化することから、結晶性ポリエステルとしては融点が高いものを使用することが可能となり、それにより、マスターバッチと非晶質樹脂等のトナー原料との溶融混練において、結晶構造を崩すことなく良好に混合することができると推定される。
第1の溶融混練工程では、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂aを80〜150℃で溶融混練する。なお、本明細書において「主成分」とは、結着樹脂a又は結着樹脂A中の含有量が95重量%以上であることを意味する。結着樹脂a又は結着樹脂A中の含有量が99重量%以上であることがより望ましい。
樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で表わされ、一般にこの値が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が0.6〜1.4、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質樹脂」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が1.4より大きいか、0.6未満、好ましくは1.4より大きい樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点に対し20℃以内にあればそのピーク温度を融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明において、結晶性ポリエステルは、トナーの保存性の観点から、融点が120〜160℃であることを1つの特徴としており、好ましくは120〜150℃、より好ましくは125〜145℃である。なお、本明細書において、樹脂の融点は後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
結晶性ポリエステルは、トナーの低温定着性の観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分とジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、なかでも炭素数2〜8のジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
アルコール成分には、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等のα,ω−直鎖アルカンジオール以外のアルコールが含まれていてもよい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、炭素数2〜8のジカルボン酸化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等のカルボン酸化合物が挙げられる。これらのなかでは、環境安定性及び耐久性の観点から、テレフタル酸が好ましい。なお、芳香族ジカルボン酸化合物とは、前記の如く、芳香族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸化合物の総含有量は、カルボン酸成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおけるジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、さらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、減圧又は真空反応時に直鎖アルカンジオールの蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.90以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満が好ましい。
結晶性ポリエステルは、α,ω−直鎖アルカンジオールとジカルボン酸化合物とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のようにジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択したりすればよい。なお、高出力のモーターを用いて、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.03〜1.0重量部が好ましく、0.04〜0.8重量部がより好ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、低すぎるとトナーの保存性に、高すぎるとトナーの生産性にそれぞれ悪影響を及ぼすため、好ましくは5,000〜10,000、より好ましくは6,000〜9,000である。
また、トナーの耐久性の観点から、結晶性ポリエステルは高分子量成分をある程度含有しているのが好ましいことから、結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは40,000〜150,000、より好ましくは50,000〜120,000である。
結晶性ポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は軟化点に対し20℃以内に存在すること、即ち融点であることが好ましい。本明細書において、吸熱の最高ピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。吸熱の最高ピーク温度を調整する方法としては、例えばジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整する方法や、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を調整する方法が挙げられる。具体的には、ジカルボン酸化合物の割合を増加させたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより吸熱の最高ピーク温度が大きくなる傾向があり、前記記載の逆にすると小さくなる傾向がある。
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、70〜140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、90〜110℃がさらに好ましい。本明細書において、軟化点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。軟化点を調整する方法としては、例えばジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整する方法、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を変更する方法が挙げられる。具体的には、ジカルボン酸化合物の割合を増加させたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより軟化点を高くすることができる。また、前記記載の逆にすると低くなる傾向がある。また、前述した通り、軟化点と吸熱最高ピーク温度の比を調整するには、ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を調整したりすることにより達成できる。
本発明における第1の溶融混練工程に供される非晶質樹脂は、例えば、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質スチレン−アクリル樹脂等が挙げられ、結晶性ポリエステルとの相溶性の観点から、非晶質ポリエステルが好ましい。
