JP5050299B2 - 長尺基材の表面処理方法及びその方法により製造された光学フィルム - Google Patents

長尺基材の表面処理方法及びその方法により製造された光学フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺基材上に均一な薄膜を形成するための表面処理方法及びその方法により形成された長尺フィルムに関し、特に太陽電池、液晶画像表示装置、各種ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、CRT、プラズマディスプレイ等に使用される光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光学レンズ、CRT、コンピュータやワープロに用いられる液晶画像表示装置等の分野を中心に、透過率、コントラストの向上や、映り込み低減のために表面反射を減少させる反射防止技術が従来より提案されている。反射防止技術には、光学干渉層として積層する各層の屈折率と光学膜厚を適当な値に調整することにより、積層体と空気界面における光の反射を減少させることが有効であることが知られている。このような多層の積層体は、高屈折率層としてTiO2、ZrO2、Ta25等を、また低屈折率材料としては、SiO2、MgF2等を積層して製作されており、これらはスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法によって、製作されている。しかし、このような真空装置は処理基材が大きくなると、製膜装置が非常に大型化するため、装置が非常に高額になる他、真空排気にも非常に時間を費やし、生産性が上げられないという欠点があった。
【0003】
このような真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧条件下または大気圧近傍の圧力下でプラズマ放電を発生させ、薄膜を製膜する方法が特開平11−133205号、同11−61406号、特開2000−185362号、同2000−147209号、同2000−121804号等に記載されている。
【0004】
しかしながら、上記記載の方法を適用しても微少面積への製膜は可能であるが、巾300mm以上の広巾基材への均一製膜は困難であり、特に屈折率及び光学膜厚を一定に保つ必要のある反射防止機能膜の連続製膜は非常に困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大気圧または大気圧近傍の圧力下での放電プラズマ処理により、長尺基材の表面に均一な薄膜を形成する方法及びそれにより製造された光学フィルムを提供することであり、又表示装置用の各種光学フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記(1)〜(10)の手段により達成された。
(1)長尺基材が対向する第1電極と第2電極との間に配置され、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置された複数のガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で反応ガスを送り込みながら、前記第1電極と前記第2電極との間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成する長尺基材の表面処理方法において、
一つの前記第1電極に対向して、前記第2電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、
前記複数のガス導入口それぞれに設けられた、前記ガス導入口に均一にガスを供給するためのバッファー空間からガスを供給される前記複数のガス導入口、及び、ガス排出口が、複数の前記第2電極の電極間、または複数の前記第2電極自身に交互に設けられたことを特徴とする長尺基材の表面処理方法。

(2)回転電極及びこれに巻き回された長尺基材とそれらに対向して配置された対向電極に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置された複数のガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で希ガスを有する反応ガスを送り込みながら、電極間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成する長尺基材の表面処理方法において、
一つの前記回転電極に対して対向して配置された対向電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、
前記複数のガス導入口それぞれに設けられた、前記ガス導入口に均一にガスを供給するためのバッファー空間からガスを供給される前記複数のガス導入口、及び、ガス排出口が、複数の前記対向電極の電極間、または複数の前記対向電極自身に交互に設けられたことを特徴とする長尺基材の表面処理方法。
(3)前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする前記(1)に記載の長尺基材の表面処理方法。
(4)前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする前記(2)に記載の長尺基材の表面処理方法。
(5)回転電極に長尺基材を吸引固定して搬送し、放電処理することを特徴とする前記(2)又は(4)に記載の長尺基材の表面処理方法。
(6)回転電極が導電性のベルトであることを特徴とする前記(2)、(4)又は(5)に記載の長尺基材の表面処理方法。
(7)長尺基材の幅方向に沿ってスリット状に配置された、搬送方向に沿って複数設けられたガス導入口より同一組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が等しい薄膜を形成することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
(8)長尺基材の幅方向に沿ってスリット状のガス導入口が長尺方向に沿って複数設けられ、該複数のガス導入口より異なる組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が連続的若しくは段階的に変化する薄膜を形成することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
(9)反応ガスがヘリウム、アルゴン、ネオンから選択される希ガスを90〜99.99%含有し、有機金属化合物を0.01〜10%含有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
(10)放電のために電極間に印加される高周波電圧の周波数が100kHz〜150MHzであることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
なお、以下1〜18については参考とされる手段である。
【0007】
1.長尺基材が対向する電極間に配置され、電極間に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置されたガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で反応ガスを送り込みながら、前記電極間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成することを特徴とする長尺基材の表面処理方法。
【0008】
2.回転電極及びこれに巻き回された長尺基材とそれらに対向して配置された対向電極に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置されたガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で希ガスを有する反応ガスを送り込みながら、電極間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成することを特徴とする長尺基材の表面処理方法。
【0009】
3.対向する電極の一方の電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、該複数の電極間または該複数の電極自身に前記ガス導入口又はガス排出口を設けたことを特徴とする前記1に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0010】
