JP2009251193A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有し、広範囲な定着温度領域と優れた耐久性とを兼ね備えた電子写真用トナー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】結着樹脂及びアミド化合物を含むトナー原料を混練する工程及び該混練工程以降のいずれかの工程において製造中間物を加熱処理する工程を含む電子写真用トナーの製造方法であって、前記結着樹脂が結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含有してなり、前記アミド化合物が、式(I):
1−CONH−X−NHCO−R2 (I)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数12〜22のヒドロキシアルキル基、Xは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基である)
で表される化合物である、電子写真用トナーの製造方法、並びに該方法により得られる電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
トナーに要求される主要な特性として、低温定着性と保存性が挙げられる。そこで、低温定着性に対する試みとして、例えば、結着樹脂として結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含有したトナーが多数検討されている。
しかしながら、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを併用するトナーは、低温定着性が向上する反面、印刷時に帯電ブレードや感光体などに融着を起こしやすくなり、連続印刷時の耐久性が問題となる。
特許文献1には、低温定着性に優れ、かつ良好な粉砕性及び保存性を有するトナーの製造方法を提供することを目的として、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを混練し、その混練物に特定の温度、時間で加熱処理を行うことにより、低温定着性、粉砕性及び保存性が改良されたトナーの製造方法が開示されている。しかしながら、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドの開示はない。
特許文献2には、低温定着性及び保存性のいずれにも優れるトナーを目的として、結晶性低下を抑制し、結晶性ポリエステルの効果を十二分に発揮させるために、結晶核剤を含有してなるトナーが開示されている。結晶核剤として、融点が結晶性ポリエステルの融点以上、融点+100℃以下である脂肪酸アミド化合物が用いられている。しかしながら、アルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドの開示はない。
特許文献3には、低温定着性に優れ且つ耐高温オフセット性等に優れたトナーを提供するために、変性ポリエステルを含有するトナーにおいて、特定のワックス分散を満たすトナーが開示されている。そして、ワックスを分散させる方法として、予めワックスをスチレン系樹脂共重合樹脂に微分散させ、それをさらにメインバインダーであるポリエステル樹脂に集合体として分散させることが記載されている。また、ワックスとして飽和脂肪酸ビスアミドが例示されている。しかしながら、結晶性ポリエステルやアルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドの開示はない。
特開2005−308995号公報 特開2006−113473号公報 特開2001−255690号公報
本発明の課題は、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有し、広範囲な定着温度領域と優れた耐久性とを兼ね備えた電子写真用トナー及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 結着樹脂及びアミド化合物を含むトナー原料を混練する工程及び該混練工程以降のいずれかの工程において製造中間物を加熱処理する工程を含む電子写真用トナーの製造方法であって、前記結着樹脂が結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含有してなり、前記アミド化合物が、式(I):
1−CONH−X−NHCO−R2 (I)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数12〜22のヒドロキシアルキル基、Xは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基である)
で表される化合物である、電子写真用トナーの製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる電子写真用トナー
に関する。
本発明により、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有し、広範囲な定着温度領域と優れた耐久性とを兼ね備えた電子写真用トナーを得ることができる。
本発明は、結晶性ポリエステル、非晶質樹脂及びアミド化合物を含むトナー原料を混練する工程及び該混練工程以降のいずれかの工程において製造中間物を加熱処理する工程を含む方法により、広範囲な定着温度領域と優れた耐久性とを兼ね備えた電子写真用トナーを製造する方法である。結晶性ポリエステルは低温定着性に優れる一方で、混練時に結晶構造がくずれると、トナーの耐久性を低下させる原因となり得る。一般的に、加熱処理工程は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との相分離構造を形成させ、個々の樹脂を安定化し、それぞれの樹脂の特性を十分に発揮させることができるという効果がある。本発明においては、理由は不明なるも、アミド化合物により前記相分離構造が安定して形成されるとともに、結晶性ポリエステルの再結晶化が促進され、耐久性を損なうことなく、定着温度域が拡大するという結晶性ポリエステルの特性が十分に生かされるものと推定される。
本発明において、アミド化合物は、式(I):
1−CONH−X−NHCO−R2 (I)
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数12〜22、好ましくは炭素数16〜20のヒドロキシアルキル基、Xは炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基又はフェニレン基である)
で表される。
式(I)で表されるアミド化合物としては、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。トナーの帯電性及び帯電の立ち上がり性の観点から、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド及びヘキサメチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミドが好ましい。該アミド化合物は、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物であり、水酸基は炭素数12〜22のアルキル基の両末端に有していることが好ましい。
