JPH1062603A - 導電性を有する反射防止板およびこれを付与してなる光学部品 - Google Patents

導電性を有する反射防止板およびこれを付与してなる光学部品

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JPH1062603A
JPH1062603A JP9089828A JP8982897A JPH1062603A JP H1062603 A JPH1062603 A JP H1062603A JP 9089828 A JP9089828 A JP 9089828A JP 8982897 A JP8982897 A JP 8982897A JP H1062603 A JPH1062603 A JP H1062603A
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antireflection
oxide
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light
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JP9089828A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Miyakita
衡 宮北
Yukio Yasunori
幸雄 康乗
Seiji Fujimoto
清二 藤本
Satoru Nagata
悟 永田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な層構成で、優れた反射防止性能を有
し、耐擦傷性、耐久性に優れた導電性を有する反射防止
板を提供する。 【解決手段】 透光性基板表面に、該基板表面側から順
に、体積固有抵抗が10 -1(Ω・cm)以下である透光
性導電層、酸化チタンを主成分とする層、二酸化ケイ素
を主成分とする層を形成することによって、優れた反射
防止性能を有し、耐擦傷性、耐久性に優れた導電性を有
する反射防止板を低コストで得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性、すなわち帯
電防止性、電磁波シールド性を有する反射防止板に関す
る。詳しくは単純な層構成により工業的量産性に優れた
導電性を有する反射防止板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスにおいて、また各種測定
時にディスプレイ画面を使用した作業が非常に多くなっ
ている。液晶ディスプレイやブラウン管等の表示画面を
見る場合、窓からの外光や室内照明が画面上で反射し、
表示が見難くなるとともに、ディスプレイ作業における
疲労の原因ともなっている。
【0003】この問題に対する対策の一手法として、表
示画面の表面に反射防止層を設け、表示画質を向上させ
ることが行われている。ガラスから成るレンズ等の光学
部品には、従来より反射防止層として二酸化ケイ素、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、弗化マグネシウム等の透
明誘電体層を付与することが行われており、この技術の
表示画面への応用が活発となってきた。
【0004】更に近年においては、OA化が進むにつれ
ディスプレイ画面から発生する有害な電磁波から人体を
守る工夫が施されたものが求められ、さらに今後普及す
るとみられるプラズマディスプレイ等の新しいディスプ
レイデバイスにおいても電磁波の放射による種々の弊害
が懸念されている。これらの状況からディスプレイ表面
機能においても反射防止に加えてこれらの電磁波をシー
ルドする機能が必要となってきた。
【0005】従来、これらの電磁波をシールドする方法
として、薄い金属薄膜をコーティングする方法や、導電
性のメッシュを用いることが行われてきが、この様な方
法では電磁波のシールド性は確保されるものの光の透過
率が低くなるため、ディスプレイ用途に使用した場合、
画面の輝度が低下し画質の低下を招くものであった。特
にメッシュを使用した場合は、シールド性は優れたもの
が得られるが、画面にメッシュパターンの干渉によるモ
アレが発生し、画面が非常に見難くなるという欠点があ
った。
【0006】これらの欠点を解決する手段として、透明
導電層をコートし、さらにこれと他の誘電体層を積層す
ることによって、反射防止機能と電磁波シールド機能を
両立させる技術が開示されている。この例として、特開
昭61−245449号公報には、プラスチック透明基
材上にハードコート層を設け、その表面に導電層を設
