JP5260265B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法、及び該方法により得られる静電荷像現像用トナーに関する。
特許文献1には、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを溶融混練し、その溶融混練物に特定の温度、時間で加熱処理を行うことにより、低温定着性、粉砕性及び保存性が改良されたトナーの製造方法が開示されているが、加熱処理の方法としては、オーブン内で溶融混練物を保持する方法が記載されている。
特許文献2には、結晶性ポリエステルと非晶性ビニル重合体とのブロック共重合体もしくはグラフト共重合体を含有する結着樹脂を混練する工程と粉砕工程との間に、当該混練工程より得られた混練物を熱処理する工程を含むトナーの製造方法が開示されており、熱処理工程の具体的な手段としては、オーブンを用いる方法が挙げられている。
特開2005−308995号公報 特開昭64−35456号公報
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを併用するトナーは、低温定着性が向上する反面、熱的に融着しやすいために高温での定着性が不良となりやすく、連続印刷時には耐久性が問題となる。
また、静電荷像現像装置の高速化、多量現像化に伴い、トナーは比較的高温で強い機械的ストレスを受けるようになってきており、特許文献1〜2に開示された技術よりも、さらにトナーの熱的耐久性の向上が望まれる。
本発明の課題は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを併用する静電荷像現像用トナーであって、低温定着性に加えて、さらに熱的耐久性(以下、単に耐久性ともいう)にも優れる静電荷像現像用トナーの製造方法、及び該方法により得られる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為に検討を重ねた結果、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを含有する結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練し、その混練物を特定温度の液状媒体に浸漬することによって、低温定着性に優れ、さらに熱的耐久性にも優れる静電荷像現像用トナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂を100〜160℃で溶融混練する工程(溶融混練工程)、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃の液状媒体に浸漬して加熱処理する工程(加熱処理工程)、ならびに前記加熱処理工程で得られた処理物を冷却後、粉砕する工程(粉砕工程)を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法、
ならびに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー。
に関する。
本発明の方法により、低温定着性及び熱的耐久性が良好なトナーを得ることが出来る。
本発明は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂を100〜160℃で溶融混練する工程(溶融混練工程)、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を加熱処理する工程(加熱処理工程)、ならびに前記加熱処理工程で得られた処理物を冷却後、粉砕する工程(粉砕工程)を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記加熱処理工程が、溶融混練工程で得られた溶融混練物を特定の温度の液状媒体に浸漬して加熱処理する工程であることに大きな特徴を有する。なお、本明細書において「主成分」とは、結着樹脂中の含有量が95重量%以上であることを意味し、「加熱処理」とは、トナーの軟化点以下でかつガラス転移点以上の温度で処理することをいう。また、「液状媒体」とは、粘性の限定はなく、加熱処理温度で液状である媒体のことであり、具体例は後述する。トナーの軟化点及びガラス転移点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明では、熱的耐久性(以下、単に耐久性ともいう)を向上する観点から、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂を含有する結着樹脂を加熱処理に供する。一般的に、加熱処理する工程は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との相分離構造を形成させ、個々の樹脂を安定化し、それぞれの樹脂の特性を十分に発揮させることができるという効果がある。本発明においては、この加熱処理の方法を、特定温度の液状媒体へ浸漬する方法とすることによって、オーブン等の気相雰囲気の温度を調整して加熱処理を行う場合よりも、一般的に熱伝導性、熱容量及び攪拌による均一性の点で優れるため、結着樹脂をより早く均一に所定温度にすることができると推定される。また、溶融混練工程後で粉砕工程前の結着樹脂を、比較的短時間に比較的大きな塊状の表面積が小さい状態で加熱処理を行うことができるため、粉砕後のトナーには結着樹脂の前記相分離構造がより均一に存在すると考えられる。そして、かかる熱処理によって理由は不明なるも、前記相分離構造を速やかに安定して形成させることができることから、熱的な安定性がより向上し、より低温定着性と耐久性に優れるトナーが得られると推定される。また、水等の液状媒体へ浸漬することによる溶媒の影響で結着樹脂の電気抵抗値が低下し、得られるトナーの帯電性に悪影響することが予想されたが、帯電性への影響は生じなかった。
本発明の製造方法の溶融混練工程においては、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを主成分として含有する結着樹脂を100〜160℃で溶融混練する。
樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計における吸熱の最高ピーク温度との比、即ち〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕によって表わされ、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満の時は結晶性が低く非晶部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕が0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質樹脂」とは、〔軟化点/吸熱の最高ピーク温度〕が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きい樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点に対し20℃以内にあればそのピーク温度を融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明における結晶性ポリエステルは、トナーの低温定着性の観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールを含有したアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸化合物及び/又は芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られたポリエステルであることが好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、なかでも1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。
アルコール成分には、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等のα,ω−直鎖アルカンジオール以外のアルコールが含まれていてもよい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではフマル酸が好ましい。なお、脂肪族ジカルボン酸化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等のカルボン酸化合物が挙げられる。これらのなかでは、環境安定性及び耐久性の観点から、テレフタル酸が好ましい。なお、芳香族ジカルボン酸化合物とは、前記の如く、芳香族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物(以下、これらをまとめてジカルボン酸化合物ということもある)の総含有量は、カルボン酸成分中、90〜100モル%が好ましく、95〜100モル%がより好ましい。
なお、結晶性ポリエステルにおけるジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比(ジカルボン酸化合物/α,ω−直鎖アルカンジオール)は、製造安定性の観点から、またさらにα,ω−直鎖アルカンジオールが多い場合には、真空反応時に蒸発により樹脂の分子量を容易に調整できる観点から、0.90以上1.0未満が好ましく、0.95以上1.0未満がより好ましい。
結晶性ポリエステルは、α,ω−直鎖アルカンジオールとジカルボン酸化合物とを、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で縮重合させること等により得られる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくしたりするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、結晶性の高いポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのがより好ましい。高分子量化した結晶性の高いポリエステルを得るためには、前記のようにジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択したりすればよい。なお、高出力のモーターを用いて、高分子量化した結晶性の高いポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.03〜1重量部が好ましく、0.04〜0.8重量部がより好ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、低すぎるとトナーの保存性に、高すぎるとトナーの生産性にそれぞれ悪影響を及ぼすため、好ましくは5,000〜10,000、より好ましくは6,000〜9,000である。本明細書において、樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。数平均分子量を調整する方法として、例えばジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整する方法や、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を調整する方法が挙げられる。具体的には、ジカルボン酸化合物の割合を増加させたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより数平均分子量を大きくすることができる。また、前記記載の逆にすると数平均分子量が小さくなる傾向がある。
また、トナーの耐久性の観点から、結晶性ポリエステルは高分子量成分をある程度含有しているのが好ましいことから、結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは40,000〜150,000、より好ましくは50,000〜120,000である。重量平均分子量を調整する方法は前述の数平均分子量の調整方法と同様な方法が挙げられる。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、トナーの耐久性の観点から、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは8〜15である。