式(I)で表されるアミド化合物の融点は、トナーの保存安定性の観点から、65℃以上が好ましく、70℃〜220℃がより好ましく、80〜190℃がさらに好ましく、130〜180℃がよりさらに好ましい。
本発明においては、前記の如く、結着樹脂として結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを使用する。
樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計における吸熱の最高ピーク温度との比、即ち〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕によって表わされ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕が0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質樹脂」とは、〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きい樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明における結晶性ポリエステルは、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、なかでも炭素数2〜8のジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、炭素数2〜8のジカルボン酸化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおける脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(脂肪族ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、さらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、真空反応時に蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.9以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満がより好ましい。
結晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のように脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択すればよい。なお、高出力のモーターを用いて、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、トナーの保存性及び生産性の観点から、5,000〜10,000が好ましく、6,000〜9,000がより好ましい。
また、トナーの耐久性の観点から、結晶性ポリエステルは高分子量成分をある程度含有しているのが好ましいことから、結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、40,000〜150,000が好ましく、50,000〜120,000がより好ましい。
結晶性ポリエステルの示差走査熱量計における吸熱の最高ピーク温度は、トナーの定着性、保存性及び耐久性の観点から、110〜140℃が好ましく、110〜130℃がより好ましく、110〜120℃がさらに好ましい。吸熱の最高ピーク温度を調整する方法としては、例えば数平均分子量を調整する方法が挙げられ、数平均分子量を大きくすると吸熱の最高ピーク温度が大きくなる傾向があり、数平均分子量を小さくすると小さくなる傾向がある。
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、70〜140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましい。軟化点を調整する方法としては、例えば脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整する方法、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を変更する方法が挙げられる。具体的には、脂肪族ジカルボン酸化合物の割合を増加させたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより数平均分子量を大きくすることができる。また、前記記載の逆にすると小さくなる傾向がある。また、前述した通り、軟化点と吸熱最高ピーク温度の比を調整するには、脂肪族ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を調整したりすることにより達成できる。
本発明における非晶質樹脂は、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と芳香環を有する芳香族カルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであり、例えば、非晶質ポリエステルが例示される。
アルコール成分には、トナーの帯電性と耐久性の観点から、式(II):
Figure 2009251193
(式中、R3O及びOR3はオキシアルキレン基であり、R3はエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、アルコール成分中、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは実質的に100モル%含有されている。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルコール成分中の含有量とは加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
式(II)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
カルボン酸成分には、フマル酸等の前記結晶性ポリエステルの原料に例示された脂肪族ジカルボン酸化合物や、芳香環を有する芳香族カルボン酸化合物を含むジカルボン酸化合物を用いることができるが、剛直な構造により混練物の結晶化率を高く保持する観点から、芳香環を有する芳香族カルボン酸化合物をカルボン酸成分中、50モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%含有される。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、芳香族カルボン酸化合物のカルボン酸成分中の含有量とは、加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
