JP2006306909A - 表面処理方法、表面処理装置、防眩層の形成方法、防眩性フィルム、及び、防眩性低反射フィルム - Google Patents

表面処理方法、表面処理装置、防眩層の形成方法、防眩性フィルム、及び、防眩性低反射フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 処理時間が短い煩雑な工程を必要としない防眩性を有する層を生成する表面処理方法、及びプラズマ放電処理装置、また、これら表面処理方法及びプラズマ放電処理装置により形成された防眩性フィルム及び防眩性低反射フィルムの提供。
【解決手段】 少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物の表面を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において窒素ガス及び反応性ガスを含むプラズマ状態の混合ガスに曝す大気圧プラズマ処理によって、前記被処理物の表面に凹凸及び空隙を形成することを特徴とする表面処理方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大気圧または大気圧近傍の圧力下において反応性ガスをプラズマ状態にし、基材に曝すことによって、基材表面に微細な形状の加工を施す表面処理方法、及び表面処理装置、また、該表面処理方法により形成された防眩性フィルム及び防眩性低反射フィルムに関するものである。
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。最近、視認性向上のために反射防止層または防眩層を付与したディスプレイが多く使用されている。反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々の前面板を液晶ディスプレイの偏光子等に貼り合わせることで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。これら、前面板として用いる光学用フィルムには、塗布またはスパッタリング等で形成した反射防止層または防眩層が設けられている。
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることができる。
従来、このような凹凸を形成する方法としては例えば微粒子を塗布液に添加する方法が用いられている(例えば特許文献1参照。)。このほか、エンボス加工する方法(例えば特許文献2参照。)。あらかじめ型を転写させる方法(例えば特許文献3参照。)。等が知られている。
特開昭59−58036号公報 特開平6−234175号公報 特開昭63−298201号公報
しかしながら、上述のエンボス加工や予め型を転写させる方法では、微細な凹凸を形成することが困難でぎらつきを防止するのには不十分であり、この対策として微細な凹凸を形成することが可能な微粒子を塗布液に添加する方法では、微粒子のみで必要な凹凸を形成するため、多量の微粒子を添加する必要があり、塗布層内部で表面の凹凸とは無関係な散乱が生じてしまい、この結果、透過画像もぼけてしまうと共に処理時間が長いという問題点があった。
上記問題点に鑑み、本発明の目的は、処理時間が短い煩雑な工程を必要としない防眩性を有する層を生成する表面処理方法、及びプラズマ放電処理装置、また、これら表面処理方法及びプラズマ放電処理装置により形成された防眩性フィルム及び防眩性低反射フィルムを提供することである。
本発明の目的は下記手段により達成される。
(1)少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物の表面を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において窒素ガス及び反応性ガスを含むプラズマ状態の混合ガスに曝す大気圧プラズマ処理によって、前記被処理物の表面に凹凸及び空隙を形成することを特徴とする表面処理方法。
(2)前記物質のうちの少なくとも1つが、前記大気圧プラズマ処理によってガス化しやすい物質であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
(3)前記物質のうちの少なくとも1つが炭素を含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
(4)前記物質のうちの少なくとも1つが有機物であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
(5)前記被処理物中の炭素含有量を制御することにより、前記大気圧プラズマ処理による被処理物表面の凹凸及び空隙の形成量を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の表面処理方法。
(6)前記被処理物が、塗布により不均一組成を有するように生成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の表面処理方法。
(7)前記被処理物が、前記大気圧プラズマ処理により不均一組成を有するように生成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の表面処理方法。
(8)前記反応性ガスに、酸素またはフッ素を含む化合物からなるガスが含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の表面処理方法。
(9)前記被処理物の温度を、ガラス転移温度以下にすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の表面処理方法。
(10)前記大気圧プラズマ処理は、対向する電極の対向領域において、少なくとも一方の電極に接続された所定の周波数の電圧を出力する少なくとも1つの電源により電界を発生させ、該電界により窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記電極の対向領域においてプラズマ状態とし、前記プラズマ状態となった前記混合ガスに被処理物の表面を晒すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の表面処理方法。
(11)前記大気圧プラズマ処理は、対向する電極の対向領域において、対向する電極にそれぞれ接続された異なる周波数の電圧を出力する2つの電源により電界を発生させ、該電界により窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記電極の対向領域においてプラズマ状態とし、前記プラズマ状態となった前記混合ガスに被処理物の表面を晒すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の表面処理方法。
(12)請求項1〜11のいずれか一つに記載の表面処理方法により、被処理物表面に防眩層を形成することを特徴とする防眩層の形成方法。
(13)請求項12記載の防眩層の形成方法により形成された防眩層を有することを特徴とする防眩性フィルム。
(14)請求項13記載の防眩性フィルムの上面に反射防止層を備えることを特徴とする防眩性低反射フィルム。
(15)少なくとも1対の対向する電極と、前記対向する電極にそれぞれ接続された異なる周波数の電圧を出力する2の電源と、窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記対向する電極の対向領域に供給するガス供給手段と、プラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物を搬送する搬送手段とを有し、
前記ガス供給手段により前記対向領域に供給された前記混合ガスを、大気圧または大気圧近傍の圧力下において前記電源から出力された異なる周波数が重畳された電界によりプラズマ状態とし、プラズマ状態となった前記混合ガスを前記被処理物の表面に晒し、前記被処理物の表面に凹凸及び空隙を形成することを特徴とする表面処理装置。
(16)前記物質のうちの少なくとも1つが炭素を含有する化合物であることを特徴とする請求項15に記載の表面処理装置。
