JP2003171770A - プラズマ放電処理装置、プラズマ放電処理方法、その方法で製造された薄膜及び積層体、及び光学フィルム、光学フィルムを用いた偏光板及び表示装置 - Google Patents

プラズマ放電処理装置、プラズマ放電処理方法、その方法で製造された薄膜及び積層体、及び光学フィルム、光学フィルムを用いた偏光板及び表示装置

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JP2003171770A JP2001345908A JP2001345908A JP2003171770A JP 2003171770 A JP2003171770 A JP 2003171770A JP 2001345908 A JP2001345908 A JP 2001345908A JP 2001345908 A JP2001345908 A JP 2001345908A JP 2003171770 A JP2003171770 A JP 2003171770A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速、高生産性を有する基材表面に薄膜を形
成する装置、安価に多層の薄膜を均一に形成出来る方
法、均一の厚さの薄膜積層体または光学フィルム、更に
性能の優れた偏光板または画像表示装置を提供する。 【解決手段】 対向回転電極の一方の電極に接して通過
させた基材が、対向回転電極の間に形成する放電部にお
いて、大気圧もしくはその近傍の圧力下、及び供給され
た反応ガスの存在下でプラズマ放電処理され、該基材が
折り返してもう片方の回転電極に接しながら放電部に移
送されて往復し同一基材面が再び処理される大気圧また
はその近傍の圧力で処理するプラズマ放電処理装置、及
びそれを使用して薄膜を形成した光学フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に薄膜を
大気圧もしくはその近傍の圧力下で形成するためのプラ
ズマ放電処理装置、その装置を用いて薄膜を形成するプ
ラズマ放電処理方法、並びにこの装置及びこの方法を用
いて形成した光学フィルム、更にこの光学フィルムを有
する偏光板及び画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学レンズ、CRT、またはコンピュー
タやワープロの液晶画像表示装置等の分野において、そ
れらの表面の反射によって起こる画像の不鮮明さ等の不
具合に対して、透過率の向上、コントラストの向上、映
り込み低減のための表面反射を減少させる反射防止技術
が、従来より数多く提案されている。提案されている技
術として、例えば、光学干渉層の多層積層体の屈折率と
光学膜厚を適切な値に調整することにより、この積層体
と空気界面における光の反射を減らすことが出来るとい
う反射防止技術が知られている。このような多層積層体
は、高屈折率層としてのTiO2、ZrO2、Ta25
や低屈折率材料としてのSiO2、MgF2等の薄膜が積
層されたものであり、これらはスパッタリング法、真空
蒸着法、イオンプレーティング法等の真空乾式薄膜製膜
法によって製作されたものである。しかし、このような
真空乾式薄膜製膜法の真空装置は、処理基材が大きくな
るとそれに伴い大型化するため装置が非常に高額となる
ことや、真空度を上げる排気にも非常に時間と費用を費
やしたり、更に連続生産が出来ず生産性が低いことなど
デメリットが大きい。
【0003】また、別の反射防止層の作製方法として、
チタンアルコキシドやシランアルコキシドに代表される
金属アルコキシドを基材の表面に塗布、乾燥、加熱して
金属酸化物の膜を作製する方法がある。しかしこの方法
では、加熱温度を300℃という高い温度にする必要が
あり、基材が変形したり平面性が損なわれダメージが大
きい。また特開平8−75904号公報に記載されてい
るような加熱温度を100℃程度とした比較的低温で行
う方法では、作製に時間がかかり何れにしても問題点が
多々あった。
【0004】近年、これら温度と時間の問題を改善する
方法として、特開平9−21902号公報にみられるよ
うな高屈折率材料をTi、Zr、TaまたはInのアル
コキシドと、分子中に2個以上のアクリロイル基、メタ
クリロイル基、アリル基またはビニル基等を有する重合
可能な官能基化合物を併用することにより低温で作製す
る方法が提案されている。また、特開平7−20950
3号公報には、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、
メタクリロイル基等の重合可能な官能基とアルコキシド
基のような加水分解可能な官能基を併せ持つ有機珪素化
合物と重合可能な不飽和結合を持つ単量体からの共重合
物を主成分とする光学皮膜形成コーティング用組成物が
示されており、樹脂成分と無機成分を分子レベルで均一
に出来るという技術が提案されており、組成物を基材に
塗布した後、100℃で長時間加熱するか、電離放射線
照射により重合させて皮膜とする方法が述べられてい
る。
【0005】この他、特開平8−295846号及び同
9−220791号公報にも重合性有機金属化合物及び
金属酸化物やシラン化合物組成物を含有する組成物を熱
または電離性放射線で硬化する技術が開示されている。
更にこの他にも上記のような反応性有機金属化合物は使
用しないが、電離性放射線として電子線や紫外線を照射
することによって作製する方法が、特開平5−2708
64号、同5−279598号、同6−11602号、
同8−122501号、同8−297201号、同9−
21902号及び同9−25350号公報に記載されて
いる。しかし、これらの製膜方法では、有機成分が未反
応のまま残存し、それが経時的に徐々に変化していくた
め、屈折率が変化し次第に反射防止機能が損なわれてし
まうことがあった。
【0006】上記の方法に対して、大気圧またはその近
傍の圧力下でプラズマ放電を発生させ、反射防止機能を
有する薄膜を製膜する方法が特開平11−133205
号、特開2000−185362号、特開平11−61
406号、特開2000−147209号、同2000
−121804号公報に開示されている。しかしなが
ら、上記記載の方法では、微少面積への製膜は可能であ
るものの広巾基材への均一な製膜は困難であり、特に屈
折率が一定でなければならない、また光学膜厚が均一で
なければならない反射防止機能膜等には不向きであっ
た。
【0007】上記のごとき従来の大気圧プラズマ放電処
理法の他の問題として、電極に汚れが付着したり、更に
汚れが蓄積してしまうという問題があった。これを解決
