JPH0961604A - プラスティック反射防止フィルム - Google Patents

プラスティック反射防止フィルム

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JPH0961604A
JPH0961604A JP7242504A JP24250495A JPH0961604A JP H0961604 A JPH0961604 A JP H0961604A JP 7242504 A JP7242504 A JP 7242504A JP 24250495 A JP24250495 A JP 24250495A JP H0961604 A JPH0961604 A JP H0961604A
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film
plastic
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antireflection
transparent
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JP7242504A
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English (en)
Inventor
Kiyoto Mochizuki
清人 望月
Masayuki Yamashita
正行 山下
Shunroku Toyama
俊六 遠山
Tsutomu Aoyanagi
力 青柳
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Toyo Metallizing Co Ltd
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長尺プラスティックフィルムを出発基材とし
て、それをロ−ル状で多層反射防止膜を成膜加工し、製
造工程での傷や異物付着などによる製品欠点の発生が限
りなく少ないプラスティック多層反射防止膜フィルム及
びその製造方法を提供するものである。 【解決手段】プラスティックフィルムの片面に、該プラ
スティックフィルムまたはシ−トの屈折率より低い屈折
率の透明誘電体または透明導電体と該プラスティックフ
ィルムまたはシ−トの屈折率より高い屈折率の透明誘電
体または透明導電体とを組み合わせて3層以上の構成か
らなる多層反射防止層を形成し、裏面が保護フィルムで
バッキング保護されているプラスティック反射防止フィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示板(LC
D)、テレビ・コンピュ−タ−のブラウン管(CRT)
その他の表示画面あるいはショ−ウインドウなどガラス
前面に装着するのに好適なプラスティック反射防止フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスに対するプラスティックフィルム
の柔軟性と耐衝撃性(割れにくいなど)の活用の観点か
ら、透明なプラスティックフィルムに、屈折率の異なる
透明な物質を、光学的に計算、設計した膜厚で多層に形
成する、光の反射を小さくした反射防止フィルムとその
製造方法がすでに幾つか提案されている。ガラスへの反
射防止膜の蒸着方式による形成は極めて以前から行われ
ており、プラスティイクフィルムへの展開はガラスの反
射防止膜の形成技術がほとんどそのまま適用されている
といってよい。その場合、傷が付きやすいなど、ガラス
に対するプラスティックフィルムの欠点を補う意味での
新しい技術を加えた形で、プラスティイクフィルムへの
反射防止に関する技術やそれを使った製品が数多く特許
出願などとして提案されている。特開昭60-144702,61-2
45449,61-245449,特開平6-130204などがその例である。
【0003】これらの場合、反射防止膜の形成それ自体
は、ガラスへの反射防止膜の形成の延長として行われ、
プラスティックレンズへ反射防止膜の形成あるいは液晶
ディスプレイ画面への装着のように小面積のプラスティ
ック物体の表面に反射防止膜を形成すればよいので、加
工される製品基材を固定して、反射防止膜を形成する面
だけを加工すれば良く、製造工程の最初から最後まで、
表裏面の何かの物体との接触はほとんどなく、その結
果、製造工程での傷や異物付着などによる製品欠点の発
生確率は小さかった。
【0004】本発明は、長尺プラスティックフィルムを
出発基材として、それをロ−ル状で加工し、長尺のロ−
ル状反射防止フィルムを製造することによって、製造工
程での費用を大幅に低減すると共に、望むらくはディス
プレイへの装着などの供給工程までもこの長尺ロ−ル製
