JP2004034312A - 透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】従来の技術では解決することの困難であった電磁波シールド用フィルターとして用いた場合に製造中の成膜速度安定性を上げ、長時間かつ連続的に光学特性の安定した透明導電性フィルムの製造方法を提供する。
【解決方法】透明基体(A)の一方の主面上に金属酸化物または金属硫化物からなる高屈折率透明薄膜層(B)と少なくとも銀を含む金属薄膜層(C)からなる透明導電層が(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、直流スパッタリングの直流印可電圧の降下後に直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【解決方法】透明基体(A)の一方の主面上に金属酸化物または金属硫化物からなる高屈折率透明薄膜層(B)と少なくとも銀を含む金属薄膜層(C)からなる透明導電層が(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、直流スパッタリングの直流印可電圧の降下後に直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明導電性フィルムの製造方法に関する。詳しくは、プラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶表示装置(LCD)等の表示装置から発生する電磁波を効率良く低減させることのできる透明導電性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の社会情勢にみられる高度情報化に伴い、マンーマシンインタフェイスの役割を担う表示装置の重要性が高まっている。その中でテレビジョン用、パーソナルコンピュータ用、駅や空港などの案内表示用その他各種の情報提供用に用いられる大画面表示装置には高画質化、高効率化、薄型化が要求される。
現在、次世代大画面フラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)が注目されており、また、すでに一部が市場に出始めている。しかしながら、PDPにはその原理上の問題から強度の漏洩電磁界を発生するという問題点を有している。漏洩電磁界は他の電気電子機器等の誤作動、通信障害などを引き起こし、最近では人体に対する影響も懸念されている。特にPDP装置は、そのプラズマ中の励起原子から発生する近赤外線光がコードレスフォン、リモコン等の電子機器に作用する問題がある。
【0003】
そのため、一般的にディスプレイ装置とくにPDPには、漏洩電磁界および近赤外光をシールドするためのフィルター(以下、電磁波フィルター)が用いられている。一般的な電磁波フィルターの構成は、支持板の片面に電磁波シールド層を形成し、支持板の他の片面および電磁波シールド層が形成されたフィルム表面に反射防止層が形成されたものが挙げられる。これらの部材を貼り合わせ、塗布等の手法で組み合わせてPDP光学フィルターとして用いられる。
【0004】
電磁波フィルターの近赤外線および電磁界のシールド材料としては現在のところ大きく分けて▲1▼アースした金属メッシュまたは、合成樹脂または金属繊維のメッシュに金属を被覆したものと近赤外線を吸収する色素とを組み合わせたもの、▲2▼アースした酸化インジウム−錫(ITO)に代表される透明導電性薄膜と(場合によっては)近赤外線を吸収する色素とを組み合わせたものがある。
【0005】
▲1▼の例としては特開平9−330667号公報には透明樹脂板上に導電性ペーストをメッシュ状に塗布乾燥させて作成した電磁波シールド板がある。▲2▼の透明導電性薄膜を基体上に形成した例としては特開平10−73719号公報などに記載された、透明高分子フィルムの一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(B)、金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰り返し単位として4回以上繰り返し積層され、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)、透明樹脂層が形成された調光フィルムが貼り合わされたディスプレイ用光学フィルターが挙げられる。これらの電磁波フィルターを用いると効率良くPDP(匡体)から発生する電磁波、および近赤外線をシールドすることが可能となる。特に後者の例では、電磁波シールド層として透明導電性薄膜を使用しており、前者と比較してメッシュによる遮光部分の発生やモワレの発生がない。これらの電磁波シールド層自体は、機械的強度が充分ではないためにガラス板やプラスチック板などの支持板とともに用いられる。
【0006】
また、この中で、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層と銀を主成分とする金属薄膜層とを積層したものは、透明性が高く、表面抵抗率が低く、良好な電磁波シールド機能を有するために好ましく用いることができる。高屈折率透明薄膜層の成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知の手法を用いることができる。これらの内、スパッタリング法が最も好ましいが、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層を同一ターゲットで大量に連続的に成膜する場合、ターゲット表面の部分的酸化が成膜室内のプラズマインピーダンスが過渡的変化しアーク放電が生じ、成膜速度の変化により所望の膜厚が得られないなどの問題がある。
【0007】
この問題を解決するためさまざまな検討が試されてきたが、充分な効果が得られていないのが現状であった。一般に金属酸化物などの高屈折率薄膜層をスパッタリング法で成膜する場合、アーク放電の発生をターゲット製造時に低減させる方法として、ターゲット密度を高くする、ターゲット表面の異物を低減する、または滑らかにする等の技術が公知の技術として存在するが、いずれも透明導電性フィルムの製造コストの上昇になる。
