JP4288915B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、太陽電池、液晶画像表示装置、各種ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ、CRT、PDP等に有用な防汚層付きの光学フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より薄膜の防汚機能を付与するために、表面の撥水性を向上させることがなされて来たが、特にフッ素化合物により低表面エネルギーとすることがなされて来た。しかし、フッ素化合物は、高い撥水性を表面に与える反面、電気陰性度が高いため異物の付着性が高くなるという問題があった。即ち、汚れが一旦付着すると落ちにくいという性質があり、防汚機能としては充分なものではなかった。
【0003】
これを解決するために、シリコン化合物とフッ素化合物の混合物のハイブリッド膜を、これらの化合物の有機溶媒溶液をコーティングにより形成することにより、撥水性を維持しつつ、付着性を低下させるという提案がなされている(特開2000−119304、同2000−119355及び同2001−151831)。
【0004】
しかしながら、前記ハイブリッド膜は、有機溶媒溶液のコーティング膜として設けるため、特に光学フィルムに用いる場合は、透明性、膜の厚さ、塗布膜の欠陥の多発等が問題であり、塗布膜の欠陥の多発に対しては界面活性剤を使用することにより軽減することができるものの、防汚性能が損なわれるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、光学フィルムとして透明性を損ねることなく、非常に薄い膜厚で、充分な防汚機能を有する光学フィルム及びその製造方法を提供することにあり、第2の目的は、防汚層を最外層に、また反射防止層を有する反射防止効果の優れた光学フィルムの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記手段により達成される。
【0007】
1.対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を用いて、防汚層形成用反応ガスを該対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該基材の上に防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0008】
2.対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を用いて、反射防止層形成用反応ガスを対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該基材に直接または他の層を介して、反射防止層を形成させて反射防止フィルムを作製し、該反射防止層の上に、該プラズマ放電処理装置と同様な装置を用い、防汚層形成用反応ガスを対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該防汚層形成用反応ガスを該対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該反射防止フィルムの該反射防止層の上に該防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0009】
3.対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を反射防止層を形成する層の数及び防汚層の数の複数基連結して用い、反射防止層形成用反応ガス及び防汚層形成用反応ガスをそれぞれのプラズマ放電処理装置の対向電極間に供給し、それぞれの対向電極に高周波電圧を印加し、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、それぞれの対向電極間を移送する該基材に直接または他の層を介して、または形成された反射防止層の上にプラズマ放電処理を行い、連続的に反射防止層または防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0010】
4.防汚層形成用反応ガスが、少なくとも珪素化合物とフッ素化合物の混合物、または珪素及びフッ素を有する化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有するものであることを特徴とする上記1〜3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0011】
5.反射防止層形成用反応ガスが、少なくとも珪素化合物またはフッ素化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する低屈折率層形成用反応ガスであることを特徴とする上記2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0012】
6.反射防止層形成用反応ガスが、少なくとも錫化合物、チタン化合物及び珪素化合物の混合物または錫化合物及び珪素化合物の混合物から選ばれる化合物または混合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する中屈折率層形成用反応ガスであることを特徴とする上記2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0013】
7.反射防止層形成用反応ガスが、少なくともチタン化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する高屈折率層用反応ガスであることを特徴とする上記2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0014】
8.反射防止層が、低屈折率層の単層構成、低屈折率層と高屈折率層の積層構成、及び低屈折率層と中屈折率層と高屈折率層の積層構成から選ばれる層構成を有することを特徴とする上記2〜7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
9.反射防止層が0.1〜5質量%の炭素を含有することを特徴とする上記2〜8の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】
10.前記他の層が、クリアハードコート層または防眩層であることを特徴とする上記2〜9の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
11.防汚層を最外層に形成することを特徴とする上記1〜10の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
12.プラズマ放電処理装置の対向電極に、第1の周波数ω1が200kHz以下、または第2の周波数ω2が800kHz以上の高周波電圧を印加して反射防止層を形成することを特徴とする上記1〜11の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0019】
13.対向電極の少なくとも片方の電極が、金属母材とその上にある誘電体で構成され、該誘電体が無機質の材質であることを特徴とする上記1〜12の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0020】
14.誘電体が、アルミナセラミックス溶射後、ゾルゲル反応により無機質の封孔処理を施したものであることを特徴とする上記13に記載の光学フィルムの製造方法。
【0021】
15.前記防汚層の表面の水に対する接触角が70〜180°であり、且つ水滴の滑落角が50°以下であることを特徴とする上記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0022】
16.前記防汚層の表面の水に対する接触角が70〜180°であり、且つ水滴の滑落角が50°以下であることを特徴とする上記2に記載の光学フィルムの製造方法。
【0032】
本発明者らは、光学フィルムに充分な防汚機能を付与するには、フッ素化合物と珪素化合物のハイブリッド膜を形成することにより達成されることを念頭におき、そのような問題点のない光学フィルムについて鋭意開発を行った結果、反応ガス中の反応性ガスとして有機フッ素化合物と有機珪素化合物、フルオロシランモノマーまたはそのオリゴマー等の珪素とフッ素を有する化合物等の反応性ガスを用いる場合に以下の知見を得た。
【0033】
(1)大気圧プラズマ放電処理を利用することで塗布と同等の製膜速度を得ることができる。さらに、大気圧プラズマ放電処理において高低2種の周波数の高周波電圧を対向電極に印加することで高速製膜が達成できる。これにより安価な光学フィルムを得ることができる。
【0034】
(2)大気圧プラズマ放電処理において高低2種の周波数の高周波電圧を対向電極に印加することで、塗布方式よりも緻密な膜ができる。これにより防汚機能が向上した光学フィルムを得ることができる。
【0035】
(3)大気圧プラズマ放電処理において高低2種の周波数の高周波電圧を対向電極に印加することで、特に微少領域(50μm×50μm)の防汚性が格段によくなっているので、細かい埃や水滴に対する防汚機能が向上した光学フィルムを得ることができる。
【0036】
(4)大気圧プラズマ放電処理において高低2種の周波数の高周波電圧を対向電極に印加することにより作製した防汚層は、他の機能層特に反射防止層との親和性がよいので連続処理が可能である。
