JP6455488B2 - 静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
特許文献1には、トナー粒子の結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂)を使用した静電潜像現像用トナーの製造方法が開示されている。
特開2006−78707号公報
しかしながら、特許文献1に記載される静電潜像現像用トナーの製造方法によっては、耐熱保存性、低温定着性、及び帯電性の全てに優れる静電潜像現像用トナーを製造することは困難である。トナー粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナーの定着性を改善できる。しかし、トナー粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させると、トナーの帯電性(特に、高温高湿環境下における帯電安定性)は不十分になり易くなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐熱保存性、低温定着性、及び帯電性(特に、高温高湿環境下における帯電安定性)の全てに優れる静電潜像現像用トナーを、容易かつ適切に製造することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、第1溶融混練工程、第1粉砕工程、第2溶融混練工程、第2粉砕工程、及びアニール工程を含む。前記第1溶融混練工程では、温度120℃以下の条件で、少なくともニグロシン及び結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第1溶融混練物を得る。前記第1粉砕工程では、前記第1溶融混練物を粉砕して、第1粉体を得る。前記第2溶融混練工程では、温度120℃以下の条件で、少なくとも前記第1粉体及び非結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第2溶融混練物を得る。前記第2粉砕工程では、前記第2溶融混練物を粉砕して、第2粉体を得る。前記アニール工程では、前記第2粉体をアニール処理して、前記第2粉体中の前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、アニール処理開始時の0%から50%以上に高める。前記結晶化度は、X線回折強度に基づいて測定された値である。
本発明によれば、耐熱保存性、低温定着性、及び帯電性(特に、高温高湿環境下における帯電安定性)の全てに優れる静電潜像現像用トナーを、容易かつ適切に製造することが可能になる。
本発明の実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法のアニール工程において、アニール処理中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度(X線回折強度)の推移を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例について、高温高湿環境下におけるトナーの帯電量の推移を示すグラフである。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて測定した値である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された2回目昇温時の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度(オンセット温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、周知の帯電列などで確認できる。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、次に示す工程(第1溶融混練工程、第1粉砕工程、第2溶融混練工程、第2粉砕工程、及びアニール工程)を含む。第1溶融混練工程では、温度120℃以下の条件で、少なくともニグロシン及び結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第1溶融混練物を得る。第1粉砕工程では、第1溶融混練物を粉砕して、第1粉体を得る。第2溶融混練工程では、温度120℃以下の条件で、少なくとも第1粉体及び非結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第2溶融混練物を得る。第2粉砕工程では、第2溶融混練物を粉砕して、第2粉体を得る。アニール工程では、第2粉体をアニール処理して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、アニール処理開始時の0%から50%以上に高める。以下、第1粉体に含まれる粒子を、第1粒子と記載し、第2粉体に含まれる粒子を、第2粒子と記載する。また、第1溶融混練工程、第1粉砕工程、第2溶融混練工程、第2粉砕工程、及びアニール工程を、包括的に「基本工程」と総称する場合がある。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度は、アニール処理開始時の結晶化度を0%、結晶化度が飽和するまでアニール処理を施した時の結晶化度を100%として定められる。結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度は、X線回折スペクトルにおける対象ピーク(結晶性ポリエステル樹脂に由来するピーク)のX線回折強度に基づいて測定された値である。上記アニール工程の一例において、アニール処理中の結晶性ポリエステル樹脂(詳しくは、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂)の結晶化度(X線回折強度)の推移を、図1に示す。具体的には、図1は、上記アニール工程(アニール温度:45℃)におけるアニール処理時間と、対象ピークのX線回折強度(回折角度21.4°のX線回折強度)との関係を示している。図1の例では、アニール処理を開始してから、ある程度の期間においてはアニール処理時間(横軸)が長くなるほど対象ピークのX線回折強度(縦軸)が大きくなり、その後、飽和している。
