JP5834497B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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4.前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を形成するポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の構成比率が30モル%以上60モル%以下であるであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が、下記一般式(A)で表されるものに由来の構造単位であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(A):HOOC−(CR 1 =CR 2 ) n −COOH
〔式中、R 1 、R 2 は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。〕
本発明のトナーは、コア粒子の表面にシェル層を設けたコア・シェル構造のものである。コア粒子の占める割合とシェル層の占める割合(コア粒子の質量%:シェル層の質量%)は、90:10〜60:40が好ましい。
本発明に係るコア粒子は、少なくともスチレンアクリル樹脂と離型剤、必要に応じ添加される着色剤を凝集して得られる粒子で構成される。
コア粒子用樹脂粒子としては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などが含有された少なくともスチレンアクリル樹脂用の重合性単量体を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性の重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させて作製されたものを用いることができる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この様な作製方法においては、機械的エネルギーを付与して強制的な乳化(液滴の形成)を行う処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
スチレンアクリル樹脂の形成に用いられる重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。このなかでもスチレン系モノマーとアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマーとを組み合わせて使用することが好ましい。重合性単量体としては、第三のビニル系モノマーを使用することもできる。第三のビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等の酸モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン等が挙げられる。
本発明においては、スチレンアクリル樹脂を形成するとき、上記の重合性単量体とともに連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤を添加することによって重合体の分子量を制御できる。連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができ、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、重合性単量体に対して、0.1〜5質量%の範囲で添加するのが好ましい。
重合に使用される重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好適に用いられる。例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチル等の過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物等である。
水系媒体中には、分散した液滴の凝集を防ぐために通常、分散安定剤が添加される。分散安定剤としては、公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選択される分散安定剤を用いることができる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。なお、分散安定剤は着色剤やオフセット防止剤等の分散液にも使用できる。カチオン性界面活性剤としては、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデイシルトリメチルアンオニウムブロマイドなどが挙げられる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。離型剤の含有割合は、樹脂粒子全質量の2〜20質量%、好ましくは3〜18質量%さらに好ましくは4〜15質量%である。また、離型剤の融点としては、電子写真におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃であることが好ましい。
コア粒子の作製方法としては、少なくともスチレンアクリル樹脂粒子と離型剤、必要に応じ着色剤を凝集会合させて作製する方法を挙げることができる。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属の塩、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属の塩などが挙げられ、塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。凝集工程においては、凝集剤を添加した後に放置する放置時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、凝集剤を添加した後、凝集用分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂組成物のガラス転移点以上とすることが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過によって粒子の凝集状態が変動して、得られるコア粒子の粒径分布が不安定になったり、表面性が変動したりする問題が発生するおそれがあるからである。
使用される着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。
本発明に係わるシェル層は、少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有する層である。
〔式中、R1、R2は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。〕
このような脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が含有されていることにより、薄層でありながらより均一な膜厚でかつ平滑なシェル層を一層確実に形成することができる。
以上のようなシェル樹脂に含有されるスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の3つが挙げられる。
(A−1)ポリエステルセグメントを予め重合しておき、当該ポリエステルセグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレンアクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を反応させることにより、スチレンアクリル系重合セグメントを形成する方法。
(A−2)スチレンアクリル系重合体セグメントを予め重合しておき、当該スチレンアクリル系重合体セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび多価アルコールモノマーを反応させることにより、ポリエステルセグメントを形成する方法。
(B)ポリエステルセグメントおよびスチレンアクリル系重合体セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
(1)未変性のポリエステル樹脂と、芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、両反応性モノマーとを混合する混合工程、
(2)芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合させる重合工程
を経ることにより、ポリエステルセグメントの末端にスチレンアクリル系重合体セグメントを形成させることができる。