【0037】
以上のように、大気圧プラズマ放電処理において高低2種の周波数の高周波電圧を対向電極に印加する方法は、連続して薄膜を形成することが可能で、生産性にも優れた、安価な光学フィルム、更には、かかるプラズマ放電処理を異種の反応ガスを用いて多層の反射防止層を積層し、またその最外層に防汚層を更に積層することにより反射防止性能、及び防汚性能に優れ、しかも生産性、コストに優れた光学フィルムを得ることができる。
【0038】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において、プラズマ放電処理は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるが、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0039】
本発明の薄膜形成方法において、対向電極間(放電空間)に供給するガスは、少なくとも、電界により励起する放電ガスと、そのエネルギーを受け取ってプラズマ状態あるいは励起状態になり薄膜を形成する薄膜形成性ガスを含んでいる。
【0040】
特願2001−175475等に開示されている大気圧プラズマ放電による薄膜形成方法の具体的な実施例では、ヘリウムあるいはアルゴンのような希ガスを放電ガスとして使用し、100kHzを超え、150MHz程度までの、好ましくは数100kHz〜100MHz程度の高周波電界をかけた薄膜形成が行なわれていた。このような高周波電界をかけることにより、膜が緻密で均一な薄膜が得られ、しかも薄膜形成の生産性が優れているというメリットがあった。この場合の高周波電圧(電極間電圧)は、ヘリウムガスやアルゴンガスの放電を開始するには充分な電圧であった。
【0041】
しかしながら、上記の薄膜形成方法では、ヘリウムやアルゴン等の希ガスの放電ガスでは、薄膜を形成する際の生産コストが放電ガスのコストに依存するところが多く、また環境的な見地からも代替の放電ガスの使用を本発明者らは検討していた。その代替の放電ガスとして、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、水素等を検討した結果、これらのガスでも放電する条件を求め、且つ薄膜形成性に優れ、形成した薄膜が緻密且つ均一となる条件及び方法を検討した結果、本発明に至ったものである。
【0042】
本発明における放電条件は、対向する第1電極と第2電極との放電空間に、高周波電圧を印加し、高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有する。
【0043】
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。
【0044】
本発明において、放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種等によって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
【0045】
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができると推定される。ここで重要なのは、このような高周波電圧が対向する電極それぞれに印加され、すなわち、同じ放電空間に両方から印加されることである。前述の特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる周波数の高周波電圧を印加する方法では、本発明の薄膜形成は達成できない。
【0046】
上記でサイン波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
【0047】
上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置である。
【0048】
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
【0049】
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電ガスを開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持でき、高性能な薄膜形成を行うことができるのである。
【0050】
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
【0051】
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、サイン波でもパルスでもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
【0052】
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
【0053】
このような二つの電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成するのに必要であるということが本発明の重要な点である。
【0054】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、該対向電極間に導入した少なくとも放電ガスと薄膜形成性ガスをプラズマ状態とし、該対向電極間に静置あるいは移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
【0055】
図1は本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0056】
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図1では図示してない(後述の図2に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
【0057】
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの第1の周波数ω1の高周波電圧V1が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの第2の周波数ω2の高周波電圧V2が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有していればよく、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より小さな能力を有していればよい。
【0058】
第1電極11と第1電源21との間には、第1電源21からの電流が第1電極11に向かって流れるように第1フィルター23が設置されており、第1電源21からの電流を通過しにくくし、第2電源22からの電流が通過し易くするように設計されている。
【0059】
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2電源22からの電流が第2電極12に向かって流れるように第2フィルター24が設置されており、第2電源22からの電流を通過しにくくし、第1電源21からの電流を通過し易くするように設計されている。
【0060】
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、ここでは図示してない(後述の図2に図示してあるような)ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、ここでは図示してない(後述の図2に図示してあるような)電極温度調節手段から配管を経て電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラができるだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
【0061】
また、図1に前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。25及び26は高周波プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
【0062】
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることができるので、何回も処理され高速で処理することもできる。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することもできる。
【0063】
図2は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0064】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電圧印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
【0065】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
Figure 0004288915
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0066】
また、第2電源(高周波電源)としては、
Figure 0004288915
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