4.回転電極に対して対向して配置された対向電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、該複数の対向電極間または対向電極自身に前記ガス導入口又はガス排出口を設けたことを特徴とする前記2に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0011】
5.前記ガス導入口とガス排出口が交互に配置されたことを特徴とする前記3に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0012】
6.前記ガス導入口とガス排出口が交互に配置されたことを特徴とする前記4に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0013】
7.前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする前記1又は2に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0014】
8.前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする前記3又は5に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0015】
9.前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする前記4又は6に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0016】
10.回転電極に長尺基材を吸引固定して搬送し、放電処理することを特徴とする前記4、6又は9に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0017】
11.回転電極が導電性のベルトであることを特徴とする前記4、6、9又は10に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0018】
12.長尺基材の幅方向に沿ってスリット状に配置された、搬送方向に沿って複数設けられたガス導入口より同一組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が等しい薄膜を形成することを特徴とする前記3、4、5、6、8、9、10又は11に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0019】
13.長尺基材の幅方向に沿ってスリット状のガス導入口が長尺方向に沿って複数設けられ、該複数のガス導入口より異なる組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が連続的若しくは段階的に変化する薄膜を形成することを特徴とする前記3、4、5、6、8、9、10又は11に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0020】
14.反応ガスがヘリウム、アルゴン、ネオンから選択される希ガスを90〜99.99%含有し、有機金属化合物を0.01〜10%含有することを特徴とする前記2〜13のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0021】
15.放電のために電極間に印加される高周波電圧の周波数が100kHz〜150MHzであることを特徴とする前記2〜14のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
【0022】
16.前記1〜15のいずれか1項に記載の方法で表面処理されたことを特徴とする光学フィルム。
【0023】
17.前記16に記載の光学フィルムを保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
【0024】
18.前記16に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする表示装置。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
先ず、本発明の長尺基材表面に薄膜を形成する表面処理方法を、図1に示す。
本発明の表面処理方法により光学フィルムを製造する方法、また、その製造方法に用いられる製造装置について、以下にその実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。図1は、本発明の長尺基材表面に薄膜を形成する表面処理方法において用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。図1においては、ロール状に巻かれた基材Fは温湿度調整部90に送られ搬送ロール11により搬送された後、希ガス、反応ガス又はその混合ガスを導入された予備室60A内に設けられたニップロール12A及び12B間を通過させて同伴空気を遮断されて、放電処理装置70内に導かれる。外部の空気が放電処理装置70に混入すると目的のプラズマ処理の妨げとなるため、できるだけ外気の同伴を防止することが望まれる。そのためには、予備室を多数設けたり、ニップロールの数を増やすことが有効である。
【0026】
又、放電処理装置70内から外部の空気を除いておくために希ガス、反応ガス又はその混合ガスを導入するため、それぞれ予備室60A、放電処理装置70、又後述する予備室60Bにはガス導入口34が設けられている。又放電処理装置70にはガスの排出口44が設けられている。
【0027】
このようにして、放電処理装置70内に導かれた基材Fはガイドロール21により回転電極25に接しながら搬送される。回転電極25は基材Fの搬送と同期して回転することができる。基材Fは回転電極25に密着した状態で放電部へと搬送される。放電部は回転電極25とこれに対向して配置された複数の対向電極24の間隙に形成される。回転電極25と複数の対向電極24の間には、電源80より電圧供給手段81及び82を介して高周波電圧が印加される。回転電極25と対向電極24の間隙は通常0.5〜50mmであることが安定な放電を起こさせるために好ましく、特に1〜20mmであることが望ましい。回転電極25と対向電極24との電極の間隙は幅手方向で一定であることが、均一な薄膜を形成するためには好ましい。放電部の前方そして複数の対向電極の間に基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置した複数のガス導入口30a〜30k(図1には、基材搬送上、最も上流側のガス導入口30aを示し、30b以降最も下流側に配置したガス導入口30kまでは省略されており、導入口を示す代わりにガスの流れを示す矢印で示した)から放電部(回転電極25とこれに対向して配置された複数の対向電極24の間隙に形成された)に向けて反応性ガスが導入される。ガス導入口のスリットの幅は0.1〜20mmが好ましく、より好ましくは1〜10mmである。ガス導入口から基材Fへのガス導入角度は直角であってもよいが好ましくは搬送方向に対して±5〜85°傾けるとよい(+は搬送の上流方向、−は下流方向に傾いていることを示す)。
【0028】
図2に最下流側の放電部の拡大図を示した。ガス導入口30j、30kが、対向電極24間に配置されている様子を示した。反応ガスは反応ガス生成器(図示されていないが)において生成した後、配管を通してガス導入口から放電部に供給され使用された後、排ガスとして排出口40より装置外に排出される。
【0029】
電極のガス導入口近傍には、反応性ガスによる蓄積物などの汚れが付着しやすいため、放電が抑制されるような手段が設けられることが好ましい。放電を抑制する手段としては特に制限はないが、例えばガス導入口を非金属物質にて製作する又はその部分のみ電極を被覆する固体誘電体膜厚を厚くする、電極を絶縁体で被覆する又電極間距離を長めにするなどの手段があげられる。絶縁体としてはテフロン(R)等のフッ素樹脂が好ましく用いられるが特に限定されるものではない。
【0030】
反応ガスがこのガス導入口30a〜30kから対向電極24側より回転電極25に密着した基材Fに向かって放電部に供給され、回転電極25とこれに対向する対向電極24の間に高周波電圧が印加されることで、対向電極24及び回転電極25間の放電部においてプラズマ放電がおこり、供給された反応ガスがイオン化あるいはラジカル化するなどし、これにより基材上に薄膜が形成される。
