JP4004127B2 - ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物及びエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法 - Google Patents

ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物及びエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、構造中に脂環式骨格と(メタ)アクリロイルオキシ基等を有するビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法、更にはエポキシ基を有するエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法であって、得られたエポキシ基含有アクリレート系化合物は、コーティング剤、インキ、接着剤、シーラント剤等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
脂環骨格を有するアクリレートやエポキシ基を含有するアクリル酸系誘導体は、一般にコーティング、インキ、接着剤、およびシーラント等の分野において有用な化合物である。特に、脂環骨格と共にエポキシ基を含有するアクリレートは、耐候性に優れ、屋外での使用に適した特性を有する。これらは一般に、構造中に存在するオキシラン環の開環反応や、アクリレートのエチレン系不飽和基の反応等によって、所定の性能を発揮する。
【0003】
現在、分子中にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートには、以下の化合物が知られている。例えば、化合物の末端にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートとして、グリシジルメタクリレートや1−メチル−1,2−エポキシ−エチルメタクリレート等がある。また、脂環式エポキシを持つ(メタ)アクリレートには、ダイセル化学工業製の「サイクロマーA−200」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート)や「サイクロマーM−100」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)等がある。また、米国特許第3536687号には、α,β−不飽和酸のシクロヘキセニル−アルキル及びアルキルシクロヘキセニル−アルキルアルコールエステルならびにそれらのホモポリマーおよびコポリマーが記載されている。
【0004】
更に、「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー」第81巻、第3350ページ(1959年)には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートおよび3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルアクリレートが記載されている。また、ドイツ国特許第1063808号(1959年8月20日)(「ケミカル・アブストラクツ」、55:14983e)には、3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールのメタクリレート(12個までの炭素原子を有するアルキル基によって、特に6位置の炭素においてメチルによって置換されてよい)が記載されている。これらの化合物は、単独でまたはオレフィン系化合物とともに重合され、ついでエポキシ基を反応させることによって硬化される。
【0005】
加えて特開平2−18410号公報には、シロキサンメタクリレートを3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートによって硬化させた消去可能な白色板用のコーティングの製造が記載されている。また、特開昭57−47365号公報には、アクリル酸または3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを構造単位として含有するコポリマーが熱硬化性粉末状コーティング組成物において有効であると記載されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者らは種々の脂環式アクリレート系化合物について研究した結果、特定の原料および方法によれば、ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物を得ることができ、更にこれをエポキシ化することによってエポキシ基を含有する脂環式アクリレート系化合物が得られることを見い出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、式(1−1)または(1−2)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A1)または(A2)とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを(A1)/(B)=1.1〜1.6または(A2)/(B)=1.1〜1.6のモル比で反応させることを特徴とする式(2−1)または(2−2)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法を提供するものである。