JP4823892B2 - 高純度脂環式エポキシ化合物、その製造方法、硬化性エポキシ樹脂組成物、その硬化物、および用途 - Google Patents

高純度脂環式エポキシ化合物、その製造方法、硬化性エポキシ樹脂組成物、その硬化物、および用途 Download PDF

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Description

本発明は、脂環式オレフィン化合物を水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸により酸化し、精製して得られた高純度脂環式エポキシ化合物、その製造方法、硬化性エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物、並びに高純度脂環式エポキシ化合物の各種用途に関する。より詳しくは、不純物や反応中間体の濃度も低く、色相がよい高純度脂環式エポキシ化合物および蒸留精製による同化合物の製造方法、同高純度脂環式エポキシ化合物を含む硬化性エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物、並びに高純度脂環式エポキシ化合物の各種用途に関する。該高純度脂環式エポキシ化合物は、透明封止材料、透明フィルム、透明シート、層間絶縁材料、コーティング、インキ、接着剤、シーラント、安定剤、絶縁材、液晶等表示材のように耐熱性や透明性が要求される用途で有用である。
分子内に2個の脂環骨格を持つジエポキシ化合物は、現在さまざまな種類のものが市販されている。例えばCEL−2021P(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、CEL−3000(1,2,8,9−ジエポキシリモネン)、CEL−2081(ε−カプロラクトンオリゴマーの両端に、それぞれ3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールと3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸がエステル結合したもの)[以上、ダイセル化学工業(株)製]がある。上記CEL−3000は、エポキシ基を構成する炭素にメチル基があるため、メチル基の無いものに比べてエポキシ基の反応性が低い。また、CEL−2021P、CEL−2081は、分子内にエステル結合を持つため加水分解性がある。そのため高温高湿下での使用や強酸が発生する条件等を用いた場合、硬化物の物性低下が起こることがあった。そのため、分子内にエステル結合を持たない脂環骨格を持つエポキシ化合物が望まれている。
一方、特許文献1には、上記一般式(I)におけるXが−CH2−であり、R1〜R18が水素原子である化合物を合成し、これを使用して酸無水物と硬化反応を行うことにより従来の脂環式エポキシ化合物に比べて硬化物の物性が改善されることが記載されている。しかし、該エポキシ化合物の合成には、過安息香酸を使用しているため工業的に利用しにくい。また、特許文献2では、過酸化水素と酸触媒と有機酸から過カルボン酸を合成した後、有機溶媒で過カルボン酸を抽出し、これを用いてエポキシ化を行っている。従って、操作が長い上に廃棄物の量も多く、作業が煩雑である。さらに、この過カルボン酸は微量ではあるが、水分だけでなく、過酸化水素および酸触媒を含んでいるため、過カルボン酸を製造する反応工程や抽出工程において過カルボン酸が不安定になり短時間で濃度低下することがある。また、濃度低下は同時に酸素を生成するため反応装置内をきわめて危険な状態に置くことになる。およびエポキシ化反応工程および生成したエポキシ化物の精製工程などでエポキシ化物の副反応が起こりやすくなり製品の回収量が少なくなるだけでなく、副反応の生成物で製造装置が汚れ工業的に不利な方法といえる。
また、上記特許文献2には、使用し得る過カルボン酸として過プロピオン酸、過酪酸および過イソ酪酸が開示されているが、これらの過カルボン酸は本発明で好ましく用いられる過酢酸と比較すると分子量が大きいため単位重量あたりの酸化剤としての能力が低く、生産性が悪く、酢酸、アセトアルデヒドは、プロピオン酸、酪酸に比べて安価な材料でコスト面で有利であり、プロピオン酸、酪酸に比べて酢酸は、沸点が低く回収蒸留する際にエネルギー的に有利である。
特許文献3では、脂環式オレフィン骨格を二つ有する分子内にエステル結合を持たない化合物を、アセトアルデヒドの空気酸化により得られた過酢酸を使用することによりエポキシ化することで、上記脂環式エポキシ化合物(I)を合成している。しかし該エポキシ化合物(I)の合成では脱溶媒を行うのみであるため、GPCで分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも溶出時間の短い高分子量成分やガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも保持時間の短い不純物や反応中間体などが残留し、色相(APHA)も十分なものではなく、液晶等表示材のように、耐熱性が要求される透明材料に使用するには不十分であった。
特開昭48−29899号公報 特開昭58−172387号公報 特開2002−275169号公報
本発明の目的は、脂環式オレフィン化合物を水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸によりエポキシ化し、精製することでGPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度が低減され、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも保持時間の短い不純物や反応中間体の濃度が低く、色相もよいエステル結合を含まない高純度脂環式エポキシ化合物を、効率よく、また毒性の少ない溶媒を使用して製造する方法および特に透明性、耐熱性に優れた硬化物を提供することにある。
本発明によれば、脂環式オレフィン化合物を水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸によりエポキシ化し、精製することでGPC分析により検出される上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度が低減され、ガスクロマトグラフ分析により検出される上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物よりも保持時間の短い不純物や反応中間体の濃度が低く色相もよいエステル結合を含まない上記一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物を、効率よく、また毒性の少ない溶媒を使用して製造することができ、特に透明性、耐熱性に優れた硬化物が得られる
本発明者は、脂環式オレフィン骨格を二つ有する化合物のエポキシ化を、脂肪族アルデヒドの空気酸化により得られた脂肪族過カルボン酸を使用することで実施し、その後蒸留精製することにより上記問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1は、
エポキシ化合物及び必要に応じて加えられるエポキシ基含有化合物、並びに、硬化剤である酸無水物からなることを特徴とする光およびまたは熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、
前記エポキシ化合物が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)分析により検出される、下記一般式(I
Figure 0004823892
<式中でXは、−SO 2 −又は−C(CH 3 2 −である2価の基である。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
で表される脂環式エポキシ化合物よりも溶出時間の早い高分子量成分の濃度が溶出時間ピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して5.5%以下である上記一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物であることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
本発明の第2は、上記発明1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供する。
本発明の第3は、上記発明1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とする透明封止材料を提供する。
本発明の第4は、硬化物が透明フィルム、透明シート、層間絶縁材料、コーティング皮膜、塗膜から選ばれる少なくとも一つである上記発明2記載の硬化物を提供する。
なお、本明細書では、上記発明のほか、参考発明1として、
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)分析により検出される、下記一般式(I)
Figure 0004823892
<式中でXは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO 2 −、−CH 2 −、−C(CH 3 2 −、−CBr 2 −、−C(CBr 3 2 −及び−C(CF 3 2 −からなる群から選択される2価の基である。R 1 〜R 18 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
で表される脂環式エポキシ化合物よりも溶出時間の早い高分子量成分の濃度が溶出時間ピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して5.5%以下である上記一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物についても説明する。