け、更にその表面に前記導電層の屈折率よりも低い屈折
率の層を設けた電磁波シールド性を有する光透過板が提
案されている。また特開平6−130204号公報に
は、多層の導電体層からなる反射防止光透過板が開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
61−245449号公報に記載の光透過板は、電磁波
シールド性は良好なものの、反射防止性能は不十分であ
り、広い波長帯域にわたる反射防止機能を有していな
い。また、特開平6−130204号公報に記載の光透
過板は、3層構成のものでは十分な反射防止性能が得ら
れておらず、また4層構成のものでは層構成が複雑であ
り安定的な作製が難しく、また反射防止膜トータルとし
ての厚みが厚いため低コストでの作製ができないと言っ
た欠点を有する。
【0008】このように、透明導電物質はそれぞれ固有
の屈折率を有すること、またある値以下の表面抵抗値を
有するためにはある厚み以上の膜厚が必要であることな
どから、反射防止性能を重視したものでは4層以上の多
層構成が採られていた。しかし、これらの4層以上の層
構成においては、それぞれの層の厚み、屈折率を厳密に
作製する必要があり、また反射防止層としてのトータル
の厚みが2500〜3000Å程度と厚くなることか
ら、生産性が悪く、低価格化が困難であるという問題が
あった。
【0009】かかる事情に鑑み、本発明者らは優れた導
電性を有する反射防止板について鋭意検討した結果、I
TO層を含む従来の反射防止層に関する前述の問題点
は、ITO層表面にITO層より屈折率に低い層を付与
することにより構成されていたためであり、ITO層表
面にITO層より屈折率の高い層を付与することによ
り、すなわち、透光性基板表面に、順にITO層などの
体積固有抵抗が10-1(Ω・cm)以下である透光性導
電層、酸化チタンを主成分とする層、酸化ケイ素を主成
分とする層の3層を形成することにより、優れた導電性
を有する反射防止板を容易に低コストで製造できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、透光
性基板表面に、該基板表面側から順に、体積固有抵抗が
10-1(Ω・cm)以下である透光性導電層、酸化チタ
ンを主成分とする層、酸化ケイ素を主成分とする層を形
成してなる導電性を有する反射防止板を提供するもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反射防止板は、フィルム状、シート状または板
状のもの(以下、板と称する)であり、通常、光学部品
の表面に貼合して用いられる。また表示装置の前面に配
置する光学フィルターなどの場合には、メタクリル樹脂
板などに透光性導電層、酸化チタンを主成分とする層、
酸化ケイ素を主成分とする層を形成し、これを他の部材
に貼合することなく、そのまま光学フィルターなどとし
て用いることもできる。従って、透光性基板としてはフ
ィルム状、シート状または板状のものが用いられる。基
板としては透光性で、真空プロセスに使用できるもので
あれば特に限定されるものではなく、その屈折率は通常
1.45〜1.65の範囲である。かかる透光性の基板
としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等のプ
ラスチックからなる合成樹脂基板やガラス板等が挙げら
れる。
【0012】合成樹脂基板を用いる場合、反射防止層の
耐擦傷性や反射防止層と基板との密着性を向上させる目
的でハードコート(HC)層を設けたものを使用するこ
とも有効である。ハードコート層は特に限定されるもの
ではなく、シリコン系、アクリル系、アクリルウレタン
系等の樹脂材料や、金属酸化物を主成分とするコーティ
ング層が例示できる。これらのハードコート層はスピン
コート法、浸漬法など公知の方法で設けられる。ハード
コート層の厚みとしては1μm〜20μm、好ましくは
3μm〜10μmであり、その屈折率は通常1.65以
下、好ましくは1.45〜1.65の範囲である。
【0013】透光性導電層(第1層)、酸化チタンを主
成分とする層(第2層)、酸化ケイ素を主成分とする層
(第3層)の形成方法は特に限定されるものではなく、
抵抗加熱蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法などの真空
蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの公
知の方法により形成することができる。
【0014】第1層の透光性導電層としては、透光性で
ありかつ体積固有抵抗率が10-1(Ω・cm)以下、好
