JP2006220754A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents

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健一 松村
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Abstract

【課題】 低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れ、良好な発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供する。
【解決手段】 ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系ワックスと両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドとを含有するトナー用樹脂組成物であって、上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドの含有量が、上記ポリオレフィン系ワックスの含有量よりも少ないことを特徴とするトナー用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れ、良好な発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーに関する。
電子写真において静電荷像を現像する方式として、乾式現像方式が多用されている。乾式現像方式において、通常、トナーは、キャリアと呼ばれる鉄粉、ガラスビーズ等との摩擦によって帯電し、これが感光体上の静電潜像に電気的引力によって付着し、次に用紙上に転写され、加熱ローラー等によって定着されて永久可視像となる。
定着の方法としては、トナーに対して離型性を有する材料で表面を形成した熱定着ローラの表面に、被定着シートのトナー画像を圧接触させながら通過せしめることにより行う加熱ローラ法が汎用されている。
この熱定着ローラ法において、消費電力等の経済性を向上させるため、及び、複写速度を上げるため、より低温で定着可能なトナーが求められている。
しかしながら、上記の低温定着性を改善しようとすると、トナーの一部が熱定着ローラ表面に付着し、それが紙に再転写するといったオフセット現象が起こりやすくなったり、樹脂同士が様々な環境を通して受ける熱によってトナーが凝集するブロッキング現象が起こりやすくなったりするといった問題がある。
従来のポリエステル系トナーでは、通常3官能以上の多官能モノマーを共重合することによって、ポリマー内に化学的架橋構造を形成させ、耐高温オフセット性を保持させていた。
しかし、このような方法では、ポリマー中に溶解しない成分が存在するために、定着ロールで定着後の印字表面に凹凸が生じるために光沢が劣ったり、低温定着性にも限界があったりした。
これらの課題を解決するための方法として、トナーにワックス類を添加することが従来から知られており、例えば、特許文献1には、ポリエステル樹脂を用い、カルナバワックス又はモンタン系エステルワックスと酸化ライスワックスと、更に含フッ素4級アンモニウム塩化合物を含有したトナーが提案されている。
しかしながら、この方法ではワックス類の融点が低いため、ブロッキング現象が起こりやすくなったり、定着ローラに付着してフィルミングが起こりやすくなったりするといった問題があった。
特開平4−186367号公報
上記問題点の対策として、ポリエステル樹脂を用い、融点の高いポリオレフィン系ワックスを添加する方法が考えられるが、ポリエステル樹脂とポリオレフィン系ワックスとの相溶性が充分ではないため、耐高温オフセット性を改善することが困難であった。
本発明は、上記現状に鑑み、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れ、良好な発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供することを目的とする。
本発明のトナー用樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系ワックスと両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドとを含有するトナー用樹脂組成物であって、上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドの含有量が、上記ポリオレフィン系ワックスの含有量よりも少ないことを特徴とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂としては特に限定されないが、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとを含有するものが好ましい。
なお、本発明において、結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計により示差熱を測定したときに、鋭く明瞭な融点ピークを示し、結晶化度が10%を超えるポリエステルを意味し、非結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計により示差熱を測定したときに、鋭く明瞭な融点ピークを示さず、結晶化度が10%以下であるポリエステルを意味する。