〔式(ア)において、Wxは単量体xの質量分率、Tgxは単量体xの単独重合体のガラス転移点である。〕
なお、本明細書においては、両反応性モノマーはガラス転移点の計算に用いないものとする。
スチレンアクリル系重合体セグメントを形成するための芳香族系ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものである。
スチレンアクリル系重合体セグメントを形成するための両反応性モノマーとしては、ポリエステルセグメントを形成するための多価カルボン酸モノマーおよび/または多価アルコールモノマーと反応し得る基と重合性不飽和基とを有するモノマーであればよく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸および無水マレイン酸などを用いることができる。
本発明に係るスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を作製するために用いるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)および多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
重合工程(2)においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合を行うことが好ましく、ラジカル重合開始剤の添加の時期は特に制限されないが、ラジカル重合の制御が容易であるという点で、混合工程の後で添加することが好ましい。
また、当該重合工程(2)においては、スチレンアクリル系重合体セグメントの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
コア粒子の表面にシェル層を有するコア・シェル構造のトナーの製造方法としては、乳化凝集法により作製する方法を挙げることができる。乳化凝集法では、コア粒子の水系分散液中にシェル層用樹脂粒子の分散液を添加し、コア粒子の表面にシェル層用樹脂粒子を凝集・融着させてトナー母体粒子を作製する。その後、必要に応じ外添剤をトナー母体粒子に付着させてトナーを作製する。
トナー母体粒子の作製方法としては、コア粒子表面にシェル層用樹脂粒子を凝集・融着させて作製する方法を挙げることができる。この方法では、コア粒子の作製後に、シェル層用樹脂粒子を凝集・融着させシェル層を形成する方法である。すなわち、コア粒子の水系分散液にシェル層用樹脂粒子の分散液を添加する。シェル層用樹脂粒子の付着によってコア粒子の表面にシェル層を形成するときには、コア粒子の凝集・融着工程で所望の粒径に到達させるときの反応温度またはそれ以上の温度に設定することが好ましい。コア粒子に対するシェル層用樹脂粒子の付着を促進するために、コア粒子形成時に用いる凝集剤を適宜追加添加することができる。
本発明ではトナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、トナー母体粒子に外添剤を添加したものを用いることができる。外添剤を添加し、混合する方法としては、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
(ガラス転移点)
本発明において、ガラス転移点(Tg)は、「DSC−7示差走査カロリメーター」(パーキンエルマー製)、「TAC7/DX熱分析装置コントローラ」(パーキンエルマー製)を用いて測定することができる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(807−IT型:日本分光工業社製)を用いて測定することができる。
装置 :HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム :TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー製)
カラム温度:40℃
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :0.2ml/分
検出器 :屈折率検出器(RI検出器)
なお、試料の重量平均分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
トナーの体積基準におけるメディアン径(D50)は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用い、測定、算出することができる。測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度が5質量%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、又、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明のトナーが用いられる画像形成装置としては、静電潜像担持体である感光体ドラム上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を直接転写材に或いは中間転写体を介して転写材に転写する転写手段、転写材に転写されたトナー像を熱定着する定着手段を有する装置を挙げることができる。
(コア粒子用樹脂粒子A1の分散液作製)
(1−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に予めアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に重合開始剤「過硫酸カリウム:KPS」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
溶液(1)
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
上記溶液(1)を3時間かけて滴下し、滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することで重合(第1段重合)を行い「樹脂微粒子(a1)」の分散液を作製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
溶液(2)
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
上記溶液(2)に、離型剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて「単量体溶液(2)」を調製した。一方、アニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に「樹脂微粒子(a1)」の分散液を、樹脂微粒子(a1)の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製し、この分散液に重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行って「樹脂微粒子(a11)」の分散液を作製した。
上記の「樹脂微粒子(a11)」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
溶液(3)
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
n−オクチルメルカプタン 5.2質量部
上記溶液(3)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア粒子用樹脂粒子A1が分散した「コア粒子用樹脂粒子A1の分散液」を得た。
「コア粒子用樹脂粒子A1の分散液」の作製時に用いた単量体を表1のように変更した以外は同様にして「コア粒子用樹脂粒子A2〜A9の分散液」を作製した。
(シェル層用樹脂粒子B1の分散液作製)
〔スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂B1の合成〕
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 30質量部
ブチルアクリレート 7質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、未反応のアクリル酸、スチレン、ブチルアクリレート、生成した水を除去することにより、「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂B1」を作製した。