アニール工程でアニール処理された第2粉体を、そのままトナーとして使用してもよいし、アニール工程後で、第2粉体に外添処理を行ってもよい。あるいは、第2粉砕工程の後で第2粉体に外添処理を行い、外添処理された第2粉体をアニール処理してもよい。トナーは、複数のトナー粒子を含む粉体である。トナー粒子が外添剤を備える場合、トナー粒子は、トナー母粒子と外添剤とから構成される。外添剤はトナー母粒子の表面に付着している。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
トナー母粒子として第2粒子を使用する場合には、トナー母粒子が、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、結着樹脂以外に、内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有していてもよい。内添剤は、例えば第2溶融混練工程において、第1粉体及び非結晶性ポリエステル樹脂と一緒に溶融混練することで、第2粒子(トナー母粒子)に含有させることができる。
トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナーの定着性を向上させることができる。結晶性ポリエステル樹脂がトナー母粒子にシャープメルト性を付与するからである。しかし、結晶性ポリエステル樹脂は、良好な帯電性を示さないことが多い。この理由は、結晶性ポリエステル樹脂の電気抵抗が比較的低いことなどが原因と考えられる。このため、トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させると、十分なトナーの帯電性(特に、高温高湿環境下における帯電安定性)を確保することが困難になり、ひいてはトナーを用いて高画質の画像を形成することが困難になる。
電荷制御剤としてニグロシンを結着樹脂中に含有するトナーにおいて、ニグロシンが結着樹脂中に微分散すると、ニグロシンが、電荷制御剤として機能しにくくなる。例えば、結着樹脂とニグロシンとを2軸押出機を用いて溶融混練した場合、結着樹脂中に均一にニグロシンが分散すると考えられる。ニグロシンが結着樹脂中に均一に分散する場合、ニグロシンは広範囲(トナー母粒子の略全体)に分散することになるため、ニグロシンは結着樹脂中に微分散し易いと考えられる。ニグロシンが結着樹脂中に微分散すると、結着樹脂中のニグロシンがトナー粒子に正帯電性を付与しにくくなる。
発明者の実験によれば、ニグロシンは、非結晶性ポリエステル樹脂よりも、結晶性ポリエステル樹脂に対して高い相溶性を有する傾向がある。また、発明者の実験によれば、トナー母粒子中の結晶性ポリエステル樹脂は結晶化することで、トナー母粒子の表面に移動する傾向がある。発明者は、こうした知見に基づいて、結晶性ポリエステル樹脂にニグロシンを保持させることで、高温高湿環境下においても帯電性に優れるトナー母粒子(詳しくは、摩擦帯電により正に帯電し易いトナー母粒子)を得ることに成功した。
詳しくは、上記基本工程を含む静電潜像現像用トナーの製造方法では、第1溶融混練工程及び第1粉砕工程により、ニグロシン及び結晶性ポリエステル樹脂を含有する第1溶融混練物の粉体(第1粉体)を得る。これにより、第1粉体に含まれる第1粒子において、結晶性ポリエステル樹脂中にニグロシンを分散させることができる。しかし、発明者の実験では、溶融混練の温度を高くし過ぎて、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを完全に相溶させてしまうと、ニグロシンが正帯電性の電荷制御剤として機能しなくなることが確認されている。そこで、上記基本工程では、第1溶融混練工程での溶融混練温度を120℃以下にして、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを適度に相溶させている。第1溶融混練工程での溶融混練温度は90℃以上120℃以下が特に好ましい。溶融混練の温度は、結晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)よりも低いことが好ましい。溶融混練の温度を低くすることで、樹脂の粘度が低下し過ぎることを抑制できるため、混練時に十分なシェア(剪断力)をかけ易くなる。第1溶融混練物を得るための溶融混練には、ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール型ミキサー、連続押出機を用いることができる。これら装置の中では、ニーダー又はバンバリーミキサーが特に好ましい。
第1溶融混練工程において、ニグロシンの量は、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上60質量部以下であることが特に好ましい。ニグロシンの量が少な過ぎると、十分なトナーの帯電性及び耐熱保存性を確保することが困難になる。また、ニグロシンの量が多過ぎると、増粘現象が起き易くなって、安定して良好な第1溶融混練物を生産することが困難になる。また、ニグロシンの量が多過ぎると、トナーの耐スミア性が低下する傾向がある。このため、トナーを用いて紙に画像を形成した場合に、形成された画像に擦れ汚れ(特に、自動原稿送り時、又は両面印刷の裏面印刷時における、紙とローラーとの擦れに起因した汚れ)が生じ易くなる。