更に、上記ポリエステル系樹脂としては、融点が180〜280℃であり、かつ、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点における吸熱量が25〜150mJ/mgである結晶性ポリエステルと、ガラス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有し、前記非結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルと、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルとを含有することがより好ましい。
即ち、このようなポリエステル系樹脂では、物理的架橋構造を形成しうる高融点の結晶性ポリエステルと、物理的架橋構造を形成せずガラス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを混合することによって、耐高温オフセット性の向上と同時に、光沢及び低温定着性の向上が可能となる。物理的架橋構造を形成し得る結晶性ポリエステルと、物理的架橋構造を形成せずガラス転移温度が30〜80℃である非結晶性ポリエステルとを含有することにより、ポリマー粘度が上昇するために耐オフセット性が向上でき、一方、定着ロールによる加圧時にはポリマーの粘度が低下するために印字表面の平滑性が増し、光沢が良くなると同時に低温定着性も向上するものと考えられる。
このとき、上記物理的架橋構造を形成した結晶は、1μm以下の大きさで本発明のトナー用樹脂組成物中に均一に微分散していることが好ましい。微小な結晶が微分散していることにより、上記ネットワーク構造がより安定になり、優れた効果を発現する。
このようなナノオーダーでの均一な微分散構造を発現させ、上述のネットワーク構造を形成させるためには、結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとの相溶性が高いことが非常に重要であるとともに、結晶性ポリエステルの結晶化度が高いことが重要である。
上記結晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した融点における吸熱量は25〜150mJ/mgであることが好ましい。25mJ/mg未満であると、上述のネットワーク構造を形成しにくいことから耐高温オフセット等の所期の効果が得られにくく、150mJ/mgを超えると、定着ロールによる加圧時にポリマーの粘度が充分に低下せず、定着後の印字表面に凹凸が生じて光沢が劣り、低温定着性が劣ることがある。より好ましくは、40〜100mJ/mgである。
なお、示差走査熱量計(DSC)の測定条件については特に限定されないが、例えば、JIS K 7121に準拠して、試料10mgを昇温速度10℃/分で加熱する方法により測定することができる。
上記結晶性ポリエステルの融点は180〜280℃であることが好ましい。180℃未満であると、高温耐ホットオフセット性が不充分となったり、フィルミングが発生しやすくなり耐久性が不充分となったりする。280℃を超えると、非結晶性ポリエステルとの混合時に280℃を超える高温で溶融させる必要があることから、生産性が悪化してしまう。より好ましくは、200〜240℃であり、更に好ましい下限は220℃である。
複写機やプリンターにおけるスイッチオン後の立ち上がり時間(ウォームアップ時間)の短縮のためには、定着ローラを所定の定着温度まで急速に昇温する必要があるが、このときオーバーシュートのため定着ローラは所定の定着温度よりも初めは高温にぶれる。従って、この状態においても良好な印字を行うためには、トナーは、高温における耐ホットオフセット性が良好でなければならない。定着温度が低く、耐ホットオフセット温度が高い程、ウォームアップ時間の短縮が可能となる。通常、ハードウェアの設計幅を充分に大きくするためには、耐ホットオフセット温度は180℃以上であることが要求される。上記結晶性ポリエステルの融点が180℃以上であると、結晶性ポリエステルの結晶部が高温においても溶融しないで、上述のネットワーク構造が保持されるため高温耐ホットオフセット性が向上するものと考えられる。また、複写機やプリンターの高速化に伴い、高速運転下においても微粉が発生せず、フィルミングの生じないトナーが望まれている。特にブレードへの機械的接触において帯電化を行う非磁性一成分系のトナーでは耐久性への要望が一段と高い。上記結晶性ポリエステルの融点が180℃であると、結晶性ポリエステルの結晶部の凝集力が高くなり、上述のネットワーク構造が強化されるため耐久性が向上するものと考えられる。
上記結晶性ポリエステルは、重量平均分子量の好ましい下限が3万、好ましい上限が30万である。3万未満であると、得られるトナーの耐オフセット性及び耐久性が不充分となることがあり、30万を超えると、低温定着性及び光沢が劣ることがある。これは、この範囲外であると上述のネットワーク構造が充分に形成できないためと考えられる。より好ましい下限は5万、より好ましい上限は20万であり、更に好ましい下限は8万、更に好ましい上限は15万である。
上記結晶性ポリエステルとしては特に限定されないが、ジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより得ることができる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。なかでも、結晶性を付与するために、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物及び低級アルキルエステルが好適に用いられる。
上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