品の状態で提供して、本発明による製品の使用段階でも
ハンドリング性を良くすることによって、総合的な経済
性の向上を目的とするものである。しかしこの場合に
は、基材、製造過程段階のもの、製品すべてが長尺のロ
−ル状で扱われることになるので、フィルムの表裏面、
とくに非加工面(本発明の場合、反射防止膜を形成しな
い方の面)が複数のロ−ルと接触することになり、その
結果、製造工程での傷や異物付着などによる製品欠点の
発生確率が大きくなる。従来、この様な観点からの技術
対応の提案は見当たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記の問題点を解決し、長尺プラスティックフィルムを出
発基材として、それをロ−ル状で多層反射防止膜を成膜
加工し、製造工程での傷や異物付着などによる製品欠点
の発生が限りなく少ないプラスティック多層反射防止膜
フィルム及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の構成を有する。 A.プラスティックフィルムの片面に、該プラスティッ
クフィルムまたはシ−トの屈折率より低い屈折率の透明
誘電体または透明導電体と該プラスティックフィルムま
たはシ−トの屈折率より高い屈折率の透明誘電体または
透明導電体とを組み合わせて3層以上の構成からなる多
層反射防止層を形成し、裏面が保護フィルムでバッキン
グ保護されているプラスティック反射防止フィルム。 B.多層反射防止層を形成した面も保護フィルムでバッ
キング保護されているA記載のプラスティッ反射防止フ
ィルム。 C.多層反射防止層の最外層が、厚みが1nm〜20n
mの範囲の、水の接触角が90deg以上の撥水・撥油
性の透明層で構成されているA記載のプラスティック反
射防止フィルム。 D.プラスティック反射防止フィルムの基材プラスティ
ックフィルムが、引張り弾性係数が100〜450kg
/mm2の範囲の柔軟性を有するフィルムの、多層反射
防止層を形成させようとする面に、鉛筆硬度が2H以
上、厚み1〜15μmの耐摩傷性を有するハ−ドコ−ト
層を形成せしめたものであるA記載のプラスティック反
射防止フィルム。 E.プラスティックフィルムの片面に、該プラスティッ
クフィルムの屈折率より低い屈折率の透明誘電体または
透明導電体と、該プラスティックフィルムの屈折率より
高い屈折率の透明誘電体または透明導電体とを組み合わ
せて3層以上の構成からなる多層反射防止層を、真空蒸
着方式で成膜し、他方の面に保護フィルムを該真空蒸着
工程の前のいずれかの段階または該真空蒸着工程の後の
いずれかの段階でラミネ−トすること特徴とする裏面が
保護フィルムでバッキング保護されているプラスティッ
ク反射防止フィルムの製造方法。 F.真空中でプラスティックフィルムを連続的に走行さ
せながら、該プラスティックフィルムの片面に、該プラ
スティックフィルムの屈折率屈折率より低い屈折率の透
明誘電体または透明導電体と該プラスティックフィルム
の屈折率より高い屈折率の透明誘電体または透明導電体
とを組み合わせて、真空蒸着方式により3層以上の構成
からなる多層反射防止膜を形成し、他方の面に保護フィ
ルムを該真空蒸着工程の前のいずれかの段階または該真
空蒸着工程の後のいずれかの段階でラミネ−トすること
を特徴とする裏面が保護フィルムでバッキング保護され
ているプラスティック反射防止フィルムの製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】プラスティックフィルムの表面
に、高屈折率、中屈折率、低屈折率の透明物質を適切に
組み合わせ、それらの光学厚み(n×d,n:屈折率、
d:絶対厚み)から計算設計した厚みに積層して、反射
防止膜を製造する技術はすでに提案されている。この積
層は、通常、これらの物質を真空中、蒸発あるいはスパ
ッタリングさせ、プラスティック基材表面に析出させて
行われる。本明細書において、この成膜方法一般に習っ
て、総称して真空蒸着方式と呼ぶことにする。
【0008】本発明の目的は、長尺プラスティックフィ
ルムを出発基材として、それをロ−ル状で多層反射防止
層を真空蒸着方式で成膜加工し、製品の製造工程および
使用工程で、製品の非加工面(裏面)には弊害のある化
合物や異物の付着と傷などがなく、製品欠点の少ないプ
ラスティック反射防止フィルムを製造する加工プロセス
をつくることである。特に本発明は、製品である多層反
射防止膜フィルムが、各種ディスプレイへに装着され
て、日常使用される中で、反射防止性という本来の目的
以外に、生活環境によって水性・油性の汚れが付きにく
く、かつディスプレイ面が、拭き布、鉛筆、シャ−プペ
ンシルなど日常生活周辺物品と接触して傷が付きにくい
という特性を備えることをも目的としており、そのため
