JP2017512851A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

(I)次の成分:(a)脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料、(b)エピハロヒドリン、(c)化学量論的に過剰量の塩基化合物または塩基作用性物質、(d)触媒、及び(e)任意選択的な溶媒、の混合物を反応させる工程であって;反応工程(I)が、得られる反応混合物中に粗製の脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物成物が生成するのに十分な反応条件で行われる工程;(II)粗製の脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を含む工程(I)の得られた反応混合物を、塩基または塩基性作用物質を部分的に中和するのに十分かつ脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を含む中和された流体媒体を生成するのに十分な、リン酸塩中和剤を用いて中和する工程;(III)工程(II)の反応混合物から未反応エピハロヒドリンの少なくとも一部を除去する工程;及び(IV)上の工程(III)の反応混合物に対して分離工程を行って中和された流体媒体から脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を回収する工程を含む、脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物を製造するための方法であって、脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物の収率が約70%より大きい該方法。

Description

本発明は、例えば高含量のシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルあるいはシクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂、低含量のモノグリシジルエーテル、低含量のオリゴマー、及び低含量の加水分解性塩化物などの複数の有利な特性を有する、脂肪族の及び脂環式のエポキシ樹脂組成物の製造方法に関する。
脂肪族及び脂環式のヒドロキシル基含有材料(例えばシクロヘキサンジメタノール[CHDM])の、エピハロヒドリンを用いたエポキシ化による、脂肪族及び脂環式のエポキシ樹脂を製造するために用いられる化学及び方法は、不可能ではないとしても、完全に変換させることが困難であり、このような方法では、例えばオリゴマー状の同時生成物(エポキシ樹脂組成物の25〜40重量%程度)だけでなく、シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル(CHDM−MGE)(エポキシ樹脂組成物の2重量%〜20重量%程度)などの望ましくない部分的にエポキシ化された生成物もかなりの量生成する。
シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(DGE)やエポキシ樹脂(CHDM−DGE)生成物などの脂肪族及び脂環式のエポキシ(ACE)樹脂生成物中に、CHDM−MGEなどの残留する望ましくない残存成分が存在すると、これらから作成されるコーティングの耐酸性に悪影響が出ることが見出された。CHDM−MGEが一官能性であることによって引き起こされる連鎖停止も、機械特性、ガラス転移温度(Tg)、及び硬化剤との反応性を低下させる場合がある。これまでに、CHDM−DGE生成物からCHDM−MGEを部分的に除去するために、例えば真空分別蒸留などの様々な方法が用いられてきた;しかしながら、CHDM−MGEを除去するために使用されているこのような公知の方法では、CHDM−DGEも過剰に除去してしまい、結果として粘度が上昇した、硬化剤との反応性が低いACE樹脂生成物となってしまう場合がある。そのため、前述の欠点を軽減するために、オリゴマーとしての均衡を保ちつつ、CHDM−DGEを高含量(例えば約80重量%より多く[>])に維持しながらも特にCHDM−MGEが低含量である(例えば約6重量%未満[<])ACE樹脂を製造可能にすることが強く望まれているであろう。
様々なACE樹脂製品は、(1)ACE樹脂の高純度DGE、(2)非ルイス酸触媒により触媒される方法を用いて製造されるACE樹脂、(3)低モノグリシジルエーテル(MGE)のACE樹脂、(4)改良型のACE樹脂のDGE(残留グリシジルエーテル官能基を含む)、(5)部分的にまたは完全に加水分解した脂肪族または脂環式のDGE、及び(6)上の(1)〜(5)に記載した1つ以上のエポキシ樹脂の混合物、を含む、先行技術の方法で製造されることが知られている。
例えば、上の(1)〜(4)のACE樹脂製品を製造するための方法は、例えばWO2012/044442Al、WO2012/044443Al、WO2012/044455A1、WO2012/044458A1、WO2012/044490A1、WO2012/047420A2、WO2012/050688A2、及びWO2012/050777A1に開示されており、これら全ては参照により本明細書に組み入れられる。
