JP4967660B2 - シクロヘキシル基または長鎖アルキル基を有するシクロヘキセンオキサイド化合物とその用途 - Google Patents
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Description
4−t−ブチル−2−ハイドロオキシシクロヘキシイル−メタクリレートの合成原料として下記式(6)のものが報告されている(例えば、特許文献6参照)。
(1)下記式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物であり、
(2)上記記載の式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物とカチオン重合開始剤とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物及び/又は熱硬化性組成物であり、
(3)上記2記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して及び/又は加熱してなる硬化物であり、
(4)式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物の製造方法
である。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1〜図5の右縦軸は、測定温度(℃)を示す。
図1〜図5の左縦軸は、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の測定値(Pa)を示す。
図1〜図5の「■」は、測定プレート中の温度を示す。
図1〜図5の「●」は、貯蔵弾性率(G’)を示す。
図1〜図5の「▲」は、損失弾性率(G’’)を示す。
式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物におけるシクロヘキシル基の結合位置は、3位または4位であり、4位が好ましいものである。また、式(2)を有する場合、式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物における式(2)の結合位置は、3位または4位であり、4位が好ましいものである。
式(2)のR1は、水素原子または炭素数1〜4個の分岐を有していても良いアルキル基であり、水素原子またはメチル基が好ましく、更にメチル基が好ましい。式(2)のR2は、水素原子または炭素数1〜4個の分岐を有していても良いアルキル基であり、水素原子またはメチル基が好ましく、更にメチル基が好ましい。式(2)のR1とR2とは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一のものである。
式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物は、例えば下記式(9)で表される化合物をエポキシ化することで合成することができる。
まずシクロヘキシルメチル基を有するシクロヘキサノールを触媒を用いて脱水反応させて式(10)で表されるオレフィン化合物を合成する。この合成は、芳香族系の溶媒を用いると良い。
式(10)で表されるオレフィン化合物を合成するときの反応時間は、触媒の種類やその添加量、反応温度にもよるが、1〜30時間で充分である。
この反応時間は、有機過酸化物の種類やその添加量、反応温度にもよるが、1〜30時間で充分である。
式(1)で表されるシクロヘキセンオキサイド化合物における長鎖アルキル基の結合位置は、1位、3位又は4位の何れでもよく、好ましくは3位又は4位であり、更に好ましくは4位である。この長鎖アルキル基としては、分岐を有していても直鎖でもよい。長鎖アルキル基の炭素原子数としては、8〜16個であり、好ましくは8〜12個である。
式(11)で表されるオレフィン化合物を合成するときの反応時間は、触媒の種類やその添加量、反応温度にもよるが、1〜30時間で充分である。
この反応時間は、有機過酸化物の種類やその添加量、反応温度にもよるが、1〜30時間で充分である。
本発明の組成物として用いることができるカチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射されて活性化され開環重合性基の開環を誘発し得る任意のカチオン重合開始剤を用いることができる。例えば、「UV・EB硬化材料」((株)シーエムシー発行(1992年))にこれが記載されている。活性エネルギー線とは、電子線、紫外線および380〜400nm付近の可視光等である。
オニウム塩類としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、チオピリリニウム塩等が使用できるが、熱的に比較的安定である芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩開始剤が好ましく使用される。芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩開始剤を使用す場合、対アニオンとしては、BF4-、AsF6-、SbF6-、PF6-、B(C6F5)4-等が挙げられる。また、有機金属錯体類としては、例えば、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体およびアリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。例えば、オプトマーSP−150{商品名、旭電化工業(株)製}、オプトマーSP−170{商品名、旭電化工業(株)製}、UVE−1014(商品名、ゼネラルエレクトロニクス社製)およびCD−1012(商品名、サートマー社製)等を利用することもできる。
上記オニウム塩類としては、例えば、アデカオプトンCP−66およびアデカオプトンCP−77{いずれも商品名、旭電化工業(株)社製}、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80LおよびサンエイドSI−100L{いずれも商品名、三新化学工業(株)製}、およびCIシリーズ{日本曹達(株)製}等の市販の化合物を用いることができる。
