JP5376587B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
省エネルギー、アイドリング時間の短縮、装置の小型化等の観点からトナーの低温定着性の向上が望まれている。そこで、低温定着性を向上する技術の一つとして、定着温度で急激に融解する結晶性樹脂と非晶質樹脂とを結着樹脂として用い、結晶性ポリエステルの含有量が結着樹脂中1〜40重量%であり、トナー中の結晶性ポリエステルの分散ドメインの90%以上を、直径0.1〜2μmに調整する技術がある(特許文献1参照)。そして、トナー中の結晶性ポリエステルの分散ドメイン径を調整する方法としては、結晶性ポリエステルと非晶性樹脂の軟化点、トナー製造時の混練条件等を調製する方法が提案されている。
また、低温定着性、耐オフセット性及び耐久性に優れ、解像度が良く、地肌汚れや濃度むらがない高品質の画像を与えるトナーを得る目的で、トナー中の結晶性ポリエステルの最大分散粒径を長軸径で0.5μm以上で、かつ、トナーの最大粒径の1/2以下に調整する技術がある(特許文献2参照)。そして、トナー中の結晶性ポリエステルの分散粒径を調整するために、トナー原料を混練する工程の混練機に供する結晶性ポリエステルの微粒子化を行っている。
特開2002−287426号公報 特開2004−279476号公報
トナー中の結晶性ポリエステルの分散ドメイン径を調整する方法に関して、特許文献1の方法では、樹脂の軟化点や混練条件が制限される場合がある。また、特許文献2の方法では、混練機に供する結晶性ポリエステルの微粒子化を、粒子径として数ミクロンの程度まで行う必要がある。
本発明の課題は、低温定着性に優れ、高温環境で良好な耐久性を有するトナーを、トナー製造時の樹脂の物性や混練条件の制約が少なく、高い粉砕分級収率で得る、トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、オープンロール型混練機に供給する結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの粒度を調整することにより、低温定着性に優れ、高温環境で良好な耐久性を持つトナーが高い粉砕分級収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機に供給し溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有し、前記オープンロール型混練機に供給される前記結晶性ポリエステルと前記非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が5/95〜30/70であり、平均粒径の比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が1.5〜4.0である、トナーの製造方法に関する。
本発明により、トナー製造時の樹脂の物性や混練条件の制約が少ない方法で、低温定着性に優れ、高温環境で良好な耐久性を有するトナーを高い粉砕分級収率で得ることができる。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機に供給し溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、結着樹脂が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有し、混練機に供給される結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルが、特定の重量比率であり、両者の平均粒径の比を特定の範囲に調整している点に大きな特徴を有する。
結晶性ポリエステルは非晶質ポリエステルと相溶性が良いため、混練時に非晶質ポリエステルとの相溶化により結晶性が低下する。両者が完全に相溶すると結着樹脂全体が可塑化するために低温定着性は向上するものの、結着樹脂全体の強度低下により高温環境での耐久性の低下が生じる。しかし、本発明では、結晶性ポリエステルの粒径を予め非晶質ポリエステルよりも大きくしておくことによって、トナー製造時の樹脂の物性や混練条件をあまり制約せずに両者の相溶化を抑制することができ、両者の適度な分散によって低温定着性の向上と高温環境での耐久性(以下、本明細書において「耐久性」とは高温環境での耐久性をいう)の両立が達成されるものと推定される。
オープンロール型混練機に供給される結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの平均粒径の比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、両者のポリエステルの過剰な相溶を防ぎ、トナーの耐久性を向上させる観点から、1.5以上であり、好ましくは2.0以上である。また、トナー中の結晶性ポリエステルの分散性の悪化を防ぎ、トナーの低温定着性を向上させる観点から、4.0以下であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下で、よりさらに好ましくは2.5以下である。従って、これらの観点を総合すると、上記平均粒径の比は、1.5〜4.0であり、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは2.0〜3.0、よりさらに好ましくは2.0〜2.5である。
オープンロール型混練機に供給される結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルの平均粒径は混練機に供する前に用いる粉砕機の排出部のスクリーンの目開きの大きさにより調整することができる。粉砕機としては例えばロートプレックスやアトマイザー等が使用できる。ポリエステルの平均粒径を大きくする場合は目開きの大きなスクリーンを、平均粒径を小さくする場合は目開きの小さなスクリーンを用いる。ただし、樹脂粒径を1.0mm以下に粉砕するには目開き1.0mm以下のスクリーンを用いる必要がある。1.0mm以下に粉砕するためには粉砕機への供給量を落とす必要があり生産性が悪化すること、樹脂粒径が小さすぎると凝集性が増し、粉砕機内で滞留が発生し作業性が著しく低下することから適度な目開きのスクリーンを選択することが好ましい。好ましい目開きは、2〜15mm、より好ましくは、3〜10mmである。
結晶性ポリエステルの平均粒径は、前記の如く樹脂粉砕物の生産性を向上させる観点から、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。また、オープンロール型混練機の混練部への樹脂の張付き性を向上させる観点、及びトナーの低温定着性を向上させる観点から、5.5mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましく、3.0mm以下がよりさらに好ましい。従って、これらの観点を総合すると、結晶性ポリエステルの平均粒径は、1.5〜5.5mmが好ましく、1.5〜4.0mmがより好ましく、2.0〜3.5mmがさらに好ましく、2.0〜3.0mmがよりさらに好ましい。