(17)前記物質のうちの少なくとも1つが有機物であることを特徴とする請求項15に記載の表面処理装置。
(1)に記載の、混合ガスに窒素を含む混合ガス用い、対向する電極の対向領域においてプラズマ放電を行わせ、表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物をプラズマに晒す表面処理により、窒素を用いない場合の表面処理方法に比し被処理物表面に微少な凹凸等を形成する処理時間を略2/3〜1/2に短縮した表面処理方法の提供が可能となる。
(2)、(3)、(4)に記載の、プラズマ耐性が異なる複数の物質として、少なくとも1をプラズマ処理によってガス化しやすい物質、或いは炭素を含有する化合物、或いは有機物とすることにより、均一且つ効率的に表面処理が可能となる。
(5)に記載の、炭素含有率を制御することにより、安定して均一な処理が可能となる。
(6)に記載の、塗布により効率的に不均一な組成を有する被処理物形成が可能となる。
(7)に記載の、大気圧プラズマにより、より効率的に不均一な組成を有する被処理物形成が可能となる。
(8)に記載の、反応性ガスに、酸素またはフッ素を含む化合物からなるガスを含ませることにより、短時間で(効率的に)基材表面に凹凸及び空隙を形成可能とすることが可能となる。
(9)に記載の、被処理物の温度をガラス転移温度以下にすることにより、被処理物を劣化等させずに高品質な処理が可能となる。
(10)に記載の、電源を用いることにより処理時間が短い表面処理方法の提供が可能となる。
(11)に記載の、それぞれ異なる周波数の2つの電源を用いることにより、更に処理時間が短い表面処理方法の提供が可能となる。
(12)に記載の、(1)〜(11)記載の表面処理方法により効率的に防眩層の形成が可能となる。
(13)、(14)により、防眩層フィルム、防眩性低反射フィルムの提供が可能となる。
(15)に記載の、窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを、異なる周波数の2つの電界が重畳された電界でプラズマ化し、表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物をプラズマに晒す表面処理装置により、窒素を用いない場合の表面処理装置に比し被処理物表面に微少な凹凸等を形成する処理時間を略2/3〜1/2に短縮した表面処理装置の提供が可能となる。
(16)、(17)に記載の、プラズマ耐性が異なる複数の物質として、少なくとも1つを炭素を含有する化合物、或いは有機物とすることにより、均一且つ効率的な表面処理装置の提供が可能となる。
本発明は、大気圧プラズマによる表面処理加工を利用し、短時間で被処理物(以下基材とも記す)表面に防眩のための凹凸及び空隙を形成しようとするものである。
本発明者は、防眩の為の理想的な凹凸及び空隙を基材表面に形成するために、少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物である、基材(被処理物)表面の組成に炭素成分由来の有機物を含有する基材を用いて、その表面にプラズマ密度の高い大気圧プラズマ処理を施すことで、均一に凹凸及び空隙を形成できること、及び、異なる周波数の電界を重畳した電界により窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスをプラズマ化することによって、より短時間で(効率的に)基材表面に凹凸及び空隙を形成可能なことを見い出した。ここで、大気圧プラズマにより凹凸及び空隙が形成されるメカニズムとしては、炭素などの有機物成分がプラズマのエネルギーにより結合を切断され、雰囲気中の酸素、基材中の酸素などと結合して二酸化炭素などのガスとなって基材を離脱するためと考えられる。
基材表面にプラズマ処理あるいは塗布を行うことにより、表面の組成に炭素成分由来の有機物を含有する基材を形成する。例えば、周知のプラズマ放電処理装置を用い、電極に印加する高周波電圧の周波数、プラズマの投入出力密度を制御することが最も簡便に行えるため好ましい。そのほかの方法としては、ガス濃度などのガス条件を調整する方法、プラズマ印加電圧のパルス化による正味の投入出力を低下させる方法などがあるが、意図的にガス化しやすい炭素などの有機物成分を残留させる方法であれば上記に限定されない。
このようにして、少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物である意図的に有機物成分を残留させた基材に対して、窒素を含む混合ガスを異なる周波数の電界を重畳した電界によりプラズマ化する大気圧プラズマ処理(製膜条件とは別の処理条件が好ましい)を施すことで防眩層として理想的な表面凹凸を有する表面を形成することができる。
このように、上述したプラズマ処理(大気圧プラズマ処理)により基材表面に凹凸及び空隙を形成するので、処理速度の早い表面処理の工程の提供を可能とし、更に、表面処理の工程を防眩層フィルムや防眩性低反射フィルム製造に要する他の工程とインライン化することができる。従って、煩雑な工程を経ることなく、連続的に一環した加工により防眩層フィルムや防眩性低反射フィルムを製造でき、生産性の向上を可能とした。
なお、不均一組成とは、プラズマ耐性(プラズマに対するエッチング耐性)が異なる複数の物質による組成を指す。
以下、本発明に係る基材表面に微細な形状の加工を施す表面処理方法、及び表面処理装置、また、該表面処理方法により形成された防眩性フィルム及び防眩性低反射フィルムについて、その好ましい実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、以下の説明では、用語等に対する断定的な表現があるが、本発明の好ましい例を示すものであり、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
なお、大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
先ず、少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物(基材)を形成し、その表面に凹凸及び空隙を形成するプラズマ放電処理装置について説明する。
図1は、プラズマ放電処理装置10の一例を示す概略図である。
図1において、表面処理装置であるプラズマ放電処理装置10は、前工程から搬送された長尺フィルム状の基材Fが、搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極21に巻回されながら搬送される。固定されている電極(以下固定電極とも記す)22は複数の角柱或いは角筒柱から構成され、ロール電極21に対向して設置される。ロール電極21に巻回された基材Fは、ニップローラ23a、23bで押圧され、また、ガイドローラ24で規制されて、プラズマ放電処理容器20によって確保された放電処理空間に搬送される。そして、放電処理空間内で放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ25を介して次工程に搬送される。また、仕切板26はニップローラ23bに近接して配置され、基材Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器20内に進入するのを抑制する。
プラズマ放電処理容器20には、混合ガスを生成するガス発生装置40、第1の電源50、電極冷却ユニット70等が配置されている。
なお、ガス供給手段であるガス発生装置40は放電ガス及び反応性ガスを含む混合ガスGを生成し、ロール電極21と固定電極22との対向領域に供給する。
そして、混合ガスGは給気口27からプラズマ放電処理容器20に導入され、処理後の排ガスG’は排気口28から排気される。
また、第1の電源50としては、特に限定はないが、神鋼電機製高周波電源(3kHz)、神鋼電機製高周波電源(5kHz)、春日電機製高周波電源(15kHz)、神鋼電機製高周波電源(50kHz)、ハイデン研究所製高周波電源(100kHz)等が使用できる。
ハイデン研究所製高周波電源(100kHz)はパルスモードと呼ばれる発振のON/OFFを断続的に行う断続発振モードを有しているが、各電源から供給する電圧波形は他の電源の様な連続的なサイン波形でも、ハイデン研究所製高周波電源のような断続発振波形でも良い。
