JP4653376B2 - 積層膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機基を有する酸化珪素の薄膜からなる積層膜を形成する方法及び該積層膜を有する反射防止フィルム、偏光板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等の表示装置のフルカラー化、動画表示性の際の視認性向上のため、これら表示装置において反射防止性のさらなる向上が求められている。又、携帯電話等の小型の表示装置においてもカラーで動画表示するものが増えており、益々視認性の向上が求められてきている。
【0003】
また、その反射防止層には付着した指紋を簡単にふき取れる防汚性が求められている。そのため、塗布等の方法で反射防止層と防汚層を形成する方法が提案されている。最近、プラズマCVDで反射防止層を形成する方法も提案されており、より高性能な反射防止層を安価に提供することが期待されている。プラズマCVDで反射防止層を形成する際にも表面に防汚性を付与することが求められている。プラズマCVDで形成した金属酸化物層の表面に塗布により防汚層を形成し、全体として防汚性反射防止層とする事もできるが、コスト高となる。そのため、プラズマCVDで形成した反射防止層の上にプラズマCVDで防汚性を形成することが求められていた。
【0004】
例えば、特開2002−103507には有機シリコーンをもちいたプラズマCVDによりシリカ層を形成する方法が記載されている。しかしながら、金属酸化物層の上に有機基を有する酸化珪素層を形成すると、プラズマ処理装置がパーティクルで汚れたり、異物故障が多発することがあり、これらは、特に大気圧プラズマCVDでは問題であり、その改善が求められていた。又、処理速度をあげるため、放電電圧を上げると防汚性が低下するという問題があり、その改善が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、反射防止フィルム等の表面に適用して、反射防止能が高く、表面比抵抗が好ましい範囲にあり、防汚性に優れ、異物故障の少ない積層膜の形成方法を得ることにあり、該方法によって得られる反射防止フィルム等の光学フィルムおよびこれを保護フィルムとして用いた偏光板を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下(1)〜()の手段により達成される。
(1)金属もしくは金属酸化物層を有するフィルム上の、金属もしくは金属酸化物層を有する側の表面に有機基を有する酸化珪素の膜を形成する方法において、メチルトリエトキシシランと、希ガスあるいは窒素と、還元性ガスとを含有する反応ガスを用いて、大気圧プラズマCVDにより前記酸化珪素の膜を形成することを特徴とする積層膜成方法。
(2)還元性ガスをメチルトリエトキシシランとともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする前記(1)記載の積層膜成方法。
(3)還元性ガスを窒素あるいは希ガスとともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする前記(1)に記載の積層膜成方法。
(4)還元性ガスが水素であり、水素を0.1〜8%含有する反応ガスを用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層膜成方法。
(5)前記積層膜を有するフィルムが反射防止フィルムであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の積層膜成方法。
尚、以下の1〜14は参考とされる手段である。
【0007】
1.金属もしくは金属酸化物層を有するフィルム上に、有機珪素化合物と希ガスあるいは窒素を含有する反応ガスを用いて、プラズマCVDにより、有機基を有する酸化珪素の膜からなる積層膜を形成する方法において、反応ガスが還元性ガスを有することを特徴とする積層膜を形成する方法。
【0008】
2.還元性ガスを有機珪素化合物とともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする前記1に記載の積層膜を形成する方法。
【0009】
3.還元性ガスを窒素あるいは希ガスとともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする前記1に記載の積層膜を形成する方法。
【0010】
4.還元性ガスが水素であり、水素を0.1〜8%含有する反応ガスを用いることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の積層膜を形成する方法。
【0011】
5.透明導電膜上に、酸化性ガスと有機珪素化合物を含有するガスを用いて(有機基を有する)酸化珪素の薄膜を形成した後、還元性ガスと有機珪素化合物を含有するガスを用いてプラズマCVDにより有機基を有する酸化珪素の薄膜を形成することを特徴とする積層膜を形成する方法。
【0012】
6.透明導電膜がITO、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択される金属酸化物を含有することを特徴とする前記5に記載の積層膜を形成する方法。
【0013】
7.還元性ガスが水素であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の積層膜を形成する方法。
【0014】
8.有機基を有する酸化珪素の薄膜が有機基として置換基を有してもよいアルキル基もしくはアリール基を有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の積層膜を形成する方法。
【0015】
9.プラズマCVDが大気圧プラズマCVDであることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の積層膜を形成する方法。
【0016】
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の方法で製造された反射防止フィルム。
【0017】
11.透明導電膜を有する反射防止層の表面に有機基を有する珪素酸化物の薄膜を有することを特徴とする反射防止フィルム。
【0018】
12.酸化亜鉛層を有し表面比抵抗が1010Ω/cm2以下であることを特徴とする前記11に記載の反射防止フィルム。
【0019】
13.基材フィルムが750〜1100nmの近赤外領域に吸収極大を有する染料を含有するか、あるいはこれらを含有する層を有することを特徴とする前記10〜12のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【0020】
14.750〜1100nmの近赤外領域に吸収極大を有する染料が、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、オキサジベンゾフランシアニン染料から選択される少なくとも1種の染料であることを特徴とする前記13に記載の反射防止フィルム。
【0021】
本発明者等は、上記の問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、金属もしくは金属酸化物層を有するフィルム上に、有機珪素化合物と希ガスあるいは窒素を含有する反応ガスを用いて、プラズマCVDにより、有機基を有する酸化珪素の膜からなる積層膜を形成する方法において、反応ガス中に還元性ガスが添加された反応ガスを用いることによって著しく改善されることを見いだし、本発明を完成させた。
【0022】
還元性ガスとしては水素、炭化水素が好ましく、炭化水素としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等があげられるが、特に水素が好ましく用いられ、反応ガス中に0.1〜8%含有することが好ましく、更に好ましくは0.1〜6%であり、0.2〜3%が特に好ましい(いずれも体積%)。又、酸素等の酸化性ガスの含有量が0〜5000ppm以下であることが望ましい。
【0023】
プラズマCVDの際に還元性ガスを含む反応ガスを供給する方法としては、還元性ガスを含有する窒素あるいは希ガスを放電空間内もしくはその近傍に供給することが安定した製膜を行うことが出来るため好ましく、更に好ましくは、還元性ガスを有機珪素化合物とともに放電空間内もしくはその近傍に供給することが好ましい。有機珪素化合物はあらかじめ窒素あるいは希ガスで希釈されていることが更に好ましく、これにより安定した製膜を連続的に行うことが出来る。
【0024】
本発明において、請求項1における金属酸化物層とは、後述する反射防止膜を形成する二酸化珪素や二酸化チタン等に代表される、金属酸化物の薄膜、或いは、代表的にはITO、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択される透明導電膜を形成する金属酸化物薄膜のことであり、また、金属層とは透明な金属薄膜等の層であってよい。
【0025】
これらの層上に、有機珪素化合物と希ガスあるいは窒素を含有する反応ガスを用いて、プラズマCVDにより、有機基を有する酸化珪素の膜からなる積層膜を形成する際に、反応ガス中に還元性ガスが添加された反応ガスを用いることによって、反射防止膜等の反射率や、異物故障、防汚性等の表面の特性は、前記の如く、著しく改善される。一方で、別の問題として、透明導電膜上に有機基を有する酸化珪素の膜を形成する際に、透過率が低下することがあり、その改善が求められていた。そのため、その問題を解決するために検討した結果、例えば、透明導電膜上に有機基を有する酸化珪素の膜を形成する際に、酸化性ガスと有機珪素化合物を含有するガスで透明導電膜上に薄膜を形成した後、還元性ガスと有機珪素化合物を含有するガスを用いてプラズマCVDにより有機基を有する酸化珪素の膜からなる積層膜を形成することによって、著しく改善できることを見いだした。
【0026】
透明導電膜とは、表面比抵抗が1010Ω/cm2以下である膜である。透明導電膜としては、ITO、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択される金属酸化物を含有するものが好ましく、特に酸化錫、酸化亜鉛が用いられる。これらは導電性を向上させるためにドープすることが好ましく、例えば、酸化亜鉛膜はAl又はSiでドープされていることが好ましい。従って、プラズマCVD等により酸化亜鉛膜を形成する際に、反応ガス中に、有機アルミニウム又は有機珪素化合物を少量添加することができる。あるいは放電用電極表面にあらかじめこれらの化合物あるいはその酸化物を付着させておくか、被覆しておくことで酸化亜鉛層中にAl又はSiでドープすることができる。
【0027】
透明導電膜は可視光透過率80%以上であることが好ましく、更に好ましくは90%以上であり、特に好ましくは93%以上である。
【0028】
本発明において、また、透明導電膜とは金属薄膜からなる金属層であってもよく、例えば、プラズマCVD法により、Ag,Au,Sn,Cu等の金属薄膜を形成することが出来る。これらは透過率を向上させるため形成した金属薄膜を網目状にエッチングすることもできる。これらの金属薄膜あるいは金属メッシュ層は電磁波遮蔽のために有効である。
【0029】
反射防止フィルムは複数の反射防止層から構成され、透明基材の上に必要に応じてハードコート層を任意の構成で設け、屈折率と膜厚と層の数、層順により、目的とする光学特性を設計する。
【0030】
通常反射防止フィルムは、透明基材の観察者側の面に反射防止層又は防眩層、ハードコート層、導電性層等を設け、基材の観察者側の面とは反対側の面には、ディスプレイ用の偏光子等の表面にこれを貼合する為の易接着層、ケン化処理層、粘着剤層を有している。反射防止層は、通常、基材よりも屈折率の高い高屈折率の層と基材よりも屈折率の低い低屈折率の層を組み合わせることにより達成される。屈折率の異なったこれらの各層は通常、珪素、チタン等の金属酸化物の薄膜から構成されており、構成の例としては、単層、多層の各種知られているが、多層のものとしては基材側から高屈折率層と低屈折率層の2層から成る構成や、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材或いはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)、高屈折率層、低屈折率層の順に積層することや、更に多くの層を積層すること等が提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性などから、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を設けることが好ましい。