【0031】
放電空間に導入された反応性ガスは短時間で放電処理されるため、上記のように基材Fの搬送方向に沿って、複数のガス導入口が設けられていることが好ましい。
【0032】
これらのガス導入口を設ける間隔は5〜200mmであることが好ましく、特に10〜100mmであることが好ましい。導入されたガスは基材Fの搬送に伴って基材Fと対向電極24の間隙へと送られる。処理に使用されたガスは幅手方向の両端部に設けられたガス排出口(図示していない)より排出してもよいし、放電部の前方あるいは図1に示すように後方にガス排出口40を設け、排出してもよい。
【0033】
この様にして、放電部で薄膜が形成された基材Fはガイドロール22及び予備室60Bのニップロール12C及び12D間を通り、搬送ロール11により搬送されて、巻き取られるか次工程へと送られる。尚、仕切板54は前記ニップロール12A、12Bに近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理装置70内に進入するのを抑制する。又、外気の侵入を防ぐため、予備室に設けられたニップロール12C、12Dに近接して仕切板54が同様に設けられている。
【0034】
本発明に係わる別のプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図を図3に示す。図3においても図1と同様に、放電処理部の最前方に設けられたガス導入口30a及びガス排出口40a、そして放電処理部の最後方に設けられたガス排出口40fのみを示すが、この間に設けられた複数の対向する対向電極間に交互にガス導入口30b〜30fとガス排出口40b〜40fを設けている。図においては、回転電極25と対向電極24の間の放電部に設けられたこれらのガス導入口とガス排出口は省略してあり、単にガスの流れを示す矢印を示した。電極間にガス導入口とガス排出口が交互に設けられた様子を、最下流側の放電部の拡大図である図4を用いて示した。
【0035】
これらのガス導入口30a〜30fとガス排出口40a〜40fはいずれも長尺基材の幅方向に沿ってスリット状に設けられており、これが交互に設けられていることによって各ガス導入口より供給されて、回転電極25と対向電極24間の放電部において放電処理に使用された後の排ガスは主に隣接するガス排出口から排出することができる構造となっている。これによって、広い放電部でより均一な処理が可能となり、形成される薄膜の膜厚方向の物性や組成をより均一にすることができる。あるいは基材Fの搬送方向に従って、反応ガスの濃度あるいは組成や成分を変化させることによって、形成される薄膜の膜厚方向の物性あるいは組成を意図的に変化させることも可能であり、これによって様々な機能を有する薄膜を形成させることが可能となる。
【0036】
ガス導入口とガス排出口は厳密に交互に設けられている必要はなく、前記のような効果が得られる配置になっていればよい。又、各電極間にすべてガス導入口とガス排出口が配置されている必要もなく、1つ以上の間隔をおいて配置されてもよい。
【0037】
図5は本発明に係わる更に別のプラズマ放電処理装置の一例であり、放電処理部の前方及び後方に設けられたガス導入口30及びガス排出口40の他、回転電極及びこれと対向する固定電極間に設けられたガス導入口及びガス排出口として、対向電極24自身にスリット状のガス導入口31及びガス排出口41を交互に設けた例を示している。幅手方向にきられたスリット状のガス導入口31に均一にガスを供給するためにバッファー部となるバッファー空間32が設けられている。又、ガス排出口も同様の構造を有しており同じくバッファー空間42を介し排出される。
【0038】
図6に、上記のプラズマ放電処理装置の斜視図を示す。バッファー空間32に反応ガスを送り込むガス導入管33及びバッファー空間42を通してガスを排出するガス排出管43、対向電極に基材の幅手方向に沿ってスリット状に設けられたガス導入口31及びガス排出口41におけるガスの流れをそれぞれ矢印で示している。
【0039】
図7には電極自身が反応ガス導入部を有する対向電極の幾つかの例を示す。(a)は、それぞれ基材搬送時の幅手方向に沿って電極にスリット状にきられた溝中に、複数のガス導入口が配列したタイプについて斜め前方からみた図である。(b)はこれを斜め後方からみたものであり、ガス導入管は省略してある。(c)はこれを導入口に沿って縦に切った断面図を示したものである。(d)はガス導入口自身がスリット状にきられているものの例を示した。これら電極表面(内面も含む)には固体誘電体が被覆されていることが望ましい。
【0040】
又、(e)にはガス導入口が傾けて設けられたもので、(f)はその断面を示している。
【0041】
図8にこれら対向電極がガス供給部を備えたプラズマ放電処理装置の放電処理部の一例を示す。
【0042】
図8においては、前記図7の(b)のタイプの対向電極を用いたもので、回転電極として後述する例えばベルト電極と組み合わせた例を示している。対向電極に設けられたガス導入口30から反応ガスが導入されると共に、各対向電極間に設けられたガス排出口40から使用されたガスが排出する(反応ガスの流れを矢印で示した)。
【0043】
ガス導入口の周辺の、或いはガス導入部を有する対向電極には反応ガスの分解物が蓄積することがある。そのため、好ましくはガス導入口周辺の電極或いは電極のガス導入部周辺は放電を抑制するように電極を被覆している固体誘電体の厚みを厚くするか、絶縁体で被覆する或いは回転電極との極間をやや大きくすることが好ましい。これによって長期間連続的に長尺基材上に薄膜を形成することができる。
【0044】
長尺基材上に均一な薄膜を形成するためには、基材Fを回転電極上に密着した状態で放電部を搬送することが必要である。そのため、基材には、皺などが入らないように適切な搬送張力で搬送されることが望まれる。又、回転電極に基材を吸引固定して搬送し放電処理することも有効であり、特に基材の幅手両端部を吸引固定することが好ましい。
【0045】
本発明の長尺基材の表面処理方法による薄膜形成方法では、長尺基材の幅よりも搬送方向において長い区間、回転電極上で放電処理されることが好ましく、そのため回転電極の直径は長尺基材の幅手長さの1/3以上であることが好ましく、1/2〜10倍であることが望ましい。
【0046】
図9に回転電極を導電性ベルトとしたプラズマ放電処理装置の一例を示す。回転電極を導電性ベルトとした場合、より広い放電空間を確保できるため好ましい。ベルトは裏面よりサポートロール等によってたわみを抑えることが有効であり、対向電極との電極間隙が略一定となるようにすることが好ましい。図9において、13Aは導電性ベルト電極を示し、14C及び14Dは該導電性ベルト電極のサポートロールであり、70は放電処理装置である。導電性ベルト電極に対向して複数の対向電極24が備えられてあり、各電極間にガス導入口30とガス排出口40が交互に設けられている。ここで、複数設けられたスリット状ガス導入口30より略同一組成のガスを導入して、厚み方向の層の組成が等しい薄膜を形成することができる。ガスの組成が等しいとは、厳密に同一でなくともよく、例えば±5%程度の変動はあってもよいということであり、層の組成が等しいというのも同様の程度に異なっていてもよいということであり、化学的、物理的に大きな違いのない程度の変動は許容するということである。
【0047】
又、この複数設けられたスリット状ガス導入口30より、それぞれ異なる組成のガスを供給することにより、厚み方向での薄膜の組成あるいは物性が段階的にあるいは連続的に変化する薄膜を形成することもできる。これによって様々な特性を有する薄膜を形成することができる。あるいは多層の薄膜が積層された積層体において、隣接層との密着性を改善することもできる。
【0048】
薄膜を形成するために用いられる反応ガスは、好ましくはヘリウム、アルゴン、ネオンから選択される希ガスを90.00〜99.99%含有することが好ましい。ここに反応性成分として、有機金属化合物あるいは各種有機化合物あるいは含フッ素化合物を0.01〜10%含有するガスが用いられる。
【0049】
プラズマ放電処理のために電極間に印加される高周波電圧は周波数100kHz〜150MHzであることが特に望ましい。プラズマ放電処理のために印加される周波数が100kHz未満では形成される膜が多孔質となりやすく、膜が弱くなり好ましくない。150MHzを越えると安定した放電空間を得ることが難しく、特に50MHz以下であることが好ましい。これによって、より均一で強固な膜を均一に形成することが可能となる。