上に記載した公知の方法は、この方法及びこの方法により製造される製品を、大量のACEを大量生産するための工業スケールの方法に望ましくないようにしてしまう複数の欠点を有している。例えば、公知の方法では触媒が使用され、いくつかの例では溶媒も使用されるが、これらは樹脂が後続の工程で使用される前にACE製品から取り除かなければならない。また、上述の(5)を製造するための公知の方法では、モノ−α−グリコール種に加えて大量のビス−α−グリコール種がエポキシ樹脂中に製造される。エポキシ樹脂中に存在するこのようなビス−α−グリコール種は硬化性のエポキシ基を有しておらず、そのためビス−α−グリコール種は、(1)このような化学種を含むエポキシ樹脂から作られる物品(熱硬化製品)のTgを低下させる;(2)熱硬化製品の表面に移動し、軟弱さやべたつきを生じさせる;及び/または(3)モジュラスなどの機械特性を低下させる、場合がある。
脂肪族若しくは脂環式のDGEまたはエポキシ樹脂を、特には、例えば上述した現在知られているCHDM−DGE樹脂と比べてCHDM−MGEが低含量である、及び/または加水分解性塩化物が低含量であるなどの性質が大幅に向上したCHDM−DGEを、提供することが望まれている。
本発明は、先行技術の上述した複数のまたは全ての欠点に望ましく対処する。したがって、本発明の1つの態様は、ACE樹脂組成物を製造するための新規な方法に関する。本発明の方法によって製造されるACE樹脂組成物は、例えば低粘度、低MGE、高平均(硬化性)エポキシド、及び改良された保存性などを含む、複数の利点を有している。保存性に関しては、単離された脂肪族及び脂環式のMGEは室温(約25℃)でゆっくり重合する傾向にあり、これは粘度の上昇、硬化可能なエポキシド官能基の減少、そして最終的には単離された脂肪族及び脂環式のMGEのゲル化を生じさせる。
有利なことには、本発明の方法によって、上述した欠点の複数または全てがないACE樹脂組成物を製造することができ、また本発明のACE樹脂組成物は硬化性組成物を製造するために使用することができる。硬化性組成物は、ひいては硬化性組成物から硬化製品を製造するために使用することができる。
概して、本発明の1つの実施形態には、例えば、
(I)次の成分、すなわち
(a)脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料、
(b)エピハロヒドリン、
(c)化学量論的に過剰量の塩基化合物、
(d)触媒、及び
(e)任意選択的な溶媒、
の混合物を反応させる工程であって、得られる反応混合物中にACEエポキシ樹脂組成物生成物が生成するのに十分な反応条件で反応工程が行われる工程と、
(II)ACE樹脂組成物生成物を含む得られた反応混合物を、塩基作用性物質を部分的に中和するのに十分かつACE樹脂組成物生成物を含む中和された流体媒体を生成するのに十分なリン酸塩中和剤を用いて中和する工程と、
(III)工程(II)の反応混合物から未反応エピハロヒドリンの少なくとも一部あるいは部分を除去する工程と、
(IV)上の工程(III)の反応混合物に対して分離工程を行って中和された流体媒体からACE樹脂組成物生成物を回収する工程と、
を含む、ACE樹脂、特にはCHDMエポキシ樹脂を製造するための方法が含まれる。
本発明のACE樹脂組成物を製造するための方法を採用するいくつかの他の利点としては、例えば、本方法を使用する場合、エポキシ樹脂生成物を製造及び回収するために、工程の従来の処理装置及びユニット操作を変更する必要がないということが挙げられる。更に、本方法は溶媒(類)や他の添加剤などの追加的な成分の使用を必要としない。また、本方法は通常、工程(I)については約25℃〜約60℃の温度であるなどの、穏やかな条件で行われる。
別の実施形態では、本発明の方法によって製造されるACE樹脂組成物は、熱硬化性(硬化性)組成物及びこれらから作られる硬化した熱硬化製品を製造するために使用することができる。
本発明の1つの幅広い実施形態には、ACE樹脂組成物を製造するための方法が含まれる。
例えば、本発明の1つの実施形態には、
工程(I):次の成分、すなわち
(a)脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料、
(b)エピハロヒドリン、
(c)化学量論的に過剰量の塩基化合物または塩基作用性物質、
(d)触媒、及び
(e)任意選択的な溶媒、
の混合物を反応させる工程であって、得られる反応混合物中にACE樹脂組成物生成物が生成するのに十分な反応条件で反応工程が行われる工程と、
工程(II):ACE樹脂組成物生成物を含む得られた反応混合物を、塩基性作用物質を部分的に中和するのに十分かつACE樹脂組成物生成物を含む中和された流体媒体を生成するのに十分なリン酸塩中和剤を用いて中和する工程と、
工程(III):工程(II)の反応混合物から未反応エピハロヒドリンの少なくとも一部を除去する工程と、
工程(IV):上の工程(III)の反応混合物に対して分離工程を行って中和された流体媒体からACE樹脂組成物生成物を回収する工程と、
を行うことによる、例えばCHDMエポキシ樹脂などのACE樹脂を製造するための方法が含まれる。
ACE樹脂組成物を製造するための本発明の方法に従う最初の工程は、反応から共沸的に水が取り除かれる、脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有化合物の無水エポキシ化であってもよい。この処理工程は「共沸エポキシ化」とも呼ばれる。