【0031】
基材面に(中屈折率層を設ける場合もある)高屈折率層、その上に低屈折率層を順に積層し、高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚を光の波長に対し所定の値に設定することにより光学干渉層を作り、反射防止積層体としたものが反射防止層としては特に好ましく、屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出し得る。
【0032】
上記の反射防止フィルムの低屈折率層には、珪素化合物、又は珪素化合物とフッ素化合物の混合物、又はフッ素系化合物の層が好ましく用いられる。
【0033】
本発明ではこれらの屈折率の異なった金属酸化物からなる薄膜についても、塗布、スパッタ、蒸着、プラズマCVD法によって形成することができるが、特に大気圧プラズマCVD法によって形成されたものであることが好ましい。この大気圧プラズマCVD法は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下にある対向電極間の間隙に反応ガスを供給して放電することにより発生させたプラズマによって、基材フィルム上に金属酸化物からなる膜を形成させるものである。大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜200kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜110kPaが好ましい。
【0034】
本発明において、反射防止フィルムとしては、反射防止膜を有すると同時に帯電防止能を有することが好ましく、表面比抵抗が1010Ω/cm2以下であることが好ましい。
【0035】
従って、反射防止層を構成する上記の複数の金属酸化物の薄膜の1つは、帯電防止のために透明導電膜であることが好ましく、例えば、透明導電膜である酸化スズ或いは酸化亜鉛等の薄膜を高屈折率層もしくは中屈折率層とし、この上に本発明に係わる有機基を有する珪素酸化物の薄膜を低屈折率の層として形成した積層膜とすること等が好ましい。
【0036】
これらの層の厚さについては、本発明の反射防止フィルムは特に限定することはなく、反射防止の効果を奏する程度の厚さであれば特に限定されるものではないが、好ましくは1〜1000nm、特に、10〜150nmの範囲が好ましい。
【0037】
本発明においては大気圧CVD法で積層膜を形成することが好ましい。
本発明において、有機基を有する酸化珪素の膜からなる積層膜を形成するための、プラズマ放電処理は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われることが好ましく、上記反射防止層を構成するその他の金属酸化物層や導電性膜としての金属層等についても、大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理によって形成されるのが好ましい。
【0038】
以下、大気圧プラズマ放電処理について説明する。
本発明に係わる、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマ放電処理による薄膜形成方法において、対向電極間(放電空間)に供給する反応ガスは、少なくとも、電界により励起する放電ガスと、薄膜を形成する原料ガスを含んでいる。
【0039】
放電ガスとしてはヘリウム、アルゴン等の希ガス或いは窒素を用いることができるが、特に窒素が好ましく用いられる。窒素ガスを用いて大気圧CVD法で積層膜を形成する場合、下記の放電条件で行うことが好ましい。
【0040】
即ち、対向する第1電極と第2電極との放電空間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有するものである。
【0041】
高周波とは、少なくとも0.5kHz以上の周波数を有するものを言う。
前記高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。
【0042】
放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種などによって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
【0043】
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することが出来ると推定される。ここで重要なのは、このような高周波電圧が対向する電極それぞれに印加され、すなわち、同じ放電空間に両方から印加されることが好ましい。
【0044】
上記でサイン波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
【0045】
上記の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加するため、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置が好ましく用いられる。
【0046】
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、前記対向電極間に、放電ガスと原料ガスとを供給するガス供給手段を備えていることが好ましい。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
【0047】
また、電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルターを、また電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルターを接続することが好ましく、第1フィルターは該第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第2電源からの周波数の電流を通過し易くし、また、第2フィルターはその逆で、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第1電源からの周波数の電流を通過し易くするというそれぞれのフィルターには機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過し易いとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
【0048】
更に、本発明で用いられる大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より大きな高周波電圧を印加出来る能力を有していることが好ましい。
【0049】
また、別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2
を満たす。更に好ましくは、
1>IV>V2
を満たすことである。
【0050】
高周波および放電開始電圧の定義、また、上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
【0051】
ここで、本発明でいう高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
【0052】
高周波電圧V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
【0053】
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
【0054】
なお、上記測定に使用する高周波プローブとオシロスコープの位置関係については後述の図1に示してある。
【0055】
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来る。
【0056】
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
【0057】
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、サイン波でもパルスでもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
【0058】
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
【0059】
このような二つの電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0060】
前記第1フィルターは、前記第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、且つ前記第2電源からの周波数の電流を通過し易くするようになっており、また前記第2フィルターは、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくく、且つ該第1電源からの周波数の電流を通過し易くするようになっている。
【0061】
例えば、第1フィルターとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
【0062】
本発明に係わる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、該対向電極間もしくはその近傍に導入した放電ガスと原料ガスをプラズマ状態とし、該対向電極間に静置あるいは移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置も好ましく用いられる。
【0063】
図1は本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0064】
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図1では図示してない(後述の図2に図示してある)が、ガス供給手段、電極内部に温度制御用媒体(水、油等)を循環供給可能な電極温度調節手段を有している装置である。
【0065】
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの第1の周波数ω1の高周波電圧V1が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの第2の周波数ω2の高周波電圧V2が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電圧(V1>V2)を印加出来る能力を有しており、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より低い周波数を印加できるものである。
【0066】
第1電極11と第1電源21との間には、第1電源21からの電流が第1電極11に向かって流れるように第1フィルター23が設置されており、第1電源21からの電流を通過しにくくし、第2電源22からの電流が通過し易くするように設計されている。
【0067】
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2電源22からの電流が第2電極12に向かって流れるように第2フィルター24が設置されており、第2電源22からの電流を通過しにくくし、第1電源21からの電流を通過し易くするように設計されている。
【0068】
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、ここでは図示してない(後述の図2に図示してあるような)ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。ここでは図示してないが、電極内部には温度制御用媒体を供給循環させて電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の表面の温度を制御することが望まれる。
【0069】
また、図1に前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。25及び26は高周波プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
