JP4023142B2 - 反射防止材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、生産性に優れるとともに、色むらがなく、耐傷性、表面硬度、密着性にも優れる反射防止層、反射防止フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、タッチパネル、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)、有機エレクトロルミネセンス(有機EL)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)、電気泳動方式の電子ペーパーなどの表示装置は、表面で光が反射して背景の映り込みによるコントラストの低下が生じ、視覚情報が見えにくいという問題があった。このような表示装置表面における外光の反射による画面の表示の見にくさを防止する方法としては、従来、殆どのディスプレイには表面に凹凸処理を施した防眩層を設けることが行われていた。一般に、AG(アンチグレア)処理と呼ばれる。このような防眩層には、たとえば、特開平6−18706号公報、特開平10−20103号公報に開示されるように透明基材の表面にシリカなどのフィラーを含む樹脂を塗工して表面が凹凸形状の防眩層を形成したもの、有機フィラーを樹脂中に添加した樹脂を塗工して表面が凹凸形状の防眩層を形成したもの、塗工した樹脂層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして表面が凹凸形状の防眩層を形成したものがある。しかしながら、防眩層を設けても、外光反射の低減効果にはばらつきがあり、さらに光の散乱により反射像を散らして輪郭をぼやかせている為、透過画質が悪化するという問題もあった。そこで、表示画質を劣化させることなく、表示装置表面での光の反射を抑制する方法として、反射防止層を画像表示装置の表面に設けることが行われている。一般にAR(アンチリフレクション)処理と呼ばれる。
【0003】
反射防止層は表面に光の波長程度の厚みの薄膜を形成し、光の干渉効果により反射率を下げるものである。このような反射防止層には、屈折率の低い材料を単層で形成した単層構成の反射防止層と、高低の屈折率膜を交互に組み合わせた多層構成の反射防止層がある。単層構成の反射防止層に用いられる低屈折率材料としては、真空蒸着膜のフッ化マグネシウムと塗布法によるパーフルオロ樹脂膜が代表的なものである。屈折率は1.38、1.34程度である。
【0004】
パーフルオロ樹脂膜としては、たとえば、特開昭64−16873号公報、特開平1−149808号公報、特開平6−115023号公報に溶媒可溶性の含フッ素樹脂重合体を反射防止フィルムへ応用した例が開示されている。
多層構成の反射防止層としては、たとえば、特開昭62−215202号公報には高屈折率材料層と低屈折率材料層が交互に合計4層(各2層づつ)積層された多層構成の反射防止層が開示されている。多層構成の反射防止層の典型例としては、真空蒸着法によるガラス/ZrO2/MgF2/ZrO2/MgF2やスパッタ法によるガラス/TiO2/SiO2//TiO2/SiO2等がある。
【0005】
該反射防止層は、具体的には、塗布法、ゾルゲル法、スパッタ法、真空蒸着法、減圧プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法などの方法のうち、単独の方法を採用して基材上に構成層を積層して形成されている。塗布法による多層構成の反射防止層としては、たとえば、特開平11−246692号公報、特開2000−266908号公報、特開2000−319523号公報がある。
【0006】
しかしながら、塗布法で反射防止層を形成しようとすると、生産性は高く低コストであるが、均一な膜厚を有する反射防止層とすることが困難で、得られた反射防止層は膜厚の変動により色むらが生じ、またバインダーとして高分子化合物を含有しているため、表面硬度が低く、耐擦傷性に劣るという問題点があった。
一方、スパッタ法、真空蒸着法、減圧プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法などの方法で反射防止層を形成しようとすると、高性能なものが得られるが、生産コストが高いという問題点があった。特に減圧系で行われるスパッタ法、蒸着法、減圧プラズマCVD法などの方法では、真空排気に時間を要するため、生産効率が充分でなかった。また、スパッタおよび真空蒸着法で得られる層は、表面硬度に優れる一方、柔軟性にかけ、密着性に劣るという問題点があった。
【0007】
本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、基材上に反射防止層を含む2層以上の構成層からなる反射防止材料において、該構成層のうち、少なくとも1層を気相成膜法、好ましくはPVD法またはCVD法、より好ましくは大気圧プラズマCVD法によって形成し、かつ、少なくとも1層を塗布法によって形成することで、安価で生産性に優れるとともに、色むらがなく、耐傷性、表面硬度、密着性、柔軟性にも優れる反射防止材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、安価で生産性に優れるとともに、色むらがなく、耐傷性、表面硬度、密着性および柔軟性にも優れる反射防止層、反射防止材料(反射防止フィルム)およびその製造方法を提供することを目的としている。さらに本発明は、前記反射防止材料を用い、外光反射による表示劣化を向上した表示装置を提供することも目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。本発明にかかる反射防止材料は、基材と、基材上に設けられたハードコート層またはアンチグレア層と、ハードコート層またはアンチグレア層上に設けられた少なくとも2以上の構成層からなる多層構成の反射防止層と、反射防止層上に設けられた防汚層とを有し、反射防止層を構成する構成層のうち、最上層が大気圧プラズマCVD(化学的気相堆積法)によって形成されており、他の構成層が塗布法で形成されており、大気圧プラズマCVDによって形成された最上層が、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm 2 以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態として、他の構成層を有する基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、形成されていることを特徴としている。
別の態様の反射防止材料としては、基材上に、反射防止層を含む2層以上の構成層を有し、該構成層のうち少なくとも1層が気相成膜法によって形成されており、かつ、少なくとも1層が塗布法によって形成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る反射防止材料では、前記気相成膜法は、PVD(物理的気相堆積法)またはCVD(化学的気相堆積法)であることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記反射防止層のうち、少なくとも最上層は、PVDまたはCVDによって形成されていることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記CVDは、大気圧プラズマCVDであることが好ましい。
【0011】
本発明に係る反射防止材料では、前記反射防止層の少なくとも最上層を大気圧プラズマCVDにより形成し、残りの構成層を塗布法によって形成することが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記反射防止層は、前記基材側から高屈折率構成層、低屈折率構成層が積層されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る反射防止材料では、前記反射防止層は、前記基材側から第1の高屈折率構成層、第1の低屈折率構成層、第2の高屈折率構成層、第2の低屈折率構成層が積層されていることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記反射防止層は、前記基材側から中屈折率構成層、高屈折率構成層、低屈折率構成層が積層されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る反射防止材料では、前記構成層のうち大気圧プラズマCVDによって形成された構成層は、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態として、基材もしくは他の構成層を有する基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る反射防止材料では、前記高周波電圧が連続したサイン波であることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記基材が透明プラスチックであることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料では、前記透明プラスチックがセルロースエステルフィルムであることが好ましい。
【0015】
本発明に係る反射防止材料では、前記構成層のうち、前記反射防止層に対し基材側にハードコート層または防眩層を有することが好ましい。
本発明に係る表示装置は、前記反射防止材料を用いることを特徴としている。
本発明に係る反射防止材料の製造方法は、基材上に反射防止層を含む2層以上の構成層からなる反射防止材料を製造する方法であって、該構成層のうち、少なくとも1層を気相成膜法により形成し、かつ、少なくとも1層を塗布法により形成することを特徴としている。
【0016】
本発明に係る反射防止材料の製造方法では、前記気相成膜法はPVDまたはCVDであることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料の製造方法では、前記CVDは、大気圧プラズマCVDであることが好ましい。
本発明に係る反射防止材料の製造方法では、前記反射防止層のうち、少なくとも最上層が、PVDまたはCVDによって形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る反射防止材料の製造方法では、前記反射防止層のうち、少なくとも最上層を大気圧プラズマCVDにより形成し、残りの構成層を塗布法によって形成することが好ましい。