するための様々な方法が提案されたが、何れも十分なも
のはなかった。この中で、特開2000−212753
号公報では、対向電極のそれぞれの表面に基材を配置す
る方法が提案されており、電極の汚れを防止することが
出来るとしている。しかし、この方法では、常に2枚の
基材が必要であるという問題があった。この方法は一
見、二つの基材を同時に処理出来、生産効率が高いよう
に見えるが、2枚の基材を同じように処理するために
は、極めて高い精度の搬送設備や処理条件設定が必要で
ある。そして、一方の基材の製造ラインにトラブルがあ
る場合には、もう一方のラインも停止しなければなら
ず、多大なメンテナンス負荷を要し、実用的でなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、真空
装置を必要とせずまた高温での処理をも行わずに広幅の
基材を高速で且つ連続処理が出来、高生産性を有する薄
膜を形成する装置を提供すること、第2の目的は、膜厚
が均一な薄膜を得ることが出来、且つ連続的に均一薄膜
の多層積層体を形成する方法を提供すること、第3の目
的は、かかる方法で形成した薄膜積層体の光学フィルム
を提供すること、更に第4の目的は、この光学フィルム
を使用し優れた偏光板及び画像表示装置を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成より
なる。
【0010】1.連続的に移送する基材の表面を大気圧
もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラ
ズマ放電処理装置であって、少なくとも一対の対向電極
と該対向電極の間に形成される放電部を有し、該放電部
において該対向電極の一方の電極に接しながら該放電部
を通過し処理された該基材が再び該対向電極のもう一方
の電極に接しながら該放電部に移送するための折り返し
移送手段を有し、該放電部において往復して通過する該
基材の間に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供
給する手段及び処理後の排ガスを排出する手段を有し、
且つ該対向電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生
させる手段を有することを特徴とするプラズマ放電処理
装置。
【0011】2.連続的に移送する基材の表面を大気圧
もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラ
ズマ放電処理装置であって、複数対の対向電極と該対向
電極の間に形成される複数の放電部を有し、放電部にお
いてそれぞれの一方の電極に接しながらそれぞれの放電
部を通過し処理された該基材を再び該対向電極のそれぞ
れのもう一方の電極に接しながらそれぞれの放電部に移
送し処理するための折り返し移送手段を有し、各放電部
において往復して通過する該基材の間に大気圧またはそ
の近傍の圧力の反応ガスを供給する手段及び処理後の排
ガスを排出する手段を有し、且つそれぞれの対向電極間
に電圧を印加してプラズマ放電を発生させる手段を有す
ることを特徴とするプラズマ放電処理装置。
【0012】3.連続的に移送する基材の表面を大気圧
もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラ
ズマ放電処理装置であって、一対の対向電極と該対向電
極の間に形成される放電部を有し、該放電部において該
対向電極の一方の電極に接しながら該放電部を通過し処
理された該基材を再び該対向電極のもう一方の電極に接
しながら該放電部に移送し処理するための折り返し移送
手段を有し、該放電部において往復して通過する該基材
の間に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給す
る手段及び処理後の排ガスを排出する手段を有し、且つ
該対向電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ
る手段を有する放電部を、連続して複数有することを特
徴とするプラズマ放電処理装置。
【0013】4.対向電極が回転するロール電極である
ことを特徴とする前記1乃至3の何れか1項に記載のプ
ラズマ放電処理装置。
【0014】5.連続的に移送する基材の表面を大気圧
もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラ
ズマ放電処理装置であって、少なくとも一つの回転する
ロール電極とこれに対向する複数の回転するロール電極
との間に形成される複数の放電部を有し、該放電部にお
いて、対向するロール電極の一方に接しながら該放電部
を通過し処理された該基材が、再び該対向するロール電
極のもう一方に接しながら該放電部を通過し、処理する
ことが可能な移送手段を有し、該放電部において往復し
て通過する該基材の間に大気圧またはその近傍の圧力の
反応ガスを供給する手段を有し、且つ該対向するロール
電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させる手段
を有することを特徴とするプラズマ放電処理装置。
【0015】6.対向電極の表面が固体誘電体で被覆さ
れていることを特徴とする前記1乃至5の何れか1項に
記載のプラズマ放電処理装置。
【0016】7.対向電極間の間隙が0.5〜20mm
であることを特徴とする前記1乃至6の何れか1項に記
載のプラズマ放電処理装置。
【0017】8.前記電源の周波数が100kHzを超
え150MHz以下であることを特徴とする前記1乃至
7の何れか1項に記載のプラズマ放電処理装置。
【0018】9.一対の対向電極、該対向電極の間で形
成される放電部、折り返し手段、反応ガス供給手段及び
排ガスを排出する手段を一つの処理室内に有することを
特徴とする前記1、3乃至8のいずれか1項に記載のプ
ラズマ放電処理装置。
【0019】10.複数の対向電極とそれらの間で形成
される複数の放電部、一つの折り返し手段、複数の反応
ガス供給手段及び複数の排ガスを排出する手段を一つの
処理室内に有することを特徴とする前記2、4乃至8に
記載のプラズマ放電処理装置。
【0020】11.前記処理室の基材の入口及び出口の
それぞれに予備室を隣接して有することを特徴とする前
記5、9または10に記載のプラズマ放電処理装置。
【0021】12.一つのプラズマ放電部を往復して連
続移送する基材の表面を大気圧もしくはその近傍の圧力
下で反応ガスにより処理することを特徴とするプラズマ
放電処理方法。