上記結晶性ポリエステルとしては、なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、結晶化速度が速く、結晶化度も高いことから、これを用いて得られるトナーは耐オフセット性に優れる。また、非結晶性ポリエステルとの相溶性に優れることから、これを用いて得られるトナーは、低温定着性や光沢にも優れたものとなる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、結晶融点が高いことから、これを用いて得られるトナーは特に高温での耐オフセット性に優れる。なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)よりも結晶化速度、結晶化度の点で劣るものの、結晶核剤を添加することによりこれらの点を改善することも可能である。これらの結晶性ポリエステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記非結晶性ポリエステルのガラス転移温度は30〜80℃であることが好ましい。30℃未満であると、高温耐オフセット性や耐ブロッキング性が充分に得られないことがあり、80℃を超えると、低温定着性が劣ることがある。より好ましくは50〜65℃である。
上記非結晶性ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとを縮重合させることにより得ることができる。
非結晶性ポリエステルのガラス転移温度は、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸はガラス転移温度を向上させる働きがあり、セバシン酸やアジピン酸等の長鎖の脂肪族ジカルボン酸はガラス転移温度を低下させる働きがあるのでこれらのジカルボン酸を適宜組み合わせることにより目的のガラス転移温度を達成することができる。しかし、芳香族ジカルボン酸と長鎖の脂肪族ジカルボン酸とを適宜組み合わせることによって目的のガラス転移温度を達成することができたとしても、軟化温度が高くなりすぎる傾向がある。
そこで、上記非結晶性ポリエステルは、屈曲した分子構造を分子鎖中に導入できる2価の屈曲モノマー又は分岐鎖を有する2価のモノマーのいずれかを少なくとも含有する多価カルボン酸と多価アルコールを含むモノマー混合物を重合させてなることが好ましい。これら2価の屈曲モノマーや分岐鎖を有する2価のモノマーを含有するモノマー混合物を重合してなるポリマーは、目的のガラス転移温度と低い軟化温度をより容易に両立させることができ、結晶化を効果的に抑制することができる。
上記2価の屈曲モノマーとしては、オルト位又はメタ位がカルボキシル基で置換された芳香族ジカルボン酸、オルト位又はメタ位がヒドロキシル基で置換された芳香族ジオール、非対称位置にカルボキシル基を有する多環芳香族ジカルボン酸、非対称位置にヒドロキシル基を有する多環芳香族ジオール等ポリマーの分子鎖に屈曲した分子構造を導入できるモノマーであればジカルボン酸やジオールに限定されず、例えば、ジカルボン酸の無水物や低級エステル、モノヒドロキシモノカルボン酸等であってもよく、例えば、無水フタル酸、o−フタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物や低級エステル;サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等のモノヒドロキシモノカルボン酸;カテコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオールが挙げられる。
また、分岐鎖を有する2価のモノマーは、分岐鎖の立体障害によりポリマーの結晶化を効果的に抑制する。結晶化を効果的に抑制できる分岐鎖を有するモノマーとしては、分岐アルキル鎖を有する脂肪族ジオールや、分岐アルキル鎖を有する脂環式ジオール等が挙げられる。なお、脂環式ジオールとしては、複数の脂環式ジオールが分岐アルキレン鎖により連結された脂環式ジオールが好ましい。
上記分岐鎖を有する2価のモノマーとしては特に限定されず、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2‐ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
なかでも、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、並びに、エチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールを主成分とするモノマー混合物を重合してなる非結晶性ポリエステルは、低温定着性、透明性に優れることから好適である。
上記非結晶性ポリエステルは、平均分子量の異なる2種の非結晶性ポリエステルを含有することが好ましい。非結晶性ポリエステルの溶融粘度はその分子量により決まる。上記非結晶性ポリエステルとして分子量の小さなものを用いれば、得られるトナーは溶融粘度が低くなることから優れた低温定着性が得られる。しかしながら、分子量の小さな非結晶性ポリエステルを用いると、得られるトナーは耐高温オフセット性、保存安定性に劣るほか、上記結晶性ポリマーとの混練も困難になる。本発明者らは、鋭意検討の結果、平均分子量の小さな非結晶性ポリエステルと平均分子量の大きな非結晶性ポリエステルとを併用することにより、優れた低温定着性を有したまま、耐高温オフセット性、保存安定性及び結晶性ポリマーとの混練性を大幅に改善できることを見出した。