本発明に係る反射防止層の製造方法は、前記構成層のうち大気圧プラズマCVDによって形成された構成層を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とし、前記基材もしくは他の構成層を有する基材を該プラズマ状の反応性ガスに晒す大気圧プラズマCVDによって形成することを特徴としている。
【0018】
本発明に係る反射防止層の製造方法では、前記高周波電圧は連続したサイン波であることが好ましい。
【0019】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
[反射防止層]
反射防止層は、ガラスや透明プラスチックなどの基材上に、直接あるいは必要に応じてハードコート層などの他の層を介して設けられる。
【0020】
反射防止層には、前述のように単層構成のものと、多層構成のものとがあるが、本発明に係る反射防止層は、少なくとも2以上の構成層からなる多層構成であることが好ましい。このような積層タイプの反射防止層は、各種の屈折率および膜厚を有する光学干渉膜を構成層として、光学設計に基づいて組み合わせ、基材上に直接あるいは必要に応じてハードコート層などの他の層を介して、その上に積層し、多層膜とすることにより形成される。たとえば、光の波長λに対して、光学膜厚(屈折率n×膜厚d)がある値になるように設定した光学干渉膜を複数積層し、反射防止層とすることができる。屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出し得るが、屈折率の高低はそこに含まれる金属あるいは化合物によってほぼ決まり、たとえばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低い。このような組み合わせによって屈折率を設定することができる。
【0021】
本発明に係る反射防止層は、前記構成層のうち、少なくとも1層が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成されており、かつ、少なくとも1層が塗布法によって形成されていることが好ましい。前記構成層のうち、最上層が気層成膜法であることがより好ましい。
【0022】
さらに好ましくは最上層の構成層が、PVDまたはCVD、特に好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成され、残りの構成層が塗布法により形成されていることが望ましい。
本発明に係る反射防止層の構成として、具体的には
基材側から順に高屈折率構成層、低屈折率構成層が積層された2層膜、
基材側から順に第1の高屈折率構成層、第1の低屈折率構成層、第2の高屈折率構成層、第2の低屈折率構成層が積層された4層膜(第1および第2の低屈折率構成層、第1および第2の高屈折率構成層はそれぞれ同一のものであっても、異なるものであってもよい)、
屈折率の異なる3層を基材側から順に、中屈折率構成層(基材あるいはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率構成層よりも屈折率の低い層)、高屈折率構成層、低屈折率構成層が積層された3層膜が好ましく挙げられる。
【0023】
すなわち、本発明に係る反射防止層が前記2層からなる場合には、最上層の低屈折率構成層が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成されており、かつ高屈折率構成層が塗布法で形成されていることが望ましい。
また、本発明に係る反射防止層が前記4層膜からなる場合には、少なくとも最上層の構成層(第2の低屈折率構成層)が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成されており、かつ少なくとも1層が塗布法によって形成されていることが望ましい。さらに好ましくは、最上層の構成層(第2の低屈折率構成層)が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVD法によって形成されており、残りの構成層(第1の高屈折率構成層、第1の低屈折率構成層および第2の高屈折率構成層)が塗布法によって形成されていることが望ましい。
【0024】
また、本発明に係る反射防止層が前記3層膜からなる場合には、少なくとも最上層の構成層(低屈折率構成層)が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成されており、かつ少なくとも1層が塗布法によって形成されていることが望ましい。さらに好ましくは、最上層の構成層(低屈折率構成層)が気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成されており、残りの構成層(中屈折率構成層および高屈折率構成層)が塗布法によって形成されていることが望ましい。
【0025】
すなわち、本発明に係る反射防止材料は、基材上に反射防止層を含む2層以上の構成層を有し、該構成層は、気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVDによって形成された構成層と、塗布法によって形成された構成層とをともに備えていることを特徴とする。
塗布法のみによって形成された構成層は、前述のようにバインダーとして高分子化合物を含有するため、基材および下層との密着性には優れるが、表面硬度、耐傷性に劣る。さらに塗布、乾燥工程において、膜厚の変動が生じ、これにより色むらが発生する。
【0026】
これに対し、気相成膜法により形成された構成層は、膜厚の変動もなく、光学的特性に優れた膜となるが、すべての構成層を気相成膜法によって形成しようとすると生産コストが高くなるばかりか、柔軟性や基材との密着性の観点では、充分ではない。
本発明では、前記両者を組み合わせ、基材上に、少なくとも1層を気相成膜法、好ましくはPVDまたはCVD、より好ましくは大気圧プラズマCVD法によって形成し、残りの構成層を塗布法によって形成することで、安価で生産性に優れるとともに、色むらがなく、耐傷性、表面硬度、密着性および柔軟性にも優れる反射防止層を含む構成層を有する反射防止材料を得ることができることを見いだしたものである。気相成膜法で設ける層は、基材上の構成層のどれであっても構わず、反射防止層以外であっても良いが、特に色むらの解消の観点では、反射防止層のうち最上層(低屈折率構成層)の構成層を気相成膜法で設けた場合に、特に顕著に色むら解消ができることを見いだした。
【0027】
本発明に係る反射防止層を構成する各構成層の膜厚および材料は、得ようとする反射防止層の設計に応じて適宜選択できるが、高屈折率構成層に用いられる材料は、好ましくは屈折率が1.6以上、より好ましくは屈折率が1.9〜2.6であることが望ましい。該高屈折率構成層の材料は、好ましくは酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化タンタル、硫化亜鉛などを主成分とし、これらのうちでは酸化チタンを主成分とすることがより好ましい。
【0028】
中屈折率構成層に用いられる材料は、屈折率が、基材あるいはハードコート層よりも高く、高屈折率構成層よりも低いことが好ましく、具体的には屈折率が1.5〜1.8の範囲にあることが好ましい。該中屈折率構成層の材料は、好ましくは酸化チタンと酸化ケイ素の混合物または酸化スズ、酸化アルミニウムなどを主成分とし、これらのうちから基材、高屈折率構成層の材料などとの関係で選択できる。
【0029】
低屈折率構成層に用いられる材料は、屈折率が1.3〜1.5の範囲にあることが好ましい。該低屈折率層の材料は、好ましくは酸化ケイ素やフッ素化合物を主成分とすることが望ましい。
[反射防止層の製造方法]
以下に、本発明に係る反射防止層を製造するための方法について説明する。
【0030】
本発明においては、気相成膜法および塗布法を組み合わせることで反射防止層を製造することができる。ここで、気相成膜法とは、気相から薄膜を形成する方法を意味し、該気相成膜法には、大別してPVD(物理的気相堆積法)およびCVD(化学的気相堆積法)がある。したがって、PVD、CVDおよび塗布法を組み合わせ、各構成層を形成し、積層することで、本発明に係る反射防止層を製造することができる。
【0031】
<PVD(物理的気相堆積法)>
本発明に適用できるPVDは、特に限定されないが、たとえばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。これらのうちではスパッタ法、真空蒸着法が好ましい。
((スパッタ法))
スパッタ法は、一般に減圧下で不活性ガスプラズマをターゲットに衝突させ、飛び出した分子や原子を基材に堆積させることで基材上に薄膜を形成する方法であり、反応性ガス中でスパッタリングを行う反応性スパッタ法や、薄膜形成の高速化を図った高速マグネトロンスパッタ法など各種方式のスパッタ法があるが、特に限定されない。
【0032】
該スパッタ法では真空容器内で、形成しようとする構成層に応じたターゲットを用いることで、基材上に直接あるいは他の構成層を介して、必要とする構成層を形成することができる。
たとえば、高屈折率構成層を形成する場合には、Ti、Zr、Taのいずれか、またはこれらのうち2つ以上の合金からなるターゲットを用い、低屈折率構成層を形成する場合にはSiのターゲットなどを用いて、スパッタ装置内を減圧にし、スパッタガスとしてArを用い、反応性ガスとして酸素ガスを用いて、スパッタリングすることで、これらの金属酸化物層を得ることができる。
【0033】
((真空蒸着法))
真空蒸着法は、一般に10-4Pa以下の減圧下で、蒸着原料を蒸気化し、基材上に堆積させることで基材上に薄膜を形成する方法であり、蒸着原料の蒸気化の方法によって、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法などの各種方式の真空蒸着法があり、さらに基材上に堆積させた後または蒸着中に反応性ガスと反応させる反応性蒸着法などの各種真空蒸着法があるが、特に限定されない。
【0034】
真空蒸着法で構成層を形成する場合には、たとえば、形成しようとする構成層に応じて蒸着源となる金属あるいは化合物を選択し、基材上に直接あるいは他の構成層を介して蒸着し、酸化してこれらの酸化物層を得ることができる。
<CVD(化学的気相堆積法)>
本発明に適用できるCVDは、特に限定されないが、たとえば熱CVD、光CVD、プラズマCVDが挙げられる。これらのうちでは、プラズマCVDが好ましい。プラズマCVDとしては、減圧プラズマCVD、大気圧プラズマCVDなどが好ましく挙げられる。
【0035】