【0022】13.前記1乃至11の何れか1項に記載
のプラズマ放電処理装置を用いて、往復して連続移送す
る基材の表面を大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応
ガスにより処理することを特徴とするプラズマ放電処理
方法。
【0023】14.前記2乃至11の何れか1項に記載
の複数の放電部を有するプラズマ放電処理装置を用い
て、往復して連続移送する基材の表面に大気圧もしくは
その近傍の圧力下で反応ガスにより処理することを特徴
とするプラズマ放電処理方法。
【0024】15.前記反応ガスが90〜99.99体
積%の希ガスと0.01〜10体積%の反応性ガスを有
することを特徴とする前記5または12乃至14の何れ
か1項に記載のプラズマ放電処理方法。
【0025】16.反応性ガスがガス状の有機金属化合
物またはガス状の有機フッ素化合物を含有することを特
徴とする前記5または12乃至15の何れか1項に記載
のプラズマ放電処理方法。
【0026】17.前記12、15または16に記載の
方法を用いて、基材表面に形成したことを特徴とする薄
膜。
【0027】18.前記12乃至16の何れか1項に記
載の方法を用いて、基材表面に複数形成したことを特徴
とする薄膜積層体。
【0028】19.前記17に記載の薄膜を有すること
を特徴とする光学フィルム。 20.前記18に記載の薄膜積層体を有することを特徴
とする光学フィルム。
【0029】21.前記19または20に記載の光学フ
ィルムを有すること特徴とする偏光板。
【0030】22.前記19または20に記載の光学フ
ィルムを有すること特徴とする画像表示装置。
【0031】23.前記21に記載の偏光板を有するこ
とを特徴とする画像表示装置。 24.連続的に移送する基材の表面を大気圧もしくはそ
の近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラズマ放電処
理方法であって、少なくとも一対の対向電極の間に形成
される放電部を有し、該放電部において、一方の電極に
接しながら該放電部を通過する該基材上に大気圧または
その近傍の圧力の反応ガスを供給し、且つ該対向電極間
に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ、基材表面に
プラズマ放電処理を行った後、直ちに又は他の放電部を
通過した後折り返し移送手段によって折り返され、もう
一方の対向電極に接しながら該放電部に再び移送され、
通過する基材に、該放電部において更にプラズマ放電処
理を行うことを特徴とするプラズマ放電処理方法。
【0032】25.少なくとも1つの対向電極に対し
て、2つ以上の対向電極が配置され、これらの電極間に
プラズマ放電可能な電圧が印加されて複数の放電部を形
成し、各々の放電部において、電極に接しながら搬送さ
れる基材表面にプラズマ放電処理されることを特徴とす
る前記24に記載のプラズマ放電処理方法。
【0033】26.複数の対からなる対向電極群を有
し、一方の対向電極群のうち1つと、これと対となる対
向電極群の複数の対向電極とが複数の放電部を形成する
ように隣接して配置され、各々の放電部において、一方
の対向電極に接して搬送され、プラズマ放電処理された
基材が、折り返し移送手段によって折り返され、再度も
う一方の対向電極に接して搬送され、基材表面が再びプ
ラズマ放電処理されることを特徴とする前記24に記載
のプラズマ放電処理方法。
【0034】〔プラズマ放電処理装置〕本発明の大気圧
もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理する装置
を図として例示し説明をするが、本発明におけるプラズ
マ放電処理装置はこれらに限定されない。
【0035】図1は、本発明の製造方法に用いられるプ
ラズマ放電処理装置の一例で、ロール電極を用いて基材
を往復させて処理するプラズマ放電処理装置を模式的に
示した図である。この装置は一対のロール電極10Aと
ロール電極10Bを有し、これらのロール電極10Aと
10Bにはプラズマ放電のための電圧を印加出来る電源
80が電圧供給手段81と82を介して接続されてい
る。ロール電極10Aと10Bは基材Fを巻き回しなが
ら回転することが出来る回転電極である。放電部100
は大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持され、反応ガ
ス供給部30から反応ガスGが供給され、放電部100
においてプラズマ放電が行われる。前工程または元巻き
ロールから供給される基材Fは、ガイドロール20によ
りロール電極10Aに密着され、同期して回転移送さ
れ、放電部100で大気圧もしくはその近傍の圧力下で
反応ガスによりプラズマ放電処理が施される。反応ガス
供給部30は基材の幅と同等か、あるいはそれよりやや
幅が広いスリット状であることが好ましく、あるいはパ
イプ状の吹き出し口を横に並べて基材の幅同等となるよ
うに配置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量或
いは流速で反応ガスGが放電部100に導入されるよう
にするのがよい。一旦処理された基材Fは折り返しロー
ル(Uターンロールともいう)11A、11B、11C
及び11Dを経て、逆方向に移送されロール電極10B
に抱かれて再び放電部100でプラズマ放電処理が施さ
れガイドロール21を介して巻き取りまたは次工程(何
れも図示してない)に移送される。処理後のガスG′は
排気口40より排気される。排気口40からの排気流量
は反応ガス供給部30からの流量と同等か、やや多いこ
とが好ましい。放電部100のロール電極10A及び1
0Bの側面側を遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体
を希ガス或いは反応ガスでみたしてもよい。
【0036】図2は、ベルト電極を用いて基材を往復さ
せて処理するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図
である。この図の装置は、回転電極が二つのサポートロ
ール14Cと14D及び二つのサポートロール14Eと
14Fで無限移行する無端のベルト電極13A及びベル
ト電極13Bを有しているのが特徴である。ベルト電極
13Aと13Bの間で平行になっている部分の空間が放
電部101となっており、ロール電極を用いる場合より
もより広い放電空間を確保することが出来る。前工程ま
たは元巻きロールから供給される基材Fはガイドロール
20と折り返しロール11Aによって張力が与えられ、