【0070】
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置は複数基を並べて配置することで、処理速度を向上させることが出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった組成の積層薄膜を形成することも出来る。
【0071】
図2は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の回転電極と固定電極を有する大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0072】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電圧印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。図では省略しているが、各々の固定電極36は電源42と接続され、更に電源温度調節手段60から供給される媒体を循環できるようになっており、また、各固定電極36間にガス供給手段50からのガスGをガス導入口52を介して供給する手段および排ガスG′を排出する手段を交互に有している。図ではガスの流れを示す矢印でのみ示した。
【0073】
図2は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
【0074】
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω1であって高周波電圧V1を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω2であって高周波電圧V2をかけるようになっている。
【0075】
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1電源41からの電流がロール回転電極(第1電極)35に向かって流れるように第1フィルター43が設置されており、該第1フィルター43は第1電源41からの電流を通過しにくくし、第2電源42からの電流を通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42からの電流を通過しにくくし、第1電源41からの電流を通過し易くするように設計されている。
【0076】
なお、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。更に、第1電源は第2電源より高い電位の高周波(V1>V2)を印加出来る能力を有していればよい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有していればよい。
【0077】
気化器などのガス供給手段50のガス供給装置51で発生させたガスGは、流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。図では省略しているが、ガスGは各固定電極36の間より放電空間32へと導入する。
【0078】
基材Fが、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにさらされ表面に薄膜が形成される。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0079】
さらに膜厚を厚くする場合、或いは、別の層を積層する場合は、別のプラズマ処理装置30を接続して、連続的に製膜することができる。
【0080】
放電処理済みの処理排ガスG′は固定電極36の間隔から排出され、最後に排気口53より排出する。複数ある固定電極36の間隙に設けられた排ガスG′の排出口は、供給されるガスGの供給口と交互に設けられている。
【0081】
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
【0082】
図3は本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに有用な回転電極と固定電極を有する大気圧プラズマ放電処理装置の別の一例を示す概略図である。
【0083】
回転電極110とそれに対向して配置された複数の固定電極111を有し、図示されていない元巻きロールまたは前工程から搬送されて来る基材Fがガイドロール120、ニップロール122を経て回転電極110に導かれ、基材Fは回転電極110に接した状態で回転電極110の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電部150に反応ガス発生装置131で調製された反応ガスGが給気管130から供給され、固定電極111に対向している基材面に薄膜が形成される。図では省略しているが、給気管130からの導入後、反応ガスGは各固定電極111の間隙に設けられた導入口から、放電部150に導入される。該導入口は処理済みの排ガスG′の排出口と交互に設けられている。図では、単に矢印で示した。
【0084】
回転電極110と固定電極111には、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電圧供給手段181、182を介して接続されている。
【0085】
また、回転電極110、固定電極111、放電部150はプラズマ放電処理容器190で覆われ、外界と遮断されている。処理された排ガスG′は、図では省略しているが、各固定電極111の間に設けられた各排出口から排出され、処理室の下部にあるガス排気口140から排出される。各固定電極間に設けられた排ガスG′の排出口は各固定電極111の間に設けられた前記反応ガスGの供給口と交互に設けられるていることが好ましい。各電極間のガス供給口および排出口は単に矢印で示した。
【0086】
プラズマ放電処理された基材Fはニップロール123及びガイドロール121を経て次工程または図示してない巻き取りロールへ搬送される。
【0087】
基材Fがプラズマ放電処理容器の出入り部分のニップロール122及び123のところに外界との仕切板124及び125が設けられており、外界からニップロール122と共に基材Fに同伴して来る空気を遮断し、また出口においては、反応ガスGまたは排ガスG′が外界に漏れないようになっている。なお、図示してないが、必要に応じて、回転電極110及び固定電極111は温度調節のための温度制御された媒体を循環するようになっており、温度制御することができる。
【0088】
このように、本発明において、薄膜が形成される基材は回転電極上で移送しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0089】
回転電極が基材と接する表面は高い平滑性が求められ、回転電極の表面の表面粗さがJIS−B−0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下である。また、回転電極上のゴミ、異物、パーティクル等は形成する薄膜の欠陥の原因となるため、粘着ロール、ブラシ、エアブロア等によって除去することが望まれる。
【0090】
用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙げることができる。
【0091】
特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、チタン合金等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
【0092】
また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0093】
本発明において、電極はその裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度及び基材の温度を制御することが好ましい。
【0094】
媒体としては、蒸留水、油特にシリコンオイル等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0095】
放電処理の際の基材の温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃以下が好ましく、より好ましくは50〜120℃以下であり、更に好ましくは60〜110℃である。
【0096】
放電処理の際に基材面の特に幅手方向で温度ムラが生じないようにすることが望ましく、±5℃以内とすることが好ましく、より好ましくは±1℃以内であり、特に好ましくは±0.1℃以内である。
【0097】
本発明において、電極間隙の放電部には、ガス発生装置で発生させた反応ガスを流量制御して、反応ガス供給口よりプラズマ放電部に導入される。反応ガスの濃度や流量は適宜調整されるが、基材の搬送速度に対して十分な速度で処理用ガスを電極間隙に供給することが好ましい。例えば、幅手方向1cmあたり0.1〜200L/minの流量で反応ガスを供給することが好ましい。放電部では供給した反応ガスのほとんどが反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件が設定するのが望ましい。
【0098】
放電部に大気が混入したり、反応ガスが装置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中の基材は全体を囲んで外界から遮蔽することが好ましい。本発明において、放電部の気圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持される。
【0099】
図4は、図2および3に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0100】
図4において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて温度調節が行われるようになっている。
【0101】
図5は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0102】
図5において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図3同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
【0103】
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、例えば、図2において、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0104】
図5に示した角筒型電極36aにかえて、断面が円であ円筒型電極を用いることができるが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
【0105】
図4及び5において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆されていることが好ましい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0106】
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0107】
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。なお、ロール電極の回転によって電極間隔が変動しないことが好ましく、変動幅としては±0.5mm以内であることが好ましく、さらに±0.1mm以内であることが好ましく、±0.01mm以内であることが好ましい。
【0108】
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
【0109】
図2或いは3におけるプラズマ放電処理容器31或いは190はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図1において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
【0110】
図1および2における大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
Figure 0004653376
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0111】