【0067】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0068】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2以下である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0069】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0070】
対向電極は、金属母材と誘電体で構成され、金属母材をライニングすることにより無機質的性質の誘電体を被覆する組み合わせにより、また、金属母材に対しセラミックス溶射した後、無機質的性質の物質により封孔処理した誘電体を被覆する組み合わせにより構成されていてもよい。金属母材としては、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレススティールが加工し易く好ましい。また、誘電体のライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等を用いることができ、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易く好ましい。また、誘電体の溶射に用いるセラミックスとしては、アルミナがよく、酸化珪素等封孔材が好ましい。またアルコキシラン系封孔材をゾルゲル反応させて無機化させるものが好ましく用いられる(特願2000−377044)。
【0071】
また、対向電極は、平板電極を用いてもよいが、一方もしくは双方の電極を円柱型電極、角柱型電極あるいはロール状回転電極としてもよい。
【0072】
電極(誘電体の付いた)の表面粗さについては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)は、10μm以下になるように調整されることが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大高さ(Rmax)が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。また、JIS B0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0073】
電極間の距離は、電極の金属母材に設置した誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは0.5〜3mm、特に好ましくは1±0.5mmである。
【0074】
本発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガス雰囲気内でプラズマ放電処理する際、処理前に、予め基材表面の除電処理を行い、更にゴミ除去を行うことによって、表面処理の均一性が更に向上するので好ましい。除電手段及び除電処理後のゴミ除去手段としては、前述装置のところでした手段と同様の手段を採用できる。除電手段としては、通常のブロアー式や接触式以外に、複数の正負のイオン生成用除電電極と基材を挟むようにイオン吸引電極を対向させた除電装置とその後に正負の直流式除電装置を設けた高密度除電システム(特開平7−263173号)を挙げることができ、好ましく用いることができる。またこのときの基材の帯電量は±500V以下となることが好ましい。また除電処理後のゴミ除去手段としては、非接触式のジェット風式減圧型ゴミ除去装置(特開平7−60211号)等を挙げることができ好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガス雰囲気内でプラズマ放電処理装置の対向電極間の放電処理室に充満させる反応ガス、つまり防汚層や反射防止層を形成する反応ガスについて述べる。
【0076】
本発明に使用する反応ガスは希ガスと反応性ガスを含有する混合ガスである。希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることができるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に比較的安価なアルゴンガスが好ましい。
【0077】
本発明において、反応ガス中の希ガスの混合割合は、90.0〜99.9体積%が好ましい。
【0078】
反応性ガスは、薄膜を形成するのに用いられるガスであり、直接薄膜を形成する化合物と水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス等補助的に使用するガスとがある。
【0079】
本発明に係る防汚層形成用反応性ガスは、フッ素化合物と珪素化合物の混合物とフルオロシラン化合物のようなフッ素と珪素を有する化合物のガスが有用である。
【0080】
フッ素化合物としては、有機フッ素化合物として、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等を好ましく用いることができる。フッ化炭素ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、オクタフルオロシクロブタン等を挙げることができる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、例えば、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン等を挙げることができる。更に、例えば、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロシクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やトリフルオロメタノール、ペンタフルオロエタノール等のフルオロアルコール、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸等のフッ素化脂肪酸、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素化ケトン等の有機フッ素化合物を用いることができるが、これらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にフッ素化エチレン性不飽和基を有していてもよい。
【0081】
また、珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。
【0082】
更に、本発明において、フッ素と珪素を有する化合物も好ましく用いることができる。例えば、テトラ(トリフルオロメチル)シラン、テトラ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(セプタフルオロプロピル)シラン、ジメチルジ(トリフルオロメチル)シラン、ジエチルジ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(トリフルオロメトキシ)シラン、テトラ(ペンタフルオロエトキシ)シラン、メチルトリ(トリフルオロメトキシ)シラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ビニルトリ(トリフルオロメチル)シラン、トリパーフルオロメチルアクリロイルオキシシラン等のフルオロシラン化合物を挙げることができ、これらの化合物を2種以上混合して使用してもよい。また重合性のシランモノマーのオリゴマーも使用できる。
【0083】
上記フッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物を適宜2種以上混合して使用してもよい。
【0084】
かかる防汚層を形成するフッ素化合物及び珪素化合物の混合ガス、またフッ素及び珪素を有する化合物を用いることによって、防汚層(防汚層の表面)の表面エネルギーを低くし、撥水性も兼ね備えた薄膜を得ることができるが本発明の特徴である。
【0085】
なお、本発明にフッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、フッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物が常温・常圧で液体または固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0086】
本発明に係る反射防止層形成用反応性ガスの高屈折率層を形成するチタン化合物、中屈折率層を形成する錫化合物、低屈折率層を形成する珪素化合物について述べる。反射防止層を有する本発明の光学フィルムは、各屈折率層を基材上に直接または他の層を介して積層して得られるものであるが、積層は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガス雰囲気内でプラズマ放電処理装置を直列に例えば4基(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層)の4層積層するとして並べて連続的に処理することができ、この連続的積層処理は品質の安定や生産性の向上等から本発明の光学フィルムの作製に適している。また積層せずに、1層処理ごと、処理後巻き取り、逐次処理して積層してもよい。
【0087】
本発明に係る反射防止フィルムの反射防止層用形成反応性ガスには、適切な屈折率を得ることのできる化合物であれば制限なく使用できるが、本発明において、高屈折率層形成用反応性ガスとしてはチタン化合物を、中屈折率層形成用反応性ガスとしては錫化合物またはチタン化合物と珪素化合物の混合物(または高屈折率形成用のチタン化合物で形成した層と低屈折率層を形成する珪素化合物で形成した層を積層してもよい)を、また低屈折率層形成用反応性ガスとしては珪素化合物、フッ素化合物、あるいは珪素化合物とフッ素化合物の混合物を好ましく用いることができる。これらの化合物を屈折率を調節するために、何れかの層の形成用反応性ガスとして2種以上混合して使用してもよい。