なお、前記式(I’)で表される脂環式エポキシ化合物は、式(I)において、Xを−SO 2 −又は−C(CH 3 2 −に限定した化合物である。
また、本明細書では、上記発明のほか、参考発明2として、
ガスクロマトグラフ分析により検出される下記一般式(III)
Figure 0004823892
<式中でXは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基である。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくは、ハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
で表される反応中間体化合物の濃度が保持時間ごとのピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して4.5%以下である上記参考発明1に記載の高純度脂環式エポキシ化合物についても説明する。
また、本明細書では、上記発明のほか、参考発明3として、
脂環式エポキシ化合物が下記一般式(II)
Figure 0004823892
<式中でXは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基である。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくは、ハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
で表されるガスクロマトグラフ分析によるピーク面積比で全てのピーク面積の総和に対して95.0%以上である脂環式オレフィン化合物を、水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸を使用してエポキシ化して製造されたものである上記参考発明1又は2に記載の高純度脂環式エポキシ化合物についても説明する。
さらに、本明細書では、上記発明のほか、参考発明4として、
下記一般式(II)
Figure 0004823892
で表される脂環式オレフィン化合物を、水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸を使用してエポキシ化した後脱溶媒して製造された下記一般式(I)
Figure 0004823892
<式(I)および(II)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CH2−、−C(CH32−、−CBr2−、−C(CBr32−及び−C(CF32−からなる群から選択される2価の基である。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくは、ハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
で表される脂環式エポキシ化合物を、蒸留精製してGPC分析により検出される同脂環式エポキシ化合物よりも溶出時間の早い高分子量成分の濃度を溶出時間ピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して5.5%以下とする高純度脂環式エポキシ化合物の製造方法についても説明する。
図1は原料の2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパンの1H−NMRチャートである。
図2は実施例1で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)の1H−NMRチャートである。
図3は実施例4で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)の1H−NMRチャートである。
図4は比較例1で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)の1H−NMRチャートである。
図5は実施例1、実施例4、比較例1で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)のGPCチャートである。
図6は実施例1で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)のガスクロマトグラフチャートである。
図7は実施例4で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)のガスクロマトグラフチャートである。
図8は比較例1で得られた脂環式エポキシ化合物(IA)のガスクロマトグラフチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明の上記一般式(I)で表されるエステル結合を含まない高純度脂環式エポキシ化合物は、一般式(II)で表される脂環式オレフィン化合物を水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸によってエポキシ化させた後、蒸留精製することにより製造される。
原料として使用する脂環式オレフィン化合物(II)は、対応する水酸基を持つ化合物の脱水反応による合成が一般的である。脂環式オレフィン化合物(II)の製造方法は、特開昭48−29899号公報、特開昭58−172387号公報、特開2000−169399号公報にあるように、例えばシクロヘキサノール構造を持つ化合物より合成することができる。式(II)からわかるように、得られた脂環式オレフィン化合物(II)は置換基Xに対して3,4位に二重結合を持つものが好ましく、脂環式オレフィン化合物(II)の原料となる水酸基を持つ化合物としては、置換基Xに対して4位に水酸基を持つものが好ましい。これらの化合物の例としては、分子中に水酸基の結合したシクロヘキサン環を、少なくとも2つ以上含有する化合物の脱水反応に対しては、上記と同様の理由から本発明は特に有効である。分子中に水酸基の結合したシクロヘキサン環を、少なくとも2つ以上含有する化合物としては、例えば、水添ビスフェノール、ジシクロヘキサノールメタン、ビス(ジメチルシクロヘキサノール)メタン、1,2−ビス(シクロヘキサノール)エタン、1,3−ビス(シクロヘキサノール)プロパン、1,4−ビス(シクロヘキサノール)ブタン、1,5−ビス(シクロヘキサノール)ペンタン、1,6−ビス(シクロヘキサノール)ヘキサン、2,2−ビス(シクロヘキサノール)プロパン、ビス(シクロヘキサノール)フェニルメタン、α,α−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシルメチル)−エチルベンゼン、3,3−ビス(シクロヘキサノール)ペンタン、5,5−ビス(シクロヘキサノール)ヘプタン、ドデカヒドロフルオレンジオール、トリス(シクロヘキサノール)メタン、トリス(シクロヘキサノール)エタン、1,3,3−トリス(シクロヘキサノール)ブタン、テトラキス(シクロヘキサノール)エタン、2,2−ビス〔4,4'−ビス(シクロヘキサノール)シクロヘキシル〕プロパン、水素化ビスフェノールC(C:シクロヘキサン)、水添ポリフェノール等及びこれらの混合物が挙げられる。
脂環式オレフィン化合物(II)の二重結合のエポキシ化に使用できるエポキシ化剤としては、水分を実質的に含まない脂肪族過カルボン酸を使用する。これは、水分の存在下でエポキシ化反応を行うと、エポキシ基の開環反応が進みエポキシ化合物の収率が低下するためである。このため、脂肪族過カルボン酸は実質的に水分を含まないものであり、具体的には脂肪族過カルボン酸中に含まれる水分としては、0.8重量%以下、好ましくは0.6重量%以下である。本発明で言う実質的に水分を含まない脂肪族過カルボン酸は、アセトアルデヒド等の空気酸化により製造される過酢酸等のことであり、例えば、過酢酸についてはドイツ公開特許公報1418465号や特開昭54−3006号公報に記載された方法により製造される。この方法によれば、過酸化水素から脂肪族過カルボン酸を合成し、溶媒により抽出して脂肪族過カルボン酸を製造する場合に比べて、連続して大量に高濃度の脂肪族過カルボン酸を合成できるために、実質的に安価に得ることができる。
脂肪族過カルボン酸類としては過ギ酸、過酢酸、過トリフルオロ酢酸等を用いることができる。この内特に過酢酸は工業的に安価に入手可能で、かつ安定度も高く、好ましいエポキシ化剤である。エポキシ化剤である脂肪族過カルボン酸の量に厳密な制限がなく、それぞれの場合における最適量は、使用する個々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々の被エポキシ化物等のごとき可変要因によって決まる。1分子中のエポキシ基の数が多い化合物が目的の場合、エポキシ化剤はオレフィン基に対して等モルかそれ以上加えるのが好ましい。ただし、経済性、及び次に述べる副反応の問題から2倍モルを超えることは通常不利であり、過酢酸の場合、1〜1.5倍モルが好ましい。
エポキシ化反応は、装置や原料物性に応じて不活性溶媒使用の有無や反応温度を調節して行なう。不活性溶媒としては、原料粘度の低下、エポキシ化剤の希釈による安定化などの目的で使用することができ、過酢酸の場合であれば芳香族化合物、エステル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、酢酸メチルである。溶媒の使用量はオレフィンの重量に対して0.1〜10重量倍、好ましくは、0.3〜3重量倍である。
0.1重量倍より少ないとエポキシ化の際の酢酸付加物の量が多くなる。10重量倍より多いとエポキシ化に時間がかかることと、装置が大きくなるため生産性が低下する。
用いるエポキシ化剤の反応性によって使用できる反応温度域は定まる。一般的には、0℃以上、100℃以下である。好ましいエポキシ化剤である過酢酸についていえば20〜70℃が好ましい。20℃以下では反応が遅く、70℃では過酢酸の分解が起きる。反応においては、特別な操作は必要なく、例えば混合物を1〜5時間攪拌すればよい。得られたエポキシ化合物の単離は適当な方法、例えば貧溶媒で沈殿させる方法、エポキシ化合物を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒法などで行うことができる。