式(1)で表される化合物とカチオン重合開始剤とを配合することにより、活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができる。このときカチオン重合開始剤の配合割合は、活性エネルギー線で硬化する化合物100質量部に対し、0.01〜5質量部の範囲とすることが好ましく、更に好ましくは0.1〜4質量部であり、特に好ましくは1〜3質量部である。この潜在性カチオン重合開始剤の配合割合が0.01質量部未満の場合には、活性エネルギー線の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことがあり、また5質量部を超えて配合したとしても、重合を進行する作用はそれ以上高まらず経済的に不利となる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射で硬化させることができる。この活性エネルギー線の照射により重合を行う場合、利用できる光源としては特に限定されない。この光源としては、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプ等を用いることができる。組成物への照射強度は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではない。例えば、カチオン重合開始剤の活性化に有効な光波長領域(光重合開始剤によって異なるが、通常300〜420nmの光が用いられる)の光照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。組成物への照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなり過ぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、得られる硬化物の凝集力の低下や黄変あるいは支持体の劣化が生じる恐れがある。
式(1)で表される化合物と熱潜在性を有するカチオン重合開始剤とを配合することにより、熱硬化性組成物を得ることができる。このときカチオン重合開始剤の配合割合は、熱で硬化する化合物100質量部に対し、0.01〜5質量部の範囲とすることが好ましく、更に好ましくは0.1〜4質量部であり、特に好ましくは1〜3質量部である。この潜在性カチオン重合開始剤の配合割合が0.01質量部未満の場合には、加熱により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことがあり、また5質量部を超えて配合したとしても、重合を進行する作用はそれ以上高まらず経済的に不利となる。
本発明の熱硬化性組成物は、熱により硬化することができる。この硬化温度としては50〜300℃が好ましく、60〜250℃が更に好ましく、80〜210℃が特に好ましい。
加熱時間は、本発明の熱硬化性組成物の硬化状態を観察しながら決定すればよい。具体的には、1〜300分間が好ましく、更に5〜250分間が好ましい。
熱により重合を行う場合は一般的に知られた方法により加熱する事ができ、その条件などは特に限定されるものではない。
本発明の組成物は、活性エネルギー線による硬化後に加熱して硬化物の強度を増強させることもできる。また、加熱して硬化させた物に活性エネルギー線を照射して硬化物の強度を増強させることもできる。この場合、活性エネルギー線で硬化させた後、加熱してさらに硬化させる方法が好ましい。
本発明の組成物には、他のカチオン重合する化合物を配合することができる。他のカチオン重合する化合物としては、オキセタニル基を有する化合物や式(1)以外のエポキシ化合物を配合することができる。
オキセタニル基を有する化合物としては、分子中に1個のオキセタニル基を有する化合物、2個のオキセタニル基を有する化合物、3個のオキセタニル基を有する化合物、及び4個以上のオキセタニル基を有する化合物等を挙げることができる。
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアルコール、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェニルグリシジルエーテル、及びブチルグリシジルエーテル等があり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエンオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、o−、m−、p−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の組成物には、更に必要に応じて次の成分を添加配合することができる。
(1)粉末状の補強剤や充填剤、例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のケイ素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等、さらに繊維質の補強剤や充填剤、たとえばガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維等である。これらは本発明の組成物100質量部に対して、10〜900質量部配合することができる。
(2)難燃剤、例えばブロム化合物及びトリフェニルホスフェイト等である。これらは本発明の組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部配合することができる。
(3)さらに、成形品等における樹脂の性質を改善する目的で種々の硬化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合することができる。例えば、モノエポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これら樹脂類の配合割合は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち本発明の組成物100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。
本発明の式(1)で表される化合物から誘導される光硬化性樹脂は低屈折率で、透明性、硬化性、離形性、及び機械特性に優れることから、離形材、塗料、コーティング材、接着剤、及び光学部品等に利用することができる。
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark水分離機を備えた1Lの4つ口フラスコに、4−n−ドデシル−シクロヘキサノール(0.372mol)、硫酸水素カリウム(0.187mol)とキシレン(100g)とを仕込み、16時間加熱還流した。反応終了後、反応液をグラスフィルターでろ過した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60(70−230メッシュ),溶出溶媒:n−ヘキサン)で精製した。これにより得られた反応生成物はクーゲルロール蒸留装置を用いて130℃/30Paの条件で減圧蒸留し、4−ドデシル−1−シクロヘキセン(下記式(12))を68.32g(収率73%)得た。このものの1H−NMRの結果を下記に示す。
δ(ppm);0.63−2.20(m,32H)、5.58−5.81(m,2H)
1H−NMRの結果より、得られた化合物は式(12)で表される、4−ドデシル−1−シクロヘキセンと決定した。