また、電極冷却ユニット70の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられ、ロール電極21、固定電極22内部を循環する。そして、電極冷却ユニット70は冷却剤の流量を調整してロール電極21、及び固定電極22表面を放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材の温度をガラス転移温度以下、即ち常温(15℃〜25℃)〜200℃未満の温度に調整する。更に好ましくは常温〜100℃に調整する。
プラズマ放電処理装置10による大気圧プラズマ処理について説明すると、プラズマ放電処理容器20内の所定位置にロール電極21及び固定電極22が配置されており、ロール電極21には第1の電源50が接続され、固定電極22はアースに接続されている。
ガス発生装置40で発生させた混合ガスGは流量制御され、ガス充填手段41を介して給気口27よりプラズマ放電処理容器20内に供給され、プラズマ放電処理容器20内がプラズマ処理に用いる混合ガスGで充填される。
第1の電源50によりロール電極21と固定電極22との対向領域301に高周波電界を印加し、放電させ混合ガスGのプラズマを発生させる。
基材Fは、ロール電極21に捲着されながらロール電極21と固定電極22との間を搬送される。そして、ロール電極21と固定電極22との間を搬送中に、発生した放電プラズマに晒されることにより、例えば基材Fの表面にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する薄膜が形成され、また、例えば基材Fの表面に凹凸及び空隙が形成される。
なお、第1の電源50よりロール電極21に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5kV〜10kV程度で、1kHz以上で200kHz以下に調整される。ここで電源の電圧波形に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが、連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
また、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材Fの温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜100℃に調整する。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じてロール電極21と固定電極22とは電極の冷却手段である電極冷却ユニット70で冷却しながら放電プラズマ処理される。
図2は、他のプラズマ放電処理装置30の一例を示す概略図である。
他の表面処理装置であるプラズマ放電処理装置30は、基本的には図1で説明したプラズマ放電処理装置10と同様な構成を有し、図1との違いは、固定電極22に第2の電源60を付加した部分なので、異なる部分について説明する。
プラズマ放電処理容器20には、前述以外に第2の電源60が配置されている。
第2の電源60としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
プラズマ放電処理装置30による大気圧プラズマ処理について説明すると、プラズマ放電処理容器20内の所定位置にロール電極21及び固定電極22が配置されており、固定電極22には第2の電源60が接続され、ロール電極21には第1の電源50が接続されている。
ロール電極21と固定電極22との対向領域301に、第1の電源50及び第2の電源60により周波数の異なる電圧が重畳された高周波電界を印加し、放電させ、混合ガスGのプラズマを発生させる。
第2の電源60より固定電極22に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.1kV〜10kV程度で、電源周波数は電源周波数は100kHz以上150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと前述したパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良い。
なお、ロール電極21と第1電源50との間には、第1フィルタ51が設置されており、第1電源50からロール電極22への電流を通過しやすくし、第2電源60からの電流をアースして、第2電源60から第1電源50への電流が通過しにくくなるようになっており、
固定電極22と第2電源60との間には、第2フィルター61が設置されており、第2電源60から固定電極22への電流を通過しやすくし、第1電源50からの電流をアースして、第1電源50から第2電源60への電流を通過しにくくするようになっている。
また、第1の高周波電源50は周波数ω1、電極の放電面の単位面積当たり出力電流I1、固定電極22とロール電極22との間に電界強度V1の印加を可能とし、第2の高周波電源60は周波数ω2、電極の放電面の単位面積当たり出力電流I2、固定電極22とロール電極22との間に電界強度V2の印加を可能としている。
そして、両電源により固定電極22とロール電極21との対向領域301に周波数ω1と周波数ω2が重畳された高周波電界を発生させる。
放電ガスに対して放電を開始させる両電極間に印加する電界強度をIVとすると、安定して放電が開始し、放電開始後も薄膜形成ガス等を安定して励起できるように、
各電源の関係はω2>ω1、及び、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を有し、例えば放電ガスを窒素とした場合、窒素ガスの放電開始可能な電界強度は3.7kV/mmの為、少なくとも第1の高周波電源50から印可する電界強度V1は3.7kV/mm、またはそれ以上とし、第2の高周波電源60から印可する電界強度V2は3.7kV/mm、またはそれ未満とすることが好ましい。
また、電流は電極の放電面の単位面積当たり、I1<I2となることが好ましい。電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜20mA/cm2である。また、電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
なお、第1の高周波電源50と第2の高周波電源60とに関する周波数ω1、ω2、印加する電界強度V1、V2、の関係は、ω1>ω2、及び、V1≦IV<V2またはV1<IV≦V2としても良い。
図3は、上述の円筒型のロール電極21の一例を示す概略図である。
ロール電極21の構成について説明すると、図3(a)において、ロール電極21は、金属等の導電性母材21a(以下、「電極母材」ともいう。)に対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体21b(以下、単に「誘電体」ともいう。)を被覆した組み合わせで構成されている。
また、図3(b)に示すように、金属等の導電性母材21Aにライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体21Bを被覆した組み合わせでロール電極21を構成してもよい。
ロール電極21は、導電性母材21aをプラズマ放電処理装置10ではアースに接続し、プラズマ放電処理装置30ではフィルタを介して第2の高周波電源60に接続してある。
ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。金属等の導電性母材21a、21Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。尚、本実施の形態においては、ロール電極の母材21a、21Aは、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
また、本発明の薄膜形成方法に係る放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
図4は、角柱型の固定電極22の一例を示す概略図である。