一方、アーク放電の発生をスパッタリング時に低減させる方法として、スパッタ印加電力を下げる、スパッタガスに混合する反応性ガスの体積流量を下げる等の方法があるが、いずれも透明導電性フィルムの製造効率を下げる、成膜後の透明導電性フィルムのもつ光学特性、電気特性を制限してしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術では解決することの困難であった電磁波シールド用フィルターとして用いた場合に製造中の成膜速度安定性を上げ、長時間かつ連続的に光学特性の安定した透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層を同一ターゲットで大量に連続的に成膜する場合、ターゲット表面がスパッタリングガス中の反応性ガスと反応し絶縁物層を形成すること、アーク放電などの異常放電は絶縁物層を介してアルゴンイオンなどのプラズマ中のイオンがチャージアップし、その絶縁物層が破壊することが判り、スパッタリング時の印加電圧に逆極性の単パルスもしくは連続パルス電圧を重畳することにより解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は
(1) 透明基体(A)の一方の主面上に金属酸化物または金属硫化物からなる高屈折率透明薄膜層(B)と少なくとも銀を含む金属薄膜層(C)からなる透明導電層が(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、直流スパッタリングの直流印可電圧の降下後に直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
(2) スパッタリングの直流印加電圧降下開始から2μ秒〜1秒経過後に1μ秒〜10μ秒の間で直流印加電圧の極性を反転させることを特徴とする(1)に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(3) スパッタリング直流印加電圧の降下量が100V〜300Vの範囲に到達したときに直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする(1)に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(4) スパッタリング印加定電圧に逆極性の1kHz〜50kHzの範囲の連続パルス電圧を重畳させることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(5) 高屈折率透明薄膜層(B)の金属酸化物が酸化インジウム、酸化インジウム―錫、および酸化錫の中から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(6) 透明基体(A)が透明プラスチックフィルムロールであり、ロールトゥロールで透明導電性フィルムを形成することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
に関する。
【0011】
【実施の実施の形態】
本発明に係わる成膜装置としてはスパッタリング法に限定される。さらに成膜装置はターゲットなどのリソース、制御などのアプリケーション、雰囲気分離のための隔壁などが1組になった成膜室を複数有し、それぞれが独立に動作する成膜装置であることが望ましい。連続的に形成する場合、透明基体(A)を連続的かつ順番に複数の成膜室中に搬送する必要があるので、成膜装置には透明基体(A)の形態に適した搬送機能を有する必要がある。この場合ロールトゥロールで製造できる装置が最も好ましい。
【0012】
本発明に係わる透明導電性フィルムは、高屈折率透明薄膜層(B)の金属酸化物が酸化インジウム、酸化インジウムー錫、および酸化錫の中から選ばれた少なくとも1種の酸化物であることが好ましく、更に高屈折率透明薄膜層(B)の厚みが5〜200nmであることが好ましく、金属薄膜層(C)の厚みが4〜30nmであることが好ましい。量産中アーク放電などの異常放電により成膜速度に達せず、上記範囲内で設計された目標膜厚を1層でも下回ると、設計通りの光学特性・電気特性が得られず該当部分は不良となり歩留まりを悪化させる。
【0013】
上記の異常放電を防止するためスパッタリング時の印加電圧に逆極性の単パルスもしくは連続パルス電圧を重畳するには、スパッタリング直流主電源と成膜用電極の間に直列に単パルスもしくは連続パルス発生装置を設けるのが好ましい。パルス発生装置は、スパッタ電極間のインピーダンス変化に影響しないようノイズフィルタを介して設置することが好ましい。スパッタリング印加電圧降下の検出は早いほど好ましいが、降下後2μ秒〜1秒、更に好ましくは2μ〜1m秒後に動作することが好ましく、パルス幅はスパッタリング時の雰囲気に応じて調整できることが好ましく、1μ秒〜10μ秒間で設定できることが望ましい。スパッタリング印加定電圧に逆極性の1kHz〜50kHzの連続パルス電圧を重畳させることも本発明において好適である。この場合過剰に逆極性のパルス電圧を重畳することは、実効スパッタ電力を低下させ成膜速度の低下を招くので最適な周波数を選択することが好ましい。
また、直流印可電圧の降下量が100V〜300Vの範囲、更に好ましくは50V〜100Vの範囲に到達したときに直流印可電圧の極性を反転することも好ましい態様である。
【0014】
本発明に係わる透明導電性フィルムの製造方法は一般の製造方法と比べ、スパッタリングの放電を長期に安定に保持できるため、同一ターゲットで連続的に光学的・電気的特性の安定した透明導電性フィルムを得ることができ、本発明によって製造された透明導電性フィルムはプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイの電磁波シールド用フィルターとして好適に使用することができる。
【0015】
本発明に用いる透明基体としては透明プラスチックフィルムを好ましく用いる。透明プラスチックフィルムとしては透明であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、およびこれらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーからなる高分子フィルムが挙げられる。
【0016】
透明プラスチックフィルムの形成法としては、溶融押し出し法、キャスト法、カレンダー法等、公知のプラスチックフィルムの製造法を用いることが可能である。
また、後述するように透明導電性フィルムは透過色・反射色ともに好ましくない色である場合がある。その際の色の補正を目的として透明プラスチックフィルムを着色することも可能である。
着色の方法としては、前記プラスチックフィルムを形成する際に色素と前もって混合してからフィルム化する方法、樹脂中に色素を分散させインキ化し、塗布乾燥させる方法、着色したプラスチックフィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0017】