【0088】
本発明に有用な高屈折率層形成用反応性ガスに使用するチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。またこれらの反応性ガスを2種以上を同時に混合して使用することができる。
【0089】
本発明に有用な中屈折率層形成用反応性ガスに用いる錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることができ、何れも本発明において、好ましく用いることができる。また、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。なお、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1011Ω/cm2以下に下げることができるため、帯電防止層としても有用である。
【0090】
本発明に有用な低屈折率層形成用反応性ガスに使用する珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。また、前記フッ素化合物を使用することができる。これらの反応性ガスを2種以上を同時に混合して使用することができる。また、屈折率の微調整にこれら錫化合物、チタン化合物、珪素化合物を適宜2種以上同時に混合して使用してもよい。
【0091】
上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れ等も少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体何れの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を加熱により気化して用いる場合、金属テトラエトキシド、金属テトライソプロポキシド等の常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希ガス中へ気化器等により気化して反応ガスに使用すればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。
【0092】
反応性ガスについて、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
【0093】
なお、中屈折率層については、上記珪素化合物、上記チタン化合物または上記錫化合物を、目標とする屈折率に合わせて適宜混合することによっても得ることができる。
【0094】
更に、反応性ガスとして酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0095】
反射防止層を有する本発明の光学フィルムにおいて、反射防止層を基材に直接形成させてもよいが、他の層を少なくとも1層設けた上に形成させてもよい。本発明において、他の層として、防眩層やクリアハードコート層等を好ましく用いることができ、これらの層が紫外線等活性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ましく、このような紫外線で硬化された樹脂層の上に本発明に係る反射防止層を形成させることによって耐擦り傷性に優れた光学フィルムを得ることができる。
【0096】
防眩層及びクリアハードコート層の活性線硬化樹脂層は、エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層で、活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0097】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
【0098】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
【0099】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることができる(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することができる。
【0100】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0101】
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤また光増感剤は該組成物の通常1〜10質量%添加することができ、2.5〜6質量%であることが好ましい。
【0102】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0103】
例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用できる。
【0104】
本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用できる。
【0105】
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒として前述のバックコート層や導電性微粒子を含有する樹脂層を塗設する溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルできはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0106】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。塗布速度は好ましくは10〜60m/分で行われる。
【0107】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
【0108】
こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。
【0109】
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。
【0110】
このようにして形成された紫外線硬化樹脂を硬化させた層は中心線平均粗さ(Ra)が1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防眩層であってもよい。
【0111】
本発明では、基材の上に直接、または、上記その他の層の上にプラズマ放電処理で薄膜を形成することができる。特に本発明の方法によれば、表面の凹凸のある基材上に均一な低屈折率層あるいは高屈折率層等の光学干渉層を設けることができる。特に、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.1〜0.5μmの防眩層上に均一にプラズマ処理することができる。
【0112】
本発明においては、上記のような基材面に対して本発明に係る薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。また、本発明の光学フィルムにおいて、薄膜の膜厚としては、1〜1000nmの範囲で、好ましくは1〜200nmである。
【0113】
本発明において、使用する基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等を挙げることができる。中でもセルロースエステルフィルムが本発明において好ましく、特に、少なくとも一つの方向に延伸したセルロースエステルフィルムが好ましい。延伸は縦方向(機械進行方向)に1.02〜1.50倍、もしくは横方向(幅方向)に1.02〜1.520倍程度に行うのが好ましく、更に好ましくは縦及び横方向に2軸延伸されたものである。延伸方法は、延伸できる方法であれば特に制限ないが、例えば、数本の密間ロールにウェブを通す方法、クリップ等でウェブの両端を把持し幅方向に延伸する方法、同じくクリップに把持しクリップ間隔を進行方向に広げて延伸する方法等があり、何れも好ましく用いることができる。延伸は、基材の強度を増加させることだけでなく、平面性を良くする効果があり、反射防止フィルムとしての基材全面積の反射率の均一性を向上させることができる。
【0114】
本発明に有用な基材として、セルロースエステルフィルムが特に好ましい。ここで、セルロースエステルフィルムについて説明する。
【0115】
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれを単独であるいは任意の割合で混合使用することができるが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
【0116】
本発明に係るセルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することができる。セルロースエステルはアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
【0117】
本発明に係るセルロースエステルフィルムに用いることができるセルロースエステルには特に限定はないが、総アシル基の置換度が2.40から2.98で、アシル基のうちアセチル基の置換度が1.4以上が好ましく用いられる。
【0118】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
【0119】
