JP4780254B2 - 導電性基板およびその製造方法ならびにタッチパネル - Google Patents
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Description
本発明は、入力デバイスとして取り付けられるタッチパネルに用いられる導電性基板及び導電性基板の製造方法に関する。
近年、様々な電子機器のディスプレイ上に入力デバイスとして、透明なタッチパネルが取り付けられている。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、静電容量式等が挙げられる。特に、静電容量式はマルチタッチが可能であり、モバイル機器などの用途に多く採用されている。
静電容量式のタッチパネルは、基板の表面及び裏面にそれぞれX座標及びY座標のパターンを形成した透明導電膜が金属配線パターンを介して回路に接続され、表面の透明導電膜と裏面の透明導電膜との間の電圧変化を検知できるような構造となっている。透明導電膜のパターンの形成方法としては、特許文献1から3のようにフォトリソグラフィによる方法がある。他の方法としては、特許文献4のように、導電膜形成用組成物として、光に反応する官能基或いは部位を有するインジウム化合物及び同様な官能基或いは部位を有する錫化合物を用い、パターン露光を行う方法や、特許文献5のように、レーザー光によるパターン形成を行う方法などがある。また、金属配線パターンは、特許文献1のように、透明導電膜のパターンと同時に形成される場合や、特許文献5又は6のように、AgインクやAlなどの金属膜を用いて透明導電膜上に印刷等で形成される。
しかしながら、特許文献1から3のようなフォトリソグラフィによる方法により、透明導電膜のパターンを形成した後に、特許文献5又は6のような金属配線のパターンを印刷するとき、透明導電膜のパターンがパターン形状を目立たなくさせるために微細な構成をとる場合、透明導電膜のパターン上に金属配線パターンを合わせこむための位置決め用マーカーが読み取れず、透明導電膜のパターンと金属配線パターンがずれてしまう問題がある。一方、特許文献1には、金属配線パターンを透明導電膜のパターンと同時に形成することが記載されているが、金属配線パターンに透明導電膜に用いるITOが含まれており、希少資源であるインジウムを多く使用しなければならない点で問題となる。
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、その目的は、製造工程を見直し、透明導電膜のパターン形状が目立たない導電性基板においても、透明導電膜パターン形状と金属配線パターンの位置精度が高い導電性基板およびその製造方法並びにタッチパネルを提供することにある。
課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基板の少なくとも片面に、電圧変化を検知できる回路に接続される金属配線パターンである導電層と、導電性パターン領域及び非導電性パターン領域を有する透明導電膜と、前記透明導電膜の導電性パターン領域の表面のみに形成された1又は2層以上の光学調整層とを前記透明基板側からこの順序で備えることを特徴とする導電性基板である。
請求項2に記載の発明は、前記導電性基板の少なくとも片面の何れかの層の間又は最表面にハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性基板である。
請求項3に記載の発明は、粘着層を介して、他の透明基板又は他の導電性基板に貼合されていることを特徴とする請求項2に記載の導電性積層体である。
請求項4に記載の発明は、前記導電層のシート抵抗の値が1Ω/□以下であり、前記透明導電膜のシート抵抗の値が100Ω/□以上700kΩ/□以下であることを特徴とする請求項3に記載の導電性基板である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の導電性基板を用いたタッチパネルである。
請求項6に記載の発明は、透明基板の少なくとも片面に、電圧変化を検知できる回路に接続される金属配線パターンである導電層を形成する工程と、前記導電層の表面に透明導電膜を形成する工程と、前記透明導電膜の表面に1又は2層以上の光学調整層を形成する工程と、パターン形成方法により、導電性パターン領域及び非導電性パターン領域を有する透明導電膜と、前記透明導電膜の導電性パターン領域の表面のみに形成された光学調整層とを形成する工程とをこの順に備えることを特徴とする導電性基板の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、さらに、ハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の導電性基板の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、全ての工程をロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項7に記載の導電性基板の製造方法である。
本発明によれば、透明導電膜のパターン形状が目立たない導電性基板においても、透明導電膜と金属配線の位置合わせが容易な導電性基板およびその製造方法並びにタッチパネルの提供が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いながら説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれるものである。