例えば、共沸エポキシ化工程は、(a)脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料と、(b)エピハロヒドリンと、(c)化学量論的に過剰量の塩基(成分(a)である出発物質中のヒドロキシル基のモル基準)と、(d)非スイス酸触媒などの触媒とを含み、任意選択的には(e)溶媒も含んでいてもよい混合物を調製することによって行うことができる。この工程では、制御された量の(c)塩基性水溶液などの塩基または塩基作用性物質が、(a)脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料と(b)エピハロヒドリンと(d)非スイス酸触媒との撹拌された混合物に、制御しながら添加され、このような制御された添加は、エピハロヒドリン−水共沸混合物の連続真空蒸留によって行うことができる。蒸留された共沸混合物からの水のフラクションはその後取り除くことができ、回収されたエピハロヒドリンは反応に戻して再利用することができる。
上述した成分(c)の化学量論的に過剰量の塩基とは、本明細書では塩基が通常、ある実施形態では成分(a)中のヒドロキシル基に対して塩基約1〜約2モル等量の範囲の量で、別の実施形態では成分(a)中のヒドロキシル基に対して塩基約1.05〜約2.0モル等量の範囲の量で、また別の実施形態では成分(a)中のヒドロキシル基に対して塩基約1.1〜約1.9モル等量の範囲の量で、更に別の実施形態では成分(a)中のヒドロキシル基に対して塩基約1.2〜約1.6モル等量の範囲の量で、使用されることを意味する。
ACE樹脂組成物は、本方法の上述の共沸エポキシ化工程によって生成する。エピハロヒドリンは、共沸エポキシ化処理工程における溶媒として更に機能させてもよい。しかし、過剰な化学量論量のエピハロヒドリン以外の、あるいはこれに加えて、溶媒をこの共沸エポキシ化処理工程における溶媒として任意選択的に使用することもできる。
本発明のエポキシ化処理工程は、様々な処理条件で行うことができる。例えば、エポキシ化工程で使用される温度は、通常、ある実施形態では約20℃〜約90℃であり、別の実施形態では約25℃〜約60℃であり、更に別の実施形態では約30℃〜約50℃である。エポキシ化工程で使用される圧力は、通常、ある実施形態では1333Pa(10mmHg)の真空度〜約700kPa(100psia)であり、別の実施形態では約4000Pa(30mmHg)の真空度〜約350kPa(50psia)であり、更に別の実施形態では約5333Pa(40mmHg)の真空度〜約大気圧(例えば760mmHg)である。エポキシ化工程の完結に要する時間は、通常、ある実施形態では約1時間〜約120時間であり、別の実施形態では約2時間〜約72時間であり、更に別の実施形態では約3時間〜約24時間である。
ACE樹脂を製造するために、任意の脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有反応物をエポキシ化工程で使用することができる。エポキシ化工程で用いることのできる脂肪族及び/または脂環式のヒドロキシル基含有材料のいくつかの代表的な分類としては、UNOXOL(商標) Diol(cis−及びtrans−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物);1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの、シクロヘキサンジアルカノール類及びシクロへキセンジアルカノール類;並びに、WO2012047420(A)(この文献は参照により本明細書に組み入れられる)の9〜15ページに記載されている他の脂肪族及び脂環式のヒドロキシル基含有化合物、のうちの任意の1つ以上が例として挙げられる。
塩基または塩基作用性物質成分であるエピハロヒドリン、非ルイス酸触媒などの触媒、及びエポキシ化処理工程で有用な任意選択的な溶媒は、WO2012/047420の15〜18ページに記載されているのと同じ成分の1つ以上から選択することができ、この文献は参照により本明細書に組み入れられる。
本発明のある好ましい実施形態には、例えばCHDMエポキシ樹脂を製造するための方法が含まれる。一般的に、CHDMエポキシ樹脂は、非ルイス酸触媒などの触媒の存在下での、CHDMと、エピクロロヒドリン及び水酸化ナトリウムとの反応の生成物である。塩化ナトリウムと水は、CHDMエポキシ樹脂を製造するために意図された反応の、副生成物である。本方法のエポキシ化反応工程は、理想的には下のスキームIによって表される。
本発明の方法には、中和剤を用いてエポキシ樹脂生成物から残留アルカリ分を除去し、中和剤の化学量論量を調整して部分的に中和されたACE樹脂生成物を生成する、工程(II)が含まれる。
本発明に従って上述の共沸エポキシ化反応からのACE樹脂生成物は、ACE樹脂生成物を含有する反応混合物からアルカリ分の少なくとも一部あるいは部分を取り除きつつ望ましい量のACE樹脂生成物を製造するのに十分な量の中和剤及び反応条件で処理される。例えば、ACE樹脂生成物、特にはCHDM−エポキシ樹脂がエポキシ化工程で製造された後、得られたACE樹脂は、アルカリ塩を中和するためにリン酸二水素ナトリウム水溶液などの中和剤を用いて中和することができる。
リン酸二水素ナトリウム(一塩基性リン酸ナトリウム)、リン酸二水素カリウム、リン酸、及びこれらの混合物は、エポキシ化工程で使用される水酸化ナトリウムなどの過剰なアルカリ剤を除去するために本発明で用いることのできる中和剤の例である。リン酸二水素ナトリウムは、約13重量%の中和剤を含む溶液などの水溶液として簡便に調製及び使用することができる。