本発明に係るセルロースエステルは、セルローストリアセテートやセルロースジアセテート等のセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基あるいはブチレート基が結合したセルロースエステルであることが好ましい。なお、ブチレートは、n−の他にiso−も含む。プロピオネート基の置換度が大きいセルロースアセテートプロピオネートは耐水性が優れる。
【0120】
本発明に係るセルロースエステルの数平均分子量Mn(測定法は下記)は、70,000〜250,000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く、且つ適度のドープ粘度となり好ましい。更に80,000〜150,000が好ましい。また、重量平均分子量Mwとの比Mw/Mnは1.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく使用され、更に好ましくは1.5〜4.5である。
【0121】
《セルロースエステルの数平均分子量の測定》
高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定する。
【0122】
溶媒 :アセトン
カラム :MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度 :0.2(質量/体積)%
流量 :1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料 :ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量188,200)
温度 :23℃。
【0123】
また、セルロースエステルを製造中に使用する、または使用材料に微量ながら混在しているセルロースエステル中の金属はできるだけ少ない方が好ましく、Ca、Mg、Fe、Na等の金属の総含有量は100ppm以下が好ましい。
【0124】
セルロースエステルを溶解しセルロースエステル溶液またはドープ形成に有用な有機溶媒として、塩素系有機溶媒のメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができ、セルロースエステル、特にセルローストリアセテートの溶解に適している。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。これらの有機溶媒をセルローストリアセテートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることができるので好ましい。セルローストリアセテート以外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることもできるが、メチレンクロライドを使用せずに、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができる。特に酢酸メチルが好ましい。本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
【0125】
本発明に係るドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性を有していないので、貧溶媒という。
【0126】
本発明において、反射防止膜を有する基材として上記セルロースエステルフィルムを用いる場合、このセルロースエステルフィルムには可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子(マット剤)等を含有するのが好ましい。
【0127】
可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート、フタル酸ジシクロヘキシル等を好ましく用いることができる。
【0128】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
【0129】
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合体を用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0130】
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。
【0131】
本発明において、基材には紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
【0132】
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチル−フェノール《チヌビン(TINUVIN)171》、2−オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物《チヌビン(TINUVIN)109》、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール《チヌビン234》等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、上記のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326等チヌビンは何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の市販品で、好ましく使用できる。ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0133】
また、本発明に係る支持体に用いることのできる紫外線吸収剤は特願平11−295209号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが、プラズマ処理工程の汚染が少なく、また、各種塗布層の塗布性にも優れるため好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0134】
可塑剤や紫外線吸収剤吸収剤を含むセルロースエステルフィルムを基材として用いた場合、これらがブリードアウトする等によって、プラズマ処理室に付着する等して工程を汚染し、これがフィルムに付着する可能性が考えられる。この問題を解決するためには、支持体がセルロースエステルと可塑剤を有し、80℃、90%RHで48時間処理した前後の質量変化が±2質量%未満である支持体を用いることが好ましい(保留性)。このようなセルロースエステルフィルムは特願2000−338883号記載のセルロースエステルフィルム等が好ましく用いられる。また、この目的のために特開平6−148430号、特願2000−156039記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)が好ましく用いることができる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。特開平6−148430号の一般式(1)あるいは一般式(2)あるいは特願2000−156039の一般式(3)(6)(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0135】
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。この酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれ、高湿高温の状態に液晶画像表示装置等がおかれた場合、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合があり、例えば、セルロースエステルフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースエステルフィルムが分解を遅らせたり、防いだりする役割を有するので前記セルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。
【0136】
セルロースエステルフィルム中に添加される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。中でもケイ素を含むものが濁度が低くなる点、また、フィルムのヘイズを小さくできるので好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等を挙げることができる。二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。本発明において、1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/L以上の微粒子が好ましく、より好ましくは、90〜200g/Lであり、更に好ましくは、100〜200g/Lである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。本発明において、リットルをLで表すこととする。
【0137】
微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子を観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
【0138】
本発明において、上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出した。
【0139】
見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(L)
