JP2003201570A - 大気圧プラズマ処理装置、大気圧プラズマ処理方法及びそれを用いて作製した長尺フィルム - Google Patents

大気圧プラズマ処理装置、大気圧プラズマ処理方法及びそれを用いて作製した長尺フィルム

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JP2003201570A
JP2003201570A JP2001345907A JP2001345907A JP2003201570A JP 2003201570 A JP2003201570 A JP 2003201570A JP 2001345907 A JP2001345907 A JP 2001345907A JP 2001345907 A JP2001345907 A JP 2001345907A JP 2003201570 A JP2003201570 A JP 2003201570A
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Takashi Murakami
隆 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、真空装置が不要で、高温処
理も行わずに広幅の基材を高速での連続処理、高生産
性、膜厚が均一で安定した薄膜を得ることができ、かつ
連続的に均一薄膜の多層積層体を形成する大気圧プラズ
マ処理装置、大気圧プラズマ処理方法及びそれを用いて
作製した長尺フィルムを提供すること。 【解決手段】 大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、電極
間に高周波電圧を印加してグロープラズマを発生させ、
基材表面に薄膜形成する大気圧プラズマ処理装置で、ロ
ール電極と対向電極とからなる電極対の放電部を複数有
し、複数のロール電極は基材を張架、屈曲させて搬送可
能な位置に配置し、基材を複数のロール電極とこれに対
向する対向電極の間を通過させ、各電極対で発生するグ
ロープラズマにより基材表面に薄膜を形成することを特
徴とする大気圧プラズマ処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に薄膜を
大気圧もしくはその近傍の圧力下で形成するための大気
圧プラズマ処理装置、大気圧プラズマ処理方法及びそれ
を用いて作製した長尺フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】光学レンズ、CRT、またはコンピュー
タやワープロの液晶画像表示装置等の分野において、そ
れらの表面の反射によって起こる画像の不鮮明さ等の不
具合に対して、透過率の向上、コントラストの向上、映
り込み低減のための表面反射を減少させる反射防止技術
が、従来より数多く提案されている。提案されている技
術として、例えば、光学干渉層の多層積層体の屈折率と
光学膜厚を適切な値に調整することにより、この積層体
と空気界面における光の反射を減らすことができるとい
う反射防止技術が知られている。このような多層積層体
は、高屈折率層としてのTiO2、ZrO2、Ta25
や低屈折率材料としてのSiO2、MgF2等の薄膜が積
層されたものであり、これらはスパッタリング法、真空
蒸着法、イオンプレーティング法等の真空乾式薄膜製膜
法によって製作されたものである。しかし、このような
真空乾式薄膜製膜法の真空装置は、処理基材が大きくな
るとそれに伴い大型化するため装置が非常に高額となる
ことや、真空度を上げる排気にも非常に時間と費用を費
やしたり、更に連続生産ができず生産性が低いことなど
デメリットが大きい。
【0003】また、別の反射防止層の作製方法として、
チタンアルコキシドやシランアルコキシドに代表される
金属アルコキシドを基材の表面に塗布、乾燥、加熱して
金属酸化物の膜を作製する方法がある。しかしこの方法
では、加熱温度を300℃という高い温度にする必要が
あり、基材が変形したり平面性が損なわれダメージが大
きい。また特開平8−75904号公報に記載されてい
るような加熱温度を100℃程度とした比較的低温で行
う方法では、作製に時間がかかり何れにしても問題点が
多々あった。
【0004】近年、これら温度と時間の問題を改善する
方法として、特開平9−21902号公報にみられるよ
うな高屈折率材料をTi、Zr、TaまたはInのアル
コキシドと、分子中に2個以上のアクリロイル基、メタ
クリロイル基、アリル基またはビニル基等を有する重合
可能な官能基化合物を併用することにより低温で作製す
る方法が提案されている。また、特開平7−20950
3号公報には、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、
メタクリロイル基等の重合可能な官能基とアルコキシド
基のような加水分解可能な官能基を併せ持つ有機珪素化
合物と重合可能な不飽和結合を持つ単量体からの共重合
物を主成分とする光学皮膜形成コーティング用組成物が
示されており、樹脂成分と無機成分を分子レベルで均一
にできるという技術が提案されており、組成物を基材に
塗布した後、100℃で長時間加熱するか、電離放射線
照射により重合させて皮膜とする方法が述べられてい
る。
【0005】この他、特開平8−295846号及び同
9−220791号公報にも重合性有機金属化合物及び
金属酸化物やシラン化合物組成物を含有する組成物を熱
または電離性放射線で硬化する技術が開示されている。
更にこの他にも上記のような反応性有機金属化合物は使
用しないが、電離性放射線として電子線や紫外線を照射
することによって作製する方法が、特開平5−2708
64号、同5−279598号、同6−11602号、
同8−122501号、同8−297201号、同9−
21902号及び同9−25350号公報に記載されて
いる。しかし、これらの製膜方法では、有機成分が未反
応のまま残存し、それが経時的に徐々に変化していくた
め、屈折率が変化し次第に反射防止機能が損なわれてし
まうことがあった。
【0006】上記の方法に対して、大気圧またはその近
傍の圧力下でプラズマ放電を発生させ、反射防止機能を
有する薄膜を製膜する方法が特開平11−133205
号、特開2000−185362号、特開平11−61
406号、特開2000−147209、同2000−
121804公報に開示されている。しかしながら、上
記記載の方法では、微小面積への製膜は可能であるもの
の広巾基材への均一な製膜は困難であり、特に屈折率が
一定でなければならない、また光学膜厚が均一でなけれ
ばならない反射防止機能膜等には不向きであった。
【0007】また、特開2000−98380には、長
尺の基材上に製膜可能な装置が開示されており、単一の
円筒状の電極とそれに対向して設けられた他方の電極に
よりプラズマを発生させ、炭素膜を製膜する方法が提案
されている。しかしながら、この様な製膜装置では、基
材を単一の円筒で抱かせて搬送するため、円筒上に一点
でも欠陥があったり、あるいは汚損があった場合には、
全ての対向する電極でプラズマの発生に影響を及ぼし、
常に同じ位置に製膜の不完全な部分が発生し、均一な膜
形成が困難となる。
【0008】上記のごとき従来の大気圧プラズマ放電処
理法の他の問題として、電極に汚れが付着したり、更に
汚れが蓄積してしまうという問題があった。これを解決
するための様々な方法が提案されたが、何れも十分なも
のはなかった。この中で、特開2000−212753
公報では、対向電極のそれぞれの表面に基材を配置する
方法が提案されており、電極の汚れを防止することがで
きるとしている。しかし、この方法では、常に2枚の基
材が必要であるという問題があった。この方法は一見、
二つの基材を同時に処理でき、生産効率が高いように見
えるが、2枚の基材を同じように処理するためには、極
めて高い精度の搬送設備や処理条件設定が必要である。
そして、一方の基材の製造ラインにトラブルがある場合
には、もう一方のラインも停止しなければならず、多大
なメンテナンス負荷を要し、実用的でなかった。
【0009】また、上記の提案されている従来の大気圧
プラズマ放電処理法の多くは、設定できる薄膜形成条件
が単一条件であり、複数の異なる薄層を積層する際に
は、同一工程をバッチ方式で、複数回にわたり、その都
度薄膜形成条件を変更しながら処理することとなり、処
理時間や製造コストの負担も大きなものとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、膜厚
が均一で欠陥の少ない薄膜を、真空装置を必要とせずま
た高温での処理をも行わず、広幅の基材に対し高速で連
続処理し、かつ高生産性を有する薄膜形成処理装置を提
供すること、第2の目的は、膜厚が均一で、欠陥が少な
く、安定した薄膜を得ることができ、かつ連続的に均一
薄膜の多層積層体を形成する大気圧プラズマ処理方法を
提供すること、第3の目的は、かかる方法で形成した薄
膜積層体の長尺フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成により達成された。
【0012】1.大気圧もしくは大気圧近傍の圧力の反
応ガスの存在下で、電極間に高周波電圧を印加してグロ
ープラズマを発生させ、基材表面に薄膜を形成する大気
圧プラズマ処理装置において、ロール電極とそれに対向
する対向電極とからなる電極対の放電部を複数有し、該
複数のロール電極は該基材を張架し、かつ該基材を屈曲
させて搬送可能な位置に配置されると共に、該基材を該
複数のロール電極とこれに対向する対向電極の間を通過
させ、各電極対で発生するグロープラズマにより基材表
面に薄膜を形成することを特徴とする大気圧プラズマ処
理装置。
【0013】2.前記ロール電極が、0°より大きい抱
き角で前記基材と接触するように配置されていることを
特徴とする前記1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0014】3.前記ロール電極の各々が、前記基材に
内接すると共に、多角形の少なくとも一部を構成するよ
うに配置されていることを特徴とする前記1又は2項に
記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0015】4.前記複数のロール電極が、略同一円周
上に配置されていることを特徴とする前記1〜3項のい
ずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0016】5.前記基材が、前記ロール電極に抱き角
1〜270°で搬送されるように複数の電極対が配置さ
れていることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項
に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0017】6.前記放電部が、外気を遮断する容器で
覆われていることを特徴とする前記1〜5項のいずれか
1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0018】7.前記ロール電極と前記対向電極とで形
成される複数の放電部が、各々反応ガス供給部と処理済
みガス排出部とを有することを特徴とする前記1〜6項
のいずれかの1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0019】8.前記複数の放電部に異なる組成の反応
ガスを供給する手段を有し、反応ガスの組成を変更する
ことにより厚み方向で異なる組成を有する薄膜を形成す
ることを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載
の大気圧プラズマ処理装置。
【0020】9.前記複数の放電部の一部又は全部の放
電条件を変更することのできる複数の電力供給手段を有
することを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記
載の大気圧プラズマ処理装置。
【0021】10.前記放電部を構成する対向電極が、
回転するロール電極であることを特徴とする前記1〜9
項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0022】11.前記1〜10項のいずれか1項に記
載の大気圧プラズマ処理装置を用いて、基材表面に薄膜
を形成することを特徴とする大気圧プラズマ処理方法。
【0023】12.前記1〜10項のいずれか1項に記
載の大気圧プラズマ処理装置を用いて、基材表面に薄膜
を形成したことを特徴とする長尺フィルム。
【0024】本発明者は、上記課題を鑑み鋭意検討を行
った結果、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力の反応ガス
の存在下で、電極間に高周波電圧を印加してグロープラ
ズマを発生させ、基材表面に薄膜を形成する大気圧プラ
ズマ処理装置において、ロール電極とそれに対向する対
向電極とからなる電極対の放電部を複数有し、該複数の
ロール電極は該基材を張架し、かつ該基材を屈曲させて
搬送可能な位置に配置されると共に、該基材を該複数の
ロール電極とこれに対向する対向電極の間を通過させ、
各電極対で発生するグロープラズマにより基材表面に薄
膜を形成する大気圧プラズマ処理装置を用いて、基材表
面に薄膜を形成することにより達成できることを見いだ
した。
【0025】本発明の大気圧プラズマ処理装置では、基
材に接するロール電極を複数とすることにより、ロール
電極に起因する処理ムラが全体として平均化され、形成
される薄膜の欠陥を著しく低減することができる。ま
た、形成される薄膜の処理ムラの要因としては、ロール
電極表面の誘電体の欠陥(例えば、突起等)やゴミ付
着、ロール電極の歪み、ロール電極の回転軸の偏芯等が
考えられるが、本発明の大気圧プラズマ処理装置を用い
ることにより、上述の各因子による処理ムラへの影響を
軽減でき、連続処理時間の延長化、メンテナンスの簡易
化にも寄与することができる。
【0026】本発明の大気圧プラズマ処理装置では、ロ
ール電極が、0°より大きい抱き角で前記基材と接触す
るように配置されていること、ロール電極の各々が、前
記基材に内接すると共に、多角形の少なくとも一部を構
成するように配置されていること、複数のロール電極
が、略同一円周上に配置されていること、基材が、ロー
ル電極に抱き角1〜270°で搬送されるように複数の
電極対が配置されていること、略同一円周上に配置した
ロール電極と対向電極とが、外気を遮断する容器で覆う
こと、ロール電極と対向電極とで形成される複数の放電
部に、各々独立した反応ガス供給部と処理済みガス排出
部とを設けること、複数の放電部に供給する反応ガスの
組成を変更し、厚み方向で異なる組成を有する複数の薄
膜を積層すること、複数の放電部に異なる組成の反応ガ
スを供給する手段を有し、反応ガスの組成を変更するこ
とにより厚み方向で異なる組成を有する薄膜を形成する
こと、複数の放電部の一部又は全部の放電条件を変更す
ることのできる複数の電力供給手段を有すること、放電
部を構成する対向電極を、回転するロール電極とするこ
とにより、連続的でかつオンラインで、例えば、膜厚方
向で組成や特性の異なる複数の薄層を積層して、傾斜機
能膜を容易に、短時間で、かつ安定して形成することが
できる。また、放電部の前半部で基板表面の活性化処理
を施して、薄膜の膜付強化した後、放電部の後半部で薄
膜を形成することにより、形成する薄膜の物性を向上で
きることを見いだし、本発明に至った次第である。
【0027】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力とは、20〜
200kPa程度の圧力をいい、好ましい圧力は93〜
110kPaである。
【0028】〔大気圧プラズマ処理装置〕本発明の大気
圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理する大
気圧プラズマ処理装置について、図を用いて例示説明を
するが、本発明における大気圧プラズマ処理装置はこれ
らに限定されるものではない。
【0029】請求項1に係る発明では、大気圧もしくは
大気圧近傍の圧力の反応ガスの存在下で、電極間に高周
波電圧を印加してグロープラズマを発生させ、基材表面
に薄膜を形成する大気圧プラズマ処理装置において、ロ
ール電極とそれに対向する対向電極とからなる電極対の
放電部を複数有し、該複数のロール電極は該基材を張架
し、かつ該基材を屈曲させて搬送可能な位置に配置され
ると共に、該基材を該複数のロール電極とこれに対向す
る対向電極の間を通過させ、各電極対で発生するグロー
プラズマにより基材表面に薄膜を形成することが特徴で
あり、又請求項2に係る発明では、ロール電極が、0°
より大きい抱き角で前記基材と接触するように配置され
ていることが特徴であり、また請求項3に係る発明で
は、ロール電極の各々が、前記基材に内接すると共に、
多角形の少なくとも一部を構成するように配置されてい
ることが特徴である。また、請求項4に係る発明では、
複数のロール電極が、略同一円周上に配置されているこ
とが特徴である。更に、請求項5に係る発明では、基材
が、ロール電極に抱き角1〜270°で搬送されるよう
に複数の電極対が配置されていることが特徴である。
【0030】図1は、上記で規定した本発明の製造方法
に用いられる大気圧プラズマ処理装置の一例で、ロール
電極と対向電極からなる放電部を円周上に複数配置して
基材を処理する大気圧プラズマ処理装置を示す模式図で
ある。この装置は、ロール電極4と対向電極3からなる
放電部(不図示 図2以降に記載)を複数有し、これら
のロール電極4と対向電極3にはプラズマ放電のための
電圧を印加できる高周波電源(不図示)が電圧供給手段
(不図示)を介して接続されている。図1には、ロール
電極4は、基材1を搬送しながら回転することができる
回転電極として示してある。また、対向電極3も回転で
きる回転電極である。放電部Aには大気圧もしくはその
近傍の圧力下に維持され、反応ガス供給部5から反応ガ
スが供給され、放電部Aにおいてプラズマ放電が行わ
れ、使用済みの反応ガスは反応ガス排出部6より系外に
排出される。前工程または元巻きロールから供給される
基材1は、ガイドロール2によりロール電極4に密着さ
れ、同期して回転移送され、放電部Aで大気圧もしくは
その近傍の圧力下で反応ガスによりプラズマ放電処理が
施される。
【0031】本発明では、複数のロール電極と各々に対
向する対向電極を設け、更にその配置を、上記の請求項
2〜5で規定する構成とすることにより、直線上に基材
を搬送する場合に比較して、ロール電極を確実に基材に
接触することができ、プラズマを均一に発生させること
により、均一な製膜が可能となる。
【0032】また、同時に各ロール電極は、個別に対向
電極と協同してプラズマ処理を行うため、例えば、複数
のロール電極表面の一部に部分的な欠陥があったとして
も、基材はその他のロール電極では、その様な欠陥から
は解放されるため、基材の一部のみが、常に欠陥を保持
したまま搬送されることが解消される。これの結果、全
体的なプラズマ処理の均一性が向上し、製膜におけるム
ラを低減することができる。更に、小さなスペースで種
々の製膜処理が可能となり、処理装置全体を小型化でき
る利点も享受することができる。
【0033】請求項5に係る発明では、基材1の複数の
ロール電極4に対する抱き角(θ)が1〜270°であ
ることが特徴の一つであるが、抱き角として好ましくは
5〜180°であり、さらに好ましくは10〜90°で
ある。
【0034】本発明において、抱き角とは以下のように
定義される。図12は、ロール電極に外接して搬送され
る基材の抱き角を表す概略図である。図12において、
ロール電極4に基材1が外接し、下流側に搬送され、ロ
ール電極4と基材1との接点に対し、上流側の基材1の
接線をXとし、接線Xとロール電極4との接点から、ロ
ール電極の中心に向かって引いた垂線をXaとし、同様
に、下流側の基材1の接線をYとし、接線Yとロール電
極4との接点から、ロール電極の中心に向かって引いた
垂線をYaとしたとき、垂線Xaと垂線Yaがなす角を
抱き角と定義する。
【0035】本発明では、放電部Aにおけるロール電極
4と対向電極3の間隙は、特に制限はないが、好ましく
は0.5〜20mmの範囲である。また、反応ガス供給
部5は基材の幅と同等か、あるいはそれよりやや幅が広
いスリット状であることが好ましく、あるいはパイプ状
の吹き出し口を横に並べて基材の幅同等となるように配
置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量で反応ガ
スが放電部Aに導入されるようにするのがよい。第1の
ロール電極4と対向電極3によりプラズマ放電処理され
た基材1は、その後円周上に配置された他のロール電極
4と対向電極3の間を通過して、順次プラズマ放電処理
が施される。処理が終了した基材1は、ガイドロール2
を介して巻き取りまたは次工程(何れも図示してない)
に移送される。反応ガス排出部6からのガス排気流量は
反応ガス供給部5からの流量と同等か、やや多いことが
好ましい。
【0036】以上のように、ロール電極4と対向電極3
を同一円周上に複数配置し、かつ各々の電極として回転
ロール電極を用いることにより、ムラがなく、均一の薄
膜を効率よく形成することができる。
【0037】請求項6に係る発明では、同一円周上に配
置されたロール電極と前記対向電極とからなる放電部
が、外気を遮断する容器で覆われていることが特徴であ
り、放電部Aのロール電極4及び対向電極3の側面側を
遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体を反応ガスで満
たす構造のいずれでも良い。
【0038】請求項7に係る発明では、ロール電極と対
向電極とで形成される複数の放電部が、各々反応ガス供
給部と処理済みのガス排出部とを有することが特徴であ
る。
【0039】図2は、ロール電極と対向電極からなる放
電部を円周上に複数配置し、各々独立した反応ガス供給
部とガス排出部を有する大気圧プラズマ処理装置の一例
を示す模式図である。
【0040】図2において、図1と同様に、前工程また
は元巻きロールから供給される基材1は、最初にガイド
ロール2を経て、ロール電極4に抱かれて密着、同期し
て回転移送され、放電部Aで大気圧もしくはその近傍の
圧力下で反応ガスによりプラズマ放電処理が行われ、次
いで、第2のロール電極4、第3のロール電極4と順次
処理を行い、第9のロール電極4まで移動してプラズマ
放電処理が完了する。
【0041】反応ガスとしては、反応性ガスを反応ガス
供給部5より供給し、また希ガス供給部10からは、希
ガスを供給し、プラズマ処理容器9全体を希ガスで満た
している。また、大気圧プラズマ処理装置への基材1の
出入り部には、外気の侵入を防止する目的で、1対のニ
ップロール11が設けられている。次いで、最終処理が
終了した基材1は、ガイドロール2を介して巻き取りま
たは次工程(何れも図示していない)に移送される。
【0042】各々の一対のロール電極4と対向電極3か
らなる放電部Aは、それぞれ独立した反応性ガスの反応
ガス供給部5と反応ガス排出部6を有し、これらは仕切
板8及びプラズマ処理容器9の外壁で隔離され、また基
材1の接触部には、押しつけロール7を設けて、独立し
た処理室Bを形成するものである。図2においては、こ
の独立した処理室Bを9ブロック設けた例を示してあ
る。なお、押しつけロール7は、搬送する基材1を押さ
えつけ、基材1の振れを防止すると共に各処理室B間を
隔離し、搬送する基材の同伴ガスや同伴空気による混合
を防止する役割を果たす。また、反応ガス供給部5及び
ガス排出部は、基材の幅と同等か、あるいはそれよりや
や幅が広いスリット状やパイプ状の吹き出し口を横に並
べて基材の幅同等となるように配置したもので、図2に
おいては、反応ガス排出部6として、前者の構造を設け
た例を示してある。反応ガス排出部6として、スリット
状の排気口とすることにより、効率よく反応後のガスを
排出することができる。
【0043】図2に記載のように、反応ガス供給部5を
放電部Aの上流側に設ける場合には、ロール電極4は、
搬送方向に回転させ、対向電極3もロール電極4と同一
方向に回転させることにより、導入する反応ガスを効率
よく供給することができ、好ましい回転数は1〜100
0rpmで、より好ましくは5〜500rpmである。
【0044】図3は、ロール電極と対向電極からなる放
電部を円周上に複数配置し、各々独立した反応ガス供給
部とガス排出部を有する大気圧プラズマ処理装置の他の
一例を示す模式図である。
【0045】図3は、上記図2に対して、各処理室Bで
の反応ガス供給部5と反応ガス排出部6との間に仕切板
8′を設けて、両領域を完全に分離する構成であり、こ
の構成とすることにより、反応ガスの供給効率及び均一
性をより高め、精度の高い薄膜を形成することができ
る。
【0046】図4は、ロール電極と対向電極からなる放
電部を円周上に複数配置し、各々独立した反応ガス供給
部とガス排出部を有する大気圧プラズマ処理装置の他の
一例を示す模式図である。
【0047】図4は、上記図2に対して、反応ガス供給
部5と反応ガス排出部6の位置を逆にし、放電部Aの下
流側に反応ガス供給部5を設けた一例である。この構成
を取ることにより、反応ガスによる処理室内の汚れを低
減することができる。図4においては、ロール電極4
は、基材1の搬送方向に同期して、同一方向に回転さ
せ、これに対し、対向電極3は反応ガスの安定した流通
の為、搬送方向とは逆方向に回転させる。なお、図4で
示される大気圧プラズマ処理装置においては、前述の図
3に記載の反応ガス供給部5と反応ガス排出部6とを分
離する仕切板8′を設けてもよい。
【0048】請求項10に係る発明では、上記図1〜図
4において説明したように、放電部を構成する対向電極
として、回転するロール電極を用いることが特徴である
が、本発明においては、これら以外に、形状として対向
電極となるものであれば制限がなく使用することができ
る。本発明においては、対向電極としてロール電極を用
いることによりプラズマ放電処理の効率がよく、均一な
薄膜が形成することができ、特に好ましい。
【0049】図5は、対向電極として、固定型電極を用
いた大気圧プラズマ処理装置の一例を示す模式図であ
る。
【0050】図5においては、基材1の搬送、ガイドロ
ール2、ロール電極4、反応ガス供給方法等は、前述の
図3の構成と同一であるが、図3で記載の対向電極3
(ロール電極)に代えて、対向電極として固定型電極1
2を用いたものである。固定電極を用いることにより、
放電部A前後での領域の分離が容易となり、図3で記載
のような仕切板8′が不要となる。
【0051】上記固定型電極12は、必要に応じて冷却
装置などの温度制御手段が設けられている。図5で示す
ように、それぞれ冷却部13とポンプ14により、冷媒
を固定型電極12内部へ循環させ、電極表面の温度を制
御することが好ましい。用いることのできる冷媒として
は、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましい。電極の温度
は処理条件によって異なるが、通常、室温〜200℃と
することが好ましく、より好ましくは室温〜120℃と
することである。このような冷却手段は、前述の図1〜
図4に記載の対向電極3、あるいはロール電極4にも設
けることができる。
【0052】また、請求項8に係る発明では、複数の放
電部に供給する後述する反応ガスの組成を、各ブロック
毎に任意に変更し、厚み方向で異なる組成を有する薄膜
を形成することが特徴である。
【0053】以上説明したように、図2〜図5に記載の
様に、それぞれ独立した処理室を有する大気圧プラズマ
処理装置を用いることにより、一処理が完結して次の処
理室に基材が移送されるため、それぞれ異なった反応ガ
スを使用することにより、薄膜積層体を安定して効率よ
く、かつ連続的に形成することができ、本発明の長尺フ
ィルムを形成するための装置として特に好ましい形態で
ある。
【0054】請求項9に係る発明では、前記説明した複
数の放電部の一部又は全部の放電条件を変更して放電処
理を行うことが特徴である。
【0055】図6〜図8は、本発明に係る電圧供給方法
の一例を示した模式図である。図6には、1台の高周波
電源15により、各ロール電極4及び対向電極3が接
続、印加されて放電する方法である。また、ロール電極
4には、それぞれアース16が接続されている。
【0056】また、図7は、複数のロール電極4及び対
向電極3ごとに高周波電源15を配置(図7では、電極
対3つに対し、1つの高周波電源を設けた例を記載して
ある)し、各々の高周波電源15毎に、放電条件として
全て同一条件としても良く、あるいは、電力、電圧、電
流、周波数等を任意に変更することもできる。
【0057】また、図8は、各ロール電極4及び対向電
極3ごとに、個別の高周波電源15を配置し、各高周波
電源による放電条件として、例えば、電力、電圧、電
流、周波数等を全て同一条件としても良く、あるいは個
々の高周波電源毎に適宜変更しても良い。なお、上記記
載の図6〜図8には、図2〜図5で説明した処理室Bの
詳細な構造や希ガス導入部等については省略してある。
【0058】以上、本発明の大気圧もしくは大気圧近傍
の圧力下で処理する大気圧プラズマ処理装置の詳細につ
いて例示したが、本発明の特徴は、第1に、放電部にお
いて、長尺の基材を連続的に処理することができ、この
結果、処理速度を上げることや生産性を高めることがで
きるばかりでなく、形成する薄膜の均一性が向上するこ
と、第2に、装置がコンパクトで、かつ複数の処理室を
設けることにより、薄膜の積層体を容易に、高品質でし
かも安価に作製することができることである。
【0059】一般に、平板電極を用いる装置は処理有効
面積が広く、処理効率が高い反面、基材が固定電極に安
定して接することができないばかりか、基材の搬送と固
定電極の間で摩擦を生じ擦り傷が発生するため光学フィ
ルム用には不向きである。これに対し、本発明のロール
電極と対向電極とからなる電極対の放電部を複数有し、
更にロール電極の基材との各々の接触部が、略同一円周
上に配置され、円周の外側に前記対向電極が配置され、
基材をロール電極に、例えば、抱き角1〜270°で搬
送されるように複数の電極対を配置して、基材を該複数
の電極対の間を通過、放電させる方法は、電極と基材と
の密着性が高く、安定して、かつ効率のよい処理がで
き、かつロール電極を同一円周上に配置することによ
り、装置そのものをコンパクトにすることができる。こ
のことは、内部を希ガスで充填する上で優れており、運
転コストの低減に大きく寄与することができる。
【0060】更に、図2〜図8で説明したごとく、独立
した処理室を複数設け、更に複数の電圧供給手段を設け
ることにより、異なる組成の反応ガスを用いて、複数の
異なる印加条件で処理することができ、高精度で、かつ
複雑の積層構造を有する薄膜を効率よく、短時間に製造
することができる。
【0061】〔ロール電極、対向電極〕本発明に使用さ
れる電極は、金属等の導電性母材でできており、その表
面が固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体
誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、
ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化チタン等の金属酸化物あるいはチタン酸バリ
ウム等の複合金属酸化物等を挙げることができる。特に
