JP2009265172A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結着樹脂として結晶性ポリエステルと軟化点が比較的高い非晶質ポリエステルを含む原料をオープンロール型混練機で溶融混練しても、原料がロールから脱落することなく、混練工程での生産効率に優れるトナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機により溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記結着樹脂として、目開き3mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上含む結晶性ポリエステル、軟化点が140℃以上の非晶質ポリエステルA及び軟化点が140℃未満の非晶質ポリエステルBを前記混練機に供給し、軟化点が115〜155℃のトナーを製造する、トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
省エネルギー、アイドリング時間の短縮、装置の小型化等の観点からトナーの低温定着性の向上が望まれている。そこで、低温定着性を向上する技術の一つとして、定着温度で急激に融解する結晶性樹脂と非晶質樹脂とを結着樹脂として用いる技術がある(例えば、特許文献1等参照)。
また、定着可能温度領域の拡大等の目的で、軟化点が高い非晶質ポリエステルと軟化点が低い非晶質ポリエステルとを結着樹脂として用いる技術がある(例えば、特許文献2等参照)。
一方、原料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕させることにより得られるトナーの製造方法において、染顔料や荷電制御剤等の構成成分が結着樹脂中に均一に分散されたトナーを製造する目的で、少なくとも染顔料と、荷電制御剤と、重量基準の50%粒子径(D50)が1mm以上、2mm未満であり、粒子径が1mm未満の粉体の割合(重量%)が35%以下であるように調整した結着樹脂とを混合撹拌した後、溶融混練する技術が開示されている(例えば、特許文献3等参照)。
また、原料をオープンロール型混練機で溶融混練する際に、混練物の加熱ロールからの脱落を防止するために、結着樹脂、特定量以上のワックス及び特定の吸油量を有する着色剤を含む原料を用い、着色剤の吸油量が1ml/g以下であり、混練に供される原料中のワックスの含有量が結着樹脂100重量部に対して4重量部以上となる原料投入部の冷却ロールに供給される熱媒体の特定の設定温度範囲で混練を行うトナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献4等参照)。
特開2002−287426号公報 特開2003−122059号公報 特開2001−265060号公報 特開2006−215490号公報
しかしながら、低温定着性の向上の目的で、結着樹脂として結晶性ポリエステルと軟化点が比較的高い非晶質ポリエステルとを用い、オープンロール型混練機で溶融混練すると、原料がロールから脱落し、生産性が低下する状況が生じることが判明した。
本発明の課題は、結着樹脂として結晶性ポリエステルと軟化点が比較的高い非晶質ポリエステルを含む原料をオープンロール型混練機で溶融混練しても、原料がロールから脱落することなく、混練工程での生産効率に優れるトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、オープンロール型混練機に供給する結晶性ポリエステルの粒度を調整することにより、原料のロールからの脱落を防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機により溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記結着樹脂として、目開き3mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上含む結晶性ポリエステル、軟化点が140℃以上の非晶質ポリエステルA及び軟化点が140℃未満の非晶質ポリエステルBを前記混練機に供給し、軟化点が115〜155℃のトナーを製造する、トナーの製造方法に関する。
本発明により、結着樹脂として結晶性ポリエステルと軟化点が比較的高い非晶質ポリエステルを含む原料をオープンロール型混練機で溶融混練しても、原料がロールから脱落することなく、混練工程での生産効率に優れるトナーの製造方法を達成することができる。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機により溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、結着樹脂として、結晶性ポリエステル、軟化点が140℃以上の非晶質ポリエステルA及び軟化点が140℃未満の非晶質ポリエステルBを使用する際に結晶性ポリエステルとして目開き3mmの篩いを通過し得る粒子を前記混練機に供給する点に大きな特徴を有する。
結晶性ポリエステルの粒度を調整することにより、結晶性ポリエステルと軟化点の高い非晶質ポリエステルを含む原料のロールからの脱落を防止することができる機構は、次のように推定される。結晶性ポリエステルは、非晶質ポリエステルと比較して、粉砕されにくく、混練機に供給する際の粒径が比較的大きくなる傾向がある。粒径が比較的大きな結晶性ポリエステルは、オープンロール型混練機に供給すると、ロールに衝突して弾み、供給口直下から外れてロール上の周辺に飛び散る。一方、軟化点の高い非晶質ポリエステルをオープンロール型混練機に供給すると、ロール上の原料が完全に溶融していない半溶融領域の範囲が軟化点の低いポリエステルを用いた場合よりも広くなり、ロールの地肌が広範囲に露出する傾向がある。この広範囲に露出したロールの地肌に飛び散った結晶性ポリエステルが接触して急激に溶融しながらロール表面に広がり、これが潤滑剤の如くロール表面を濡らすため、他の樹脂に比べて遅れて軟化し始めた軟化点の高い非晶質ポリエステルがロールに付着し難くなり、ロール表面から脱落するものと考えられる。しかしながら、本発明では、結晶性ポリエステルの粒径を小さくすることにより、結晶性ポリエステルがロールに衝突した際にロール上に飛散することなく他の原料と共に溶融されるため、ロール地肌に接触する量も低減し、結晶性ポリエステルのロール表面での溶融、拡散を防止することができる。これらの観点から、本発明では、結晶性ポリエステルとして、目開き3mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含む結晶性ポリエステル、より好ましくは実質的に目開き3mmの篩いを通過し得る粒子のみからなる結晶性ポリエステルを使用する。さらに、目開き2mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含む結晶性ポリエステル、より好ましくは実質的に目開き2mmの篩いを通過し得る粒子のみからなる結晶性ポリエステルが望ましく、目開き1mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含む結晶性ポリエステル、より好ましくは実質的に目開き1mmの篩いを通過し得る粒子のみからなる結晶性ポリエステルがより望ましい。結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。また、トナー製造時の粉砕性の観点から、結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。従って、結晶性ポリエステルの含有量は、上記のトナー製造の観点から、結着樹脂中、1〜50重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。