本発明に好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、何れも使用することができる。これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルTT600が本発明に係るセルロースエステルフィルムの濁度を低くし、且つ摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
【0140】
ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
【0141】
本発明における微粒子の添加量は、セルロースエステルフィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gがより好ましく、0.08〜0.16gが更に好ましい。
【0142】
本発明に係る基材としてのセルロースエステルフィルムの製膜方法について述べる。セルロースエステルフィルムは溶液流延製膜方法により作製するのが好ましい。
【0143】
(1)溶解工程:セルロースエステル(フレーク状の)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該セルロースエステル、ポリマーや添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースエステル溶液にポリマー溶液や添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。セルロースエステルの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、本発明においては、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
【0144】
(2)流延工程:ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレススティールベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。ダイの口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
【0145】
(3)溶媒蒸発工程:ウェブ(金属支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を金属支持体上で加熱し金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
【0146】
(4)剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0147】
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができるのである。金属支持体上でのウェブの乾燥が条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することができるが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量を決められる。従って、本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を10〜40℃、好ましくは15〜30℃とし、且つ該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜120質量%とすることが好ましい。本発明においては、残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
【0148】
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0149】
(5)乾燥及び延伸工程:剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する。前述のように本発明において、クリップ間の幅手方向に対して1.02〜1.20倍延伸する方法としてテンター装置を用いて延伸することが好ましい。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥はでき上がりのフィルムの平面性を損ねやすい。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
【0150】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0151】
実施例1
〔測定及び評価〕
《水に対する接触角の測定方法》
協和界面科学社製接触角計CA−Wにより防汚層表面と水との接触角を測定した。(10点平均値を採用)
《水滴の滑落角の測定》
上記測定器において、基材を傾斜させ、水滴が滑落する時の基材傾斜角度を滑落角として測定した。(10点平均値を採用)
《光学フィルムの反射率(最低反射率)の測定》
低反射積層体の分光反射率は分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率の測定を行って450〜650nmの波長の平均反射率を求めた。
【0152】
《光学フィルムの透過率の測定方法》
同上の装置を用い、透過率を測定した。ここでは、400〜700nmの波長について、最も高い透過率を最高透過率と定義する。
【0153】
《金属酸化物薄膜中の炭素含有率の測定》
炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定した。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定を行う前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Kr等が利用できる。本測定においては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
【0154】
先ず、結合エネルギー0〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
【0155】
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いをなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration)として求めた。
【0156】
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行った。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps×eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。
【0157】
Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
【0158】
《防汚性の評価》
強制試験として、マジックインキ(M700−T1黒、寺西化学工業社製)にて、1cm2角を塗りつぶした後、その後ベンコット(小津産業(株)製)で拭き取り、インキの残り状況を目視で判断した。
【0159】
○:完全に拭き取れた
×:極僅かでも拭き取れないものが残った。
【0160】
《微小領域の接触角度の測定》
協和界面科学社製の極小自動接触角度計(MCA−1)により、50μm×50μmの微小領域の接触角度を測定した。(10点平均値を採用)
〔ドープa及びbの調製〕
下記ドープ組成物中のアエロジル200Vは予め添加するエタノールの一部に添加し、高圧分散機マントンゴーリンで充分に分散した分散液とした。下記組成物の残りのものと上記分散液を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温、攪拌しながら完全に溶解させた。これを流延する温度(30℃)まで冷却した後、静置して、脱泡操作した後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を用いて濾過し各ドープを得た。
【0161】
〈ドープa組成物〉
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.87) 85kg
メチレンクロライド 290L
エタノール 25L
アエロジル200V 0.12kg
チヌビン171 0.5kg
チヌビン109 0.5kg
チヌビン326 0.3kg
フタル酸ジシクロヘキシル 10kg
〈ドープb組成物〉
セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.7) 85kg
メチレンクロライド 290L
エタノール 25L
アエロジル200V 0.12kg
チヌビン171 0.5kg
チヌビン109 0.5kg
チヌビン326 0.3kg
トリフェニルホスフェート 8kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
〔セルロースエステルフィルムa及びbの作製〕