透明プラスチックフィルムの全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
これらの透明プラスチックフィルムの全光線透過率は92%を越えることは一般的にはない。ただし、反射防止層などを形成して光線透過率を上げることにより上記の値を越えることは可能である。
また、透明プラスチックフィルムの厚みには特に規定を設けないが、ハンドリング性の観点から25〜250μmが好ましい。
更に透明導電層との密着性を向上させることを目的として、透明導電層を形成する面に、例えば水性ポリウレタン系、シリコン系コート剤等の密着性を向上させるための下地層を形成することも可能である。
【0018】
透明導電性フィルムは、メッシュの場合と異なり、電磁波シールド面全体を覆っており、ディスプレイの表示分解能を落とすことがない。また、近赤外線の反射能も兼ね備えており、更にロール状での加工が可能であるなど多くの優れた特徴を有しており、本発明の目的に良く合致する。
【0019】
透明導電層の形成は、透明プラスチックフィルムの片面上に形成することが好ましい。両面上に形成すると透明導電層のアースが困難となり好ましくない。本発明に用いる透明導電層としては、透明性が高く、電磁波シールド能は表面抵抗に比例するため低抵抗率の高屈折率薄膜層(B)と金属薄膜層(C)とからなることが好ましい。一般的に透明導電性薄膜として知られている酸化インジウムー錫(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物系透明導電性薄膜層単独の場合、表面抵抗値を下げるためには薄膜層を厚くする必要があり、その場合、全光線透過率が大幅に低下し好ましくない。また、高屈折率透明薄膜層(B)と金属薄膜層(C)とは繰り返し積層することが好ましい。この場合、最表面層は、高屈折率透明薄膜層(B)であることが好ましい。最表面層が金属薄膜層(C)である場合、空気層もしくは樹脂層と金属層との間に直接反射する界面ができるため、光の反射が大きくなり、光線透過率が大幅に低下するために好ましくない。また、金属層が直接外気にさらされ金属層の劣化が進行し、この観点からも好ましくない。
【0020】
透明プラスチックフィルムの一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(B)、金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回繰り返し積層され、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が形成されていることが好ましい。繰り返し回数が上記の範囲よりも多い場合には、各層の膜厚の誤差が全体の光学特性の精度に大きく影響をおよぼすようになり、しかも生産性が悪くなるために好ましくない。
【0021】
本発明で製造する透明導電性フィルムの表面抵抗率は、0.5〜8Ω/□であることが好ましく、0.7〜4Ω/□であることが更に好ましい。表面抵抗率が上記の範囲内である場合、良好なシールド特性と光学特性とを両立することが可能となる。表面抵抗率が上記の範囲よりも低い場合、電磁波シールド特性自身は良好であるものの、光線透過率が著しく低下するために好ましくない。また、表面抵抗率が上記の範囲よりも高い場合は、光学特性は良好になるものの、電磁波シールド特性が悪くなるために好ましくない。
【0022】
上記透明導電性フィルムの全光線透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、55%以上であることが最も好ましい。全光線透過率が上記の値よりも低い透明導電性フィルムを用いた電磁波フィルターをディスプレイに組み付けると画面が暗くなるために好ましくない。
【0023】
本発明では透明導電層として一部に金属薄膜層(C)を用いている。そのため、金属薄膜層(C)と透明屈折率薄膜層(B)との厚みを光学的に最適化しても金属薄膜層による光の吸収・反射を避けることはできない。従って、本発明で用いる透明導電層の全光線透過率は80%を越えることは一般的にはない。
【0024】
本発明で製造する高屈折率透明薄膜層(B)としては特に材質が限定されるものではないが、好ましくは屈折率が1.8以上の材料が好ましい。このような高屈折率透明薄膜層(B)を形成しうる具体的な材料としては、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、錫、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、これらの酸化物の混合物、複合酸化物や硫化亜鉛等が挙げられる。これらの材料の中で酸化インジウムや酸化インジウム−錫(ITO)、酸化錫は透明性が高く、屈折率が高いことに加えて、成膜速度が速く、金属薄膜層との密着性が良好であることから好ましく用いることができる。
【0025】
高屈折率透明薄膜層の厚みとしては要求する光学特性から求まるものであり、特に制限されるものではないが、各層の厚みは2〜600nmが好ましく、5〜200nmが更に好ましい。また、先にも述べたように高屈折率透明薄膜層は金属薄膜層と繰り返し積層して用いるが、各高屈折率透明薄膜層は同じ材料である必要はなく、また、同じ厚みである必要もない。高屈折率透明薄膜層の成膜方法としては直流スパッタリング法を用いる。
【0026】
金属薄膜層(C)の材料としては、銀金属単体もしくは銀を含む金属層であることが好ましい。銀はその表面抵抗率の低さ、赤外反射特性が良好なこと、高屈折率透明薄膜層(B)と積層した場合の可視光線透過特性が優れるために好ましく用いることができる。
【0027】
高屈折率透明薄膜層の場合と同じように各金属薄膜層の厚みは要求する光学特性と表面抵抗率から求まるものであり、また、各金属層の厚みは島状構造でないことが好ましいため4nm以上が好ましく、透明性の観点から30nm以下が好ましい。先にも述べたように金属薄膜層は高屈折率透明薄膜層と繰り返し積層して用いるが、各金属薄膜層は同じ材質である必要はなく、また、同じ厚みである必要もない。金属薄膜層の成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知の手法を用いることができる。これらの内、スパッタリング法が最も好ましい。
【0028】