上記重量平均分子量の異なる2種の非結晶性ポリエステルの組み合わせとしては、平均分子量の小さなものとして重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルを、平均分子量の大きなものとして重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。
平均分子量の小さな非結晶性ポリエステルの重量平均分子量が3000未満であると、トナー用樹脂組成物の強度が低くなり得られるトナーの耐久性が不充分となることがあり、2万を超えると、優れた低温定着性を発現することができなくなることがある。より好ましい上限は8000である。
平均分子量の大きな非結晶性ポリエステルの重量平均分子量が3万未満であると、得られるトナーの耐高温オフセット性、保存安定性及び結晶性ポリマーとの混練性が不充分となることがあり、30万を超えると、得られるトナーの低温定着性が不充分となることがある。より好ましい上限は20万である。
重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルと重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルとの配合比としては、重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルが40〜90重量%に対して、重量平均分子量が3万〜30万である非結晶性ポリエステルが10〜60重量%であることが好ましい。重量平均分子量が3000〜2万である非結晶性ポリエステルの配合量が40重量%未満であると、得られるトナーの低温定着性が不充分となることがあり、90重量%を超えると、得られるトナーの耐高温オフセット性、保存安定性及び結晶性ポリマーとの混練性が不充分となることがある。
上記結晶性ポリエステルと上記非結晶性ポリエステルとは相溶するものであることが好ましい。上記結晶性ポリエステルと上記非結晶性ポリエステルとが相溶することにより、上述のネットワーク構造を安定して形成することができる。また、上記結晶性ポリエステルと上記非結晶性ポリエステルとが相溶する場合には、本発明のトナー用樹脂組成物は無色透明となり、良好な発色を行うことができるカラートナー用樹脂組成物として好適に用いることができ、また、高い樹脂強度を有しているので、耐高温オフセット性に優れたトナー用樹脂組成物として好適に用いることができる。
なお、上記相溶とは、上記結晶性ポリエステルと上記非結晶性ポリエステルとが、均一に混和する状態をいい、これらは、完全に相溶しても、また一部が相溶してもよい。
上記結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルとが構成モノマーとして、例えばテレフタル酸等の共通のモノマー成分を有するようにすれば、相溶性を向上させることができる。例えば、上記結晶性ポリエステルが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、非結晶性ポリエステルが、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール、並びに、エチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールとを主成分とするモノマー混合物を重合してなるものであるときには、両者はよく相溶する。
本発明のトナー用樹脂組成物における上記結晶性ポリエステルと上記非結晶性ポリエステルとの含有量としては、結晶性ポリエステルの含有量が2〜30重量%であることが好ましく、非結晶性ポリエステルの含有量が98〜70重量%であることが好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が2重量%未満であると、耐高温オフセット性が劣ることがあり、30重量%を超えると、低温定着性が劣ることがある。より好ましくは、3〜20重量%であり、更に好ましくは5〜15重量%である。
本発明のトナー用樹脂組成物においては、上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドの含有量が、上記ポリオレフィン系ワックスの含有量よりも少ない。
これは、両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドは、ワックスとして機能させるのではなく、ポリオレフィン系ワックスの分散性を向上させるために用いることにより、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性を大きく改良することになるのである。
上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドの含有量の好ましい下限は、上記ポリオレフィン系ワックスの含有量の1/10である。より好ましい上限は、ポリオレフィン系ワックスの含有量の4/5であり、好ましい下限は、ポリオレフィン系ワックスの含有量の1/8である。
上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドのアルキル基の炭素数は、8〜24が好ましい。炭素数が8未満であると、上記ポリオレフィン系ワックスとの相溶性を発現することが困難となることがある。逆に、24を超えるとポリエステル系樹脂との相溶性が悪化するため、ワックスの分散効果が低下する。より好ましいアルキル基の炭素数は、11〜19である。