メカニカルスターラー、温度計を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記で合成した4−ドデシル−1−シクロヘキセン(0.343mol)のジクロロメタン(400ml)溶液を仕込み、0℃に冷却した。そこへ、m−クロロ過安息香酸(和光純薬社製,0.412mol)のジクロロメタン(800ml)溶液を2時間かけて滴下した。この時、反応溶液の温度を10℃以下に維持した。m−クロロ過安息香酸のジクロロメタン溶液の滴下終了後、0℃で更に2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を10℃以下に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500ml)を滴下した。その溶液を分液漏斗へ移して有機層を取り分けた。この際発生した水層はジクロロメタン(2×200ml)で洗浄し、洗浄液のジクロロメタンは先に取り分けた有機層と一緒にした。
その後、この有機層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×500ml)、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2×250ml)、蒸留水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で順次分液漏斗を用いて洗浄した。そして有機層を取り分け、それを無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
乾燥後、ろ過して、ろ液から溶媒を減圧留去した後、減圧蒸留(108〜123℃/30Pa)により4−ドデシル−1,2−シクロヘキセンオキシド(下記式(13))を77.58g(収率85%)得た。このものの1H−NMR等の機器データを下記に示す。
δ(ppm);0.57−2.26(m,32H)、3.02−3.28(m,2H)
粘度:44.5mPa・s(25℃)
屈折率:nD 20=1.476
(参考例2)
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark水分離機を備えた1Lの4つ口フラスコに、4−t−オクチルシクロヘキサノール(0.471mol)、硫酸(0.047mol)、硫酸ナトリウム(0.047mol)と蒸留水(35g)、キシレン(100g)とを仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応液をグラスフィルターでろ過した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60(70−230メッシュ),溶出溶媒:n−ヘキサン)で精製した。これにより得られた反応生成物はクーゲルロール蒸留装置を用いて120℃/666Paの条件で減圧蒸留し、4−t−オクチル−1−シクロヘキセン(下記式(14))を85.64g(収率94%)得た。このものの1H−NMRの結果を下記に示す。
δ(ppm);0.83−1.49(m,19H)、1.71−2.16(m,5H)、5.60−5.77(m,2H)
1H−NMRの結果より、得られた化合物は式(14)で表される、4−t−オクチル−1−シクロヘキセンと決定した。
メカニカルスターラー、温度計を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記で合成した4−t−オクチル−1−シクロヘキセン(0.346mol)のジクロロメタン(400ml)溶液を仕込み、0℃に冷却した。そこへ、m−クロロ過安息香酸(和光純薬社製,0.415mol)のジクロロメタン(800ml)溶液を2時間かけて滴下した。この時、反応溶液の温度を10℃以下に維持した。m−クロロ過安息香酸のジクロロメタン溶液の滴下終了後、0℃で更に2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を10℃以下に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500ml)を滴下した。その溶液を分液漏斗へ移して有機層を取り分けた。この際発生した水層はジクロロメタン(2×100ml)で洗浄し、洗浄液のジクロロメタンは先に取り分けた有機層と一緒にした。
その後、この有機層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×500ml)、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2×250ml)、蒸留水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で順次分液漏斗を用いて洗浄した。そして有機層を取り分け、それを無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
乾燥後、ろ過して、ろ液から溶媒を減圧留去した後、減圧蒸留(67〜77℃/30Pa)により4−t−オクチル−1,2−シクロヘキセンオキシド(下記式(15))を55.47g(収率76%)得た。このものの1H−NMR等の機器データを下記に示す。
δ(ppm);0.63−2.24(m,24H)、3.02−3.26(m,2H)
粘度:11.8mPa・s(25℃)
屈折率:nD 20=1.475
(実施例1)
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark水分離機を備えた1Lの4つ口フラスコに、2−シクロヘキシル−2−(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(0.446mol)、硫酸水素カリウム(0.089mol)とキシレン(100g)を仕込み、16時間加熱還流した。反応終了後、反応液はグラスフィルターでろ過した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60(70−230メッシュ),溶出溶媒:n−ヘキサン)で精製した。これにより得られた反応生成物はクーゲルロール蒸留装置を用いて150℃/1070Paの条件で減圧蒸留し、2−シクロヘキシル−2−(3’,4’−シクロヘキセニル)プロパン(下記式(16))を80.00g(収率87%)得た。このものの1H−NMRの結果を下記に示す。
1H−NMRの結果より得られた化合物は式(16)で表される、2−シクロヘキシル−2−(3’,4’−シクロヘキセニル)プロパンと決定した。
メカニカルスターラー、温度計を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記で合成した2−シクロヘキシル−2−(3’,4’−シクロヘキセニル)プロパン(0.36mol)のジクロロメタン(400ml)溶液を仕込み、0℃に冷却した。そこへ、m−クロロ過安息香酸(和光純薬社製,0.412mol)のジクロロメタン(800ml)溶液を2時間かけて滴下した。この時、反応溶液の温度を10℃以下に維持した。m−クロロ過安息香酸のジクロロメタン溶液の滴下終了後、0℃で更に2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を10℃以下に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500ml)を滴下した。その溶液を分液漏斗へ移して有機層を取り分けた。この際発生した水層はジクロロメタン(2×200ml)で洗浄し、洗浄液のジクロロメタンは先に取り分けた有機層と一緒にした。