更に本発明は、上記製造方法により得られたビニル基含有脂環式アクリレート系化合物をエポキシ化することを特徴とする式(3−1)または(3−2)で表されるエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法を提供するものである。さらに、化合物CH 2 =CR 11 COOH(B)との反応を、リン系化合物又は4級アミン化合物である触媒の存在下において行う、前記の式(2−1)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法を提供するものである。
【0008】
【化5】
Figure 0004004127
【0009】
【化6】
Figure 0004004127
【0010】
【化7】
Figure 0004004127
【0011】
本発明は、上記式(2−1)または(2−2)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法を提供するものである。
当該ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物は、上記式(1−1)または(1−2)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを混合し、エポキシ基の開環付加反応によって脂環式エポキシ部に(メタ)アクリロイル基等を結合させて製造する。
式(2−1)または(2−2)中のnの数は、アクリル系酸化合物に対し反応させるビニル基含有脂環式エポキシ化合物のモル比を選択することにより、適宜調整することができる。また、上記反応に使用する溶媒量によってもnを調整することができる。溶媒を使用することにより、n=1の化合物の比率を上げることができる。本発明では、アクリル系酸化合物1モルに対するビニル基含有脂環式エポキシ化合物のモル数が1.2〜1.6、特には1.35〜1.45とすることが好ましい。その理由は、無溶媒で反応させた場合、残存する原料が最も少なくなるからである。得られたビニル基含有脂環式アクリレート系化合物は異なるnの混合物で得られるが、上記混合割合の範囲内で特定のnを有する化合物の製造比率を向上させることができる。
例えば、式(2−1)または(2−2)におけるnが1の化合物を主として得るには、アクリル系酸化合物1モルに対するビニル基含有脂環式エポキシ化合物のモル数を0.95〜1.2、特には1.0〜1.1とすることが好ましい。この際、溶媒量はアクリル系酸化合物とビニル基含有脂環式エポキシ化合物の合計量に対して、0.3〜2重量倍、特には0.5〜1.5重量倍使用することが好ましい。0.3重量倍を下回るとnが1の化合物の生成量比が減少し、2重量倍を超えると反応終了まで長時間を要するためである。この範囲で、単量体の生成比は75%(GPCによる面積%)以上となる。
一方、nが2以上の化合物の製造比率を向上させるには、アクリル系酸化合物1モルに対するビニル基含有脂環式エポキシ化合物のモル数を1.1〜1.6、特には1.2〜1.5とすることが好ましい。また溶媒の使用量は、アクリル系酸化合物とビニル基含有脂環式エポキシ化合物の合計量に対して2重量倍以下、特には0.1重量倍以下であること好ましい。溶媒の使用量を2重量倍以下としたのは、これを超えると反応終了に要する時間が長くなるからである。一方、溶媒を使用しない場合には重合度が上昇するが、この場合には上記範囲でアクリル系酸化合物に対するビニル基含有脂環式エポキシ化合物の比率を上げることが好ましい。これにより系内のアクリル系酸化合物を残らず当該化合物の製造に使用することができるからである。
【0012】
本発明で使用できるビニル基含有脂環式エポキシ化合物は、上記式(1−1)または(1−2)で表される。両式中、R1〜R2、R7〜R10、およびR13〜R16の炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が例示でき、R1〜R2、R7〜R10、およびR13〜R16としては、水素原子またはメチル基であることが好ましい。例えば下記式(1−3)、(1−4;ビニルシクロヘキセンモノエポキシド)、(1−5;リモネンモノエポキシド)等が例示でき、これらのいずれも好ましく使用できる。これらの化合物は市販され、入手が容易だからである。
【0013】
【化8】
Figure 0004004127
【0014】
また、ビニル基含有脂環式エポキシ化合物とアクリル系酸化合物は、溶媒の存在下または非存在下、反応温度60〜140℃、特には70〜120℃で付加反応させることが好ましい。反応時に使用する溶媒に特に制限はないが、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム等を用いることができ、更に、グリコールエーテルやグリコールアセテート類等も使用できる。以下に、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド2モルとアクリル酸1モルとからなるn=2の化合物の反応式を示す。
【0015】
【化9】
Figure 0004004127
【0016】