ましくは10-2(Ω・cm)以下であればどの様なもの
でもよく、例えば酸化インジウムを主成分とし、酸化ス
ズが添加されたITO(Indium Tin Oxide)などに代表
される酸化インジウムおよび/または酸化スズを含む層
などが例示できる。体積固有抵抗値が10-1(Ω・c
m)より大きいものでは、光学膜程度の厚さにおいては
シート抵抗値が大きく、十分な電磁シールド性が確保で
きない。体積固有抵抗値は小さいほど好ましいが、通常
は2×10-4(Ω・cm)以上である。
【0015】この導電層の膜厚d1 は屈折率をn1 、反
射防止の目的とする光の波長をλとして、n1 ×d1
0.10λ〜0.23λ、さらには0.15λ〜0.2
2λとなるようにに設定されることが望ましい。0.1
0λより小さい場合は膜質の変動により体積抵抗値が大
きくなった場合、目的とするシート抵抗値が得られなく
なる可能性あり、また0.23λより大きい膜厚では十
分な反射防止性能を有するものが得難くなる可能性があ
る。なお、n1 は通常1.96〜2.10の範囲であ
る。具体的には、λを視感度が最もよいとされる550
nmとし、第1層としてITOからなる層を使用した場
合には、設定膜厚d1 としては約260Å〜約650
Å、さらには約390Å〜約620Åであることが望ま
しい。
【0016】この透光性導電層を付与する方法として
は、抵抗加熱蒸着法、EB蒸着法などの真空蒸着法、直
流放電スパッタ法(DC−スパッタ法)、高周波スパッ
タ法(RFスパッタ法)などのスパッタ法、イオンプレ
ーティング法等、どの様な方法でもよく、特に限定する
ものではないが、得られる膜がより低抵抗である必要が
ある場合はスパッタ法、イオンプレーティング法が適当
である。
【0017】第2層の酸化チタンを主成分とする層の膜
厚d2 は、屈折率をn2 、反射防止の目的とする光の波
長をλとして、n2 ×d2 が0.25λ〜0.32λ、
さらには0.27λ〜0.31λとなるように設定され
ることが望ましい。なお、n 2 は通常2.20〜2.3
5の範囲である。具体的には、λが550nmである場
合、設定膜厚d2 は約580Å〜約800Å、さらには
約630Å〜約780Åであることが望ましい。この第
2層を付与する方法としては、第1層の導電層と同様、
特に限定されるものではなく、第1層におけると同様に
真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等ど
の様な方法を用いてもよい。
【0018】第3層の酸化シリコンを主成分とする層の
膜厚d3 は、その屈折率をn3 、反射防止を目的とする
光の波長をλとして、n3 ×d3 が0.19λ〜0.2
5λ、さらには0.20λ〜0.24λとなるように設
定されることが好ましい。なお、n3 は後述のように
1.44〜1.60であることが好ましい。具体的に
は、例えばλを視感度の最も良いとされる550nmと
した場合、設定膜厚d3 は約650Å〜約960Å、さ
らには約730Å〜約920Åであることが好ましい。
なお、本発明の目的とする効果を得るには、n3 が1.
44〜1.60、さらには1.44〜1.50であるこ
とが好ましい。n3 が1.44未満では反射防止層の機
械的強度が劣る傾向にあり、1.60を超えると反射防
止の効果が不十分となる傾向にある。酸化ケイ素はその
酸化度により屈折率が大きく変化するため、例えば酸素
による反応性を利用したスパッタ法で酸化ケイ素層を形
成させた場合には屈折率を酸化度により制御することが
できる。この第3層を付与する方法としては、第1層の
透光性導電層と同様に特に限定されるものではなく、ど
の様な方法を用いてもよい。
【0019】本発明の反射防止板は上記のとおり、基板
上に第1層、第2層、第3層からなる構成を基本とする
ことにより、単純な層構成で良好な反射特性を有するも
のを得ることができるものである。更に機械的強度、密
着性を向上させる目的で第1層である導電層と基板表面
の間に、接着層として酸化ケイ素層、または酸化アルミ
ニウム層を設けることも有効である。かかる接着層を設
ける場合、その厚みは通常50Å〜500Åである。5
0Åより薄い膜厚では接着層としての働きは十分ではな
く、また500Åより厚い膜厚では接着層としては十分
であるが、全体の反射防止特性が低下する現象が発生
し、また全体としての膜厚も厚くなることから500Å
以下に押さえることが望ましい。使用する用途によりこ
の接着層の厚みは適宜設定する必要があるが、好ましく
は80〜200Åの範囲である。また、接着層として酸
化ケイ素層を用いる場合、その屈折率は1.46〜1.