「シェル層用樹脂粒子B1の分散液」の作製時に用いた単量体を表2のように変更した以外は同様にして「シェル層用樹脂粒子B2〜B9の分散液」を作製した。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、無水マレイン酸34質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これを「ポリエステル樹脂(a)」とする。
〈トナー1の作製〉
(着色剤分散液の作製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の粒子を分散して有する着色剤分散液を調製した。この分散液の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−150(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
撹拌装置、温度センサ、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア粒子用樹脂粒子A1の分散液」を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、「着色剤分散液」を固形分換算で40質量部投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(コールターベックマン社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、「シェル層用樹脂粒子B1の分散液」を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー母体粒子1の分散液」を作製した。
トナー1の作製で用いた「コア粒子用樹脂粒子A」と「シェル層用樹脂粒子B」と、その質量%を、表3のように変更した以外は同様にして「トナー2〜20」を作製した。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準におけるメディアン径(D50)50μmの「キャリア」を得た。尚、キャリアの体積基準におけるメディアン径(D50)は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した値である。
〈トナー母体粒子に混在する微粒子の混在量〉
トナー母体粒子に混在する微粒子の混在量は、上記で作製した各トナー母体粒子を、界面活性剤を含有するイオン交換水に分散し、この分散液を、「FPIA−2100」(Sysmex社製)」を用いて測定した。
耐熱保管性は、下記測定方法で測定したときの篩上に残存する残存トナー質量(トナー凝集率)で評価した。
〈プリント評価〉
プリント評価は、市販の画像形成装置「bizhub PRO 602」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。
低温定着性の評価は、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるよう「bizhub PRO 602」を改造した画像形成装置用いて行った。評価紙として「NPi上質紙」(128g/m2(日本製紙製))を用い、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を定着速度300mm/secで、熱ローラは150〜200℃の間で5℃毎の水準で変更し、圧着ローラは熱ローラより20℃低く設定し、5℃毎の水準で定着させた時に、コールドオフセットが発生しない温度を定着下限温度として評価した。この定着下限温度が低ければ低い程、低温定着性が優れていることになる。尚、低温定着性は、定着下限温度が165℃以下を合格とした。
クリーニング性は、40万枚プリント終了後、常温常湿(20℃、50%RH)のプリント環境で印字率10%の文字画像とパッチ像を形成し、クリーニングブレードでクリーニングした後、感光体の表面を目視観察とプリント画像のクリーニング不良による画像汚れで評価した。尚、◎、○を合格とした。
◎:感光体の表面にクリーニング不良がなく、プリント画像にもクリーニング不良による画像汚れがみられず良好
○:感光体の表面にクリーニング不良がやや見られるが、プリント画像にクリーニング不良による画像汚れがみられず実用上問題なし
×:感光体の表面にクリーニング不良が発生し、プリント画像にもクリーニング不良による画像汚れがみられ、実用上問題あり
表4に、評価結果を示す。
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
57 給紙ローラ
58 転写電極
59 分離電極
60 定着装置
70 プロセスカートリッジ
601 熱ローラ
602 圧着ローラ
621 クリーニングブレード
P 記録紙
Claims (6)
- コア粒子の表面にシェル層を設けたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーにおいて、該コア粒子が少なくともスチレンアクリル樹脂と離型剤を有し、該シェル層が少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有し、該スチレンアクリル樹脂のガラス転移点が35℃以上55℃以下、重量平均分子量が20,000以上40,000以下で、該スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂のガラス転移点が50℃以上70℃以下、重量平均分子量が7,000以上19,000以下であり、前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を形成するポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の構成比率が25モル%以上75モル%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂がポリエステルセグメントとスチレンアクリル系重合体セグメントで形成され、該スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂におけるスチレンアクリル系重合体セグメントの構成割合が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂が、ポリエステルセグメントの末端にスチレンアクリル系重合体セグメントが接合されたもの、またはポリエステルセグメントの途中にスチレンアクリル系重合体セグメントがグラフト化されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を形成するポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の構成比率が30モル%以上60モル%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位が、下記一般式(A)で表されるものに由来の構造単位であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
一般式(A):HOOC−(CR1 =CR2 )n −COOH
〔式中、R1 、R2 は水素原子、メチル基またはエチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。nは1または2の整数である。〕 - コア粒子の表面にシェル層を設けたコア・シェル構造の静電荷像現像用トナーの製造方法において、該コア粒子が少なくともスチレンアクリル樹脂と離型剤を有し、該シェル層が少なくともスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を有し、該スチレンアクリル樹脂のガラス転移点が35℃以上55℃以下、重量平均分子量が20,000以上40,000以下、該スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂のガラス転移点が50℃以上70℃以下、重量平均分子量が7,000以上19,000以下であり、前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を形成するポリエステルセグメントを構成する多価カルボン酸モノマーに由来の構造単位における脂肪族不飽和ジカルボン酸に由来の構造単位の構成比率が25モル%以上75モル%以下であり、少なくとも前記スチレンアクリル樹脂を有するコア粒子の表面に前記スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂の粒子を水系媒体中で凝集・融着してシェル層を形成する工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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