本発明において、結晶性ポリエステルの平均粒径は、樹脂試料を、目開きが10mm、7mm、5mm、3mm、2mm、1mm、0.5mm及び0.2mmの8種の篩で順にふるい、各篩上に残った樹脂試料の重量を測定して重量頻度を求め、下記式により、各篩の目開きと各篩上に残存した樹脂試料の重量の重量頻度の値を用いて平均粒径を算出する。なお、下記式において、0.2mmの篩を通過した樹脂試料は、0.1mmとしてカウントしている。
平均粒径(mm)=10×(10mm篩上樹脂重量の重量頻度)+7×(7mm篩上樹脂重量の重量頻度)+5×(5mm篩上樹脂重量の重量頻度)+3×(3mm篩上樹脂重量の重量頻度)+2×(2mm篩上樹脂重量の重量頻度)+1×(1mm篩上樹脂重量の重量頻度)+0.5×(0.5mm篩上樹脂重量の重量頻度)+0.2×(0.2mm篩上樹脂重量の重量頻度)+0.1×(0.2mm篩を通過した樹脂重量の重量頻度)
非晶質ポリエステルの平均粒径は、樹脂粉砕物の生産性を向上させる観点から、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。また、オープンロール型混練機の混練部への樹脂の張付き性を向上させる観点から、4.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。したがって、これらの観点を総合すると、非晶質ポリエステルの平均粒径は、0.5〜4.0mmが好ましく、1.0〜3.0mmがより好ましい。
オープンロール型混練機に供給する結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、5/95以上であり、10/90以上が好ましく、15/85以上がより好ましい。また、トナーの粉砕分級収率を向上させる観点から、30/70以下であり、25/75以下が好ましい。従って、これらの観点を総合すると、5/95〜30/70であり、10/90〜25/75が好ましく、15/85〜25/75がより好ましい。
ポリエステルの結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。本発明において、結晶性ポリエステルは、[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値が0.6〜1.4、好ましくは0.7〜1.2、より好ましくは0.9〜1.2であり、非晶質ポリエステルは、[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値が1.4より大きいか、0.6未満であり、好ましくは1.5より大きい。ポリエステルの結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するピークとする。
結晶性ポリエステルは、結晶性を高める観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物及び/又は芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、炭素数2〜8のジオールが好ましく、炭素数4〜6のジオールがより好ましい。エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、なかでも結晶性を高める観点から、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、アルコール成分中、60モル%以上が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、95〜100モル%がよりさらに好ましい。
アルコール成分には、炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分が含有されていてもよく、式(I):
Figure 0005376587
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、1,4-ソルビタン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、炭素数2〜8、好ましくは4〜6、より好ましくは4の脂肪族ジカルボン酸化合物、及び炭素数8の芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。なお、ジカルボン化合物とは、ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜8)エステルを指すが、これらの中では、ジカルボン酸が好ましい。また、好ましい炭素数とは、ジカルボン酸化合物のジカルボン酸部分の炭素数を意味する。
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等が挙げられ、これらの中では、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、フマル酸が好ましい。
炭素数8の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらのなかでは、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、テレフタル酸が好ましい。
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物もしくは炭素数8の芳香族ジカルボン酸化合物の含有量又は両者が併用されている場合はそれらの総含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性を高める観点から、カルボン酸成分中、60モル%以上が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、95〜100モル%がよりさらに好ましい。
カルボン酸成分には、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物及び炭素数8の芳香族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸化合物が含有されていてもよく、該多価カルボン酸化合物としては、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられる。
さらに、樹脂の分子量調整等の観点から、1価のアルコールがアルコール成分に、1価のカルボン酸化合物がカルボン酸成分に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