本発明の方法では、ACE樹脂生成物から望ましくないアルカリ分を除去するために、化学量論当量よりも少ない中和剤(「部分的な中和」)を使用してもよい。完全な中和のためには、アルカリ分を完全に中和するために化学量論当量が必要とされる。部分的に中和するために使用される中和剤の量は、中和剤の構造、エポキシ化で使用される塩基作用性物質または塩基の過剰な量、エポキシ樹脂生成物の中に存在する残留アルカリ分の量、生じる加水分解の量、中和剤のために予定される反応時間、中和反応温度、エポキシ樹脂など次第で変わる。
通常、中和を完結させるために、この工程で使用される中和剤の量が反応工程からの過剰の塩基の総量に基づいて計算される。ある好ましい実施形態では、本発明は部分的な中和を対象とする。本明細書において、「部分的な中和」とは、エポキシ化工程で使用される塩基の化学量論的に過剰な量より少ない中和を意味する。部分的な中和に必要とされる中和剤の量は、反応工程時に利用される塩基の化学量論的に過剰な量の100%未満であり;中和剤の量は本明細書ではあるパーセントの中和として報告されている。例えば、本方法で使用される中和剤の量は、ある実施形態ではエポキシ化反応工程時に使用される塩基の化学量論的に過剰な量の通常約1%〜約99%であり、別の実施形態では約2%〜約90%であり、また別の実施形態では約5%〜約80%であり、更に別の実施形態では約10%〜約70%であり、更にまた別の実施形態では約10%〜約50%であり、更にまた別の実施形態ではエポキシ化反応工程時に使用される塩基の化学量論的に過剰な量の約20%〜約50%である。部分的な中和は、中和剤の使用が節約されること、水溶性の塩廃棄物の生成が最少化されること、及び望ましい仕様を満たすACE樹脂生成物が依然として得られること、の点で特に有益であることが見出された。約20%〜約90%の中和範囲であるCHDMエポキシ樹脂の部分的な中和が特に有益であることが見出された。
本発明の方法に従う中和工程を行わないと、望ましくない不溶性のポリマー状物質の生成が起こる場合があり、これがひいては望ましくない廃棄物と、生成物の収率の低下を生じさせる場合がある。望ましくない不溶性のポリマー状物質の生成は、洗浄工程時の相分離を大幅に遅延または阻害させる場合もあり、これは本方法の後続の工程を煩雑にし、全体としての生成物の収率を更に減らす場合がある。他方で、更なる反応が生じてACE樹脂生成物中のエポキシ基の加水分解が引き起こされ、その結果、(加水分解されていない)ACE樹脂生成物の生成を意図している時に全く異なるエポキシ樹脂組成物(部分的に加水分解されたACE樹脂生成物)が生成される場合があることから、本方法では過中和を回避することも重要である。本方法におけるACE樹脂の「過中和」は、例えばエポキシ化工程からの残存アルカリ分を消費するために必要とされるより過剰の中和剤を添加することによって生じる場合がある。過剰の中和剤及び中和剤の加水分解反応生成物は、例えば徹底的な水洗によって、または塩基と任意選択的な触媒とを用いた後処理及びその後に行われる水洗によって、部分的に加水分解されたACE樹脂から十分に取り除くことができるものの、部分的な中和によって、更なる水性廃棄物の生成及びACE樹脂生成物のロスなどの上述の問題が回避されることから、依然として部分的な中和が有利である。
更に、本発明の方法の部分的な中和の工程を行うことによって、高単離収率で生成物が得られること、部分的な中和の後の本方法の後続の工程を簡素化することができること、及び不必要な量の中和剤を使用する経費がかからないようにできること、などの有益な結果が得られる。
中和の程度、すなわち中和が完全か部分的かどうかを決定するための別の実施形態は、水で希釈した混合物を望ましいpHにするために、十分な量の中和剤を反応混合物に添加することよって行うことができる。この実施形態では、中和剤を徐々に添加し、引き続きpH分析を行うことができる。例えば、反応混合物に増加分の中和剤を添加した後、中和された混合物(エポキシ樹脂生成物と中和剤との混合物)の所定の試料が得られ、所定量の水で希釈される。その後、水で希釈したエポキシ樹脂生成物と中和剤との混合物のpHが決定される。水で希釈したエポキシ樹脂生成物のpH値が、ある実施形態では約7より大きい場合に、別の実施形態では約8〜約13である場合に、部分的な中和となる。
上述したように、中和工程は上述したエポキシ化工程で生じる粗製ACE樹脂生成物からアルカリ分を除去するために行うことができる。任意選択的には、中和剤を使用する前または後に、1種以上の溶媒を粗製ACE樹脂生成物に添加してもよい。中和剤を用いた処理は、溶媒の存在下、または非存在下で、ACE樹脂生成物中のアルカリ分を望ましい量低減させる中和剤量及び反応条件を用いて行うことができる。
また、エポキシ化工程時及び反応後の任意の工程時に塩基作用性物質水溶液の添加をし終えた後に、上述のエポキシ化工程で生じた粗製ACE樹脂生成物に対して更に蒸留を行って、同時生成した軽質分と共に未反応のエピハロヒドリンを実質的に除去してもよい。中和工程は、エポキシ化工程からの粗製エポキシ樹脂生成物を最初にストリッピングして反応混合物中に存在する未反応のエピクロロヒドリンの一部または全部を除去した後に行うことができる。通常、ストリッピング工程終了時点のACE樹脂生成物中のエピクロロヒドリンの最終濃度は、例えば<約300pmとすることができる。
別の実施形態では、中和工程は、上述したエポキシ化工程で得られた粗製ACE樹脂生成物の水洗工程の前または後のいずれで行ってもよい。好ましい実施形態では、本方法には、エポキシ化工程で得られたACE樹脂組成物生成物が水洗工程を通過する前に中和工程を行うことが含まれる。