芳香族カルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の3価以上の芳香族カルボン酸化合物、これらの酸の無水物、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等のカルボン酸化合物が挙げられる。これらのなかでは、環境安定性及び耐久性の観点から、テレフタル酸が好ましい。
芳香族カルボン酸化合物以外の他のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
非晶質樹脂におけるアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができるが、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、エステル化触媒、例えば、オクチル酸錫の存在下で行うことが好ましい。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部が好ましく、0.1〜0.8重量部がより好ましい。
また、本発明において、非晶質樹脂は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性の観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは10〜60℃異なる2種類の非晶質ポリエステルからなることが好ましい。低軟化点ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜120℃であり、高軟化点ポリエステルの軟化点は、耐オフセット性の観点から、好ましくは120〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。なお、3種以上の樹脂からなる場合は、含有量が多い方から2種が上記を満たすことが好ましく、例えば、多い順における2番目と3番目が同じ含有量の時は1番多いものと2番目のどちらかが上記を満たすことが好ましい。
高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルとの重量比(高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステル)は、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましい。また、高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステルは、トナーの耐久性をさらに向上させる場合は、8/2〜5/5が好ましく、トナーの低温定着性をさらに向上させる場合は、4/6〜2/8が好ましい。
非晶質樹脂が2種以上の非晶質ポリエステルからなる場合、トナーの低温定着性の観点から、平均軟化点は100〜140℃であることが好ましく、110〜130℃であることがより好ましい。本明細書において、平均軟化点とは加重平均軟化点のことをいい、各軟化点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
非晶質樹脂のガラス転移点は、トナーの低温定着性と耐久性の観点から、40〜70℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。酸価は、5〜25mgKOH/gが好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。本明細書において、ガラス転移点及び酸価は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
なお、本発明において、非晶質樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明において結着樹脂は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有するが、結晶性ポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、1〜35重量%が好ましく、5〜35重量%がより好ましく、15〜30重量%がさらに好ましい。
非晶質樹脂の総含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、65〜99重量%が好ましく、65〜95重量%が好ましく、70〜85重量%がより好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、5/95〜35/65が好ましく、15/85〜30/70がより好ましい。
また、前記アミド化合物と結晶性ポリエステルとの重量比(アミド化合物/結晶性ポリエステル)は、トナーの定着性と耐久性の観点から、5/95〜50/50が好ましく、5/95〜40/60がより好ましい。
前記アミド化合物と結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量との重量比(アミド化合物/結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量)は、トナーの定着性と耐久性の観点から、0.5/99.5〜15/85が好ましく、0.5/99〜10/90がより好ましく、1/99〜5/95がさらに好ましい。
本発明における結着樹脂には、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の結着樹脂等が挙げられる。結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総含有量は、特に限定されないが、トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂中、95重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましい。
さらに、本発明における結着樹脂以外のトナー原料として、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜用いられていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらのワックスは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。離型剤の含有量は、定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。正帯電性荷電制御剤としては、二グロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましい。
トナー原料の混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、結着樹脂に添加剤を効率よく高分散させることができることから、ロールの軸方向に沿って設けられた供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
トナー原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後、オープンロール型混練機に供することが好ましく、1箇所の供給口から混練機に供給してもよく、複数の供給口から分割して混練機に供給してもよいが、操作の簡便性及び装置の簡略化の観点からは、1箇所の供給口から混練機に供給することが好ましい。