付加反応時には触媒を使用することができる。例えば、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジアザビシクロウンデセンやテトラエチルアンモニウム等の4級アミン化合物、2−メチル−イミダゾールや2−メチル−4−エチル−イミダゾール等のイミダゾール系化合物を使用することができる。更に、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、有機酸金属塩等も用いることができる。これら触媒の使用量は、上記ビニル基含有脂環式エポキシ化合物とアクリル系酸化合物との合計100重量部に対し0.03〜5重量部、特には0.05〜3重量部であることが好ましい。
【0017】
付加反応には、(メタ)アクリロイル基等の重合を防止するため、メトキノン(p−メトキシフェノール)、ハイドロキノン、フェノチアジン等の一般に使用される重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤の使用量は、アクリル系酸化合物と上記ビニル基含有脂環式エポキシ化合物との合計100重量部に対し0.03〜5重量部、特には0.05〜3重量部であることが好ましい。上記反応により、ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物を製造することができる。
【0018】
次いで、式(3−1)または(3−2)で表されるエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法について説明する。
当該化合物は、上記により得られたビニル基含有脂環式アクリレート系化合物のシクロヘキシル基またはビシクロヘキシル基等のポリシクロヘキシル基に結合するビニル基または1−メチルビニル基の二重結合をエポキシ化剤により選択的にエポキシ化して、アクリル系酸化合物の二重結合および1,2−エポキシエチル基または1−メチル−1,2−エポキシエチル基とを有する化合物を製造する。ここに、過酢酸やハイドロパーオキサイド類を用いてエポキシ化すると、(メタ)アクリロイル基等が有する二重結合をほぼ100%残存させたまま、ビニル基または1−メチルビニル基のみをエポキシ化することができる。
【0019】
使用できるエポキシ化剤としては、過酸類やハイドロパーオキサイド類を用いることができる。
過酸類としては、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等の有機酸が例示でき、またハイドロパーオキサイド類としては、過酸化水素、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド等が例示できる。このうち特に過酢酸を使用することが好ましい。過酢酸は、工業的に安価に入手可能で、かつ安定度も高いからである。エポキシ化剤の量は、使用する個々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々の被エポキシ化合物等の違いに応じて、適宜選択することができる。
【0020】
エポキシ化の際には必要に応じて触媒を用いることができる。例えばエポキシ化剤として、過酸を使用した場合は、炭酸ソーダ等のアルカリや硫酸、有機酸等の酸を触媒として用いることができる。また、ハイドロパーオキサイドを使用した場合は、タングステン酸と苛性ソーダの混合物を使用することができる。具体的には有機酸と過酸化水素とを、モリブデンヘキサカルボニルとターシャリブチルハイドロパーオキサイドとを併用して触媒効果を得ることができる。
【0021】
ビニル基含有脂環式アクリレート系化合物に対するエポキシ化剤の仕込みモル比は、シクロヘキシル基に結合するビニル基または1−メチルビニル基1モルに対して等モルかそれ以上加えることが好ましい。ただし、経済性及び次に述べる副反応の問題から2倍モルを越えることは通常不利であり、エポキシ化剤として過酢酸を使用した場合は、1〜1.5倍モルを使用することが好ましい。
【0022】
エポキシ化反応は、不活性溶媒を使用することができる。不活性溶媒は、原料粘度の低下、エポキシ化剤の希釈による安定化等の目的で使用し、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム等が例示できる。より具体的には、エポキシ化剤として過酢酸を使用した場合には、芳香族化合物、エーテル類、エステル類等を用いることが好ましい。
【0023】
エポキシ化反応の温度は、エポキシ化剤として過酢酸を使用した場合は、0〜70℃であることが好ましい。0℃以下では反応が遅く、70℃では過酢酸が分解する場合があるからである。また、ハイドロパーオキサイドの1例であるターシャルブチルハイドロパーオキサイド/モリブデン二酸化物ジアセチルアセトナート系化合物を使用した場合は、同じ理由で20〜150℃が好ましい。なお、反応中に特別な操作は必要なく、例えば混合物を1〜8時間撹拌すればよい。これにより、本発明に係るエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物を製造することができる。
【0024】
エポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物は、反応液中から、例えば貧溶媒で沈殿させる方法、エポキシ化物を熱水中に撹拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒法等で単離することができる。