しかし、これらの方法で得られた脂環式エポキシ化合物(I)は、従来技術で述べたようにGPC分析により検出される高分子量成分、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも保持時間の短い不純物、反応中間体などが残留しており、色相も十分なものではなかった。
GPC分析により検出される高分子量成分としては、脂環式エポキシ化合物(I)の重合物、脂環式エポキシ化合物(I)へのエポキシ化剤より副生するカルボン酸のモノ付加物やポリ付加物などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(I)へのエポキシ化剤より副生するカルボン酸のモノ付加物としては、例えば、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−メチレンジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−2,2',6,6'−テトラメチル−1',2'−エポキシ−4,4'−メチレンジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−エチレンジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−(プロパン−1,3−ジイル)ジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−(ブタン−1,4−ジイル)ジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−(ペンタン−1,5−ジイル)ジシクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−(ヘキサン−1,6−ジイル)ジシクロヘキサン、2−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−1',2'−エポキシ−4,4'−(フェニルメチレン)ジシクロヘキサン、α,α−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)−4−((3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシル)メチル)エチルベンゼン、3−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンタン、3−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプタン、2−ヒドロキシ−3−アセトキシ−6,7−エポキシドデカヒドロフルオレン、(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3,3−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−1,2,2−トリス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、2−(4−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−(4−(',4−エポキシシクロヘキシル)シクロヘキシル)プロパン、2−(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−(3−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(I)へのエポキシ化剤より副生するカルボン酸のポリ付加物としては、例えば、ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−4−アセトキシシクロヘキシル)メタン、1,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)エタン、1,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)プロパン、1,4−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ブタン、1,5−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ペンタン、1,6−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ヘキサン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)フェニルメタン、α,α−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−4−((3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシル)メチル)エチルベンゼン、3,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ペンタン、3,3−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ヘプタン、2,6−ジヒドロキシ−3,7−ジアセトキシドデカヒドロフルオレン、トリス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)メタン、1,1,2−トリス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)エタン、1,1,3−トリス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)ブタン、テトラキス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス〔4,4'−ビス(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−3−メチル−4−アセトキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(I)よりも保持時間の短い不純物としては、エポキシ化の際に用いた溶媒である、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、酢酸メチルなど、エポキシ化剤より副生するカルボン酸、例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など、脂環式オレフィン化合物(II)合成の際に用いる溶剤に由来する化合物、例えばナフタレン、テトラメチルベンゼンなど、脂環式オレフィン化合物(II)合成時に副生する、オレフィンモノオール化合物、およびオレフィンモノオール化合物のエポキシ化物、脂環式オレフィン化合物(II)合成時の副生不純物であるモノオレフィン化合物、モノオレフィン化合物のエポキシ化物、モノオレフィン化合物のエポキシ化物へのエポキシ化剤より副生するカルボン酸モノ付加物などが挙げられる。
脂環式オレフィン化合物(II)合成時に副生するオレフィンモノオール化合物としては、例えば、4−(3−シクロヘキセニル)メチルシクロヘキサノール、3,5−ジメチル−4−(3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル)メチルシクロヘキサノール、4−(2−(3−シクロヘキセニル)エチル)シクロヘキサノール、4−(3−(3−シクロヘキセニル)プロピル)シクロヘキサノール、4−(4−(3−シクロヘキセニル)ブチル)シクロヘキサノール、4−(4−(3−シクロヘキセニル)ペンチル)シクロヘキサノール、4−(5−(3−シクロヘキセニル)ヘキシル)シクロヘキサノール、4−((1−(3−シクロヘキセニル)−1−メチル)エチル)シクロヘキサノール、4−(3−シクロヘキセニルフェニルメチル)シクロヘキサノール、α,α−ビス(3−シクロヘキセニル)−4−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシルメチル)エチルベンゼン、4−(1−(3−シクロヘキセニル)−1−エチル)プロピルシクロヘキサノール、4−(1−(3−シクロヘキセニル)−1−エチル)ペンチルシクロヘキサノール、2−ヒドロキシ−[1,2,3,4,5,8,4a,4b,8a,8b]デカヒドロフルオレン、4−ビス(3−シクロヘキセニル)メチルシクロヘキサノール、4−ビス(3−シクロヘキセニル)エチルシクロヘキサノール、4−ビス(3−シクロヘキセニル)ブチルシクロヘキサノール、4−(1,2,2−トリス(3−シクロヘキセニル))エチルシクロヘキサノール、4−(4−(4−(1−(3−シクロヘキセニル)−1−メチル)エチルシクロヘキシル)メチルシクロヘキシル)シクロヘキサノール、2−メチル−4−(1−(3−メチル−3−シクロヘキセニル)−1−メチル)エチルシクロヘキサノールなどが挙げられる。