更に別の実施形態では、中和工程は、粗製エポキシ樹脂の水洗工程の後に、及び未反応エピクロロヒドリンの全部または一部を取り除くための粗製エポキシ樹脂のストリッピング工程の後に行うことができる。
また別の実施形態では、中和工程は、粗製エポキシ樹脂の水洗工程の後に、及び未反応エピクロロヒドリンの全部または一部を取り除くための粗製エポキシ樹脂のストリッピング工程の後に、及び得られた水洗したエピクロロヒドリン−ストリッピングした粗製エポキシ樹脂をトルエンなどの溶媒と混合する工程の後に、行うことができる。
好ましい実施形態では、反応工程(I)及び中和工程(II)の後に反応混合物からエピクロロヒドリンなどの未反応のエピハロヒドリンの少なくとも一部を除去する工程(III)は、中和工程(II)の後に、従来の手段によって行うことができる。未反応のエピクロロヒドリンは、例えば公知の温度と真空度の組み合わせによる従来のストリッピング法などによって反応混合物から除去することができる。例えば、ストリッピングの温度は約40℃〜約130℃とすることができ、またストリッピング圧は約2,000Pa〜約100,000Paの範囲の絶対圧とすることができる。反応混合物から除去したエピクロロヒドリンは、同じまたは他の生成物を製造するための後続のエポキシ化で使用することができる。典型的には、ストリッピング工程時に高温と過剰の塩基とを組み合わせると、不溶性のポリマー状物質を生成させることになる。本発明の方法では、部分的に中和させる工程を用いることによって、有利なことにはこれら不溶性ポリマー状物質の生成が最少限にされる。
上述したように、部分的に中和させる工程(II)は、塩基または塩基作用性物質を部分的に中和し、ACE樹脂生成物を含む中和された流体媒体を生成するために行われ、また部分的に中和させる工程は、生成する望ましくない不溶性のポリマー状物質の量を最小限にするために行われる。不溶性のポリマー状物質が生成すると生成物の収率が低下することから、理想的には、部分的に中和させる工程及びストリッピング工程の後、不溶性のポリマー状物質は中和された流体媒体中に生成しないか存在しない。しかし、通常は本発明の方法中にある程度の不溶性ポリマー状物質が生成する場合がある。例えば、生成する不溶性ポリマー状物質の量は、通常、回収される最終的なエポキシ樹脂生成物基準で、ある実施形態では10重量%未満であり、別の実施形態では約0.01重量%〜約8重量%であり、また別の実施形態では約0.01重量%〜約5重量%である。
未反応のエピハロヒドリンの少なくとも一部を反応混合物から除去する工程(III)の後に、本発明の方法は、最も高い収率のACE樹脂組成物生成物を得る目的で、中和した流体媒体からACE樹脂組成物生成物を回収するための分離工程を上述の反応工程(III)の反応混合物に対して行うことによる、分離及び回収工程(IV)を含む。しかし、上述したように、望ましくない不溶性のポリマー状物質の生成は不要な廃棄物となり、本方法の分離工程(IV)時に、及び使用される場合には任意の洗浄工程時に、相分離を大幅に遅延させるあるいは阻害することになり;望ましくない不溶性のポリマー状物質の生成は本方法の後続の工程を煩雑にし、これは単離される目的生成物の全体としての収率を更に低下させる。
通常、単離された目的生成物の全体としての収率は、ある実施形態では約70%より多く、別の実施形態では約75%より多く、また別の実施形態では約80%より多く、更に別の実施形態では約85%より多く、更にまた別の実施形態では約90%より多く、更にまた別の実施形態では95重量%より多くなり得、理想的には、単離された目的生成物の全体としての収率は最大100%までなり得る。別の実施形態では、単離された目的生成物の全体としての収率は約70%〜約100%、また別の実施形態では約80%〜約98%、更に別の実施形態では約85%〜約95%であり得る。上述の生成物収率のパーセンテージは、本明細書では反応工程(I)の化学量論から計算された理論収率に基づくパーセンテージとして定義される。
上述した本発明の方法の工程(I)〜(IV)に加えて、例えば1つ以上の洗浄工程;反応混合物中に存在する場合に加水分解性塩化物を取り除くための1つ以上の処理工程;本方法で溶媒が使用される場合の1つ以上の溶媒ストリッピング工程;未反応のエピハロヒドリン及び/またはエポキシ化工程時に生成する同時生成軽質分を取り除くための1つ以上の蒸留処理工程;及び/または、得られた液体ACE樹脂生成物から固形物質を除去するための1つ以上の遠心分離工程または濾過工程などを含む、他の任意的な処理工程を行ってもよい。
当業者に公知のいずれの従来の装置も、発明の製造方法を行うために使用することができる。例えば、装置としてはエポキシ化反応容器;液/液分離容器;ロータリーエバポレーターなどの蒸発容器;及び蒸留装置などの分留容器などが挙げられ、これらは当該技術分野で公知である。
本明細書では、ACE樹脂を単離及び回収するために従来の方法あるいは一連の方法を採用することもできる。例えば、ロータリーエバポレーション、真空分別蒸留、ショートパス蒸留、充填カラム蒸留、回転バンドカラム蒸留、流下膜蒸留、ワイプトフィルム蒸留、水蒸気蒸留、真空濾過や重力濾過やナノ濾過や精密濾過や限外濾過を含む濾過、パーベーパレーション及び蒸気透過を含む膜分離、遠心分離、水洗または抽出、溶媒抽出、超臨界流体抽出、デカンテーション、カラムクロマトグラフィー、静電凝集、吸着、並びに他の公知の分別及び分離処理方法などの方法を用いてもよい。