また、脂肪酸アマイドには、片末端のみにアルキル基を有するものがあるが、そのものはポリオレフィン系ワックスの分散効果を充分に発揮することができないので除外される。
上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドとしては、分子鎖の両末端にアルキル基を有すること以外は、特に限定されるものではなく、例えば、RCONHR’又は(RCONH)2R’の構造を有するものが挙げられる(R、R’は、アルキル基を示す)。 具体的には、N−ラウリルラウリン酸アマイド、N−パルミチルパルミチン酸アマイド、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルミチン酸アマイド、N−ステアリル12ヒドロキシステアリン酸アマイド、N−オレイル12ヒドロキシステアリン酸アマイド等の置換アマイド類が好ましい。
その他、メチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイド等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系ワックスとしては特に限定されず、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレンワックスやパラフィン系ワックス等が挙げられるが、なかでもポリプロピレンワックスが好ましい。
本発明のトナー用樹脂組成物を作製する方法としては特に限定されず、例えば、別々に上記結晶性ポリマーと上記非結晶性ポリエステルとを、上記結晶性ポリマーの融点以上の温度下で混合した後、上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドと、上記ポリオレフィン系ワックスとを混合する方法等が挙げられる。
本発明のトナー用樹脂組成物をバインダー樹脂として用いて、必要に応じて、着色剤、電荷制御剤、磁性体、ゴム状ポリマー、スチレン−アクリル酸エステル共重合体からなるトナー用樹脂、キャリア、クリーニング性向上剤等と混合することにより、トナーを製造することができる。このようなトナーもまた、本発明の1つである。
上記着色剤としては特に限定されず、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、アニリンブラック、フタロシアニンブルー、キノリンイエローランプブラック、ローダミン−B、アゾ系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、インジコ系顔料、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン等が挙げられる。
これらの着色剤の配合量は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
上記電荷制御剤には、正帯電用と負帯電用との2種類がある。上記正帯電用電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジン等が挙げられ、負帯電用電荷制御剤としては、例えば、クロム錯体、鉄錯体等が挙げられる。なかでも、酸変性荷電制御剤が好適であり、サリチル酸変性であるとトナー用樹脂組成物と架橋してゴム弾性を発現する。ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯体、ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛錯体等のアルキル置換サルチル酸の金属錯体は、無色又は淡色であるためトナーの色調に影響を与えないので好ましい。また、上記電荷制御剤としては、荷電制御樹脂(CCR)も好適に用いることができる。上記荷電制御樹脂としては、例えば、4級アンモニウム塩を含むモノマー、有機フッ素系モノマー、スルホン酸基含有モノマー、フェニルマレイミド系モノマー等を共重合したスチレンアクリルポリマー等が挙げられる。
これらの電荷制御剤の配合量は、通常、トナー用樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
上記磁性体としては、例えば、商品名「TAROX BLシリーズ」(チタン工業社製)、商品名「EPTシリーズ」、商品名「MATシリーズ」、商品名「MTSシリーズ」(いずれも戸田工業社製)、商品名「DCMシリーズ」(同和鉄粉社製)、商品名「KBCシリーズ」、商品名「KBIシリーズ」、商品名「KBFシリーズ」、商品名「KBPシリーズ」(いずれも関東電化工業社製)、商品名「Bayoxide Eシリーズ」(Bayer AG社製)等が挙げられる。
上記ゴム状ポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム(アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロスルフィン化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム等の合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー等のエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体等の芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合体が挙げられる。なお、ブロック共重合体にはスチレン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプレンブロック共重合体等が混合されてあってもよく、これらの水素添加物が混合されてあってもよい。