ポリエステルの結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で表わされ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質ポリエステル」とは、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きいポリエステルをいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
結晶性ポリエステルは、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、なかでも炭素数2〜8のジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、炭素数2〜8のジカルボン酸化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおける脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(脂肪族ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、さらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、真空反応時に蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.9以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満がより好ましい。
結晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のように脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択すればよい。なお、高出力のモーターを用いて、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、トナーの保存性及び生産性の観点から、好ましくは3,000〜10,000、より好ましくは4,000〜9,000である。
また、トナーの耐久性の観点から、結晶性ポリエステルは高分子量成分をある程度含有しているのが好ましいことから、結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは30,000〜100,000、より好ましくは40,000〜70,000である。
結晶性ポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は軟化点と20℃以内の差であること、即ち融点であることが好ましく、トナーの低温定着性、保存性及び耐久性の観点から、100〜140℃が好ましく、100〜130℃がより好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルA及びBも、結晶性ポリエステルと同様に、原料モノマーとしてアルコール成分とカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られるが、アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の式(I):
Figure 2009265172
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール等の樹脂の非晶質化を促進させるモノマーが含有されていることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、帯電安定性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
また、カルボン酸成分に含まれるジカルボン酸化合物としては、フマル酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の炭素数2〜30、好ましくは2〜8の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整等のために、適宜含有されていてもよい。
非晶質ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で180〜250℃で縮重合させて得られる。
非晶質ポリエステルの軟化点は、例えばカルボン酸成分等の原料モノマーの選択や反応時間により容易に調整することができるが、非晶質ポリエステルAの軟化点は、トナーの耐久性及び耐高温オフセット性の観点から、140℃以上、好ましくは140〜180℃、より好ましくは140〜160℃である。一方、非晶質ポリエステルBの軟化点は、トナーの定着強度及び光沢向上の観点から、140℃未満、好ましくは100℃以上140℃未満、より好ましくは110℃以上140℃未満である。非晶質ポリエステルAと非晶質ポリエステルBの軟化点の差は、トナーの定着性の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上である。
非晶質ポリエステルA及びBのガラス転移点は、溶融混練物の粉砕性及びトナーの保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
また、非晶質ポリエステルA及びBの酸価は、トナーの環境安定性の観点から、1〜50mgKOH/gが好ましく、3〜40mgKOH/gがより好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルAは、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、少なくとも1種の共通の化合物を原料モノマーとして得られるものであることが好ましい。かかる共通の化合物は、カルボン酸成分であることが好ましく、結晶性ポリエステルの結晶化度を高める観点から、フマル酸及びテレフタル酸等のフタル酸化合物がより好ましく、フマル酸がさらに好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
また、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルA及びBの総量との重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステルA及びBの総量)は、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、1/99〜30/70が好ましく、トナーの低温定着性の観点から、3/97〜20/80がより好ましい。
