JP2019001903A - 低塩素エポキシ樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性が良好でありながら、眼や皮膚への刺激性が低く、電気・電子分野においても適用可能な、塩素量が低いエポキシ樹脂を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含む、塩素含有量が1500ppm以下であるエポキシ樹脂、及び該エポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物;但し、X及びYは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、mは0〜3の整数を表し、nは0〜20の整数を表し、pは0〜5の整数を表す。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、塩素量が1500ppm以下のエポキシ樹脂に関し、より詳しくは、反応性が良好でありながら低刺激性のエポキシ樹脂、及び該エポキシ樹脂の塩素量を低下させる方法、及び該エポキシ樹脂と硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、アミン類、カルボン酸類、フェノール類、メルカプタン類などと反応し、架橋剤として使用され、塗料、注型材、接着剤、土木建築など、幅広い分野に使用されており、エポキシ樹脂の種類としては、用途により様々な構造を有するものが選択されている。
エポキシ樹脂の代表的なものとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノール(クレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル、グリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、などが挙げられる。中でもナフタレン型エポキシ樹脂は、反応性に富み、該エポキシ樹脂を硬化させた硬化物は耐熱性、耐水性、接着性に優れた特性を持ち、半導体封止剤、電気積層板などの電気・電子材料に広く使用されている(例えば特許文献1など)。
しかしながら、ナフタレン型エポキシ樹脂は、眼や皮膚への刺激性が高いことが報告されており、その使用量、作業者の体質によっては、重篤な症状を引き起こすことが懸念され、作業者への負担が大きいことが知られている(例えば、非特許文献1など)。
ナフタレン型エポキシ樹脂以外の反応性が良好なエポキシ樹脂としては、ベンゾフェノン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。このエポキシ樹脂は、従来のビスフェノール型エポキシ樹脂などと比べると、特に低温硬化性において良好であり、接着性等の他の性能も良好であることから、特に接着剤用途として有用な材料であることが知られている(例えば、特許文献2など)。
しかしながら、特許文献2の方法で得られるベンゾフェノン型エポキシ樹脂は、硬化性については良好であるものの、エポキシ樹脂に含まれる塩素量が高く、低ハロゲンが求められる電気・電子材料分野においては、電気特性や信頼性などに課題があった。
国際公開第2015−104917号 特開2008−184598号公報
K. YOKOTA, et al., "Occupational Dermatitis from a One-Component Naphthalene Type Epoxy Adhesive", Industrial Health, 2002, Vol.40, No.1, p.63-65
従って、本発明が解決しようとする課題は、反応性が良好でありながら、眼や皮膚への刺激性が低く、電気・電子分野においても適用可能な、塩素量が低いエポキシ樹脂を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し、分子骨格に電子吸引基を導入した、反応性が良好でありながら、塩素量が低いエポキシ樹脂を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を含む、塩素含有量が1500ppm以下であるエポキシ樹脂である。
Figure 2019001903
上記一般式(1)において、X及びYは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、mは0〜3の整数を表し、nは0〜20の整数を表し、pは0〜5の整数を表す。
本発明の効果は、反応性が良好でありながら、眼や皮膚への刺激性が低く、電気・電子分野においても適用可能な、塩素量が低いエポキシ樹脂を提供したことにある。本発明のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、イオンマイグレーションによる電気配線の腐食を引き起こすことがないことから、特に電子回路基板用樹脂材料、半導体封止材料、光学用材料、接着剤、光半導体装置などの用途に使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される化合物を含む、塩素含有量が1500ppm以下であるエポキシ樹脂である。
Figure 2019001903
上記一般式(1)において、X及びYは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、mは0〜3の整数を表し、nは0〜20の整数を表し、pは0〜5の整数を表す。
上記一般式(1)において、X及びYの炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、イソヘキシルなどが挙げられ、炭素原子数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなど上記アルキル基に対応するアルコキシ基が挙げられる。
上記一般式(1)におけるmは、エポキシ樹脂の粘度と硬化性のバランスの観点から、0又は1が好ましく、0であることがより好ましい。