【0025】
本発明の製造方法で得られたビニル基含有脂環式アクリレート系化合物およびエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物は、反応溶液をそのまま反応性溶媒、即ち、紫外線等で硬化できる溶剤として用いることができる。また、減圧下で水素と反応させることにより不飽和基を含有しない不活性溶媒として有用な化合物の製造に用いることもできる。さらに、ハロゲンと反応させることによって難燃性添加剤として種々のポリマーや他の化合物と使用することが可能である。加えて、他の化合物と反応させて種々のコーティング、インキ、接着剤、シーラント、成形品又は、これらを用いた他の用途の中間体を生成することができる。例えば、共重合させてまたは硬化性モノマーとして酸除去剤、家具コーティング、装飾コーティング、自動車下塗り、シーラー、仕上げ塗り、飲料缶及びその他の缶コーティング、文字情報又は画像情報のインキ、電子部品用のシーラント等とすることができる。 また、エポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物が有するエポキシ基の反応性を用いて樹脂に組み込ませ、印刷版又は印刷回路版を開発するのに適したフォトレジスト、注型印刷ロールとすることもできる。更に、不飽和ポリエステル及びスチレンを主体とし、ガラス、炭素、グラファイト又は他の繊維によって強化された成形配合物とすることができる。加えて、これにさらにシート形成配合物を添加して成形品を得ることができ、ケイ素含有アクリレート系化合物として使用することにより、溶媒、難燃剤などにすることもできる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお「%」は、特に示す場合を除くほか「重量%」を示す。
【0027】
(実施例1)
1リットルのジャケット付きフラスコにビニルシクロヘキセンモノエポキシド(ダイセル化学工業社製「セロキサイド2000」、分子量124)180g、トリフェニルホスフィン1.36g、メトキノン1.36g、トルエン245gを仕込んだ。液中に空気を吹込みながら、反応系内の温度を80℃にしてからアクリル酸100gを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、系内の温度を100℃としさらに反応させた。系内のオキシラン酸素が0.2%になった時点で反応を終了させた。この反応液を水500gで水洗し、メトキノンを1.36g追加した。この反応液を70℃/10mmHgで脱低沸を行い、脂環式アクリレート(A)を271g得た。
アクリレート(A)の1H−NMRを測定したところ、δ2.9〜3.1ppmのエポキシ基のプロトンのピークがほぼ消失していることを確認した。さらにGPCより脂環構造を1つ持つ分子量196の単量体(A−1)、脂環構造を2つ持つ分子量320の2量体(A−2)、脂環構造を3つ持つ分子量444の3量体および4量体以上の多量体(A−3)が、A−1:A−2:A−3=84.7:13.8:1.5の比率で生成していることを確認した。
このアクリレート(A)100gに、酢酸エチル50gを仕込み、空気を吹き込みながら反応系内の温度を50℃とし、約1時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液156g(過酢酸濃度;29.5%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、50℃で4時間熟成させ反応を終了した。更に50℃で反応粗液を水洗し、70℃/10mmHgで脱低沸を行い、エポキシ基含有脂環式アクリレート(AE)91.8gを得た。その性状は、オキシラン酸素濃度8.29%、粘度773cP/25℃であり、1H−NMRを測定したところ、δ4.5〜5ppmの内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが生成していた。さらにGPCより脂環構造を1つ持つ分子量212の単量体(AE−1)、脂環構造を2つ持つ分子量352の2量体(AE−2)、脂環構造を3つ持つ分子量492の3量体および4量体以上の多量体(AE−3)が、AE−1:AE−2:AE−3=82.2:15.7:2.1(面積%)の比率で生成していることを確認した。
【0028】
(実施例2)
1リットルのジャケット付きフラスコにリモネンモノエポキシド(エルファトケム製「リモネンモノオキシド」、分子量152)195g、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.3g、メトキノン0.3gおよび溶媒としてメトキシプロパノールアセテート300gを仕込んだ。液中に空気を吹込みながら、反応系内の温度を80℃にし、メタクリル酸108gを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、系内の温度を100℃としさらに反応させた。系内のオキシラン酸素が0.23%になった時点で反応を終了させた。この反応液を70℃/10mmHgで脱低沸を行い、脂環式メタクリレート(B)を293g得た。