90の範囲であることが好ましい。かかる屈折率は酸化
ケイ素の酸化度に応じて制御することができる。
【0020】本発明の導電性を有する反射防止板は、表
示装置の前面板として用いてもよいし、前面板表面に設
けた状態で使用されてもよいし、CRTディスプレイな
どの表面に直接粘着剤などで貼合して用いてもよい。ま
た、本発明の導電性を有する反射防止板を、偏光板上に
設けて液晶表示装置に用いてもよい。前面板または偏光
板は公知のものでよく、それらに取り付ける方法も粘着
剤で貼合するなど公知の方法が用いられる。
【0021】
【発明の効果】本発明の導電性を有する反射防止板は、
優れた反射防止性能を有し、耐擦傷性、耐久性に優れ、
また安価な物質を用いた3層という単純な層構成であ
り、トータル膜厚の薄膜化が可能であることから、従来
の構成に比べて低コストで容易に製造することができ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでな
い。なお、得られた導電性反射防止膜の評価は次のとお
りに行った。 (1)反射率の測定 (株)島津製作所製UV−2200を用いて、反射スペ
クトルを測定した。 ○:400〜650nmで反射率の最大値が3%未満 ×:400〜650nmで反射率の最大値が3%以上 (2)耐擦傷性テスト スチールウール#0000を使用し、250g/cm2
の荷重で表面を20回擦傷し、表面の傷つき状態を観察
した。 ◎:全く傷が付かない ○:ほとんど傷が付かない (3)密着強度テスト セロハンテープによる碁盤の目剥離テスト(JIS K
5400−1990)により評価した。ニチバンのセロ
ハンテープを用い、碁盤の目にカットした表面にテープ
を貼り付け、90゜の角度で引き剥がした時の反射防止
膜の剥離状況を観察した。 (4)耐久性テスト 試料を下記表1に示す条件下に200時間放置した後、
試料表面の微細なクラックの発生、膜の劣化(透明度の
低下)の有無を観察すると共に上記(3)の密着強度テ
ストを行った。
【0023】
【表1】
【0024】(5)工業的生産性 層構成の単純性を下記のように評価した。 ◎:2層以下の構成 ○:3層構成 ×:4層以上の構成 トータル膜厚を次の用に評価した。 ◎:1500Å以下 ○:1500Åより厚く2300Å以下 ×:2300Åより厚い
【0025】実施例1 トリアセチルセルロース(TAC、屈折率1.50)フ
ィルムにアクリルウレタン系のハードコート(HC、屈
折率1.52、厚み約5μm)を行ったもの(以下、H
C−TACと略する)を基板として使用し、表2に示す
ような層構成で反射防止板を構成した。図1にはこの材
料の断面の構成を示す。それぞれの膜の付与は以下のよ
うな条件で行った。第1層のITO層は、ITOをター
ゲットとするDCマグネトロンスパッタ法(以下、DC
−MSと略する)を用いて作製した。即ち基板をセット
後、真空度5×10-6 Torr まで真空に引いた後、アル
ゴンガスを投入して5×10-3 Torr とし、更にアルゴ
ンガス導入量の3%程度の酸素ガスを添加して放電パワ
ー400Wで550Åの膜厚を得た。この時ITO層の
体積固有抵抗値は5×10-4(Ω・cm)であった。第
2層はTiターゲットを用い、アルゴンガス量に対し酸
素ガス投入量を7%と設定し、真空度6×10-3 Torr
で反応性スパッタにより400Wの投入電力により69
0Åの酸化チタン(以下、TiOx と称する。)層を作
製した。第3層はSiターゲットを用い、アルゴンガス
量に対し酸素ガス投入量を20%と設定し、真空度5×
10-3 Torr で400Wの投入電力により830Åの酸
化ケイ素(以下、SiOx と称する。)層を作製した。
評価結果を表9および図2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】この導電性を有する反射防止層を設けたH
C−TACフィルムを偏光子であるポリビニルアルコー
ルの延伸フィルムに保護膜として貼合し、導電性反射防
止膜を付与した偏光板とた。これを液晶表示装置に用い
たところ、視認性が良好であり、帯電による埃の付着も
なく、また電磁波の漏洩がさらに減少した。
【0028】実施例2 PET(屈折率1.59)フィルムにアクリル系のハー
ドコート(屈折率1.55、厚み約5μm)を行ったも
の(以下、HC−PETと略する)を基板として使用
し、表3に示すような層構成で反射防止板を構成した。
第1層のITO層は、イオンプレーティング法(IPと
略する)を用いて600Åの厚みに作製した。このIT
O層の体積固有抵抗値は8×10-3(Ω・cm)であっ