本発明で用いる成膜装置は一般にいうロールコーターが望ましい。ロールコーターはターゲット、成膜用ガスなどのリソース、成膜条件、基体搬送、真空ポンプ制御などのアプリケーション、雰囲気分離のための隔壁などが1組になった成膜室を2個以上有することが好ましく、5個以上有することが最も好ましい。また、プラズマ発生用電極を上記のチャンバーとは別に隔離された真空層中に設置されている必要がある。チャンバーの割り当ては透明導電性フィルムを成膜する場合2通りある。ロール状の透明基体(A)の繰り出し側に位置するチャンバーにプラズマ発生装置、金属薄膜層(C)用ターゲット、その他のチャンバーに各高屈折率透明薄膜層(B)用ターゲットを並べる場合と(以下(C)/(B)オーダー)、ロール状の透明基体(A)の繰り出し側と巻取り側の中央に位置するチャンバーに金属薄膜層(C)用ターゲット、その繰り出し側チャンバーにプラズマ発生装置、その他のチャンバーに各高屈折率透明薄膜層(B)用ターゲットを並べる場合(以下(B)/(C)/(B)オーダー)である。成膜装置のそれぞれのチャンバーは独立に動作する成膜装置であることが好ましいが、本発明では各高屈折率透明薄膜層(B)成膜用に割り当てられたチャンバーはその装置が得られる最大の堆積速度を実現する成膜条件で一定に保たれていることが好ましい。
【0029】
各高屈折率透明薄膜層(B)チャンバーには独立した直流電源、逆極性のパルス発生回路が接続されている必要がある。接続はスパッタリング用直流電源、逆極性パルス電源、スパッタリング電極の順に直列に接続されている必要がある。パルス電源の発振周波数は基本的なトランジスタインバータを用いるのが好ましいが、特に限定されるものではない。本発明ではプラズマのインピーダンスが過渡的に変化するため突入電流抑制回路を有していることが好ましい。スパッタリング装置に用いる上記の電源類は外来ノイズに対して電源を保護し動作を確実に行わせるためのノイズフィルタを有していることが更に好ましい。これはパルス発生回路が発生するノイズが入力ラインを伝わって直流電源へ漏洩するのを防止するのにも役に立つ。逆パルス電圧の印加は電圧降下検出をトリガーに単一パルスを発生するものが好ましく、プラズマ状態にかかわらず連続パルスを発生するものでもよい。電圧降下検出値、パルス幅、発振周波数は可変であることが好ましく、本発明の場合、それぞれ100〜400V、1μ秒〜10μ秒、1kHz〜50kHzの間で可変であることが最も好ましい。
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
なお、評価項目・評価方法に関しては以下のようにして行なった。
(1)アーク発生回数(回/分)
アーク発生検出回路[(株)ランドマークテクノロジー社製、製品名:MAM Genesis]を用いて、スパッタリング中の1分間に生じた100Vの電圧降下回数を30分間測定した。
(2)光学特性不良率(%)
製造した透明導電フィルムの460nmまたは780nm反射率が目標反射率の±10%を超えた部分の長さを総スパッタリング長で割ることにより算出した。
(実施例1)
厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人株式会社製、製品名:OGX)の一方の主面上にPETフィルム側から酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜の積層構造からなり、それぞれの厚みが40/10/80/10/80/10/40nmである透明導電性フィルムを得た。成膜装置は6個のチャンバーを有しており、透明基材繰り出し側から順にプラズマ発生装置(#1)/酸化インジウム錫(#2)/酸化インジウム―錫(#3)/銀(#4)/インジウム―錫(#5)/酸化インジウム錫(#6)がそれぞれプラズマ処理およびスパッタリングできるよう成膜装置を設定した。上記の酸化インジウム錫チャンバーには直流電源とスパッタリング電極間に逆極性パルス発生装置を設置し、電圧降下検出から2μ秒にパルス幅5μ秒の逆極性のパルス電圧を発生するようにした。
はじめに40nmの酸化インジウム―錫薄膜を形成し、次にプラズマ処理後40nm/10nm/40nmの酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜を3回積層して、目標の透明導電性フィルムを得た。なお、酸化インジウム薄膜の形成は、圧力が0.01Paとなるように排気した後、スパッタリングガス流量比をアルゴンガス:酸素ガス=100:7とし、それぞれ全圧が0.5Paになるまで導入した。
また、銀薄膜の形成は、ターゲットに銀を用い、圧力が0.01Paとなるように排気した後、全圧が0. 5Paになるまでアルゴンガスを導入した。この状態でマグネトロンDCスパッタリング法により成膜した。
プラズマ処理条件は圧力が0.01Paとなるように排気した後、全圧が1Paになるよう酸素ガスを導入した。印加電圧は直流1000V、プラズマ処理時間は4秒、プラズマ処理後3秒以内に銀薄膜の形成を開始した。
得られた透明導電性フィルム成膜中の配線図を図1に、上記方法により測定したアーク発生回数を図3に、得られた透明導電性フィルムの光学特性不良率を表1にまとめた。
(比較例1)
実施例1と比べて、酸化インジウム錫チャンバーの直流電源とスパッタリング電極間に逆極性パルス発生装置を設置しなかった以外はすべて同条件である。
得られた透明導電性フィルム成膜中の配線図を図2に、上記方法により測定したアーク発生回数を図4に、得られた透明導電性フィルムの光学特性不良率を表1にまとめた。
【表1】
【発明の効果】
本発明における透明導電性フィルムの製造方法を用いると、従来の方法では不可能であったアーク放電などの異常放電による光学特性・電気特性の不良が削減でき、ディスプレイ用電磁波シールドフィルター製造の歩留まりの向上、コストダウンを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現するための電源構成図
【図2】従来の電源構成図
【図3】本発明を実施した場合の1分間当たりのアーク放電発生率時間推移
【図4】従来の電源で成膜した場合の1分間当たりのアーク放電発生率時間推移
1 ターゲット
2 真空槽
3 直流電源
4 アークモニタプローブ
5 逆極性パルス電源
【発明の属する技術分野】本発明は透明導電性フィルムの製造方法に関する。詳しくは、プラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶表示装置(LCD)等の表示装置から発生する電磁波を効率良く低減させることのできる透明導電性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の社会情勢にみられる高度情報化に伴い、マンーマシンインタフェイスの役割を担う表示装置の重要性が高まっている。その中でテレビジョン用、パーソナルコンピュータ用、駅や空港などの案内表示用その他各種の情報提供用に用いられる大画面表示装置には高画質化、高効率化、薄型化が要求される。