脂環式メタクリレート(B)の1H−NMRを測定したところ、δ2.9〜3.1ppmのエポキシ基のプロトンのピークがほぼ消失していることを確認した。さらにGPCより、脂環構造を1つ持つ分子量238の単量体(B−1)、脂環構造を2つ持つ分子量390の2量体(B−2)、脂環構造を3つ持つ分子量542の3量体および4量体以上の多量体(B−3)が、B−1:B−2:B−3=80.6:17.8:1.6(面積%)の比率で生成していることを確認した。
この脂環式メタクリレート(B)100gに、酢酸エチル50gを仕込み、空気を吹き込みながら反応系内の温度を50℃とし、約1時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液116.2g(過酢酸濃度;29.5%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、50℃で4時間熟成させ反応を終了した。更に50℃で反応粗液を水洗し、70℃/10mmHgで脱低沸を行い、エポキシ含有脂環式メタクリレート(BE)96.6gを得た。その性状は、オキシラン酸素濃度6.23%、粘度1590cP/25℃であり、1H−NMRを測定したところ、δ4.5〜5ppmの内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが生成していた。さらにGPCより脂環構造を1つ持つ分子量254の単量体(BE−1)、脂環構造を2つ持つ分子量422の2量体(BE−2)、脂環構造を3つ持つ分子量590の3量体および4量体以上の多量体(BE−3)が、BE−1:BE−2:BE−3=80.1:18.2:1.7(面積%)の比率で生成していることを確認した。
【0029】
(実施例3)
0.5リットルのジャケット付きフラスコに5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(サンアプロ社製「VBH」)100gと酢酸エチル50gを仕込み、窒素を吹き込みながら反応系内の温度を50℃とし、約1時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液257.2g(過酢酸濃度;29.5%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、50℃で4時間熟成させ反応を終了した。更に50℃で反応粗液を水洗し、70℃/10mmHgで脱低沸を行い、エポキシ化したVBH(分子量136、前記(1−3)の化合物に相当)97.3gを得た。エポキシ化したVBHの性状は、オキシラン酸素濃度10.6%、粘度12cP/25℃であり、1H−NMRを測定したところ、δ4.5〜5ppmの内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが生成していた。
次いで、1リットルのジャケット付きフラスコにエポキシ化したVBH(分子量136)215g、トリフェニルホスフィン0.33g、メトキノン0.33g、溶媒としてトルエン350gを仕込んだ。液中に空気を吹込みながら、反応系内の温度を80℃にし、アクリル酸114gを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、系内の温度を100℃としさらに反応させた。系内のオキシラン酸素が0.22%になった時点で反応を終了させた。この反応液をイオン交換水500g洗浄したあとメトキノンを0.33g仕込んだ。この反応液を70℃/10mmHgで脱低沸を行い、脂環式アクリレート(C)を321g得た。
脂環式アクリレート(C)の1H−NMRを測定したところ、δ2.9〜3.2ppmのエポキシ基のプロトンのピークがほぼ消失していることを確認した。さらにGPCより、脂環構造を1つ持つ分子量208の単量体(C−1)、脂環構造を2つ持つ分子量344の2量体(C−2)、脂環構造を3つ持つ分子量480の3量体および4量体以上の多量体(C−3)が、C−1:C−2:C−3=83.9:14.2:1.9(面積%)の比率で生成していることを確認した。
この脂環式アクリレート(C)100gと、酢酸エチル50gを仕込み、空気を吹き込みながら反応系内の温度を50℃とし、約1時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液123.7g(過酢酸濃度;29.5%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、50℃で4時間熟成させ反応を終了した。更に50℃で反応粗液を水洗し、70℃/10mmHgで脱低沸を行い、エポキシ基含有脂環式アクリレート(CE)96.0gを得た。その性状は、オキシラン酸素濃度7.44%、粘度880cP/25℃であり、1H−NMRを測定したところ、δ4.5〜5ppmの内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが生成していた。さらにGPCより、脂環構造を1つ持つ分子量224の単量体(CE−1)、脂環構造を2つ持つ分子量376の2量体(CE−2)、脂環構造を3つ持つ分子量528の3量体および4量体以上の多量体(CE−3)が、CE−1:CE−2:CE−3=81.2:15.7:3.1(面積%)の比率で生成していることを確認した。
【0030】
(実施例4)