オレフィンモノオール化合物のエポキシ化物としては、例えば、4−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−4−(3,5−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)シクロヘキサノール、4−(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)シクロヘキサノール、4−(3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル)シクロヘキサノール、4−(4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル)シクロヘキサノール、4−(5−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル)シクロヘキサノール、4−(6−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシル)シクロヘキサノール、4−(1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル)シクロヘキサノール、4−((3,4−エポキシシクロヘキシルフェニル)メチル)シクロヘキサノール、α,α−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)−4−(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルシクロヘキシルメチル)エチルベンゼン、4−(1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1−エチルプロピル)シクロヘキサノール、4−(1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1−エチルペンチル)シクロヘキサノール、2−ヒドロキシ−[1,2,3,4,5,8,4a,4b,8a,8b]デカヒドロフルオレン、4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルシクロヘキサノール、4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシクロヘキサノール、4−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルシクロヘキサノール、4−(1,2,2−トリス(3,4−エポキシシクロヘキシル))エチルシクロヘキサノール、4−(4−(1−(4−(3,4エポキシシクロヘキシル)シクロヘキシル)−1−メチル)エチルシクロヘキシル)シクロヘキサノール、2−メチル−4−(1−(3−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)−1−メチル)エチルシクロヘキサノールなどが挙げられる。
脂環式オレフィン化合物(II)合成時の副生不純物であるモノオレフィン化合物としては、例えば、4−(シクロヘキシルメチル)シクロヘキセン、2,6−ジメチル−4−(3,5−ジメチルシクロヘキシルメチル)シクロヘキセン、1−(3−シクロヘキセニル)−2−シクロヘキシルエタン、1−(3−シクロヘキセニル)−3−シクロヘキシルプロパン、1−(3−シクロヘキセニル)−4−シクロヘキシルブタン、1−(3−シクロヘキセニル)−5−シクロヘキシルペンタン、1−(3−シクロヘキセニル)−6−シクロヘキシルヘキサン、2−(3−シクロヘキセニル)−2−シクロヘキシルプロパン、3−シクロヘキセニルシクロヘキシルフェニルメタン、α,α−ジシクロヘキシル−4−(α,α−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル)エチルベンゼン、3−(3−シクロヘキセニル)−3−シクロヘキシルペンタン、3−(3−シクロヘキセニル)−3−シクロヘキシルヘプタン、[1,2,3,4,5,8,4a,4b,8a,8b]デカヒドロフルオレン、4−(ジシクロヘキシルメチル)シクロヘキセン、1−(3−シクロヘキセニル)−2,2−ジシクロヘキシルエタン、1−(3−シクロヘキセニル)−3,3−ジシクロヘキシルブタン、1−(3−シクロヘキセニル)−1,2,2−トリシクロヘキシルエタン、2−(4−(3−シクロヘキセニル)シクロヘキシル)−2−ビシクロヘキシルプロパン、2−(3−メチル−3−シクロヘキセニル)−2−(3−メチルシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
脂環式オレフィン化合物(II)合成時の副生不純物であるモノオレフィン化合物のエポキシ化物としては、例えば、1,2−エポキシ−4,4'−メチレン−ジシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2,2',6,6'−テトラメチル−4,4'−メチレンジシクロヘキサン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2−シクロヘキシルエタン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルプロパン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−4−シクロヘキシルブタン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5−シクロヘキシルペンタン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−6−シクロヘキシルヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2−シクロヘキシルプロパン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)シクロヘキシルフェニルメタン、α,α−ジシクロヘキシル−4−(α,α−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エチルベンゼン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルペンタン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルヘプタン、2,3−エポキシ−[1,2,3,4,5,8,4a,4b,8a,8b]デカヒドロフルオレン、4−(ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル)シクロヘキセン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,2−ビスシクロヘキシルエタン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3,3−ビスシクロヘキシルブタン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−1,2,2−トリスシクロヘキシルエタン、2−(4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ビシクロヘキシルプロパン、2−(3−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)−2−(3−メチルシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
脂環式オレフィン化合物(II)合成時の副生不純物であるモノオレフィン化合物のエポキシ化物へのエポキシ化剤より副生するカルボン酸モノ付加物としては、例えば、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−4−(シクロヘキシルメチル)シクロヘキサン、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−(3,5−ジメチルシクロヘキシルメチル)シクロヘキサン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−シクロヘキシルエタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルプロパン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−4−シクロヘキシルブタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−5−シクロヘキシルペンタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−6−シクロヘキシルヘキサン、2−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−シクロヘキシルプロパン、(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)シクロヘキシルフェニルメタン、α,α−ジシクロヘキシル−4−(α,α−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシルメチル)エチルベンゼン、3−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルペンタン、3−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3−シクロヘキシルヘプタン、2−ヒドロキシ−3−アセトキシ−[1,2,3,4,5,8,4a,4b,8a,8b]デカヒドロフルオレン、4−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)シクロヘキセン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2,2−ビスシクロヘキシルエタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−3,3−ビスシクロヘキシルブタン、1−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−1,2,2−トリスシクロヘキシルエタン、2−(4−(3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ビシクロヘキシルプロパン、2−(3−メチル−3−ヒドロキシ−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−(3−メチルシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。