図1は、本発明の導電性基板の断面例1の説明図である。導電性基板4は、透明基板1の片面に設けられた導電層2と、パターンを有しない透明導電膜3とから構成される。透明導電膜3はパターンを有しないため、図1の導電性基板4は、抵抗膜式タッチパネルの導電性基板として用いることができる。
図2は、本発明の導電性基板の断面例2の説明図である。導電性基板4は、透明基板1の片面に設けられた導電層2と、導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを形成した透明導電膜3とから構成される。透明導電膜3はパターンを有するため、図2の導電性基板4は、静電容量式タッチパネルの導電性基板として用いることができる。ここで、導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分のことをいい、非導電性パターン領域とは、透明導電層のうち、導電性を有する部分を除いた導電性を有しない部分のことをいう。
本発明の静電容量式タッチパネルの導電性基板としては、図2の他に、図3から10までの導電性基板が挙げられる。図3及び4は、それぞれ本発明の導電性基板の断面例3及び4の説明図である。図3のように、図2に示した透明導電膜3上に光学調整層5を設けてもよい。また、図4のように、構成によっては、透明導電膜3の導電性パターン領域3aのみに光学調整層5を設けてもよい。
図5及び6は、それぞれ本発明の導電性基板の断面例5及び6の説明図である。図5のように、図2に示した導電性基板4の少なくとも一方の面にハードコート層6を形成することにより、表面硬度が高くなり、傷のつきにくい基板となる。ここでは、導電層2を形成した側と反対の面に、ハードコート層6を形成する例を示したが、導電層2と透明基板1との間、導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを形成した透明導電膜3の表面、又は、図6のように光学調整層5の表面など適宜選択できる。
図7から9は、それぞれ本発明の導電性積層体の断面例7から9の説明図である。図5で示した導電性基板4のハードコート層6側に粘着層8を介し、他の透明基板1’を貼合している。ここで、貼合する他の透明基板1’は、図2に示した導電性基板4と同じ構成の他の導電性基板4’を構成していてもよい。具体的には、図8のように、他の透明基板1’の片面に、導電層2と、導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを形成した透明導電膜3とを設けた他の導電性基板4’を用い、他の導電性基板4’の透明導電膜3の表面と、導電性基板4のハードコート層6とを粘着層8を介して貼合する。また、図9のように、他の導電性基板4’の他の透明基板1’と、導電性基板4の透明基板1とを粘着層8を介して貼合してもよい。図8又は9の場合、導電性基板4の透明導電膜3のパターンと、他の導電性基板4’の透明導電膜3のパターンとは、後述するように互いに直交するパターンであることが好ましい。
図10は、本発明の導電性積層体の断面例10の説明図である。図3で示した導電性基板4の透明基板1の透明導電膜3を設けた面の反対の面に、透明導電膜3のパターンと直交する透明導電膜のパターンを設けてもよい。この反対の面の場合も、透明基板1、導電層2及び導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを形成した透明導電膜3の順に構成されることが好ましい。
次に本発明の導電性基板4の構成部分について詳細に説明する。なお、他の導電性基板4’については、導電性基板4と同等のものとして扱う。
本発明で用いる透明基板1の形状は、板状、フィルム状などが挙げられる。透明基板1の材料としては、ガラスの他、高分子樹脂が用いられる。高分子樹脂としては成膜工程および後工程において十分な強度があり、表面の平滑性が良好であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、ポリイミド等が挙げられる。その厚さは部材の薄型化と基板の可撓性とを考慮し、10μm以上200μm以下程度のものが用いられる。
透明基板1の含有される材料としては、上記材料の他に、基材の表面に周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤、易接着剤などが使用されてもよい。薄膜との密着性を改善するため、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理などを施してもよい。
なお、他の透明基板1’についても透明基板1と同等のものとして扱う。
本発明で用いる導電層2は、電圧変化を検知できる回路に接続されている金属配線パターンであり、透明導電膜3の導電性パターン領域3aと接するように形成される。透明導電膜3の導電性パターン領域3aは透明であり、かつ、精度よく位置情報を読み取るために微細なパターンであることが多いため、導電層2は、透明導電膜3の導電性パターン領域3aと正確に位置合わせを行い形成することが必要である。