1リットルのジャケット付きフラスコにビニルシクロヘキセンモノエポキシド241g、トリフェニルホスフィン0.36g、メトキノン0.36gを仕込んだ。液中に空気を吹込みながら、反応系内の温度を80℃にしてからアクリル酸100gを約1時間かけて滴下した。滴下終了後、系内の温度を100℃としさらに反応させた。系内のオキシラン酸素が0.18%になった時点で反応を終了させ、脂環式アクリレート(D)を340g得た。
脂環式アクリレート(D)の1H−NMRを測定したところ、δ2.9〜3.2ppmのエポキシ基のプロトンのピークがほぼ消失していることを確認した。さらにGPCより脂環構造を1つ持つ分子量196の単量体(D−1)、脂環構造を2つ持つ分子量320の2量体(D−2)、脂環構造を3つ持つ分子量444の3量体および4量体以上の多量体(D−3)が、D−1:D−2:D−3=41.2:48.6:10.2(面積%)の比率で生成していることを確認した。
この脂環式アクリレート(D)に、酢酸エチル50gを仕込み、空気を吹き込みながら反応系内の温度を50℃とし、約1時間かけて過酢酸の酢酸エチル溶液257.2g(過酢酸濃度;29.5%)を滴下した。過酢酸滴下終了後、50℃で4時間熟成させ反応を終了した。更に50℃で反応粗液を水洗し、70℃/10mmHgで脱低沸を行い、エポキシ基含有脂環式アクリレート(DE)80.4gを得た。その性状は、オキシラン酸素濃度7.39%、粘度8620cP/25℃であり、1H−NMRを測定したところ、δ4.5〜5ppmの内部二重結合に由来するピークがほぼ消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークが生成していた。さらにGPCより脂環構造を1つ持つ分子量212の単量体(DE−1)、脂環構造を2つ持つ分子量352の2量体(DE−2)、脂環構造を3つ持つ分子量492の3量体および4量体以上の多量体(DE−3)が、DE−1:DE−2:DE−3=35.6:49.5:14.9(面積%)の比率で生成していることを確認した。
【0031】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物は、構造中に脂環式骨格および(メタ)アクリロイルオキシ基等を有し、また、本発明の製造方法によるエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物は、さらにエポキシ基とを有するため、脂環式骨格に由来する耐熱性、透明性、その他良好な誘電特性が得られ、かつ、アクリロイルオキシ基等を有するため、有機材料と無機材料との間に介在させれば両者を結合させることができる。本発明によれば、これらの化合物を容易に製造することができる。こられの化合物は、コーティング剤、インキ、接着剤、シーラント剤等に有用である。

Claims (5)

  1. 式(1−1)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A1)とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを(A1)/(B)=1.0〜1.6のモル比で反応させることを特徴とする式(2−1)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の異なるnの混合物の製造方法。
    Figure 0004004127
  2. 式(1−2)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A2)とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを(A2)/(B)=1.0〜1.6のモル比で反応させることを特徴とする式(2−2)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法。
    Figure 0004004127
  3. 請求項1記載の式(1−1)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A1)とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを(A1)/(B)=1.0〜1.6のモル比で反応させ、次いでエポキシ化することを特徴とする式(3−1)で表されるエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の異なるnの混合物の製造方法。
    Figure 0004004127
  4. 請求項2記載の式(1−2)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A2)とアクリル系酸化合物CH2=CR11COOH(B)とを(A2)/(B)=1.1〜1.6のモル比で反応させ、次いでエポキシ化することを特徴とする式(3−2)で表されるエポキシ基含有脂環式アクリレート系化合物の製造方法。
    Figure 0004004127
  5. 式(1−1)で表されるビニル基含有脂環式エポキシ化合物(A1)とアクリル系酸化合物CH 2 =CR 11 COOH(B)との反応を、リン系化合物又は4級アミン化合物である触媒の存在下において行う、請求項1に記載の式(2−1)で表されるビニル基含有脂環式アクリレート系化合物の異なるnの混合物の製造方法。
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