減圧プラズマCVDは、減圧下において反応性ガスをプラズマ状態にし、基材上に薄膜を形成する方法であり、一方、大気圧プラズマCVDは、大気圧または大気圧近傍の圧力下において反応性ガスをプラズマ状態にし、基材上に薄膜を形成する方法である。これらのうちでは、生産効率がよく、得られる膜の光学的特性および物理的特性に優れる点から、大気圧プラズマCVDが好ましい。
【0036】
((大気圧プラズマCVD))
本発明に係る反射防止層を構成する構成層を、大気圧プラズマCVDにより形成する場合には、公知の方法を用いてもよいが、緻密で、膜厚均一性の高い高機能性薄膜を生産効率高く得られる点から、好ましくは、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とし、基材もしくは他の構成層を有する基材を該プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって構成層を形成する方法を用いることが望ましい。なお、この場合、相対する電極間に印加する高周波電圧の周波数は、好ましくは200kHz以上、さらに好ましくは800kHz以上であり、150MHz以下であることが望ましい。また、相対する電極間に供給する電力は、好ましくは1.2W/cm2以上であり、好ましくは50W/cm2以下、さらに好ましくは20W/cm2以下であることが望ましい。なお、ここで相対する電極における電圧の印加面積(/cm2)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。相対する電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であってもよいが、効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
【0037】
図1に、本発明に適用することができるプラズマ放電処理装置の一例を示す。図1中、回転電極110とそれに対向して配置された複数の対向電極111を有し、図示されていない元巻きロールまたは前工程から搬送されて来る基材フィルム(以下、基材上に他の構成層を有する場合も含む)Fがガイドロール120、ニップロール122を経て回転電極110に導かれ、基材フィルムFは回転電極110に接した状態で回転電極110の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電部150に反応ガス発生装置131で調製された反応ガスGが給気管130から供給され、対向電極111に対向している基材フィルム面に薄膜が形成される。それぞれの対向電極111の間に図1では省略されているが、反応ガスGを導入する給気管130は複数設けられており、基材フィルムFの幅手で均一な濃度、流量で反応ガスGを供給できるようになっていることが望ましい。回転電極110と対向電極には、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電圧供給手段181、182を介して接続されている。また、回転電極110、対向電極111、放電部150はプラズマ放電処理容器190で覆われ、外界と遮断されている。処理に使用された排ガスG′ は処理室の下部にあるガス排気口140から排出される。あるいは図では省略されているが、対向電極111の間に設けられたガス排気口から排気することもできる。プラズマ放電処理された基材フィルムFはニップロール123およびガイドロール121を経て次工程または図示してない巻き取りロールへ搬送される。プラズマ放電処理容器の出入り部分のニップロール122および123のところには外界との仕切板124および125が設けられており、外界からニップロール122と共に基材フィルムFに同伴して来る空気を遮断し、また出口においても、内部に空気が侵入するのを防止することが望ましい。プラズマ放電処理容器190内は圧力を高くすることが好ましく、外に対して+0.1kPa以上、さらには0.3〜10kPa圧力を高くすることが好ましい。なお、図示してないが、必要に応じて、回転電極110および対向電極111は温度調節のための温度制御された媒体を循環するようになっている。
【0038】
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器190内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップロール122により、それを達成することが可能である。電源180より対向電極111に印加される電圧の値は適宜決定されるが、たとえば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は100kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここで電圧の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な薄膜が得られる。相対する電極間に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)などが使用できる。
【0039】
放電部150の電極間隙は、電極の母材に設置した固体誘電体(図示してない)の厚さ、印加電圧や周波数、プラズマを利用する目的などを考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、何れの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜5mmであり、特に好ましくは1mm±0.5mmの範囲である。
【0040】
プラズマ放電処理容器190にはパイレックス(R)ガラス製あるいはプラスチック製の処理容器などが好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。たとえば、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂などを張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0041】
また、放電プラズマ処理時の基材フィルムへの影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材フィルムの温度を常温(15℃〜25℃)以上、200℃未満の温度に調整することが好ましく、さらに好ましくは50℃以上、150℃未満に調整することであり、さらに好ましくは60℃以上、120℃未満に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材フィルムは冷却手段で冷却あるいは加熱しながら放電プラズマ処理される。
【0042】
本発明においては、上記の放電プラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには90kPa〜110kPa、特に93kPa〜104kPaが好ましい。
また、本発明に使用する放電用の電極において、電極の少なくとも基材フィルムと接する側の表面がJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが好ましいが、さらに好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
【0043】
本発明に用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属などの導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)などの金属酸化物、チタン酸バリウムなどの複酸化物などを挙げることができる。特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属などの導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄などの金属などを挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラスなどが好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、さらに好ましく用いられる。
【0044】
本発明において、電極は、その裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度および基材フィルムの温度を制御することが好ましい。
【0045】
プラズマ放電処理の際、基材フィルムの温度によって得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが好ましい。媒体としては、蒸留水、油などの絶縁性材料が好ましく用いられる。基材フィルムの温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃が好ましく、より好ましくは室温〜120℃である。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材フィルムの温度ムラができるだけ生じないようにロールを用いた回転電極の内部の温度を制御することが望まれる。温度ムラは±10℃以内であることが好ましく、さらに好ましくは±5℃以内であり、より好ましくは±1℃以内であり、最も好ましくは±0.1℃以内である。
【0046】
使用する反応ガスは、基材フィルム上に設けたい構成層によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、構成層を形成するための反応性ガスが混合された反応ガスである。反応性ガスは、反応ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。構成層の膜厚としては、0.1〜1000nmの範囲が好ましく得られる。
【0047】
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどが挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
酸化錫を主成分とする中屈折率層を形成するために反応性ガスとして用いる錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫などが好ましく挙げられる。
【0048】
有機錫化合物としては、たとえばテトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナートなどが挙げられ、
ハロゲン化錫としては、たとえば二塩化錫、四塩化錫などが挙げられる。
【0049】