非晶質ポリエステルAの含有量は、トナーの耐久性及び耐高温オフセット性の観点から、結着樹脂中、25〜60重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。非晶質ポリエステルBの含有量は、トナーの定着強度及び光沢向上の観点から、結着樹脂中、25〜60重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。
結着樹脂には、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルA及びB以外のポリエステルや、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の樹脂が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルA及びBの総含有量は、結着樹脂中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が用いることができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明のトナーには、さらに、離型剤、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜、内添又は外添されていてもよい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
離型剤は、ポリエステルの製造段階で配合されていても、結着樹脂等ともに溶融混練に供する原料中に配合されていてもよい。
ポリエステルの製造段階で配合する場合は、結晶性ポリエステルが、離型剤の存在下で、原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。ここで、反応系内の粘度調整のためにワックスを添加することが好ましく、適度な粘度が得られる点から、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを用いるのが好ましい。
ポリエステルの製造段階で配合されるワックスの含有量は、ポリエステルの原料モノマーの総量100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。
溶融混練に供する原料中に配合する離型剤としては、トナーの耐オフセット性及び定着強度の観点から、パラフィンワックス及びカルナバワックスが好ましい。
原料中に配合する離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。
本発明に係る結晶性ポリエステルは、所定の目開きを通過し得る粒子とするため、オープンロール型混練機に供する前に粉砕することが好ましい。粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス、ハンマーミル等が挙げられる。さらに、結晶性ポリエステルをオープンロール型混練機に供給する以前に結晶性ポリエステルを篩う工程は必ずしも必要ではないが、篩を通過しない粒子の混入を避ける観点からは、粉砕後の粒子を所定の目開きの篩いにて、所定の目開きを通過しない粒子を除去し、所定の目開きを通過し得る粒子からなる結晶性ポリエステルに調整することも好ましい。
原料の溶融混練は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で適宜混合し、減算式スクリューフィーダー等を用いてオープンロール型混練機に投入して行うことができる。なお、原料は、混練機のロールをロール間で下向きに回転するように互いに逆方向に回転させたロールの上面又はその間隙に投入することが好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部がオープン型であるものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
本発明で用いるオープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。ロール温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
加熱ロールにおける混練の上流側と混練の下流側の設定温度は、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側の設定温度が下流側よりも高いことが好ましい。
混練の上流側の設定温度が低い方のロール(冷却ロールともいう)において、混練の上流側の設定温度は、混練の下流側の設定温度と同じであっても異なっていてもよい。
オープンロール型混練機のロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましく、前記の加熱ロールと冷却ロールを備えたオープンロール型混練機においては、分散性の観点から、加熱ロールが周速度の高い方のロール(高回転側ロール)、冷却ロールが周速度の低い方のロール(低回転側ロール)であることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、5〜75m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は2〜100m/minが好ましく、4〜60m/minがより好ましく、4〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
2本のロールの間隙(クリアランス)は、混練の上流側端部で好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.1〜1mmである。混練の下流側端部の2本のロールの間隙は混練の上流側端部と同じであってもよいが、高軟化点樹脂の分子鎖切断を抑制する観点から、混練の上流側端部よりも広くする場合は、それらの間隙の差は、0.1〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。
また、各ロールの構造、大きさ、材料等について特に限定はなく、ロール表面は、混練に用いられる溝を有しており、この形状は直線状、螺旋状、波型、凸凹型等が挙げられる。
原料混合物の供給速度及び平均滞留時間は、用いるロールのサイズや原料の組成等により異なるので、これらの条件により最適な条件を選択すればよい。
オープンロール型混練機による溶融混練工程以外は、得られた溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、分級工程等の通常の方法を経て、本発明のトナーを得ることができる。
粉砕工程では、粉砕後の分級工程で微粉が除去され、平均粒径がやや大きくなるので、目標とするトナーの体積中位粒径よりも、粉砕工程後の体積中位粒径が例えば0.5〜1.0μm程度小さくなるように粉砕することが望ましい。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕、分級工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程と繰り返してもよい。