結晶性ポリエステルの示差走査熱量計における吸熱の最高ピーク温度は、軟化点に対し20℃以内に存在すること、即ち融点であることが好ましい。本発明においては、トナーの定着性、保存性及び耐久性の観点から、好ましくは110〜140℃、より好ましくは110〜130℃、さらに好ましくは110〜120℃である。結着樹脂として2以上の結晶性ポリエステルを用いる場合は、結晶性ポリエステルの含有割合に基づいて加重平均した融点が前記範囲内にあることが好ましい。本明細書において、吸熱の最高ピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。吸熱の最高ピーク温度を調整する方法としては、例えば数平均分子量を調整する方法が挙げられ、数平均分子量を大きくすると吸熱の最高ピーク温度が大きくなる傾向があり、数平均分子量を小さくすると小さくなる傾向がある。
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、70〜140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、90〜120℃がさらに好ましい。結着樹脂として2以上の結晶性ポリエステルを用いる場合は、結晶性ポリエステルの含有割合に基づいた加重平均軟化点が前記範囲内にあることが好ましい。本明細書において、軟化点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。軟化点を調整する方法としては、例えばジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整する方法、反応温度、触媒の量、減圧下で長時間脱水反応を行う等のエステル化の反応条件を変更する方法が挙げられる。具体的には、ジカルボン酸化合物の割合を増加させたり、反応温度の上昇、触媒量の増加、脱水反応時間の延長等を行ったりすることにより数平均分子量を大きくすることができる。また、前記記載の逆にすると小さくなる傾向がある。また、前述した通り、軟化点と吸熱最高ピーク温度の比を調整するには、ジカルボン酸化合物とα,ω−直鎖アルカンジオールのモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を調整したりすることにより達成できる。
本発明における非晶質樹脂は、例えば、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質スチレン−アクリル樹脂等が挙げられ、結晶性ポリエステルとの相溶性の観点から、非晶質ポリエステルが好ましい。
非晶質ポリエステルとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分とジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものが好ましい。
アルコール成分には、トナーの帯電性と耐久性の観点から、式(I):
Figure 0005260265
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、アルコール成分中、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは実質的に100モル%含有されている。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のアルコール成分中の含有量とは加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、上記と同様の脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物が挙げられる。カルボン酸成分には、フマル酸等の前記結晶性ポリエステルの原料に例示された脂肪族ジカルボン酸化合物や、芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物を含むジカルボン酸化合物を用いることができるが、剛直な構造により溶融混練物の結晶化率を高く保持する観点から、芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物をカルボン酸成分中、50モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは実質的に100モル%含有される。なお、本明細書において、結着樹脂が2種以上の非晶質樹脂を含有する場合、芳香族ジカルボン酸化合物のカルボン酸成分中の含有量とは、加重平均含有量を意味し、上記範囲内であることが望ましい。
なお、カルボン酸成分には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等のジカルボン酸化合物以外のカルボン酸化合物が含まれていてもよい。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
非晶質樹脂におけるアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、180〜250℃の温度で行うことができるが、本発明の効果がより顕著に奏される観点から、エステル化触媒、例えば、オクチル酸錫の存在下で行うことが好ましい。
エステル化触媒の反応系における存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部が好ましく、0.10〜0.8重量部がより好ましい。
非晶質樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、90〜140℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