また、第2電源(高周波電源)としては、
Figure 0004653376
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
【0112】
尚、図3におけるように、1つの電源を用いる場合には、どちらか1つを、反応ガス(膜形成性ガス)および形成される膜の種類や処理しようとする基材等にあわせて選択すればよい。
【0113】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0114】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを原料ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2以下、より好ましくは20W/cm2以下である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0115】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0116】
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0117】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0118】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
▲1▼金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲2▼金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
▲3▼金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲4▼金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
▲5▼金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲6▼金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
▲7▼金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
▲8▼金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記▲1▼または▲2▼および▲5▼〜▲8▼が好ましく、特に▲1▼が好ましい。
【0119】
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
【0120】
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
【0121】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0122】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0123】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
【0124】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0125】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0126】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0127】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0128】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0129】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃〜500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0130】
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、放電ガスおよび原料ガスを含有する。放電ガスと原料ガスは混合して供給してもよいし、別々に供給してもかまわない。
【0131】
放電ガスとは、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことの出来るガスであり、それ自身がエネルギーを授受する媒体として働く。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本発明において、放電ガスとして特に好ましいのは窒素である。放電ガスの50〜100体積%が窒素ガスであることが好ましい。このとき、放電ガスとして窒素以外の放電ガスとしては、希ガスを50体積%未満含有することが好ましい。また、放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0132】
原料ガスとは、放電ガスからのエネルギーを受け取って、それ自身は励起して活性となり、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料のことである。
【0133】
次に、本発明に使用する薄膜を形成する反応ガスについて説明する。使用する反応ガスは、基本的に放電ガスと原料ガスの混合ガスである。更に添加ガスを加えることもある。混合ガス中、放電ガスを90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0134】
前記金属或いは金属酸化物の薄膜を形成するための原料ガスとして用いられる珪素化合物、チタン或いは錫等の金属化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、有機金属錯体化合物や金属アルコキシド等の有機金属化合物、が好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、好ましく用いられる。
【0135】
また、上記記載の金属化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射、噴霧等の手段により気化させて使用される。例えば、珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。
【0136】
反応ガス中に上記記載の金属化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の金属化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0137】
反応ガスに有機金属化合物を添加する場合、例えば、有機金属化合物としてLi,Be,B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Cd,In,Ir,Sn,Sb,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Tl,Pb,Bi,Ce,Pr,Nd,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される金属を含むことができる。より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0138】
また、上記または上記以外の膜形成ガスを適宜選択して、様々な高機能性の薄膜を得ることができる。その一例を以下に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0139】
電極膜 Au,Al,Ag,Ti,Ti,Pt,Mo,Mo−Si
誘電体保護膜 SiO2,SiO,Si34,Al23,Al23,Y23
透明導電膜 In23,SnO2,ZnO
エレクトロクロミック膜 WO3,IrO2,MoO3,V25
蛍光膜 ZnS,ZnS+ZnSe,ZnS+CdS
磁気記録膜 Fe−Ni,Fe−Si−Al,γ−Fe23,Co,Fe34、Cr,SiO2,Al23
超導電膜 Nb,Nb−Ge,NbN
太陽電池膜 a−Si,Si
反射膜 Ag,Al,Au,Cu
選択性吸収膜 ZrC−Zr
選択性透過膜 In23,SnO2
反射防止膜 SiO2,TiO2,SnO2,Ta25
シャドーマスク Cr
耐摩耗性膜 Cr,Ta,Pt,TiC,TiN
耐食性膜 Al,Zn,Cd,Ta,Ti,Cr
耐熱膜 W,Ta,Ti
潤滑膜 MoS2
装飾膜 Cr,Al,Ag,Au,TiC,Cu
また、本発明において、金属もしくは金属酸化物層を有するフィルム上に、また透明導電膜上に積層され、反射防止フィルムの最上層に形成される膜として、防汚性に優れた、異物等の少ない、有機基を有する酸化珪素の膜は、上記の有機珪素化合物から選ばれる1以上の膜形成ガスと希ガスあるいは窒素を含有する反応ガスに還元性ガスを添加して、大気圧下におけるプラズマCVDにより形成される。
【0140】
前記記載の反射防止層の形成において、低屈折率層形成用原料ガスとしては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることが出来、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。
【0141】
前記記載の反射防止層の形成において、中屈折率層もしくは高屈折率層形成用反応ガスにもちいられる金属化合物として錫化合物があるが、好ましい錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることが出来、何れも本発明において、好ましく用いることが出来る。又、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。尚、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1010Ω/cm2以下、更に好ましくは108Ω/cm2以下に下げることが出来るため、帯電防止層としても有用である。
【0142】
また、反射防止層において、高屈折率層形成用反応ガスに原料ガスとして使用するチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることが出来る。或いは、高屈折率層としてテトライソプロポキシタンタル等のアルコキシタンタル類が酸化タンタル層を形成する原料ガスとしてあげられ、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。又これらの原料ガスを2種以上を同時に混合して使用することが出来るがこれらに限定されない。
【0143】
本発明に有用な、有機基を有する酸化珪素の膜を形成するための有機珪素化合物の例としては、例えば、オルガノシラン類があり、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0144】
一般式(1) R11Si(OR1)(OR2)(OR3
一般式(2) R1112Si(OR1)(OR2
一般式(3) R111213Si(OR1
−OR1,−OR4は置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R11,R13は置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、水素原子、ハロゲン原子から選択される置換基であり、それぞれ異なっていても同じでもよい。
【0145】
この有機珪素化合物の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリキドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリキドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアシルオキシシラン、トリフェノキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシレン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシラン、ジアシルオキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン類等が挙げられる。また、有機シリコーン類等も好ましい。