【0050】
図10(a)、(b)は各々、本発明に係る例えば図1に示されるプラズマ放電処理に用いられる円筒型の回転電極の一例を示す概略図、図11(a)、(b)は各々、円筒型の対向電極の一例を示す概略図、図12(a)、(b)は各々、角柱型の対向電極の一例を示す概略図である。
【0051】
図10(a)においては、回転電極25は金属等の導電性母材25aにライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体25bを被覆した組み合わせで構成され、図10(b)においては、回転電極25は、金属等の導電性母材25Aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体25Bを被覆する等の組み合わせで構成されている。図11(a)、(b)にそれぞれ示す対向電極24、図12(a)、(b)にそれぞれ示す対向電極24についても、上記図10の(a)、(b)に示す回転電極25と同様な組み合わせで構成される。
【0052】
ここで、金属等の導電性母材25a、25A、又24a、24Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0053】
この他、固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0054】
対向電極又は回転電極は基材の温度を制御できるようにするため、温度制御機能を有していることが望まれる。制御する温度範囲は目的や使用する基材によって変わるが、例えば0℃〜500℃といった温度となるように制御できる機能があることが望ましい。熱に弱い基材を使用する場合は、特に室温〜200℃更に室温〜120℃の範囲で±1℃以内の精度で制御できることが望ましい。温度制御方法としては、温度制御された気体或いは液体を回転電極内に循環させる方法などが好ましい。用いる液体としては蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は電極冷却ユニットにより冷却しながら放電プラズマ処理される。
【0055】
本発明の表面処理をおこなうプラズマ放電処理装置にこれら回転電極及び対向電極(図10、11、12等に示した)を組み込む場合、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
【0056】
上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電プラズマを発生させるという観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0057】
前記プラズマ放電処理装置70内に回転電極25、これに対向する対向電極24を所定位置に配置し、反応ガス生成装置で発生させた混合ガスを流量制御して、ガス導入口30より放電部にプラズマ処理に用いる混合ガスを供給する。供給されたガスは処理後ガス排出口40より排気する。次に電源80により電極間に電圧を印加し、回転電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材より搬送ロール11を介し基材Fを供給し、ニップロール12A、12Bを介しガイドロール21によって、放電部を電極間を片面接触(回転電極25に接触している)した状態で搬送された基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後にガイドロール22を介して、ニップロール12C、12Dを介して次工程に搬送される。ここで、基材Fは回転電極に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0058】
電源80より対向電極24に印加される電圧の値は適宜決定されるが、電源周波数は1kHz〜150MHzに調整される。プラズマ放電処理装置にはパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えは、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0059】
本発明においては、上記の放電プラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜110kPaが好ましい。
【0060】
また、本発明の表面処理方法に係るプラズマ放電処理装置においては、互いに対向する電極の中、基材と接する側の電極、特に上記に記載の回転電極においてはJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
【0061】
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0062】
次に、本発明の表面処理方法に係る混合ガスについて説明する。
本発明により薄膜を形成するため希ガスに有機金属化合物或いは有機物を含有する混合ガスが好ましく用いられる。反応ガスを変更することで光学干渉層(反射防止層)、導電層、帯電防止層、耐透気性層、防汚層などの様々な機能を有する薄膜(層)を形成することができる。
【0063】
本発明の表面処理方法により低反射積層体を作製する(反射率を小さくする)ためには、基材上に形成される薄膜の屈折率や膜厚等を所望の値に調整することが好ましく、その観点から、本発明に係る混合ガスは、希ガスと、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物、特に有機珪素或いはチタン化合物等の有機金属化合物を含有する有機ガスを少なくとも含有したものが用いられる。ここで、混合ガスは、その他の成分として前記記載以外の化合物を含んでいてもよい。
【0064】
上記の表面処理方法によって得られるの薄膜の膜厚としては、1nm〜1000nmの範囲の薄膜が得られる。
【0065】
上記記載の希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴン、ネオンが好ましく用いられる。
【0066】
上記記載の有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。例えば、4フッ化メタン(CF4)、6フッ化エタン(C26)、4フッ化エチレン(CF2CF2)、6フッ化プロピレン(CF3CFCF2)、8フッ化シクロブタン(C48)等のフッ化炭素化合物;2フッ化メタン(CH22)、4フッ化エタン(CFH2CF3)、4フッ化プロピレン(CF3CH2CH2F)、3フッ化プロピレン(CH2CHCF3)等のフッ化炭化水素化合物、更に、1塩化3フッ化メタン(CClF3)、1塩化2フッ化メタン(CHClF2)、2塩化4フッ化シクロブタン(C42Cl24)等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体が挙げられる。これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0067】
上記記載のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0068】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。
【0069】
上記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0070】
また、有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化又は昇華させて使用すればよく、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0071】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどの有機珪素化合物があげられ、特に有機珪素化合物を用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0072】
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0073】
上記記載の有機金属化合物としてチタン化合物を用いる場合は、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシド等の有機チタン化合物を用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0074】