これらは何れも好ましく用いることができ、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。なお、このようにして形成された酸化錫層は反射防止フィルムの表面比抵抗値を1012Ω/cm2以下に下げることができるため、帯電防止層としても有用である。
酸化チタンを主成分とする高屈折率層を形成するために反応性ガスとして用いるチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタンなどが挙げられる。
【0050】
有機チタン化合物としては、たとえばトリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナートなど、
チタン水素化合物としては、たとえばモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物などを挙げることができ、
ハロゲン化チタンとしては、たとえば三塩化チタン、四塩化チタンなどを挙げることができる。
【0051】
これらは、何れも好ましく用いることができ、また、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用することもできる。
酸化ケイ素を主成分とする低屈折率層を形成するために反応性ガスとして用いる珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物などを挙げることができる。
【0052】
有機珪素化合物としては、たとえばテトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシランなど、
珪素水素化合物としては、たとえばテトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシランなどを挙げることができる。
【0053】
これらは何れも好ましく用いることができ、またこれらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用することもできる。
上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を放電空間である電極間に導入するには、常温常圧で、気体、液体、固体何れの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射などの手段により気化させて使用される。有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を加熱により気化して用いる場合、金属テトラエトキシド、金属テトライソプロポキシドなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止層の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希ガスでバブリングして反応ガスに使用すればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒およびこれらの混合溶媒が使用できる。
【0054】
上記金属化合物ガスは、反応ガス中0.01〜10体積%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜5体積%である。
また、酸化珪素層の上に防汚層として、あるいは酸化珪素層に替えて低屈折率層として有機フッ素化合物層を設けることができる。この場合には、下記有機フッ素化合物を反応ガスに混合して使用することが好ましい。有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガスあるいはフッ化炭化水素ガスであってもよく、たとえば、四フッ化メタン、六フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタノール、ペンタフルオロエタノール、1−ヒドロ−1,2,3−ヘキサフルオロプロパノールなどを挙げることができる。反応ガスに有機フッ素化合物を混合させる場合、反応ガス中の有機フッ素化合物は、0.01〜5体積%、さらに0.1〜0.5体積%であることが好ましい。また、有機フッ素化合物を反応ガスに混合して用いると、薄膜表面のエネルギーが低下し、撥水性あるいは防汚性を付与することができ、特に、有機フッ素化合物より形成される薄膜が低屈折率層となるため、有機珪素化合物と混合して使用することもできる。上記有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、反応ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に使用することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体または固体である場合には、加熱、減圧などの方法により気化して使用すればよく、また、適切な溶剤に溶解して希ガスをバブリングして用いてもよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒およびこれらの混合溶媒が使用できる。
【0055】
これらの各層の形成に用いられる反応ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは0.1〜5体積%含有させることにより、反応促進され、かつ、薄膜の硬度を著しく向上させたり、緻密で良質な薄膜を形成することができる。特に、酸素または水素を添加することが好ましい。
【0056】
このようにして大気圧プラズマCVD法により形成された構成層中には炭素として好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3.0質量%の炭素含有率の有機化合物を含有することが望ましい。炭素含有率を上記の範囲とすることによって、膜強度に優れ、クラックが入りにくく、層間密着性の良い、優れた構成層を得ることができる。すなわち、プラズマ処理によって形成された層は有機物(炭素原子)を含んでおり、膜に柔軟性を与えるため、膜の密着性に優れ好ましい。一方、炭素の比率が多くなりすぎると経時で屈折率が変動しやすくなる傾向がある。
【0057】
<塗布法>
塗布法では、各構成層用の組成物を基材上に直接あるいは他の構成層を介した上に塗布することにより、各構成層を形成することができる。
本発明に適用できる塗布法としては、スピナーコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ロールコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、カーテンコート、押出しコート、或いは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法などの公知の方法が挙げられるが、特に限定されない。
【0058】
塗布法によって形成される高屈折率構成層および中屈折率構成層用組成物としては、特に限定されないが、たとえば特開2001−91705号公報に記載のチタン、ジルコニウム、スズなどの金属アルコキシドおよびその加水分解物から選ばれる化合物、活性線反応性化合物および有機溶媒を含有する組成物などが好ましく挙げられる。該組成物を基材上に塗設後、塗膜に活性線を照射して任意の屈折率の高屈折率構成層あるいは中屈折率構成層を形成することができる。
【0059】
該金属アルコキシドとしては、炭素原子数1〜10のものがよいが、好ましくは炭素原子数1〜4であることが望ましい。
該金属アルコキシドとしては、たとえば、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体;Zr(O−i−C374、Zr(O−n−C494、Al(O−i−C373、Al(O−n−C493などが好ましく挙げられる。
【0060】
また、本発明においては、上記金属アルコキシドを加水分解(部分または完全加水分解)させて使用してもよく、酸性触媒または塩基性触媒の存在下にたとえば上記の金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解することによって得られる。この酸性触媒としては、たとえば硝酸、塩酸等の鉱酸やシュウ酸、酢酸等の有機酸がよく、また塩基性触媒としては、たとえばアンモニア等が挙げられる。
【0061】
活性線反応性化合物は、重合可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基等の重合性基を二つ以上有するもので、活性線照射により架橋構造または網目構造を形成する活性線硬化性樹脂が好ましい。上記活性線硬化性樹脂としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等を挙げることができる。さらに上記活性線硬化性樹脂には、光増感剤や光開始剤を用いることが好ましい。該光増感剤や光開始剤としては公知のものを使用できる。また、上記活性線硬化性樹脂には公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいはゼラチンなどの親水性樹脂等のバインダーを混合して使用してもよい。
【0062】
活性線反応性化合物には、上記活性線硬化性樹脂のほかに特開2001−91705号公報に記載のM(R1m(R2n(OR3p(ここで、Mは金属Al、Si、Ti、V、Zn、Y、Zr、In、Sn、Sr、Ta、Tl、WおよびCeを表し、Oは酸素原子、R1は活性線反応性基で、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基を有する基を表し、R2は炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、R3は炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基または水素原子を表し、m+n+p=qで、qは金属の原子価で、q−1≧m≧1、q−1≧p≧1、q−1≧n≧0、であり、m、nおよびpは正の整数を表す)で表される活性線反応性の金属アルコキシド化合物が含まれる。
【0063】
なお活性線とは、紫外線、電子線、γ線等を意味し、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線は、多層の反射防止層を1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよい。また、照射する際には酸素濃度が0.5体積%以下の条件で行うのが効率的であり、硬化速度の点で好ましい。電子線またはプラズマ処理も同様に使用できる。プラズマ処理は連続的に行うものが好ましい。