図4(a)において、角柱或いは角筒柱の固定電極22は上記記載のロール電極21と同様に、金属等の導電性母材22aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体22bを被覆した組み合わせで構成されている。また、図4(b)に示す様に、角柱或いは角筒柱型の固定電極22は金属等の導電性母材22Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体22Bを被覆した組み合わせで構成してもよい。
ロール電極21と固定電極22との対向領域301に不均一な強度分布の電界を発生させ、プラズマの放電強度を不均一にさせるため、以下に示すような処理が施されている。
図5は被処理物表面の凹凸及び空隙の概念図である。
図5は被処理物100の表面の部分断面斜視図であり、表面に不均一な複数の凹凸101及び不図示の複数の空隙を有している。
なお、不均一な複数の凹凸101とは、炭素を含有する化合物(有機物)がプラズマによりガス化され抜け出た穴部である凹部101aと、それ以外の部分の凸部101bを指している。
このため、炭素を含有する化合物(有機物)の量に応じた深さと大きさの穴が被処理物100の表面に形成される。そして、炭素を含有する化合物(有機物)の不均一な分布により、凹凸101の位置、高さ(深さ)、及び形状が不定となっている。
また、表面の凹凸の粗さがJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以上である。
図6は、プラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する基材、及び該基材表面に不均一な凹凸を形成する大気圧プラズマ装置の説明図である。
第1のプラズマ放電処理装置1は基材(被処理物)表面の組成に炭素成分由来の有機物を含有する基材を形成し、第2のプラズマ放電処理装置2はその表面にプラズマ密度の高い大気圧プラズマ処理を施すことで基材表面に不均一な凹凸及び空隙を形成する。
そして、第1のプラズマ放電処理装置及び第2のプラズマ放電処理装置1は、図1を参照して説明したプラズマ放電処理装置10を用いることができる。しかし、放電ガスにアルゴン等の希ガスに比して放電開始電界強度が高い窒素ガスを用いる本発明は、窒素ガスを用いても処理時間が短いプラズマ放電処理装置30を用いることがより好ましい。以下プラズマ放電処理装置30を用いた場合について説明する。
元巻きロールRから巻き出され、搬送される長尺フィルム状の基材Fは、第1のプラズマ放電処理装置1に搬送される。
そして、第1のガス発生装置45により、薄膜を形成する物質のガス及び薄膜を形成する物質に対してプラズマ耐性が異なる物質のガスと、放電ガスと、の混合ガスG1を生成し、ロール電極21と固定電極22との対向領域301に供給する。
ここで、前記プラズマ耐性が異なる物質は、大気圧プラズマ処理によってガス化しやすい物質、また、炭素を含有する化合物、また、有機物が、第1のガス発生装置45により供給されてガス化される。
対向領域301に供給された混合ガスG1は、第1の電源501及び第2の電源601により周波数の異なる電圧が重畳された高周波電界が印加され、対向領域301でプラズマ化される。そして、基材Fの表面にプラズマ化された混合ガスG1が晒されて、基材Fの表面にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する層を形成する。
即ち、基材上には、少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質である、ガス化しやすい物質、また、炭素を含有する化合物、また、有機物が、による不均一な組成を有する薄膜が形成される。
なお、複数の固定電極22のうち所定の数の固定電極22を作用させることにより所定の厚さのプラズマ耐性が異なる複数の物質を有する層の形成が可能となる。
そして、プラズマ耐性が異なる複数の物質を含有した層を表面に形成した基材F2はガイドローラ25を介して、第2のプラズマ放電処理装置2に搬送される。
そして、第2のプラズマ放電処理装置2で、第2のガス発生装置46により例えば窒素と酸素と4フッ化炭素との混合ガスG2を生成し、混合ガスG2はロール電極21と固定電極22との対向領域301に供給される。
対向領域301に供給された混合ガスG2は、第1の電源502及び第2の電源602により周波数の異なる電圧が重畳された高周波電界が印加され、対向領域301でプラズマ化される。そして、基材F2の表面にプラズマ化された混合ガスG2が晒されて、基材F2の表面に不均一な凹凸及び空隙を形成する。
なお、複数の固定電極22のうち所定の数の固定電極22を作用させることにより所定の密度の凹凸及び空隙を形成することが可能となる。
基材表面に不均一な凹凸及び空隙を形成した基材F3はガイドローラ25を介して、図示しない後工程に搬送される。
次に、図1、図2、及び図6に示す本発明のプラズマ放電処理装置10、30、1、及び2に用いるガスについて説明する。
本発明においてガス発生装置40からプラズマ放電処理装置10及び30に供給するガス、また、第1のガス発生装置45から第1のプラズマ放電処理装置1及び第2のガス発生装置46から第2のプラズマ放電処理装置2に供給するガスは、基材上に設けたい薄膜の種類、或いはその表面処理によって異なるが、基本的に、放電を行わせる放電ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスの混合ガス、或いは基材に凹凸を設ける為の窒素を主とした混合ガスである。
なお、上記放電ガスとは、不活性ガスである窒素、また、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明の処理速度を早くする効果を得るためには、特に窒素が好ましく用いられる。
反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましく、薄膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の薄膜が得られる。
第1のガス発生装置45から第1のプラズマ放電処理装置1に供給する反応性ガスについて説明すると、例えば、ジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含む反応性ガスを用いて、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な金属酸化物層を形成することができる。
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CF3CFCF2)、8フッ化シクロブタン(C4F8)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いる。
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有する反応性ガスを用いることにより、反射防止膜の低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
また、係る有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
反応性ガスに有機金属化合物を添加する場合、例えば、有機金属化合物としてLi,Be,B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Cd,In,Ir,Sn,Sb,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Tl,Pb,Bi,Ce,Pr,Nd,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される金属を含むことができる。より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。次に、本発明に用いることができる基材について説明する。本発明に用いることができる基材としては、フィルム状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材が電極間に載置できるものであれば、電極間に載置することによって、基材が電極間に載置できないものであれば、発生したプラズマを当該基材に吹き付けることによって薄膜を形成すればよい。