また、上記基本工程を含む静電潜像現像用トナーの製造方法では、第2溶融混練工程及び第2粉砕工程により、上記のようにして得た第1粉体と、非結晶性ポリエステル樹脂とを含有する第2溶融混練物の粉体(第2粉体)を得る。これにより、第2粉体に含まれる第2粒子において、ニグロシンを保持する結晶性ポリエステル樹脂を、非結晶性ポリエステル樹脂中に分散させることができる。上記基本工程では、第2溶融混練工程での溶融混練温度を120℃以下にして、第1粒子中で結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが過剰に相溶することを抑制している。第2溶融混練工程での溶融混練温度は90℃以上120℃以下が特に好ましい。第1溶融混練工程における結晶性ポリエステル樹脂の量は、第2溶融混練工程における非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の量が少な過ぎると、結晶性ポリエステル樹脂によりトナーの定着性(特に、シャープメルト性)が十分に改善されないことがある。結晶性ポリエステル樹脂の量が多過ぎると、トナーの耐熱保存性が不十分になったり、トナーの帯電不良が生じ易くなったりする。
また、上記基本工程を含む静電潜像現像用トナーの製造方法では、アニール工程により、上記のようにして得た第2粉体をアニール処理して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、アニール処理開始時の0%から50%以上に高める。アニール工程により、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を100%まで高めてもよい。しかし、トナー製造にかかるエネルギー削減の観点から、アニール処理終了時の結晶化度としては、例えば、55%以上85%以下が特に好ましい。第2粉体中(詳しくは、第1粉体中)の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が進むことで、第2粒子中の第1粉体(結晶性ポリエステル樹脂及びニグロシン)が第2粒子の表面に移動すると考えられる。第1粉体が第2粒子の表面に移動することで、第2粒子の表面にニグロシンが露出すると考えられる。また、第2粒子の表層部にニグロシンが偏在し、第2粒子の表層部におけるニグロシンの濃度が、第2粒子全体のニグロシン平均濃度よりも高くなると考えられる。第2粒子の表層部に存在するニグロシンは、電荷制御剤として機能し、トナーの帯電性(特に、高温高湿環境下における帯電安定性)を向上させる。なお、第2粒子の表層部におけるニグロシンの濃度は、例えば、第2粒子の表層部からエタノールにニグロシンを溶出させることで、測定できる。
アニール処理終了時における第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を適正範囲内にするためには、アニール処理の温度が40℃以上55℃以下であることが好ましく、その温度(40℃以上55℃以下の温度)でのアニール処理の処理時間が20時間以上30時間以下であることが特に好ましい。
第2粉体にアニール処理及び外添処理を行うことで得られるトナー粒子の構成の好適な例について説明する。トナー母粒子及び外添剤について、順に説明する。なお、トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤又は外添剤)を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。また、トナー母粒子は、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を含有してもよい。画像形成に適したトナーを得るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)が5μm以上10μm未満であることが好ましい。
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
トナー母粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含有する。トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナー母粒子にシャープメルト性を付与できる。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂はアルコール成分と酸成分とを含む。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)に変形して用いてもよい。低級アルキルエステルの「低級アルキル」は、炭素数1以上6以下のアルキル基を意味する。
結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、1種以上の脂肪族ジカルボン酸(より具体的には、スベリン酸、アジピン酸、又はコハク酸等)と1種以上の脂肪族ジオール(より具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、又はヘキサンジオール等)との重合体が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、1種以上のビスフェノール類(より具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等)と1種以上のジカルボン酸(より具体的には、テレフタル酸、フマル酸、又はアルキルコハク酸等)との重合体が挙げられる。
高速定着時においても十分なトナーの定着性を確保するためには、トナー母粒子中の非結晶性ポリエステル樹脂(トナー母粒子が複数種の非結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合には、質量割合で最も多い非結晶性ポリエステル樹脂)の、軟化点(Tm)が60℃以上150℃以下であり、かつ、ガラス転移点(Tg)が30℃以上60℃以下であることが好ましい。
(ニグロシン)
トナー母粒子は、ニグロシンを含有する。ニグロシンは、アニリン化合物(より具体的には、アニリン又はアニリン塩酸塩等)と芳香族ニトロ化合物(より具体的には、ニトロベンゼン、ニトロフェノール、又はニトロクレゾール等)とを、触媒(より具体的には、鉄、塩化鉄、又は銅等)の存在下で酸化還元縮合反応させることによって得られる。こうして得られるニグロシンは、1種以上のアジン化合物を含む混合物であることが多い。アジン化合物は、環内に窒素原子を1個以上有する6員環を含む化合物である。ニグロシンの好適な例としては、フェナジン骨格を有するアジン化合物が挙げられる。