【0064】
また、塗布法によって形成される低屈折率構成層用組成物としては、特に限定されないが、低屈折率物質および有機溶媒を含有する組成物が挙げられ、該低屈折率物質としては、たとえば特開2001−91705号公報に記載のフッ素含有樹脂(フッ素含有不飽和エチレン性単量体成分を主として含有する重合物およびフッ素含有エポキシ化合物)、シリケートオリゴマーから形成される化合物、SiO2ゾルと反応性有機珪素化合物から形成される化合物から選ばれる化合物が好ましく挙げられる。これらのうち、シリケートオリゴマーから形成される化合物としては、たとえばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランに触媒、水を添加して加水分解することにより得られる加水分解物が好ましく挙げられる。
[反射防止フィルム]
本発明に係る反射防止材料のうち、反射防止フィルムは、基材上に前記反射防止層を有してなる。
【0065】
<基材>
前記反射防止層を設ける基材としては、各種のガラス材料やプラスチック材料が挙げられる。該基材は、光透過率が好ましくは85%以上であり、ヘイズが好ましくは5%以下であり、1.4〜1.65の屈折率を有することが好ましい。
これらの点から、該基材は、好ましくは透明プラスチックであることが望ましい。さらに該透明プラスチックは、成膜の際の便宜から、長尺フィルム状であることが好ましい。
【0066】
このような透明プラスチックは、特に限定されないが、好ましくはセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレンなどが挙げられる。
たとえば、セロファン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレートなどのセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;シクロオレフィンポリマーフィルム;シンジオタクティックポリスチレン系フィルムなどを好ましく挙げることができ、これらは単独であるいは適宜混合して使用することもできる。
【0067】
これらのうちでは、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートを好ましく用いることができる。さらに、これらのうちでは、好ましくはセルロースアセテート、より好ましくはセルローストリアセテートを用いることが望ましい。膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0068】
また、本発明において基材としてセルロースエステルを用いる場合には、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子(マット剤)を含有していることが好ましい。ただし、可塑剤や紫外線吸収剤吸収剤を含むセルロースエステルフィルムを基材として用いた場合、大気圧プラズマCVD処理に際して、これらがブリードアウトしてプラズマ処理部に付着し、工程を汚染し、これがフィルムに付着する可能性が考えられる。この問題を解決するためには、セルロースエステルと可塑剤とを有する基材が、80℃、90%RHで48時間処理した前後の質量変化が±2質量%未満であることが好ましい。
【0069】
なお、基材上には、隣接する層との密着性を付与するために下塗り層を設けてもよい。下塗り層としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂などを塗設したものが挙げられる。
また、基材と反射防止層との密着性を向上させる点、あるいは反射防止フィルムに要求される機能、取り扱いの便宜の点から、基材上にクリアハードコート層や、帯電防止層、透明導電層、ガスバリア層などの他の層を少なくとも1層設け、その上に本発明に係る反射防止層を形成してもよい。なお、これらの層はそれぞれ単独で設けても、積層して設けてもよい。また、基材の反射防止層を有する面の裏面にガスバリア層、透明導電層、帯電防止層、バックコート層、粘着層などを設けることも望ましい。
【0070】
さらに、該基材には化学処理、機械処理、コロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を行ってもよい。
((ハードコート層))
基材上にはハードコート層(以下、クリアハードコート層ともいう)を設けることもできる。ハードコート層は、紫外線など活性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ましい。このような紫外線で硬化された樹脂層の上に金属酸化物を主成分とする各構成層を形成させることによって耐傷性に優れた反射防止層および反射防止フィルムを得ることができる。
【0071】
該活性線硬化樹脂層は、エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層であることが好ましい。ここで、活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、たとえば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。
【0072】
このような活性線硬化樹脂層と溶媒からなる組成物を、基材上に公知の方法で塗設し、活性線を照射して硬化することでハードコート層を形成することができる。該溶媒としては、たとえば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが好ましい。また、該塗布用組成物には、ブロッキングを防止するため、また耐傷性などを高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。このようにして形成されたクリアハードコート層は、JIS B 0601に準拠して測定される中心線平均粗さRaが1〜50nmであることが好ましい。
【0073】
((アンチグレア層))
アンチグレア層は、視認側の面を微細な凸凹構造とすることによって、反射光を散乱する機能を有するものであり、上記反射防止層と併せて用いることができる。凸凹構造を付与する方法は特に限定されないが、汎用されている方法としては、平均粒径が1〜3μmの透明微粒子を分散した紫外線硬化樹脂の硬化皮膜がある。紫外線硬化型の樹脂としては、たとえばアクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等のモノマーやオリゴマーに紫外線重合開始剤を配合したものなどの適宜なものを用いることができる。好ましく用いうるものは、たとえば紫外線重合性の官能基を3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーなどからなる、適用対象の支持体との密着性、ハードコート性、透明微粒子の分散性、透明性などに優れるものである。
【0074】
透明微粒子としては、紫外線硬化樹脂の硬化皮膜中で透明性を示し、コールターカウンター法による平均粒径が1〜2μmの適宜なものを用いうる。一般には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどからなる微粒子が用いられる。これらのうちでは、防眩性や解像性、ハードコート性等の点よりシリカ粒子、特に二酸化珪素の合成粒子が好ましく用いうる。なお酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の透明微粒子なども用いうる。なお透明微粒子の平均粒径が1μm未満では微粒子の埋没で凹凸構造の表面が形成しにくくなり、2μmを超えると凹凸構造の起伏が大きくなりすぎて解像度が低下しやすくなる。
【0075】
透明微粒子の使用量は、紫外線硬化型の樹脂100質量部あたり、4〜20質量部が一般的である。その使用量が前記範囲外では目的の微細凹凸構造を形成しにくい。好ましい透明微粒子の使用量は、紫外線硬化型の樹脂100質量部あたり5〜15質量部、より好ましくは6〜12質量部である。形成する硬化皮膜の厚さは、2〜20μmが好ましい。
【0076】
アンチグレア層は、視認側となる少なくとも片面が所定の微細凹凸構造に形成されたものであるが、その形成は、たとえば紫外線硬化型の樹脂と所定量の透明微粒子を必要に応じ溶媒を用いて混合し、その混合分散液を適用対象面等の適宜な支持体上に塗布し、紫外線で硬化処理して透明微粒子含有の紫外線硬化樹脂からなる硬化皮膜を形成する方法などにより行うことができる。
【0077】
混合分散液の塗布は、ワイヤーバー方式やドクターブレード方式、ディッピング方式やスピンコート方式などの適宜な方式で行うことができ、その場合に均一厚塗布を目的とした通例の塗布操作で目的の微細凹凸構造を形成することが可能である。また塗布後、紫外線で硬化処理するまでの時間も通常の硬化処理操作に準じることができ、本発明では透明微粒子の含有に基づいて微細凹凸構造が形成されるため塗布乾燥より1時間経過した後における硬化処理方式も採ることができる。目的とする微細凹凸構造の形成には、透明微粒子の配合量とその混合分散液の塗布厚の制御による最適化がより有効である。
【0078】
((帯電防止層))
基材上には帯電防止層を設けることもできる。該帯電防止層の形成方法は特に限定されず、前述したように大気圧プラズマCVD法で設けることもできるほか、特開2000-352620号公報に記載されているように、イオン導電性物質や導電性微粒子を含有する層を塗布することにより設けることもできる。この場合、イオン導電性物質としては、たとえばイオン性高分子化合物が挙げられ、導電性微粒子としては金属酸化物が挙げられる。好ましくは該導電性微粒子、イオン性高分子化合物、有機溶媒からなる組成物を、公知の塗布方法で乾燥膜厚0.1〜10μmとなるように塗布して設けることが望ましい。
【0079】
((透明導電層))
本発明における透明導電層としては、酸化錫(SnO2等)、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、In23−ZnO系非晶質酸化物膜等の金属酸化物、また、金、銀、銅、アルミニウム、錫、ニッケル等の金属膜が挙げられる。その中でも、電気特性、光透過率の点で錫ドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。上記の透明導電層の形成方法は特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、減圧プラズマCVD法、塗布法、および大気圧プラズマCVD法が挙げられる。上記透明導電層の厚みは、電気導電性が発現し、透明性が保たれる厚みであることが好ましく、表面シート抵抗が100Ω/□以下、光透過率が85%以上であるには、膜厚は30nm〜200nmであることが好ましい。