現在、次世代大画面フラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)が注目されており、また、すでに一部が市場に出始めている。しかしながら、PDPにはその原理上の問題から強度の漏洩電磁界を発生するという問題点を有している。漏洩電磁界は他の電気電子機器等の誤作動、通信障害などを引き起こし、最近では人体に対する影響も懸念されている。特にPDP装置は、そのプラズマ中の励起原子から発生する近赤外線光がコードレスフォン、リモコン等の電子機器に作用する問題がある。
【0003】
そのため、一般的にディスプレイ装置とくにPDPには、漏洩電磁界および近赤外光をシールドするためのフィルター(以下、電磁波フィルター)が用いられている。一般的な電磁波フィルターの構成は、支持板の片面に電磁波シールド層を形成し、支持板の他の片面および電磁波シールド層が形成されたフィルム表面に反射防止層が形成されたものが挙げられる。これらの部材を貼り合わせ、塗布等の手法で組み合わせてPDP光学フィルターとして用いられる。
【0004】
電磁波フィルターの近赤外線および電磁界のシールド材料としては現在のところ大きく分けて▲1▼アースした金属メッシュまたは、合成樹脂または金属繊維のメッシュに金属を被覆したものと近赤外線を吸収する色素とを組み合わせたもの、▲2▼アースした酸化インジウム−錫(ITO)に代表される透明導電性薄膜と(場合によっては)近赤外線を吸収する色素とを組み合わせたものがある。
【0005】
▲1▼の例としては特開平9−330667号公報には透明樹脂板上に導電性ペーストをメッシュ状に塗布乾燥させて作成した電磁波シールド板がある。▲2▼の透明導電性薄膜を基体上に形成した例としては特開平10−73719号公報などに記載された、透明高分子フィルムの一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(B)、金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰り返し単位として4回以上繰り返し積層され、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)、透明樹脂層が形成された調光フィルムが貼り合わされたディスプレイ用光学フィルターが挙げられる。これらの電磁波フィルターを用いると効率良くPDP(匡体)から発生する電磁波、および近赤外線をシールドすることが可能となる。特に後者の例では、電磁波シールド層として透明導電性薄膜を使用しており、前者と比較してメッシュによる遮光部分の発生やモワレの発生がない。これらの電磁波シールド層自体は、機械的強度が充分ではないためにガラス板やプラスチック板などの支持板とともに用いられる。
【0006】
また、この中で、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層と銀を主成分とする金属薄膜層とを積層したものは、透明性が高く、表面抵抗率が低く、良好な電磁波シールド機能を有するために好ましく用いることができる。高屈折率透明薄膜層の成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知の手法を用いることができる。これらの内、スパッタリング法が最も好ましいが、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層を同一ターゲットで大量に連続的に成膜する場合、ターゲット表面の部分的酸化が成膜室内のプラズマインピーダンスが過渡的変化しアーク放電が生じ、成膜速度の変化により所望の膜厚が得られないなどの問題がある。
【0007】
この問題を解決するためさまざまな検討が試されてきたが、充分な効果が得られていないのが現状であった。一般に金属酸化物などの高屈折率薄膜層をスパッタリング法で成膜する場合、アーク放電の発生をターゲット製造時に低減させる方法として、ターゲット密度を高くする、ターゲット表面の異物を低減する、または滑らかにする等の技術が公知の技術として存在するが、いずれも透明導電性フィルムの製造コストの上昇になる。
一方、アーク放電の発生をスパッタリング時に低減させる方法として、スパッタ印加電力を下げる、スパッタガスに混合する反応性ガスの体積流量を下げる等の方法があるが、いずれも透明導電性フィルムの製造効率を下げる、成膜後の透明導電性フィルムのもつ光学特性、電気特性を制限してしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術では解決することの困難であった電磁波シールド用フィルターとして用いた場合に製造中の成膜速度安定性を上げ、長時間かつ連続的に光学特性の安定した透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、ITO等の金属酸化物に代表される高屈折率薄膜層を同一ターゲットで大量に連続的に成膜する場合、ターゲット表面がスパッタリングガス中の反応性ガスと反応し絶縁物層を形成すること、アーク放電などの異常放電は絶縁物層を介してアルゴンイオンなどのプラズマ中のイオンがチャージアップし、その絶縁物層が破壊することが判り、スパッタリング時の印加電圧に逆極性の単パルスもしくは連続パルス電圧を重畳することにより解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は
(1) 透明基体(A)の一方の主面上に金属酸化物または金属硫化物からなる高屈折率透明薄膜層(B)と少なくとも銀を含む金属薄膜層(C)からなる透明導電層が(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、直流スパッタリングの直流印可電圧の降下後に直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