導電層2のとしては、金属膜をフォトリソグラフィやレーザー等による方法でパターニングしたもの、銀インキ、カーボンナノチューブ(CNT)、導電性樹脂などをスクリーン印刷やインクジェット印刷によりパターン形成したものなどが挙げられるが、およそ100μm以下の細線が形成でき、細線化しても十分な導電性が得られる材料、形成技術であれば、いかなる方法を用いてもかまわない。また、金属膜、銀インキ、CNT又は導電性樹脂などのパターンには、その他の材料を組み合わせて導電層2を形成してもよい。
導電層2は、透明基板1側から、導電層2、透明導電膜3の順に設けることが好ましい。導電層2を設けた後に透明導電膜3を設けることにより、導電層2と透明導電層3との位置合わせが容易に行うことができる。逆に、透明基板1側から、透明導電膜3、導電層2の順に設けた場合、透明導電膜3のパターンが透明でかつ微細な構成であるため、導電層3を透明導電膜3のパターンの位置に精度よく合わせ込むことが困難であり、好ましくない。
また、導電層2とは別に、位置合わせ用のマーカーを形成しておくことにより、透明導電膜パターンとの位置調整がさらに容易となる。材料によっては、乾燥や硬化のために熱や紫外線を適宜用いる。
導電層2のシート抵抗については、1Ω/□以下の導電性があることが好ましい。この範囲にすることにより、細線化しても十分な導電性が得られる。なお、シート抵抗は、四端針法により測定するか、あるいはパターン形状とその抵抗値から算出することができる。。
本発明で用いるハードコート層6は、導電性基板4に機械的強度を持たせるために設けられる。用いられる樹脂としては、特に限定はしないが、透明性と適度な硬度と機械的強度を持つ樹脂が好ましい。具体的には3次元架橋の期待できる3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマー又は架橋性オリゴマーのような光硬化性樹脂が好ましい。
3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレート等が好ましい。特に好ましいのは、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレートおよびポリエステルアクリレートである。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用しても構わない。また、これら3官能以上のアクリレートの他にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリオールアクリレート等のいわゆるアクリル系樹脂を併用することが可能である。
架橋性オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のアクリルオリゴマーが好ましい。具体的にはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ポリウレタンのジアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等がある。
ハードコート層6は、その他粒子、光重合開始剤等の添加剤を含有してもよい。
添加する粒子としては、有機又は無機の粒子が挙げられるが、透明性を考慮すれば、有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂などからなる粒子が挙げられる。
粒子の平均粒径は、ハードコート層6の厚みによって異なるが、ヘイズ等の外観上の理由により、下限として2μm以上、より好ましくは5μm以上、上限としては30μm以下、好ましくは15μm以下のものを使用する。また、粒子の含有量も同様の理由で、樹脂に対し、0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
光重合開始剤を添加する場合、ラジカル発生型の光重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などがある。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
上記光重合開始剤の添加量は、主成分の樹脂に対して0.1重量%以上5重量%以下であり好ましくは0.5重量%以上3重量%以下である。下限値未満ではハードコート層の硬化が不十分となり好ましくない。また、上限値を超える場合は、ハードコート層の黄変を生じたり、耐候性が低下したりするため好ましくない。光硬化型樹脂を硬化させるのに用いる光は紫外線、電子線、あるいはガンマ線などであり、電子線あるいはガンマ線の場合、必ずしも光重合開始剤や光開始助剤を含有する必要はない。これらの線源としては高圧水銀灯、キセノンランプ、金属ハライドランプや加速電子などが使用できる。
また、ハードコート層6の厚みは、特に限定されないが、0.5μm以上15μm以下の範囲が好ましい。また、透明基板層11と屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましく、1.45以上1.75以下程度が好ましい。
ハードコート層6の形成方法は、主成分である樹脂と紫外線を吸収する材料を溶剤に溶解させ、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、マイクログラビアコーター等の公知の塗布方法で形成する。