好ましいものは、セラミックスを溶射後に無機材料を用
いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体である。ま
た、電極の金属等の導電性母材としては、銀、白金、ス
テンレス、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることが
できるが、加工の観点からステンレスが好ましい。ま
た、ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩
系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、
亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸
塩ガラス等が好ましく、この中でもホウ酸塩系ガラスが
加工し易いという点でより好ましく用いられる。
【0062】本発明に使用される電極の形状は、図1〜
図4に記載のような回転電極であることが好ましいが、
対向電極としては、それ以外の形状で対向電極となるも
のであれば制限がなく、図5に記載のような固定型電極
も用いることができる。本発明においては、回転電極が
プラズマ放電処理の効率がよく、均一な薄膜が形成し易
く、処理される基材の表面の傷の付きにくさから特に好
ましい。
【0063】本発明に使用される電極は、前述のごとく
必要に応じて加熱あるいは冷却等の温度調整することが
望ましい。
【0064】本発明に係るロール電極及び対向電極が回
転電極である場合には、その電極の表面は高い平滑性が
求められる。平滑性はJIS B 0601で規定され
る表面粗さの最大高さ(Rmax)として表される。本
発明に使用するロール電極の表面粗さのRmaxは10
μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm
以下であり、特に好ましくは7μm以下である。
【0065】本発明において、1対の電極間の間隙は、
固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用
する目的、電極の形状等を考慮して決定される。電極表
面同士の距離は、プラズマ放電を均一に発生させるとい
う観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましく
は0.5〜5mmであり、特に好ましくは1mm±0.
5mmである。本発明における1対の電極間の間隙と
は、ロール電極表面と対向電極表面とが互いに最も接近
している間隔をいう。また、回転電極の場合には、間隙
が回転電極の回転によっても一定であることが望まし
い。具体的には、ロールが1回転した時のロール間の間
隙の変動が±30%未満であることが好ましく、好まし
くは±10%未満で、より好ましくは±5%未満であ
り、最も好ましくは±0である。また、基材の幅方向に
おける1対の電極間の間隙変動も上記と同様である。回
転電極の直径は10〜1000mmが好ましく、20〜
500mmがより好ましく、30〜300mmが更に好
ましい。本発明の大気圧プラズマ処理装置においては、
各電極間の間隙は、それぞれ所望の間隔に微調整できる
機構を有していることが好ましい。
【0066】本発明において、プラズマ放電を行う処理
室は、各電極に対し絶縁性を有する材質のフレームや容
器で囲むことが好ましく、電極との絶縁がとれれば金属
製のものを用いてもよい。例えば、金属製のものとして
は、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリ
イミド樹脂等を張り付けたものでもよく、該金属フレー
ムにセラミックス溶射を行い絶縁性を持たせたものでも
よい。またパイレックス(R)ガラス製の処理容器で装
置全体を囲うのも好ましい。この様な外側の囲いではな
く、各放電部毎に、電極、基材搬送手段等の側面を局部
的に囲むことが特に好ましく、反応ガスを適切に放電部
に供給したり、排ガスを排気することができるため、ガ
ス濃度や組成を一定にでき、プラズマ放電処理を安定し
て行うことができ好ましい。
【0067】本発明におけるプラズマ放電を発生させる
ためには、1対の電極に電源を接続し、かつ基材が接し
ている側の電極にはアースを接地して、電圧を印加する
ことが好ましい。本発明における電源は、高周波電源が
好ましく用いられ、またはパルス電源も使用できる。電
極に印加する電圧の値は適宜決定されるが、例えば、
0.5〜10kV程度が好ましく、また電源周波数とし
ては1kHz〜150MHzに調整するが、特に100
kHzを超え13.56MHz以下であると、安定した
放電により均一な薄膜が得られ好ましい。その波形はパ
ルス波であってもサイン波であってもよい。また、電極
間の放電電流密度は0.01〜500mA/cm2が好
ましい。プラズマ放電処理の放電強度は、アーク放電も
起こらず安定した効果的な処理を行うには、50W・m
in/m2以上500W・min/m2未満が好ましい。
この範囲でプラズマ放電処理を行うことにより、処理の
均一性を有し、基材へのダメージもなく仕上げることが
できる。
【0068】〔反応ガス〕本発明の大気圧プラズマ処理
装置に使用する反応ガスについて説明する。
【0069】本発明において、反応ガスは主に希ガスと
反応性ガスの混合ガスを用いるのが特に好ましい。
【0070】本発明に有用な希ガスの元素としては、周
期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、
アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げるこ
とができるが、本発明においては、ヘリウム、アルゴン
が好ましく、あるいはこれらを混合して使用しても良
く、特にアルゴンが好ましい。反応ガス中の希ガスの濃
度は、90体積%以上あることが安定したプラズマを発
生させるために好ましい。特に90〜99.99体積%
が好ましい。希ガスは安定したプラズマ放電を発生する
ために必要であり、プラズマ放電部での反応性ガスをイ
オン化またはラジカル化し、表面処理に寄与する。
【0071】本発明において、反応性ガスは基材上に作
製される機能性薄膜の種類によって様々な物質が用いら
れる。例えば、反応性ガスとして、有機フッ素化合物を
用いることにより反射防止層等に有用な低屈折率層や防
汚層を形成することができ、珪素化合物を用いることに
より、反射防止層等に有用な低屈折率層やガスバリア層
を形成することもできる。また、Ti、Zr、Sn、S
iあるいはZnのような金属を含有する有機金属化合物
を用いることにより、金属酸化物層または金属窒化物層
等を形成することができ、これらは反射防止層等に有用
な中屈折率層や高屈折率層を形成することができ、更に
は導電層や帯電防止層を形成することもできる。
【0072】このように、本発明に有用な反応性ガスの
物質として、有機フッ素化合物及び金属化合物を好まし
く挙げることができる。
【0073】本発明に好ましく使用する反応性ガスの有
機フッ素化合物としては、フッ化炭素やフッ化炭化水素
等のガスが好ましく、例えば、テトラフルオロメタン、
ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオ
ロエチレン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン、ヘキサフルオロプロペン等のフッ化炭素化合
物;1,1−ジフルオロエチレン、1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフル
オロプロパン等のフッ化炭化水素化合物;ジフルオロジ
クロロメタン、トリフルオロクロロメタン等のフッ化塩
化炭化水素化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−
プロパノール、パーフルオロブタノール等のフッ化アル
コール;ビニルトリフルオロアセテート、1,1,1−
トリフルオロエチルトリフルオロアセテート等のフッ化
カルボン酸エステル;アセチルフルオライド、ヘキサフ
ルオロアセトン、1,1,1−トリフルオロアセトン等
のフッ化ケトン等を挙げることができるが、これらに限
定されない。有機フッ素化合物がプラズマ放電処理によ
って、腐食性ガスあるいは有害ガスが発生しないような
化合物を選ぶのが好ましいが、それらが発生しない条件
を選ぶこともできる。有機フッ素化合物を本発明に有用
な反応性ガスとして使用する場合、常温常圧で有機フッ
素化合物が気体であることが目的を遂行するのに最も適
切な反応性ガス成分としてそのまま使用でき好ましい。
これに対して常温常圧で液体または固体の有機フッ素化
合物の場合には、加熱や減圧等の気化装置などの手段に
より気化して使用すればよく、また適切な有機溶媒に溶
解して噴霧あるいは蒸発させて用いてもよい。本発明に
有用な有機フッ素化合物は、例えば、本発明の光学フィ
ルムが反射防止フィルムの場合、その低屈折率層を形成
することができる。
【0074】反応ガス中に上記の有機フッ素化合物を用
いる場合、プラズマ放電処理により基材上に均一な薄膜
を形成する観点から、反応ガス中の有機フッ素化合物の
含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましい
が、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。これら
は単独でも混合して用いてもよい。
【0075】また、本発明に好ましく用いられる反応性
ガスの金属化合物としては、Al、As、Au、B、B
i、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、G
e、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、N
i、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、
W、Y、ZnまたはZr等の金属化合物または有機金属
化合物を挙げることができ、Al、Ge、In、Sb、
Si、Sn、Ti、W、ZnまたはZrが有機金属化合
物として好ましく用いられる。
【0076】これらのうち珪素化合物としては、例え
ば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等のアルキル
シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン等の珪素アルコキシド等の有機珪素化合物;モノシ
ラン、ジシラン等の珪素水素化合物;ジクロルシラン、
トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化
珪素化合物;その他オルガノシラン等を挙げることがで
き、何れも好ましく用いることができる。本発明におい
ては、これらに限定されない。また、これらは適宜組み
合わせて用いることができる。上記の有機珪素化合物
は、取り扱い上の観点から珪素アルコキシド、アルキル
シラン、有機珪素水素化合物が好ましく、腐食性、有害
ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことか
ら、特に有機珪素化合物として珪素アルコキシドが好ま
しい。
【0077】本発明に有用な反応性ガスとしての珪素以
外の金属化合物としては、特に限定されないが、有機金
属化合物、ハロゲン化金属化合物、金属水素化合物等を
挙げることができる。有機金属化合物の有機成分として
はアルキル基、アルコキシド基、アミノ基が好ましく、
チタン化合物としては、例えば、テトラエトキシチタ
ン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタ
ン、テトラジメチルアミノチタン等を好ましく挙げるこ
とができる。またハロゲン化金属化合物としては、二塩
化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン等を挙げること
ができ、更に金属水素化合物としては、モノチタン、ジ
チタン等を挙げることができる。本発明においては、チ
タン系の有機金属化合物を好ましく用いることができ
る。
【0078】上記有機金属化合物を放電部に導入するに
は、何れも、常温常圧で、気体、液体または固体の何れ
の状態のものであっても構わないが、それが液体または
固体の場合は、加熱、減圧または超音波照射等の気化装
置などの手段により気化させて使用すればよい。本発明
においては、気化したり、蒸発させてガス状として使用
することが好ましい。常温常圧で液体の有機金属化合物
の沸点が200℃以下のものであれば気化を容易にでき
るので、本発明の薄膜の製造に好適である。また有機金
属化合物が金属アルコキシド、例えばテトラエトキシシ
ランやテトライソプロポキシチタンのような場合、有機
溶媒に易溶であるため有機溶媒、例えばメタノール、エ
タノール、n−ヘキサン等に希釈して使用してもよい。
有機溶媒は、混合溶媒として使用してもよい。
【0079】本発明において、有機金属化合物を反応性
ガスとして反応ガスに使用する場合、反応ガス中の含有
率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、
更に好ましくは、0.1〜5体積%である。上記金属化
合物は同種あるいは異種の金属化合物を数種類混合して
使用してもよい。
【0080】なお、上記のような有機フッ素化合物及び
/または有機金属化合物の反応性ガスに水素、酸素、窒
素、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、オゾン、過
酸化水素を希ガスに対して0.1〜10体積%混合させ
て使用してもよく、このように補助的に使用することに
より薄膜の硬度を著しく向上させるなどの物性を改善す
ることができる。
【0081】本発明の後述の光学フィルムが、反射防止
層を有するフィルムの場合、例えば、有機珪素化合物は
低屈折率層を形成するのに適しており、また、チタン系
有機金属化合物は高屈折率層を形成するのに適してお
り、何れも好ましく用いられる。また、これらを混合し
たガスを用いて、その混合比率を調整することにより屈
折率を制御して中屈折率層とすることもできる。
【0082】上記反応ガスを用いてプラズマ放電処理で
形成された低屈折率層や高屈折率層は、全てではないが
主に金属の酸化物からなっていると考えられている。例
えば、有機珪素化合物による低屈折率層と有機チタン化
合物による高屈折率層の積層体には、低屈折率層が酸化
珪素、また高屈折率層が酸化チタンをそれぞれ主成分と
して有していることが好ましい(ここで本発明におい
て、主成分として有しているとは形成された薄膜中にそ
のものを50質量%以上有していることをいう)。この
際、酸化チタンを主成分とする高屈折率層に微量の酸化
珪素が混入してもよいし、また反対に酸化珪素を主成分
とする低屈折率層に微量の酸化チタンが混入してもよ
い。このような混合が起こることにより、各層の密着性
(接着性)を改善することもできる。もちろん、合目的
の屈折率に調整するために、あるいは、その他の目的で
反応ガス中に主成分以外の有機金属化合物あるいはフッ
素含有化合物を混合添加することもでき、反応ガスを反
応ガス供給部から供給する前の段階で適宜混合しておく
ことが好ましい。前述のように、放電部には反応ガスで
満たされており、例え同伴空気が若干処理室に入り込ん
だとしても実際には、微量の空気(酸素や窒素)あるい
は水分の影響は無視できる。なお、処理条件によって
は、意図的に反応ガスに空気(酸素あるいは窒素)や水
分を添加して処理する場合もある。
【0083】〔基材〕次に、本発明に係る基材について
説明する。
【0084】本発明に係る基材としては、例えば、セル
ロースエステルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ
カーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリオ
レフィンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、
セルロース系フィルム、その他の樹脂フィルム等を挙げ
ることができ、例えば、セルロースエステルフィルムと
してはセルロースジアセテートフィルム、セルロースア
セテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプ
ロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレー
トフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セル
ロースナイトレートフィルム;ポリエステルフィルムと
しては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエ
チレンナフタレートフィルム、ポリブチレンフタレート
フィルム、1,4−ジメチレンシクロヘキシレンテレフ
タレートフィルム、あるいはこれら構成単位のコポリエ
ステルフィルム;ポリカーボネートフィルムとしてはビ
スフェノールAのポリカーボネートフィルム;ポリスチ
レンフィルムとしては、シンジオタクティックポリスチ
レンフィルム;ポリオレフィンフィルムとしてはポリエ
チレンフィルム、ポリプロピレンフィルム;ポリビニル
アルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールフ
ィルム、エチレンビニルアルコールフィルム;セルロー
ス系フィルムとしてはセロファン;その他の樹脂フィル
ムとしては、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチル
ペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリ
イミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリ
スルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィル
ム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロ
ンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アク
リルフィルムあるいはポリアリレートフィルム、ポリ塩
化ビニリデンフィルム等を挙げることができる。
【0085】これらのフィルムの素材を適宜混合して得
られたフィルムも好ましく用いることができる。例え
ば、ゼオネックスゼオノア(日本ゼオン(株)製)、A
RTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品の樹脂
を有するフィルムを用いることもできる。また、ポリカ
ーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォンあるいは
ポリエーテルスルフォン等の固有の複屈折率が高い素材
であっても、溶液流延あるいは溶融押し出し等の条件、
更には縦、横方向に延伸する条件等を適宜設定すること
により、本発明に適した基材を得ることができる。本発
明においては、上記の記載のフィルムに限定されない。
【0086】本発明の大気圧プラズマ放電処理に適した
基材の厚さとしては、10〜1000μm程度のフィル
ムを好ましく用いることができ、より好ましくは10〜
200μmであり、特に10〜60μmの薄手の基材を
好ましく用いることができる。
【0087】本発明において、上記基材としてのフィル
ムのうちで、セルロースエステルフィルムが特に好まし
く用いられる。
【0088】ここで、本発明に特に有用な基材としての
セルロースエステルフィルムについて述べる。本発明に
有用なセルロースエステルフィルムは、セルロースの水
酸基を、アシル基、特に炭素原子数が2〜4のアシル基
で、アシル基置換度が2.40〜2.98となるように
置換したセルロースエステルを使用したものが好まし
い。このようなセルロースエステルとしては、セルロー
スジアセテート、セルローストリアセテート、セルロー
スアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピ
オネートを挙げることができ、中でもセルローストリア
セテート、セルロースアセテートブチレート、セルロー
スアセテートプロピオネートが好ましい。これらの好ま
しいセルロースエステルにおいて、アセチル基の置換度
は1.6以上であることが特に好ましい。セルロースエ
ステルの原料のセルロースとしては、特に限定はない
が、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由
来)、ケナフなどを挙げることができる。またそれらか
ら得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で
混合使用することができる。これらのセルロースエステ
ルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢
酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を
用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて定法により
反応させて得ることができる。特に混酸セルロースエス
テルの場合には、例えば混酸エステルでは特開平10−
45804号公報に記載の方法で反応して得ることがで
きる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−817
−96の規定に準じて測定することができる。
【0089】セルロースエステルの数平均分子量(M
n)は、70,000〜250,000が、成型した場
合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり
好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,0
00である。
【0090】これらセルロースエステルは後述するよう
に一般的に溶液流延製膜法と呼ばれる方法で製造(製
膜)される。この方法は、無限に移送する無端の金属ベ
ルト(例えばステンレスベルト)あるいは回転する金属
ドラム(例えば鋳鉄で表面をクロムメッキしたドラム)
等の流延用金属支持体(以降、単に金属支持体というこ
ともある)上に、加圧ダイからドープ(セルロースエス
テル溶液のこと)を流延(キャスティング)し、金属支
持体上のウェブ(ドープ膜)を金属支持体から剥離し、
乾燥させて製造するものである。
【0091】ドープの調製に用いる有機溶媒としては、
セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であ
ることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒド
ロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリ
フルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ
−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパ
ノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,
3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエ
タン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙
げることができるが、メチレンクロライド、ジオキソラ
ン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等を好ま
しい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げることができ
る。また、後述の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程
において金属支持体上に形成されたウェブから溶媒を乾
燥させる温度は、ウェブ中の有機溶媒の発泡を防止する
観点から、有機溶媒の沸点以下が好ましく、30〜80
℃が好ましい。例えば、上記の良溶媒の沸点は、メチレ
ンクロライド(沸点40℃)、酢酸メチル(同56
℃)、アセトン(同56℃)、酢酸エチル(同76℃)
等である。上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレ
ンクロライド及び酢酸メチルが特に好ましく用いられ
る。ドープには、良溶媒を全有機溶媒に対して50質量
%以上含み、良溶媒の他に貧溶媒として、0.1〜30
質量%の炭素原子数1〜4のアルコールやシクロヘキサ
ンを含有させることが好ましい。特に好ましくは10〜
30質量%で前記アルコールを含むことが好ましい。炭
素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−
ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等を挙げ
ることができ、これらのうちドープの安定性、沸点も比
較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエ
タノールが好ましく、良溶媒70〜95質量%に対して
エタノール5〜30質量%を用いることが好ましい。こ
れら貧溶媒を含むドープを金属支持体に流延後、金属支
持体上でウェブから溶媒の蒸発が始まるとアルコール
(貧溶媒)の比率が多くなるに従いウェブがゲル化し、
ウェブが丈夫になるので、有機溶媒を多く含んでいても
金属支持体から容易に剥離することができる。またドー
プ中の貧溶媒の割合が少ない場合には、セルロースエス
テルの溶解を促進する役割もある。
【0092】ドープ調製方法としては、主たる有機溶媒
の沸点を越した温度で、圧力を高くして溶解する高温溶
解法、−100〜−10℃に冷却して溶解する冷却溶解
法、更に高圧で溶解する高圧溶解法等があり、いずれも
好ましく用いることができるが、作業の容易さ、設備が
シンプル等の理由から高温溶解法が特に好ましい。
【0093】本発明に係るセルロースエステルフィルム
は可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては特に
限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エス
テル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロ
メリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸
エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを挙げる
ことができる。リン酸エステル系としては、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェ
ート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート等;フタル酸
エステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキシ
エチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート等;トリメリット酸系可塑剤として、
トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテー
ト、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エス
テル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テ
トラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテ
ート等;グリセリンエステルとしては、トリアセチン、
トリブチリン等;グリコール酸エステル系では、エチル
フタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグ
リコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等;そ
の他のカルボン酸エステルの例としては、オレイン酸ブ
チル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチ
ル、種々のトリメリット酸エステルを挙げることができ
る。これらのうち、リン酸エステル系可塑剤やグリコー
ル酸エステル系の可塑剤が好ましい。これらの可塑剤の
使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロース
エステルに対して1〜20質量%であることが好まし
い。
【0094】本発明に係るセルロースエステルフィルム
には、画像表示装置として屋外に置かれた場合等の劣化
防止の観点から紫外線吸収剤を含有させることが好まし
い。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外
線の吸収能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の
吸収が少ないものを好ましく用いることができる。例え
ば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェ
ノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル
錯塩系化合物などを挙げることができるが、これらに限
定されない。
【0095】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ
−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter
t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″
−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス
(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノー
ル)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−
5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6
−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、
オクチル−3−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェニル〕プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−
〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−
クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニ
ル〕プロピオネート等を挙げることができ、チヌビン
(TINUVIN)109、チヌビン171、チヌビン
326(チバ・スペッシャリティ・ケミカル社製)等が
市販されており、好ましく用いることができる。
【0096】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤も本
発明に係るセルロースエステルフィルムに有用なものの
一つである。例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベ
ンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−
5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができ
る。
【0097】本発明の光学フィルムには、紫外線吸収剤
として透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に
優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤を好ましく用いることができ、不要
な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
が特に好ましい。
【0098】本発明に有用な基材としてのセルロースエ
ステルフィルムには、マット剤をセルロースエステルフ
ィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りを
し易くすることができる。マット剤はできるだけ微粒子
のものが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化珪
素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カ
ルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微
粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも
二酸化珪素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ま
しい。微粒子の一次粒子または二次粒子の平均粒径は
0.05〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロー
スエステルに対して0.005〜0.3質量%が好まし
い。二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理
されている場合が多いが、このようなものはフィルムの
ヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい
有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、
シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均
粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径
の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一
次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7
〜16nmである。これらの微粒子はセルロースエステ
ルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に
0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好まし
い。二酸化珪素の微粒子としては日本アエロジル(株)
製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、
300、R972、R972V、R974、R202、
R812、OX50、TT600等を挙げることがで
き、好ましくはアエロジル200V、R972、R97
2V、R974、R202、R812である。これらの
微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場
合、任意の割合で混合して使用することができる。この
場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばアエロジ
ル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜
99.9:0.1の範囲で使用できる。
【0099】本発明に有用な基材としてのセルロースエ
ステルフィルムの製膜方法は、上記ドープを、金属支持
体、例えばステンレスベルト上に加圧ダイから流延して
ウェブを形成させ、ウェブの表面側及び金属支持体の裏
面側から加熱して有機溶媒を蒸発させて乾燥する。ウェ
ブ表面からは乾球温度30〜80℃、露点温度10℃以
下の程度の温風を当て、裏面側からは、同様の温風を当
てても、赤外線を照射しても、あるいは主たる有機溶媒
の沸点以下の温度の温水を直接当てる方法が行われる。
特に裏面加熱は温水加熱が好ましい。剥離点においてス
テンレスベルトからウェブを剥離し、ロールで引回すロ
ール乾燥機、あるいはウェブの両端を把持して幅保持す
るか横延伸したりして、ウェブを乾燥し巻き取ることに
よってセルロースエステルフィルムを製膜することがで
きる。剥離する際の後述の残留溶媒量は、乾燥条件によ
り5〜150質量%が望ましく、40〜120質量%が
好ましい。巻き取る時の残留溶媒量は、本発明において
は、セルロースエステルフィルムの残留溶媒量は2質量
%未満であることが好ましく、0.5質量%未満である
ことがより好ましく、0.1質量%未満であることが特
に好ましい。セルロースエステルフィルムのような溶液
流延製膜法により製膜して得られる基材は有機溶媒が全
て蒸発しきれないで有機溶媒が残存することがあるが、
これを残留溶媒量といい、残留溶媒量が少ないほど後の
プラズマ放電処理に対する弊害が少なくて済む。残留溶
媒量は下記の式で表される。
【0100】 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mは残留溶媒量を測定する試料の質量、NはM
の試料を110℃で3時間加熱して吸湿しないように室
温に戻した質量である。
【0101】本発明に係る基材としての光学特性は、面
内レターデーションR0が0〜1000nmのもの、厚
み方向のレターデーションRtが0〜300nmのもの
が好ましく、または、波長分散特性のR0(600)/
0(450)が0.7〜1.3であることが好まし
く、特に1.0〜1.3であることが好ましい。ここ
で、R0(450)は波長450nmの光による3次元
屈折率測定に基づいた面内レターデーション、R0(6
00)は波長600nmの光による3次元屈折率測定に
基づいた面内レターデーションを表す。
【0102】〔基材の被覆物及び被覆層〕本発明に係る
基材は、前述のフィルムだけで基材として用いる以外
に、前述のフィルム表面にゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系
樹脂等の被覆層を塗設したもの、或いは前述のフィルム
に直接、または上記被覆層の上に、防眩層やクリアハー
ドコート層、バックコート層、または帯電防止層等の被
覆層を設層したものを基材として用いることができる。
【0103】本発明において有用な被覆層として、不飽
和エチレン性モノマーを1種以上含む成分を重合させて
形成した層で、活性線硬化性の組成物または熱硬化性の
組成物を用いるのが好ましく、特に活性線硬化性組成物
を用いるのが好ましい。ここで、活性線硬化性組成物と
は、不飽和エチレン性モノマーを主として含有する組成
物、または不飽和エチレン性基を有する比較的分子量の
大きい化合物(通常、樹脂と称する)を含有する組成物
で、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応
などにより硬化層を形成する組成物をいう。活性線硬化
性組成物としては、紫外線硬化性組成物や電子線硬化性
組成物などが代表的なものとして挙げることができ、紫
外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する組成物
でもよい。
【0104】本発明の被覆物に有用な紫外線硬化性組成
物(紫外線硬化性樹脂を含)について述べる。
【0105】紫外線硬化性組成物に主として含有されて
いる樹脂成分としては、例えば、紫外線硬化型アクリル
ウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレー
ト系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬
化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0106】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物
に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタ
クリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表
示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水
酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させるこ
とによって、特開昭59−151110号公報に記載さ
れているように得ることができる。
【0107】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系
のモノマーを反応させることによって、特開昭59−1
51112号公報に記載されているように得ることがで
きる。
【0108】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、下
記のごとき光重合開始剤を添加して反応させた特開平1
−105738号公報に記載のものを挙げることができ
る。光重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシ
ムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサント
ン誘導体等を挙げることができ、2種以上を併用したも
のも用いられる。
【0109】また、紫外線硬化型ポリオールアクリレー
ト系樹脂としては、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリス
リトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0110】紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤ある
いは増感剤を含有し、紫外線により硬化される。光重合
開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒ
ドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミ
ロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導
体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート
系の光重合開始剤を使用する際、n−ブチルアミン、ト
リエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感
剤を用いることができる。
【0111】紫外線硬化性組成物には、上記樹脂成分を
希釈し且つ重合し硬化に関与する成分として不飽和エチ
レン性基を1〜4個1分子中に有するモノマーを含有さ
せることがある。該モノマーとしては、例えば、不飽和
エチレン性基を1個有するモノマーとして、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、
ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げるこ
とができる。また不飽和エチレン性基を二つ以上有する
モノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、
プロピレングリコールジアクリレート、1,4−シクロ
ヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメ
チルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、
ジビニルベンゼン等を挙げることができる。紫外線硬化
性樹脂について多くの市販品があり、例えば、アデカオ
プトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−4
10、KR−550、KR−566、KR−567、B
Y−320B(以上、旭電化工業株式会社製);コーエ
イハードA−101−KK、A−101−WS、C−3
02、C−401−N、C−501、M−101、M−
102、T−102、D−102、NS−101、FT
−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M
−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製);セイ
カビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−
3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP
−30、P1000、P1100、P1200、P13
00、P1400、P1500、P1600、SCR9
00(以上、大日精化工業株式会社製);KRM703
3、KRM7039、KRM7130、KRM713
1、UVECRYL29201、UVECRYL292
02(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社);RC
−5015、RC−5016、RC−5020、RC−
5031、RC−5100、RC−5102、RC−5
120、RC−5122、RC−5152、RC−51
71、RC−5180、RC−5181(以上、大日本
インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.34
0クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−60
1(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP
−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C
(グレース・ジャパン株式会社製);アロニックスM−
6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合
成株式会社製)等を挙げることができる。このような市
販品の紫外線硬化性樹脂を本発明に係る被覆物として適
宜選択して利用できる。
【0112】紫外線硬化性組成物を光硬化反応させて皮
膜を形成するための光源としては、紫外線を発生する光
源であればいずれでも使用できる。例えば、低圧水銀
灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボン
アーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を
用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによ
って異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm
2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/
cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけて
光源に対しては、それらの領域に吸収極大を有する増感
剤を組成物に含有させることによって使用を可能にする
ことができる。
【0113】紫外線硬化性組成物は有機溶媒を含有して
紫外線硬化性組成物塗布液としてもよく、不飽和エチレ
ン性モノマーを希釈性モノマーとして使用する場合で
も、有機溶媒を含有させるのが好ましい。
【0114】紫外線硬化性組成物塗布液に使用する有機
溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等の炭化水素
類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、イソアミルアルコール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、
プロピレングリコールモノイソブチルエーテル等のグリ
コールエーテル類等を挙げることができ、適宜選択し、
あるいはこれらを混合して使用できるが、上記のプロピ
レングリコールモノアルキルエーテルまたはプロピレン
グリコールモノアルキルエーテルエステルを5質量%以
上含有させることが好ましく、これらを5〜80質量%
含有する混合有機溶媒を用いることがより好ましい。
【0115】紫外線硬化性組成物塗布液を基材に塗布す
る方法としては、グラビアコーター、スピナーコータ
ー、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバース
コーター、押し出しコーター、エアードクターコーター
等公知の方法を用いることができる。塗布の際の液膜厚
(ウェット膜厚ともいう)で0.1〜30μmが好まし
く、より好ましくは、0.5〜15μmである。
【0116】紫外線硬化性組成物塗布液を塗布し、乾燥
した後、紫外線を上記のエネルギー値程度に照射し硬化
反応を行わせる。この時の照射時間は、基材の移送速
度、塗布液の組成、塗布厚さ等によって異なるが、概し
て0.5秒〜5分程度で照射及び硬化が完結することが
好ましく、3秒〜2分がより好ましい。
【0117】硬化した被覆層のブロッキング防止やすり
傷防止等のためあるいは防眩層とするために、無機ある
いは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無
機微粒子としては酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げること
ができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸
メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂
粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系
樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート
樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹
脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げるこ
とができ、これらを紫外線硬化性組成物に加えることが
できる。これらの微粒子粉末の平均粒径は、0.005
〜1μmが好ましく、特に0.01〜0.1μmのもの
が好ましい。紫外線硬化性樹脂と微粒子粉末との割合
は、樹脂100質量部に対して、微粒子粉末を0.1〜
10質量部となるように配合することが望ましい。この
ようにして形成された紫外線硬化性被覆層の表面粗さ
は、目的や種類に応じて異なるが、中心線平均表面粗さ
Ra(前出)として、Raがクリアハードコート層なら
1〜50nm、防眩層なら0.1〜1μm程度が好まし
い。このようにして得られた樹脂層表面に、本発明の方
法で均一に薄膜を形成することができる。
【0118】〔薄膜、積層体及び光学フィルム〕本発明
において、薄膜の形成は、図5に示したような装置を用
いて、対向電極の間隙の放電部で、基材を大気圧もしく
はその近傍の圧力下で上記反応ガスによりプラズマ放電
処理することによって行われる。本発明における大気圧
もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理は、基
材の幅が、例えば2000mmもの非常に幅広いものを
行うことができ、また、処理速度を100m/分の速度
で行うこともできる。本発明において、プラズマ放電を
開始する際、まず処理室の空気をポンプで排気しなが
ら、反応ガスまたは希ガスを処理室に導入して、空気と
置換してから放電部に反応ガスを供給し、放電部を満た
すのが好ましい。その後基材を移送させて処理を行う。
【0119】本発明は、前述の図に示したように、多層
の薄膜を連続的に設けることができる。例えば、プラズ
マ放電処理して反射防止層を有する光学フィルムを製造
する場合、基材表面に連続して、チタンアルコキシドで
屈折率が1.6〜2.3の高屈折率層の薄膜を、この上
にシランアルコキシド或いは有機フッ素化合物を用いて
屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層の薄膜を効率的に
形成させることができる。このような、本発明の方法で
多層の薄膜を連続して積層させることにより薄膜各層の
間の密着性に優れた積層体を形成させることができる。
【0120】本発明の光学フィルムの積層構成を下記に
例示する。ここで、隣接する各層を/を挟んで表示した
ものであり、左側(基材のおもて面)から順に右側(基
材の裏面)へと積層構成を示している。
【0121】A:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低
屈折率層/高屈折率層/ハードコート層/基材 B:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/帯電防止層/基材/粘着層 C:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/ハ
ードコート層/帯電防止層/基材 D:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/基材/導電性層/粘着層 E:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/ハ
ードコート層/基材/帯電防止層/バックコート層/粘
着層 F:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/導電性中屈折率
層/ハードコート層/基材/バックコート層/粘着層 G:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層/ハードコート層/基材/導電性
層/粘着層 H:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/帯
電防止剤含有ハードコート層/基材 I:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/基材/導電性層/バックコ
ート層 ここで、ハードコート層はクリアハードコート層または
防眩層を指している。
【0122】上記のように、機能層の塗設及び本発明の
プラズマ放電処理により様々な組み合わせの積層体を形
成することができる。本発明の大気圧プラズマ処理装置
で、連続的にプラズマ放電処理をすることにより、上記
のような所望の光学フィルムを精度よく得ることが、本
発明の特徴である。
【0123】上記防汚層としては、既にプラズマ放電処
理した低屈折率層の表面に、有機フッ素樹脂を0.1〜
20nmの膜厚で塗設した層であっても、また有機フッ
素化合物を含む反応ガスで本発明のプラズマ放電処理し
た層であってもよく、表面を有機フッ素化合物で被覆し
たものを好ましく用いることができる。実際的には連続
的に低屈折率層形成後に防汚層をプラズマ放電処理する
ことにより形成するのが好ましい。
【0124】上記低屈折率層としては、有機フッ素化合
物を含む反応ガスで本発明のプラズマ放電処理して得ら
れた有機フッ素化合物層あるいはアルコキシシラン等の
有機珪素化合物を用いて形成された、主に酸化珪素を有
する層が好ましく、高屈折率層としては有機金属化合物
を含むガスを大気圧プラズマ放電処理して得られた金属
酸化物、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを有
する層である。それぞれの薄膜はこれだけに限定される
ものではなく、層構成もこれらに限定されるものではな
い。
【0125】上記中屈折率層としては、低屈折率層用反
応性ガスと高屈折率層用反応性ガスを適宜混合して屈折
率を調整したものでもよく、あるいは例えば重合性基を
有する有機化合物を混合したものでもよい。
【0126】前述の図で示したように、一対の電極の放
電部に供給する反応ガスを低屈折率層用の成分とし、次
の一対の電極の放電部では高屈折率層用の成分を供給す
るというように交互にすることにより、あるいは、それ
ぞれ独立した処理室に、それぞれの成分の反応ガスを交
互に供給することにより、高屈折率層と低屈折率層を交
互に有する均一の膜厚の積層体を形成できることが本発
明の特徴であり、このような連続積層体の形成方法は特
に好ましい方法である。
【0127】膜厚は放電部や反応ガス濃度、基材の搬送
速度によって適宜調整することができる。
【0128】本発明の大気圧プラズマ処理方法により、
基材上に形成した薄膜は片面のみにあるが、巻き取り
後、その反対側をプラズマ放電処理するために、別途、
装置内に通してもよい。帯電防止層を金属酸化物で形成
する場合に、帯電防止層または導電性層は、金属酸化物
微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の塗布液を膜厚
0.1〜2μm程度の層に基材に塗布して形成すること
ができるが、本発明の大気圧プラズマ処理方法によって
も、薄膜の導電性層を形成することができる。例えば、
酸化スズ、酸化インジウムあるいは酸化亜鉛等の金属酸
化物の導電性層を形成してもよい。また、特願2000
−273066記載の易接着加工、特願2000−80
043記載の帯電防止加工等も本発明の大気圧プラズマ
処理装置を用いて実施することができる。
【0129】本発明の大気圧プラズマ処理方法による薄
膜形成条件は、前述の大気圧プラズマ処理装置のところ
で述べたが、更に、処理するためのその他の条件等につ
いて述べる。
【0130】本発明に係る薄膜を形成する際、あらかじ
め基材を50〜120℃に熱処理してからプラズマ放電
処理することにより均一な薄膜を形成し易く、予加熱す
るのは好ましい方法である。熱処理することにより、吸
湿していた基材を乾燥させることができ、低湿度に維持
したままプラズマ放電処理することが好ましい。60%
RH未満、より好ましくは40%RHで調湿した基材を
吸湿させることなくプラズマ放電処理することが好まし
い。含水率は3%以下であることが好ましく、2%以下
であることがより好ましく、1%以下であることが更に
好ましい。
【0131】また、プラズマ放電処理後の基材を50〜
130℃の熱処理ゾーンで1〜30分熱処理することに
より薄膜を安定化させることができ、有効な手段であ
る。
【0132】更に、本発明の多段のプラズマ放電処理に
より積層体を作製する際、それぞれのプラズマ放電処理
前後に処理面に紫外線を照射してもよく、形成した薄膜
の基材への密着性(接着性)や安定性を改善することが
できる。紫外線照射光量としては50〜2000mJ/
cm2であることが好ましく、50mJ/cm2未満では
効果が十分ではなく、2000mJ/cm2を越えると
基材の変形等が生じる恐れがある。
【0133】本発明で形成される薄膜の膜厚としては、
1〜1000nmの範囲が好ましい。
【0134】本発明の大気圧プラズマ処理により形成す
る薄膜の平均膜厚に対する膜厚偏差は小さく、均一な薄
膜を形成することができ、優れた薄膜形成方法である。
薄膜の膜厚偏差は±10%のものを容易に得ることがで
き、好ましくは±5%以内、特に±1%以内の均一な薄
膜を得ることができる。
【0135】上述の無機または有機微粒子を含有する組
成物塗布液を基材に塗布乾燥し、表面をRaが0.1〜
0.5μm程度凹凸表面を有する機能層、例えば、防眩
層の上に、プラズマ放電処理により均一な膜厚の薄膜を
形成することもできる。例えば、その薄膜が低屈折率層
あるいは高屈折率層等の場合、光学干渉層として設ける
ことができる。
【0136】本発明の長尺フィルムは、本発明の大気圧
プラズマ処理装置により形成する薄膜及びその積層体を
有しているものであり、例えば、反射防止フィルム、防
眩性反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム、導電性フ
ィルム、帯電防止フィルム、位相差フィルム、光学補償
フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、基
板フィルム等の光学フィルムとして用いることができる
が、これらに限定されない。
【0137】〔偏光板〕本発明の方法で作製した光学フ
ィルムは、特に偏光板保護フィルムとして有用であり、
公知の方法で偏光板を作製することができる。これらの
光学フィルムは薄膜の均一性が高いため、各種表示装置
に好ましく用いられ、優れた表示性能を得ることができ
る。
【0138】偏光板は、例えば、ポリビニルアルコール
フィルムにヨウ素や二色性色素を含有させ、縦方向に延
伸した偏光子を保護フィルムで両側をサンドイッチした
ような構成を有している。本発明に係る偏光板は、本発
明の大気圧プラズマ処理により形成した積層体の光学フ
ィルムを偏光板保護フィルムとして用いることにより、
より均一な薄膜を有する積層体の光学フィルムを低コス
トで生産性よく提供することができる。
【0139】〔画像表示装置〕本発明の長尺フィルム
(光学フィルム)を用いた画像表示装置は、特に限定さ
れないが、例えば、液晶ディスプレイ装置、有機ELデ
ィスプレイ装置、無機ELディスプレイ装置、プラズマ
ディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置を挙げるこ
とができる。本発明の光学フィルムは均一な薄膜が形成
されているため、これらの表示装置に用いた場合、ムラ
のない高い表示品質の表示装置を低コストで提供するこ
とができる。
【0140】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0141】〔評価方法〕 〈反射率の測定1(膜厚と偏差)〉試料の分光反射率を
分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、
5度正反射の条件で測定を行った。測定では、試料の観
察面の裏面を、目の細かいサンドペーパーを用いて粗面
化処理した後、黒色のスプレーを吹きつけ光吸収処理を