(2) スパッタリングの直流印加電圧降下開始から2μ秒〜1秒経過後に1μ秒〜10μ秒の間で直流印加電圧の極性を反転させることを特徴とする(1)に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(3) スパッタリング直流印加電圧の降下量が100V〜300Vの範囲に到達したときに直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする(1)に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(4) スパッタリング印加定電圧に逆極性の1kHz〜50kHzの範囲の連続パルス電圧を重畳させることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(5) 高屈折率透明薄膜層(B)の金属酸化物が酸化インジウム、酸化インジウム―錫、および酸化錫の中から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
(6) 透明基体(A)が透明プラスチックフィルムロールであり、ロールトゥロールで透明導電性フィルムを形成することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
に関する。
【0011】
【実施の実施の形態】
本発明に係わる成膜装置としてはスパッタリング法に限定される。さらに成膜装置はターゲットなどのリソース、制御などのアプリケーション、雰囲気分離のための隔壁などが1組になった成膜室を複数有し、それぞれが独立に動作する成膜装置であることが望ましい。連続的に形成する場合、透明基体(A)を連続的かつ順番に複数の成膜室中に搬送する必要があるので、成膜装置には透明基体(A)の形態に適した搬送機能を有する必要がある。この場合ロールトゥロールで製造できる装置が最も好ましい。
【0012】
本発明に係わる透明導電性フィルムは、高屈折率透明薄膜層(B)の金属酸化物が酸化インジウム、酸化インジウムー錫、および酸化錫の中から選ばれた少なくとも1種の酸化物であることが好ましく、更に高屈折率透明薄膜層(B)の厚みが5〜200nmであることが好ましく、金属薄膜層(C)の厚みが4〜30nmであることが好ましい。量産中アーク放電などの異常放電により成膜速度に達せず、上記範囲内で設計された目標膜厚を1層でも下回ると、設計通りの光学特性・電気特性が得られず該当部分は不良となり歩留まりを悪化させる。
【0013】
上記の異常放電を防止するためスパッタリング時の印加電圧に逆極性の単パルスもしくは連続パルス電圧を重畳するには、スパッタリング直流主電源と成膜用電極の間に直列に単パルスもしくは連続パルス発生装置を設けるのが好ましい。パルス発生装置は、スパッタ電極間のインピーダンス変化に影響しないようノイズフィルタを介して設置することが好ましい。スパッタリング印加電圧降下の検出は早いほど好ましいが、降下後2μ秒〜1秒、更に好ましくは2μ〜1m秒後に動作することが好ましく、パルス幅はスパッタリング時の雰囲気に応じて調整できることが好ましく、1μ秒〜10μ秒間で設定できることが望ましい。スパッタリング印加定電圧に逆極性の1kHz〜50kHzの連続パルス電圧を重畳させることも本発明において好適である。この場合過剰に逆極性のパルス電圧を重畳することは、実効スパッタ電力を低下させ成膜速度の低下を招くので最適な周波数を選択することが好ましい。
また、直流印可電圧の降下量が100V〜300Vの範囲、更に好ましくは50V〜100Vの範囲に到達したときに直流印可電圧の極性を反転することも好ましい態様である。
【0014】
本発明に係わる透明導電性フィルムの製造方法は一般の製造方法と比べ、スパッタリングの放電を長期に安定に保持できるため、同一ターゲットで連続的に光学的・電気的特性の安定した透明導電性フィルムを得ることができ、本発明によって製造された透明導電性フィルムはプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイの電磁波シールド用フィルターとして好適に使用することができる。
【0015】
本発明に用いる透明基体としては透明プラスチックフィルムを好ましく用いる。透明プラスチックフィルムとしては透明であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、およびこれらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーからなる高分子フィルムが挙げられる。
【0016】
透明プラスチックフィルムの形成法としては、溶融押し出し法、キャスト法、カレンダー法等、公知のプラスチックフィルムの製造法を用いることが可能である。
また、後述するように透明導電性フィルムは透過色・反射色ともに好ましくない色である場合がある。その際の色の補正を目的として透明プラスチックフィルムを着色することも可能である。
着色の方法としては、前記プラスチックフィルムを形成する際に色素と前もって混合してからフィルム化する方法、樹脂中に色素を分散させインキ化し、塗布乾燥させる方法、着色したプラスチックフィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0017】
透明プラスチックフィルムの全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
これらの透明プラスチックフィルムの全光線透過率は92%を越えることは一般的にはない。ただし、反射防止層などを形成して光線透過率を上げることにより上記の値を越えることは可能である。
また、透明プラスチックフィルムの厚みには特に規定を設けないが、ハンドリング性の観点から25〜250μmが好ましい。
更に透明導電層との密着性を向上させることを目的として、透明導電層を形成する面に、例えば水性ポリウレタン系、シリコン系コート剤等の密着性を向上させるための下地層を形成することも可能である。
【0018】
透明導電性フィルムは、メッシュの場合と異なり、電磁波シールド面全体を覆っており、ディスプレイの表示分解能を落とすことがない。また、近赤外線の反射能も兼ね備えており、更にロール状での加工が可能であるなど多くの優れた特徴を有しており、本発明の目的に良く合致する。
【0019】