上記一般式(1)におけるpは、エポキシ樹脂の粘度と硬化性のバランスの観点から、0又は1が好ましく、0であることがより好ましい。
上記一般式(1)におけるnは0〜20の整数であるが、nの平均値としては、エポキシ樹脂の粘度に起因する作業性の点から、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。nが20よりも大きい場合は、粘度が極端に高くなり、作業性が低下する。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法については、特に制限されるものではないが、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのような、ベンゼン環にベンゾイル基と、2つの水酸基が置換された化合物に対して、過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物の存在下に、必要に応じてテトラアルキルアンモニウム塩のような触媒を用いて、20〜150℃、好ましくは30〜80℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際の金属水酸化物の使用量は、上記化合物中の水酸基1当量に対して、0.8〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.2当量の範囲である。また、エピクロルヒドリンの使用量は、上記化合物の水酸基1当量に対し、1.5〜30当量、好ましくは2〜15当量である。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、濾過工程により無機塩を除去し、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を得ることができる。なお、エピクロルヒドリンの量が少ない場合(例えば、上記化合物の水酸基1当量に対して2〜5当量程度)、若しくは金属水酸化物の当量が、上記化合物の水酸基1当量よりも多い場合、nの平均値の値が大きくなる傾向にある。
上記の方法等により得られたエポキシ樹脂は、さらに、必要に応じて、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、及びカラムクロマトグラフィー等の分離精製手段や、これらを組み合わせた手段によって分離精製を行ってもよい。これらの処理を行うことにより、よりエポキシ樹脂中の無機塩などの無機物を除去することができ、製品の純度を向上させることができる。
上記エポキシ樹脂の製造方法においては、上記化合物の水酸基の、エピクロルヒドリン中のエポキシ基に対する反応選択性は、α開環する場合とβ開環する場合があり、β開環した場合は、その後の金属水酸化物による閉環反応が起こらず、結果として、塩素を含有した化合物が副生成物として系中に残存する。また、それ以外の副生成物として、上記化合物と未反応のエピクロルヒドリンが、金属水酸化物で開環された化合物等も微量であるが存在する。このようにエポキシ樹脂中には、塩素を含んだ様々な化合物が存在する。こうした塩素を含んだ副生成物は、特に電子材料分野に適用しようとするとき、高温高湿化条件で使用した場合には経時で塩素イオンのマイグレーションを引き起こし、金属の腐食が誘発され、接触不良など信頼性に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
このような問題に対して、上記方法等により得られた、一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂の塩素量を低減させる方法としては、あらかじめ一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂の塩素量を、JIS K 7243−3等の公知の方法で測定した後、その塩素量に応じた金属水酸化物と必要に応じて溶剤を用いる化学的処理が挙げられる。この化学的処理を行うことにより、エポキシ樹脂中の塩素量を1500ppm以下に低減することができる。
上記金属水酸化物としては、エポキシ化反応で使用したものと同様のものを使用することができる。すなわち、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどである。これらの中では、より安価に入手が可能であるという点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
上記金属水酸化物の使用量としては、エポキシ樹脂中の塩素1当量に対して、1〜10当量であることが好ましく、1〜5当量であることがより好ましい。10当量よりも多い場合は、塩素量は低減できるものの、エポキシ樹脂中のエポキシ基が開環してしまい、副生成物が発生してしまう傾向にあり、1当量よりも少ない場合は、塩素量の低減化が困難になる傾向にある。
上記溶剤としては、精製効率、取り扱い性、作業性等の面から、極性溶媒が好ましい。そのような極性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらの中でも、より精製効率が良いという点で、非プロトン性極性溶媒が好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤の使用量としては、エポキシ樹脂の濃度が通常3〜70質量%となる量であり、好ましくは10〜60質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。
本発明における、一般式(1)で表される化合物を含むエポキシ樹脂の塩素量を低減させる他の方法としては、上記の方法で得られたエポキシ樹脂、若しくは金属水酸化物と必要に応じて溶剤を用いて塩素量を低減させたエポキシ樹脂を、さらに蒸留にて精製する物理的処理が挙げられる。蒸留による物理的処理を行うことにより、エポキシ樹脂中に含まれる塩素量を1500ppm以下に低減することができる。