【0080】
((電磁遮蔽層))
電磁遮蔽層としては、上記の透明導電層を用いることができる。たとえば、特開平10−98292号公報にIn23−ZnO系非晶質酸化物膜を用いた電磁遮蔽膜が開示されている。電磁波遮蔽機能に関しては、以下の式に示されるように、透明導電層の抵抗値と遮蔽機能との間に関係がある。
【0081】
電磁波遮蔽効果(dB)=20×Log(Ei/Et)
ここで、式中、Eiは電磁遮蔽材料に入射した電磁波の電界強度、Etはこの電磁波遮蔽材料を透過した電界強度である。従って、良好な電磁遮蔽効果を得るには、シート抵抗で100Ω/□以下の抵抗値であることが望ましい。更に好ましくは、50Ω/□以下の抵抗値である。
【0082】
((ガスバリア層))
本発明における反射防止フィルムには耐透気性、耐水蒸気透過性(以下、まとめてガスバリア性と称す)を改善する目的で反射防止層と基材の間、または反射防止層を有する面の裏面にガスバリア層を設けることができる。
ガスバリア層材料としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、透明エポキシ系樹脂などを積層する方法(特開昭61−41122号公報、特開平3−9323号公報)、SiO2、SiOx、Al2x等の無機酸化物層を設ける方法(特開昭61−183810号公報)がある。無機酸化物層はスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、減圧プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など気相堆積膜形成法により作製される。無機酸化物層の厚みとしては、5nm〜100nmの範囲が好ましい。膜厚が5nmより薄いとピンホールが発生しやすく、ガスバリア性も低下しやすくなる。また、膜厚が100nmよりも厚いと屈曲性が低下し、透明性も低下するので好ましくない。
【0083】
((防汚層))
本発明に係る反射防止層の表面には、前述したように防汚層を設けることができる。防汚層を設ける方法は特に限定されず、前述したように大気圧プラズマCVDによって設けることもできるほか、フッ素系シランカップリング剤をマイクログラビアコーターなどの塗工装置により、反射防止層上に塗布乾燥することで設けることもできる。上記フッ素系シランカップリング剤の市販品としては、たとえば、信越化学社製コート剤「KP−801M」を挙げることができる。
【0084】
また、特開平6−122778号公報には真空蒸着法を用いてフルオロアルキルシラザンの撥水層が、特開平6−122778号公報にはプラズマCVD法を用いて形成する撥水層が、特開平8−209118号公報にはフッ素化合物とオルガノポリシロキサンの混合物からなる防汚層が、特開平9−61605号公報にはエーテル結合を有する柔軟な分子構造をもつフッ素化合物を用いた防汚層などが開示されている。
【0085】
((粘着層))
本発明の反射防止フィルムにおいて、基材のもう一方の面(反射防止層の非積層側)に粘着剤層が設けられてもよい。上記の粘着剤としては、基材や偏光板などの光学部品を強固に接着でき、しかも、高温、高湿の条件下に置かれても発泡しないものが好ましく、たとえば、アクリル系接着剤が好適に用いられる。
【0086】
上記、アクリル系接着剤としては、たとえば、アクリル(メタ)アクリレートを主成分とする、重量平均分子量(Mw)50万以下、Mw/Mn(数平均分子量)=4以下であるアクリル系ポリマー100質量部、ジメチルシリコーンオイル又は側鎖の一部を他の有機基に置換した変性シリコーンオイルからなる消泡剤0.01〜5質量部、メチルハイドロジェンシリコーンオイルからなる再剥離剤0.01〜5質量部、および架橋剤0.001〜5質量部からなるものが好ましい。
【0087】
また、アクリル系粘着剤の市販品としては、たとえば、綜研化学社製「SKダイン2902」が使用できる。
上記の粘着剤層は、たとえば、上記のアクリル系粘着剤を基材に直接塗工してもよく、予め粘着剤を離型紙上に設けた後、ラミネーター等で基材に積層してもよい。
【0088】
[表示装置]
((タッチパネル))
特開平11−224539号公報に記載されているタッチパネルの作製方法と同様の方法により本発明の反射防止フィルムを組み込んだタッチパネルを得ることができる。すなわち、本発明の反射防止フィルムの反射防止層を有する面の裏面にインジウム−スズ複合酸化物ターゲットを用い高周波マグネトロンスパッタリング法でITOを成膜し、透明導電膜を裏面にもつ反射防止フィルムを得る。この反射防止フィルムを一方のパネルとして用い、他方のパネルとして、ガラス基材上に上記と同様の方法でITOを形成したものを用いて、エポキシビーズを介して配置し、本発明の反射防止フィルムを組み込んだタッチパネルを得ることができる。
【0089】
((LCD))
常法に従い、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して、偏光子を作製する。その後、本発明に係る反射防止フィルムと偏光板保護フィルムとをNaOH溶液に浸漬しアルカリ処理し、反射防止フィルムの基材面が偏光子と接するようにして、本発明に係る反射防止フィルムと偏光板保護フィルムとで偏光子を挟んで接着することで、偏光板を形成することができる。なお、アルカリ処理の代わりに特開平6-94915号公報、同6-118232号公報に記載されているような易接着加工を施しても良い。このようにして作製した偏光板を表示側の偏光板として、液晶セルに配置することにより、本発明に係る反射防止フィルムを組み込んだ液晶表示装置を得ることができる。
【0090】
((有機EL))
特開平8−185984号公報に記載の有機EL素子の作製方法と同様にして本発明の反射防止フィルムを組み込んだ有機EL素子を得ることができる。
すなわち、本発明の反射防止フィルムの裏面にスパッタリング法で膜厚100nm〜200nmのITOを形成し、更に、ITO膜の上に正孔輸送層として膜厚50nm〜100nmのトリフェニルアミン誘導体を、発光層として膜厚50nm程度のジスチリルビフェニル誘導体を、電子輸送層として50nm程度のアルミキレート錯体(Alq)を、膜厚2nmのマグネシウム(Mg)銀(Ag)電極の順に真空蒸着する。最後に光硬化樹脂等を用い封止加工をする。
【0091】
これにより本発明の反射防止フィルムを組み込んだ有機EL素子を得ることができる。
((CRTおよびPDP))
本発明の反射防止フィルムにおいて、基材のもう一方の面(反射防止層の非積層側)にアクリル粘着剤を用いグラビアコーテイング法により膜厚10〜70μmの接着層を設ける。アクリル粘着剤の市販品としては、たとえば、綜研化学社製「SKダイン2902」が使用できる。反射防止フィルムの接着層を有する面を平面型陰極線管の画像表示面全面に貼合することにより本発明の反射防止フィルムを組み込んだCRTが得られる。
【0092】
同様の方法でPDPの表示画面に接着層を有する反射防止フィルムを貼合することにより、本発明の反射防止フィルムを組み込んだPDPを得ることができる。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば安価で生産性に優れるとともに耐傷性、表面硬度、密着性に優れ、色むらのない反射防止層を有する反射防止材料およびその製造方法を提供でき、前記反射防止材料を用いて外光反射による表示劣化を向上した表示装置を提供できる。
【0094】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
((基材フィルムの作製))
以下に示す方法に従って、基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0095】
(ドープの調製)
(酸化ケイ素分散液Aの調製)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
【0096】
(添加液Bの調製)
セルロースアセテート(アセチル置換度:2.65) 6kg
メチレンクロライド 140kg
上記素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化ケイ素分散液Aを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Bを調製した。
【0097】
(ドープ原液の調製)
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルロースアセテート(アセチル置換度:2.65) 100kg
トリフェニルフォスフェート 8kg
エチルフタリルエチルグリコレート 3kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.4kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ原液を調製した。
【0098】
更に溶液100kgあたり添加液Bを2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機H−Mixer、SWJ)で充分混合し、濾過し、ドープを調製した。
((セルロースエステルのアセチル置換度の測定))
ASTM−D817−96に規定の方法に準じて行った。
【0099】
((セルロースエステルフィルムの作製))
上記で調製したドープを用いてセルロースエステルフィルムを作製した。
ドープを濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は35質量%であった。なお、残留溶媒量はウェブの任意時点での質量をM、これを110℃で3時間乾燥させたときの質量をNとした場合に[(M−N)/N]×100(質量%)で表される。
【0100】
ウェブをステンレスバンド支持体から剥離した後、幅方向に保持しながら115℃で乾燥させた後、幅保持を解放して、ロール搬送しながら120℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作製した。フィルム幅は1300mm、巻き取り長は1500mとした。
【0101】
セルロースエステルフィルム片面に下記のハードコート層用塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなるようにバーコーターで塗布し、次いで120℃で乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚4μm、中心線平均表面粗さRa 15nmのクリアハードコート層を有する基材フィルムを得た。