透明導電層の形成は、透明プラスチックフィルムの片面上に形成することが好ましい。両面上に形成すると透明導電層のアースが困難となり好ましくない。本発明に用いる透明導電層としては、透明性が高く、電磁波シールド能は表面抵抗に比例するため低抵抗率の高屈折率薄膜層(B)と金属薄膜層(C)とからなることが好ましい。一般的に透明導電性薄膜として知られている酸化インジウムー錫(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物系透明導電性薄膜層単独の場合、表面抵抗値を下げるためには薄膜層を厚くする必要があり、その場合、全光線透過率が大幅に低下し好ましくない。また、高屈折率透明薄膜層(B)と金属薄膜層(C)とは繰り返し積層することが好ましい。この場合、最表面層は、高屈折率透明薄膜層(B)であることが好ましい。最表面層が金属薄膜層(C)である場合、空気層もしくは樹脂層と金属層との間に直接反射する界面ができるため、光の反射が大きくなり、光線透過率が大幅に低下するために好ましくない。また、金属層が直接外気にさらされ金属層の劣化が進行し、この観点からも好ましくない。
【0020】
透明プラスチックフィルムの一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(B)、金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回繰り返し積層され、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が形成されていることが好ましい。繰り返し回数が上記の範囲よりも多い場合には、各層の膜厚の誤差が全体の光学特性の精度に大きく影響をおよぼすようになり、しかも生産性が悪くなるために好ましくない。
【0021】
本発明で製造する透明導電性フィルムの表面抵抗率は、0.5〜8Ω/□であることが好ましく、0.7〜4Ω/□であることが更に好ましい。表面抵抗率が上記の範囲内である場合、良好なシールド特性と光学特性とを両立することが可能となる。表面抵抗率が上記の範囲よりも低い場合、電磁波シールド特性自身は良好であるものの、光線透過率が著しく低下するために好ましくない。また、表面抵抗率が上記の範囲よりも高い場合は、光学特性は良好になるものの、電磁波シールド特性が悪くなるために好ましくない。
【0022】
上記透明導電性フィルムの全光線透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、55%以上であることが最も好ましい。全光線透過率が上記の値よりも低い透明導電性フィルムを用いた電磁波フィルターをディスプレイに組み付けると画面が暗くなるために好ましくない。
【0023】
本発明では透明導電層として一部に金属薄膜層(C)を用いている。そのため、金属薄膜層(C)と透明屈折率薄膜層(B)との厚みを光学的に最適化しても金属薄膜層による光の吸収・反射を避けることはできない。従って、本発明で用いる透明導電層の全光線透過率は80%を越えることは一般的にはない。
【0024】
本発明で製造する高屈折率透明薄膜層(B)としては特に材質が限定されるものではないが、好ましくは屈折率が1.8以上の材料が好ましい。このような高屈折率透明薄膜層(B)を形成しうる具体的な材料としては、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、錫、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、これらの酸化物の混合物、複合酸化物や硫化亜鉛等が挙げられる。これらの材料の中で酸化インジウムや酸化インジウム−錫(ITO)、酸化錫は透明性が高く、屈折率が高いことに加えて、成膜速度が速く、金属薄膜層との密着性が良好であることから好ましく用いることができる。
【0025】
高屈折率透明薄膜層の厚みとしては要求する光学特性から求まるものであり、特に制限されるものではないが、各層の厚みは2〜600nmが好ましく、5〜200nmが更に好ましい。また、先にも述べたように高屈折率透明薄膜層は金属薄膜層と繰り返し積層して用いるが、各高屈折率透明薄膜層は同じ材料である必要はなく、また、同じ厚みである必要もない。高屈折率透明薄膜層の成膜方法としては直流スパッタリング法を用いる。
【0026】
金属薄膜層(C)の材料としては、銀金属単体もしくは銀を含む金属層であることが好ましい。銀はその表面抵抗率の低さ、赤外反射特性が良好なこと、高屈折率透明薄膜層(B)と積層した場合の可視光線透過特性が優れるために好ましく用いることができる。
【0027】
高屈折率透明薄膜層の場合と同じように各金属薄膜層の厚みは要求する光学特性と表面抵抗率から求まるものであり、また、各金属層の厚みは島状構造でないことが好ましいため4nm以上が好ましく、透明性の観点から30nm以下が好ましい。先にも述べたように金属薄膜層は高屈折率透明薄膜層と繰り返し積層して用いるが、各金属薄膜層は同じ材質である必要はなく、また、同じ厚みである必要もない。金属薄膜層の成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知の手法を用いることができる。これらの内、スパッタリング法が最も好ましい。
【0028】
本発明で用いる成膜装置は一般にいうロールコーターが望ましい。ロールコーターはターゲット、成膜用ガスなどのリソース、成膜条件、基体搬送、真空ポンプ制御などのアプリケーション、雰囲気分離のための隔壁などが1組になった成膜室を2個以上有することが好ましく、5個以上有することが最も好ましい。また、プラズマ発生用電極を上記のチャンバーとは別に隔離された真空層中に設置されている必要がある。チャンバーの割り当ては透明導電性フィルムを成膜する場合2通りある。ロール状の透明基体(A)の繰り出し側に位置するチャンバーにプラズマ発生装置、金属薄膜層(C)用ターゲット、その他のチャンバーに各高屈折率透明薄膜層(B)用ターゲットを並べる場合と(以下(C)/(B)オーダー)、ロール状の透明基体(A)の繰り出し側と巻取り側の中央に位置するチャンバーに金属薄膜層(C)用ターゲット、その繰り出し側チャンバーにプラズマ発生装置、その他のチャンバーに各高屈折率透明薄膜層(B)用ターゲットを並べる場合(以下(B)/(C)/(B)オーダー)である。成膜装置のそれぞれのチャンバーは独立に動作する成膜装置であることが好ましいが、本発明では各高屈折率透明薄膜層(B)成膜用に割り当てられたチャンバーはその装置が得られる最大の堆積速度を実現する成膜条件で一定に保たれていることが好ましい。
【0029】