また、末端に水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基等の極性基を有する芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体からなるゴム状ポリマーは、トナーとの親和性に優れるので好ましい。これら末端に極性基を有するブロック共重合体はリビング重合により得ることができる。
ゴム状ポリマーは、トナーに含まれる樹脂の樹脂強度を向上させることができる。よって、ゴム状ポリマーを含有するトナーは、トナーのフィルミング現象を防止することができ、また、高い樹脂強度が必要な非磁性1成分トナーに好適なトナーが得られる。
上記キャリアとしては、例えば、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属単体、合金、酸化物、フェライト等が挙げられる。キャリアは表面が酸化されていてもよい。また、キャリア表面がポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレンポリマー、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンポリマー、ポリエステル、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属錯体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン塩基性染料、シリカ粉末、アルミナ粉末等で被覆されていてもよい。キャリアを被覆することにより好ましい摩擦帯電性をキャリアに付与することができる。
上記クリーニング性向上剤としては、トナー粒子と混合することによりトナーの流動性が向上するものであれば特に限定されない。トナーの流動性が向上するとトナーがクリーニングブレードに付着しにくくなる。例えば、フッ化ビニリデンポリマー等のフッソ系ポリマー粉末、アクリル酸エステルポリマー等のアクリル系ポリマー粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の脂肪酸金属塩粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末等の金属酸化物粉末、微粉末シリカ粉末、シランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等により表面処理が施されたシリカ粉末、ヒュームドシリカ等が挙げられる。また、上記クリーニング性向上剤としては、アクリル系ポリマーやスチレン系ポリマー等からなる粒径0.05〜0.5μmの球体も好適に用いることができる。
本発明のトナーは、本発明のトナー用樹脂組成物を用いてなるが、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定したときに、重量平均分子量が2000以下の位置にピークが認められることが好ましい。これにより定着性が向上する。また、本発明のトナーは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定したときに、重量平均分子量が1万以上の位置にピークが認められることが好ましい。これにより耐水性が向上する。
本発明のトナーの粒径としては特に限定されないが、5μm以下である場合には特に高い画質が得られる。
本発明のトナーの含水分量としては特に限定されないが、0.01〜0.2重量%が好ましい。0.01重量%未満であると、製造上の問題から製造が困難となり、0.2重量%を超えると、充分な帯電安定性が得られないことがある。
本発明のトナーの安息角としては特に限定されないが、23℃、湿度60%における安息角は1度〜30度が好ましい。1度未満であると、トナーのハンドリングが困難となることがあり、30度を超えると、トナーの流動性が不足することがある。なお、上記トナーの安息角は、例えば、パウダーテスター(例えば、ホソカワミクロン社製PT−N型等)等により測定することができる。
本発明のトナーの表面粗さとしては特に限定されないが、0.01〜2μmが好ましい。0.01μm未満であると、印字を行うことが困難となることがあり、2μmを超えると得られる画像の表面光沢が不充分となることがある。なお、上記表面粗さは、本発明のトナーを用いて印字した画像の印字部をJIS B 0601に算術平均粗さ(Ra)の測定方法として規定される方法により測定することができる。
本発明のトナーを、特に表面光沢に優れることが要求される用途に用いる場合には、本発明のトナーの粘度としては、150℃における溶融粘度が100〜5万mPa・sであることが好ましい。100mPa・s未満であると、保存性が劣ることがあり、5万mPa・sを超えると、充分な表面光沢が得られないことがある。より好ましい上限は1万mPa・sである。
本発明のトナーは、低温から高温にわたる広い範囲で良好な定着性を発現することができ、低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキング性との両方に優れることから、スイッチをいれてから印刷が可能になるまでの時間を短縮することができるので、経済的であり、更に、ローラの温度が下がっても画像の鮮明性を維持することができるので、印刷の高速化を図ることができる。本発明のトナーは無色透明であるので、所望の色を容易に調整することができる。本発明のトナーは、画像再現性に優れる。