なお、結晶性ポリエステルにおけるジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、さらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、真空反応時に蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.9以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満がより好ましい。
結晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のようにジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択すればよい。なお、高出力のモーターを用いて原料モノマーを撹拌し、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、3,000以上が好ましく、4,000以上がより好ましい。また、トナーの粉砕分級効率を向上させる観点から、10,000以下が好ましく、9,000以下がより好ましい。従って、これらの観点を総合すると、好ましくは3,000〜10,000、より好ましくは4,000〜9,000である。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、同様の観点から、30,000以上が好ましく、40,000以上がより好ましい。また、同様の観点から、100,000以下が好ましく、70,000以下がより好ましい。従って、これらの観点を総合すると、好ましくは30,000〜100,000、より好ましくは40,000〜70,000である。結晶性ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
結晶性ポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は、トナーの保存性及び耐久性を向上させる観点から、100℃以上が好ましく、トナーの低温定着性を向上させる観点から、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、100〜140℃が好ましく、100〜130℃がより好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの軟化点は、耐久性を向上させる観点から、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、最低定着温度を低くする観点から130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、結晶性ポリエステルの軟化点は、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。
非晶質ポリエステルも、結晶性ポリエステルと同様に、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、180〜250℃程度の温度で縮重合させて製造することができる。ただし、非晶質ポリエステルとするためには、
(1) 炭素数2〜6の脂肪族ジオール、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物等の樹脂の結晶化を促進するモノマーを用いる場合は、これらのモノマーをそれぞれ2種以上併用して結晶化を抑制すること、即ちアルコール成分及びカルボン酸成分のいずれにおいても、これらのモノマーの1種が各成分中10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%を占め、かつこれらのモノマーが2種以上、好ましくは2〜4種用いられていること、又は
(2) 樹脂の非晶質化を促進するモノマー、好ましくはアルコール成分ではビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、またはカルボン酸成分ではアルキル基もしくはアルケニル基で置換されたコハク酸が、それぞれアルコール成分中又はカルボン酸成分中、少なくとも一方の成分において、好ましくは両成分のそれぞれにおいて、30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%用いられていることが好ましい。
本発明において、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル成分を有する非晶質ポリエステルには、ポリエステルのみならず、その変性樹脂も含まれる。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
非晶質ポリエステルの軟化点は、トナーの耐高温オフセット性を向上させる観点から、結晶性ポリエステルの軟化点より高いことが好ましく、かつその差は、好ましくは30℃以内、より好ましくは2〜30℃、さらに好ましくは2〜20℃である。
非晶質ポリエステルの軟化点は、例えばカルボン酸成分等の原料モノマーの選択や反応時間により容易に調整することができるが、非晶質ポリエステルの軟化点は、トナーの耐久性及び耐高温オフセット性の観点から、140℃以上、好ましくは140〜180℃、より好ましくは140〜160℃である。一方、トナーの定着強度及び光沢向上の観点から、140℃未満、好ましくは100℃以上140℃未満、より好ましくは110℃以上140℃未満である。
非晶質ポリエステルのガラス転移点は、トナーの保存安定性及び耐久性を向上させる観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、トナーの低温定着性を向上させる観点、トナーの原料の溶融混練物の粉砕性を向上させる観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。すなわち、これらの観点を総合すると、非晶質ポリエステルのガラス転移点は、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。なお、ガラス転移点は非晶質樹脂に特有の物性であり、吸熱の最高ピーク温度とは区別される。
非晶質ポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は、トナーの保存性及び耐久性を向上させる観点から、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、90℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、50〜90℃が好ましく、55〜85℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。
また、非晶質ポリエステルの酸価は、トナーの高温高湿環境での帯電安定性の観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましく、10mgKOH/g以下がさらに好ましい。