その後、この有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×500ml)、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2×250ml)、蒸留水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で順次分液漏斗を用いて洗浄した。そして有機層を取り分け、それを無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
乾燥後ろ過して、ろ液から溶媒を減圧留去した後、減圧蒸留(25Paで96〜98℃のものを中心に分取した)により2−シクロヘキシル−2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)プロパン(CMECE、下記式(17))を64.43g(収率75%)得た。このものの1H−NMR等の機器データを下記に示す。
粘度:51.8mPa・s(25℃)
屈折率:nD 20=1.501
1H−NMRの結果より得られた化合物は、式(17)で表される、2−シクロヘキシル−2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)プロパン(CMECE)と決定とした。
(実施例2)
メカニカルスターラー、温度計、Dean−Stark水分離機を備えた1Lの4つ口フラスコに、4−シクロヘキシル−1−シクロヘキサノール(0.549mol)、硫酸(0.055mol)、硫酸ナトリウム(0.055mol)と蒸留水(40g)、キシレン(100g)を仕込み、3時間加熱還流した。反応終了後、反応液はグラスフィルターでろ過した後、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル60(70−230メッシュ),溶出溶媒:n−ヘキサン)で精製した。これにより得られた反応生成物はクーゲルロール蒸留装置を用いて120℃/666Paの条件で減圧蒸留し、4−シクロヘキシル−1−シクロヘキセン(下記式(18))を81.04g(収率90%)得た。このものの1H−NMRの結果を下記に示す。
1H−NMRの結果より得られた化合物は式(18)で表される、4−シクロヘキシル−1−シクロヘキセンと決定した。
メカニカルスターラー、温度計を備えた2Lの4つ口フラスコに、上記で合成した4−シクロヘキシル−1−シクロヘキセン(0.345mol)のジクロロメタン(400ml)溶液を仕込み、0℃に冷却した。そこへ、m−クロロ過安息香酸(和光純薬社製,0.415mol)のジクロロメタン(800ml)溶液を3時間かけて滴下した。この時、反応溶液の温度を10℃以下に維持した。m−クロロ過安息香酸のジクロロメタン溶液の滴下終了後、0℃で更に2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を10℃以下に保ちながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500ml)を滴下した。その溶液を分液漏斗へ移して有機層を取り分けた。この際発生した水層はジクロロメタン(2×100ml)で洗浄し、洗浄液のジクロロメタンは先に取り分けた有機層と一緒にした。
その後、この有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×500ml)、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2×250ml)、蒸留水(500ml)、飽和食塩水(500ml)で順次分液漏斗を用いて洗浄した。そして有機層を取り分け、それを無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
乾燥後ろ過して、ろ液から溶媒を減圧留去した後、減圧蒸留(30Paで70℃のものを中心に分取した)により4−シクロヘキシル−1,2−シクロヘキセンオキシド(CCE、下記式(19))を48.08g(収率77%)得た。このものの1H−NMR等の機器データを下記に示す。
粘度:8.3mPa・s(25℃)
屈折率:nD 20=1.492
1H−NMRの結果より得られた化合物は、式(19)で表される、4−シクロヘキシル−1,2−シクロヘキセンオキシド(CCE)と決定とした。
(実施例3)
100質量部のDoCHOと2質量部のUV9380C(GE東芝シリコーン社製、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン塩)とを良く混合し、光硬化性組成物を作成した。比較のために、100質量部の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(UVR−6110、ダウケミカル日本社製)と2質量部のUV9380Cとを良く混合し、比較組成物を作成した。
これらの組成物について、紫外線の照射による硬化性および弾性率(貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’))を測定した。DoCHOを配合した光硬化性組成物の硬化性等の結果を図1に、UVR−6110を配合した比較組成物の硬化性等の結果を図5に示す。
DoCHOの替わりにtOCE、CMECEおよびCCEについても同様に操作して光硬化性組成物を作製した。そして、これらの組成物について紫外線の照射による硬化性および弾性率(貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’))を測定した。tOCE配合組成物の結果を図2に、CMECE配合組成物の結果を図3に、そしてCCE配合組成物の結果を図4に示す。
なお、図1〜5の横軸は計測時間で、計測開始1分後から紫外線の照射を開始した。
上記結果より、DoCHO、tOCE、CMECEおよびCCEを利用した光硬化性組成物は、紫外線照射直後にほぼ硬化が完了し、且つ貯蔵弾性率および損失弾性率も安定した値が得られた。しかし、比較組成物は、照射開始からしばらくしてから硬化が始まり、計測時間中に100%硬化しなかった。また、比較組成物の貯蔵弾性率および損失弾性率は、計測時間中に安定した値が得られなかった。
照射条件:水銀キセノンランプ、365nmにおける照射強度は50mW/cm2。
計測時間:20分間
粘弾性測定条件:
温度 30℃
周波数 1Hz
歪み 0.003
ギャップ 500μm
プレート P10ETC(直径10mm)
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