ニグロシン(C.I.ソルベントブラック5、C.I.ソルベントブラック7、及び他のニグロシン)の具体例として、オリヱント化学工業株式会社製の市販品を、以下に示す。なお、1種類の市販品を単独で使用してもよいし、2種以上の市販品を混ぜて使用してもよい。また、市販品に代えて又は加えて、市販品以外のニグロシン(特注品又は自作品)を使用してもよい。
<C.I.ソルベントブラック5>
・SPIRIT BLACK:「ABL」
・NUBIAN(登録商標)BLACK:「NH−805」/「NH−815」
<C.I.ソルベントブラック7>
・NIGROSINE BASE:「EX」/「EX−BP」/「SAPL」
・SPECIAL BLACK:「EB」
・NUBIAN BLACK:「TN−870」/「TN−877」/「TH−807」
<他のニグロシン>
・BONTRON(登録商標):「N−71」/「N−75」/「N−79」
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有してもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有してもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(他の電荷制御剤)
トナー母粒子は、第1粒子中のニグロシンに加えて、他の電荷制御剤を含有してもよい。他の電荷制御剤は、例えば第2溶融混練工程において、非結晶性ポリエステル樹脂と一緒に添加してもよい。他の電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。他の電荷制御剤としては、例えば負帯電性の電荷制御剤(より具体的には、有機金属錯体又はキレート化合物等)を使用してもよい。他の電荷制御剤としては、例えば正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を使用してもよい。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に他の電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤(詳しくは、複数の外添剤粒子を含む粉体)を付着させてもよい。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、物理的な力でトナー母粒子の表面に外添剤が付着(物理的結合)する。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤粒子は、無機粒子であってもよいし、樹脂粒子であってもよい。無機粒子としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーT−1〜T−10(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。また、表2には、トナーT−1〜T−10のいずれかの製造に用いられるマスターバッチA〜Eを示す。
Figure 0006455488
Figure 0006455488
以下、トナーT−1〜T−10の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[材料の準備]
(第1溶融混練工程及び第1粉砕工程:マスターバッチAの調製)
結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製のサンプル品)70質量部と、電荷制御剤(ニグロシン染料:オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N−71」)30質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転速度2500rpm、処理時間300秒間の条件で予備混合して、予備混合物を得た。続けて、得られた予備混合物を、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、混練された溶融物を得た。溶融混練中の、バンバリーミキサーの混合槽内の温度は、表1中の「溶融混練温度」に示す温度に調整した。冷却前の溶融物の温度(以下、第1加工品温と記載する)を測定することで、バンバリーミキサーの混合槽内の温度を間接的に測定した。例えばトナーT−1の製造では、第1加工品温が120℃になるように、バンバリーミキサーのシリンダー温度を調整した。このように調整した結果、溶融混練中においては、バンバリーミキサーのシリンダー温度が100℃〜110℃であった。
続けて、上記のようにして得た溶融物を、圧延ロールベルトコンベア式の冷却装置により圧延しながら室温(約25℃)まで冷却することにより固化させて、シート状の固形物(第1溶融混練物)を得た。続けて、得られたシート状の固形物を、チョッパーミルを用いて粗粉砕した後、目開き1mmのスクリーンを用いて粒子径1mm超の粒子を取り除いて、粒子径1mm以下の粒子を含むマスターバッチA(第1粉体)を得た。マスターバッチAの調製方法では、第1溶融混練工程におけるニグロシンの量が、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、42.9質量部(≒30×100/70質量部)であった。
(第1溶融混練工程及び第1粉砕工程:マスターバッチBの調製)
マスターバッチBの調製方法は、電荷制御剤(BONTRON N−71)の量を30質量部から10質量部に変更した以外は、マスターバッチAの調製方法と同じであった。マスターバッチBの調製方法では、第1溶融混練工程におけるニグロシンの量が、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、14.3質量部(≒10×100/70質量部)であった。