【0146】
上述したように、本発明に係わる有機基を有する酸化珪素の膜は、ケイ素原子(Si)と酸素原子(O)に加え、有機物(炭素(C))が結合されている構造となっていることに特徴を有している。本発明は、前記結合されている有機物の構造を限定するものではなく、酸化珪素の膜全体として屈折率が1.40〜1.46の範囲内であればいかなる構造を有する有機物であってもよい。
【0147】
これらのアルキル基やアリール基を有するオルガノシラン或いは有機シリコーン等の様な有機珪素化合物を膜形成性ガスとして用い、形成された酸化珪素の膜は、公知のIRスペクトル透過法により赤外線吸収を測定したところ、C−H結合のストレッチング振動が、波長2800〜3100cm-1の吸収スペクトル領域に、また、O−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収については、波長3000〜3800cm-1の領域に吸収スペクトルがみられ、酸化珪素の膜内のC−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収、及びO−H結合のストレッチング振動の赤外線吸収がそれぞれ上記範囲内にあることから、有機基が結合していることが明らかであり、低屈折率で、かつ耐湿熱性を有する二酸化珪素の膜ということができる。有機基例えば、用いた原料ガスに由来する有機基(例えば、アルキル基やフェニル基等の)が含まれていると考えられる。
【0148】
本発明において、前記各種の金属酸化物の薄膜をその上に形成する基材フィルムとしての透明支持体は特に限定されないが、膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく用いられ、セルロースエステルフィルム、ポリエステルフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム(ARTON ジェイエスアール(株)製)、アクリルフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート等が用いられる。
【0149】
透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0150】
基材としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが、例えば反射防止膜の場合、低い反射率の積層体が得られる為、好ましく用いられる。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。例えばコニカタックKC4UX、KC5UX、KC8UX等(コニカ(株)製)が用いられる。
【0151】
本発明では、これらセルロースエステルフィルムは通常、膜厚10〜500μmのものが用いられるが、特に膜厚10〜80μmのものを使用することが好ましい。
【0152】
本発明に係わる積層膜の形成方法により、反射防止フィルムを作製する場合、これらの基材フィルムにはスクアリリウム染料、クロコニウム染料、オキサジベンゾフランシアニン染料をフィルム中に含有するか、あるいはこれらを含有する層を基材フィルム上に設けることが好ましい。又、同時に紫外線吸収剤を含有させるかもしくは紫外線吸収層を設けておくことが好ましい。
【0153】
本発明において好ましく用いられるスクアリリウム染料、クロコニウム染料、オキサジベンゾフランシアニン染料としては、下記式(I)または(II)および(III)で化合物である。
【0154】
【化1】
Figure 0004653376
【0155】
式中、X1およびX2は、それぞれ独立に、O、S、TeまたはSeであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または一価の基であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、そして、複数のR1または複数のR2が結合し、脂肪族環または芳香族環を形成してもよい。
【0156】
【化2】
Figure 0004653376
【0157】
式中、X3およびX4は、それぞれ独立に、O、S、TeまたはSeであり、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子または一価の基であり、R7およびR8は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり、そして、複数のR5または複数のR6が結合し、脂肪族環または芳香族環を形成してもよい。
【0158】
これらの染料を含有した基材或いはこれらを含有する層は、750乃至1100nmに、さらに好ましくは770乃至1050nmに、最も好ましくは800乃至1030nmにそれぞれ光吸収の極大を有しており、その透過率は極大の波長においてそれぞれ0.01%〜30%の間であり、好ましくは0.05%〜20%の間であり、最も好ましくは、0.1〜10%の間である。上記の吸収スペクトルを付与するために、前記(I),(II)で表される色素(染料または顔料)を用いる。
【0159】
上記の波長が750〜1100nmの範囲に吸収極大を示す染料の吸収スペクトルは、可視域(400〜700nm)の副吸収が少ないほうが好ましい。
【0160】
式(I)において、X1およびX2は、O、S、TeまたはSeを表し、OまたはSが好ましい。R1およびR2で表される一価の基としては、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR20、−COR21、−COOR22、−OCOR23、−NR2425、−NHCOR26、−CONR2728、NHCONR2930、NHCOOR31、−SR32、−SO233、−SO2OR34、−NHSO235または−SO2NR3637である。R20〜R37は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。なお、−COOR22のR22が水素原子の場合(すなわち、カルボキシル)および−SO2OR34のR34が水素原子の場合(すなわち、スルホ)は、水素原子が解離しても、塩の状態であってもよい。
【0161】
本発明において肪族族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。アルキル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基としては、ここで述べる一価の基と同じである(但し、シアノ基およびニトロ基は除く)。置換アルキル基の例には、2−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロピルおよび4−スルホブチルが含まれる。
【0162】
アルケニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2ないし20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニルおよび2−ヘキセニルが含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同じである。アルキニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2ないし20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エチニルおよび2−プロピニルが含まれる。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同じである。アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。置換アラルキル基のアラルキル部分は、上記アラルキル基と同様である。置換アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。
【0163】
本発明において、芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、6乃至25であることが好ましく、6乃至15であることがさらに好ましく、6乃至10であることが最も好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。置換アリール基の置換基は、ここで述べる一価の基と同じである。置換アリール基の例には、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニルおよび4−ブタンスルホンアミドフェニルが含まれる。
【0164】
複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の複素環は、5または6員環であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環およびチアジアゾール環が含まれる。R1およびR2は、アルキル基またはアリール基が好ましい。R3およびR4で表されるアルキル基は、前述と同じである。複数のR1またはR2が連結してできる脂肪族環としては、シクロペンタンまたはシクロヘキサン環が挙げられ,複数のR1またはR2が連結してできる芳香族環としては、ベンゼンまたはナフタレン環を挙げることができる。
【0165】
また、前記一般式(II)において、X3およびX4は式(I)のX1およびX2に、R5およびR6は、式(I)のR1およびR2に、R7およびR8は式(I)のR3およびR4に、複数のR5および複数のR6が連結する脂肪族環または芳香族環は、式(I)の複数のR1および複数のR2が連結する脂肪族環または芳香族環それぞれ同じである。これらの化合物例を示す。
【0166】
【化3】
Figure 0004653376
【0167】
【化4】
Figure 0004653376
【0168】
これらの染料を例えば基材中に添加するには、例えばセルロースエステルの場合、ドープ中に混合溶解した後、或いは下記のような固体分散物とし添加分散した後、製膜する等の方法で行うことが出来る。また、これらの染料を別の(後述する)ポリマーバインダー中に溶解或いは分散した後、基材上に塗設して染料層を設ける方法でもよい。
【0169】
本発明の染料は、固体微粒子分散物として利用することもできる。固体微粒子分散物にするためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミルおよびローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号および国際特許88/074794号に記載がある。縦型または横型の媒体分散機が好ましい。分散は、適当な媒体(例、水、アルコール)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52ー92716号および国際特許88/074794号に記載)が好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。染料を適当な溶媒中に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて染料の微結晶を析出させてもよい。
【0170】
これら一般式(I)または(II)で表される染料を含有する基材中、或いはこれらの染料を含有する染料層を設けた場合、その層中には、これら一般式(I)または(II)で表されるIR染料のほかに、色補正染料として波長が560nm〜620nmの範囲に吸収極大を示す染料を用いるのが好ましい。波長が560nm乃至620nmの範囲に吸収極大を有する染料の吸収スペクトルは、なるべく緑光領域に影響を与えないよう選択的に光をカットするためにシャープにすることが好ましい。具体的には、半値幅が5乃至100nmであることが好ましく、10乃至70nmであることがさらに好ましく、10乃至50nmであることが最も好ましい。以上述べたような好ましい吸収波形を得るために、用いる染料は以下に示す一般式のものが好ましい。
【0171】
【化5】
Figure 0004653376
【0172】