結着樹脂には、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の樹脂が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルの総含有量は、結着樹脂中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、実質100重量%がさらに好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が用いることができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明のトナーには、さらに、離型剤、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜、内添又は外添されていてもよい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらのなかでは、トナーの耐久性を向上させる観点及び低温定着性を向上させる観点から、パラフィンワックス及びカルナバワックスが好ましい。
離型剤の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点と、低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。
本発明に係る結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルは、前述したように、溶融混練機に供給する前に、所定の平均粒径になるように粉砕する。
原料の溶融混練は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で適宜混合し、減算式スクリューフィーダー等を用いてオープンロール型混練機に投入して行うことができる。なお、原料は、混練機のロールをロール間で下向きに回転するように互いに逆方向に回転させたロールの上面又はその間隙に投入することが好ましい。
本発明のトナーの製造方法において、溶融混練工程は、トナーの粉砕分級収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機を用いて行う。オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
本発明で用いるオープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。ロール温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
本発明において、混練機の混練物排出部の温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、いずれのロールにおいても、結晶性ポリエステルの軟化点よりも低く設定することが好ましく、結晶性ポリエステルの軟化点より5℃以上低い温度に設定することがより好ましく、室温以上で結晶性ポリエステルの軟化点より5℃以上低い温度以下に設定することがさらに好ましい。さらに混練機の複数のロールの中で最も高温のロールの混練物排出部の温度は、結晶性ポリエステルの軟化点より5〜20℃低い温度に設定することが好ましい。
加熱ロールにおける混練の上流側と混練の下流側の設定温度は、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側の設定温度が下流側よりも高いことが好ましい。
混練の上流側の設定温度が低い方のロール(冷却ロールともいう)において、混練の上流側の設定温度は、混練の下流側の設定温度と同じであっても異なっていてもよい。
オープンロール型混練機のロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましく、前記の加熱ロールと冷却ロールを備えたオープンロール型混練機においては、トナー中の結晶性ポリエステルの分散性を向上させ、トナーの低温定着性を向上させる観点から、加熱ロールが周速度の高い方のロール(高回転側ロール)、冷却ロールが周速度の低い方のロール(低回転側ロール)であることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、5〜75m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は2〜100m/minが好ましく、4〜60m/minがより好ましく、4〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
2本のロールの間隙(クリアランス)は、混練の上流側端部で好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.1〜1mmである。
また、各ロールの構造、大きさ、材料等について特に限定はなく、ロール表面は、混練に用いられる溝を有しており、この形状は直線状、螺旋状、波型、凸凹型等が挙げられる。
原料混合物の供給速度及び平均滞留時間は、用いるロールのサイズや原料の組成等により異なるので、これらの条件により最適な条件を選択すればよい。
オープンロール型混練機による溶融混練工程以外は、得られた溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、分級工程等の通常の方法を経て、本発明のトナーを得ることができる。
粉砕工程では、粉砕後の分級工程で微粉が除去され、平均粒径がやや大きくなるので、目標とするトナーの体積中位粒径よりも、粉砕工程後の体積中位粒径が例えば0.5〜1.0μm程度小さくなるように粉砕することが望ましい。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕、分級工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程と繰り返してもよい。
溶融混練工程の後、粉砕工程及び分級工程を経て得られたトナー母粒子をそのままトナーとして用いても、外添剤をトナー母粒子表面に外添してトナーとして用いてもよい。トナー、トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は、画像品質を向上させる観点から、3〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子等が挙げられ、これらの中では、トナーの帯電量を向上させる観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2が好ましい。
外添剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。
外添剤を添加する工程は、外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法が好ましい。外添剤は、あらかじめ混合して高速攪拌機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