本発明のACE樹脂生成物は、例えば硬化性樹脂配合物/組成物、及びこのような硬化性組成物から作られる熱硬化製品を形成するためなどの様々な用途で使用することができる。例えば、ACE樹脂生成物は、熱硬化性樹脂を製造するために硬化剤及び/または硬化触媒と混合することができ;熱硬化性樹脂は次に部分的に硬化(B−ステージ化)してB−ステージ材料を形成するかまたは、完全に硬化して熱硬化物品を形成することができる。ACE樹脂生成物は、従来のエポキシ樹脂とブレンドして硬化することもできる。様々な用途のための硬化性組成物を調製するために、当業者に公知の従来の硬化剤及び添加剤(ACE樹脂及び硬化剤に加えて)を硬化性組成物(例えば硬化触媒及び他の添加剤)中に添加してもよい。硬化性配合物の調製、及び/またはその任意の工程は、バッチ式工程であっても連続工程であってもよい。工程で使用される混合装置は、硬化性組成物を調製する分野の当業者に周知の任意の容器及び付帯設備であってもよい。
また、硬化性組成物を硬化させて硬化した熱硬化製品を形成するために、例えば組成物を硬化させるのに十分な温度(例えば−10°〜約300℃)などの当業者に公知の従来の硬化反応条件、及び従来の工程/装置も使用することができる。例えば、硬化したACE樹脂製品を製造するための工程は、重力鋳造、真空鋳造、自動加圧ゲル化(APG)、真空加圧ゲル化(VPG)、インフュージョン、フィラメントワインディング、レイアップインジェクション、トランスファー成形、プリプレグ化、ローラー塗装や浸漬塗布やスプレー塗装や刷毛塗りなどのコーティング、等によって行うことができる。
本発明のACE樹脂/硬化剤硬化性組成物は、例えば加工性、Tg、機械的性能及び物理特性を含む有利な特性の組み合わせ及びバランスを示す、コーティング、接着剤、フィルム、発泡体、積層体、プリプレグ、及び複合材料などの、硬化した熱硬化製品及び物品を製造するために使用することができる。
ある実施形態では、CHDM−MGEが低含量であるACE樹脂は、耐候性コーティングの分野などのコーティングの製造のために好ましく使用することができ、硬化した本発明の脂肪族及び脂環式の熱硬化性エポキシ樹脂基材では、有利なことには従来の芳香族熱硬化性エポキシ樹脂基材で典型的に観察される風化による黄変やチョーキングの減少を認めることができる。
次の実施例及び比較例は本発明を更に詳細に説明しているが、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。全ての部及びパーセンテージは特段の指示がない限り重量基準である。
次の標準的な略語が実施例及び比較例で使用される:「CHDM」はシクロヘキサンジメタノールを表し、「MGE」は、モノグリシジルエーテルを表し、DGEは「ジグリシジルエーテル」を表し、「Epi」はエピクロロヒドリンを表し、「GC」はガスクロマトグラフィー(クロマトグラフィー)を表し、「EEW」はエポキシ当量を表し、「DI」は脱イオン化を表し、「eq」は当量を表し、「wt」は重量を表し、「vol」は体積を表し、「min」は分を表し、「hr」は時間を表し、「mg」はミリグラムを表し、「g」はグラムを表し、「μL」はマイクロリットルを表し、「mL」はミリリットルを表し、「L」はリットルを表し、「μm」はマイクロメートルを表し、「mm」はミリメートルを表し、「m」はメートルを表し、「mPa−s」はミリパスカル−秒を表す。
次の実施例及び比較例では、例えば次のような標準的な分析装置及び方法が使用される。
粘度及び密度
粘度及び密度は、25℃で、Stabinger Viscometer(SVM3000型、Anton Paar)で決定した。
パーセントエポキシド/エポキシド当量分析
標準的な滴定法は、Jay, R.R.,「Direct Titration of Epoxy Compounds and Aziridines」,Analytical Chemistry,36,3,667〜668(1964年3月)に記載されている。上の参考文献に記載されている方法を若干修正し、本明細書に開示されている様々なエポキシ樹脂中のパーセントエポキシドを決定するために使用した。本実施例で使用された一般的方法には次のことが含まれる:注意深く秤量した試料(試料重量は0.17g〜0.25gの範囲である)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、次いでテトラエチレンアンモニウムブロミドの酢酸溶液(15mL)を添加した。得られた溶液を3滴のクリスタルバイオレット指示薬(0.1%wt/vol酢酸溶液)で処理し、0.1Nの過塩素酸の酢酸溶液を用いてMetrohm 665 Dosimat滴定装置(Brinkmann)で滴定した。ジクロロメタン(15mL)とテトラエチルアンモニウムブロミドの酢酸溶液(15mL)とからなるブランクの滴定によって、溶媒のバックグラウンド補正を行った。パーセントエポキシドとEEWを次の式を用いて計算した:
ガスクロマトグラフ分析
GC分析の一般的方法では、DB−5キャピラリーカラム(30m×0.32mm、フィルム厚0.25μm、Agilent)を使用したAgilent6890ガスクロマトグラフを用いた。インジェクターの注入口温度は300℃に維持し、水素炎イオン化検出器は340℃に維持した。スプリット比100:1のスプリット注入を用いた。カラムを通るヘリウムキャリアガスの流れは4mL毎分に維持した。エポキシ樹脂の分析のために、最初の50℃のオーブン温度で1分、引き続き12℃毎分で335℃の最終温度まで加熱、最後の保持15分、を採用した。定量の目的で、内部標準校正を使用した。