溶剤については、上記の主成分の樹脂を溶解するものであれば特に限定しない。具体的には、溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光学調整層5として、透明導電膜3に形成されたパターンを目立たなくする機能を有し、視認性を向上させるための層である。無機化合物を用いる場合、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物などの材料が使用可能である。上記無機化合物からなる薄膜は、その材料により屈折率が異なり、その屈折率の異なる薄膜を特定の膜厚で形成することにより、光学特性を調整することが可能となる。なお、光学機能層の層数としては、目的とする光学特性に応じて、複数層あってもよい。
屈折率の低い材料としては、酸化マグネシウム(1.6)、二酸化珪素(1.5)、フッ化マグネシウム(1.4)、フッ化カルシウム(1.3〜1.4)、フッ化セリウム(1.6)、フッ化アルミニウム(1.3)などが挙げられる。また、屈折率の高い材料としては、酸化チタン(2.4)、酸化ジルコニウム(2.4)、硫化亜鉛(2.3)、酸化タンタル(2.1)、酸化亜鉛(2.1)、酸化インジウム(2.0)、酸化ニオブ(2.3)、酸化タンタル(2.2)が挙げられる。但し、上記括弧内の数値は屈折率を表す。
一方、光学調整層5として、ハードコート層6と同様な樹脂を用いてもよい。この場合、酸化ジルコニウムや酸化チタン等の高屈折率無機微粒子を樹脂に分散させて、樹脂の屈折率を高めることができる。
透明導電膜3は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物等が挙げられるが、目的・用途により種々の材料が使用でき、特に限定されるものではない。現在のところ、最も信頼性が高く、多くの実績のある材料は酸化インジウムスズ(ITO)である。
最も一般的な透明導電材料である酸化インジウムスズ(ITO)を透明導電膜3として用いる場合、酸化インジウムにドープされる酸化スズの含有比はデバイスに求められる仕様に応じて、任意の割合を選択する。例えば、基材がプラスチックフィルムの場合、機械強度を高める目的で薄膜を結晶化させるために用いるスパッタリングターゲット材料は、酸化スズの含有比が10重量%未満であることが望ましく、薄膜をアモルファス化しフレキシブル性を持たせるためには、酸化スズの含有比は10重量%以上が望ましい。また、薄膜に低抵抗が求められる場合は、酸化スズの含有比は3重量%から20重量%の範囲が望ましい。
透明導電膜3のシート抵抗については、100Ω/□以上700kΩ/□以下の導電性があることが好ましい。この範囲にすることにより、耐久性及び透過性に優れ、接触位置を精度よく検知することができる。なお、シート抵抗については、導電層2と同様に、四端針法により測定するか、あるいはパターン形状とその抵抗値から算出することができる。
光学調整層5に無機化合物を用いる場合、および透明導電膜3の製造方法としては、膜厚の制御が可能であればいかなる成膜方法でも良く、なかでも薄膜の生成には乾式法が優れている。これには真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。特に大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が望ましい。
透明導電膜3には、図11又は図12のようなパターンを施す。図11又は図12のように、形成されるパターンは、黒色で表した導電性パターン領域3aと、白色で表した非導電性パターン領域3bとからなる。導電性パターン領域3aは、導電層2と接しており、電圧変化を検知できる回路に接続されている。人の指等が検出電極である導電性パターン領域3aに接近すると、全体の静電容量が変化することから回路の電圧が変動し、接触位置の判定ができる。図11又は図12のパターンを貼り合せ、図13のように互いに直交するように組み合わせ、電圧変化検知回路と接続することにより、2次元の位置情報が得られる。
また、透明導電膜3は、透明導電膜3の導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bとの全光線透過率の差が1%以下であることが好ましい、この範囲である場合、導電性基板の両面に異なるパターンを形成しても、パターン形状が目立たなくなり、視認性が向上する。さらに、導電性パターン領域と非導電性パターン領域との透過色相b*差が1.5以下であることが好ましい。この範囲である場合、パターン形状がさらに目立たなくなり、視認性がより向上する。
透明導電膜3のパターン形状は、図11又は図12のようなダイヤモンド型パターンのほかに、メッシュ型パターン等があり、2次元の位置情報を正確に読み取るためには、可能な限り微細なパターンを形成し、かつ、2枚のパターンについて正確に位置合わせを行うことが必要である。
透明導電膜3のパターン形成方法としては、透明導電膜3上にレジストを塗布し、パターンを露光・現像により形成した後に透明導電膜を化学的に溶解させるフォトリソグラフィによる方法、真空中で化学反応により気化させる方法、レーザーにより透明導電膜を昇華させる方法、などが挙げられる。パターン形成方法は、パターンの形状、精度等により適宜選択できるが、パターン精度、細線化を考慮し、フォトリソグラフィによる方法が好ましい。