ベルト電極13Aに密着され、ベルト電極13Aと共に
同期して移送され放電部101でプラズマ放電処理さ
れ、折り返しロール11A、11B、11C及び11D
を経て、同様にベルト電極13Bと共に密着しながら逆
方向に放電部101を通り二度目のプラズマ放電処理が
施される。処理された基材Fはガイドロール21を経て
巻き取りまたは次工程へ移送される。反応ガスGは反応
ガス供給部30から放電部101に供給される。処理後
のガスG′は排出口40から排出される。放電部の空間
をより広くしたい場合は、反応ガスは反応ガス供給部一
カ所だけでなく放電部の横から供給部を設け供給しても
よい。また、サポートロールは複数設けてもよく、放電
部のサポートロールの側面側を遮蔽してもよいし、装置
全体を囲って反応ガスで満たしてもよい。ベルト電極1
3Aまたは13Bに密着している基材Fは張力制御や位
置制御を行うことによって、安定な処理が出来る。ま
た、図2を縦型に配置したプラズマ放電処理装置であっ
てもよい。又、意図的にベルト間隔を、搬送方向の前と
後ろで変更し、拡げたり狭くすることで得られる薄膜の
物性や組成を変化させた傾斜膜を作製することも出来
る。
【0037】図3は、複数のロール電極を用いて基材を
往復させて処理するプラズマ放電処理装置を模式的に示
した図である。前工程または元巻きロールから供給され
る基材Fは最初にガイドロール22を経て、ロール電極
10Cに抱かれ密着して放電部104でプラズマ放電処
理が施され、ついで、ガイドロール20Eを経てロール
電極10Eに抱かれて密着して放電部105で二度目の
処理が施され、ガイドロール20Gを経て、ロール電極
10Gで同様に放電部106で三度目の処理が施され
る。反応ガスG、はそれぞれの反応ガス供給部30C、
30E、30Gから供給され、処理後のガスG′はそれ
ぞれ排出口40C、40E、40Gから排出される。処
理された基材Fは折り返しロール(Uターンロール)1
1A、11B、11C、11Dを経て、逆方向に移送さ
れ、同様に、ロール電極10H、放電部106で四度目
の処理が行われ、ガイドロール21Hを経て、ロール電
極10F、放電部105で五度目の処理が行われ、更
に、ガイドロール21Fを経て、ロール電極10D、放
電部104で六度目の処理が行われる。処理後の基材F
はガイドロール23を経て巻き取りまたは次工程に移送
される。図3において、各放電部の反応ガスを同一のも
のを使用してもよいし、それぞれ別の反応ガスを使用し
てもよい。別々の反応ガスを用した場合には、異なった
薄膜層の積層体が得られる。なお、80C、80E、8
0Gは何れも電源であり、81C、81E、81G、8
2C、82E及び82Gは電圧供給手段である。
【0038】図4は、基材を往復させて処理するロール
電極対を連続的につなげて処理するプラズマ放電処理装
置を模式的に示した図である。図4は独立した電極対を
直列に有するもので、それぞれの独立した電極対の放電
部で異なった反応ガスを使用すると、それらの異なった
薄膜の積層体を得ることが出来る。基材の移送の仕方は
図1と同様であるので、詳細は省略する。図中、24、
25、26はガイドロール、10Jと10K、10Lと
10M、10Nと10P、10Qと10Rはそれぞれ対
をなすロール電極である。また107、108、10
9、110はそれぞれの放電部、30J、30L、30
N、30Qはそれぞれガス供給部、40J、40L、4
0N、40Qはそれぞれガス排出口である。更に80
J、80L、80N、80Qはそれぞれの電源、81J
と82J、81Lと82L、81Nと82N、81Qと
82Qはそれぞれの対の電圧供給手段である。一つのロ
ール電極対は図2と同様である。
【0039】図5は、外界と遮断する処理室とその出入
口の両側に予備室を有するプラズマ放電処理装置を模式
的に示した図である。図5は図1と同様なプラズマ放電
処理装置を処理室容器71内の処理室70に納め、処理
室70の基材Fの出入り口62と63において、外界の
空気を遮断するために前記処理室に隣接して予備室60
A(入口側)と60B(出口側)を有しているものであ
る。なお、予備室60A及びBの気圧は外界より若干高
いことが好ましく、0.3Pa以上高いことが特に好ま
しい。予備室60A及び60Bに対して処理室70が
0.3Pa以上高いことが好ましい。基材F表面に外界
の空気が同伴して来るのでこの空気を遮断し、またガス
を外部に漏らさないために、入口側の予備室60Aと外
界90との境61及び予備室60Aと処理室70との境
62に、また処理室70と出口側の予備室60Bとの境
63及び予備室60Bと外界との境64に、それぞれ二
対のニップロール65及び66が配置されており、これ
らにより同伴空気が遮断されている。31は処理室70
及び予備室60A、60Bへの希ガスの導入口であり、
41は排出口である。基材Fのプラズマ放電処理及び移
送については図1と同様であるので省略する。予備室は
複数設けてもよく、複数設けることにより外気の混入や
反応ガス等の漏れ防止の点で好ましく、2〜10室更に
あることが好ましい。複数の予備室を有する場合、それ
ぞれの予備室と隣り合う処理室等との気圧をやや低くあ
るいは高くすることにより効率的に外界との遮断を行う
ことが出来る。
【0040】図6は基材を往復させて処理するロール電
極対を連続的につなげて処理する別の形態のプラズマ放
電処理装置を模式的に示した図である。図6においては
独立した電極対を直列に有するものとは異なり、1つの
対向電極A1に注目してみるとA1に対して、3つの対
向電極B1、B5及びB2が対向して配置され、該電極
間に形成されるそれぞれの放電部でプラズマ放電処理が
されるタイプのプラズマ放電処理装置である。大気圧も
しくはその近傍の圧力下に維持され、反応ガス供給部3
0から反応ガスGが供給され、放電部100においてプ
ラズマ放電が行われる。
【0041】装置全体は、複数の対からなる対向電極群
A1〜A5と複数の対向電極B1〜B5から構成され、
一方の電極A1〜A5のうちの1つに対して対向電極B
1〜B5のうちの複数が、又一方の電極B1〜B5のう
ちの1つからみると電極A1〜A5のうちの複数が対向
しそれぞれ放電部100を形成している構造になってい
るのが特徴である。各々の放電部は、大気圧もしくはそ
の近傍の圧力下に維持され、反応ガス供給部30から反
応ガスGが供給され、放電部100においてプラズマ放
電が行われる。プラズマ処理を受ける基材は、該対向電
極群の一方の電極に接して搬送され、プラズマ放電処理
され、折り返し移送手段によって折り返された基材が、
再度、対向電極のもう1つに接して搬送されて、基材表