式中、P、Qはそれぞれ酸性核、塩基性核、芳香環より選ばれた基を表し、Lは1乃至5個のメチンもしくはアザメチンが共役したメチン鎖である。実線と破線で表された結合は、PとL、QとLとがそれぞれ単結合あるいは二重結合で連結されていることを表しており、P、L、Qで構成される染料分子の発色団(クロモフォア)が共役鎖で連結されるように結合次数が選択される。P、Q、Lはそれぞれ置換基を有していてもよく、それらの置換基が互いに結合して4から7員の環を形成しても良い。形成される環は、例えば、メチン鎖に形成される環としてはスクアリリウム染料のようなシクロブテノンなど、PとQの置換基が結合して形成される環としては、キサンテン、チオキサンテンなどを挙げることができる。
【0173】
酸性核は、環状のケトメチレン化合物であっても電子吸引性基によってはさまれたメチレン基を有する開鎖状化合物であってもよいが、環状のケトメチレン化合物がより好ましく、さらに他の複素環、芳香族環、または脂肪族環が縮合してもよい。環状の酸性核としては、脂肪族環と複素環があるが複素環が好ましい。酸性核は、オキソノール染料の場合のようにケト型、エノール型の互変異性体(酸素原子を窒素原子やイオウ原子に変えた、イミノおよびアミノ,チオケトおよびチオールの互変異性体も含む)をとることもできる。また、解離体で用いる場合もある。酸性核およびその縮合環の例としては、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジン、ヒドロキシピリジン、ピラゾリジンジオン、2,5−ジヒドロフラン−2−オン、ピロリン−2−オン、ピラゾロトリアゾール、ピロロトリアゾール、を挙げることができる。これらは置換基を有していても良い。
【0174】
塩基性核は開鎖状であっても環状であってもよいが環状がより好ましく、さらに他の複素環、芳香族環、または脂肪族環が縮合してもよい。環状の塩基性核としては、含窒素複素環が好ましい。塩基性核はシアニン染料の場合のようにオニウム体をとることもできる。含窒素複素環、およびその縮合環の例には、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、オキサゾロカルバゾール、オキサゾロジベンゾフラン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、キノリン、ピリジン、オキサゾリン、ピロロピリジン、ピロール、フロピロール、インドリジン、イミダゾキノキサリン、およびキノキサリンが含まれる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0175】
芳香環は、炭素環であっても複素環であっても良い。そしてLで表されるメチン鎖と共役できる位置に、アミノ基、水酸基、アルコキシ基より選ばれる置換基を有するものが好ましい。炭素環の例としては、ベンゼン、ナフタレン等を挙げることができる。複素環の例としては、ピロール、インドール、インドレニン、ベンゾインドレニン、カルバゾール、フロピロール、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、インダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズイミダゾール、インドリジン、キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、ピリジン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキサジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、ピロロピリジン、イミダゾキノリン、イミダゾキノキサリン、テトラゾール、クマリン、クマロンなどを挙げることができ、それぞれ置換基を有していても良い。
【0176】
前記式で表される染料としては、メチン染料(例えば、シアニン、メロシアニン、オキソノール、ピロメテン、スチリル、アリーリデン)、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、アジン染料、アクリジン染料、チアジン染料、オキサジン染料などを挙げることができる。
【0177】
これらの染料は、会合体で用いることが好ましい。会合状態の染料は、いわゆるJバンドを形成してシャープな吸収スペクトルピークを示す。染料の会合とJバンドについては各種文献(例えば、Photographic Science and engineering Vol.18,No.323−335(1974))に記載がある。J会合状態の染料の吸収極大は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長波側に移動する。従って、フィルター層に含まれる染料が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定することで容易に判断できる。会合状態の染料では、吸収極大の移動が30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがさらに好ましく、45nm以上であることが最も好ましい。会合状態で使用する染料は、メチン染料であることが好ましく、シアニン染料またはオキソノール染料であることが最も好ましい。
【0178】
これらの染料は、金属と錯体を形成させて使用することができる。錯体を形成することで堅牢性を高めることができる。金属錯体として使用する染料は、ピロメテン染料が好ましい。これらの染料の具体例は、特開2000−121807、特開2000−193802、特開2001−228324、特開平11−92682、同11−255774、同11−256057、同11−227332などに記載された染料を挙げることができる。さらに、下記一般式(III)で表されるシアニン染料は、(特に会合状態で)560nm乃至620nmの範囲に吸収極大を有し、好ましく用いることができる。
【0179】
【化6】
Figure 0004653376
【0180】
式中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群であり、R9およびR10は、それぞれ独立に脂肪族基または芳香族基であり、L1は奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;a、bおよびcは、それぞれ独立に0または1であり、そして、Xは、アニオンである。
【0181】
式(III)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環または脂肪族環が縮合してもよい。含窒素複素環およびその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環、およびキノキサリン環等が含まれる。含窒素複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環またはナフタレン環縮合しているのがさらに好ましい。オキサゾロカルバゾール環が最も好ましい。
【0182】
含窒素複素環およびそれに縮合している環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した一価の基が挙げられる。式(III)のR9およびR10で表される脂肪族基および芳香族基は前述と同じである。L1は奇数個のメチンからなるメチン鎖であり、3個が好ましい。メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の例としては、前述の一価の基が挙げられる。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して5または6員環を形成しても良い。
【0183】
a、bおよびcは、それぞれ独立に0または1である。aおよびbは、0であることが好ましい。cはシアニン染料がスルホやカルボキシルのようなアニオン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0である。Xはアニオンである。アニオンの例としては、ハライドイオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -,BF4 -またはClO4 -が含まれる。本発明のシアニン染料は、カルボキシル基またはスルホ基を含むことが好ましい。シアニン染料の具体例を示す。
【0184】
【化7】
Figure 0004653376
【0185】
【化8】
Figure 0004653376
【0186】
これらの染料は、水に溶解するだけで会合体が形成する化合物もある。但し、一般には、染料の水溶液にゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加して会合体を形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加する方法が特に好ましい。染料の会合体は、染料の固体微粒子分散物として形成することもできる。固体微粒子分散物にするためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミルおよびローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52ー92716号および国際特許88/074794号に記載がある。縦型または横型の媒体分散機が好ましい。分散は、適当な媒体(例、水、アルコール)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52−92716号および国際特許88/074794号に記載)が好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。染料を適当な溶媒中に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて染料の微結晶を析出させてもよい。この微結晶も染料の会合体である。会合状態の染料が微粒子(または微結晶)である場合、平均粒径は0.01乃至10μmであることが好ましい。
【0187】
さらに、これら染料を含有する基材、或いはこれらの染料を含有する層を設けた場合の染料層は、500nm〜550nmに吸収極大を有することが好ましい。500nm〜550nmの範囲の透過率は20%〜85%の範囲であることが好ましい。波長が500nm〜550nmの範囲の光吸収の極大は、視感度が高い緑の蛍光体の発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発光域は、なだらかにカットすることが好ましい。波長が500nm〜550nmの範囲の吸収極大での半値幅(吸収極大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)は、30nm〜300nmであることが好ましく、40nm〜300nmであることがより好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましく、60nm〜150nmであることが最も好ましい。波長が500nm〜550nmの範囲に吸収極大を持つ色素としては、スクアリリウム系、アゾメチン系、シアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ系またはベンジリデン系の化合物およびそれらの金属キレート化合物が好ましく用いられる。具体例を次に示す。
【0188】
【化9】
Figure 0004653376
【0189】
さらに、色調調整用として波長が350〜450nmおよび470〜530nmの範囲に吸収極大を持つ染料を用いることが好ましい。それらの染料としては、スクアリリウム系、アゾメチン系、シアニン系、メロシアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ系またはベンジリデン系の化合物およびそれらの金属キレート化合物が好ましく用いられる。具体例を次に示す。
【0190】
【化10】
Figure 0004653376
【0191】
これらの染料は、EP099,4381Aなどを参考にして容易に合成できる。また、シアニン染料は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊をはじめとする多くの公知文献、特開平6−313939号、同5−88293号および特開2002−122729等を参考にして容易に合成できる。
【0192】