本発明の導電性基板4のパターン形成工程を、図5に示す導電性基板4を例に、図14に示す。まず、透明基板1を用意し(工程(a))、一方の面にハードコート層6を形成する(工程(b))。透明基板1のハードコート層6とは反対の面に、所定の位置に導電層2を形成する(工程(c))。さらに透明導電膜3を成膜する(工程(d))。次に、導電層2および透明導電膜3の表面にレジスト7aを塗布し(工程(e))、透明導電膜3にパターンを形成するための光源、図11あるいは図12に代表されるパターンマスク、レジスト7aを塗布した透明基板を順に配置し、光源の光により露光し、レジスト7bおよび7cの領域を作る(工程(f))。なお、7cは、光により感光したレジストである。次いで、感光していないレジスト7bを現像液により除去し(工程(g))、透明導電膜3の露出部分をエッチングする(工程(h))。最後に感光したレジスト7cを剥離して導電性基板4を得る(工程(i))。
本発明の導電性基板4の製造方法は、導電層2を形成する工程(c)と透明導電膜3を成膜する工程(d)とをこの順に備えることが好ましい。先に導電層2を形成し、ついで透明導電膜3を成膜してパターンを形成することにより、導電層2の位置を基準に透明導電膜3のパターンを形成することができるため、容易に位置合わせを行うことができる。逆に、透明導電膜3を成膜してパターンを形成した後に導電層2を形成した場合、透明であり、かつ微細な形状の透明導電膜3のパターンの位置に合わせて導電層2を形成しなければならず、容易に位置合わせを行うことができない。また、透明導電膜3を成膜してパターンを形成した後に導電層2を形成した場合、導電層2を形成する銀インキを高温で乾燥させるため、先に成膜した透明導電膜3のシート抵抗の値が増大してしまい、精度よく接触位置を検知することができなくなる。
導電層2を形成する工程(c)では、導電層2を形成すると同時に、位置合わせ用のマーカーを形成しておくことがより好ましい。これにより、その後透明導電膜3のパターンを形成する際に位置合わせ用のマーカーを目印にパターンを形成することができる。
図14は、ネガ型のレジストを用いてパターンを形成する方法の各工程を示した図であるが、ポジ型のレジストを用いてパターンを形成してもよい。
他の図に示した本発明の導電性基板4も同様に、上記各工程により、透明導電膜3の導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを形成することができる。
本発明の導電性基板4の製造方法は、図14に示した工程により得られた導電性基板4の透明基板1に他の透明基板1’を貼合する工程を含んでいてもよい。また、他の工程により得られた導電性基板4’を用い、他の導電性基板4’の透明導電膜3の表面と、導電性基板4のハードコート層6とを粘着層8を介して貼合する工程を含んでいてもよい。
本発明の導電性基板4の製造方法は、導電層2を形成する工程、透明導電膜3を形成する工程又は導電性パターン領域3a及び非導電性パターン領域3bを有する透明導電膜3を形成する工程、光学調整層5を形成する工程並びにハードコート層6を形成する工程をそれぞれロールトゥロール方式により行うことが好ましい。これにより、導電性基板4を効率よく大量に生産することができる。特に、各工程を連続してロールトゥロール方式により行うことがより好ましい。
次に実施例及び比較例について説明する。
<実施例1>
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、下記組成の樹脂層形成用塗液をマイクログラビアコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥させ、紫外線により硬化させることで、ハードコート層を形成した。
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、下記組成の樹脂層形成用塗液をマイクログラビアコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥させ、紫外線により硬化させることで、ハードコート層を形成した。
[樹脂層形成用塗液の組成]
樹脂 : 紫光 UV−7605B(日本合成化学社製) 100重量部
開始剤 : イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 4重量部
溶剤 : 酢酸メチル 100重量部
樹脂 : 紫光 UV−7605B(日本合成化学社製) 100重量部
開始剤 : イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 4重量部
溶剤 : 酢酸メチル 100重量部
透明基板のハードコート層とは反対面に、銀インキを用いてスクリーン印刷機により導電層および位置合わせ用マーカーを形成し、150℃30分間乾燥させた。次に、導電層上にスパッタリング法により、透明導電膜としてITO膜を25nm成膜した後、銀インキの位置合わせ用マーカーを基準に、フォトリソグラフィ法により透明導電膜のパターンを形成した。
実施例1の場合、ハードコートを塗工したことにより、傷の少ない透明導電膜が形成できた。また、位置合わせが容易であったことから、パターンずれによる欠陥が無かった。ITO膜のシート抵抗の値は200Ω/□で安定していた。
<実施例2>