30℃に温度調整したドープをダイに導入し、ダイスリットからドープを無限移行する無端のステンレススティールベルト上に均一に流延した。ステンレススティールベルトの流延部は裏面から35℃の温水で加熱した。流延後、支持体上のドープ膜(ステンレススティールベルトに流延以降はウェブということにする)に44℃の温風をあてて乾燥させ、流延から90秒後に剥離残留溶媒量を80質量%として剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。剥離部のステンレススティールベルトの温度は11℃とした。剥離されたウェブは、50℃に設定された第1乾燥ゾーンを1分間搬送させた後、第2乾燥ゾーンはテンター乾燥装置を用い、85℃に設定して幅手方向に1.06倍に延伸を行い、30秒間搬送させた。更に120℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムa及びb(ドープaからのものをセルロースエステルフィルムa、及びドープbからのものをセルロースエステルフィルムbとした)を得た。なお、フィルム巻き取り時の残留溶媒量は何れも0.01%未満であった。
【0162】
〔基材A〜Dの作製〕
セルロースエステルフィルムa及びbのA面(流延乾燥工程ステンレススティールベルト上でのウェブの空気側の面)にバックコート層(BC層と略すことがある)を、セルロースエステルフィルムa及びbのB面側(流延乾燥工程ステンレススティールベルト上でのウェブのベルト側の面)に下記クリアハードコート層(CHC層と略すことがある)を塗設し、セルロースエステルフィルムaからは基材Aを、セルロースエステルフィルムbからは基材Bを作製した。また、バックコート層のみを塗設したセルロースエステルフィルムaからは基材Cを、またセルロースエステルフィルムbからは基材Dを作製した。
【0163】
《BC層の塗設》
後述のCHC層または防眩層の塗設前に、下記のBC層塗布組成物をセルロースエステルフィルムa及びbのA面側に、ウェット膜厚14μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、乾燥温度85℃にて乾燥させてBC層を塗設した。
【0164】
〈BC層塗布組成物〉
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
セルロースジアセテート 0.5質量部
アエロジル200V 0.1質量部
《CHC層の塗設》
BC層を塗設したセルロースエステルフィルムa及びbのBC層と反対側に下記のCHC層塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、次いで85℃に設定された乾燥部で乾燥した後、115mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの中心線平均表面粗さ(Ra)12nmのCHC層を表1に記載したように設け、基材A及びBを得た。
【0165】
Figure 0004288915
〔反射防止フィルムA〜Dの作製〕
基材A及びBのCHC層の上に、またCHC層のない基材C及びDのBC層の反対面の上に、プラズマ放電処理装置を4基連続して設置して、反射防止フィルムA〜Dを以下のごとく作製した。
【0166】
《基材A〜Dの大気圧プラズマ放電処理》
〈電極の作製〉
次のように電極を作製した。長さ50mm、幅600mm、高さ50mmの、肉厚10mm(中空のジャケット)のチタン合金T64製の2個の平板印加電極を以下のように作製した。該2個共、平板電極の互いに対向する面(面積300cm2)に大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆した。その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。最終的な誘電体の空隙率は5体積%であった。この時の誘電体層のSiOX含有率は75mol%であった。また、最終的な誘電体の膜厚は、1mm(膜厚変動±1%以内)、誘電体の比誘電率は10であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は、1.6×10-6/℃であり、また耐熱温度は250℃であった。
【0167】
〈大気圧プラズマ放電処理装置〉
4層の薄膜を形成させるため、図1に示した大気圧プラズマ放電処理装置4基を使用し、第1のプラズマ放電処理装置を中屈折率層用に、第2のプラズマ放電処理装置を高屈折率層用に、更に第3のプラズマ放電処理装置を低屈折率層用として、それぞれ必要な膜厚が各々得られるように調整した(第4のプラズマ放電処理装置は防汚層用)。上記で作製した2個の電極を電極間隙を1mmとして平行に対向させ、第1電源及び第2電源としてそれぞれ前記A2及びB3を設置した。第1電源の周波数を5kHz、高周波電圧を12kV/mm、第2電源の周波数を13.56MHz、高周波電圧を0.8kV/mm、第1電極の出力密度を1W/cm2、第2電極の出力密度を10W/cm2として放電を行って、連続的に大気圧プラズマ処理して、順に酸化錫層(屈折率1.7、膜厚67nm)、酸化チタン層(屈折率2.14、膜厚110nm)、酸化珪素層(屈折率1.44、膜厚87nm)の3層を設け、反射防止フィルムA〜Dを作製した。
【0168】
なお、この系での窒素ガスの放電開始電圧は3.7kV/mmであった。両電極を80℃になるように調節保温した。なお、何れもフィルターは各電極からの電流が逆流しないようなものを設置した。
【0169】
反射防止フィルムA〜Dの炭素含有率は、酸化珪素層0.3質量%、酸化チタン層0.4質量%、酸化錫層0.5質量%であった。
【0170】
プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。
〈中屈折率層形成用反応ガス:酸化錫層〉
希ガス(窒素) 99.3体積%
反応性ガス(酸素ガス) 0.5体積%
反応性ガス(テトラブチル錫蒸気) 0.2体積%
〈高屈折率層形成用反応ガス:酸化チタン層〉
希ガス(窒素) 99.3体積%
反応性ガス(酸素ガス) 0.5体積%
反応性ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.2体積%
〈低屈折率層形成用反応ガス:酸化珪素層〉
希ガス(窒素) 99.3体積%
反応性ガス(酸素ガス) 0.5体積%
反応性ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
なお、上記反応ガス蒸気はリンテック(株)製の気化器を使用して気化後、アルゴンガス中に混合した。
【0171】
《防汚層を有する光学フィルム1〜8の作製》
上記反射防止フィルムA〜Dの低屈折率層の上に、下記防汚層形成用反応ガスを用いて、上記と同様のプラズマ放電装置を用いて同様の放電条件で、更に低屈折率層に続いて(連続して)30nmの防汚層を積層した。光学フィルムの試料番号と反応ガス組成の関係は表1に記載した通りである。
【0172】
〈反応ガス1:防汚層形成用反応ガス〉
希ガス(窒素) 98.7体積%
反応性ガス(テトラメトキシシラン) 0.6体積%
反応性ガス(テトラフルオロメタン) 0.7体積%
〈反応ガス2:防汚層形成用反応ガス〉
希ガス(窒素) 98.7体積%
反応性ガス(テトラエトキシシラン) 0.5体積%
反応性ガス(六フッ化プロピレン) 0.8体積%
〈反応ガス3:防汚層形成用反応ガス〉
希ガス(窒素) 98.7体積%
反応性ガス(ヘキサメチルジシロキサン) 0.6体積%
反応性ガス(ヘキサフルオロプロパン) 0.7体積%
〈反応ガス4:防汚層形成用反応ガス〉
希ガス(窒素) 98.7体積%
反応性ガス(パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、AY43−158E) 1.3体積%
〈反応ガス5:防汚層形成用反応ガス〉
希ガス(窒素) 99.0体積%
反応性ガス(ヘキサフルオロプロパン) 1.0体積%
《防汚層を有する光学フィルム9の作製》
〈ラジカル重合性フッ素樹脂の合成〉
先ず、ラジカル重合性フッ素樹脂(A)の合成を下記のごとく行った。すなわち、攪拌機、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(セントラル硝子社製、水酸基を有する有機溶媒可溶性フッ素樹脂)を1554質量部、キシレンを233質量部、2−イソシアナトエチルメタクリレートを6.3質量部を入れ、乾燥窒素雰囲気下80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、極少量サンプリングして赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認後、反応混合物を取り出し、不揮発分が50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂(A)を得た。
【0173】
〈フッ素/珪素含有樹脂の合成〉
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、上記ラジカル重合性フッ素樹脂(A)36.2質量部、メチルメタクリレート11.6質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.9質量部、サインプレーンFM−0721(チッソ社製、片末端ラジカル重合性ポリシロキサン)10.5質量部、ライトエステルFM−108(共栄社化学社製、ヘプタデカフルオロデシメタクリレート)7.7質量部、メタクリル酸0.4質量部、パーブチルO(日本油脂社製、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサエート)0.3質量部、キシレン1.5質量部、酢酸ブチル60.2質量部、パーブチルO(追加分)0.1質量部を入れ、窒素雰囲気中で90℃で5時間保持することによって、不揮発成分が40質量%で、GPCによる重量平均分子量が168000のフッ素/珪素含有樹脂(樹脂分の計算値水酸基価59)を得た。