非晶質ポリエステルとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分とジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものが好ましい。
アルコール成分には、トナーの帯電性と耐久性の観点から、式(I):
Figure 0005361046
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、アルコール成分中、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは実質的に100モル%含有されている。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルコール成分中の含有量とは加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、上記と同様の脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物が挙げられる。カルボン酸成分には、脂肪族ジカルボン酸化合物や、芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物を含むジカルボン酸化合物を90〜100モル%含むカルボン酸成分を用いることができるが、剛直な構造により溶融混練物の結晶化率を高く保持する観点から、芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物をカルボン酸成分中、50モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは実質的に100モル%含有される。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、芳香族ジカルボン酸化合物のカルボン酸成分中の含有量とは、加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
なお、カルボン酸成分には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等のジカルボン酸化合物以外のカルボン酸化合物が含まれていてもよい。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
非晶質樹脂におけるアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができるが、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、エステル化触媒、例えば、オクチル酸錫の存在下で行うことが好ましい。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部が好ましく、0.1〜0.8重量部がより好ましい。
非晶質樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、90〜130℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
非晶質樹脂のガラス転移点は、トナーの低温定着性と耐久性の観点から、40〜70℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。酸価は、4〜25mgKOH/gが好ましく、4〜20mgKOH/gがより好ましい。本明細書において、ガラス転移点及び酸価は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
なお、本発明において、非晶質樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明における結着樹脂aは、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有するが、結晶性ポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、結着樹脂a中、30〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましく、30〜60重量%がより好ましい。
非晶質樹脂の含有量は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、結着樹脂a中、20〜70重量%が好ましく、30〜70重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
結着樹脂aにおける、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、30/70〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、30/70〜60/40がさらに好ましい。
結着樹脂aには、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で原料として適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の結着樹脂等が挙げられる。樹脂Aにおける結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総含有量は、特に限定されないが、トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂a中、95重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましい。
結着樹脂aの溶融混練(第1の溶融混練)においては、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含む結着樹脂aの原料を均一に混合した後、溶融混練することが好ましく、結着樹脂aの結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の混合は、前記樹脂を一度に混合する方法であっても、分割して混合する方法であってもよい。
結着樹脂aの原料の混合に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等が挙げられるが、分散性の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
結着樹脂aの溶融混練(第1の溶融混練工程)は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、結晶性ポリエステルの結着樹脂a中の分散性の観点から、2軸押出機を用いることが好ましい。
第1の溶融混練における溶融混練温度は、トナーの低温定着性の観点から、80〜150℃であり、100〜150℃が好ましく、120〜145℃がより好ましい。
溶融混練は、目視で樹脂が均一に混合されていることが確認できる状態まで行うことが好ましい。混練機中の原料となる樹脂の滞留時間は混練条件によって変化するが、0.5〜3分程度が好ましい。
かくして、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含有する結着樹脂aの溶融混練物(以下、結晶性ポリエステルのマスターバッチともいう)が得られる。