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、実施例1と同様のハードコート層を形成し、透明基板のハードコート層とは反対面に、実施例1と同様の導電層および位置合わせ用マーカーを形成した。次に、実施例1と同様のITO膜を25nm成膜後、光学調整層として、SiO2を70nm成膜した後、銀インキの位置合わせ用マーカーを基準に、フォトリソグラフィ法によりSiO2およびITOを同じパターンでエッチングし、導電性基板を得た。
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、実施例1と同様のハードコート層を形成し、透明基板のハードコート層とは反対面に、実施例1と同様の導電層および位置合わせ用マーカーを形成した。次に、実施例1と同様のITO膜を25nm成膜後、光学調整層として、SiO2を70nm成膜した後、銀インキの位置合わせ用マーカーを基準に、フォトリソグラフィ法によりSiO2およびITOを同じパターンでエッチングし、導電性基板を得た。
実施例2の場合、ハードコートを塗工したことにより、傷の少ない透明導電膜が形成できた。また、位置合わせが容易であったことから、パターンずれによる欠陥が無かった。ITO膜のシート抵抗の値は200Ω/□で安定しており、光学特性に関しても導電性パターン領域と非導電性パターン領域の全光線透過率差は0.3%で、パターンの視認し難い導電性基板が得られた。
<比較例>
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、実施例1と同様のハードコート層を形成し、透明基板のハードコート層とは反対面に、スパッタリング法により光学調整層としてTiO2を10nm、SiO2を56nm、透明導電膜としてITO膜を25nmそれぞれ成膜した。次に、フォトリソグラフィ法により、ITO膜に導電性パターン領域、非導電性パターン領域および位置合わせ用マーカーを形成し、最後に銀インクを用いてスクリーン印刷機により導電層を形成し、150℃30分間乾燥させ、導電性基板を得た。
透明基板としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、厚み:100μm)を用い、一方の面に、実施例1と同様のハードコート層を形成し、透明基板のハードコート層とは反対面に、スパッタリング法により光学調整層としてTiO2を10nm、SiO2を56nm、透明導電膜としてITO膜を25nmそれぞれ成膜した。次に、フォトリソグラフィ法により、ITO膜に導電性パターン領域、非導電性パターン領域および位置合わせ用マーカーを形成し、最後に銀インクを用いてスクリーン印刷機により導電層を形成し、150℃30分間乾燥させ、導電性基板を得た。
比較例の場合、導電性パターン領域と非導電性パターン領域の全光線透過率差は0.7%とパターンの視認し難い導電性基板が得られたが、位置合わせ用マーカーが導電層を設けるスクリーン印刷工程で読み取れず、位置合わせ欠陥が多発した。また、銀インキの乾燥工程での高温により、成膜後200Ω/□だったITO膜のシート抵抗の値が800Ω/□へ増大したことが確認された。
1…透明基板
1’…他の透明基板
2…導電層
3…透明導電膜
3a…導電性パターン領域
3b…非導電性パターン領域
4…導電性基板
4’…他の導電性基板
5…光学調整層
6…ハードコート層
7a、7b…レジスト
7c…感光したレジスト
8…粘着層
1’…他の透明基板
2…導電層
3…透明導電膜
3a…導電性パターン領域
3b…非導電性パターン領域
4…導電性基板
4’…他の導電性基板
5…光学調整層
6…ハードコート層
7a、7b…レジスト
7c…感光したレジスト
8…粘着層
Claims (8)
- 透明基板の少なくとも片面に、電圧変化を検知できる回路に接続される金属配線パターンである導電層と、導電性パターン領域及び非導電性パターン領域を有する透明導電膜と、前記透明導電膜の導電性パターン領域の表面のみに形成された1又は2層以上の光学調整層とを前記透明基板側からこの順序で備えることを特徴とする導電性基板。
- 前記導電性基板の少なくとも片面の何れかの層の間又は最表面にハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性基板。
- 粘着層を介して、他の透明基板又は他の導電性基板に貼合されていることを特徴とする請求項2に記載の導電性積層体。
- 前記導電層のシート抵抗の値が1Ω/□以下であり、前記透明導電膜のシート抵抗の値が100Ω/□以上700kΩ/□以下であることを特徴とする請求項3に記載の導電性基板。
- 請求項4に記載の導電性基板を用いたタッチパネル。
- 透明基板の少なくとも片面に、電圧変化を検知できる回路に接続される金属配線パターンである導電層を形成する工程と、
前記導電層の表面に透明導電膜を形成する工程と、
前記透明導電膜の表面に1又は2層以上の光学調整層を形成する工程と、
パターン形成方法により、導電性パターン領域及び非導電性パターン領域を有する透明導電膜と、前記透明導電膜の導電性パターン領域の表面のみに形成された光学調整層とを形成する工程と
をこの順に備えることを特徴とする導電性基板の製造方法。 - さらに、ハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の導電性基板の製造方法。
- 全ての工程をロールトゥロール方式により行うことを特徴とする請求項7に記載の導電性基板の製造方法。
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