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0075】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物などの有機金属化合物としては、取り扱い上の観点から金属アルコキシド等の有機金属化合物が好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、好ましく用いられる。
【0076】
又、反応性ガスが、インジウム、亜鉛、スズからなる群から選択された金属を含む化合物を含有する有機物をもちいて、これらの金属からなる導電性層或いは帯電防止層等を形成することも出来る。
【0077】
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0078】
更に酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、過酸化水素及びオゾンからなる群から選ばれた非金属ガスを含有することも出来る。
【0079】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物などの有機金属化合物を放電空間へ導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなどの、常温で液体の沸点が200℃以下である金属アルコキシドが低反射積層体などの製造方法に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は無視出来る。
【0080】
本発明に係わる表面処理方法においては、ヘリウム、アルゴン、ネオンから選択される希ガスとアルコキシシラン等の有機珪素化合物或いはアルコキシチタン等の有機チタン化合物等、有機金属化合物を含有する混合(反応)ガスを用いる事が好ましく、前記希ガスが90〜99.99%、有機金属化合物を0.01〜10%含有するものが好ましい。これを用いて、薄膜が酸化珪素や酸化チタンを主成分として有する薄膜を形成することが好ましい。ここで、『主成分として有する』とは形成された薄膜中の含有量が50質量%以上の場合を表す。
【0081】
次に、本発明に係る基材について説明する。
本発明に係る基材としては、セルローストリアセテート等のセルロースエステル支持体、ポリエステル支持体、ポリカーボネート支持体、ポリスチレン支持体、更にこれら支持体の上層にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設した支持体等を使用することが出来る。また、本発明に係る基材は、上記の支持体単独で基材として用いても良く、上記の支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを基材として用いることが出来る。
【0082】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0083】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0084】
本発明に係る支持体としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが低反射率の積層体が得られる為、好ましく用いられる。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも、分岐していてもよい。
【0085】
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0086】
本発明に係る基材としてセルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応させて得ることができる。
【0087】
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成出来る。また、本発明に係るセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を調製混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
【0088】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0089】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0090】
ここで、上記記載のセルロースエステルの数平均分子量は下記のようにして求められる。
【0091】
《セルロースエステルの数平均分子量の測定》
高速液体クロマトグラフィにより下記条件で測定する。
【0092】
溶媒 :アセトン
カラム :MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度 :0.2質量/v%
流量 :1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料 :ポリメタクリル酸メチル(Mw=188,200)
温度 :23℃
これらセルロースエステルは後述するように一般的に流延法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を例えば、無限に移送する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されるが、これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0093】
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(56.3℃)、酢酸エチル(76.82℃)等である。
【0094】
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド、酢酸メチルが好ましく用いられ、特にメチレンクロライドが全有機溶媒に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。
【0095】
上記有機溶媒の他に、0.1〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは10〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらが割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
【0096】
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることが出来る。
【0097】
これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくはメチレンクロライド70〜90質量%に対してエタノール10〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。良溶媒としてメチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。この場合、−100℃〜−10℃に冷却して溶解する冷却溶解法を用いてセルロースエステル溶液を調製することが出来る。
【0098】
本発明の表面処理方法において基材フィルムにセルロースエステルフィルムを用いる場合、このセルロースエステルフィルムには可塑剤を含有するのが好ましい。
【0099】
可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、などを好ましく用いることが出来る。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。
【0100】
これらの可塑剤を単独あるいは併用するのが好ましい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。
【0101】
本発明で用いられる支持体に係る紫外線吸収剤について説明する。
本発明の光学フィルムとしては、液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0102】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0104】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