具体的な蒸留方法としては、例えば、回転蒸発、減圧分別蒸留、短路蒸留、充填塔蒸留、回転バンド蒸留塔蒸留、流下薄膜蒸留、ワイパー式薄膜蒸留、水蒸気蒸留を含めた減圧蒸留などが挙げられる。このうち、エポキシ樹脂の分留方法に好適な方法としては、流下薄膜蒸留、ワイパー式薄膜蒸留である。
流下薄膜蒸留、ワイパー式薄膜蒸留における熱媒の温度としては、例えば、60〜300℃により設定することにより蒸留を行うことができ、不純物の分離効率と収率のバランスの観点から、90〜270℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。
流下薄膜蒸留、ワイパー式薄膜蒸留における系内の圧力としては、例えば、1×10−5〜1×10−1kPaにより蒸留を行うことができ、不純物の分離効率と収率のバランスの観点から、1×10−4〜1×10−2kPaであることが好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂中の塩素量を低減させる方法は、上記に述べた金属水酸化物を用いた化学的処理と蒸留による物理的処理の何れの方法でもよいが、副生成物をより低減できること、及び収率の面で蒸留による物理的処理をすることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、様々な硬化剤により硬化させることができる。本発明のエポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂の塩素量が少ない為、特に、電気・電子材料用の封止剤や接着剤などの用途に好適に使用することができる。
上記硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂類、ポリアミン類、潜在性硬化剤、及び酸無水物類が挙げられる。
上記フェノール樹脂類としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリスフェニロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(フェノール骨格、トリアジン環及び1級アミノ基を分子構造中に有する化合物)、及び、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
上記フェノール類の使用量としては、例えば、エポキシ樹脂総量100質量部に対して、1〜100質量部であり、好ましくは3〜80質量部であり、より好ましくは10〜70質量部である。
上記ポリアミン類としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジアリルアミノエチルアミン、N,N−ベンジルメチルアミノエチルアミン、N,N−ジベンジルアミノエチルアミン、N,N−シクロヘキシルメチルアミノエチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミノエチルアミン、N−(2−アミノエチル)ピロリジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、N−(2−アミノエチル)モルホリン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジアリルアミノプロピルアミン、N,N−ベンジルメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジベンジルアミノプロピルアミン、N,N−シクロヘキシルメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミノプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)ピロリジン、N−(3−アミノプロピル)ピペリジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、N−(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−N’−メチルピペリジン等の、3級アミンと1級アミン及び/又は2級アミンを有するアミン化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等の脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、メシチレン−2,6−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン;ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン;2−アミノプロピルイミダゾール等のイミダゾール等が挙げられる。
上記ポリアミン類の使用量としては、例えば、エポキシ樹脂総量のエポキシ基1当量に対して、ポリアミン類に含まれる活性水素当量が0.5〜2.0当量であり、好ましくは0.7〜1.5当量である。
上記潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド型、イミダゾール型、ポリアミン型化合物等の、室温でエポキシ樹脂と混合した時に、混合物の粘度変化や物性変化が小さい潜在性硬化剤が挙げられる。その際の潜在性硬化剤の使用量としては、エポキシ樹脂総量100質量部に対して、1〜100質量部であり、好ましくは3〜80質量部であり、より好ましくは5〜60質量部である。
上記酸無水物類としては、無水ハイミック酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水メチルハイミック酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、及び水素化メチルナジック酸無水物等が挙げられる。