GC分析のための試料は、20mLのバイアルにエポキシ化からの濾過生成物(0.2μmのシリンジフィルターを通して濾過)の100mgの分取物を入れることによって調製した。これに50mgのシクロヘキサノンを内部標準として添加し、溶媒として4.7gのアセトニトリルを添加した。振とうして混合した後、アセトニトリル溶液の一部を標準GCバイアル(Agilent製)に入れた。GCのオートサンプラーを用いて、1μLの溶液を注入口に注入した。
実施例1
パートA:エポキシ化反応
CHDMとエピクロロヒドリンとの反応を、電気ヒーター、撹拌系、冷却器、分液漏斗を有するデカンター、真空ポンプ、及び圧力制御装置を備えた2Lの反応器の中で行った。180.6gのCHDMと579.05gのエピクロロヒドリンを室温(約25℃)で反応器に入れた。次いで、反応器を40℃に加熱した。その後、29gの塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを60%水溶液として添加し、次いでこれを反応器に添加した。内容物が沸騰した状態のまま反応器の内容物が40℃に保たれるポイントまで、反応器の内部圧を真空ポンプ及び圧力制御装置を用いて下げた。触媒水溶液を添加することで反応容器に導入された水を取り除くために、反応器を減圧に維持して15分加熱した。この時点で、240.3gのNaOH50%水溶液を、ポンプを用いて11時間かけて反応器に供給した。反応が進行するにつれて、生成物の生成と反応によるエピクロロヒドリン濃度の低下のために内容物の沸点が変化し、より低い圧力が必要とされた。表1には反応経路を通じての反応器温度及び圧力の変化が記載されている。表Iにおいて「Ti」は反応器の内部温度であり、「Tj]は反応器のジャケット温度である。
1時間ごとの試料を取り出して、カールフィッシャー滴定を用いて含水量を確認した。含水量のデータは表IIに示されている。
苛性アルカリを供給し終えた後、エポキシ化反応を完結させるために反応器の内容物を減圧下で30分40℃に保った。試料を熟成時間後に取り出し、有機相中の主成分の濃度を決定するためにガスクロマトグラフィーで分析した。結果は表IIIに記載されている。
パートB:中和
パートAで上述した反応工程の終了後、リン酸二水素ナトリウムの13重量%溶液193.7gを反応器中の反応混合物へ添加することによって反応器の内容物を中和した(表VI)。その後、反応器の内容物を減圧下で加熱してエピクロロヒドリンをストリッピングした。
パートC:エピクロロヒドリンのストリッピング
パートBの中和工程の後、反応器の内容物に熱をかけ減圧にすることによって、エピクロロヒドリンをストリッピングした。温度と圧力のデータは表IVに示されている。
ストリッピング工程の終わりに行った反応器内容物のガスクロマトグラフィー分析からは、エピクロロヒドリン濃度が約0.5重量%に減少したことが示されている。
パートD:洗浄/相分離
パートCでのエピクロロヒドリンのストリッピングの後、反応器内容物を30℃未満に冷却し、584gの脱イオン水を反応器に添加して15分混合した。その後、反応器内容物を分液漏斗に移した。相分離は迅速であり、10分以内に有機相と水相との間の界面が明確に観察された。30分後、水相を取り除き、有機相を漏斗の中に入れたままにした。漏斗の中に集められた有機相の重量は350gであった。150.7gの水と759.7gのトルエンを添加して試料を更に洗浄した。相分離はゆっくりであると共に、界面に少量の不溶性の物質が観察された。漏斗の中の内容物を2時間かけて相分離させた。水相を取り除き、有機相を漏斗の中に入れたままにした。水相と有機相との界面に集まったポリマー状の不溶性相を採取して乾燥した。乾燥させたポリマー状不溶性物質の重さは1.1gであった(表VI)。
パートE:加水分解性塩化物含量を減らすための後処理
有機相の加水分解性塩化物含量は、ニートのACE樹脂生成物の分取物の分析に基づいて、16,576ppmであると測定された。1026gの有機相を、後処理するために反応器へ戻した。約15gのNaOH溶液(50%)と1gの塩化ベンジルトリエチルアンモニウム溶液(60%)を反応器に添加した。次いで、反応器の内容物を80℃に加熱し、その温度で2時間維持した。その後、反応器を冷却し、反応器内容物の試料を反応器から取り出した。
上記処理後の有機相の加水分解性塩化物含量が測定され、ニートのACE樹脂生成物の分取物の分析に基づいて、783ppmに減少したと判明した。反応器の内容物に約174.9gの水を添加し、続いて10分間混合した。反応器の内容物を分液漏斗に移した。約174.6gの水相を漏斗から取り出した。
後処理(「2回目の処理」)を再度実施するために、有機相を漏斗から反応器へ移した。約2gのNaOH溶液(50%)と1gの塩化ベンジルトリメチルアンモニウム溶液(60%)を反応器に添加した。次いで、反応器の内容物を80℃に加熱し、その温度で2時間維持した。その後、反応器を冷却し、反応器の内容物を採取した。2回目の処理後の有機相の加水分解性塩化物含量が測定され、ニートのACE樹脂生成物の分取物の分析に基づいて、更に280ppmに減少したと判明した。その後、反応器に200gの水を添加し、反応器の内容物を10分間混合した。反応器の内容物を分液漏斗に移した。相分離は迅速であり、30分後、約190gの水相を取り出した。
パートF:トルエンのストリッピング
有機相を漏斗から反応器へ移し、トルエンを除去するために減圧下で加熱した。ストリッピング実施約3時間後、反応器の中身を冷却して瓶に移した。
パートG:結果