((ハードコート層用塗布組成物))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 20.0g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 7.5g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 7.5g
ジエトキシベンゾフェノン(UV開始剤) 0.5g
アエロジルR−972(日本アエロジル(株)製) 0.5g
メチルエチルケトン 38ml
プロピレングリコールメチルエーテル 38ml
【0102】
参考例1】
反射防止フィルム1の作製
ハードコート層を設けた基材フィルムを用いて、ハードコート層の上に、下記の高屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し高屈折率構成層を設けた。高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0103】
((高屈折率構成層用組成物))
チタンテトラブトキシド 14.5g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.25g
カチオン性硬化樹脂(KR566−39 旭電化工業社製) 0.25g
1−ブタノール 75ml
ジメチルホルムアミド 3ml
10質量%塩酸 3ml
さらに高屈折率構成層の上に真空蒸着により低屈折率構成層を設けた。蒸着源としてSiO2を用い電子ビーム蒸着装置によって、低屈折率構成層としてSiO2薄膜、90nmを形成した。加熱源としては、電子ビーム銃(EB銃)を用いて、SiO2を加熱した。EB銃のエミッション電流は1.2〜2.0Aとし、蒸着時の蒸気圧は3×10-4Torr〜5×10-3Torrとした。低屈折率層の屈折率は1.45であった。
【0104】
信越化学社製コート剤「KP−801M」(CF3(CF2n24Si(NH23)を希釈溶剤として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い0.1質量%に希釈し、乾燥膜厚が2〜5nmになるように反射防止層表面に塗布乾燥し、防汚層を設け、反射防止フィルム1を得た。
【0105】
【実施例2】
反射防止フィルム2の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例1と同様にして高屈折率構成層を設けた。この高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。次にこの高屈折率層の上に、低屈折率構成層を、図1に示したプラズマ放電処理装置を用いて、下記の条件で、大気圧プラズマCVD法により形成した。この低屈折率構成層の膜厚は100nm、屈折率は1.45であった。また炭素含有量は、0.3質量%であった。
【0106】
さらに、この低屈折率構成層の上に実施例1と同様にして防汚層を設け、反射防止フィルム2を得た。
((大気圧プラズマCVD処理条件))
ロール電極として、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は図1には図示していない)にセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その上にテトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行いRmax 1μmとした誘電体を有するロール電極を用い、これをアース(接地)した。一方、対向電極としては、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、相対する電極群とし、必要な膜厚が得られるように調整した。また、プラズマ放電処理装置の電源としては、日本電子製高周波電源を使用し、連続周波数を13.56MHzとし、15W/cm2の電力を供給した。但し、ロール電極は、ドライブを用いて基材フィルムの搬送に同期して回転させた。
【0107】
電極間隙を1.0mm、反応ガスの圧力を103kPaとして、下記の組成の反応ガスを用いて、大気圧プラズマCVD処理を行い、低屈折率構成層として酸化珪素層を設けた。
((酸化珪素層(低屈折率構成層)形成用反応ガス))
不活性ガス(アルゴン) 98.7 体積%
反応ガス(酸素ガス) 1 体積%
反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3 体積%
【0108】
参考例3】
反射防止フィルム3の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例1の高屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分間で乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し高屈折率構成層を設けた。この高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.85であった。
【0109】
次に第1の高屈折率構成層の上に、下記の低屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、100℃で10分間加熱し、第1の低屈折率構成層を設けた。この低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.45であった。
((低屈折率層塗布液))
テトラエトキシシラン加水分解物* 27g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.8g
アルミニウムトリスエチルアセトアセテート 0.8g
2%アセトン分散微粒子シリカ(超音波分散) 30ml
(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)
シクロヘキサノン 50ml
フッ素系界面活性剤 0.1g
(メガファックF−172 大日本インキ社製)
*テトラエトキシシラン加水分解物の調製方法
テトラエトキシシラン250gにエタノール380gを加え、この溶液に3gの塩酸12Nを235gの水に溶解した塩酸水溶液を室温で、ゆっくり滴下した。滴下後、3時間室温で撹拌して調製した。
【0110】
さらに該低屈折率構成層の上に、参考例1の高屈折率構成層用塗布組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し第2の高屈折率構成層を設けた。第2の高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
次に、多結晶Siのメタルターゲットを用い、圧力1.3mPaまで排気した後、Ar/酸素混合ガス(酸素濃度12.0体積%)を100sccmで導入し、0.27Paの圧力下で、投入電力密度1W/cm2でDCマグネトロンスパッタを行い、膜厚約100nmの酸化珪素膜を第2の低屈折率構成層として設けた。屈折率は1.46であった。
【0111】
さらに第2の高屈折率構成層の上に、参考例1と同様にして防汚層を設け、反射防止フィルム3を得た。
【0112】
【実施例4】
反射防止フィルム4の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例3と同様にして、第1の高屈折率構成層、第1の低屈折率層、第2の高屈折率層を設けた。第1の高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.85であった。第1の低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.45であった。第2の高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0113】
次に第2の高屈折率構成層の上に、第2の低屈折率構成層を、図1に示したプラズマ放電処理装置を用いて、実施例2と同様の条件で、大気圧プラズマCVDにより形成した。この低屈折率構成層の膜厚は0.1μm、屈折率は1.44であった。また炭素含有量は、0.3質量%であった。さらに、この低屈折率構成層の上に参考例1と同様にして防汚層を設け、反射防止フィルム4を得た。
【0114】
参考例5】
反射防止フィルム5の作製
ハードコート層を設けた基材上に下記の中屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し、中屈折率構成層を設けた。この中屈折率構成層の乾燥膜厚は(約100nm)、屈折率は1.65であった。
【0115】
((中屈折率構成層用組成物))
チタンテトラブトキシド 9.5g
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.9g
カチオン性硬化樹脂(KR−566 旭電化工業社製) 0.9g
2−プロパノール 75ml
ジメチルホルムアミド 8ml
10質量%塩酸 2.6ml
次にこの中屈折率構成層の上に、実施例1の高屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で乾燥した後、300mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し高屈折率構成層を設けた。この高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0116】
さらに高屈折率構成層の上に真空蒸着により低屈折率構成層を設けた。蒸着源としてSiO2を用い電子ビーム蒸着装置によって、低屈折率構成層としてSiO2薄膜、約100nmを形成した。加熱源としては、電子ビーム銃(EB銃)を用いて、SiO2を加熱した。EB銃のエミッション電流は1.2〜2.0Aとし、蒸着時の蒸気圧は3×10-4Torr〜5×10-3Torrとした。低屈折率層の屈折率は1.45であった。
【0117】
信越化学社製コート剤「KP−801M」(CF3(CF2n24Si(NH23)を希釈溶剤として1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い0.1質量%に希釈し、乾燥膜厚が2〜5nmになるように反射防止層表面に塗布乾燥し、防汚層を設け、反射防止フィルム5を得た。
【0118】
【実施例6】