(第1溶融混練工程及び第1粉砕工程:マスターバッチCの調製)
マスターバッチCの調製方法は、第1加工品温(バンバリーミキサーの混合槽内の温度)を120℃から110℃に変更した以外は、マスターバッチAの調製方法と同じであった。
(第1溶融混練工程及び第1粉砕工程:マスターバッチDの調製)
マスターバッチDの調製方法は、第1加工品温(バンバリーミキサーの混合槽内の温度)を120℃から140℃に変更した以外は、マスターバッチAの調製方法と同じであった。
(第1溶融混練工程及び第1粉砕工程:マスターバッチEの調製)
マスターバッチEの調製方法は、第1加工品温(バンバリーミキサーの混合槽内の温度)を120℃から140℃に変更した以外は、マスターバッチBの調製方法と同じであった。
[トナーの製造方法]
(第2溶融混練工程)
非結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製のサンプル品)40質量部と、マスターバッチ(各トナーに定められた、表1に示されるマスターバッチA〜Eのいずれか)15質量部と、磁性粉(Fe34:チタン工業株式会社製「TAROX(登録商標)合成酸化鉄BL−100」)40質量部と、離型剤(カルナバワックス:株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)5質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転速度2500rpm、処理時間300秒間の条件で予備混合して、予備混合物を得た。続けて、得られた予備混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度10kg/時、回転速度150rpmの条件で溶融混練して、混練された溶融物を得た。溶融混練中の、2軸押出機の混合槽内の温度は、表1中の「溶融混練温度」に示す温度に調整した。冷却前の溶融物の温度(以下、第2加工品温と記載する)を測定することで、二軸押出機の混合槽内の温度を間接的に測定した。例えばトナーT−1の製造では、第2加工品温が120℃になるように、二軸押出機のシリンダー温度を調整した。このように調整した結果、溶融混練中においては、二軸押出機のシリンダー温度が100℃〜110℃であった。
続けて、上記のようにして得た溶融物を、温度25℃の冷却ロールで冷却することにより固化させて、シート状の固形物(第2溶融混練物)を得た。
二軸押出機(PCM−30)は、シリンダーと、シリンダー内に材料を供給するためのフィーダー(定量供給装置)付ホッパーと、シリンダー内に配置された2本のスクリューと、シリンダー温度を制御するためのヒーターとを備えていた。また、二軸押出機の排出口近傍に冷却ロール(株式会社池貝製「PCM−30」の付属品)が配置されることで、二軸押出機(PCM−30)から排出された溶融物が、ベルトコンベアで搬送されて、すぐに冷却ロールに通されるようになっていた。
なお、トナーT−1の製造方法では、第1溶融混練工程における結晶性ポリエステル樹脂の量は、第2溶融混練工程における非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して26.3質量部(≒(100/40)×15×(70/100)質量部)であった。また、トナーT−2の製造方法では、第1溶融混練工程における結晶性ポリエステル樹脂の量は、第2溶融混練工程における非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して32.8質量部(≒(100/40)×15×(70/80)質量部)であった。
(第2粉砕工程)
続けて、得られたシート状の固形物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。
(分級工程)
続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)8μmの第2粉体が得られた。
(アニール工程)
続けて、定温恒温槽(ヤマト科学株式会社販売「DKN602」)を用いて、上記のようにして得た第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が表1に示す値になるまで、第2粉体に温度45℃のアニール処理(なまし処理)を施して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を上昇させた。ただし、トナーT−9及びT−10の各々の製造では、アニール処理を行わなかった。トナーT−1の製造では、温度45℃のアニール処理を第2粉体に24時間施して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を60%にした。また、トナーT−3の製造では、温度45℃のアニール処理を第2粉体に48時間施して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を80%にした。その結果、トナー母粒子(アニール処理された第2粉体)が得られた。得られたトナー母粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、次に示す方法に従って測定した。
<結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度の測定方法>
試料水平型多目的X線回折装置(株式会社リガク製「Ultima IV」)を用いて、X線回折スペクトル(縦軸:X線回折強度、横軸:回折角度)を測定した。前述のマスターバッチA〜Eの調製で使用した結晶性ポリエステル樹脂に由来するピーク(以下、対象ピークと記載する)は、X線回折スペクトルにおいて、回折角度21.4°の位置に確認された。
前述のアニール処理を行う直前(アニール処理開始時)の第2粉体(以下、未アニール粉体と記載する)と、温度45℃で十分な時間(30日間)アニール処理した第2粉体(以下、完全アニール粉体と記載する)との各々についてX線回折スペクトルを測定し、対象ピークの強度(回折角度21.4°のX線回折強度)を求めた。