また、本発明において、非晶質樹脂は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性の観点から、軟化点が好ましくは10℃以上、より好ましくは10〜60℃異なる2種類の非晶質ポリエステルからなることが好ましい。2種の内、軟化点の低い方のポリエステル(低軟化点ポリエステル)の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは80〜120℃、より好ましくは90〜120℃であり、2種の内、軟化点の高い方のポリエステル(高軟化点ポリエステル)の軟化点は、耐オフセット性の観点から、好ましくは120〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。なお、3種以上の樹脂からなる場合は、含有量が多い方から2種が上記を満たすことが好ましく、例えば、多い順における2番目と3番目が同じ含有量の時は1番多いものと2番目のどちらかが上記を満たすことが好ましい。
高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルとの重量比(高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステル)は、1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましい。また、高軟化点ポリエステル/低軟化点ポリエステルは、トナーの耐久性をさらに向上させる場合は、8/2〜5/5が好ましく、トナーの低温定着性をさらに向上させる場合は、4/6〜2/8が好ましい。
非晶質樹脂が2種以上の非晶質ポリエステルからなる場合、トナーの低温定着性の観点から、平均軟化点は100〜140℃であることが好ましく、110〜130℃であることがより好ましい。本明細書において、平均軟化点とは加重平均軟化点のことをいい、各軟化点は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
非晶質樹脂のガラス転移点は、トナーの低温定着性と耐久性の観点から、40〜70℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。酸価は、5〜25mgKOH/gが好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。本明細書において、ガラス転移点及び酸価は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
なお、本発明において、非晶質樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明において結着樹脂は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有するが、結晶性ポリエステルの含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、1〜35重量%であり、5〜35重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。
非晶質樹脂の総含有量は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂中、65〜99重量%が好ましく、65〜95重量%が好ましく、70〜85重量%がより好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、5/95〜35/65が好ましく、15/85〜30/70がより好ましい。
本発明における結着樹脂には、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の結着樹脂等が挙げられる。結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総含有量は、特に限定されないが、トナーの低温定着性の観点から、結着樹脂中、95重量%以上が好ましく、99重量%以上がより好ましい。
さらに、本発明における結着樹脂以外のトナー原料として、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜用いられていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾイエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明の製造方法により得られるトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、アルコール系ワックス等のワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックスが挙げられ、これらのワックスは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。離型剤の総含有量は、定着性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。正帯電性荷電制御剤としては、二グロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましい。
溶融混練においては、結着樹脂等のトナー原料を均一に混合した後、溶融混練することが好ましく、トナー原料の混合は、結着樹脂等の全ての原料を一度に混合する方法であっても、分割して混合する方法であってもよい。
トナー原料の混合に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等が挙げられるが、分散性の観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、結着樹脂に添加剤を効率よく高分散させることができることから、ロールの軸方向に沿って設けられた供給口と混練物排出口を備えた連続式オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
トナー原料の混合物は、1箇所の供給口から混練機に供給してもよく、複数の供給口から分割して混練機に供給してもよいが、操作の簡便性及び装置の簡略化の観点からは、1箇所の供給口から混練機に供給することが好ましい。溶融混練温度は、トナーの耐久性の観点から、100〜160℃であり、100〜150℃が好ましく、100〜145℃がより好ましい。