面がプラズマ放電処理される。図において、20のガイ
ドロールを通して基材Fが、回転するロール電極B1に
接して処理空間にはいると、各折り返しロール11I〜
11Aを間に挟みつつ、ロール電極B1、A1、B2、
A2・・・と順次、基材が各ロール電極に接しつつ搬送
され、各放電部100を通過することで、各ロール電極
間に形成された各放電部にてそれぞれプラズマ放電処理
を受ける。各折り返しロールを介して同じ放電部で、互
いに対向する、一度目とは異なった別の電極に接しつつ
もう一度基材がプラズマ放電処理を受けることになる。
尚80は電源を81、82はそれぞれ対となる電圧供給
手段を表している。これらの電極群に対し複数の電源を
用いることもできる。この様にして複数の放電部におい
て複数の処理を受けた基材は最終的にはガイドロール2
1を介してプラズマ放電処理装置から次工程へ送られ
る。
【0042】上記したように、大気圧もしくはその近傍
の圧力下で処理するプラズマ放電処理装置を例示した
が、本発明の特徴は、第1に、放電部において、長尺の
基材を連続的に処理出来、一度通して処理した基材を再
び同じ放電部に通して往復して処理することにより、処
理速度を上げることが出来、生産性を高めることが出来
るばかりでなく、形成する薄膜の均一性が向上するこ
と、第2に、装置がコンパクトのため連続してプラズマ
放電処理装置を並べることにより、薄膜の積層体を容易
に、高品質でしかも安価に作製することが出来ることで
ある。又、複数の放電部で処理することによって膜強度
を高めることも出来る。
【0043】以下上記図を例にとりその特徴、優位性を
説明する。平板電極を用いる装置は処理有効面積が広
く、処理効率が高い反面、基材の裏側にもプラズマ放電
処理が行われ易く、基材が固定電極に安定して接するこ
とが出来ないばかりか、基材の移送と固定電極の間で摩
擦を生じ擦り傷が発生するため光学フィルム用には不向
きである。図2のベルト電極を使用したプラズマ放電処
理装置は、これもベルト電極の長さにもよるが、処理面
積が広く効率のよいものであり、本発明において使用し
易い装置である。図2は、図1に比べると、処理される
基材がベルト電極表面に密着して処理されることにより
安定した処理が出来る。ただ、ベルトのような平らな電
極の上に基材があるため若干基材が部分的に浮く可能性
があり、基材にかかる張力を適切に制御したり、このよ
うな場合ベルト電極の裏側に直径の小さめなサポートロ
ールを何本か当てベルト電極に張りを持たせることによ
って密着の安定性を増すことが出来る。図1のロール電
極を使用した装置は、電極に基材が最も密着性がよく、
安定した、しかも効率のよい処理が出来るため、本発明
において最も好ましい装置である。これらの図示した装
置において、折り返しロールがあることが、本発明の一
つの特徴である。折り返しロールの本数は一本でも、図
示してあるように4本でも、何本あってもよい。好まし
くは張力を制御出来るロールあるいは手段を有している
ことが望ましい。又、折り返す前に別の放電部でプラズ
マ放電処理されて、紫外線照射等の別の工程と組み合わ
すことも出来る。
【0044】また、本発明の装置はコンパクトであり、
図3や図4又図6に示したように、対向ロール電極を連
続して設けることが出来、より効率を上げることが出来
る。図3は複数の対向電極を横に配列したもので、連続
的に同一の反応ガスで処理しても、またそれぞれの対向
電極のところで異なった反応ガスを使用して処理しても
よい。例えば前者の場合には処理速度を高めることが出
来ると同時に、より均一な薄膜を形成させることが出
来、また後者は異なった薄膜を積層することが出来ると
いうのが特徴である。図4は独立した処理部を有し、一
処理が完結して次の処理部に基材が移送されるため、そ
れぞれ異なった反応ガスを使用することにより、設計し
易い薄膜積層体を形成することが出来、本発明の積層体
を形成するための装置として特に好ましい形である。図
5は、図1のプラズマ放電処理装置の全体を囲った処理
室であり、また基材に同伴する空気を遮断する予備室を
設けたものである。図1〜4においては、この処理室及
び予備室が省略されている図となっており、図1が図5
となるように何れも同様に処理室と予備室は設けること
が出来る。特に図4で異なる反応ガスを用いる場合に
は、プラズマ放電処理装置各々に設けるのが好ましい。
図5において、移送して来る基材に同伴して来る空気は
ニップロールのような遮断手段により遮断され、且つ処
理室の基材の出入り口に、処理室より圧力の若干高いか
または低い予備室をそれぞれ設けることによって、処理
室内への空気の混入を避けることが出来、そのことによ
って処理効果を上げると同時に処理の均一性を向上させ
ることが出来る。本発明のプラズマ放電処理装置の処理
室及び予備室には反応ガス組成と同等な成分のガス、ま
たは希ガスのみで予め満たしておくことが望ましい。
【0045】〔対向電極〕本発明に使用される電極は、
金属等の導電性母材で出来ており、その表面が固体誘電
体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体として
は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフ
タレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸
化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金
属酸化物あるいはチタン酸バリウム等の複合金属酸化物
等を挙げることが出来る。特に好ましいものは、セラミ
ックスを溶射後に無機材料を用いて封孔処理したセラミ
ック被覆処理誘電体である。また、電極の金属等の導電
性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウ
ム、鉄等の金属等を挙げることが出来るが、加工の観点
からステンレスが好ましい。また、ライニング材として
は、珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガ
ラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、ア
ルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく、
この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いという点でよ
り好ましく用いられる。
【0046】本発明に使用される電極の形状は、図1ま