た。第2層はTiターゲットを用い、アルゴンガス量に
対し酸素ガス投入量を7%と設定し、真空度6×10-3
Torr で反応性スパッタにより400Wの投入電力によ
り640ÅのTiOx 層を作製した。第3層はSiター
ゲットを用い、アルゴンガス量に対し酸素ガス投入量を
20%と設定し、真空度5×10-3 Torr で400Wの
投入電力により760ÅのSiOx 層を作製した。評価
結果を表9および図3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】実施例3 シリコン系ハードコート(屈折率1.50、厚み約5μ
m)層を有するポリメチルメタクリレート(PMMA、
屈折率1.50)板(以下、HC−PMMAと略する)
を基板として使用し、表4に示すような層構成で反射防
止板を構成した。第1層のITO層は、イオンプレーテ
ィング法を用いて500Åの厚みに作製した。このIT
O層の体積固有抵抗値は8×10-3(Ω・cm)であっ
た。第2層は真空蒸着法を用い、TiO2 をEBガンに
より加熱し750ÅのTiO2 層を作製した。第3層は
真空蒸着法を用い、SiO2 をEBガンにより加熱し8
70ÅのSiO2 層を作製した。評価結果を表9および
図4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】この導電性を有する反射防止層を設けたP
MMA板をメタクリル樹脂板の表面に貼合し、導電性反
射防止膜を付与した光学フィルターを作製した。これを
ブラウン管の前面に配置したところ、明るい環境下でも
視認性が良好であり、埃の付着もなく、また電磁波のシ
ールド効果を有するディスプレイが得られた。
【0033】実施例4 PET(屈折率1.59)フィルムにアクリル系のハー
ドコート(屈折率1.50、厚み約5μm)を行ったも
の(HC−PET)を基板として使用し、表5に示すよ
うな層構成で反射防止板を構成した。基板表面に実施例
1におけるSiOx 層作製と同一条件で厚み100Åの
SiOx 層(屈折率1.55)をITO層との接着層と
して付与し、その上の第1層から第3層までは実施例1
と同一の作製条件により、第1層のITO層は450Å
の厚みに作製し、第2層のTiOx は765Åとし、第
3層のSiOx は900Åとする層構成とした。この反
射防止板をCRTディスプレイ表面に粘着剤を用いて貼
合したところ、視認性が良好で、電磁波の漏洩を低減す
ることができた。評価結果を表9および図5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】実施例5 PETフィルム(屈折率1.59)にアクリル系のハー
ドコート(屈折率1.54、厚み約5μm)を行ったも
のを基板として使用し、表6に示すような層構成で反射
防止板を構成した。基板表面にEB加熱蒸着法(以下、
EBと略する)により、150ÅのAl23 層をIT
O層と基材との接着層として付与し、その上の第1層か
ら第3層までは実施例1と同一の作製条件により、第1
層のITO層は400Åの厚みに作製し、第2層のTi
x は770Åとし、第3層のSiOx は850Åとす
る層構成とした。評価結果を表9および図6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】比較例1 実施例2と同じ基板を用い、ITO層とSiOx 層を実
施例と同一の方法を用いて作製した(表7)。即ち第1
層の導電層として300ÅのITO層を付与し、その表
層に第2層として1170ÅのSiOx 層を作製した。
評価結果を表9および図7に示す。
【0038】
【表7】
【0039】比較例2 実施例2と同じ基板を用い、ITO層とSiOx 層を実
施例と同一の方法を用いて作製した(表8)。即ち第1
層として180ÅのITO層、第2層として300Åの
SiOx 層、第3層に1200ÅのITO層、第4層に
850ÅのSiOx を形成し4層構成の反射防止板とし
た。評価結果を表9および図8に示す。
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】(1)反射率 実施例1〜5および比較例2は分光特性に於けるボトム
の反射率が0.5%以下と良好であり、400nm〜6
50nmの可視光量域で反射防止膜がない場合の反射率
4%に比較し良好な反射防止性能が得られている。一
方、比較例1は2層反射防止膜特有のV型スペクトルを
示し、反射防止低波帯域が狭く良好な反射防止性能は得
られていない。 (2)耐擦傷性テスト 実施例1〜5、比較例1、2とも比較的良好な耐擦傷性