次に、本発明に用いることができる基材について説明する。本発明に用いることができる基材としては、特に限定はないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂を好ましく用いることができる。
フィルム状の樹脂を基材として用いることで、図6に示す連続した工程等を組むことが可能となり、生産性を向上すると共に薄膜をその表面に形成できる。
好ましくは、フィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
また、基材上に設ける薄膜が反射防止膜である場合には、支持体としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが低い反射率の積層体が得られる為、好ましい。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
本発明において、反射防止膜を有する基材として上記セルロースエステルフィルムを用いる場合、このセルロースエステルフィルムには可塑剤を含有するのが好ましい。
可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合体を用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることが出来る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いても良いし、二種以上混合して用いても良い。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。
また、薄膜が反射防止膜である場合、基材(支持体単独の場合もある)としては、液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。又、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
又、本発明の支持体に用いることのできる紫外線吸収剤は特願平11−295209号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが、プラズマ処理工程の汚染が少なく、また、各種塗布層の塗布性にも優れる為好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
可塑剤や紫外線吸収剤吸収剤を含むセルロースエステルフィルムを基材として用いた場合、これらがブリードアウトするなどによって、プラズマ処理部に付着するなどして工程を汚染し、これがフィルムに付着する可能性が考えられる。この問題を解決するためには、支持体がセルロースエステルと可塑剤を有し、80℃、90%RHで時間処理した前後の質量変化が±2質量%未満である支持体を用いることが好ましい(保留性)。このようなセルロースエステルフィルムは特願2000−338883号記載のセルロースエステルフィルム等が好ましく用いられる。又、この目的のために特開平6−148430号、特願2000−156039号記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)が好ましく用いることができる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)などが市販されている。特開平6−148430号の一般式(1)あるいは一般式(2)あるいは特願2000−156039の一般式(3)(6)(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
薄膜が反射防止膜である場合の基材の光学特性としては、面内リターデーションR0は0〜1000nmのものが好ましく用いられ、厚味方向のリターデーションRtは0〜300nmのものが用途に応じて好ましく用いられる。又、波長分散特性としてはR0(600)/R0(450)は0.7〜1.3であることが好ましく、特に1.0〜1.3であること好ましい。
ここで、R0(450)は波長450nmの光による3次元屈折率測定に基づいた面内リターデーション、R0(600)は波長600nmの光による3次元屈折率測定に基づいた面内リターデーションを表す。
薄膜が反射防止膜である場合、基材と放電プラズマ処理により形成される薄膜との密着性を向上させる観点から、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した層に、上記記載の放電プラズマ処理をして形成されたものであることが好ましく、特に、前記エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した層をpH10以上の溶液で処理した後に放電プラズマ処理することにより、さらに密着性が改善されるため好ましい。pH10以上の溶液としては、0.1〜3mol/Lの水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム水溶液等が好ましく用いられる。
エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂を構成成分として含有する層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。
ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤又光増感剤は該組成物の2.5〜6質量%であることが好ましい。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用できる。
本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれでも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒として前述のバックコート層や導電性微粒子を含有する樹脂層を塗設する溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。塗布速度は好ましくは10〜60m/分で行われる。
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005μm〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。
このようにして形成された紫外線硬化樹脂を硬化させた層は中心線表面粗さRaが1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防眩層であってもよい。以上のようにして、基材の表面に紫外線硬化樹脂を硬化させた層が塗布される。
次に、第2のプラズマ放電処理装置2について説明すると、
プラズマ放電処理装置2の第2のガス供給装置46により窒素と酸素と4フッ化炭素を含む混合ガスを供給し、この薄膜の表面に前述した大気圧プラズマ処理を施すことで、薄膜中の有機物成分をガス化させ除去することにより、薄膜表面に、防眩性に対して理想的な均一な凹凸及び空隙を形成する。
ここで、処理時間の短縮のため上述したように放電ガスとして窒素ガスを用いることが好ましく、高い放電開始電圧を持つ窒素ガスをプラズマ化するのに適したプラズマ放電処理装置30によりプラズマ処理を施すことが好ましい。
また、大気圧プラズマ処理により凹凸が形成された薄膜(防眩層フィルム)の表面に、低屈折率層や高屈折率層等の屈折率が異なる光学干渉層を積層して防眩性低反射フィルムを形成してもよい。以下に、防眩性低反射フィルムの好ましい構成例i)〜v)を示す。なお、/は積層されていることを示す。