上記酸無水物類の使用量としては、エポキシ樹脂総量のエポキシ基1当量に対して、酸無水物類の当量が0.5〜2.0当量であり、好ましくは0.8〜1.2当量である。
上記に挙げた硬化剤の中では、組成物の貯蔵安定性、耐熱性などの観点から、潜在性硬化剤が好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物においては、一般式(1)で表される、塩素量が1500ppm以下のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂として、他のエポキシ樹脂を併用することもできる。
上記他のエポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、ジシクロペンタジエンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン(水素化ビスフェノールA)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルアニリン、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ(2,3−エポキシプロピル)−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物があげられる。また、これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。
上記に挙げたエポキシ樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
[実施例1]
還流装置、攪拌装置、減圧装置、滴下装置を備えたフラスコ中に、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを214g(1.0mol)、およびエピクロルヒドリン1110g(12.0mol)を仕込み、滴下装置中に水酸化ナトリウム166.6g(2.0mol)を48%水溶液として入れておく。水酸化ナトリウム水溶液を、内部温度60〜80℃で100〜150Torrの還流下で2時間かけて滴下し、同時に、共沸蒸留により水を除去した。その後さらに2時間反応させた後、脱エピクロルヒドリン、水洗、脱溶剤およびろ過をして、粗エポキシ樹脂P−1を得た。P−1のエポキシ当量は185g/eq.であり、P−1中の全塩素量は0.23%であった。
還流装置、攪拌装置、減圧装置、滴下装置を備えたフラスコ中に、得られたP−1を100g仕込み、さらに、トルエンを100g、ジメチルスルホキシドを50g加え、10分間攪拌を行いP−1を溶解させた。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液を2.7g加え、60℃で3時間反応させた。その後、水洗、脱溶剤及び濾過を行い、エポキシ樹脂A−1を得た。A−1のエポキシ当量は205g/eq.であり、A−1中の全塩素量は1300ppmであった。
[実施例2]
実施例1で得られた粗エポキシ樹脂A−1を、ワイパー式薄膜蒸留機を用いて、蒸留ラインの温度を170℃、減圧度を5×10−4kPa、A−1のフィード速度を3kg/hの条件で蒸留精製を行い、エポキシ樹脂A−2を得た。A−2のエポキシ当量は166g/eq.であり、A−2中の全塩素量は700ppmであった。
[実施例3]
100mLディスポカップに、実施例1で得られたA−1を10g、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を0.5g加え、25℃にて5分間スパチュラで撹拌を行った。その後、配合物を60℃、2時間、次いで150℃で2時間、恒温槽にて加熱し硬化物を得た。得られた硬化物について、JIS C 0096に準じてプレッシャークッカー試験を行った。すなわち、オートクレーブに得られた硬化物、超純水を10g加え、120℃で24時間加熱を行った。加熱後の抽出水をサンプリングし、イオンクロマトグラフィーにより、塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4、比較例1]
表1に示した通りに配合を変えたこと以外は、実施例3と同様に操作を行い、それぞれ硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例3と同様に硬化物中の塩化物イオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2019001903
本発明のエポキシ樹脂を用いた硬化物は、高温高湿下においても、抽出された水中の塩化物イオン濃度は少なく、このような硬化物が電気・電子部品用の接着剤、封止剤などの材料に好適な材料であると考えられる。本発明のエポキシ樹脂を用いない硬化物は、プレッシャークッカー試験における塩化物イオンの濃度が高く、イオンマイグレーションが起こりやすい材料であると考えられ、信頼性の面で満足のいく材料ではないことが分かった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む、塩素含有量が1500ppm以下であるエポキシ樹脂。
    Figure 2019001903
    上記一般式(1)において、X及びYは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基を表し、mは0〜3の整数を表し、nは0〜20の整数を表し、pは0〜5の整数を表す。
  2. 上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、金属水酸化物を用いた化学的処理及び/又は蒸留による物理的処理、により塩素含有量を1500ppm以下にする、方法。
  3. 請求項1に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
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