また、本発明のトナーは、離型オイルが塗布された定着ローラにより定着されてもよいが、定着ローラに離型オイルが塗布されていなくても良好な定着性を発現することができる。
また、本発明のトナー用樹脂組成物は、架橋したり、別に高分子量樹脂を配合したりせずとも、低温から高温にわたる広い範囲で良好な定着性を発現することができ、低温定着性と耐高温オフセット性、耐ブロッキング性との両方に優れるトナーを得ることができる。このような非架橋トナー用樹脂組成物を用いたトナーは、高分子量樹脂を含むトナー用樹脂を用いたトナーに比べて粉砕されやすく、シャープな溶融特性を示し、光沢のある定着画像が得られる。
本発明によれば、低温定着性、耐高温オフセット性及び耐ブロッキング性に優れ、良好な発色を行うことができるトナー用樹脂組成物及びトナーを提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
<結晶性ポリエステルの製造>
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル、ジオール成分として1,4−ブタンジオール120モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させて、高融点結晶性ポリエステルを得た。
得られた結晶性ポリエステルを下記の方法で評価した結果、融点は227℃、吸熱量は71.6mJ/mg、重量平均分子量は8万であった。
<非結晶性ポリエステル(A)の製造>
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル、屈曲モノマー成分としてイソフタル酸5モル、無水フタル酸5モル、分岐モノマー成分としてネオペンチルグリコール60モル、他のジオールとしてエチレングリコール60モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させて、非結晶性ポリエステル(A)を得た。
得られた非結晶性ポリエステル(A)を下記の方法で評価した結果、ガラス転移温度は50℃、重量平均分子量は6千であった。
<非結晶性ポリエステル(B)の製造>
60Lの反応容器に蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌措置を常法に従い設置し、窒素ガス雰囲気下にて、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100モル、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノール35モル、エチレングリコール85モル、エステル化縮合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBB)0.05モルを仕込み、200℃で、生成する水を蒸留塔より留出させながらエステル化反応を行った。蒸留塔より水が留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、60Lの反応容器の蒸留塔への開口部を閉鎖すると共に、真空ポンプからのラインを開き、反応系内を5mmHg以下に減圧し、240℃、攪拌回転数60rpmで縮合反応を行うとともに縮合反応で生じた遊離ジオールを反応系外へ留出させて、非結晶性ポリエステル(B)を得た。
得られた非結晶性ポリエステル(B)を下記の方法で評価した結果、ガラス転移温度は60℃、重量平均分子量は20万であった。
<トナー用樹脂組成物及びトナーの製造>
得られた結晶性ポリエステル10重量部、非結晶性ポリエステル(A)65重量部及び非結晶性ポリエステル(B)25重量部を、二軸押出機を用いて240℃で溶融混練してポリエステル系樹脂を得た。得られたポリエステル系樹脂100重量部とポリプロピレンワックス(ユーメックス110TS、三洋化成社製)3重量部及び脂肪酸アマイドとしてN−ステアリルステアリン酸アマイド(ニッカアマイドS、日本化成社製)2重量部とからなるトナー用樹脂組成物に対し、荷電制御剤(TN−105:保土谷化学社製)1重量部、カーミン6Bに属するマゼンダ顔料5重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、130℃で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。その後、ジェットミル(ラボジェット:日本ニューマチック社製)で微粉砕して、平均粒径約8〜12μmのトナー粉末を得た。更に、このトナー粉末を分級機(MDS−2:日本ニューマチック社製)で分級して、平均粒径約10μmのトナー微粉末を得た。このトナー微粉末100重量部に、疎水性シリカ(R972:日本アエロジル社製)1.0重量部を均一に混合(外添)してトナーを製造した。
(実施例2)
結晶性ポリエステルを5重量部、非結晶性ポリエステル(A)を70重量部及び脂肪酸アマイドとしてエチレンビスオレイン酸アマイド(スリパックスO、日本化成社製)を1.5重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(実施例3)
結晶性ポリエステルを18重量部、非結晶性ポリエステル(A)を57重量部及び脂肪酸アマイドとしてN−ステアリルステアリン酸アマイド(ニッカアマイドS、日本化成社製)を1重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(比較例1)
脂肪酸アマイドとしてのN−ステアリルステアリン酸アマイド(ニッカアマイドS、日本化成社製)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを製造した。