これらの染料を含有する基材或いは染料層には、褪色防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤を添加してもよい。褪色防止剤としては、USP3,935,016号、同982,944号記載のハイドロキノン誘導体、USP4,254,216号、特開昭55−21004号記載のハイドロキノンジエーテル、特開昭54−145530号記載のフェノール誘導体、GB2,077,455号、同2,062,888号記載のスピロインダン、メチレンジオキシベンゼン、USP3,432,300、同3,573,050号、同3,574,627号、同3,764,337号、特開昭52−152225、同53−20327号、同53−17729号、同61−90156号記載のクロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体、GB1,347,556号、同2,066,975号、特公昭54−12337号、特開昭55−6321号記載のハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体、USP3,700,455号、特公昭48−31625号記載のビスフェノール誘導体が含まれる。また、USP4,245,018号、特開昭60−97353号記載の金属錯体や一重項酸素クウェンチャーを用いても良い。一重項酸素クウェンチャーとしては、特開平2−300288号記載のニトロソ化合物、USP4,656,121号記載のジインモニウム化合物、特開平4−146189号記載のニッケル錯体およびEP820,057A1記載の酸化防止剤が含まれる。
【0193】
これらの層を基材上に、別に設ける場合には、さらにポリマーバインダーを含むことが好ましい。天然ポリマー(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)または合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポリアミド)をポリマーバインダーとして用いることができる。親水性ポリマー(上記天然ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
【0194】
この場合基材と着色層の間に下塗り層を設けることができる。下塗り層としては室温での弾性率が800乃至5Mpa、さらに好ましくは500乃至10MPaの柔らかいポリマーが好ましい。またその厚みは好ましくは5nm乃至5μm、最も好ましくは50nm乃至1μmである。下塗り層に使用されるポリマーはガラス転移温度が60℃以下−60℃以上である、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニルエーテルの重合または共重合させたもの等を挙げることができる。
【0195】
これらの染料を含有させることにより、プラズマ処理で金属酸化物層を形成する際にフィルムの平面性の劣化が生じにくくなるため好ましい。
【0196】
基材(透明支持体)に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンズトリアゾール系、トリアジン系等のものが好ましく用いられる。さらに滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。透明支持体に表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、およびオゾン酸化処理を挙げることができ、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好ましい。
【0197】
電磁波遮蔽効果を付与するには、電磁波遮蔽効果を有する層の表面比抵抗は0.01〜500Ω/□、より好ましくは0.01〜10Ω/□である。透過率を低下させないため透明導電層を用いることが好ましい。
【0198】
透明導電層としては、金属層、導電性ポリマー層等を挙げるこができるが、前記酸化スズ、ITO等の金属酸化物層等も上記の表面比抵抗とすれば、もちいることができる。
【0199】
透明導電層を形成する金属としては、例えば銀、パラジウム、金、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステン、イリジウム、鉛単独もしくはこれらの2種以上の合金を挙げることができるが、好ましくは銀、パラジウム、金、白金、ロジウム単独もしくはこれらの合金である。この中で銀とパラジウムの合金が好ましく、このとき銀の含有率は60質量%乃至99質量%が好ましく、80質量%乃至98質量%が更に好ましい。金属層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜40nmが更に好ましく、10〜30nmが最も好ましい。膜厚が1nm未満では電磁波遮蔽効果が乏しく、100nmを超えると可視光線の透過率が低下する。透明導電層を形成する金属酸化物としては、例えば酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、ATOなどを挙げることができる。この膜厚は20〜1000nmが好ましい。さらに好ましくは40〜100nmである。
【0200】
これら金属透明導電層と酸化物透明導電層を合わせて用いるのも好ましい。また、同一層内に金属と導電性金属酸化物が共存することも好ましい。金属層の保護、酸化劣化防止および可視光線の透過率を高めるために透明酸化物層を積層することができる。この透明酸化物層は導電性があってもなくてもかまわない。透明酸化物層としては例えば2〜4価金属の酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび金属アルコキサイド化合物等の薄膜が挙げられる。透明導電層、透明酸化物層を形成する方法としては特に制限はなく、任意の加工処理方法を選択することが可能である。例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あるいはPVD法、該当する金属あるいは金属酸化物の超微粒子の塗布、金属シートの接着等いずれの公知技術も用いることが可能である。
【0201】
また、基材上に、その他の層として、赤外遮蔽効果を有する層を別に設けてもよい。前記の染料をこの層に含有してもよい。750nmから1100nmまでの赤外線が最も問題であり、この領域に対し遮蔽効果を有することが好ましい。赤外線遮蔽効果を付与するには透明プラスチック支持体に近赤外吸収性化合物を混合する方法も用いることができる。例えば銅原子を含有する樹脂組成物(特開平6−118228号公報)、銅化合物、リン化合物を含有する樹脂組成物(特開昭62−5190号公報)、銅化合物、チオ尿素誘導体を含有する樹脂組成物(特開平6−73197号公報)、タングステン系化合物を含有する樹脂組成物(US3647729号公報)などを形成することによって容易に製造できる。銀を透明上に成膜する方法は、電磁遮蔽に加えて赤外線遮蔽効果を持たせることができる。
【0202】
本発明においては、表面にアンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することも好ましい。例えば、透明フイルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
【0203】
本発明には、ハードコート層、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設けることも好ましい。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラーをハードコート層に添加することもできる。反射防止膜の最表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反射防止膜表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
【0204】
反射防止膜の最表面に設けた本発明の有機基を有する酸化珪素の膜は防汚層として作用し、反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性、親油性の汚れを付きにくくするものである。防汚層の厚さは2nm〜100nm、好ましくは5nm〜30nmである。
【0205】
本発明に係わる反射防止フィルムの分光反射率は分光光度計により測定を行うが、基材フィルムの上の反射防止層の反対側を(観察側の裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行ってから、400〜700nmの波長について反射光を測定する。反射率は400〜700nmの波長における平均値が0.4%以下であることが好ましく、最低の反射率は0.2%未満であることが好ましく、測定波長の範囲内において、反射率がほぼ平坦な反射スペクトルを有することが好ましく、反射光のムラがないことが好ましい。或いは、反射光としてやや青〜紫色の色味を有しているものが好まれる。
【0206】
偏光板は、本発明に係わる反射防止フィルムをもちいて、一般的な方法で作製することが出来る。先ず、セルロースエステルフィルムと反射防止フィルムをアルカリケン化処理し水洗し乾燥しておく、一方、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、長さ方向に一軸延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて上記フィルムの鹸化された面を貼り合わせることによって偏光板を得ることが出来る。
【0207】
この偏光板を作製する過程において、鹸化処理したセルロースエステルフィルムの何れかの面、また反射防止フィルムの反射防止層のある面の反対面を貼り合わせる際、本発明に係るセルロースエステルフィルム及び本発明の反射防止フィルムを使用することによって、貼り合わせが良好に行うことが出来、また貼り合わせたフィルムが剥離することもなく安定した偏光板を得ることが出来る。
【0208】
本発明の反射防止フィルムは、偏光板用保護フィルムとして液晶ディスプレイにもちいられる他、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置に好ましくもちいることができる。
【0209】
【実施例】
本発明を、以下実施例により具体的に説明するが、これにより限定されるものではない。
【0210】
実施例1
コニカタック KC8UF−H(ハードコート層付きセルローストリアセテートフィルム 2000mロール)を基材として、ハードコート層上に前記図3で示したプラズマ処理装置を用いて、表4および表5に層構成1,3,4,7,8で示したように各々の金属酸化物層を、表1および2に示した反応ガス1〜14から選択された各々の反応ガスを用いて形成し、反射防止フィルム1,3,4,7,8をそれぞれ得た。尚、放電条件としては表3に記載した放電条件Aをもちいた。
【0211】
【表1】
Figure 0004653376
【0212】
【表2】
Figure 0004653376
【0213】
【表3】
Figure 0004653376
【0214】
【表4】
Figure 0004653376
【0215】
【表5】
Figure 0004653376
【0216】
作製した反射防止フィルムについて、平均反射率(%)、表面比抵抗(Ω/cm2)を測定し、また、それぞれについて、異物故障、防汚性および透過率について以下の方法で評価を行った。
【0217】
(平均反射率の測定)
反射防止フィルムの分光反射率は分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率の測定を行って450nm〜650nmの波長での平均反射率を求めた。
【0218】
(表面比抵抗)
表面比抵抗については、以下に示す方法により測定を行った。測定する試料を23℃、55%RHの条件にて24時間調湿し、川口電気(株)製テラオームメーターモデルVE−30をもちいて測定した。測定は、2本の電極(試料と接する部分が1cm×5cm)を、間隔を1cmで平行に配置し、該電極に試料を接触させて測定し、測定値を5倍にした値を表面比抵抗値Ω/cm2とした。
【0219】
(異物故障)
各反射防止フィルムについて1m×1mの範囲について最表面に目視で観察される異物の数をカウントした。
【0220】
◎ 異物は観察されなかった。
○ 1〜10個未満。
【0221】
△ 10〜20個未満。
× 20個以上。