行い、試料裏面での光の反射を防止した。観察面につい
て、400nm〜700nmの波長での反射率の測定を
行った。得られる反射スペクトルデータより、薄膜層の
膜厚を算出する。セルロースエステルフィルムの製膜時
の幅方向及び長手方向についてそれぞれ10cm間隔で
10点を測定して膜厚のバラツキをnm単位で表す。
【0142】〈反射率の測定2(反射率が0.6%以下
となった点の数)〉上記観察面の裏面を光反射を防止し
たのち、観察面について同様に反射スペクトルを測定し
スペクトルデータから、幅手方向に10点測定を行い、
450〜650nmの範囲で反射率が0.6%以下とな
った点の数をカウントした。
【0143】〈目視評価(ムラ)〉幅方向全幅×長手方
向50cmの試料を裏面に黒色のスプレーを用いて光吸
収処理を行い、表面から蛍光灯の反射を観察して反射光
のムラについて評価した。
【0144】 ◎:ムラが全く認められない ○:わずかにムラが認められる △:一部にムラが認められる ×:全体的にムラが認められる 〈目視評価(偏光板のムラ、液晶表示パネルのムラ)〉
偏光板及び液晶表示パネルについて、表面から蛍光灯を
あてて観察して反射光のムラについて評価した。基準は
上記と同様である。
【0145】〔基材の作製〕下記のように基材を準備し
た。
【0146】 〈ドープ〉 《ドープA》 アエロジルR972 1kg エタノール 9kg 上記素材をディゾルバ攪拌機で30分間撹拌混合した
後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行
い酸化珪素微粒子分散液を得た。
【0147】 (酸化珪素微粒子添加液Aの調製) セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.7) 6kg メチレンクロライド 140kg を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶
解、濾過した後、10kgの上記酸化珪素微粒子分散液
を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾
過し、酸化珪素微粒子添加液Aを調製した。
【0148】 (ドープAの調製) メチレンクロライド 440kg エタノール 35kg セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.7) 100kg エチルフタリルエチルグリコレート 7kg チヌビン171(チバスペシャリティケミカルズ社製) 2kg 上記組成物のメチレンクロライドとエタノールを密閉容
器に投入し、攪拌しながらセルローストリアセテート、
エチルフタリルエチルグリコレート及びチヌビン171
を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合し
た。このセルローストリアセテートを流延する温度まで
温度を下げて静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積
濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し
た。更にこのセルローストリアセテート溶液100kg
当たり酸化珪素微粒子添加液Aを2kgの割合で添加
し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−
Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープA
を調製した。
【0149】 《ドープB》 (酸化珪素微粒子添加液Bの調製) セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、 プロピオニル基置換度:0.8) 6kg 酢酸メチル 100kg エタノール 40kg 上記の素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しなが
ら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化
珪素微粒子分散液を撹拌しながら加えて、さらに30分
間撹拌した後、濾過し、酸化珪素微粒子添加液Bを調製
した。
【0150】 (ドープBの調製) セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、 プロピオニル基置換度:0.8) 100kg 酢酸メチル 290kg エタノール 85kg トリフェニルフォスフェート 8kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg チヌビン109(チバスペシャリティケミカルズ社製) 2kg 酢酸メチルとエタノールを密閉容器に投入し、攪拌しな
がら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、
混合した。このセルロースプロピオネート溶液を流延す
る温度まで温度を下げて静置し、脱泡操作を施した後、
セルロースプロピオネート溶液を安積濾紙(株)製の安
積濾紙No.244を使用して濾過した。更に溶液10
0kgあたり酸化珪素微粒子添加液Bを2kgの割合で
添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機H
i−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドー
プBを調製した。
【0151】 《ドープC》 (酸化珪素微粒子添加液Cの調製) セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.88) 6kg メチレンクロライド 140kg を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶
解、濾過した。これに10kgの上記酸化珪素微粒子分
散液を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した
後、濾過し、酸化珪素微粒子添加液Cを調製した。
【0152】 (ドープCの調製) メチレンクロライド 440kg エタノール 35kg トリアセチルセルロース(アセチル置換度:2.88) 100kg トリフェニルフォスフェート 8kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg チヌビン326(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.4kg チヌビン109(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.9kg チヌビン171(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.9kg 上記組成物のメチレンクロライドとエタノールを密閉容
器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌し
ながら、完全に溶解、混合し、セルローストリアセテー
ト溶液を調製した。このセルローストリアセテートを流
延する温度まで下げて静置し、脱泡操作を施した後、溶
液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用し
て濾過した。更にセルローストリアセテート溶液100
kgあたり酸化珪素微粒子添加液Cを2kgの割合で添
加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi
−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープ
Cを調製した。
【0153】《セルロースエステルフィルム》上記で調
製したドープA、B及びCを用いて下記のようにしてセ
ルロースエステルフィルム1〜3を作製した。なお、作
製したセルロースエステルフィルムロールの幅を130
0mm、ロール長さを2500mとした。
【0154】(セルロースエステルフィルム1の作製)
ドープAを濾過した後、温度を35℃としたドープAを
加圧ダイから、無限移行する無端のステンレスベルト上
に流延した。ウェブの表面側から乾燥風で加熱し、また
ステンレスベルトの裏面から38℃の温水で加熱し、残
留溶媒量35質量%でウェブをステンレスベルトから剥
離した。
【0155】剥離後、ウェブの両端をクリップで把持し
幅保持をしながら100℃で乾燥させた後、クリップか
らウェブを解放後、ロール搬送しながら120℃の乾燥
ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、
高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚60μmの
セルロースエステルフィルム1を作製した。
【0156】(セルロースエステルフィルム2及び3の
作製)ドープAをドープBに代え、膜厚50μmとした
以外はセルロースエステルフィルム1と同様にセルロー
スエステルフィルム2を作製した。また、ドープAをド
ープCに代え、膜厚40μmとした以外はセルロースエ
ステルフィルム1と同様にセルロースエステルフィルム
3を作製した。
【0157】〈基材〉セルロースエステルフィルム1〜
3を用いて、下記のようにして基材1〜9とした。
【0158】《基材1》セルロースエステルフィルム1
をそのまま(何も加工しないで)基材1とした。
【0159】《基材2》セルロースエステルフィルム1
のB面側(ステンレスベルトにウェブが接していた側の
フィルムの面をB面と定義する)に下記のクリアハード
コート層塗布組成物を押し出しコーターで塗布し、次い
で80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ
/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの中心線平
均粗さ(Ra)13nmのクリアハードコート層を設
け、基材2とした。
【0160】 (クリアハードコート層塗布組成物) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン 4質量部 酢酸エチル 45質量部 メチルエチルケトン 45質量部 イソプロピルアルコール 60質量部。
【0161】《基材3》セルロースエステルフィルム1
のB面に下記の防眩層塗布組成物を押し出しコーターで
塗布し、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した
後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で4
μmの防眩層(中心線平均粗さ(Ra)0.3μm)を
設け、基材3とした。
【0162】 (防眩層塗布組成物) 酢酸エチル 45質量部 メチルエチルケトン 45質量部 イソプロピルアルコール 60質量部 サイリシア431(平均粒径2.5μm、富士シリシア化学社製) 2質量部 アエロジル200V(平均粒径12nm) 3質量部 以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業
(株)製)で攪拌し、その後マントンゴーリン衝突型分
散機(高圧分散装置、ゴーリン社製)で分散した後、下
記の成分を添加し、防眩層塗布組成物を調製した。
【0163】 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン 4質量部 《基材4〜6》上記の基材1〜3のセルロースエステル
フィルム1をセルロースエステルフィルム2に変更した
以外は同様にして基材4〜6とした。
【0164】《基材7》セルロースエステルフィルム3
のA面側(ステンレスベルト上でのウェブの空気側のフ
ィルム面をA面と定義する)に下記バックコート層塗布
組成物を液膜厚13μmとなるように押し出しコーター
で塗布し、乾燥温度80℃で乾燥し、バックコート層を
設け、基材7とした。
【0165】 (バックコート層塗布組成物) アセトン 30質量部 酢酸エチル 45質量部 イソプロピルアルコール 10質量部 ジアセチルセルロース 0.5質量部 アエロジル200V(上記、アセトンの一部を用い2%アセトン分散液 として添加) 0.1質量部 《基材8》セルロースエステルフィルム3のA面に上記
のバックコート層を基材7と同様に塗設し、その後、B
面側に上記クリアハードコート層を基材2と同様に設
け、基材8とした。
【0166】《基材9》セルロースエステルフィルム3
のA面に上記のバックコート層を基材7と同様に塗設
し、その後、B面側に上記防眩層を基材3と同様に設
け、基材9とした。
【0167】上記の基材1〜9とそれに使用したセルロ
ースエステルフィルム1〜3について下記表1に層構成
をまとめた。
【0168】
【表1】
【0169】実施例1 《光学フィルム1〜3の作製》基材1、4及び7のB面
に、図2に示したような装置を用いて処理室Bにおける
圧力を100kPaとして、下記高屈折率層形成用反応
ガスを用いプラズマ放電処理を行った。図2では図示し
ていないが、基材1はアルゴンガスが充填された予備室
を通って、図2で示されるプラズマ放電の処理室Bに導
入されるようにした。外界に対して、予備室の圧力は
0.3Pa高くし、処理室Bは予備室に対して更に0.
3Pa高くした。放電部には反応ガス供給部5から下記
の組成の反応性ガスを供給し、ガス排気部6から処理後
のガスを排気した。対向電極3であるロール電極は、冷
却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロ
ール母材(冷却機能は図2には図示していない)ででき
ており、ロールの外周にはセラミック溶射によりアルミ
ナを1mm被覆し、その後テトラメトキシシランの有機
溶媒溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封
孔処理を行った固体誘電体を有するものであり、電極対
の間隙は1.5mmとし、また基材のロール電極4に対
する抱き角はいずれの電極とも30°とした。また、図
6に記載の様にロール電極4をアースに接地し、放電プ
ラズマ発生に用いる使用電源には日本電子(株)製の高
周波電源JRF−10000で13.56MHzに設定
し、放電密度を300W・min/m2としてプラズマ
放電処理を行い、基材のB面側に膜厚約100nmとな
るように高屈折率層を形成し、光学フィルム1〜3を作
製した。なお、ロール電極4及び対向電極3はラインド
ライブモータと同期させて回転させた。
【0170】次いで、前記記載の評価方法に示した幅手
方向及び長手方向の高屈折率層の反射率を測定して膜厚
とその偏差を評価し、また評価方法に示した膜厚ムラを
目視で評価し、結果を表2に示した。
【0171】 (高屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.8体積% 反応性ガス:テトライソプロポキシチタン蒸気 (150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.2体積% 酸素ガス 1体積% 比較例1 プラズマ放電処理として、図9に記載の装置を使用し、
水平方向に基材1を移送させ、ロール電極4に対する基
材の抱き角は0°で行った以外は実施例1に記載の条件
で行った。図9は複数のロール電極及び対向電極対を有
し、抱き角0°で水平に搬送する基材を処理する大気圧
プラズマ処理装置を模式的に示した図である。図9にお
いて、一対のロール状の対向電極3及びロール電極4を
有し、これらの対向電極3及びロール電極4には放電の
ための電圧を印加できる高周波電源15が電圧供給手段