ガスクロマトグラフ分析により検出される反応中間体は、上記一般式(III)で表されるモノエポキシモノオレフィン化合物で、上記一般式(II)で表される脂環式オレフィン化合物中の1つの二重結合がエポキシ化されたものであり、さらに残る二重結合がエポキシ化されることで、上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物へと変換される。
本発明者は上記方法による脂環式エポキシ化合物(I)の合成と精製について検討した結果、高分子量成分、反応中間体、原料不純物由来の化合物を蒸留精製により除去できること、および、それによって脂環式エポキシ化合物の色相や硬化物における透明性を改善できることを見出した。
本発明の一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物の製造方法は、上記の工程で得られた脂環式エポキシ化合物を蒸留精製する方法であり、これにより高分子量成分や、反応中間体、原料不純物由来の化合物を除去することができ、良好な色相の高純度脂環式エポキシ化合物を得ることができる。本発明の一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物は、GPC分析により検出される高分子量成分の濃度が全検出ピーク面積の総和に対して5.5%、好ましくは4.1%以下、さらに好ましくは2.5%以下、およびガスクロマトグラフ分析により検出される上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物よりも保持時間の短い不純物の濃度が保持時間ごとのピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して19.5%以下、好ましくは、16.4%以下、さらに好ましくは、13.0%以下、反応中間体濃度の濃度が保持時間ごとのピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して4.5%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、色相(APHA)が60以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは20以下である。
精製方法としては、バッチ式の単蒸留、WFE(Wiped Film Evaporator)、FFE(Falling Film Evaporator)のような薄膜蒸発器、分子蒸留装置、蒸留塔による蒸留等、一般的な方法を単独、または組み合わせて使用することができる。中でも、エポキシ化合物が加熱による影響を受けにくい薄膜蒸発器を用いるのが好ましい。薄膜蒸発器等による蒸留の条件としては、圧力50〜0.01Torr好ましくは、20〜0.03Torr、さらに好ましくは、10〜0.05Torr、加熱温度100〜350℃、好ましくは、120〜330℃、さらに好ましくは、150〜300℃である。
蒸留精製された脂環式エポキシ化合物(I)は、GPC分析により検出される高分子量成分の濃度が低減され、ガスクロマトグラフ分析により検出される反応中間体、原料不純物由来の化合物濃度も低く色相がよい高純度脂環式エポキシ化合物であるため、単独重合、共重合又はさらに他の化合物と反応させることによってさまざまなコーティング、インキ、接着剤、シーラント、成形品又は、これらを用いた他の用途のための中間体を製造することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は本発明の一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物及び必要に応じて加えられるエポキシ基含有化合物、並びに、硬化剤または硬化触媒からなることを特徴としている。
硬化剤または硬化触媒としては、光又は熱によりカチオン種を発生させるカチオン重合開始剤または酸無水物である。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は必須成分である硬化剤として、光カチオン重合開始剤およびまたは熱カチオン重合開始剤、もしくは酸無水物を含んでいるので、光または熱により硬化重合させることが可能である。
光カチオン重合開始剤としてはスルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ジアゾニウム塩系、アレン−イオン錯体系等の化合物が使用できる。例えばスルホニウム塩系のUVACURE1590、UVACURE1591(以上、ダイセルUCB社製)、DAICAT11(ダイセル化学社製)、CD−1011(サートマー社製)、SI−60L、SI−80L、SI−100L(以上、三新化学社製)等;ヨードニウム塩系のDAICAT12(ダイセル化学社製)、CD−1012(サートマー社製);ジアゾニウム塩系のSP−150,SP−170(旭電化工業社製)などが挙げられる。光カチオン重合開始剤の中でも、上記SI−60L、SI−80L、SI−100Lは加熱によりカチオンを発生させることもできる。
さらに、熱カチオン重合開始剤としてはトリフェニルシラノールなどのシラノール系のカチオン触媒やアルミニウムトリス(アセチルアセトン)などのアルミキレート系触媒も使用することができる。
本発明において、上記カチオン重合開始剤は全エポキシ化合物100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.1から3重量部程度配合することが適当である。0.01重量部以下では熱硬化性が著しく低下し、20重量部を超えて配合した場合には、増量効果が認められず不経済であるとともに、硬化物の物性低下を来すので好ましくない。
また、本発明において、硬化剤として酸無水物を使用することもできる。酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物などの、好ましくは分子中に脂肪族環又は芳香族環を1個又は2個有すると共に、酸無水物基を1個又は2個有する、炭素原子数4〜25個、好ましくは8〜20個程度の酸無水物が好適である。
この場合、酸無水物としては、カルボキシル基(COOH基)を有する化合物の含有量が0.5重量%以下(即ち、0〜0.5重量%)、特に0.4重量%以下(即ち、0〜0.4重量%)のものを使用する。カルボキシル基含有量が0.5重量%より多いと結晶化するおそれがあり、好ましくない。この場合、カルボキシル基(COOH基)の含有量としては、酸無水物硬化剤に対して0.3重量%以下(即ち、0〜0.3重量%)、特に0.25重量%以下(即ち、0〜0.25重量%)のものが同様の理由により好ましい。
なお、酸無水物の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対し、硬化剤中の酸無水物基の比を0.3〜0.7モルの範囲とすることが望ましい。0.3モル未満では硬化性が不十分であり、0.7モルを超えると、未反応の酸無水物が残存し、ガラス転移温度の低下となるおそれがある。より望ましくは0.4〜0.6モルの範囲である。
また、硬化に際しては、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン(DBU)のようなアミジン化合物やトリフェニルフォスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレートのような有機リン化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は単独でも混合して用いても差し支えない。配合量としては、上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物と重合開始剤の合計量100重量部あたり、0.4〜20重量部の範囲とするのが好ましい。配合量が0.4重量部未満では、加熱成形時に十分な硬化性が得られない恐れがあり、一方、20重量部を越えると硬化が速すぎて、成形時に流動性の低下による充填不良を生じる恐れがあるので好ましくない。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中で前記高純度脂環式エポキシ化合物、硬化剤、硬化促進剤とともに必要に応じて使用される他のエポキシ基含有化合物は、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有するものであれば、分子構造、分子量などに特に制限はなく、通常半導体封止用に使用されるエポキシ樹脂をそのまま用いることができる。具体的には例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂を、1種類又は2種以上混合して用いてもよい。
さらに、上記以外にも、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル3',4'−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート(ダイセル化学工業製セロキサイド 2021P)、リモネンジエポキシド(ダイセル化学工業製セロキサイド 3000)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート(ダイセル化学工業製セロキサイド 2081)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイド製ERL4227等)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物(ダイセル化学工業製「エポリードGT301」等GT300シリーズ)、およびエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルおよびそのε−カプロラクトン付加物(ダイセル化学工業製エポリード「GT401」等GT400シリーズ)などの脂環式エポキシ樹脂も使用することができる。