さらに、測定対象(前述のアニール工程により得られたトナー母粒子)についてX線回折スペクトルを測定し、対象ピークの強度(回折角度21.4°のX線回折強度)を求めた。そして、得られた測定値に基づいて、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を求めた。
測定対象(トナー母粒子)中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度(単位:%)は、次に示す式で表される。式中、XAは、未アニール粉体について測定された対象ピークの強度を示し、XBは、完全アニール粉体について測定された対象ピークの強度を示し、XCは、測定対象(トナー母粒子)について測定された対象ピークの強度を示す。
結晶化度=100×(XC−XA)/(XB−XA
上記のような方法で、各トナー(トナーT−1〜T−10)のトナー母粒子について、トナー母粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を求めた。得られたトナー母粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、表1に示している。例えば、トナーT−1の製造では、トナー母粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が60%であった。
(外添工程)
上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、乾式シリカ粒子(ワッカーケミー社製「HDK(登録商標)H3050VP」)0.3質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)が付着した。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−1〜T−10)が得られた。
[評価方法]
各試料(トナーT−1〜T−10)の評価方法は、以下のとおりである。
(耐熱保存性)
試料(トナー)3gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて、その容器を、58℃に設定されたオーブン内に3時間静置した。その後、オーブンから取り出したトナーを、室温(約25℃)で12時間静置して、評価用トナーを得た。
続けて、得られた評価用トナーを、質量既知の目開き106μmの篩に載せた。そして、トナーを含む篩の質量を測定し、篩別前のトナーの質量W1を求めた。続けて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)に上記篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の条件で30秒間、篩を振動させて、評価用トナーを篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナー(篩上に残留したトナー)の質量(篩別後のトナーの質量W2)を測定した。そして、篩別前のトナーの質量W1と、篩別後のトナーの質量W2とに基づいて、次の式に従ってトナー残留率W0(単位:質量%)を求めた。
0=100×W2/W1
トナー残留率が、20質量%以下であれば○(良い)と評価し、20質量%超60質量%以下であれば△(普通)と評価し、60質量%超であれば×(悪い)と評価した。
(低温定着性)
現像剤用キャリア(FS−C5250DN用キャリア)100質量部と、試料(トナー)5質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着装置(ニップ幅8mm)を有するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上記のようにして調製した2成分現像剤を評価機の現像装置に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
上記評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、線速200mm/秒で坪量90g/m2の紙(A4サイズの普通紙)を搬送し、搬送しながら紙に、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、ソリッド画像(未定着のソリッド画像)を形成した。続けて、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。ニップ通過時間は40m秒であった。また、定着温度の設定範囲は100℃以上200℃以下であった。詳しくは、定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつ(最低定着温度付近では2℃ずつ)上昇させて、トナー(ソリッド画像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。定着できたか否かは、折擦り試験(折り目のトナー剥がれ長の測定)で確認した。詳しくは、定着装置に通した評価用紙を、画像を形成した面が内側となるように折り曲げ、布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、折り目上の画像を10往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。
最低定着温度の評価基準は、結晶性ポリエステル樹脂を添加しなかった以外はトナーT−1の製造方法と同様にして製造されたトナーの最低定着温度(以下、基準温度と記載する)を基準にして設定した。最低定着温度が基準温度よりも20℃以上低ければ(すなわち、「最低定着温度≦基準温度−20℃」であれば)○(良い)と評価し、最低定着温度が基準温度よりも低いが20℃以上は低くなければ(すなわち、「基準温度−20℃<最低定着温度<基準温度」であれば)△(普通)と評価し、最低定着温度が基準温度よりも低くなければ(すなわち、「基準温度≦最低定着温度」であれば)×(悪い)と評価した。