に多層反射防止層を形成する面だけに付与すべき物質
を、裏面には、後に説明するCVDという特別の真空蒸
着工程で付着させないことが重要な要件となる。これら
の目的要件を達成するために、製造工程のどこかの段階
で、裏面を保護フィルムでバッキング保護することが極
めて有効であることがわかった。製造工程の最初の段階
で裏面を保護フィルムでバッキング保護することが本発
明の効果を最も発揮できることは当然であるが、各プロ
セスの設備状況などにより保護フィルムをバッキングす
る段階は選択できる。後に説明する撥水・撥油性の防汚
膜の成膜工程以前のどこかの段階で保護フィルムをバッ
キングすることが望ましい。
【0009】保護フィルムとしては、特に限定されるも
のではないが、微粘着性の層が付与されたポリエステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが使用でき、特
殊な使い方をする場合にはセルロ−ストリアセテ−ト、
弗素系樹脂フィルムなども使用できる。バッキングの方
法は、ロ−ル間での圧着または熱圧着が可能である。本
製品の一般的な使われ方においては、保護フィルムを剥
離した後、粘着層が製品の裏面に残らないように保護フ
ィルム(粘着層)とバッキング(貼付け)の方法を選ぶ
必要がある。また、真空蒸着工程の前の段階でバッキン
グする場合は、真空蒸着工程での熱などの影響にも耐え
られ、剥離後悪い影響を残さないように材料と方法を選
ぶ必要もある。
【0010】本発明の製品の使用方法によって、この保
護フィルムをどの段階で剥離するかは異なるが、例えば
ディスプレイへの装着という使用目的の場合、装着しな
がら剥離すれば、使用段階での異物混入や接触による傷
の生起も起こりにくく、保護フィルムでバッキングする
ことの効果を十分に活用できることになる。
【0011】本発明で使用するプラスティックフィルム
としては、連続的に走行させてその表面に蒸着による多
層膜を形成させることから、ある程度の柔軟性と腰の強
さが必要であり、具体的には引っ張り弾性係数が100
〜450kg/mm2の範囲のものが好ましい。具体的
には、ポリエステル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、
メタクリル系樹脂、弗素系樹脂、トリアセテ−ト系樹脂
の内の一つまたは複合体からなるフィルムまたはシ−ト
を上げることができる。また、本発明による製品は、各
種ディスプレイ画面の前面に装着されることを前提とし
ているので、日常使用の環境で種々の物品(布、砂など
のほこり、爪、鉛筆の芯など)に触れて、あるいはこす
られて傷が付きにくいことが望ましい。そのために、柔
軟性のある柔らかいプラスティック表面を、1〜15μ
m程度の厚みの硬い膜、すなわちハ−ドコ−ト層で被膜
することが望ましい。その被膜の硬さは、鉛筆硬度で少
なくとも2H以上が望ましい。具体的には、ポリオルガ
ノシロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸化物系あ
るいは有機多官能アクリル系樹脂などが有効に使用でき
るが、これ以外の透明な充分な硬度のある樹脂も用いて
もよい。またこれらのハ−ド−コ−ト層の成膜方法とし
たは、真空蒸着方式も、溶液の塗布/乾燥によるいわゆ
るウヱット・コ−ティング方式など、通常行われている
いずれの方式も可能である。充分な硬度の被膜を得るた
めには、一般的には1μm以上の厚みが必要になるの
で、生産性の点からは、ウヱット・コ−ティング方式に
よるのが好ましく、その場合は、有機アクリル系統が選
択しやすく、メタクリル酸などのアクリル化合物と多官
能アルコ−ルとのエステル化合物を架橋させて成膜させ
る方法が好ましく使用される。
【0012】ハ−ド−コ−ト層と基材フィルムのと密着
性を高めるために、厚み2μm以下程度の薄いアンカ−
コ−ト層を設けることが好ましく行われる。その場合に
は、基材の樹脂の種類にもよるが、一般的にはアクリル
系統あるいはポリエステル系統の樹脂を用いて、基材フ
ィルムの製造時でのインライン方式またはオフライン方
式いずれの方法も採り得る。
【0013】次に多層の反射防止膜の成膜について説明
する。一般的な多層反射防止膜の原理とその成膜方法に
ついてはすでに公知であり、種々の目的に応じて多種多
様の方法と実施例が紹介されている。基本的には、基材
フィルムの、また本発明の場合は、アンカ−コ−ト層や
ハ−ドコ−ト層を含めた基材フィルムの屈折率より、小
さい屈折率をもつ透明な化合物と、基材フィルムの屈折
率より大きい屈折率をもつ透明な化合物および中間的な
大きさの屈折率の化合物からなる複数の層を、全体の反
射率を極小に近い値にするように設計された光学的膜厚