他のエポキシ基含有化合物の含有量は、上記高純度脂環式エポキシ化合物との合計量100重量部中0〜90重量部、好ましくは、15〜85重量部、さらに好ましくは、20〜80重量部である。
上記他のエポキシ基含有化合物の含有量が15重量部未満ではコスト面で不利であり、90重量部を超えると本発明の高純度脂環式エポキシ化合物による効果が小さい。
上記各成分を混合するためには、通常使用される装置、例えば、ブレンダーのようなミキサー等によって十分混合した後、さらに熱ロール、ニーダー等を用いて溶融混練し、冷却した後、粉砕して成形材料とする。また、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクシションモールド等の成形法により、封止を行なう。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、温度30〜240℃、好ましくは、35〜180℃、さらに好ましくは、35〜60℃で、硬化時間30〜300分、好ましくは、45〜240分、さらに好ましくは、60〜120分で硬化させる。
硬化温度と硬化時間が上記範囲下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、何れも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間は短く、硬化温度が低い場合は硬化時間は長く、適宜調整することができる。通常は、一次硬化(硬化温度30〜240℃、好ましくは35〜180℃、さらに好ましくは35〜60℃、硬化時間30〜300分、好ましくは45〜240分、さらに好ましくは60〜120分)させた後、引き続き二次硬化(硬化温度60〜240℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは120〜200℃、硬化時間30〜180分、好ましくは45〜150分、さらに好ましくは60〜120分)を行って硬化不足が起きないようにするのが好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は紫外線または電子線等の活性エネルギー線のような光を照射することにより硬化させることもできる。
例えば、紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯などが用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒であり、通常は数秒である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。電子線照射の場合は、50〜1,000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中の必須の樹脂成分である高純度脂環式エポキシ化合物は低粘度であるため、その硬化性エポキシ樹脂組成物もまた低粘度であり加工性に優れた特徴を有する。また、100℃に満たない温度領域では揮発しないため、作業環境への影響もない。
本発明の一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物を用いた最終用途の例としては、透明封止材料、透明フィルム、透明シート、層間絶縁材料、酸除去剤、家具コーティング、装飾コーティング、飲料缶及びその他の缶コーティング、接着剤、自動車下塗り、シーラー、仕上げ塗り、文字情報又は画像情報用のインキ、電子部品用のシーラント、印刷版又は印刷回路版を製造するのに適したフォトレジスト、注型印刷ロール、成形物用配合物又はシート形成用配合物によって作られた成形品、溶媒、難燃剤、医薬品および医療用品を含む種々の最終用途に有用な他の化合物を製造するための中間体などがある。また、本発明の一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物は、硬化物に対して脂環骨格を持つ化合物を用いた樹脂の特徴である耐熱性、透明性、良好な誘電特性を持たせることができ、液晶など表示用途の耐熱性を要求される透明材料に問題なく使用することができる。
以下、実施例および応用例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、応用例4〜6は実施例として、その他の応用例は参考例として記載する。
実施例で用いられている「%」は、特別の説明がない限り「重量%」を意味する。
〈GPC分析〉
前処理として、脂環式エポキシ化合物(I)0.04gをテトラヒドロフラン(THF)2gに溶解し、孔径0.50μmのフィルタ[DISMIC13JP050AN、東洋濾紙(株)製]でろ過する。得られた脂環式エポキシ化合物(I)のTHF溶液をGPCにて分析し、各成分ごとのピーク面積の割合を各成分の濃度とする。脂環式エポキシ化合物(I)よりも早く溶出する各成分の濃度を合算したものを高分子量成分濃度として算出する。
装置:HLC−8220GPC[東ソー(株)製]
検出器:示差屈折計(RI検出器)
プレカラム:TSKGUARDCOLUMN SUPER HZ−L 4.6mm×20mm
カラム:サンプル側 TSK−GEL SUPER HZM−N 4.6mm×150mm×4本
リファレンス側 TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0mm×150mm×1本+TSK−GEL SUPER H−RC 6.0mm×150mm
恒温槽温度:40℃
移動層:THF
移動層流量:0.35ml/分
試料注入量:10μl
データ採取時間:試料注入後10分〜26分
〈ガスクロマトグラフ分析〉
脂環式エポキシ化合物(I)を前処理することなく、直接ガスクロマトグラフ分析し、全検出ピークの面積の総和に対する各成分ごとに得られるピーク面積の割合を各成分の濃度とする。
装置:GC14−B型(島津製作所製)
カラム:Thermon 3000/5%Shincarbon A 2.6mm×3m
窒素流量:40ml/分
空気圧:60kPa・s/cm2
水素圧:60kPa・s/cm2
恒温槽温度:60℃×2分保持後10℃/分で250℃まで昇温し250℃×19分保持
注入口温度:250℃
検出器側温度:250℃
検出器:FID
RANGE:10^3
注入量:脂環式エポキシ化合物(I) 1μl
データ採取時間:試料注入直後〜40分
データ処理機器:C−R5A(島津製作所製)
Min.Area:100
SLOPE:700
DRIFT:AUTO
(製造例1)
空気吹き込み口、ガス分散多孔板、冷却ジャケットを備えた300mlステンレス製反応器に酢酸コバルトを含む10%アセトアルデヒド−酢酸エチル溶液を114kg/時で仕込みながら圧縮空気を吹き込み、45℃で反応を行った。反応液は、過酢酸10.1%、アセトアルデヒドモノパーアセテート2.2%、酢酸2.0%を含んでいた。この溶液をポリリン酸ナトリウムとともに蒸留塔に仕込み濃縮を行い、過酢酸溶液を得た。この過酢酸溶液は、過酢酸濃度29.1%、水分は、0.47%であった。
[実施例1]
撹拌器、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた3リットルのジャケット付きフラスコに水36g、硫酸水素ナトリウム12.0g、イソプロピリデン−4,4'−ジシクロヘキサノール(アルドリッチ製)500g、溶媒としてソルベッソ150(エクソン化学製)500gを加えて100℃で脱水反応させた。水の留出が無くなった時点で反応終了とした。反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、96%の収率で2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパンが生成していた。得られた反応液を、分液漏斗を用いて500mlのイオン交換水で洗浄した後、有機層を減圧蒸留し無色透明液状の2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン387.0gを得、その純度は96.1%であった。この2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン100g、酢酸エチル300gを前記と同様の1リットルのジャケット付きフラスコに仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を30℃になるように約2時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液307.2g(過酢酸濃度:29.1%、水分含量0.47%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行った後、WFE型薄膜蒸発器にて加熱温度180℃、圧力4Torrの条件で蒸留し、脂環式エポキシ化合物(IA)を主成分とする製品69.6gを得た。脂環式エポキシ化合物(IA)は一般式(I)におけるXが−C(CH32−、R1〜R18が水素原子の脂環式エポキシ化合物である(以下、同じ)。
得られた製品の性状は、オキシラン酸素濃度12.4%(理論値:13.5%)、粘度1,890cP(25℃)、色相(APHA)15であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で5.2%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同12.1%、反応中間体濃度の濃度は同2.3%であった。
[実施例2]