【0222】
(防汚性)
表面に黒の油性マジックで書いた後、布でふいた。
【0223】
◎ 跡を残すことなく拭き取ることが出来た。
○ 強くこすることで拭き取ることが出来た。
【0224】
△ 完全に拭き取ることはできなかった。
× ほとんど拭き取ることはできなかった。
【0225】
(透過率)
全光線透過率をヘイズ測定機HAZE−GARD II(東洋精機製作所製)をもちいて測定した。
【0226】
◎ 可視光透過率90%以上
○ 可視光透過率80〜90%未満
△ 可視光透過率80%未満
【0227】
【表6】
Figure 0004653376
【0228】
反射防止フィルム4は透過率が低かった。これは酸化錫層の上に酸化珪素層を形成する際に酸化錫層(透明導電層)で着色が起こったものである。
【0229】
実施例2
コニカタック KC8UF−H(ハードコート層付きセルローストリアセテートフィルム 2000mロール)を基材として、ハードコート層上に図2のプラズマ処理装置を用いて、表7および8に示した層構成9,11,12,15,16で、各々の金属酸化物層を前記実施例1の表1および2に示した各々の反応ガスを用いてそれぞれ形成し、反射防止フィルム9,11,12,15,16を得た。尚、放電条件は実施例1に示した放電条件Bをもちいた。
【0230】
【表7】
Figure 0004653376
【0231】
【表8】
Figure 0004653376
【0232】
(偏光板の作製)
作製した反射防止フィルム9,11,12,15,16をそれぞれ表面側の偏光板保護フィルムとし、裏面側の偏光板保護フィルムには、セルロースエステルフィルム(コニカタック KC8UX2M)を各々使用して、以下の方法により偏光板を作製した。
【0233】
(1)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
【0234】
(2)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と前記反射防止フィルムおよび裏面側の偏光板保護フィルム(コニカタック KC8UX2M)とを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0235】
工程1:上記のように作製した長尺の反射防止フィルム9,11,12,15,16及びセルロースエステルフィルム(コニカタック KC8UX2M)をそれぞれ2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に45℃で50秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
【0236】
予め反射防止層の表面にはポリエチレンフィルムを張り付けてアルカリやゴミの付着等から保護した。
【0237】
工程2:前述の長尺の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
【0238】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理した反射防止フィルム9,11,12,15,16とセルロースエステルフィルムでそれぞれ挟み込んで、積層配置した。
【0239】
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cm2の圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
【0240】
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、本発明の偏光板1,3,4,7,8を作製した。
【0241】
得られた偏光板1,3,4,7,8について、前記と同様にして、平均反射率、表面比抵抗、防汚性、異物故障を評価した。その結果、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板は異物故障が少なく、防汚性にも優れていた。以下に結果を示す。
【0242】
【表9】
Figure 0004653376
【0243】
実施例3
以下に示す方法に従って、基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0244】
(ドープの調製)
以下に記載の素材を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、濾過し、ドープ1を調製した。尚、二酸化珪素微粒子(アエロジル R972V)はエタノールに分散した後、添加した。
【0245】
セルロースアセテートプロピオネート 100部
(アセチル置換度2.0 プロピオニル置換度0.8)
トリメチロールプロパントリベンゾエート 6部
エチルフタリルエチルグリコレート 6部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1部
酢酸メチル 300部
エタノール 100部
アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.2部
(セルロースエステルフィルムの作製)
ドープ1を濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度36℃で36℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。温風を当てながら支持体上で乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。
【0246】
ステンレスバンド支持体から剥離した後、70℃の雰囲気でロール搬送し縦方向に搬送張力をかけながら乾燥させた後、テンターで残留溶媒量10%のとき80℃の雰囲気内で幅方向(幅手方向)に1.06倍延伸し、幅把持を解放して、ロール搬送しながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ8μmのナーリング加工を施し、膜厚40μmのセルロースエステルフィルム1及び膜厚60μmのセルロースエステルフィルム2を作製した。
フィルム幅は1300mm、巻き取り長は2000mとした。
【0247】
次に、これらのセルロースエステルフィルム1及び2に下記の方法で染料層及びその上に紫外線硬化樹脂層を設け、防眩フィルム1(40μm)及び防眩フィルム2(60μm)を作製した。
【0248】
《染料層の塗設》
先ず、上記セルロースエステルフィルム1および2について、それぞれB面(ここで、B面とは、流延製膜時、流延膜とステンレスバンド支持体に接していた側のフィルム面をB面として、その反対側の面をA面とする)に下記の塗布組成物(1)をワイヤーバーコートを行い、乾燥温度90℃にて乾燥させ染料層を塗設した。820nmの透過率は5%未満であった。
【0249】
塗布組成物(1)
溶媒に樹脂を溶解させた後、染料を添加、分散させて均一な塗布組成物とした。
【0250】
アクリル樹脂(ダイヤナール BR−88 三菱レーヨン(株)製) 5部
メチルエチルケトン 60部
酢酸エチル 40部
化合物A 1部
化合物A;前記化合物例(10)
《紫外線硬化樹脂層(防眩層)の塗設》
次いで、下記の塗布組成物(2)をワイヤーバーコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、118mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの防眩層を設けた。中心線平均粗さ(Ra)は0.2μmであった。ここで、上記の中心線平均粗さ(Ra)はJIS B 0601で規定される値である。それぞれ防眩フィルム1および2とする。
【0251】
塗布組成物(2)
合成シリカ微粒子(平均粒径0.5μm) 10部
合成シリカ微粒子(平均粒径1.4μm) 10部
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂 100部
(ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)99部、コロネートL(ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン(株)製)1部)
光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製) 3部
を溶剤(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合して揮発分濃度60%の均質な分散液を調製した。
【0252】
実施例2のハードコート層付きセルロースエステルフィルムに替えて、上記で得られた防眩フィルム1又は2を使用した以外は同様にして、反射防止フィルム17,18,21,22,23,26,27を形成した。実施例1と同様に、平均反射率(%)、表面比抵抗(Ω/cm2)、異物故障および防汚性について評価した結果を、用いた層構成、防眩フィルムと共に表10に示した。
【0253】
【表10】
Figure 0004653376
【0254】
実施例4
実施例3のセルロースエステルフィルム2に変えて、2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(80μm)を用いた以外は同様にして反射防止層を形成し反射防止フィルム28,30,31,34,35を作製した。同様の評価を行った結果を以下に示す。
【0255】
【表11】
Figure 0004653376
【0256】
上記評価結果によれば、本発明の反射防止フィルムは異物故障も少なく、防汚性にも優れていた。
【0257】
【発明の効果】
有機珪素化合物からプラズマCVDにより有機基を有する珪素酸化物の膜を積層する方法が得られ、これにより防汚性に優れた反射防止膜が得られ、異物故障も少なかった。これを保護フィルムとして用い防汚性に優れた反射防止機能を有する偏光板を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【図2】回転電極と固定電極を有する大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】回転電極と固定電極を有する大気圧プラズマ放電処理装置の別の一例を示す概略図である。
【図4】ロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図5】角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
F 基材
G 反応ガス
G′ 排ガス
10,30 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
21,41 第1電源
22,42 第2電源
31,190 プラズマ放電処理容器
35,110 ロール回転電極
36,111 角形固定電極群
40 電圧印加手段
51,131 反応ガス発生装置
52,130 ガス給気口
53,140 ガス排気口
60 温度調節手段
64,67,120,121 ガイドロール
65,66,122,123 ニップロール
68,69,124,125 仕切板

Claims (5)

  1. 金属もしくは金属酸化物層を有するフィルム上の、金属もしくは金属酸化物層を有する側の表面に有機基を有する酸化珪素の膜を形成する方法において、メチルトリエトキシシランと、希ガスあるいは窒素と、還元性ガスとを含有する反応ガスを用いて、大気圧プラズマCVDにより前記酸化珪素の膜を形成することを特徴とする積層膜成方法。
  2. 還元性ガスをメチルトリエトキシシランとともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする請求項1に記載の積層膜成方法。
  3. 還元性ガスを窒素あるいは希ガスとともに放電空間内もしくはその近傍に供給することを特徴とする請求項1に記載の積層膜成方法。
  4. 還元性ガスが水素であり、水素を0.1〜8%含有する反応ガスを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層膜成方法。
  5. 前記積層膜を有するフィルムが反射防止フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層膜成方法。
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