得られた結着樹脂aの溶融混練物は、加熱処理工程に供する。
加熱処理工程では、前記第1の溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃で加熱処理する。
加熱処理は、結着樹脂a中の結着樹脂分子の再配列性によるトナーの保存性向上の観点から、50〜80℃、好ましくは50〜75℃の温度で、好ましくは3〜80時間、より好ましくは3〜72時間、さらに好ましくは3〜48時間行うことが望ましい。なお、この時間は当該温度範囲内となる累計の時間である。また、トナーの保存性向上の観点から、加熱処理工程の開始から終了までに当該温度範囲の上限値を超えないことが好ましい。
本発明では、加熱処理を、前記温度で、かつ前記時間行うことにより、溶融混練物中の樹脂の再配列を促し、一旦低下したガラス転移温度の回復によりトナーの保存性が向上するものと推定される。さらに、可塑部分、即ち低ガラス転移温度の部分は、粉砕の際、衝撃を吸収しやすく、粉砕効率の低下の原因となるが、本発明では、粉砕工程前の加熱処理工程において可塑化が抑制されるため、粉砕性も向上させることができる。
加熱処理工程には、オーブン等を用いることができる。例えば、オーブンを用いる場合、溶融混練物をオーブン内で、一定温度に保持することにより、加熱処理工程を行うことができる。
加熱処理工程を行う態様は特に限定されないが、例えば、
態様1:第1の溶融混練工程後、得られた結着樹脂aの溶融混練物を冷却する際に、溶融混練物を前記加熱処理条件下に保持し、次いで粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、第2の溶融混練工程等の次の工程に供する態様
態様2:第1の溶融混練工程後、得られた結着樹脂aの溶融混練物を粉砕可能な硬度まで一旦冷却した後、冷却した溶融混練物を前記加熱処理工程に供し、次いで溶融混練物を再び冷却し、第2の溶融混練工程等の次の工程に供する態様
がある。本発明ではいずれの態様で加熱処理工程を行ってもよいが、溶融混練物中の樹脂の再配列の観点から、態様2が好ましい。
結着樹脂a中の結晶性ポリエステルの含有量が多くなるに従い、溶融混練物の結晶化度は増加する傾向にある。しかし、結晶性ポリエステル中にも結晶構造を有さない部分、即ち、溶融混練では結晶化しない部分が存在し、かかる部分が溶融混練物中に多く存在すると保存性に劣る傾向がある。そこで、加熱処理工程により溶融混練物全体における結晶化を促進し結晶化度を大きくすることで保存性が向上すると推定される。溶融混練物の結晶化を促進し結晶化度が大きくなるに伴い溶融混練物のガラス転移温度(Tg)も増加する傾向があると考えられる。
かくして、結着樹脂aの溶融混練物の加熱処理物、即ち、結晶性ポリエステルのマスターバッチの加熱処理物が得られるが、トナーの保存性の観点から、加熱処理工程後の結着樹脂aの溶融混練物のガラス転移温度(Tg)は、45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
次に、上記で得られた結着樹脂aの溶融混練物の加熱処理物を、第2の溶融混練工程に供する。
第2の溶融混練工程では、加熱処理工程で得られた結着樹脂aの加熱処理物とさらなる非晶質樹脂とを主成分として含有する結着樹脂Aを溶融混練する。
第2の溶融混練工程における非晶質樹脂としては、第1の溶融混練工程における非晶質樹脂と同様のものが例示され、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を90〜100モル%含有するアルコール成分とジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルが挙げられる。なお、第1及び第2の溶融混練工程における非晶質樹脂は同一であっても異なっていてもよい。
また、第2の溶融混練工程における非晶質樹脂は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性の観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは10〜60℃異なる2種類の非晶質ポリエステルからなることが好ましい。2種の内、軟化点の低い方のポリエステル(低軟化点ポリエステル)の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜120℃であり、2種の内、軟化点の高い方のポリエステル(高軟化点ポリエステル)の軟化点は、耐オフセット性の観点から、好ましくは120〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。なお、3種以上の樹脂からなる場合は、含有量が多い方から2種が上記を満たすことが好ましく、例えば、多い順における2番目と3番目が同じ含有量の時は1番多いものと2番目のどちらかが上記を満たすことが好ましい。第2の溶融混練工程における非晶質樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、第1の溶融混練工程における非晶質樹脂の軟化点よりも高い温度であることが好ましく、5℃以上高いことがより好ましい。なお、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、各非晶質樹脂の含有量で各非晶質樹脂の軟化点を加重平均して求めた加重平均軟化点を非晶質樹脂の軟化点とし、該軟化点が前記関係を満たすことが好ましい。
高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルとの重量比(高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステル)は、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましい。また、高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステルは、トナーの耐久性をさらに向上させる場合は、8/2〜5/5が好ましく、トナーの低温定着性をさらに向上させる場合は、4/6〜2/8が好ましい。
本発明における結着樹脂Aは、結着樹脂aの加熱処理物及びさらなる非晶質樹脂を主成分として含有するが、結着樹脂aの加熱処理物の含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂A中、20〜80重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましく、35〜50重量%がより好ましい。
さらなる非晶質樹脂の含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂A中、20〜80重量%が好ましく、40〜70重量%が好ましく、50〜65重量%がより好ましい。
非晶質樹脂(結着樹脂a中の非晶質樹脂とさらなる非晶質樹脂を含む)の含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂A中、40〜95重量%が好ましく、50〜90重量%がより好ましく、70〜90重量%がさらに好ましい。
結着樹脂Aにおける結着樹脂aの加熱処理物とさらなる非晶質樹脂の重量比(結着樹脂aの加熱処理物/さらなる非晶質樹脂)が、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜60/40がより好ましく、35/65〜50/50がさらに好ましい。