を示したが、接着層を付与した実施例4、5は特に良好
であった。比較例2においてはかなり良好なものも見ら
れたが傷のつき易さにバラツキが見られた。これは反射
防止層と基材との接着力が弱いためと考えられる。 (3)密着強度テスト 実施例1〜5、比較例1、2とも剥がれは生じず、良好
な密着性を示した。 (4)耐久性テスト 実施例1〜5及び比較例1〜2で作製した材料につい
て、全ての試料で問題のない耐久性を示した。 (5)工業的生産性 比較例2が4層構成でありそれぞれの層の膜厚制御を精
密に行う必要があり、更にトータル膜厚として2400
Å必要であるのに対し、実施例1〜3は3層構成と単純
な層構成である上、トータル厚みとしても全て2300
Å以下である。また実施例4、5についても物理的には
4層構成であるが、基材上の接着層は光学的意味あいを
ほとんど有しないため、接着層自体の膜厚変動によるス
ペクトルの変化は無視できるレベルであり実質3層構成
と考えることができ、トータル膜厚としても実施例1〜
3と同様2300Å以下である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた材料の断面の概念
図を示す。
【図2】本発明の実施例1で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図3】本発明の実施例2で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図4】本発明の実施例3で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図5】本発明の実施例4で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図6】本発明の実施例5で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図7】本発明の比較例1で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【図8】本発明の比較例2で得られた材料の反射スペク
トルを示す。
【符号の説明】
1 トリアセチルセルロースフィルム 2 ハードコート層 3 透光性導電層 4 酸化チタンを主成分とする層 5 酸化ケイ素を主成分とする層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/10 G02B 5/30 5/30 G02F 1/1335 G02F 1/1335 G09F 9/00 309A G09F 9/00 309 318A 318 G02B 1/10 Z (72)発明者 永田 悟 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板表面に、該基板表面側から順
    に、体積固有抵抗が10-1(Ω・cm)以下である透光
    性導電層、酸化チタンを主成分とする層、酸化ケイ素を
    主成分とする層を形成してなる導電性を有する反射防止
    板。
  2. 【請求項2】透光性基板と透光性導電層の間にハードコ
    ート層を有する請求項1に記載の反射防止板。
  3. 【請求項3】透光性導電層とハードコート層との間に、
    接着層として酸化ケイ素または酸化アルミニウムからな
    る層を有する請求項2に記載の反射防止板。
  4. 【請求項4】透光性導電層が酸化インジウムおよび/ま
    たは酸化スズを含む層である請求項1、請求項2または
    請求項3に記載の反射防止板。
  5. 【請求項5】透光性導電層の膜厚が260〜650Å、
    酸化チタンを主成分とする層の膜厚が580〜800Å
    かつ酸化ケイ素を主成分とする層の膜厚が650〜96
    0Åである請求項1に記載の反射防止板。
  6. 【請求項6】透光性導電層の屈折率が1.96〜2.1
    0、酸化チタンを主成分とする層の屈折率が2.20〜
    2.35かつ酸化ケイ素を主成分とする層の屈折率が
    1.44〜1.50である請求項1に記載の反射防止
    板。
  7. 【請求項7】請求項1記載の反射防止板を表面に設けて
    なる偏光板。
  8. 【請求項8】請求項1記載の反射防止板を表面に設けて
    なる表示装置の前面に配置する光学フィルター。
  9. 【請求項9】請求項1記載の反射防止板からなる表示装
    置の前面に配置する光学フィルター。
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