連続式オープンロール型混練機とは、溶融混練部がオープン型であるものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが望ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、分散性の観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが望ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
高回転側ロールの原料投入側端部温度は100〜160℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、100〜145℃がさらに好ましい。低回転側ロールの原料投入側端部温度は30〜100℃が好ましい。高回転側ロールの混練物排出側端部温度は、好ましくは30〜140℃、より好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは50〜125℃である。低回転側ロールの混練物排出側端部温度は30〜100℃が好ましい。なお、本発明においては、溶融混練機に連続式オープンロール型混練機を用いる場合には、高回転側ロールの原料投入側端部温度が上記溶融混練温度の条件を満たす温度設定であることが望ましい。
高回転側ロールにおける、原料投入側端部と混練物排出側端部との設定温度の差は、混練物のロールからの脱離防止の観点から、20〜60℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましく、30〜50℃であることがさらに好ましい。低回転側ロールにおける、原料投入側端部と混練物排出側端部との設定温度の差は、離型剤分散性の観点から、0〜50℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、0〜20℃であることがさらに好ましい。
高回転側ロールの周速度は、2〜100m/minであることが好ましく、4〜50m/minがより好ましい。低回転側ロールの周速度は2〜100m/minが好ましく、4〜60m/minがより好ましく、4〜50m/minがさらに好ましい。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、1/10〜9/10が好ましく、3/10〜8/10がより好ましい。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高めるために、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
かくして、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を含有する結着樹脂を含むトナー原料の溶融混練物が得られる。
上記で得られた溶融混練物は、粉砕してトナーとする粉砕トナーや、溶媒に粒子として分散させて得られる重合トナーに用いることができるが、本発明は、溶融混練工程後の加熱処理工程以外に熱処理を行う工程を含まないため、粉砕トナーの製造に用いることが好ましい。
粉砕トナーの一般的なトナーの製造方法では、得られた溶融混練物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、粉砕工程に供するが、本発明では、溶融混練工程後、得られた溶融混練物を加熱処理工程に供してから、粉砕工程を行う。
加熱処理工程では、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃の液状媒体に浸漬して加熱処理する。加熱処理工程に供する溶融混練物は、溶融混練物中心まで熱伝導させる観点から、最大の厚さが2cm以下であることが好ましい。溶融混練工程で用いられる混練機から排出される溶融混練物の最大の厚さが2cm以下の場合はそのまま加熱処理工程に供することができ、2cmを超える場合は粗砕して加熱処理工程に供することができる。なお、溶融混練物の厚さとは、溶融混練物1片をノギスを当てて測定したとき最も薄い部分の厚さのことをいい、その最も厚い部分の厚さを最大の厚さという。
本発明において、加熱処理工程は、トナー添加剤の分散維持と結着樹脂分子の再配列性によるトナーの耐久性向上の観点から、溶融混練工程で得られた溶融混練物を、50〜80℃、好ましくは50〜70℃の液状媒体に、好ましくは3〜24時間、より好ましくは3〜12時間、さらに好ましくは3〜7時間浸漬することが望ましい。なお、この時間は当該温度範囲内となる液状媒体中に浸漬した累計の時間である。また、トナー添加剤の分散維持と結着樹脂分子の再配列性の観点から、加熱処理工程の開始から終了までに当該温度範囲の上限値を超えないことが好ましい。
本発明では、加熱処理工程を、前記温度で、かつ前記時間行うことにより、溶融混練物中の樹脂の再配列を促し、一旦低下したガラス転移温度の回復によりトナーの耐久性が向上するものと推定される。さらに、ガラス転移温度が低い部分は、粉砕の際、衝撃を吸収しやすく、粉砕効率の低下の原因となるが、本発明では、粉砕工程前の加熱処理工程においてガラス転移温度の低下が抑制されるため、粉砕性も向上させることができる。
加熱処理には、前記温度に調整された液状媒体が充填された水槽等を用いることができる。例えば、水槽を用いる場合、溶融混練物を水槽内に浸漬して、一定温度に保持することにより、加熱処理することができる。水槽としては、例えば、ジャケット部に加熱ヒーターを備えたステンレス製の水槽を用いることができる。水槽には、液状媒体の保温の観点から、蓋を有することが好ましい。また、水槽には水槽内の液状媒体を攪拌するためのプロペラ等の攪拌翼を有する攪拌器や液状媒体を循環させる装置があることが好ましい。
液状媒体としては、粘性の限定はなく、前記加熱処理温度で液状である媒体を用いることができ、例えば水、エチレングリコール、シリコンオイル等の沸点が100℃以上の液体が挙げられ、溶融混練物への腐食、浸透、付着等の作用、安全性及び取り扱い性の観点から水が好ましい。液状媒体は、温度センサーを有する加熱ヒーターと攪拌翼、温調機器で循環させる等によって温度を安定的に保持することができる。
加熱処理する工程を行う態様は特に限定されないが、例えば、