溶融混練工程の後、粉砕工程及び分級工程を経て得られたトナー粒子をそのままトナーとして用いても、外添剤をトナー粒子表面に外添してトナーとして用いてもよい。トナー(粒子)の体積中位粒径(D50)は、3〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子等が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
外添剤としては、トナーの流動性付与やスペーサー効果を発揮させる観点から、シリカが好ましい。シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2が好ましい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。
外添工程は、外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法が好ましい。外添剤は、あらかじめ混合して高速攪拌機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
本発明により得られるトナーの軟化点は、トナーの耐久性、耐オフセット性及び光沢性向上の観点から、115〜155℃であり、好ましくは120〜155℃である。トナーの軟化点は、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルA及びBの配合比により調整することが好ましい。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布を示すチャートから、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
結晶性ポリエステルの製造例1
1,4-ブタンジオール1215g、1,6-ヘキサンジオール675g、フマル酸2160g、ハイドロキノン2.5g、及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から160℃まで4時間かけて昇温して反応させた後、ポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)338gを添加し、200℃まで3時間かけて昇温し、200℃にて30分反応させた後、8kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステル(樹脂A)を得た。得られた樹脂Aの軟化点は112.5℃、吸熱の最高ピーク温度(融点)は107.5℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値は1.05、数平均分子量は4,700、重量平均分子量は43,000であった。
非晶質ポリエステルの製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3308g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン341g、フマル酸792g、ハイドロキノン5g、及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで5時間かけて昇温して反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、無水トリメリット酸480gを投入し、1時間常圧で反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂B)を得た。得られた樹脂Bの軟化点は155.8℃、吸熱の最高ピーク温度は72℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値は2.16、ガラス転移点は64.7℃、酸価は33.2mgKOH/gであった。
非晶質ポリエステルの製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂C)を得た。得られた樹脂Cの軟化点は111.4℃、吸熱の最高ピーク温度は73℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値は1.53、ガラス転移点は68.5℃、酸価は3.2mgKOH/gであった。
非晶質ポリエステルの製造例3
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸172g、及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸480gを投入し、1時間常圧で反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(樹脂D)を得た。得られた樹脂Dの軟化点は120.8℃、吸熱の最高ピーク温度は68℃、軟化点/吸熱の最高ピーク温度の値は1.78、ガラス転移点は61.4℃、酸価は20.9mgKOH/gであった。
実施例1
樹脂A 5重量部、樹脂B 50重量部、樹脂C 45重量部、イエロー顔料「パリオトールイエロー」(BASF社製)3.6重量部、離型剤「HNP-9」(日本精蝋社製、パラフィンワックス)1.5重量部、離型剤「カルナウバワックス」(加藤洋行社製、天然エステルワックス)3重量部、及び荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製、ベンジル酸ホウ素錯体)0.5重量部からなる原料を、20リットル容のヘンシェルミキサーに、総仕込み量6kgになるように投入し、回転数1500r/minで180秒間攪拌混合して、原料混合物を得た。
ただし、樹脂Aは、粉砕機にて粗粉砕を行い、粒度を目開き1mmの篩をかけて、篩いを通過しない粒子を除去し、粒度を目開き1mmの篩を通過したもののみに調整したものを使用した。その際、直径20cmの篩いを用いて手で叩いて篩いをかけた。
原料混合物を、ロール外径140mm、混練有効長620mm、ロール間隙が0.1mmの連続式2本オープンロール型混練機に、10kg/hの速度で供給し、溶融混練した。溶融混練物を張り付ける加熱ロールの回転数は75r/min、他方の冷却ロールの回転数は53r/minとした。加熱ロールの温度は、ロール中心付近で二分割し、混練の上流側を145℃、下流側を100℃に設定した。冷却ロールの温度は、混練の上流側を75℃、下流側を35℃に設定した。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域での張り付き不良が著しく改善し、混練機の冷却ローラーに転移して脱落することなく混練を終了させることができた。このときの混練物の歩留まりは97%であった。また、得られた混練物の軟化点は132℃であった。なお、混練物の歩留まりとは、混練機に供給した原料混合物の重量に対する得られた混練物の重量の割合であり、歩留まりが高いほど、混練時の原料の脱落等の原料ロスが少なく生産効率が高いことを示す。