この実施例1では、約270gの最終樹脂生成物が生成した。樹脂生成物の最終的な組成は表Vに記載されている。
実施例2及び比較例A
上の実施例1の手順を用いて、2つの他のエポキシ化実験(実施例2及び比較例A)を行った。実施例2と比較例Aは、中和の程度がどのように中和工程後に続く工程に影響を及ぼすのかを調べるために、特には中和の程度がエピクロロヒドリンのストリッピング工程時に形成されるポリマー状不溶性物質の量に対して何の影響を与えるかについて調べるために、これら2つの実施例それぞれの各中和工程を変更して行われた。実施例2では、エポキシ化反応工程の終わりに反応器の内容物を約20%の理論値で中和した。比較例Aでは中和工程を省いた。結果は次の表VIにまとめられている。

Claims (14)

  1. (I)次の成分:
    (a)脂肪族または脂環式ヒドロキシル基含有材料、
    (b)エピハロヒドリン、
    (c)化学量論的に過剰量の塩基化合物または塩基作用性物質、
    (d)触媒、及び
    (e)任意選択的な溶媒、
    の混合物を反応させる工程であって、前記反応工程(I)が、得られ反応混合物中に粗製の脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物が生成するのに十分な反応条件で行われる工程;
    (II)前記粗製の脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を含む工程(I)の前記得られた反応混合物を、前記塩基または塩基性作用物質を部分的に中和するのに十分なかつ脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を含む中和された流体媒体を生成するのに十分な、リン酸塩中和剤を用いて中和する工程;
    (III)工程(II)の前記反応混合物から未反応エピハロヒドリンの少なくとも一部を除去する工程;及び
    (IV)上の工程(III)の前記反応混合物に対して分離工程を行って前記中和された流体媒体から前記脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物を回収する工程
    を含む、脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物を製造するための方法であって、前記脂肪族または脂環式のエポキシ樹脂組成物生成物の収率が約70%より大きい前記方法。
  2. 前記脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料が、cis−及びtrans−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール;または、cis−及びtrans−1,4−シクロヘキサンジメタノールであり;生成する前記生成物がシクロヘキサンジメタノールエポキシ樹脂である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記エピハロヒドリンがエピクロロヒドリンである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記塩基化合物が水酸化ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記触媒が非ルイス酸触媒である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記非ルイス酸触媒が塩化ベンジルトリエチルアンモニウムである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記中和工程の前記流体媒体が水である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記中和剤がリン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸、及びこれらの混合物の水溶液である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記中和剤がリン酸二水素ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記中和剤がpHを約7〜約13にするのに十分な量で使用される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記本発明の方法で使用される前記中和剤の量が、前記反応工程(I)中に使用される前記塩基の前記化学量論的に過剰な量の約1重量%〜約99重量%である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記中和剤がリン酸二水素ナトリウム水溶液であり;前記水溶液が約1重量%の中和剤〜約13重量%の中和剤を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 工程(I)における成分(c)である前記塩基の量が、成分(a)である前記脂肪族または脂環式のヒドロキシル基含有材料中のヒドロキシル基に対して約1モル当量〜約2モル等量の塩基である、請求項1に記載の方法。
  14. 工程(I)の前記得られる反応混合物が、約10重量%未満の前記生成物中の不溶性ポリマー状物質の量を提供するのに十分に中和される、請求項1に記載の方法。
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