を介して接続されている。ロール電極4は基材1を搬送
しながら回転することができる回転電極である。放電部
Aには大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持され、反
応ガス供給部5から反応ガスが供給され放電部Aにおい
てプラズマ放電が行われる。前工程または元巻きから供
給される基材1はガイドロール2を介してロール電極4
に密着され、同期して回転移送され、放電部Aで大気圧
もしくはその近傍の圧力下で反応ガスによりプラズマ放
電処理が施される。比較例1はこのように、一方通過の
基材を水平状態で処理するものである。基材1、4及び
7を用いて、装置として図9を使用したこと以外は実施
例1と同様に連続的に基材のB面側に膜厚約100nm
となるように高屈折率層を形成し、光学フィルム11〜
13を作製した。
【0172】評価方法に示した幅手方向及び長手方向の
高屈折率層の反射率から膜厚及びその偏差を測定し、ま
た評価方法に示した膜厚ムラを目視で評価し、結果を表
2に示した。
【0173】
【表2】
【0174】(結果)本発明の大気圧プラズマ処理方法
は、比較例と比べて均一な膜厚の薄膜を形成することが
できたのに対し、比較の光学フィルム11〜13は、プ
ラズマ処理時に搬送される基材のバラツキが認められ、
その結果、処理ムラがあり、反射率による膜厚のムラも
大きく本発明に対して何れも劣っていた。また、本発明
の大気圧プラズマ処理方法は、比較例と比べて約2.5
倍の速度で処理することができた。
【0175】実施例2 基材2、3、5、6、8及び9を用い、図3に記載の連
続処理可能な大気圧プラズマ処理装置を用いて、表面に
複数の薄膜を形成した積層体の光学フィルムを下記のよ
うにして作製した。なお、基材のロール電極に対する抱
き角は30°で行った。
【0176】該基材のB面側に(基材2、5、8はクリ
アハードコート層の上に、また基材3、6、9は防眩層
の上に)ロール電極4の放電部側にして下記条件で、1
00kPaの圧力下で順に、低屈折率層形成用反応ガ
ス、高屈折率層形成用反応ガス、低屈折率層形成用反応
ガス、高屈折率層形成用反応ガス及び低屈折率層形成用
反応ガスを用いてプラズマ放電処理を、基材/低屈折率
層1(膜厚20nm)/高屈折率層1(膜厚23nm)
/低屈折率層2(膜厚25nm)/高屈折率層2(膜厚
95nm)/低屈折率層3(膜厚88nm)になるよう
に連続的に行った。なお、各薄膜の形成にあたっては、
図3に記載の第1の処理室で低屈折率層1(膜厚20n
m)を、第2の処理室で高屈折率層1(膜厚23nm)
を、第3の処理室で低屈折率層2(膜厚25nm)を、
第4〜6の処理室で高屈折率層2(膜厚95nm)を、
そして第7〜9の処理室で低屈折率層3(膜厚88n
m)を形成した。また、高周波電源は、図8に記載のよ
うにそれぞれの放電部で独立に設置した。各高周波電源
による印加条件は、低屈折率層、高屈折率層のそれぞれ
の膜厚が上記のようになるように放電条件、放電部をそ
れぞれ調節して行った。なお、高屈折率層形成用反応ガ
ス及び低屈折率層形成用反応ガスはそれぞれ同じ組成の
ものを使用した。対向ロール電極、高周波数電源、周波
数及び放電密度の条件を実施例1と基本的に同様にし
た。また、下記に記載の高屈折率層形成用反応ガス組成
物は屈折率が1.90となるように、また低屈折率層形
成用反応ガス組成物は屈折率が1.46となるように配
合されている。上記のようにプラズマ放電処理し、基材
2、3、5、6、8及び9を用い、光学フィルム4〜9
を作製した。
【0177】上記で得られた積層体の光学フィルムを前
記評価方法の反射率の測定を行い、反射率が0.6%以
下となった点(反射率の測定2)の評価、及び目視によ
る反射光のムラの評価を行い、結果を表3に示した。
【0178】 (高屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.8体積% 反応性ガス:テトライソプロポキシチタン蒸気 (150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.2体積% 水素ガス 1体積% (低屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.2体積% 反応性ガス:テトラメトキシシラン蒸気 (加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積% 水素ガス 1.5体積% 比較例2 図10に記載の5つの処理室Bからなる水平搬送型のプ
ラズマ処理装置を用い、基材のロール電極4に対する抱
き角として0°で行った以外は実施例2と同様に、基材
2、3、5、6、8及び9の上に積層体を順次形成し、
光学フィルム14〜19を作製した。
【0179】上記で得られた積層体の光学フィルムを4
50〜650nmの反射率及び目視による反射光のムラ
の評価を行い、結果を表3に示した。図11には本発明
の光学フィルム8の400〜700nmの反射率のスペ
クトルグラフを一例として示した図であるが、その他の
スペクトルグラフは省略した。
【0180】
【表3】
【0181】(結果)表3から、本発明の連続式の大気
圧プラズマ処理方法で製造された薄膜を有する積層体
は、目的の膜厚の薄膜が均一に形成できるため反射率が
極めて低く、また本発明の光学フィルム4〜9は450
〜650nmの波長領域において、何れも図10のごと
く反射率0.6%以下で、しかもほとんど平らで波長に
よるムラが認められなかった。また目視によるムラも何
れも全くなかった。これに対して、比較例の光学フィル
ム14〜19の各スペクトルグラフは図示してないが、
450〜650nmの範囲内で反射率が0.6%以上を
示す測定点があり、ムラが目立った。目視においてもム
ラが観察された。また、プラズマ放電処理速度も本発明
に対して約1/2と遅く、結果的には薄膜の膜厚が目標
になかなか到達できなかった。
【0182】実施例3及び比較例3 実施例2及び比較例2で作製した積層体の光学フィルム
8と9及び18と19を偏光板保護フィルムとして用い
て、以下に述べる方法に従って偏光板8、9、18と1
9を作製し、評価を行った。
【0183】〈偏光膜の作製〉厚さ120μmのポリビ
ニルアルコールフィルムを、温度110℃で縦方向に倍
率5倍に一軸延伸した。これをヨウ素0.075質量
部、ヨウ化カリウム5質量部、水100質量部からなる
水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6質量
部、ホウ酸7.5質量部、水100質量部からなる68
℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得
た。
【0184】〈偏光板の作製〉次いで、下記工程1〜5
に従って、偏光膜と各偏光板用保護フィルムとを貼り合
わせて偏光板を作製した。
【0185】工程1:実施例2及び比較例2で作製した
光学フィルム8、9、18及び19をそれぞれ長手方向
30cm及び巾手方向18cmの大きさに各2枚切り出
し、2mol/lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で9
0秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。低屈折率層の
面には、剥離性の保護フィルムを張り付けて処理を行っ
た。
【0186】工程2:上記偏光膜を長手方向30cm、
幅手方向18cmの大きさに光学フィルムの数だけ切り
だし、完全鹸化ポリビニルアルコール2質量%含有する
水性接着剤槽中に1〜2秒間それぞれの偏光膜を浸漬し
た。
【0187】工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の
接着剤を軽く取り除き、それを工程1で処理したそれぞ
れの光学フィルムのA面側に貼り合わせ、更に偏光膜の
もう一方の面に使用した同一の光学フィルムを接着剤と
接する様に貼り合わせ(低屈折率層が外側となるように
貼り合わせ)偏光膜をサンドウィッチ型に積層体とし
た。
【0188】工程4:上記積層体中の過剰の接着剤と気
泡を取り除くために、ハンドローラで20〜30N/c
2の圧力で、ローラスピードは約2m/分で工程3で
積層し、且つ絞り出し圧着して貼り合わせた。
【0189】工程5:工程4で圧着した積層体を80℃
の乾燥機中で2分間乾燥処理し、偏光板8、9、18及
び19を作製した。
【0190】〈液晶表示パネル(液晶表示装置)〉市販
のNEC製カラー液晶ディスプレイ、MultiSyn
c LCD1525J、型名LA−1529HMの液晶
画像表示パネルの最表面の偏光板を注意深く剥離し、こ
こに偏光方向を合わせて上記偏光板8、9、18及び1
9を張り付け液晶表示パネル8、9、18及び19を作
製し、結果を表4に示した。
【0191】偏光板及び液晶表示パネルについて、目視
でムラの評価を行い、前述のムラの評価の基準で同様に
評価し、表4に示した。
【0192】
【表4】
【0193】(結果)本発明の偏光板及び偏光板を用い
た液晶表示パネルは、ムラ、特に干渉模様のような色の
付いたムラがなく優れた偏光板及び液晶表示パネルを
得、品質の高いものとして提供できることがわかった。
これに対して、比較例の偏光板及び液晶表示パネルはム
ラが多く、特に色の付いたムラが表示性能を劣化させ、
実用として提供できるものではなかった。
【0194】
【発明の効果】本発明により、真空装置を必要とせずま
た高温での処理をも行わずに広幅の基材を高速で連続処
理ができ、高生産性、膜厚が均一で安定した薄膜を得る
ことができ、かつ連続的に均一薄膜の多層積層体を形成
する大気圧プラズマ処理装置、大気圧プラズマ処理方法
及びそれを用いて作製した長尺フィルムを提供すること
ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール電極と対向電極からなる放電部を円周上
に複数配置して基材を処理する大気圧プラズマ処理装置
の一例を示す模式図である。
【図2】ロール電極と対向電極からなる放電部を円周上
に複数配置し、各々独立した反応ガス供給部とガス排出
部を有する大気圧プラズマ処理装置の一例を示す模式図
である。
【図3】ロール電極と対向電極からなる放電部を円周上
に複数配置し、各々独立した反応ガス供給部とガス排出
部を有する大気圧プラズマ処理装置の他の一例を示す模
式図である。
【図4】ロール電極と対向電極からなる放電部を円周上
に複数配置し、各々独立した反応ガス供給部とガス排出
部を有する大気圧プラズマ処理装置の他の一例を示す模
式図である。
【図5】対向電極として、固定型電極を用いた大気圧プ
ラズマ処理装置の一例を示す模式図である。
【図6】本発明に係る1つの電源による電圧供給方法の
一例を示した模式図である。
【図7】本発明に係る複数の電源による電圧供給方法の
一例を示した模式図である。
【図8】本発明に係る複数の電源による電圧供給方法の
他の一例を示した模式図である。
【図9】ロール電極を用い水平方向に搬送する基材を処
理する大気圧プラズマ処理装置の一例を示した模式図で
ある。
【図10】ロール電極と対向電極からなる放電部を水平
でかつ直列に複数配置し、各々独立した反応ガス供給部
とガス排出部を有する大気圧プラズマ処理装置の一例を
示す模式図である。
【図11】本発明の長尺フィルムの400〜700nm
の反射率スペクトルグラフを一例として示した図であ
る。
【図12】ロール電極に外接して搬送される基材の抱き
角を表す概略図である。
【符号の説明】
1 基材 2 ガイドロール 3 対向電極 4 ロール電極 5 反応ガス供給部 6 反応ガス排出部 7 押しつけロール 8、8′ 仕切板 9 プラズマ処理容器10 希ガス供給部 11 ニップロール A 放電部 B 処理室 12 固定型電極 13 冷却部 15 高周波電源 16 アース

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧もしくは大気圧近傍の圧力の反応
    ガスの存在下で、電極間に高周波電圧を印加してグロー
    プラズマを発生させ、基材表面に薄膜を形成する大気圧
    プラズマ処理装置において、ロール電極とそれに対向す
    る対向電極とからなる電極対の放電部を複数有し、該複
    数のロール電極は該基材を張架し、かつ該基材を屈曲さ
    せて搬送可能な位置に配置されると共に、該基材を該複
    数のロール電極とこれに対向する対向電極の間を通過さ
    せ、各電極対で発生するグロープラズマにより基材表面
    に薄膜を形成することを特徴とする大気圧プラズマ処理
    装置。
  2. 【請求項2】 前記ロール電極が、0°より大きい抱き
    角で前記基材と接触するように配置されていることを特
    徴とする請求項1に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記ロール電極の各々が、前記基材に内
    接すると共に、多角形の少なくとも一部を構成するよう
    に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の大気圧プラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】 前記複数のロール電極が、略同一円周上
    に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】 前記基材が、前記ロール電極に抱き角1
    〜270°で搬送されるように複数の電極対が配置され
    ていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の大気圧プラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】 前記放電部が、外気を遮断する容器で覆
    われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記ロール電極と前記対向電極とで形成
    される複数の放電部が、各々反応ガス供給部と処理済み
    ガス排出部とを有することを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかの1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の放電部に異なる組成の反応ガ
    スを供給する手段を有し、反応ガスの組成を変更するこ
    とにより厚み方向で異なる組成を有する薄膜を形成する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    大気圧プラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の放電部の一部又は全部の放電
    条件を変更することのできる複数の電力供給手段を有す
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載
    の大気圧プラズマ処理装置。
  10. 【請求項10】 前記放電部を構成する対向電極が、回
    転するロール電極であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の大気圧プラズマ処理装置を用いて、基材表面に薄膜を
    形成することを特徴とする大気圧プラズマ処理方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の大気圧プラズマ処理装置を用いて、基材表面に薄膜を
    形成したことを特徴とする長尺フィルム。
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