混練機より排出された溶融混練物を、ダブルベルト式冷却器により厚さ4.5mmに圧延冷却した後、ピンローターで切片状に粗割りし、ハンマーミルでさらに200μm以下に粗砕した。
さらに、ジェットミルにより微粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が7.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部に、外添剤として疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS)1.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、132℃であった。
実施例2
樹脂A 5重量部、樹脂B 45重量部、樹脂C 50重量部、マゼンタ顔料「カーミン6B」(大日精化社製)3.3重量部、離型剤「HNP-9」(日本精蝋社製、パラフィンワックス)1.5重量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、カルナウバワックス)3重量部、及び荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製、サリチル酸誘導体の亜鉛錯体)1.0重量部からなる原料を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの軟化点は、128℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域での張り付き不良が著しく改善し、混練機の冷却ローラーに転移して脱落することなく混練を終了させることができた。このときの混練物の歩留まりは98%であった。
実施例3
樹脂Aとして、粒度を目開き2mmの篩を通過したもののみに調整したものを使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、132℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域での張り付きはやや不安定であり、一部ローラー間の隙間から零れが観察されたが、改善は明らかであり、混練機の冷却ローラーに転移して脱落することはなかった。このときの混練物の歩留まりは95%であった。
実施例4
樹脂Aとして、粒度を目開き3mmの篩を通過したもののみに調整したものを使用した以外は、実施例2と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、128℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域での張り付きはやや不安定であり、一部ローラー間の隙間から零れが観察されたが、改善は明らかであり、混練機の冷却ローラーに転移して脱落することはなかった。このときの混練物の歩留まりは91%であった。
比較例1
樹脂Aとして、粒度を目開き3mmの篩で篩ったところ、篩上に25重量%が残存したもの、即ち目開き3mmの篩を通過するもの75重量%と通過しないもの25重量%を含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、132℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域で、ローラーへの張り付きが不安定になり、時折半溶融混練物が冷却ローラーに転移し、そのままローラーの遠心力で装置後方に弾き飛ばされた。このときの混練物の歩留まりは86%であった。
比較例2
樹脂Aとして、粒度を目開き3mmの篩で篩ったところ、篩上に65重量%が残存したもの、即ち目開き3mmの篩を通過するもの35重量%と通過しないもの65重量%を含むものを使用した以外は、実施例2と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、128℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域で、ローラーへの張り付きが非常に不安定になり、加熱ローラーから大量の半溶融混練物が剥がれ、そのまま落下したり、冷却ローラーに転移してローラーの遠心力で装置後方に弾き飛ばされたりした。このときの混練物の歩留まりは79%であった。
参考例
樹脂A 5重量部、樹脂C 60重量部、樹脂D 35重量部、マゼンタ顔料「カーミン6B」(大日精化社製)3.0重量部、離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、カルナウバワックス)6.5重量部、及び荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製、サリチル酸誘導体の亜鉛錯体)1.0重量部からなる原料を使用し、樹脂Aとして、粒度を目開き3mmの篩で篩ったところ、篩上に65重量%が残存したもの、即ち目開き3mmの篩を通過するもの35重量%と通過しないもの65重量%を含むものを使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。得られたトナーの軟化点は、115℃であった。
溶融混練において、混合原料投入口から30cmまでの領域では、ローラーへの張り付きは全く問題なく安定しており、加熱ローラーからの半溶融混練物の剥がれは全く起こらなかった。このときの混練物の歩留まりは98%であった。
参考例において、本発明において、非晶質ポリエステルAに相当する軟化点の高い非晶質ポリエステルを使用していなければ、結晶性ポリエステルの粒度を調整せずとも良好に溶融混練することが可能であることが分かる。
本発明により得られるトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるものである。

Claims (4)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機により溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記結着樹脂として、目開き3mmの篩いを通過し得る粒子を80重量%以上含む結晶性ポリエステル、軟化点が140℃以上の非晶質ポリエステルA及び軟化点が140℃未満の非晶質ポリエステルBを前記混練機に供給し、軟化点が115〜155℃のトナーを製造する、トナーの製造方法。
  2. 結晶性ポリエステルが、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルである請求項1記載の製造方法。
  3. 結晶性ポリエステルの融点が、100〜140℃である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 非晶質ポリエステルAの含有量が、結着樹脂中、25〜60重量%である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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