連続式オープンロール型混練機とは、混練部がオープン型であるものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが望ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、分散性の観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが望ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
高回転側ロールの原料投入側端部温度は100〜160℃が好ましく、低回転側ロールの原料投入側端部温度は35〜100℃が好ましい。
高回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出側端部の設定温度の差が、混練物のロールからの脱離防止の観点から、20〜60℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましく、30〜50℃であることがさらに好ましい。低回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出側端部の設定温度の差が、離型剤分散性の観点から、0〜50℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、0〜20℃であることがさらに好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、4〜50m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は1〜90m/minが好ましく、2〜60m/minがより好ましく、2〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
なお、本発明では、結着樹脂及びアミド化合物等を含むトナー原料を混練する工程を、少なくとも、結晶性ポリエステルとアミド化合物とを含むトナー原料を混練する第一混練工程及び該工程で得られた混練物と非晶質樹脂とを含むトナー原料を混練する第二混練工程との2段階で行うことが好ましい。アミド化合物を予め結晶性ポリエステルと混練することにより、アミド化合物の結晶性ポリエステル中への分散が良好になり、結晶化率の向上に寄与するためと考えられる。第一混練工程及び第二混練工程には、前述した混練機を用いることができる。
着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、第一混練工程及び第二混練工程のいずれの工程で配合してもよく、さらに第二混練工程の後にそれらの添加剤を配合する第三混練工程を設けてもよいが、生産効率の観点から、第二混練工程で配合することが好ましい。
混練工程により得られた混練物は、混練工程以降のいずれかの工程において加熱処理工程を行う方法であれば、粉砕してトナーとする粉砕トナーの製造や、溶媒に粒子として分散させて得られる重合トナーの製造に用いることができるが、本発明では、加熱処理工程以外に熱処理を行う工程を含まないよう、粉砕トナーの製造に用いることが好ましい。本発明では、混練物中の結晶性ポリエステルと非晶樹脂との相分離構造を安定化し、結晶性ポリエステルの再結晶化が促進されればよいので、粉砕トナーの製造においては、混練工程により得られた混練物を粉砕後、得られた粉砕物に加熱処理工程を行ってもよい。トナーの保存安定性の観点からは、加熱処理工程は、混練工程後、粉砕工程前に行うことが好ましい。
粉砕トナーの一般的なトナーの製造方法では、得られた混練物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、粉砕工程及び分級工程に供するが、本発明では、混練工程後、前記の如く、得られた混練物を加熱処理工程に供してから、粉砕工程を行うことが好ましい。
本発明において、加熱処理工程は、トナー添加剤の分散維持と結着樹脂分子の再配列性によるトナーの耐久性向上の観点から、好ましくは50〜80℃、より好ましくは50〜70℃の温度で、好ましくは1〜80時間、より好ましくは3〜72時間行うことが望ましい。なお、この時間は当該温度範囲内となる累計の時間である。また、トナー添加剤の分散維持と結着樹脂分子の再配列性の観点から、加熱処理工程の開始から終了までに当該温度範囲の上限値を超えないことが好ましい。
本発明では、加熱処理工程を、前記温度で、かつ前記時間行うことにより、混練物中の樹脂の再配列を促し、一旦低下したガラス転移温度の回復によりトナーの耐久性がより顕著に向上するものと推定される。さらに、可塑部分、即ち低ガラス転移温度の部分は、粉砕の際、衝撃を吸収しやすく、粉砕効率の低下の原因となるが、本発明では、粉砕工程前に加熱処理工程を行うことにより、可塑化が抑制されるため、粉砕性も向上させることができる。
加熱処理工程には、オーブン等を用いることができる。例えば、オーブンを用いる場合、混練物をオーブン内で、一定温度に保持することにより、加熱処理工程を行うことができる。
加熱処理工程を行う態様は特に限定されないが、例えば、
態様1:混練工程後、粉砕工程で混練物を粉砕し、粉砕された混練物を前記加熱処理条件下に保持する態様
態様2:混練工程後、得られた混練物を冷却する際に、混練物を前記加熱処理条件下に保持し、次いで粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、粉砕工程等の次の工程に供する態様
態様3:混練工程後、得られた混練物を粉砕可能な硬度まで一旦冷却した後、冷却した混練物を前記加熱処理工程に供し、次いで混練物を再び冷却し、粉砕工程等の次の工程に供する態様
がある。本発明ではいずれの態様で加熱処理工程を行ってもよいが、トナー中の添加剤の分散性の観点から、態様3が好ましい。
結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量が多くなるに従い、混練物の結晶化率は増加する傾向にある。しかし、結晶性ポリエステル中にも結晶構造を有さない部分、即ち、混練では結晶化しない部分が存在し、かかる部分が混練物中に多く存在すると耐久性に劣る傾向がある。そこで、加熱処理工程により混練物全体における結晶化を促進し結晶化率を大きくすることで耐久性が向上する。なお、本明細書において「結晶化率」とは、後述の「結晶化率」の測定方法で定義される値であり、使用する結晶性ポリエステルが結晶部分を有する割合に対して、混練物等の系における結晶部分が占める割合のことを意味すると考えられる。
加熱処理工程後の製造中間体の結晶化率は、耐久性の観点から、加熱処理前の製造中間体の結晶化率よりも大きいことが好ましい。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、加熱処理工程後の加熱処理物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。