(性能評価)
実施例1〜3及び比較例1で作製したトナー用樹脂組成物又はトナーについて、以下の方法により評価を行った。結果は表1に示した。
[分子量の測定]
(1)結晶性ポリエステル
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭和電工社製のHFIP−806M(2本)を直列につないで使用し、重量平均分子量を測定した。測定条件は、温度は40℃、試料は0.1重量%ヒドロキシフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注入量は100μL、キャリアー溶媒としては1L当たりTFAを0.68g含むHFIPを用いた。校正試料として標準ポリスチレンを用いた。
(2)非結晶性ポリエステル
GPC測定装置として、日本ミリポアリミテッド社製のHTR−Cを用い、カラムには昭和電工社製のKF−800P(1本)、KF−806M(2本)、KF−802.5(1本)を直列につないで使用し、重量平均分子量を測定した。測定条件は、温度は40℃、試料は0.2重量%THF溶液(0.45μmのフィルターを通過したもの)、注入量は100μL、キャリアー溶媒はTHF、校正試料として標準ポリスチレンを用いた。
[ガラス転移温度の測定]
トナー用樹脂組成物を融点以上の温度でしばらく保持した後、急冷を行い、結晶化を完全に抑制したサンプルを作製した。このサンプルについて、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC−6200R)を用いて、昇温速度10℃/分で、JIS K 7121に準拠して測定し、該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)に記載されている中間ガラス転移温度を求めた。
[融点及び吸熱量の測定]
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC−6200R)を用いて、昇温速度10℃/分で試料の10mgを加熱し、JIS K 7121に準拠して測定し、該規格(9.1「融解温度の求め方」)に記載されている融解ピーク値を求めてこれを融点とし、また、DSCチャートから融点における吸熱量を求めた。
[ブロッキング性の評価]
トナー10gを100mLサンプル瓶に取り、50℃の恒温槽中に8時間放置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて250μmのフィルターでふるいにかけフィルター上に凝集物が残存するかを観察し、凝集物がある場合には、トナー重量に対する凝集物の重量(重量%)を求めた。
[フィルミング評価]
1万枚印刷を行い、定着ローラにトナーが付着していないかを目視で観察し、トナーの付着が見られないものをフィルミングなしと評価した。
[グロス評価]
グロスメータ(光沢度計、スガ試験機社製、UGV−50)を用い、トナーで黒く塗りつぶした試験紙をグロスメータに取りつけ反射角が75度となるよう光路を設定し光沢度を測定した。
[高温オフセット温度及び低温オフセット温度の測定]
トナー6.5重量部を平均粒径50〜80μmの鉄粉キャリアー93.5重量部と混合して現像剤を作製した。電子写真複写機としてコニカ社製のUBIX4160AFを熱定着ローラの設定温度が最大250℃まで変えられるように改造したものを用いた。
熱定着ローラの設定温度を段階的に変化させて、各設定温度の熱定着ローラによって未定着トナー像を転写紙に定着させた複写物を得た。
得られた複写物の余白部分や定着画像がトナーにより汚されているか否かを観察し、汚れが生じない温度領域を非オフセット温度領域とし、非オフセット温度領域の最大値を高温オフセット温度、最小値を低温オフセット温度とした。
[トナーの最低定着温度の測定]
電子写真複写機の熱定着ローラの設定温度を段階的に変えて複写を行ない、余白部分や定着画像にかぶりが発生することなく余白部分や定着画像がトナーにより汚されておらず、得られた複写物の定着画像をタイプライター用砂消しゴムで擦ったとき、定着画像の濃度の低下が10%未満である場合を定着良好と判定し、その時の最低温度を求めた。
なお、画像の濃度はマクベス光度計を用いて測定した。
Figure 2006220754

Claims (4)

  1. ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系ワックスと両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドとを含有するトナー用樹脂組成物であって、上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドの含有量が、上記ポリオレフィン系ワックスの含有量よりも少ないことを特徴とするトナー用樹脂組成物。
  2. 上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドのアルキル基の炭素数が、8〜24であることを特徴とする請求項1記載のトナー用樹脂組成物。
  3. 上記両末端にアルキル基を有する脂肪酸アマイドが置換アマイドであることを特徴とする請求項1又は2記載のトナー用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のトナー用樹脂組成物を用いてなることを特徴とするトナー。
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