また、結着樹脂Aには、結着樹脂aの加熱処理物及びさらなる非晶質樹脂以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、上述の結着樹脂と同様の樹脂が挙げられる。結着樹脂aの加熱処理物及びさらなる非晶質樹脂の総含有量は、特に限定されないが、トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂A中、95重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましい。
さらに、本発明における結着樹脂以外のトナー原料として、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜用いられていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらのワックスは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。離型剤の総含有量は、定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。正帯電性荷電制御剤としては、二グロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等が挙げられる。荷電制御剤の総含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましい。
溶融混練においては、結着樹脂等のトナー原料を均一に混合した後、溶融混練することが好ましく、トナー原料の混合は、結着樹脂等の全ての原料を一度に混合する方法であっても、分割して混合する方法であってもよい。
トナー原料の混合に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等が挙げられるが、分散性の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
トナー原料の溶融混練(第2の溶融混練工程)は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、結着樹脂aの加熱処理物の結晶化度を維持しつつ、結着樹脂に添加剤を効率よく高分散させることができることから、ロールの軸方向に沿って設けられた供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
トナー原料の混合物は、1箇所の供給口から混練機に供給してもよく、複数の供給口から分割して混練機に供給してもよいが、操作の簡便性及び装置の簡略化の観点からは、1箇所の供給口から混練機に供給することが好ましい。
連続式オープンロール型混練機とは、溶融混練部がオープン型であるものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが望ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、分散性の観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが望ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
本発明においては、第2の溶融混練における溶融混練温度は、トナーの低温定着性と保存性の観点から、70〜150℃が好ましく、75〜140℃がより好ましく、75〜130℃がさらに好ましい。また、第2の溶融混練は、第1の溶融混練工程における結晶性ポリエステルの融点よりも20℃以上、好ましくは20〜50℃、より好ましくは25〜45℃低い温度で溶融混練することが望ましく、溶融混練機に連続式オープンロール型混練機を用いる場合には、高回転側ロールの原料投入側端部温度が前記条件を満たす温度設定であることが望ましい。具体的には、好ましくは70〜130℃、より好ましくは75〜120℃、さらに好ましくは75〜110℃である。低回転側ロールの原料投入側端部温度は30〜100℃が好ましい。高回転側ロールの混練物排出側端部温度は、好ましくは30〜115℃、より好ましくは40〜105℃、さらに好ましくは50〜95℃である。低回転側ロールの混練物排出側端部温度は30〜100℃が好ましい。
高回転側ロールにおける、原料投入側端部と混練物排出側端部との設定温度の差は、混練物のロールからの脱離防止の観点から、15〜60℃であることが好ましく、15〜50℃であることがより好ましく、20〜40℃であることがさらに好ましい。低回転側ロールにおける、原料投入側端部と混練物排出側端部との設定温度の差は、離型剤分散性の観点から、0〜50℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、0〜30℃であることがさらに好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、4〜50m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は1〜90m/minが好ましく、2〜60m/minがより好ましく、2〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
かくして、結晶性ポリエステルのマスターバッチの加熱処理物、及びさらなる非晶質樹脂を含有する結着樹脂Aを含むトナー原料の溶融混練物が得られる。
上記第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物は、粉砕してトナーとする粉砕トナーや、溶媒に粒子として分散させて得られる重合トナーに用いることができるが、本発明は、第2の溶融混練工程後にトナーを熱処理する工程の必要がなく第2の溶融混練工程後の結着樹脂aの結晶化度が保持される点で、粉砕トナーの製造に用いることが好ましい。
粉砕トナーの一般的なトナーの製造方法では、得られた溶融混練物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却してから粉砕するため、本発明では、上記第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物を粉砕可能な硬度まで冷却した後、粉砕工程に供する。粉砕可能な硬度に達する冷却する温度は、具体的には、好ましくは45℃以下、より好ましくは0〜45℃、さらに好ましくは、0〜35℃である。この温度は溶融混練物の表面温度である。冷却方法としては、溶融混練物を室温(35℃以下)に放置して冷却する方法、溶融混練物を冷却ロールにかけ圧延して冷却する方法等が挙げられる。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
粉砕工程後は、適宜、分級工程、篩工程等を行って、トナーの粒径を調整することが好ましい。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。
以上の工程によりトナーが得られるが、さらに得られたトナー表面に疎水性シリカ等の無機微粒子や樹脂微粒子を外添してもよい。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、画質及び帯電性の観点から、4.5〜6.5μmが好ましく、5.5〜6.0μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明により得られたトナーは、一成分現像用トナー及びキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーのいずれにも用いることができるが、耐熱性がより要求される一成分現像用トナーとしてより好適に用いられる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度50℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