〔樹脂の平均粒径〕
樹脂試料100gを、目開きが、10mm、7mm、5mm、3mm、2mm、1mm、0.5mm及び0.2mmの8種の篩で順にふるい、各篩上に残った樹脂試料の重量を測定して重量頻度を求める。具体的には、目開きの大きい順に篩を用い、樹脂試料を載せた篩にバイブレータを用いて1分間振動を与えた後、篩上に残った樹脂試料の重量を測定し、樹脂試料全体の重量(100g)で除して重量頻度を求める。そして、篩を通過した樹脂試料を、同様にして次の篩にかける。目開きが10mmの篩上の樹脂試料には10mm以上の樹脂試料が、7mmの篩上には7mm以上10mm未満の樹脂試料、5mmの篩上には5mm以上7mm未満の樹脂試料、3mmの篩上には3mm以上5mm未満の樹脂試料、2mmの篩上には2mm以上3mm未満の樹脂試料、1mmの篩上には1mm以上2mm未満の樹脂試料、0.5mmの篩上には0.5mm以上1mm未満の樹脂試料、0.2mmの篩上には0.2mm以上0.5mm未満の樹脂試料、がそれぞれ含まれることになる。
下記式により、各篩の目開きと各篩上に残存した樹脂試料の重量の重量頻度の値を用いて平均粒径を算出する。なお、下記式において、0.2mmの篩を通過した樹脂試料は、0.1mmとしてカウントしている。
平均粒径(mm)=10×(10mm篩上樹脂重量の重量頻度)+7×(7mm篩上樹脂重量の重量頻度)+・・・・+0.5×(0.5mm篩上樹脂重量の重量頻度)+0.2×(0.2mm篩上樹脂重量の重量頻度)+0.1×(0.2mm篩を通過した樹脂重量の重量頻度)
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔結晶性ポリエステルの平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP-200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6
)を5重量%の濃度となるように前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
非晶質ポリエステルの製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1286g、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン2218g、テレフタル酸1603g、及びジブチルスズオキサイド10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaにて軟化点が114℃に達するまで反応を行い、冷却後、粉砕機としてロートプレックス(16/8型、東亜機械製作所社製)を用い、目開きが3mmのスクリーンを用いて粉砕し、樹脂Aを得た。得られた樹脂Aの軟化点は114.2℃、吸熱の最高ピーク温度は71℃、[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値は1.61、ガラス転移点は68.5℃、酸価は3.2mgKOH/g、平均粒径は1.1mmであった。平均粒径の測定において、樹脂Aの目開き10mm、7mm、5mm及び3mmの篩上の樹脂試料はそれぞれ0g、2mmの篩上の樹脂試料は11g、1mmの篩上の樹脂試料は80g、0.5mmの篩上の樹脂試料は7g、0.2mmの篩上の樹脂試料は1g、0.2mmの篩を通過した樹脂試料は1gであった。
非晶質ポリエステルの製造例2
粉砕機の排出部のスクリーンの目開きを5mmに変更した以外は非晶質ポリエステルの製造例1と同様にして、樹脂Bを得た。樹脂Bの平均粒径は2.0mmであった。
結晶性ポリエステルの製造例1
1,4-ブタンジオール1575g、1,6-ヘキサンジオール870g、フマル酸2950g、ハイドロキノン2g及びオクチル酸錫(2-エチルへキサン酸錫(II))10gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.3kPaにて、軟化点が110℃になるまで反応させ、冷却後、スクリーンの目開きを7mmに変更した以外は非晶質ポリエステルの製造例1と同様に粉砕し、樹脂Cを得た。得られた樹脂Cの軟化点は112.0℃、吸熱の最高ピーク温度は110.1℃、[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値は1.02、数平均分子量は6000、重量平均分子量は47000、平均粒径は3.5mmであった。平均粒径の測定において、樹脂Cの目開き10mmの篩上の樹脂試料は0g、7mmの篩上の樹脂試料は3g、5mmの篩上の樹脂試料は21g、3mmの篩上の樹脂試料は70g、2mmの篩上の樹脂試料は5g、1mmの篩上の樹脂試料は1g、0.5mm及び0.2mmの篩上の樹脂試料はそれぞれ0g、0.2mmの篩を通過した樹脂試料は0gであった。
結晶性ポリエステルの製造例2
粉砕機の排出部のスクリーンの目開きを5mmに変更した以外は結晶性ポリエステルの製造例1と同様にして樹脂Dを得た。樹脂Dの平均粒径は2.4mmであった。
結晶性ポリエステルの製造例3
粉砕機の排出部のスクリーンの目開きを10mmに変更した以外は結晶性ポリエステルの製造例1と同様にして樹脂Eを得た。樹脂Eの平均粒径は5.0mmであった。
結晶性ポリエステルの製造例4
1,6-ヘキサンジオール1416g、テレフタル酸1693g、アジピン酸259g、及び酸化ジブチル錫6gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、200℃でテレフタル酸の粒が観測されなくなるまで反応させた後、8.3kPaにて3時間反応させ、冷却後、スクリーンの目開きを5mmに変更した以外は非晶質ポリエステルの製造例1と同様に粉砕して、樹脂Fを得た。得られた樹脂Fの軟化点は113.5℃、吸熱の最高ピーク温度は124.3℃、[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値は0.91、数平均分子量は5500、重量平均分子量は32000、平均粒径は2.2mmであった。
Figure 0005376587
実施例1〜7及び比較例1〜4
表2に示す結着樹脂100重量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製)7重量部、カルナバワックス「WAX-C1」(加藤洋行社製)5重量部、及び荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)0.5重量部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合後、オープンロール型混練機を用いて溶融混練した。