更に、以下にベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0105】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0106】
本発明に係る基材の光学特性としては、面内リターデーションR0は0〜1000nmのものが好ましく用いられ、厚味方向のリターデーションRtは0〜300nmのものが用途に応じて好ましく用いられる。
【0107】
本発明の表面処理方法は基材の表面に直接薄膜を形成することも可能であるが、基材上に設けられた塗布層の上に本発明の方法で薄膜を形成することも出来る。塗布層の種類については特に限度はなく、例えば塗布で設けた帯電防止層、導電層、ハードコート層、防眩層、光学干渉層、屈折率層、バックコート層等があげられる。なかでも特にエチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層上に薄膜を形成する為に好ましく用いることが出来る。
【0108】
エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂を構成成分として含有する層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。
【0109】
ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0110】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
【0111】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
【0112】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0113】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0114】
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤又光増感剤は該組成物の2.5〜6質量%であることが好ましい。
【0115】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0116】
例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用できる。
【0117】
本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれでも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
【0118】
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒として前述のバックコート層や導電性微粒子を含有する樹脂層を塗設する溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0119】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。塗布速度は例えば10〜100m/分で行われる。
【0120】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
【0121】
こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005μm〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。
【0122】
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。
【0123】
このようにして形成された紫外線硬化樹脂を硬化させた層は中心線平均表面粗さRaが1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防眩層であってもよい。本発明の表面処理方法をもちいて、これらの層の上にプラズマ処理することができる。特に本発明の表面処理方法によれば、表面の凹凸のある基材上に均一な低屈折率層あるいは高屈折率層等の光学干渉層等を設けることが出来る。特に、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)が0.1〜0.5μmの防眩層上に均一にプラズマ処理できるために好ましい。
【0124】
本発明においては、上記記載のような基材面に対して本発明に係わる薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
【0125】
本発明の表面処理方法を用いて光学フィルムを作製する場合、プラズマ処理する前にプラズマ処理面に紫外線を照射することが、形成される皮膜の密着性に優れるため好ましい。紫外線照射光量としては50〜2000mJ/cm2であることが好ましい。50mJ/cm2未満では、効果が十分ではなく、2000mJ/cm2を越えると基材の変形等が生じる恐れがあり好ましくない。
【0126】
本発明の光学フィルムを作製する場合、プラズマ処理を行った後に紫外線照射することも、形成された皮膜を早期に安定化させるために有効である。
【0127】
このため、紫外線照射光量として50〜2000mJ/cm2をプラズマ処理後にプラズマ処理面に照射することが好ましい。これらの処理はプラズマ処理の後、巻き取り工程までの間に行うことが好ましい。また、プラズマ処理後の基材は50〜130℃に調整された加熱ゾーンにおいて1〜30分処理されることが好ましい。
【0128】
本発明の表面処理方法を用いて、支持体上に直接又は他の層を介して、光学干渉層(低、中、光屈折率層)、防汚層、導電性層、帯電防止層、耐透気性層等のような様々な機能を有する均一な薄膜を形成することができ、これらの層を有する各種の光学フィルム、即ち、反射防止フィルム、低反射防眩フィルム、帯電防止フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、光拡散フィルム等を提供することができる。
【0129】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0130】
実施例1
以下に示す方法に従って、基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0131】
Figure 0005050299
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解・混合した。ドープを流延する温度まで下げて静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過しドープを調製した。
【0132】
《セルロースエステルの置換度の測定》
ASTM−D817−96に規定の方法に準じて行った。
【0133】
《セルロースエステルフィルムの作製》
上記で調製したドープを用いて下記のようにしてセルロースエステルフィルム1を作製した。
【0134】
(セルロースエステルフィルム1の作製)
ドープ液を濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は35%であった。
【0135】
ステンレスバンド支持体から剥離した後、テンターにて端部を把持しながら115℃で乾燥させた後、幅把持を解放して、ロール搬送しながら120℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚80μmのセルロースエステルフィルム1を作製した。フィルム幅は1300mm、巻き取り長は1500mとした。
【0136】
《基材フィルムの作製》
上記で得られたセルロースエステルフィルムを用いて、下記のように基材フィルムを作製した。
【0137】
〈基材フィルム1の作製〉
前述の方法で作製したセルロースエステルフィルム1をそのまま基材フィルム1として用いた。
【0138】
〈基材フィルム2、3の作製〉