i)バックコート層/支持体/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、ii)バックコート層/支持体/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、iii)バックコート層/支持体/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、iv)バックコート層/支持体/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、v)帯電防止層/支持体/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、なお、汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に防汚層を設けることが好ましい。
防汚層は、例えば、図1に示したプラズマ放電処理装置10を用いて、下記の処理条件で大気圧プラズマ処理により製膜することもできる。
電源周波数とメーカー:13.56MHz(パール工業製)
放電出力密度:4W/cm2
ガス条件:ガス1:アルゴン 99.8体積%、ガス2:6フッ化プロピレン 0.2体積%
また、帯電防止層〔構成例iv)及びv)〕は、例えば、図1に示したプラズマ放電処理装置10を用いて、下記の処理条件で大気圧プラズマ処理にて製膜することもできる。
電源周波数とメーカー:13.56MHz(パール工業製)
放電出力密度:4W/cm2
ガス条件:ガス1:アルゴン 99.5体積%、ガス2:テトラブチル錫にアルゴンをバブリング、トリエチルインジウムにアルゴンをバブリング、これら2つのバブリングにより含まれるテトラブチル錫とトリエチルインジウムの蒸気を混合したもの 0.5体積%
光学干渉層の塗布による製膜方法は、以下の手順による。
中屈折率層の塗設:上述の防眩膜上に、下記中屈折率層組成物を塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を180mJ/cm2照射して硬化させ、中屈折率層(厚さは77nm、屈折率は1.70)を設ける。
中屈折率層組成物:テトラ(n)ブトキシチタン 250質量部、末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製 L−9000)0.5質量部、アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 KBE903)22質量部、UV硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製 KR500)21質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 4850質量部、イソプロピルアルコール 4900質量部
高屈折率層の塗設:上記形成した中屈折率層の上に、下記高屈折率層組成物を塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を180mJ/cm2照射して硬化させ、高屈折率層(厚さは65nmで、屈折率は1.85)を設けた。
高屈折率層組成物:テトラ(n)ブトキシチタン 310質量部、末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製 L−9000)0.4質量部、アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製 KBE903)4.8質量部、UV硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製 KR500)4.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 4800質量部、イソプロピルアルコール 4900質量部
低屈折率層の塗設:上記形成した高屈折率層の上に、下記低屈折率層組成物を塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、120℃で5分間熱硬化させ、更に高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を180mJ/cm2照射し、低屈折率層(厚さは95nmで、屈折率1.45)を設けた。
低屈折率層組成物:テトラエトキシシラン加水分解物(*1)1020質量部、末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製 L−9000)0.42質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 2700質量部、イソプロピルアルコール 6300質量部、*1:テトラエトキシシラン加水分解物の調製テトラエトキシシラン300gとエタノール455gを混合し、これに0.5質量%クエン酸水溶液225gを添加した後、室温にて1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物を調製した。
また、光学干渉層のプラズマ処理による製膜方法は、上述の防眩層の上に、図1に示したプラズマ放電処理装置10を用い、以下の手順による。
高屈折率層:放電ガス:アルゴン、水素ガス(アルゴンに対し1%)、反応ガス:テトライソプロポキシチタン蒸気(100℃に加熱後、アルゴンガスにてバブリング)
放電密度:450W・min/m2、処理速度:30m/min
低屈折率層:放電ガス:アルゴン、水素ガス(アルゴンに対し1%)、反応ガス:テトラエトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)
放電密度:400W・min/m2、処理速度:30m/min
なお、基材面に対して薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
また、基材表面の薄膜をプラズマ処理する前に、プラズマ処理面に紫外線を照射することが形成される皮膜の密着性に優れるため好ましい。紫外線照射光量としては50〜2000mJ/cm2であることが好ましい。50mJ/cm2未満では、効果が十分ではなく、2000mJ/cm2を越えると基材の変形等が生じる恐れがあり好ましくない。紫外線照射後、1時間以内にプラズマ処理することが好ましく、特に紫外線照射後10分以内にプラズマ処理することが好ましい。プラズマ処理前の紫外線の照射は、前述の紫外線硬化樹脂の硬化のための紫外線照射と同時に行ってもよく、その場合、硬化のために最低限必要な紫外線照射量よりも多くすることが好ましい。また、プラズマ処理を行った後に紫外線照射することも、形成された皮膜を早期に安定化させるために有効である。
このため、紫外線照射光量として50〜2000mJ/cm2をプラズマ処理後にプラズマ処理面に照射することが好ましい。これらの処理はプラズマ処理の後、巻き取り工程までの間に行うことが好ましい。また、プラズマ処理後の基材は50〜130℃に調整された乾燥ゾーンにおいて1〜30分処理されることが好ましい。
反射防止膜を有する基材は、両面にプラズマ処理が施されていることが処理後のカールが少なくなるため好ましい。裏面のプラズマ処理は別々に行ってもよいが、両面同時にプラズマ処理を行うことが好ましく、低反射加工側の裏面側には、プラズマ処理による裏面加工を行うことが好ましい。例えば、特願2000−273066号記載の易接着加工、特願2000−80043号記載の帯電防止加工があげられるが、特にこれらに限定されない。
反射防止膜を有する基材は、屈折率が1.6〜2.3の酸化チタンを主成分とする高屈折率層、屈折率が1.3〜1.5の酸化ケイ素を主成分とする低屈折率層を長尺フィルム状の基材表面に連続して設けることが好ましい。これにより各層の間の密着性が良好となる。好ましくは基材フィルム上に紫外線硬化樹脂層を設けた後、直ちにプラズマ処理によって高屈折率層及び低屈折率層を設けることがより好ましい。
また、前記高屈折率層が酸化チタンを主成分とし、屈折率が2.2以上であることが特に好ましい。
反射防止膜の高屈折率層及び低屈折率層の炭素含有率は、ともに0.2〜5質量%であることが下層との密着性と膜の柔軟性のために好ましい。より好ましくは炭素含有率は0.3〜3質量%である。すなわち、プラズマ処理によって形成された層は有機物(炭素原子)を含んでいるため、その範囲が膜に柔軟性を与えるため、膜の密着性に優れ好ましい。炭素の比率が多くなりすぎると経時で屈折率が変動しやすくなる傾向があり、好ましくない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.基材フィルム(セルロースエステルフィルム)の作製