オープンロール型混練機として、ロール外径0.12m、有効ロール長0.8mの連続式二本ロール型混練機を使用した。連続式二本ロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)の周速度が18.8m/min(回転数50r/min)、低回転側ロール(バックロール)の周速度が11.3m/min(回転数30r/min)、混練物供給口側端部のロール間隙は0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が160℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が30℃及び混練物排出側が30℃になるように設定された。また、原料混合物の供給速度は4kg/時間、平均滞留時間は約10分間であった。
得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が5.7μmのトナー母粒子を得た。なお、投入した混練物に対して得られたトナーの量の割合を粉砕分級収率として算出し、生産性を評価した。結果を表2に示す。
その後、トナー母粒子100重量部と、外添剤として、疎水性シリカ「RX-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:HMDS)1.0重量部及び疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS)0.5重量部を10リットル容のヘンシェルミキサー (三井鉱山社製)にて3000r/minで3分間攪拌し、体積中位粒径(D50)が5.7μmのトナーを得た。
比較例5
表2に示す結着樹脂100重量部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製)7重量部、カルナバワックス「WAX-C1」(加藤洋行社製)5重量部、及び荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)0.5重量部をヘンシェルミキサーにて攪拌混合後、二軸混練機を用いて溶融混練した。
二軸混練機として、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を使用した。バレル設定温度は90℃(混練物温度:130℃)、スクリュー回転速度は200r/min、混合物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。
得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、実施例1と同様にジェットミルで粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が5.7μmのトナー母粒子を得た。
実施例1と同様にして、投入した混練物に対して得られたトナーの量の割合を粉砕分級収率として算出し、生産性を評価した。結果を表2に示す。
その後、実施例1と同様に、得られたトナー母粒子と外添剤を用いて外添工程を行い、体積中位粒径(D50)が5.7μmのトナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、3cm×8cmのべた画像をXerox L紙(A4)に付着量を0.50mg/cm2に調整して印字し、未定着のまま取り出した。
未定着の画像を「MicroLine3050」(沖データ社製)の定着器を改良した外部定着器にて、定着温度を130℃から200℃まで5℃ずつ上げながら、各温度で100mm/secの定着速度で定着させた。その後、べた画像部にメンディングテープを貼り付け、メンディングテープを静かに剥がし取る。メンディングテープを貼る前と剥がした後の画像濃度をそれぞれ測定し、定着率(テープ剥離後/テープ貼付前×100)を算出した。定着率が70%以上となる温度を最低定着温度として、低温定着性を評価した。結果を表2に示す。最低定着温度は150℃以下であることが好ましい。
試験例2〔高温時の耐久性〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、35℃/相対湿度50%の環境下にて、0.3%の印字率で耐刷試験を行った。1時間毎にベタ画像を印字し、ブレードフィルミングに起因する白スジの発生がないかを観察して評価し、耐久性を評価した。試験は、白スジの発生が確認された時点で中止し、最高12時間まで行った。結果を表2に示す。白スジは、6時間まで発生しないことが好ましい。
Figure 0005376587
以上の結果より、実施例1〜7では、比較例1〜5と対比して、非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステルの配合量とそれらの平均粒径の比を所望の範囲に調整し、オープンロール型混練機を用いて製造することにより、低温定着性と耐久性のいずれにも優れたトナーが、高い粉砕分級収率で得られることが分かる。
本発明により得られるトナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含む原料をオープンロール型混練機に供給し溶融混練する工程を含むトナーの製造方法であって、前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有し、前記オープンロール型混練機に供給される前記結晶性ポリエステルと前記非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が5/95〜30/70であり、平均粒径の比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が1.5〜4.0である、トナーの製造方法。
  2. オープンロール型混練機に供給される結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が、10/90〜30/70である請求項1記載の製造方法。
  3. オープンロール型混練機に供給される結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの平均粒径の比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が、1.5〜3.0である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 結晶性ポリエステルの平均粒径が、1.5〜5.5mmである請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 非晶質ポリエステルの軟化点が結晶性ポリエステルの軟化点より高くかつその差が30℃以内である請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  6. オープンロール型混練機の混練物排出部の温度を、結晶性ポリエステルの軟化点よりも低く設定する請求項1〜いずれか記載の製造方法。
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