撹拌器、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた3リットルジャケット付きフラスコに4,4'−ジシクロヘキサノールメタン300g、トルエン600g、パラトルエンスルホン酸3gを加えて110℃で脱水反応させた。水の留出が無くなった時点で反応終了とした。反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、96%の収率でジ(3,4−シクロヘキセニル)メタンが生成していた。得られた反応液を、分液漏斗を用いて500mlのイオン交換水で洗浄した後、有機層を減圧蒸留し純度96.8%の無色透明液状のジ(3,4−シクロヘキセニル)メタンを269g得た。
このジ(3,4−シクロヘキセニル)メタン100gと酢酸エチル200gを実施例1と同様の1リットルのジャケット付きフラスコに仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度が25℃になるように約3時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液276.2g(過酢酸濃度:29.1%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/30Torrで脱低沸を行った後、加熱温度180℃、圧力5Torrの条件下、WFE型薄膜蒸発器にて蒸留し脂環式エポキシ化合物(IB)を主成分とする製品74.5gを得た。脂環式エポキシ化合物(IB)は一般式(I)におけるXが−CH2−、R1〜R18が水素原子の脂環式エポキシ化合物である(以下、同じ)。得られた製品の性状は、オキシラン酸素濃度14.5%、粘度2,190cP(25℃)、色相(APHA)20であり、1H−NMRからδ4.5〜5付近の二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IB)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で3.7%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IB)よりも保持時間の短い不純物濃度が同7.1%、反応中間体濃度の濃度は同2.8%であった。
[実施例3]
水添ビスフェノールスルフォン(即ち、4,4'−ジシクロヘキサノールスルフォン)400gと溶媒としてソルベッソ150(エクソン化学製)500gを使用した他は実施例2と同様に行い、ジ(3,4−シクロヘキセニル)スルフォン330gを得、その純度は95.2%であった。
この反応物100gと酢酸エチル300gを前記と同様の1リットルのジャケット付きフラスコに仕込み、気相部に窒素を吹込みながら、反応系内の温度を40℃になるように約2時間かけて製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液242.7g(過酢酸濃度:29.1%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で粗液を水洗し、70℃/30Torrで脱低沸を行ったあと加熱温度180℃、圧力1Torrで単蒸留し、脂環式エポキシ化合物(IC)を主成分とする製品71.0gを得た。脂環式エポキシ化合物(IC)は式(I)におけるXが−SO2−、R1〜R18が水素原子の脂環式エポキシ化合物である(以下、同じ)。
得られた製品の性状は、オキシラン酸素濃度11.9%、粘度3600cP(25℃)であり、1H−NMRからδ4.5〜5付近の二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IC)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で3.5%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IC)よりも保持時間の短い不純物濃度が同8.7%、反応中間体濃度の濃度は同2.4%であった。
[実施例4]
撹拌器、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた3リットルのジャケット付きフラスコに水72g、硫酸水素ナトリウム24.0g、イソプロピリデン−4,4'−ジシクロヘキサノール(アルドリッチ製)1000g、溶媒としてソルベッソ150(エクソン化学製)1000gを加えて100℃で脱水反応させた。
水の留出が無くなった時点で反応終了とした。反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、96%の収率で2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパンが生成していた。得られた反応液を、分液漏斗を用いて500mlのイオン交換水で洗浄した後、有機層を減圧蒸留し無色透明液状の2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン774.0gを得、その純度は95.7%であった。
この2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン300g、酢酸エチル600gを前記と同様の1リットルのジャケット付きフラスコに仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を30℃になるように約2時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液321.6g(過酢酸濃度:29.1%、水分含量0.47%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行った後、5段のオルダーショウ型蒸留塔にて加熱温度236℃、圧力2Torrで蒸留精製を行い、脂環式エポキシ化合物(IA)を主成分とする製品199.7gを得た。
得られた製品の性状は、オキシラン酸素濃度13.4%、粘度1,940cP(25℃)、色相(APHA)10であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で2.0%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同1.2%、反応中間体濃度の濃度は同0.0%であった。
[実施例5]
撹拌器、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた3リットルのジャケット付きフラスコに水72g、硫酸水素ナトリウム24.0g、イソプロピリデン−4,4'−ジシクロヘキサノール(アルドリッチ製)1000g、溶媒としてソルベッソ150(エクソン化学製)1000gを加えて100℃で脱水反応させた。
水の留出が無くなった時点で反応終了とした。反応液をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、96%の収率で2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパンが生成していた。得られた反応液を、分液漏斗を用いて500mlのイオン交換水で洗浄した後、有機層を減圧蒸留し無色透明液状の2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン774.0gを得、その純度は95.7%であった。
この2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン300g、酢酸エチル600gを前記と同様の1リットルのジャケット付きフラスコに仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を30℃になるように約2時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液321.6g(過酢酸濃度:29.1%、水分含量0.47%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行った後、さらに10段のオルダーショウ型蒸留塔にて加熱温度210℃、圧力2Torrで脱低沸を行い、得られた缶出液を加熱温度180℃、圧力5Torrの条件下、WFE型薄膜蒸発器にて蒸留し脂環式エポキシ化合物(IA)を主成分とする製品174.7gを得た。得られた製品の性状は、オキシラン酸素濃度13.1%、粘度2,240cP(25℃)、色相(APHA)15であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で2.3%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同1.1%、反応中間体濃度の濃度は同0.0%であった。
[比較例1]
実施例1で使用した3リットルのジャケット付フラスコに実施例1で合成した2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン100g、酢酸エチル300gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を30℃になるように約2時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液307.2g(過酢酸濃度:29.1%、水分含量0.47%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で3時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(IA)を含む生成物99.4gを得た。得られた生成物の性状は、オキシラン酸素濃度11.3%、粘度3,550cP(25℃)、色相(APHA)90であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で12.5%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同11.9%、反応中間体濃度の濃度は同2.0%であった。
[比較例2]