各高屈折率透明薄膜層(B)チャンバーには独立した直流電源、逆極性のパルス発生回路が接続されている必要がある。接続はスパッタリング用直流電源、逆極性パルス電源、スパッタリング電極の順に直列に接続されている必要がある。パルス電源の発振周波数は基本的なトランジスタインバータを用いるのが好ましいが、特に限定されるものではない。本発明ではプラズマのインピーダンスが過渡的に変化するため突入電流抑制回路を有していることが好ましい。スパッタリング装置に用いる上記の電源類は外来ノイズに対して電源を保護し動作を確実に行わせるためのノイズフィルタを有していることが更に好ましい。これはパルス発生回路が発生するノイズが入力ラインを伝わって直流電源へ漏洩するのを防止するのにも役に立つ。逆パルス電圧の印加は電圧降下検出をトリガーに単一パルスを発生するものが好ましく、プラズマ状態にかかわらず連続パルスを発生するものでもよい。電圧降下検出値、パルス幅、発振周波数は可変であることが好ましく、本発明の場合、それぞれ100〜400V、1μ秒〜10μ秒、1kHz〜50kHzの間で可変であることが最も好ましい。
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
なお、評価項目・評価方法に関しては以下のようにして行なった。
(1)アーク発生回数(回/分)
アーク発生検出回路[(株)ランドマークテクノロジー社製、製品名:MAM Genesis]を用いて、スパッタリング中の1分間に生じた100Vの電圧降下回数を30分間測定した。
(2)光学特性不良率(%)
製造した透明導電フィルムの460nmまたは780nm反射率が目標反射率の±10%を超えた部分の長さを総スパッタリング長で割ることにより算出した。
(実施例1)
厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人株式会社製、製品名:OGX)の一方の主面上にPETフィルム側から酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜の積層構造からなり、それぞれの厚みが40/10/80/10/80/10/40nmである透明導電性フィルムを得た。成膜装置は6個のチャンバーを有しており、透明基材繰り出し側から順にプラズマ発生装置(#1)/酸化インジウム錫(#2)/酸化インジウム―錫(#3)/銀(#4)/インジウム―錫(#5)/酸化インジウム錫(#6)がそれぞれプラズマ処理およびスパッタリングできるよう成膜装置を設定した。上記の酸化インジウム錫チャンバーには直流電源とスパッタリング電極間に逆極性パルス発生装置を設置し、電圧降下検出から2μ秒にパルス幅5μ秒の逆極性のパルス電圧を発生するようにした。
はじめに40nmの酸化インジウム―錫薄膜を形成し、次にプラズマ処理後40nm/10nm/40nmの酸化インジウム―錫薄膜/銀薄膜/酸化インジウム―錫薄膜を3回積層して、目標の透明導電性フィルムを得た。なお、酸化インジウム薄膜の形成は、圧力が0.01Paとなるように排気した後、スパッタリングガス流量比をアルゴンガス:酸素ガス=100:7とし、それぞれ全圧が0.5Paになるまで導入した。
また、銀薄膜の形成は、ターゲットに銀を用い、圧力が0.01Paとなるように排気した後、全圧が0. 5Paになるまでアルゴンガスを導入した。この状態でマグネトロンDCスパッタリング法により成膜した。
プラズマ処理条件は圧力が0.01Paとなるように排気した後、全圧が1Paになるよう酸素ガスを導入した。印加電圧は直流1000V、プラズマ処理時間は4秒、プラズマ処理後3秒以内に銀薄膜の形成を開始した。
得られた透明導電性フィルム成膜中の配線図を図1に、上記方法により測定したアーク発生回数を図3に、得られた透明導電性フィルムの光学特性不良率を表1にまとめた。
(比較例1)
実施例1と比べて、酸化インジウム錫チャンバーの直流電源とスパッタリング電極間に逆極性パルス発生装置を設置しなかった以外はすべて同条件である。
得られた透明導電性フィルム成膜中の配線図を図2に、上記方法により測定したアーク発生回数を図4に、得られた透明導電性フィルムの光学特性不良率を表1にまとめた。
【表1】
【発明の効果】
本発明における透明導電性フィルムの製造方法を用いると、従来の方法では不可能であったアーク放電などの異常放電による光学特性・電気特性の不良が削減でき、ディスプレイ用電磁波シールドフィルター製造の歩留まりの向上、コストダウンを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現するための電源構成図
【図2】従来の電源構成図
【図3】本発明を実施した場合の1分間当たりのアーク放電発生率時間推移
【図4】従来の電源で成膜した場合の1分間当たりのアーク放電発生率時間推移
1 ターゲット
2 真空槽
3 直流電源
4 アークモニタプローブ
5 逆極性パルス電源
Claims (6)
- 透明基体(A)の一方の主面上に金属酸化物または金属硫化物からなる高屈折率透明薄膜層(B)と少なくとも銀を含む金属薄膜層(C)からなる透明導電層が(B)/(C)を繰り返し単位として1回〜5回、さらにその上に高屈折率透明薄膜層(B)が積層した透明導電性フィルムの製造方法であって、直流スパッタリングの直流印可電圧の降下後に直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
- スパッタリングの直流印加電圧降下開始から2μ秒〜1秒経過後に1μ秒〜10μ秒の間で直流印加電圧の極性を反転させることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
- スパッタリング直流印加電圧の降下量が100V〜300Vの範囲に到達したときに直流印可電圧の極性を反転させることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
- スパッタリング印加電圧に逆極性の1kHz〜50kHzの範囲の連続パルス電圧を重畳させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
- 高屈折率透明薄膜層(B)の金属酸化物が酸化インジウム、酸化インジウム―錫、および酸化錫の中から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
- 透明基体(A)が透明プラスチックフィルムロールであり、ロールトゥロールで透明導電性フィルムを形成することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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JPH11311950A (ja) | 黒色電極を持つディスプレイ用電磁波シールド |
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