下記の塗布組成物(1)を前述の方法で作製したセルロースエステルフィルム1のa面(流延製膜の際にベルト支持体に接していた側(b面)の反対側の面)に、ウエット膜厚13μmとなるように押し出しコートし、乾燥温度80℃にて乾燥させ、バックコート層を塗設した。これを基材フィルム2とする。更に、このb面に下記の塗布組成物(2)をウエット膜厚で13μmとなるようにグラビアコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で4μmの中心線表面粗さ(Ra)15nmのクリアハードコート層を設けた。これを基材フィルム3とする。
【0139】
〈基材フィルム4の作製〉
下記の塗布組成物(1)を前述の方法で作製したセルロースエステルフィルム1のa面(流延製膜の際にベルト支持体に接していた側(b面)の反対側の面)に、ウエット膜厚13μmとなるように押し出しコートし、乾燥温度80℃にて乾燥させ、バックコート層を塗設した。次に、b面に下記の塗布組成物(3)をウエット膜厚で13μmとなるようにグラビアコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの防眩層(中心線平均粗さ(Ra)0.3μm)を設けた。これを基材フィルム4とする。
【0140】
以下に上記記載の基材フィルムの作製に用いた塗布組成物(1)、(2)の組成及び塗布組成物(3)の調製方法を示す。
【0141】
Figure 0005050299
以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業(株)製)で攪拌し、その後衝突型分散機(マントンゴーリン、ゴーリン(株)製)で分散した後、下記の成分を添加し、塗布組成物(3)を調製した。
【0142】
Figure 0005050299
得られた基材フィルム1〜4を下記の表1に示す。
【0143】
【表1】
Figure 0005050299
【0144】
《低反射積層体の作製》
表1に記載の基材フィルム1〜4を用いて、図2に示したプラズマ放電処理装置を用いて、基材フィルム1〜4のb面側に連続的に大気圧プラズマ処理を行った。
【0145】
即ち、反応ガスを以下に示すようにかえて、順に高屈折率層(屈折率1.90、膜厚22nm)、低屈折率層(屈折率1.46、膜厚26nm)、高屈折率層(屈折率1.90、膜厚96nm)、低屈折率層(屈折率1.46、膜厚87nm)の4層を設けた。
【0146】
ここで回転電極25として、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は図2には図示していない)に、セラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その後テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行い誘電体を有する回転電極を製作しアース(接地)した。一方、対向電極24としては、中空のステンレスロッドに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する電極群とした。回転電極25と対向する対向電極24との電極間隙は1mmとした。又、放電プラズマ発生に用いる使用電源は、日本電子(株)製高周波電源JRF−10000で周波数は13.56MHzである。放電密度は300W・min/m2としてプラズマ放電処理を行った。但し回転電極は、ドライブを用いて回転させた。
【0147】
プラズマ処理に用いた混合ガス(反応ガス)の組成を以下に記す。
(低屈折率層形成用)
不活性ガス:アルゴン 98.2%
反応ガス :水素ガス 1.5%
反応ガス :テトラメトキシシラン 0.3%
(高屈折率層形成用)
不活性ガス:アルゴン 98.7%
反応ガス1:水素ガス 1%
反応ガス :テトライソプロポキシチタン 0.3%
得られた低反射積層体について、目視評価を行った結果、ムラは認められず◎の評価結果が得られた。又、下記のように反射率を測定して評価を行ったところ、450〜650nmの波長範囲で低い反射率が得られた。幅手方向に略均等間隔で10点測定したが、いずれの測定結果も450〜650nmの波長範囲で低い反射率であった。図13に得られた光学フィルム3の反射スペクトル測定結果を示した。光学フィルム1、2及び4も同様の結果が得られた。
【0148】
《反射率の測定》
低反射積層体の分光反射率は分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率(400〜700nmの波長について)の測定を行った。
【0149】
《目視評価》
幅手全幅×500cmの試料を裏面に黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、表面から蛍光灯の反射を観察して反射光のムラについて評価したものである。
【0150】
◎ ムラがわからない
○ わずかにムラが認められる
△ ムラが気になる
比較例1
基材フィルム3を用いて、図2の装置を使用してプラズマ処理を行った。但し、反応ガスの供給は放電処理部の最前方に設けられたガス導入口30からのみ行い、他のガス導入口からの供給は行わなかった。その結果得られた比較の光学フィルムはムラが認められ、目視評価の基準で△であった。
【0151】
又、ガス導入口近傍の対向電極への析出物が多く、連続的に長時間安定した処理を行うことができなかった。
【0152】
実施例2
基材フィルム3のb面に基材側から屈折率が減少する薄膜を形成した。図1で示したプラズマ放電処理装置を使用した。ここで回転電極25として、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は図1には図示していない)に、セラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その後テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行い誘電体を有する回転電極を製作しアース(接地)した。一方、ステンレスロッドに対して、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し作製したものを対向する対向電極群24とした。
【0153】
回転電極25と対向電極24との電極間距離は1mmとした。又、放電プラズマ発生に用いる使用電源は日本電子(株)製、高周波電源JRF−10000で、周波数は13.56MHzである。放電密度は、300W・min/m2としてプラズマ放電処理を行った。但し回転電極は、ドライブを用いて回転させた。
【0154】
プラズマ処理に用いた混合ガスは下記の2種類のガス(ガスL及びガスH)の混合比を以下のように変更し、基材搬送上流側ガス導入口30a(最上流側の放電部に反応ガスを供給する)から基材搬送下流側ガス導入口30k(最下流側の放電部に反応ガスを供給する)まで変化させて供給した。その結果、得られた薄膜は基材に近い部分の屈折率が2.0で表面が1.46の屈折率を有していた。
【0155】
【表2】
Figure 0005050299
【0156】
目視評価を行った結果、ムラは認められず◎の評価が得られた。膜の成分は基材に近い部分は酸化チタンが主であり、徐々に酸化珪素成分が増加し、表面は主に酸化珪素からなるという組成勾配を有していた。本発明によればこのような特性を有する薄膜を容易に得られることが確認された。
【0157】
プラズマ処理に用いた反応ガスを以下に記す。
〈低屈折率側反応ガス;ガスL〉
不活性ガス:アルゴン 98.7%
反応ガス:水素ガス 1%
反応ガス:テトラメトキシシラン 0.3%
〈高屈折率層側反応ガス;ガスH〉
不活性ガス:アルゴン 98.7%
反応ガス:水素ガス 1%
反応ガス:テトライソプロポキシチタン 0.3%
実施例3
実施例1で作製した光学フィルム1〜4を用いて、以下に述べる方法に従って、偏光板を作製し評価を行った。
【0158】
下記の方法に従って、光学フィルム1を偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板1を作製した。
【0159】
(偏光膜の作製)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで沃化カリウム5g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
【0160】
(偏光板の作製)
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0161】
工程1:
実施例1で作製した光学フィルム1及びセルロースエステルフィルム1を、長手方向30cm、幅手方向18cmのサイズで各1枚切り取り、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に45℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。低屈折率層側には剥離性の保護フィルムを貼りつけて表面をアルカリから保護した。
【0162】
工程2:
長手方向30cm、幅手方向18cmのサイズに断裁した前記偏光膜を固形分%で2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
【0163】
工程3:
工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1で処理した光学フィルム1の上に積層し、更に同一の光学フィルム1を接着剤と接するように積層し配置した。
【0164】
工程4:
ハンドローラにて工程3で積層した偏光膜と保護フィルム試料1との積層物の端部から過剰の接着剤及び気泡を取り除き貼り合わせた。ハンドローラの圧力は30〜40N/cm2、ローラスピードは2m/minとした。
【0165】
工程5:
80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を3分間乾燥処理し、本発明の偏光板1を作製した。
【0166】
光学フィルム2〜4をそれぞれ用いた以外は同様にしてそれぞれ偏光板2〜4を作製した。又、比較例1の光学フィルムを用いて比較の偏光板を作製した。
【0167】
市販の液晶表示パネル(NEC製、カラー液晶ディスプレイ MultiSync LCD1525J 型名LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向をあわせた本発明の偏光板1〜4又は比較の偏光板1を貼りつけた。それぞれの液晶表示パネルは、比較例の偏光板を用いた液晶表示パネルに対し反射光のムラもなく、表示性能に優れていることが確認された。これに対して、比較の偏光板1を用いた液晶表示パネルは反射光にムラが認められた。
【0168】
【発明の効果】
本発明のプラズマ放電を用いた表面処理法によって基材フィルムの表面に均一な薄膜を形成でき光学特性に優れた光学フィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係わるプラズマ放電処理装置(図1)の最下流側放電部の拡大図である。
【図3】本発明に係わる別のプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に係わる別のプラズマ放電処理装置の一例(図3)における最下流側放電部の拡大図である。
【図5】本発明に係わる更に別のプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図6】プラズマ放電処理装置を斜め上から見た斜視図である。
【図7】反応ガス導入部を有する対向電極の幾つかの例を示す概略図である。
【図8】対向電極がガス供給部を備えたプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図9】回転電極を導電性ベルトとしたプラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図10】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型の回転電極の一例を示す概略図である。
【図11】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型の対向電極の一例を示す概略図である。
【図12】(a)、(b)は各々、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる角柱型の対向電極の一例を示す概略図である。
【図13】反射スペクトル測定結果を示す図である。
【符号の説明】
F 基材
11 搬送ロール
12A,12B,12C,12D ニップロール
13A ベルト電極
14C,14D サポートロール
21,22 ガイドロール
24 対向電極
25 回転電極
25a,25A,24a,24A 金属等の導電性母材
25b,24b ライニング処理誘電体
25B,24B セラミック被覆処理誘電体
30a〜30k ガス導入口
31 対向電極のガス導入口
32,42 バッファー空間
33 ガス導入管
34 ガス導入口
40,40a〜40f ガス排出口
41 対向電極のガス排出口
43 ガス排出管
44 ガス排出口
54 仕切板
60A,60B 予備室
70 プラズマ放電処理装置
80 電源
90 温湿度調整部

Claims (10)

  1. 長尺基材が対向する第1電極と第2電極との間に配置され、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置された複数のガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で反応ガスを送り込みながら、前記第1電極と前記第2電極との間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成する長尺基材の表面処理方法において、
    一つの前記第1電極に対向して、前記第2電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、
    前記複数のガス導入口それぞれに設けられた、前記ガス導入口に均一にガスを供給するためのバッファー空間からガスを供給される前記複数のガス導入口、及び、ガス排出口が、複数の前記第2電極の電極間、または複数の前記第2電極自身に交互に設けられたことを特徴とする長尺基材の表面処理方法。
  2. 回転電極及びこれに巻き回された長尺基材とそれらに対向して配置された対向電極に設けられた長尺基材の幅手方向に沿ってスリット状に配置された複数のガス導入口から大気圧又は大気圧近傍の圧力下で希ガスを有する反応ガスを送り込みながら、電極間に高周波電圧を印加して放電させて、基材表面に薄膜を形成する長尺基材の表面処理方法において、
    一つの前記回転電極に対して対向して配置された対向電極が、基材の搬送方向に沿って複数設けられており、
    前記複数のガス導入口それぞれに設けられた、前記ガス導入口に均一にガスを供給するためのバッファー空間からガスを供給される前記複数のガス導入口、及び、ガス排出口が、複数の前記対向電極の電極間、または複数の前記対向電極自身に交互に設けられたことを特徴とする長尺基材の表面処理方法。
  3. 前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の長尺基材の表面処理方法。
  4. 前記ガス導入口近傍での放電抑制手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の長尺基材の表面処理方法。
  5. 回転電極に長尺基材を吸引固定して搬送し、放電処理することを特徴とする請求項2又は4に記載の長尺基材の表面処理方法。
  6. 回転電極が導電性のベルトであることを特徴とする請求項2、4又は5に記載の長尺基材の表面処理方法。
  7. 長尺基材の幅方向に沿ってスリット状に配置された、搬送方向に沿って複数設けられたガス導入口より同一組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が等しい薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
  8. 長尺基材の幅方向に沿ってスリット状のガス導入口が長尺方向に沿って複数設けられ、該複数のガス導入口より異なる組成のガスを導入して、厚み方向で層の組成が連続的若しくは段階的に変化する薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
  9. 反応ガスがヘリウム、アルゴン、ネオンから選択される希ガスを90〜99.99%含有し、有機金属化合物を0.01〜10%含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
  10. 放電のために電極間に印加される高周波電圧の周波数が100kHz〜150MHzであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の長尺基材の表面処理方法。
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