【0174】
〈フッ素/珪素含有樹脂のコーティング組成物の調製〉
フッ素/珪素含有樹脂の水酸基当量に対して当量のコロネートHX(日本ポリウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型プレポリマー)を加え、更にフッ素/珪素含有樹脂のコーティング組成物の不揮発成分が35質量%になるように酢酸−n−ブチルエステルで希釈した。
【0175】
〈防汚層の作製〉
上記反射防止フィルムBの低屈折率層の上に、上記フッ素/珪素含有樹脂のコーティング組成物をワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が4μmになるように塗布し、120℃で30分加熱熱硬化し、防汚層を有する光学フィルム9を作製した。
【0176】
上記光学フィルム1〜9について、平均反射率、最高透過率及び防汚性について測定並びに評価を行った。なお、表1における略号として、中/高/低は各反射防止層の積層の状態を示したもの(中屈折率層が基材側である)で、またTACはセルローストリアセテートフィルム、CAPはセルロースアセテートプロピオネートを示している。
【0177】
【表1】
Figure 0004288915
【0178】
上記試料につき評価の結果を表2に示した。
【0179】
【表2】
Figure 0004288915
【0180】
(結果)
大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向電極間の反応ガス雰囲気内で基材をプラズマ放電処理により、珪素化合物とフッ素化合物を含有する反応ガス、特に珪素とフッ素を有する化合物を含有する反応ガスを用いて防汚層を形成した本発明の光学フィルムは、水に対する接触角が大きいにも拘わらず、水滴の滑落角が小さく、汚れが全く付かず、また反射率も非常に小さく、透過率にも優れていた。これに対して、比較例の、プラズマ放電処理によらず、フッ素珪素含有樹脂コーティングしたものは、水に対する接触角が大きいのに、水滴の滑落角も大きく、更に汚れが取れない光学フィルムであった。また珪素及びフッ素を有する化合物を用いたコーティング被膜による光学フィルムは、水滴の滑落角は小さいものの、水に対する接触角が小さく濡れやすく、汚れが落ちにくく、反射率も大きく、透過率も低く非常に劣ったものであった。
【0181】
【発明の効果】
光学フィルムとして透明性を損ねることなく、非常に薄い膜厚で、充分な防汚機能を有する光学フィルム及びその製造方法を提供すること、並びに、防汚層を最外層に、また反射防止層を有する反射防止効果の優れた光学フィルム及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【図2】本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
20 電圧印加手段
21 第1電源
22 第2電源

Claims (16)

  1. 対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を用いて、防汚層形成用反応ガスを該対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該基材の上に防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ωの電圧成分と、該第1の周波数ωより高い第2の周波数ωの電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を用いて、反射防止層形成用反応ガスを対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該基材に直接または他の層を介して、反射防止層を形成させて反射防止フィルムを作製し、該反射防止層の上に、該プラズマ放電処理装置と同様な装置を用い、防汚層形成用反応ガスを対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該防汚層形成用反応ガスを該対向電極間に供給し、該対向電極に高周波電圧を印加し、該対向電極間を移送する該基材に大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理を行い、該反射防止フィルムの該反射防止層の上に該防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ωの電圧成分と、該第1の周波数ωより高い第2の周波数ωの電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  3. 対向電極と、該対向電極に高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、該対向電極間に希ガスと反応性ガスを含有する反応ガスを供給する手段とを有し、大気圧もしくはその近傍の圧力下、該高周波電圧印加手段により該対向電極に電圧を印加することにより、該反応ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を該放電プラズマに晒して該基材の処理を行うプラズマ放電処理装置を反射防止層を形成する層の数及び防汚層の数の複数基連結して用い、反射防止層形成用反応ガス及び防汚層形成用反応ガスをそれぞれのプラズマ放電処理装置の対向電極間に供給し、それぞれの対向電極に高周波電圧を印加し、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、それぞれの対向電極間を移送する該基材に直接または他の層を介して、または形成された反射防止層の上にプラズマ放電処理を行い、連続的に反射防止層または防汚層を形成させる光学フィルムの製造方法において、該高周波電圧が、第1の周波数ωの電圧成分と、該第1の周波数ωより高い第2の周波数ωの電圧成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 防汚層形成用反応ガスが、少なくとも珪素化合物とフッ素化合物の混合物、または珪素及びフッ素を有する化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 反射防止層形成用反応ガスが、少なくとも珪素化合物またはフッ素化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する低屈折率層形成用反応ガスであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 反射防止層形成用反応ガスが、少なくとも錫化合物、チタン化合物及び珪素化合物の混合物または錫化合物及び珪素化合物の混合物から選ばれる化合物または混合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する中屈折率層形成用反応ガスであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 反射防止層形成用反応ガスが、少なくともチタン化合物を含む反応性ガスと希ガスを含有する高屈折率層用反応ガスであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 反射防止層が、低屈折率層の単層構成、低屈折率層と高屈折率層の積層構成、及び低屈折率層と中屈折率層と高屈折率層の積層構成から選ばれる層構成を有することを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 反射防止層が0.1〜5質量%の炭素を含有することを特徴とする請求項2〜8の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  10. 前記他の層が、クリアハードコート層または防眩層であることを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  11. 防汚層を最外層に形成することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. プラズマ放電処理装置の対向電極に、第1の周波数ωが200kHz以下、または第2の周波数ωが800kHz以上の高周波電圧を印加して反射防止層を形成することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  13. 対向電極の少なくとも片方の電極が、金属母材とその上にある誘電体で構成され、該誘電体が無機質の材質であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  14. 誘電体が、アルミナセラミックス溶射後、ゾルゲル反応により無機質の封孔処理を施したものであることを特徴とする請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
  15. 前記防汚層の表面の水に対する接触角が70〜180°であり、且つ水滴の滑落角が50°以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  16. 前記防汚層の表面の水に対する接触角が70〜180°であり、且つ水滴の滑落角が50°以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
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