み(屈折率nと絶対厚みdの積)で構成することからな
る。そのときに、使用される目的、許容される生産のた
めの費用、生産のために採用できる成膜の方法によっ
て、具体的な多層の構成内容が異なってくる。
【0014】本発明においては、可視光線の広い領域、
具体的には少なくとも波長480nm〜650nmの範
囲で、反射率が1%を越えないことが望ましい。このた
めには、どうしても単一の物質による被膜では達成でき
ず、高屈折物質、低屈折物質を組み合わせて少なくとも
3層の多層構成にしないと安定しては実現できないこと
が分かった。
【0015】さらに本発明の好ましい要件として、本発
明による反射防止フィルムまたはシ−トがある程度の導
電性をもち、ディスプレイを持つ映像機本体からの電磁
波をシ−ルドし、また静電気によるほこりの付着を低減
し得るものであることが望ましい。具体的には、反射防
止膜面で測定される表面抵抗が3KΩ以下であることが
望ましい。この導電性と低反射率の両立を、経済的で最
も実用的な手段としては、ITOを主成分とする層を多
層膜の1成分とすることが挙げられる。ITOとは、酸
化スズと酸化インジュウムの混合物であるが、透明生と
導電性の兼ね合いから、一般には酸化スズの含有割合が
5〜20%のものを好ましく用いることができる。IT
Oは、屈折率が1.9〜2.1の範囲にあり、多層反射
防止膜の構成の、高屈折率の膜として使うことができ
る。導電性の点からはITO層の厚みは厚いほど好まし
いが、反射率の点からは、対象とする波長に対して光学
的理論から要求される特定の厚み(必ずしも一つの値で
はないが)近辺でなければならない。
【0016】この導電性の要件も含めて、本発明に使用
できる多層膜の構成物質としては、高屈折率物質とし
て、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タングステ
ン、酸化モリブデン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、
酸化セリウム、酸化インジウム、ITO,これらの混合
物などがあげられる。低屈折率物質としてふっ化マグネ
シウム、酸化ケイ素、ふっ化アルミ、ふっ化リチウム、
これらの混合物などがあげられる。また中間的な屈折率
の大きさの物質として酸化アルミが挙げられる。
【0017】以上の多層からなる反射防止膜を形成する
方法としては、一般に蒸着法といわれる方法、すなわち
スパッタリング法、電子銃加熱方式による蒸着法、イオ
ンプレ−ティング法などを用いることができる。また電
子銃加熱方式による蒸着法の場合など、各層の密着性を
を高めるために蒸着時にイオンビ−ムによって蒸散化合
物をイオン化など活性化させて蒸着することも好ましく
行い得る。
【0018】多層反射防止膜の製膜においては、その膜
厚みの制御が極めて重要なことはいうまでもないが、実
際には、製膜時に、オンラインで光学的膜厚み(ni×
i,i =1 〜整数,ni:第i層の屈折率、di=第i
層の厚み)を光学式膜厚計を用いてモニタ−しながら、
刻々の測定値を蒸着条件にフィ−ドバックさせながら製
膜するのが好ましい。
【0019】本発明の最も好ましい態様としては、さら
に、多層反射防止層の上に、厚みが1nm〜20nmの
範囲の、水の接触角が90deg以上である撥水・撥油
性の透明層が設けられている多層反射防止膜を有するプ
ラスティック製光学物品であることが挙げられる。この
目的は、本発明による製品が、ディスプレイ表面に装着
されて使用される場合に、本来の使用目的ではない、い
ろいろな使用環境に置かれて、表面が汚れ難くするため
である。よごれの原因物質としては汗、手垢、口紅、コ
−ヒ−、マジックインキ、マヨネ−ズ、……などを想定
して撥水性、撥油性の被膜を設けることによってもくて
きは達成される。この撥水性、撥油性の被膜の具体的な
製膜方法としては、種々の方法が有り得るが、例えば、
特開平6−122776に示されるようなフルオロアル
キルシランなどの表面エネルギ−の小さい化合物を、真
空容器中に蒸発導入し、気体状態でプラズマ雰囲気で活
性化させ、反射防止膜層の最外層表面で化学結合によっ
て高分子化被膜する方法(いわゆるCVD方式)が、多
層反射防止層の形成プロセスとの関連で、本発明の場合
好ましく使われる。汚れ防止性能の尺度として、水の接
触角を用いるのが便利であり、水の接触角が90deg
以上であるときに顕著な汚れ防止効果が発揮できる。よ
り具体的な被膜方法については、実施例の項で記載する
が、このCVD方式を実施するとき、低表面エネルギ−
化合物あるいは活性化された低表面エネルギ−化合物気
体が、真空容器全体にに拡散し、工程を走行する製品
の、加工すべき面だけでなく、裏面にも付着する恐れが
ある。本発明による反射防止フィルムの使用方法によっ