(帯電安定性)
試料(トナー)を、高温高湿環境(温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境)下で、所定の時間(0時間、2時間、10時間、又は24時間)静置して、評価用トナーを得た。なお、「0時間」は、高温高湿環境下に試料(トナー)を静置しなかったことを意味する。
続けて、得られた評価用トナー5質量部と、100質量部とを、混合機(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて30秒間混合して、評価用トナーを摩擦帯電させた。続けて、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−1」)を用いて評価用トナーの帯電量(単位:μC/g)を測定した。各トナー(トナーT−1〜T−10)について、4種類の評価用トナー(高温高湿環境下での静置時間:0時間、2時間、10時間、24時間)を作製し、各評価用トナーの帯電量を測定した。その測定結果を、図2に示す。図2中、線L11はトナーT−1、線L12はトナーT−2、線L13はトナーT−3、線L14はトナーT−4、線L21はトナーT−5、線L22はトナーT−6、線L23はトナーT−7、線L24はトナーT−8、線L25はトナーT−9、線L26はトナーT−10についての測定結果をそれぞれ示している。
高温高湿環境下での静置時間が0時間である評価用トナーの帯電量EAと、高温高湿環境下での静置時間が24時間である評価用トナーの帯電量EBとから、次の式に基づいて帯電量維持率(単位:%)を求めた。
帯電量維持率=100×EB/EA
帯電量維持率が、80.0%超であれば○(良い)と評価し、50.0%以上80.0%以下であれば△(普通)と評価し、50.0%未満であれば×(悪い)と評価した。
[評価結果]
各試料(トナーT−1〜T−10)についての評価結果(耐熱保存性:トナー残留率、低温定着性:最低定着温度、帯電安定性:帯電量維持率)を、表3に示す。
Figure 0006455488
トナーT−1〜T−4(実施例1〜4に係るトナー)の各々の製造方法はそれぞれ、前述の基本工程(第1溶融混練工程、第1粉砕工程、第2溶融混練工程、第2粉砕工程、及びアニール工程)を含んでいた。詳しくは、第1溶融混練工程における溶融混練温度は120℃以下であった(表1及び表2参照)。第2溶融混練工程における溶融混練温度は120℃以下であった(表1参照)。アニール工程では、第2粉体をアニール処理して、第2粉体中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、アニール処理開始時の0%から50%以上(アニール処理終了時の結晶化度)にした(表1参照)。
表3に示されるように、トナーT−1〜T−4はそれぞれ、耐熱保存性、低温定着性、及び高温高湿環境下における帯電安定性の全てで優れていた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる静電潜像現像用トナーの製造に適している。

Claims (7)

  1. 温度120℃以下の条件で、少なくともニグロシン及び結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第1溶融混練物を得る第1溶融混練工程と、
    前記第1溶融混練物を粉砕して、第1粉体を得る第1粉砕工程と、
    温度120℃以下の条件で、少なくとも前記第1粉体及び非結晶性ポリエステル樹脂を溶融混練した後、冷却して、第2溶融混練物を得る第2溶融混練工程と、
    前記第2溶融混練物を粉砕して、第2粉体を得る第2粉砕工程と、
    前記第2粉体をアニール処理して、前記第2粉体中の前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を、アニール処理開始時の0%から50%以上に高めるアニール工程と、
    を含み、
    前記結晶化度は、X線回折強度に基づいて測定された値である、静電潜像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記アニール工程において、前記アニール処理の温度は40℃以上55℃以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記アニール工程において、前記アニール処理の処理時間は20時間以上30時間以下である、請求項2に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記第1溶融混練工程において、前記ニグロシンの量は、前記結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して10質量部以上60質量部以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記第1溶融混練工程における前記結晶性ポリエステル樹脂の量は、前記第2溶融混練工程における前記非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して20質量部以上40質量部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記第2溶融混練工程では、前記第1粉体及び前記非結晶性ポリエステル樹脂と一緒に、磁性粉を溶融混練する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記第2粉砕工程の後かつ前記アニール工程の前、又は前記アニール工程の後に、前記第2粉体と外添剤とを混合する外添工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
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