〔樹脂及びトナーのガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度50℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びターシャルブチルカテコール(TBC)4.2g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.04重量部)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂a、b、cを得た。
非晶質ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びオクチル酸錫18.6g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃で、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Cを得た。
非晶質ポリエステルの製造例2
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びオクチル酸錫19.3g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃にて表1に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Dを得た。
Figure 0005361046
実施例1〜5及び比較例1〜4
<第1の溶融混練工程>
表2に示す種類と量の樹脂をヘンシェルミキサーで混合後、二軸混練機「PCM-43」(池貝社製)を用いて、回転数200r/min、混練温度140℃の条件下で混練した。また、原料混合物の上記混練機への原料の供給速度は10kg/時間、上記混練機中の平均滞留時間は1分間であった。
<加熱処理工程>
上記の第1の溶融混練工程により得られた溶融混練物を、冷却する際にそのまま、70℃のオーブン内にて24時間加熱処理した。
<第2の溶融混練工程>
上記の加熱処理工程により得られた表2に示す量の加熱処理物と、表2に示す種類と量のさらなる樹脂、カルナバワックス「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製)3.5重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精鑞社製)2.5重量部、正帯電性荷電制御剤「BONTRON P-51」(オリエント化学社製)0.06重量部、負帯電性荷電制御剤「E304」(オリエント化学社製)0.25重量部及び着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー15:3,大日精化社製)4.5重量部を、予めヘンシェルミキサーを用いて混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔第2の混練条件例:オープンロール〕
オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)を使用した。連続式二本ロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度9m/min、低回転側ロール(バックロール)周速度6m/min〔周速度の比(低回転側/高回転側=6.7/10)〕、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロール温度の原料投入側が100℃及び混練物排出側が80℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は4kg/時間、上記混練機中の平均滞留時間は約10分間であった。
<粉砕工程、分級工程>
上記で得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機及び気流分級機(IDS:日本ニューマチック社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径(D50)5.5μmの実施例1〜5及び比較例1〜4のトナーを得た。
試験例1〔保存性〕
金属性の円筒(内径2.8cm)にトナー10gを充填し、上から直径約2.8cmのおもり(20g)を乗せ温度50℃、相対湿度40%で48時間放置した。その後、おもりと円筒を取り除き、トナーが凝集しているか確認を行った。トナーが凝集している時は上におもりを載せ崩壊するまでおもりを加え、崩壊した重さを保存性の評価とした。重さ0gは円筒を取り除くだけで崩壊した場合であり、数値が少ないほど保存性が良好であることを示す。
Figure 0005361046
比較例1〜4のトナーと対比して、実施例1〜5のトナーは保存性に優れることがわかる。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を95重量%以上含有する結着樹脂aを80〜150℃で溶融混練する工程(第1の溶融混練工程)、前記第1の溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃で3〜80時間加熱処理して結着樹脂aの加熱処理物を調製する工程(加熱処理工程)、前記加熱処理工程で得られた結着樹脂aの加熱処理物とさらなる非晶質樹脂とを合わせて95重量%以上含有する結着樹脂Aを溶融混練する工程(第2の溶融混練工程)、ならびに前記第2の溶融混練工程で得られた溶融混練物を冷却後粉砕する工程(粉砕工程)、を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であり、
    前記結晶性ポリエステルが融点120〜160℃であり、第2の溶融混練工程の溶融混練温度が該結晶性ポリエステルの融点よりも20℃以上低い、静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 結着樹脂aにおける結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)が30/70〜80/20である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 結着樹脂Aにおける結着樹脂aの加熱処理物とさらなる非晶質樹脂の重量比(結着樹脂aの加熱処理物/さらなる非晶質樹脂)が20/80〜80/20である、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 第1及び第2の溶融混練工程における非晶質樹脂がいずれも、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を90〜100モル%含有するアルコール成分と、ジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有するカルボン酸成分との縮重合により得られるポリエステルである、請求項1〜3いずれか記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー。
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