態様1:溶融混練工程後、得られた溶融混練物を冷却する過程で、溶融混練物を前記加熱処理条件下に保持し、次いで粉砕可能な硬度に達するまで冷却し、粉砕工程等の次の工程に供する態様
態様2:溶融混練工程後、得られた溶融混練物を粉砕可能な硬度になるまで一旦冷却(好ましくは45℃以下)した後、冷却した溶融混練物を前記加熱処理工程に供し、次いで溶融混練物を再び冷却し、粉砕工程等の次の工程に供する態様
がある。本発明ではいずれの態様で加熱処理工程を行ってもよいが、トナー中の添加剤の凝集を抑制する観点から、態様2が好ましい。
結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量が多くなるに従い、溶融混練物の結晶化率は増加する傾向にある。しかし、結晶性ポリエステル中にも結晶構造を有さない部分、即ち、加熱処理により結晶化しない部分が存在し、かかる部分が溶融混練物中に多く存在すると耐久性に劣る傾向がある。そこで、加熱処理工程により溶融混練物全体における結晶化を促進し結晶化率を大きくすることで耐久性が向上する。
かくして、溶融混練物の加熱処理物が得られるが、加熱処理後に金網等の上に該加熱処理物を静置し、自然乾燥等により液状媒体を加熱処理物から除去することができる。該加熱処理物は、粉砕トナーにおいては、粉砕可能な硬度まで冷却した後、粉砕工程及び分級工程に供する。粉砕可能な硬度に達する冷却する温度は、具体的には、好ましくは45℃以下、より好ましくは0〜45℃、さらに好ましくは、0〜35℃である。本発明の本質から規定すべき温度は溶融混練物中の温度であるが、温度の測定の点から、この温度は溶融混練物の表面温度で規定している。冷却方法としては、溶融混練物を室温(35℃以下)に放置して冷却する方法、溶融混練物を冷却ロールにかけ圧延して冷却する方法等が挙げられる。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、加熱処理工程後の加熱処理物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。
以上の工程によりトナーが得られるが、さらに得られたトナー表面に疎水性シリカ等の無機微粒子や樹脂微粒子を外添してもよい。
本発明により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、画質及び帯電性の観点から、4.5〜6.5μmが好ましく、5.5〜6.0μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明により得られたトナーは、一成分現像用トナー及びキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーのいずれにも用いることができるが、耐熱性がより要求される一成分現像用トナーとしてより好適に用いられる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度50℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
〔樹脂の平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布を示すチャートから、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように樹脂をクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶解液としてクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
〔トナーのガラス転移点〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度50℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びターシャルブチルカテコール(TBC)4.2g(α,ω−直鎖アルカンジオールと脂肪族ジカルボン酸化合物の総量100重量部に対して0.04重量部)を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに、8.3kPaにて所望の分子量の樹脂が得られるまで反応させて、樹脂aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びオクチル酸錫18.6g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃で、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。
非晶質ポリエステルの製造例2
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びオクチル酸錫19.3g(アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して0.2重量部)を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した20リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃にて表1に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂Bを得た。
Figure 0005260265
実施例1〜7及び比較例1〜5
表2に示す種類と量の結着樹脂、カルナバワックス「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製)2.5重量部、パラフィンワックス「HNP-9」(日本精蝋社製)2.5重量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製、ベンジル酸ホウ素錯体)0.5重量部、及びイエロー顔料「エローNo.-56」(大日精化社製、P.Y.74)3.0重量部を、予めヘンシェルミキサーを用いて混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔混練条件例:オープンロール〕
オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)を使用した。連続式二本ロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度28m/min、低回転側ロール(バックロール)周速度19m/min〔周速度の比(低回転側/高回転側=6.8/10)〕、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が145℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の供給速度は4kg/時間、平均滞留時間は約10分間であった。
上記で得られた溶融混練物をオープンロールから切り出し(1片のサイズ:加熱処理方法A及びCは約5mm×5mm×50mm、加熱処理方法Bは約5mm×5mmの連続体)、以下の加熱処理方法A〜Cのいずれかの方法に従って、表2に示す温度、時間で加熱処理した。
〔加熱処理方法A〕
切り出した溶融混練物500gを一旦室温(25℃)まで冷やし、所定の温度に調整された温水が充填されている攪拌翼付きのセパラブルフラスコ(容量3L丸型)に、温水の温度が2℃以上低下しないようにゆっくりと投入し、直径7.5cmの翼を用いて毎分約60回転で攪拌しながら、所定の時間加熱処理を行う。加熱処理時間は、溶融混練物の最初の1片を温水中に入れた時から、取り出しを開始するまでの時間である。
〔加熱処理方法B〕
混練機の排出部分に所定の温度に調整された温水が充填されている攪拌翼付きのセパラブルフラスコ(容量3L丸型)を配置し、そこに、切り出した溶融混練物500g分を冷却することなく(溶融混練物の温度は約90℃)、直接投入し、直径7.5cmの翼を用いて毎分約60回転で攪拌しながら、所定の時間加熱処理を行う。
〔加熱処理方法C〕
切り出した溶融混練物500gを一旦室温(25℃)まで冷やし、所定の温度に調整された恒温槽(PL-4KT:エスペック環境試験技術センター社製)の中にステンレス製トレー(大きさ:38cm×52cm×14cm)に入れてそのまま放置して、所定の時間加熱処理を行う。加熱処理時間は、溶融混練物の入ったトレーを恒温槽に入れた時から、取りだすまでの時間である。
加熱処理後の加熱処理物を冷却、ロートプレックスで約2mm以下に粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機及び気流分級機(IDS:日本ニューマチック社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径(D50)5.5μmの実施例1〜7及び比較例1〜5のトナーを得た。
得られたトナーについて、以下の試験例1〜2に従って、特性を評価した。結果を表2に示す。
試験例1〔低温定着性〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine5400」(沖データ社製)にトナーを実装し、3cm×8cmのべた画像をXerox L紙(A4)に付着量を0.50mg/cm2に調整して印字し、未定着のまま取り出した。
未定着の画像を「MicroLine3050」(沖データ社製)の定着器を改良した外部定着器にて、定着温度を130℃から200℃まで5℃ごとに100mm/secの定着速度で定着させた。その後、べた画像部にメンディングテープ(住友スリーエム社製、Scotch 810、18mm×50m)を貼り付け、メンディングテープを静かに剥がし取る。メンディングテープを貼る前と剥がした後の画像濃度をそれぞれ測定し、定着率(テープ剥離後/テープ貼付前×100)を算出した。定着率が70%以上となる温度を最低定着温度として、低温定着性を評価した。この実施例のトナーでは最低定着温度は160℃以下であることが好ましい。
試験例2〔熱的耐久性〕
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」(沖データ社製)を改造し、印字速度を23ppm(A4縦送りで23枚毎分相当)に設定したプリンタに、各実施例及び各比較例のトナーを実装し、40℃/50%RH環境下にて0.3%の印字率で耐久試験を行った。熱的耐久性は1000枚毎にベタ画像を印字し、ブレードフィルミングに起因する白スジの発生がないかを観察して評価した。試験は、白スジの発生が確認された時点で中止し、最高5000枚まで行い、以下の評価基準に従って、熱的耐久性を評価した。
〔熱的耐久性の評価基準〕
A:5000枚まで白スジ発生無し
B:4000枚まで白スジ発生無し、5000枚で白スジ発生
C:2000枚まで白スジ発生無し、3000枚又は4000枚で白スジ発生
D:2000枚以下で白スジ発生
Figure 0005260265
実施例のトナーは、比較例のトナーに比べて、低温定着性及び熱的耐久性に優れることが分かる。なかでも、実施例1〜2のトナーは、加熱処理方法が異なる以外は、加熱処理温度と時間が同じ条件である比較例1〜2のトナーとそれぞれ比較すると、低温定着性は同程度に良好であるが、熱的耐久性が向上していることがわかる。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂を主成分として含有する結着樹脂を100〜160℃で溶融混練する工程(溶融混練工程)、前記溶融混練工程で得られた溶融混練物を50〜80℃の液状媒体に浸漬して加熱処理する工程(加熱処理工程)、ならびに前記加熱処理工程で得られた処理物を冷却後、粉砕する工程(粉砕工程)を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 加熱処理工程が、溶融混練工程で得られた溶融混練物を、45℃以下に冷却した後、加熱処理する工程である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 加熱処理工程における浸漬時間が3〜24時間である、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の製造方法により得られる静電荷像現像用トナー。
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