以上の工程によりトナーが得られるが、さらに得られたトナー表面に疎水性シリカ等の無機微粒子や樹脂微粒子を外添してもよい。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、画質及び帯電性の観点から、4.5〜6.5μmが好ましく、5〜6μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明により得られたトナーは、一成分現像用トナー及びキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーのいずれにも用いることができるが、耐熱性がより要求される一成分現像用トナーとしてより好適に用いられる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出する温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布を示すチャートから、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をテトラヒドロフラン中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔結晶化率〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料(約10mg)をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度50℃/分で180℃まで測定する。次に、得られた熱曲線上の90〜120℃付近に現れる結晶融解に起因する吸熱ピークについて、該ピークの開始点温度以下のベースライン上の最もピークに近い点と該ピークの終点温度以上のベースライン上の最もピークに近い点とを結ぶ直線を引くことにより、ピーク面積を算出して、結晶融解に要する吸熱量とする。試料として、混練物及びその原料の結晶性ポリエステルを用い、結晶性ポリエステルの結晶融解に要する吸熱量を求め、原料の結晶性ポリエステルの含有量(重量%)当たりの結晶融解に要する吸熱量を算出することにより、以下の式に従って、試料の結晶化率を算出する。
結晶化率(%)=混練物の吸熱量/混練物の原料の結晶性ポリエステルの含有量(重量%)当たりの吸熱量×100
〔アミド化合物の融点〕
JIS K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求める。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
本明細書において、トナーの体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になるトナーの粒径を意味する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%電解液
分散条件:分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個のトナー粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔外添剤の平均粒径〕
一次粒子の平均粒径を下記式より求める。
平均粒径(nm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))×1000
式中、ρは外添剤の真比重であり、例えば、シリカの真比重は2.2である。比表面積は、窒素吸着法により求められたBET比表面積である。疎水化処理された外添剤の場合は、疎水化処理前の原体の比表面積とする。なお、上記式は、粒子径Rの球と仮定して、
比表面積=S×(1/m)
m(粒子の重さ)=4/3×π×(R/2)3×真比重
S(表面積)=4π(R/2)2
から得られる式である。
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びターシャルブチルカテコール(TBC)4.2g(α,ω−直鎖アルカンジオールと脂肪族ジカルボン酸化合物の総量100重量部に対して0.05重量部)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに、8.3kPaにて所望の分子量の樹脂が得られるまで反応させて、樹脂aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びオクチル酸錫18.6g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃で、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例2
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びオクチル酸錫19.3g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃にて表1に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Bを得た。
Figure 2009251193
実施例1〜3
表2に示す種類と量の結晶性ポリエステルと添加剤を、ヘンシェルミキサーを用いて混合後、連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:80cm)を使用した。連続式二本ロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度:32.97m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数50r/min(周速度:21.98m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が135℃及び混練物排出側が90℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は4kg/時間、平均滞留時間は約10分間であった(第一混練工程)。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延し、20℃以下に冷却した。得られた混練物を、表2に示す種類と量の非晶質ポリエステル、カルナバワックス「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製)3.5重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精鑞社製)2.5重量部、負帯電性荷電制御剤「E304」(オリエント化学社製)0.25重量部、正帯電性荷電制御剤「ADD-P5」(オリエント化学工業社製)0.06重量部及び着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー(ピグメント・ブルー 15:3)、大日精化社製)4.5重量部と混合し、ヘンシェルミキサーを用いて混合後、二軸押出機「PCM-30」(三井鉱山社製)を使用し、混練した。二軸押出機の運転条件は、シリンダー温度80℃、出口温度90℃、回転数200r/min、フィード量5kg/hrであった(第二混練工程)。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延し、20℃以下に冷却した後、オーブン内にて、表2に示す温度、時間で加熱処理した。