以下に示す方法に従って、基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
(1)ドープCの調製
(酸化ケイ素分散液Aの調製)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
(添加液Bの調製)
セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.65) 6kg
メチレンクロライド 140kg
上記素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化ケイ素分散液Aを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Bを調製した。
(ドープ原液Cの調製)
メチレンクロライド 40kg
エタノール 35kg
トリアセチルセルロース(アセチル置換度:2.65) 100kg
トリフェニルフォスフェート 8kg
エチルフタリルエチルグリコレート 3kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.4kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ原液Cを調製した。
更に溶液100kgあたり添加液Bを2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機H−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープCを調製した。
(2)ドープEの調製
(酸化ケイ素分散液Aの調製)
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 1kg
(一次粒子の平均径16nm)
エタノール 9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
(添加液Dの調製)
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、プロピオニル基置換度:0.8) 6kg
酢酸メチル 100kg
エタノール 40kg
上記の素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化ケイ素分散液Aを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Dを調製した。
(ドープ原液Eの調製)
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、プロピオニル基置換度:0.8) 100kg
酢酸メチル 290kg
エタノール 85kg
KE−604(荒川化学工業) 15kg
PUVA−30M(大塚化学(株)製) 5kg
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ原液Eを調製した。
更に溶液100kgあたり添加液Dを2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープEを調製した。
(3)ドープGの調製
(酸化ケイ素分散液Fの調製)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
(添加液Eの調製)
セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.88) 6kg
メチレンクロライド 140kg
上記素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化ケイ素分散液Fを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Eを調製した。
(ドープ原液Gの調製)
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
トリアセチルセルロース(アセチル置換度:2.88) 100kg
トリフェニルフォスフェート 9kg
エチルフタリルエチルグリコレート 4kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.4kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.9kg
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ原液Gを調製した。
更に溶液100kgあたり添加液Eを2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープGを調製した。尚、上記記載のドープC、E、Gの各々の調製に用いたセルロースエステルの置換度の測定は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて行った。
(4)セルロースエステルフィルムの作製
上記で調製したドープC、E及びGを用いて下記のようにしてセルロースエステルフィルムを作製した。
ドープEを濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は35%であった。
ステンレスバンド支持体から剥離した後、幅方向に保持しながら115℃で乾燥させた後、幅保持を解放して、ロール搬送しながら120℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作製した。フィルム幅は1300mm、巻き取り長は1500mとした。
上記で得られたセルロースエステルフィルムについては、下記の方法で保留性を測定した。その結果、80℃、90%RHの条件下で48時間放置した前後の質量変化から求められた保留性は0.4%であった。
(5)保留性の測定方法
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80℃、90%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性(質量%)を計算した。
保留性={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
次に、作製したセルロースエステルフィルム上に下記のクリアハードコート層を塗布した。
(クリアハードコート層の生成方法)
下記のクリアハードコート層塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなるように押し出しコーターでコーティングし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で4μm、算術平均粗さ(Ra)15nmのクリアハードコート層を作製する。
(クリアハードコート層塗布組成物)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
2.プラズマ処理による製膜
上述のようにして得られた膜厚80μmのセルロースエステルフィルム上に、図1に示すプラズマ放電処理装置10を用い、下記に示すプラズマ処理条件下により膜厚4μmのSiO2を主成分とする製膜を行い、基材フィルム1〜6を作製した。
プラズマ処理条件
(ガス条件)
ガス1:窒素…98.75体積%
ガス2:酸素…混合ガス全体に対して1体積%
ガス3:テトラエトキシシラン蒸気…混合ガス全体に対して0.25体積%
上記ガス1〜3を均一に混合させ、反応ガスとした。ガス3は40℃に加熱したテトラエトキシシラン(液体)をガス1の一部を使ってバブリングすることによりテトラエトキシシラン蒸気を供給することができる。
次に、作製した基材フィルム1〜6の炭素含有率を、以下の測定方法により測定した。
(1)炭素含有率を、XPS表面分析装置を用いて測定する。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定をおこなう前に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定おいては、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。