実施例1で使用した3リットルのジャケット付フラスコに実施例2で合成したジ(3,4−シクロヘキセニル)メタン100gと酢酸エチル200gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度が25℃になるように約3時間かけて、製造例1で得られた水分を実質的に含まない過酢酸の酢酸エチル溶液276.2g(過酢酸濃度:29.1%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、30℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了液を水洗し、70℃/30Torrで脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(IB)を含む生成物106.4gを得た。得られた生成物の性状は、オキシラン酸素濃度13.8%、粘度2,590cP(25℃)、色相(APHA)110であり、1H−NMRからδ4.5〜5付近の二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IB)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で14.7%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IB)よりも保持時間の短い不純物濃度が同7.9%、反応中間体濃度の濃度は同2.7%であった。
[比較例3]
実施例1で使用した3リットルのジャケット付フラスコに実施例3で合成した、ジ(3,4−シクロヘキセニル)スルフォン100gと酢酸エチル300gを仕込み、気相部に窒素を吹込みながら、反応系内の温度を40℃になるように約2時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液242.7g(過酢酸濃度:29.1%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、40℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で粗液を水洗し、70℃/30Torrで脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(IC)を含む生成物97.0gを得た。得られた生成物の性状は、オキシラン酸素濃度10.8%、粘度6,700cP(25℃)、色相(APHA)80であり、1H−NMRからδ4.5〜5付近の二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IC)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で13.2%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IC)よりも保持時間の短い不純物濃度が同5.2%、反応中間体濃度の濃度は同2.2%であった。
[比較例4]
濃度60%の過酸化水素水167.7g、プロピオン酸200g、硫酸0.45gを25℃で6時間混合し、過プロピオン酸を合成した後、ベンゼン700gで抽出を行い、濃度18.8%の過プロピオン酸のベンゼン溶液(水分0.41%)を得た。実施例1で使用した3リットルのジャケット付フラスコに実施例1で合成した2,2−ビス(シクロヘキセニル)プロパン100gを仕込んだ。ここに上記過プロピオン酸のベンゼン溶液539.5gを、反応系内の温度を40℃になるように約3時間かけて滴下した。滴下終了後、40℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに40℃で粗液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(IA)を含む生成物101.5gを得た。得られた生成物の性状は、オキシラン酸素濃度8.6%、粘度17,610cP(25℃)、色相(APHA)180であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で36.9%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同10.2%、反応中間体濃度の濃度は同3.5%であった。
上記のように低水分含有量の過プロピオン酸を用いてもオキシラン酸素、色相、粘度とも低水分含有量の過酢酸を用いたものより悪い。これは、過プロピオン酸に残留する過酸化水素及び強酸系の触媒の影響によるものと考えられる。
[比較例5]
60%過酸化水素300g、酢酸280gを30℃で3時間混合し、過酢酸を合成した後、酢酸エチル1000gで抽出を行い、濃度21.8%の過酢酸の酢酸エチル溶液(水分8.5%)を得た。実施例1で使用した1リットルのジャケット付フラスコに、実施例1で合成した2,2−ビス(3',4'−シクロヘキセニル)プロパン100gを仕込んだ。ここに21.8%の過酢酸の酢酸エチル溶液410.0g(水分8.5%)を反応系内の温度を30℃になるように約2時間かけて滴下した。滴下終了後、30℃で4時間熟成し反応を終了した。さらに20℃で粗液を水洗し、70℃/20Torrで脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(IA)を含む生成物65.7gを得た。得られた生成物の性状は、オキシラン酸素濃度4.9%、粘度16,000cP(25℃)、色相(APHA)260であり、1H−NMRからδ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.3ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。このとき、GPC分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも溶出時間の短い高分子量成分の濃度は面積比で35.2%、ガスクロマトグラフ分析により検出される脂環式エポキシ化合物(IA)よりも保持時間の短い不純物濃度が同9.8%、反応中間体濃度の濃度は同3.2%であった。
以下に上記実施例および比較例で合成されたエポキシ化合物の応用例および比較応用例を記す。
1.熱カチオン重合開始剤による硬化例
表1に従いエポキシ化合物を及び熱カチオン重合開始剤を配合(表中の数値は重量部を表す、以下同じ)後、65℃で2時間一次硬化を行った後、150℃で1時間二次硬化を行った。
耐熱性の指標としてTMAによるガラス転移温度(Tg)と動的粘弾性を測定した際の損失弾性率が1GPaになる温度を比較した。
Tg測定法: JIS K7196に基づいてTMA/SS6100(セイコーインストルメント社製)で測定を行った。
損失弾性率が1GPaの温度:DMS 5200(セイコーインストルメント社製)にて測定を行った。
測定周波数は10Hz。
Figure 0004823892
2.酸無水物による硬化例
表2に従いエポキシ化合物及び硬化剤、硬化促進剤を配合した後、100℃で2時間一次硬化を行った後150℃で1時間、180℃で2時間硬化を行った。
Figure 0004823892
3.光カチオン硬化触媒による硬化例
表3に従いエポキシ化合物及び硬化触媒を配合し アルミ板(A1050P)に膜厚15μmになるよう塗布し、照射量175mJ/cm2で硬化を行った。
照射直後の塗膜面性状、1分後の塗膜面性状
○:硬化、△:表面のみ硬化、×:タック有り、未硬化
鉛筆硬度:JIS K5400に従って評価を行った。
Figure 0004823892
本発明の高純度脂環式エポキシ化合物の用途の例としては、透明封止材料、透明フィルム、透明シート、層間絶縁材料、酸除去剤、家具コーティング、装飾コーティング、飲料缶及びその他の缶コーティング、接着剤、自動車下塗り、シーラー、仕上げ塗り、文字情報又は画像情報用のインキ、電子部品用のシーラント、印刷版又は印刷回路版を製造するのに適したフォトレジスト、注型印刷ロール、成形物用配合物又はシート形成用配合物によって作られた成形品、溶媒、難燃剤、医薬品および医療用品を含む種々の最終用途に有用な他の化合物を製造するための中間体などがある。特に、この高純度脂環式エポキシ化合物を用いて硬化させた硬化物は特に透明性および耐熱性の点で極めて優れており、透明封止材料等各種用途に用いることができる。

Claims (4)

  1. エポキシ化合物及び必要に応じて加えられるエポキシ基含有化合物、並びに、硬化剤である酸無水物からなることを特徴とする光およびまたは熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、
    前記エポキシ化合物が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)分析により検出される、下記一般式(I
    Figure 0004823892
    <式中でXは、−SO 2 −又は−C(CH 3 2 −である2価の基である。R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である>
    で表される脂環式エポキシ化合物よりも溶出時間の早い高分子量成分の濃度が溶出時間ピーク面積比で全検出ピーク面積の総和に対して5.5%以下である上記一般式(I)で表される高純度脂環式エポキシ化合物であることを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  3. 請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物からなることを特徴とする透明封止材料。
  4. 硬化物が透明フィルム、透明シート、層間絶縁材料、コーティング皮膜、塗膜から選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の硬化物。
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