加熱処理後の加熱処理物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機及び気流分級機(IDS:日本ニューマチック社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径(D50)5.5μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部に対し、疎水化シリカNY-50(日本アエロジル社製)を1.0重量部外添し、体積中位粒径(D50)5.5μmのトナーを得た。
実施例4〜8
表2に示す種類と量の結着樹脂、カルナバワックス「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製)3.5重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精鑞社製)2.5重量部、負帯電性荷電制御剤「E304」(オリエント化学社製)0.25重量部、正帯電性荷電制御剤「ADD-P5」(オリエント化学工業社製)0.06重量部及び着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー(ピグメント・ブルー 15:3)、大日精化社製)4.5重量部と混合し、ヘンシェルミキサーを用いて混合後、実施例1と同じ条件で混練した。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延し、20℃以下に冷却した後、オーブン内にて、表2に示す温度、時間で加熱処理した。
加熱処理後の加熱処理物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機及び気流分級機(IDS:日本ニューマチック社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径(D50)5.5μmのトナーを得た。
比較例1、2
表2に示す種類と量の結着樹脂、カルナバワックス「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製)3.5重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精鑞社製)2.5重量部、負帯電性荷電制御剤「E304」(オリエント化学社製)0.25重量部、正帯電性荷電制御剤「ADD-P5」オリエント化学工業社製)0.06重量部及び着色剤「ECB-301」(フタロシアニンブルー(ピグメント・ブルー 15:3)、大日精化社製)4.5重量部を用いて、実施例1と同様にして、体積中位粒径(D50)5.5μmのトナーを得た。
比較例3
加熱処理工程を行わなかった以外は、比較例1と同様にして、トナーを得た。
比較例4
加熱処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
比較例5
核剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
試験例1〔定着性〕
非磁性一成分現像装置「Oki Microline 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、未定着で画像出しを行った(印字面積:4.1cm×13.0cm、付着量:0.45±0.03mg/cm2)。得られた未定着画像について、「Microline3010」(沖データ社製)の外部定着機(定着速度:300mm/sec)を用いて、90℃から240℃へ5℃ずつ順次定着温度を上昇させながら、600r/minで用紙に定着させた。オフセットの発生を目視にて観察し、オフセットが発生しない温度領域(定着温度領域)を調べた。結果を表2に示す。なお、定着紙には、富士ゼロックスオフィスサプライ社製のJ紙を使用した。
試験例2〔耐久性〕
非磁性一成分現像装置「Oki Microline 5400」(沖データ社製)のIDカートリッジにトナーを実装し、温度30℃、湿度65%の条件下で、70r/min(36ppm相当)でから回し運転を行い、現像ローラ表面のムラスジ発生を目視にて観察し、ムラスジが発生するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。なお、ムラスジとは現像ローラ上に付着しているトナー量にばらつきが発生している状態のことをいい、ムラスジの発生により、印字の際に画像濃度に濃淡が発生することになる。
Figure 2009251193
以上の結果より、比較例1〜5と対比して、実施例1〜8では、加熱処理により結晶化率が大幅に高くなり、定着温度領域が広く、耐久性の良好なトナーが得られていることが分かる。特に、ヒドロキシ基を有していないアミド化合物を使用した比較例1〜3では、加熱処理の有無が定着温度領域や耐久性に及ぼす影響は小さいことが明らかである。
本発明により得られる電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 結着樹脂及びアミド化合物を含むトナー原料を混練する工程及び該混練工程以降のいずれかの工程において製造中間物を加熱処理する工程を含む電子写真用トナーの製造方法であって、前記結着樹脂が結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含有してなり、前記アミド化合物が、式(I):
    1−CONH−X−NHCO−R2 (I)
    (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、炭素数12〜22のヒドロキシアルキル基、Xは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基である)
    で表される化合物である、電子写真用トナーの製造方法。
  2. 混練工程が、結晶性ポリエステルとアミド化合物とを含むトナー原料を混練する第一混練工程及び該工程で得られた混練物と非晶質樹脂とを含むトナー原料を混練する第二混練工程を含む、請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 加熱処理工程が、混練物を50〜80℃の温度で1〜80時間保持する工程である、請求項1又は2記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. アミド化合物と結晶性ポリエステルとの重量比(アミド化合物/結晶性ポリエステル)が5/95〜50/50である請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. アミド化合物と結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量との重量比(アミド化合物/結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量)が0.5/99.5〜15/85である請求項1〜4いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の製造方法により得られる電子写真用トナー。
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