(2)結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
(3)次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM(Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration)として求めた。
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
表1に基材フィルム1〜6の製作条件及び炭素含有率を示す。
Figure 2006306909
3.防眩層フィルムの作製
上記の基材フィルム1〜6に対して、図1及び2に示すプラズマ放電処理装置10及び30を用い、下記に示すプラズマ処理条件下により、防眩層フィルム1〜24を作製した。
なお、表中−部は当該電極に電圧を印加せずアースに落としていることを示している。
(ガス条件)
下記ガスを均一に混合させて放電空間に供給し、混合ガスとした。
ガス1:表2の条件欄に示すガス…98.0体積%
ガス2:CF4…混合ガス全体に対して1.0体積%
ガス3:酸素…混合ガス全体に対して1.0体積%
上記のようにして作製した防眩層フィルムが何秒の処理時間で良好な防眩性を発するかの確認を行うため、処理時間に対する防眩性の評価を行なった。
具体的には、5秒間のプラズマ処理を行なった後に防眩性の評価を行ない、再び5秒間のプラズマ処理を行なった後に防眩性の評価を行なった。これを繰り返し、プラズマ処理時間が最高40秒までの防眩性を評価した。結果を表2の結果欄に示した。
(防眩性の評価方法)
作製した試料面に、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、その蛍光灯反射像のボケの程度を、以下に示す基準に従い、目視観察にて防眩性ランクを評価した。
◎:蛍光灯像の輪郭がまったくわからない。
○:蛍光灯像の輪郭が僅かに見える。
△:蛍光灯像はボケてはいるが、輪郭が識別できる。
×:蛍光灯像がほとんどボケない。
表2に評価結果を示す。
また放電ガスとしてアルゴンガスを用いた場合、また窒素ガスを用いても従来の炭素含有率が少ない基材フィルムを用いた場合を比較例とした。
Figure 2006306909
本発明による防眩性フィルムは、優れた防眩性が短時間に得られることが確認された。
プラズマ放電処理装置10の一例を示す概略図である。 他のプラズマ放電処理装置30の一例を示す概略図である。 上述の円筒型のロール電極21の一例を示す概略図である。 角柱型の固定電極22の一例を示す概略図である。 被処理物表面の凹凸及び空隙の概念図である。 プラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する基材、及び該基材表面に不均一な凹凸を形成する大気圧プラズマ装置の説明図である。
符号の説明
10 プラズマ放電処理装置
21 ロール電極
21a 電極母材
21b 誘電体
22 固定電極
29 凹凸
40 ガス発生装置
50 第1の電源
60 第2の電源
211 対向面
212 被着面
301 対向領域
F 基材
G 混合ガス

Claims (17)

  1. 少なくとも表面付近にプラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物の表面を、大気圧または大気圧近傍の圧力下において窒素ガス及び反応性ガスを含むプラズマ状態の混合ガスに曝す大気圧プラズマ処理によって、前記被処理物の表面に凹凸及び空隙を形成することを特徴とする表面処理方法。
  2. 前記物質のうちの少なくとも1つが、前記大気圧プラズマ処理によってガス化しやすい物質であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記物質のうちの少なくとも1つが炭素を含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  4. 前記物質のうちの少なくとも1つが有機物であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  5. 前記被処理物中の炭素含有量を制御することにより、前記大気圧プラズマ処理による被処理物表面の凹凸及び空隙の形成量を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の表面処理方法。
  6. 前記被処理物が、塗布により不均一組成を有するように生成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の表面処理方法。
  7. 前記被処理物が、前記大気圧プラズマ処理により不均一組成を有するように生成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の表面処理方法。
  8. 前記反応性ガスに、酸素またはフッ素を含む化合物からなるガスが含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の表面処理方法。
  9. 前記被処理物の温度を、ガラス転移温度以下にすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の表面処理方法。
  10. 前記大気圧プラズマ処理は、対向する電極の対向領域において、少なくとも一方の電極に接続された所定の周波数の電圧を出力する少なくとも1つの電源により電界を発生させ、該電界により窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記電極の対向領域においてプラズマ状態とし、前記プラズマ状態となった前記混合ガスに被処理物の表面を晒すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の表面処理方法。
  11. 前記大気圧プラズマ処理は、対向する電極の対向領域において、対向する電極にそれぞれ接続された異なる周波数の電圧を出力する2つの電源により電界を発生させ、該電界により窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記電極の対向領域においてプラズマ状態とし、前記プラズマ状態となった前記混合ガスに被処理物の表面を晒すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の表面処理方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の表面処理方法により、被処理物表面に防眩層を形成することを特徴とする防眩層の形成方法。
  13. 請求項12記載の防眩層の形成方法により形成された防眩層を有することを特徴とする防眩性フィルム。
  14. 請求項13記載の防眩性フィルムの上面に反射防止層を備えることを特徴とする防眩性低反射フィルム。
  15. 少なくとも1対の対向する電極と、前記対向する電極にそれぞれ接続された異なる周波数の電圧を出力する2の電源と、窒素ガス及び反応性ガスを含む混合ガスを前記対向する電極の対向領域に供給するガス供給手段と、プラズマ耐性が異なる複数の物質による不均一な組成を有する被処理物を搬送する搬送手段とを有し、
    前記ガス供給手段により前記対向領域に供給された前記混合ガスを、大気圧または大気圧近傍の圧力下において前記電源から出力された異なる周波数が重畳された電界によりプラズマ状態とし、プラズマ状態となった前記混合ガスを前記被処理物の表面に晒し、前記被処理物の表面に凹凸及び空隙を形成することを特徴とする表面処理装置。
  16. 前記物質のうちの少なくとも1つが炭素を含有する化合物であることを特徴とする請求項15に記載の表面処理装置。
  17. 前記物質のうちの少なくとも1つが有機物であることを特徴とする請求項15に記載の表面処理装置。
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