ては、この低表面エネルギ−化合物の裏面への付着が致
命的不都合となる場合がある。すなわち接着剤を介在さ
せて、この製品をディスプレイに接着させようとする場
合、低表面エネルギ−化合物が接着性を著しく阻害する
ためである。裏面への低表面エネルギ−化合物の蒸気付
着を避けるために、この工程以前での保護フィルムのバ
ッキングが極めて有効である。
【0020】こうして得られた本発明によるプラスティ
ック反射防止フィルムは、裏面への製造工程での異物付
着、弊害化合物の付着、ロ−ル表面とのこすれによる傷
などの少ない、使用面から見た欠点の少ない反射防止フ
ィルムであるという特徴を持つ。
【0021】
【実施例】以下に本発明の態様を実施例をもって説明す
るが、これによって限定されるものではない。 [ベ−スフィルム及びハ−ドコ−ト層の製造]実施例全
体を通して共通的な製造条件と物性の測定方法について
説明する。
【0022】ベ−スフィルムには、製膜時にオンライン
で、非晶性ポリエステル系樹脂を、0.5〜0.8μm
の厚みに塗布した188μmポリエチレンテレフタレ−
ト(以下PETと略称)フィルムを用いた。ハ−ドコ−
ト層は、PETフィルムの片面に多官能アクリレ−ト
(エリスリト−ル系、ポリエステル系、ヒドロキシプロ
ピル系の混合物)、表面平滑活剤(ポリシロキサン)、
光開始剤(フェニルケトン化合物)のトルエン、メチル
エチルケトン混合溶媒の溶液を塗布し、乾燥後、UV照
射により架橋反応を完結させることにより、鉛筆硬度3
Hの、厚み4.0μmの層を形成させた。 [反射防止膜の形成]反射防止膜の形成は、5層すべて
を、EB(電子銃)加熱を蒸発エネルギ−源とする連続
巻取式真空蒸着装置を用いて、部分的にRFイオンプレ
−ティング方式併用で、各層の膜厚みを光学膜厚(n×
d)をオンラインで計測制御しながら、各層ともフィル
ムを必要とする膜厚みから計算される適切な速度で走行
させながら製膜した。ITOおよびZrO2は真空度約
5×10-5Torrの条件設定後、酸素を導入して酸素分圧
1.1 ×10-4Torr、高周波(13.56MHz )1.5K
Wをかけたプラズマ雰囲気の条件で製膜した。SiO2
は酸素分圧2.0 ×10-4Torr、高周波(13.56MHz
)0.5KWの条件で、MgF2は酸素分圧7.0 ×10
-5Torr、高周波(13.56MHz )0.2KWの条件で
製膜した。 [撥水・撥油層の製膜]撥水・撥油層の製膜は、(ヘプ
タデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)
−1−トリメトキシシランを蒸気として、真空装置内に
放電電極に100Wの高周波プラズマを発生させた環境
に導入し、5層からなる反射防止膜を成膜した上記フィ
ルム表面上に20nmの厚みに反応成膜させることによ
って行った。得られた物の接触角は102度から110
度の範囲であった。 [実施例1]上記した、両面に製膜時にオンラインで、
非晶性ポリエステル系樹脂を0.5〜0.8μmの厚み
に塗布した、500mm幅、188μm厚みのポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムの片面に、4μmのハ−ド
コ−ト層を設け、他方の面に厚み25μmのポリオレフ
ィン製保護フィルム(商品名:東レ合成フィルム(株)
製“トレテック”7551)をロ−ル温度80度で熱圧
着して得た保護フィルム付き連続長尺フィルムを用意し
た。これに、下記5層からなる反射防止膜を上記の方法
で成膜した。
【0023】 構成物質 光学膜厚(n×d) 走行速度(m/分) 第1層 ITO 0.061λ 0.5 第2層 SiO2 0.089λ 7.0 第3層 ITO 0.539λ 0.5 第4層 MgF2 0.192λ 2.0 第5層 SiO2 0.050λ 7.0 (λ=520nm:設定波長) さらに、上記した方法で撥水・撥油層を上記第5層の上
に形成した。
【0024】得られた物の反射防止膜側の表面硬度は、
鉛筆硬度で3Hであった。反射防止膜側の可視光線領域
における反射率を測定した結果、420nmから710
nmの範囲で反射率が1%以下であった。
【0025】この製品を、保護フィルムを剥離しなが
ら、15インチCRTに適切な接着剤でなんら接着障害
もなく装着でき、映像画面を観察したところ、肉眼で観
察できる傷やほこりなどの異物もなく、通常のパソコン
操作作業を継続したところ、目と神経の疲労はあまり感
ぜられなかった。 [比較例1]保護フィルムをバッキングしない以外は、
実施例1とまったく同じ方法、同一条件で連続長尺の反
射防止フィルムを製造した。この製品を、実施例1と同
じように(保護フィルムの剥離は伴わずに)15インチ