反射防止フィルム6の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例5と同様にして中屈折率構成層、高屈折率構成層を設けた。中屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.65であった。高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0119】
次に、この高屈折率構成層の上に、図1に示したプラズマ放電処理装置を用いて、実施例2と同様の条件で、大気圧プラズマCVDにより、低屈折率構成層を形成した。この低屈折率構成層の膜厚は0.1μm、屈折率は1.45であった。また炭素含有量は、0.3質量%であった。さらに、この低屈折率構成層の上に参考例1と同様にして防汚層を設け、反射防止フィルム6を得た。
【0120】
【実施例7】
反射防止フィルム7の作製
アンチグレア層を設けた基材上に実施例6と同様にして中屈折率構成層、高屈折率構成層を設けた。中屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.65であった。高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0121】
なお、アンチグレア層は、特開平7−181306号公報の実施例1と同様に設けた。ただし、基材はポリエステルフィルムではなく、実施例6と同様のセルロースエステルである。
次に、この高屈折率構成層の上に、図1に示したプラズマ放電処理装置を用いて、実施例2と同様の条件で、大気圧プラズマCVDにより、低屈折率構成層を形成した。この低屈折率構成層の膜厚は0.1μm、屈折率は1.45であった。また炭素含有量は、0.3質量%であった。
【0122】
さらに、この低屈折率構成層の上に参考例1と同様にして防汚層を設け、反射防止フィルム7を得た。
【0123】
〔比較例1〕反射防止フィルム8の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例1と同様にして、高屈折率構成層を設けた。この高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0124】
次に、この高屈折率構成層の上に、参考例3の低屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、100℃で10分間加熱し、低屈折率構成層を設け、反射防止フィルム8を得た。この低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.45であった。
【0125】
〔比較例2〕反射防止フィルム9の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例3と同様にして、第1の高屈折率構成層、第1の低屈折率構成層、第2の高屈折率構成層を設けた。第1の高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.85であり、第1の低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.05μm、屈折率は1.45であり、第2の高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。第2の高屈折率構成層の上に、参考例3の低屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で5分乾燥した後、100℃で10分加熱し、低屈折率構成層を設け、反射防止フィルム9を得た。この低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.45であった。
【0126】
〔比較例3〕反射防止フィルム10の作製
ハードコート層を設けた基材上に参考例5と同様にして、中屈折率構成層、高屈折率構成層を設けた。中屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.65であり、高屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.85であった。
【0127】
次に高屈折率構成層の上に、参考例3の低屈折率構成層用組成物をバーコーターで塗布し、次いで80℃で乾燥した後、100℃で10分間加熱し、低屈折率構成層を設け、反射防止フィルム10を得た。この低屈折率構成層の乾燥膜厚は0.1μm、屈折率は1.45であった。以上のようにして得られた反射防止フィルム1〜10について、下記の評価方法に従って、評価した。結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)鉛筆硬度評価
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止層を温度25C、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用い、1kgの加重にて引っ掻き、傷の発生を見た。
【0128】
n=5の評価において傷がまったく認められない :○
n=5の評価において傷が1または2つ :△
n=5の評価において傷が1または3つ以上 :×
(2)スチールウール耐擦り傷性
反射防止層表面をスチールウール(#0000)で200g/cm2の加圧下で30回擦った後、傷の有無について以下の3段階評価した。
【0129】
A:傷が全く付かない
B:少し傷が付くが見えにくい
C:顕著に傷が付く
(3)テープ剥離試験
JIS D 0202に準拠したテープ剥離試験を行った。反射防止フィルムを60℃、95%RHの条件で100時間静置した後、反射防止層の表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横に11本入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この上に市販のセロファン製テープを張り付け、その一端を手で持って垂直に力強く引張って剥がし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する薄膜が剥がされた面積の割合を
A:全く剥離されなかった
B:剥離された面積割合が10%未満であった
C:剥離された面積割合が10%以上であった
の如くランク評価した。
(4)防汚性
上記反射防止フィルムに指紋を付着させ、布で5回ふき取った後、目視評価した。
【0130】
指紋が完全にふき取れる :○
指紋がやや見える :△
指紋が殆どふき取れない :×
(5)反射率
分光光度計(日立製作所U−4000型)を用い、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。この測定方法にて、塗布されていない側の面の基材面を粗面化した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止し、反射率の測定を行い450〜650nmにおける最低反射率を表した。
(6)色むらの評価
反射防止フィルムの反射防止層を設けた面の反対側の面(基材面)に、黒色塗料をコートし、RGBを含む光源タイプ蛍光灯および自然光をそれぞれ照射し、目視で光干渉による色むらを以下の3段階で評価した。
【0131】
色むらが生じないもの :○
色むらが生じたもの :△
色むらが顕著なもの :×
【0132】
【表1】
Figure 0004023142

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明において反射防止層の形成に用いることができる大気圧プラズマ放電処理装置の一例を表す図である。
【符号の説明】
F …基材フィルム
G …反応ガス
G′ …排ガス
110 …回転電極
111 …対向電極
120,121 …ガイドロール
122,123 …ニップロール
124,125 …仕切り板
130 …給気管
131 …反応ガス発生装置
140 …ガス排気口
150 …放電部
180 …電源
181,182 …電圧供給手段
190 …プラズマ放電処理容器

Claims (5)

  1. 基材と、
    基材上に設けられたハードコート層またはアンチグレア層と、
    ハードコート層またはアンチグレア層上に設けられた少なくとも2以上の構成層からなる多層構成の反射防止層と、
    反射防止層上に設けられた防汚層とを有する反射防止材料の製造方法であって、
    反射防止層を構成する構成層のうち、最上層を大気圧プラズマCVD(化学的気相堆積法)によって形成し、
    他の構成層を塗布法で形成し、
    大気圧プラズマCVDによって形成された最上層を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態として、他の構成層を有する基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、形成することを特徴とする反射防止材料の製造方法。
  2. 基材と、
    基材上に設けられたアンチグレア層と、
    アンチグレア層上に設けられた少なくとも2以上の構成層からなる多層構成の反射防止層と、
    反射防止層上に設けられた防汚層とを有する反射防止材料の製造方法であって、
    反射防止層を構成する構成層のうち、最上層を大気圧プラズマCVD(化学的気相堆積法)によって形成し、
    他の構成層を塗布法で形成し、
    大気圧プラズマCVDによって形成された最上層を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、対向する電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、かつ、1W/cm2以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態として、他の構成層を有する基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、形成することを特徴とする反射防止材料の製造方法。
  3. 前記高周波電圧がサイン波であることを特徴とする請求項またはに記載の反射防止材料の製造方法。
  4. 前記基材が透明プラスチックであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の反射防止材料の製造方法。
  5. 前記透明プラスチックがセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項に記載の反射防止材料の製造方法。
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