CRTに実施例1と同じ接着剤を用いて装着しようとし
たところ充分な接着ができず、剥がれ気味の装着しかで
きなかった。他の接着剤についても種々検討したが、い
ずれもほぼ同様に満足な接着が得られず、正常な装着品
とはならなかった。製品の裏面をFT−IRによって化
学分析したところ、撥水・撥油層の形成のために使用し
たパ−フロロメトキシシラン成分の存在が確認できた。
またこの状態で映像画面を観察したところ、画面全域に
擦り傷がが観察され、たとえ充分な接着が得られたとし
てもディスプレイ前面に装着して、その前で画面上での
操作と観賞に耐えるような製品とはなり得ないことがわ
かった。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、製造工程での品質欠点の非常に少ない連続長尺の反
射防止フィルムであって、しかもその使用段階で接着な
どの取扱い上の問題のない製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】:、実施例1による本発明にかかるプラスティ
ッ反射防止フィルムの断面図を模式的に示したものであ
る。 〔図面の簡単な説明〕 1:ベースフィルム(PET) 2:微粘着層 3:ポリオレフィン保護フィルム 4:ハ−ドコ−ト層 5:多層反射防止層 (最表層は撥水・撥油層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/20 C23C 14/20 A (72)発明者 青柳 力 静岡県三島市長伏33の1 東洋メタライジ ング株式会社三島工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスティックフィルムの片面に、該プラ
    スティックフィルムまたはシ−トの屈折率より低い屈折
    率の透明誘電体または透明導電体と該プラスティックフ
    ィルムまたはシ−トの屈折率より高い屈折率の透明誘電
    体または透明導電体とを組み合わせて3層以上の構成か
    らなる多層反射防止層を形成し、裏面が保護フィルムで
    バッキング保護されているプラスティック反射防止フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】多層反射防止層を形成した面も保護フィル
    ムでバッキング保護されている請求項1記載のプラステ
    ィッ反射防止フィルム。
  3. 【請求項3】多層反射防止層の最外層が、厚みが1nm
    〜20nmの範囲の、水の接触角が90deg以上の撥
    水・撥油性の透明層で構成されている請求項1記載のプ
    ラスティック反射防止フィルム。
  4. 【請求項4】プラスティック反射防止フィルムの基材プ
    ラスティックフィルムが、引張り弾性係数が100〜4
    50kg/mm2の範囲の柔軟性を有するフィルムの、
    多層反射防止層を形成させようとする面に、鉛筆硬度が
    2H以上、厚み1〜15μmの耐摩傷性を有するハ−ド
    コ−ト層を形成せしめたものである請求項1記載のプラ
    スティック反射防止フィルム。
  5. 【請求項5】プラスティックフィルムの片面に、該プラ
    スティックフィルムの屈折率より低い屈折率の透明誘電
    体または透明導電体と、該プラスティックフィルムの屈
    折率より高い屈折率の透明誘電体または透明導電体とを
    組み合わせて3層以上の構成からなる多層反射防止層
    を、真空蒸着方式で成膜し、他方の面に保護フィルムを
    該真空蒸着工程の前のいずれかの段階または該真空蒸着
    工程の後のいずれかの段階でラミネ−トすること特徴と
    する裏面が保護フィルムでバッキング保護されているプ
    ラスティック反射防止フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】真空中でプラスティックフィルムを連続的
    に走行させながら、該プラスティックフィルムの片面
    に、該プラスティックフィルムの屈折率屈折率より低い
    屈折率の透明誘電体または透明導電体と該プラスティッ
    クフィルムの屈折率より高い屈折率の透明誘電体または
    透明導電体とを組み合わせて、真空蒸着方式により3層
    以上の構成からなる多層反射防止膜を形成し、他方の面
    に保護フィルムを該真空蒸着工程の前のいずれかの段階
    または該真空蒸着工程の後のいずれかの段階でラミネ−
    トすることを特徴とする裏面が保護フィルムでバッキン
    グ保護されているプラスティック反射防止フィルムの製
    造方法。
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