たは2にあるようにロール電極、ベルト電極があるが、
これら以外に形状には対向電極となるものであれば制限
がなく使用出来る。本発明においてはロール電極がプラ
ズマ放電処理の効率がよく、均一な薄膜が形成し易く、
処理される基材の表面の傷の付きにくさから特に好まし
い。
【0047】本発明に使用される電極は必要に応じて加
熱あるいは冷却等の温度調整することが望ましい。して
もよい。例えば、ベルト電極の場合は、ベルトの裏面か
ら気体で冷却することも出来るが、ロール電極の場合に
は、ロールの内部に液体を供給することが出来、電極表
面の温度及び基材の温度を制御することが出来るので好
ましい。温度を与える液体としては、蒸留水、油等の絶
縁性材料が好ましい。基材の温度は処理条件によって異
なるが、通常、室温〜200℃とすることが好ましく、
より好ましくは室温〜120℃とすることである。
【0048】ベルト電極やロール電極のように、基材が
密着して基材と電極とが同期して移送及び回転する場
合、その電極の表面は高い平滑性が求められる。平滑性
はJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高
さ(Rmax)及び中心線平均表面粗さ(Ra)として
表される。本発明に使用するベルト電極及びロール電極
の表面粗さのRmaxは10μm以下であることが好ま
しく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましく
は7μm以下である。またRaは0.5μm以下が好ま
しく、より好ましくは0.1μm以下である。
【0049】本発明において、対向電極間の間隙は、固
体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用す
る目的、電極の形状等を考慮して決定される。電極表面
同士の距離は、プラズマ放電を均一に発生させるという
観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは
0.5〜5mmであり、特に好ましくは1mm±0.5
mmである。本発明におけるロール電極間の間隙とは対
向する電極表面が互いに最も接近している間隔をいう。
また、ロール電極の場合には、間隙がロール電極の回転
によっても一定であることが望ましい。具体的には、ロ
ールが1回転した時のロール間の間隙の変動が±30%
未満であることが好ましく、好ましくは±10%未満
で、より好ましくは±5%未満であり、最も好ましくは
±0である。ロール電極の間隙の基材の幅方向の変動も
上記と同様である。ロール電極の直径は10〜1000
mmが好ましく、20〜500mmがより好ましく、3
0〜300mmが更に好ましい。
【0050】本発明において、プラズマ放電を行う処理
室は、電極と絶縁性の材質のフレームや容器で囲むこと
が好ましく、電極との絶縁がとれれば金属製のものを用
いてもよい。例えば、金属製のものとしては、アルミま
たは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等
を張り付けたものでもよく、該金属フレームにセラミッ
クス溶射を行い絶縁性を持たせたものでもよい。またパ
イレックス(R)ガラス製の処理容器で装置全体を囲う
のも好ましい。この様な外側の囲いではなく、放電部、
電極、基材搬送手段等の側面を局部的に囲むことも、反
応ガスを適切に放電部に供給したり、排ガスを排気する
ことが出来るため、ガス濃度や組成を一定に出来、プラ
ズマ放電処理を安定して行うことが出来好ましい。
【0051】本発明におけるプラズマ放電を発生させる
ための電圧を加える手段は、対向電極の一方の電極に電
源を接続し、もう一方の電極にアースを接地して、電圧
を印加するようになっている。本発明における電源は、
高周波電源が好ましく用いられる。またはパルス電源も
使用出来る。電圧を印加し電源より電極に印加する電圧
の値は適宜決定されるが、例えば、電圧は0.5〜10
kV程度が好ましく、また電源周波数としては1kHz
〜150MHzに調整するが、特に100kHzを超え
13.56MHz以下であると、安定した放電により均
一な薄膜が得られ好ましい。その波形はパルス波であっ
てもサイン波であってもよい。また、電極間の放電電流
密度は0.01〜500mA/cm2が好ましい。プラ
ズマ放電処理の放電強度は、アーク放電も起こらず安定
した効果的な処理を行うには、50W・min/m2
上500W・min/m2未満が好ましい。この範囲で
プラズマ放電処理を行うことにより、処理の均一性を有
し、ダメージもなく仕上げることが出来る。
【0052】〔反応ガス〕本発明のプラズマ放電処理装
置に使用する反応ガスについて説明する。
【0053】本発明において、反応ガスは主に希ガスと
反応性ガスの混合ガスを用いるのが特に好ましい。
【0054】本発明に有用な希ガスの元素としては、周
期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、
アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げるこ
とが出来るが、本発明においては、ヘリウム、アルゴン
が好ましく、特にアルゴンが好ましい。反応ガス中の希
ガスの濃度は、90体積%以上あることが安定したプラ
ズマを発生させるために好ましい。特に90〜99.9
9体積%が好ましい。希ガスはプラズマ放電を発生する
ために必要であり、該プラズマ放電中の反応性ガスをイ
オン化またはラジカル化し、表面処理に寄与する。
【0055】本発明において、反応性ガスは基材上に作
製される機能性薄膜の種類によって様々な物質が用いら
れる。例えば、反応性ガスとして、有機フッ素化合物を
用いることにより反射防止層等に有用な低屈折率層や防
汚層を形成することが出来、珪素化合物を用いることに
より、反射防止層等に有用な低屈折率層やガスバリア層
を形成することも出来る。また、Ti、Zr、Sn、S
iあるいはZnのような金属を含有する有機金属化合物
を用いることにより、金属酸化物層または金属窒化物層
等を形成することが出来、これらは反射防止層等に有用
な中屈折率層や高屈折率層を形成することが出来、更に
は導電層や帯電防止層を形成することも出来る。
【0056】このように、本発明に有用な反応性ガスの
物質として、有機フッ素化合物及び金属化合物を好まし
く挙げることが出来る。
【0057】本発明に好ましく使用する反応性ガスの有
機フッ素化合物としては、フッ化炭素やフッ化炭化水素
等のガスが好ましく、例えば、テトラフルオロメタン、
ヘキサフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオ
ロエチレン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン、ヘキサフルオロプロペン等のフッ化炭素化合
物;1,1−ジフルオロエチレン、1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン、1,1,2,2,3−ペンタフル
オロプロパン等のフッ化炭化水素化合物;ジフルオロジ
クロロメタン、トリフルオロクロロメタン等のフッ化塩
化炭化水素化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−
プロパノール、パーフルオロブタノール等のフッ化アル
コール;ビニルトリフルオロアセテート、1,1,1−
トリフルオロエチルトリフルオロアセテート等のフッ化
カルボン酸エステル;アセチルフルオライド、ヘキサフ
ルオロアセトン、1,1,1−トリフルオロアセトン等
のフッ化ケトン等を挙げることが出来るが、これらに限
定されない。有機フッ素化合物がプラズマ放電処理によ
って、腐食性ガスあるいは有害ガスが発生しないような
化合物を選ぶのが好ましいが、それらが発生しない条件
を選ぶことも出来る。有機フッ素化合物を本発明に有用
な反応性ガスとして使用する場合、常温常圧で有機フッ
素化合物が気体であることが目的を遂行するのに最も適
切な反応性ガス成分としてそのまま使用出来好ましい。
これに対して常温常圧で液体または固体の有機フッ素化
合物の場合には、加熱や減圧等の気化装置などの手段に
より気化して使用すればよく、また適切な有機溶媒に溶
解して噴霧あるいは蒸発させて用いてもよい。本発明に
有用な有機フッ素化合物は、例えば、本発明の光学フィ
ルムが反射防止フィルムの場合、その低屈折率層を形成
することが出来る。
【0058】反応ガス中に上記の有機フッ素化合物を用
いる場合、プラズマ放電処理により基材上に均一な薄膜
を形成する観点から、反応ガス中の有機フッ素化合物の
含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましい
が、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。これら
は単独でも混合して用いてもよい。
【0059】また、本発明に好ましく用いられる反応性
ガスの金属化合物としては、Al、As、Au、B、B
i、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、G
e、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、N
i、Pb、Pt、Rh、Sb、Se、Si、Sn、V、
W、Y、ZnまたはZr等の金属化合物または有機金属
化合物を挙げることが出来、Al、Ge、In、Sb、
Si、Sn、Ti、W、ZnまたはZrが有機金属化合
物として好ましく用いられる。
【0060】これらのうち珪素化合物としては、例え
ば、ジメチルシラン、テトラメチルシラン等のアルキル
シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン等の珪素アルコキシド等の有機珪素化合物;モノシ
ラン、ジシラン等の珪素水素化合物;ジクロルシラン、
トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化
珪素化合物;その他オルガノシラン等を挙げることが出
来、何れも好ましく用いることが出来る。本発明におい
ては、これらに限定されない。また、これらは適宜組み
合わせて用いることが出来る。上記の有機珪素化合物
は、取り扱い上の観点から珪素アルコキシド、アルキル
シラン、有機珪素水素化合物が好ましく、腐食性、有害
ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことか
ら、特に有機珪素化合物として珪素アルコキシドが好ま
しい。
【0061】本発明に有用な反応性ガスとしての珪素以
外の金属化合物としては、特に限定されないが、有機金
属化合物、ハロゲン化金属化合物、金属水素化合物等を
挙げることが出来る。有機金属化合物の有機成分として
はアルキル基、アルコキシド基、アミノ基が好ましく、
テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、
テトラブトキシチタン、テトラジメチルアミノチタン等
を好ましく挙げることが出来る。またハロゲン化金属化
合物としては、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チ
タン等を挙げることが出来、更に金属水素化合物として
は、モノチタン、ジチタン等を挙げることが出来る。本
発明においては、チタン系の有機金属化合物を好ましく
用いることが出来る。
【0062】上記有機金属化合物を放電部に導入するに
は、何れも、常温常圧で、気体、液体または固体の何れ
の状態のものであっても構わないが、それが液体または
固体の場合は、加熱、減圧または超音波照射等の気化装
置などの手段により気化させて使用すればよい。本発明
においては、気化したり、蒸発させてガス状として使用
することが好ましい。常温常圧で液体の有機金属化合物
の沸点が200℃以下のもであれば気化を容易に出来る
ので、本発明の薄膜の製造に好適である。また有機金属
化合物が金属アルコキシド、例えばテトラエトキシシラ
ンやテトライソプロポキシチタンのような場合、有機溶
媒に易溶であるため有機溶媒、例えばメタノール、エタ
ノール、n−ヘキサン等に希釈して使用してもよい。有
機溶媒は、混合溶媒として使用してもよい。
【0063】本発明において、有機金属化合物を反応性
ガスとして反応ガスに使用する場合、反応ガス中の含有
率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、
更に好ましくは、0.1〜5体積%である。上記金属化
合物は同種あるいは異種の金属化合物を数種類混合して
使用してもよい。
【0064】なお、上記のような有機フッ素化合物及び
/または有機金属化合物の反応性ガスに水素、酸素、窒
素、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、オゾン、過
酸化水素を希ガスに対して0.1〜10体積%混合させ
て使用してもよく、このように補助的に使用することに
より薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0065】本発明の後述の光学フィルムが、反射防止
層を有するフィルムの場合、例えば、有機珪素化合物は
低屈折率層を形成するのに適しており、また、チタン系
有機金属化合物は高屈折率層を形成するのに適してお
り、何れも好ましく用いられる。また、これらを混合し
たガスを用いて、その混合比率を調整することにより屈
折率を制御して中屈折率層とすることも出来る。
【0066】上記反応ガスを用いてプラズマ放電処理で
形成された低屈折率層や高屈折率層は、全てではないが
主に金属の酸化物からなっていると考えられている。例
えば、有機珪素化合物による低屈折率層と有機チタン化
合物による高屈折率層の積層体には、低屈折率層が酸化
珪素、また高屈折率層が酸化チタンをそれぞれ主成分と
して有していることが好ましい(ここで本発明におい
て、主成分として有しているとは形成された薄膜中にそ
のものを50質量%以上有していることをいう)。この
際、酸化チタンを主成分とする高屈折率層に微量の酸化
珪素が混入してもよいし、また反対に酸化珪素を主成分
とする低屈折率層に微量の酸化チタンが混入してもよ
い。このような混合が起こることにより、各層の密着性
(接着性)を改善することも出来る。もちろん、合目的
の屈折率に調整するために、あるいは、その他の目的で
反応ガス中に主成分以外の有機金属化合物あるいはフッ
素含有化合物を混合添加することも出来、反応ガスを反
応ガス供給部から供給する前の段階で適宜混合しておく
ことが好ましい。前述のように、放電部には反応ガスで
満たされており、例え同伴空気が若干処理室に入り込ん
だとしても実際には、微量の空気(酸素や窒素)あるい
は水分の影響は無視出来る。なお、処理条件によって
は、意図的に反応ガスに空気(酸素あるいは窒素)や水
分を添加して処理する場合もある。
【0067】〔基材〕次に、本発明に係る基材について
説明する。
【0068】本発明に係わる基材としては、セルロース
エステルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボ
ネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリオレフィ
ンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、セルロ
ース系フィルム、その他の樹脂フィルム等を挙げること
が出来、例えば、セルロースエステルフィルムとしては
セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテー
トブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオ
ネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィ
ルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレ
ート;ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテ
レフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィ
ルム、ポリブチレンフタレートフィルム、1,4−ジメ
チレンシクロヘキシレンテレフタレート、あるいはこれ
ら構成単位のコポリエステルフィルム;ポリカーボネー
トフィルムとしてはビスフェノールAのポリカーボネー
トフィルム;ポリスチレンフィルムとしては、シンジオ
タクティックポリスチレンフィルム;ポリオレフィンフ
ィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレン
フィルム;ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポ
リビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコー
ルフィルム;セルロース系フィルムとしてはセロファ
ン;その他の樹脂フィルムとしては、ノルボルネン樹脂
系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテ
ルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテル
スルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエー
テルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ
素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタク
リレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリ
レートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等を挙げ
ることが出来る。
【0069】これらのフィルムの素材を適宜混合して得
られたフィルムも好ましく用いることが出来る。例え
ば、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON
(日本合成ゴム(株)製)などの市販品の樹脂を混合し
たフィルムを用いることも出来る。また、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリスルフォンあるいはポリエ
ーテルスルフォン等の固有の複屈折率が高い素材であっ
ても、溶液流延あるいは溶融押し出し等の条件、更には
縦、横方向に延伸する条件等を適宜設定することによ
り、本発明に適した基材を得ることが出来る。本発明に
おいては、上記の記載のフィルムに限定されない。
【0070】本発明のプラズマ放電処理に適した基材の
厚さとしては、10〜1000μm程度のフィルムを好
ましく用いることが出来、より好ましくは10〜200
μmであり、特に10〜60μmの薄手の基材を好まし
く用いることが出来る。
【0071】本発明において、上記基材としてのフィル
ムのうちで、セルロースエステルフィルムが特に好まし
く用いられる。
【0072】ここで、本発明に特に有用な基材としての
セルロースエステルフィルムについて述べる。本発明に
有用なセルロースエステルフィルムは、セルロースの水
酸基を、アシル基、特に炭素原子数が2〜4のアシル基
で2.40〜2.98置換したセルロースエステルを使
用したものが好ましい。このようなセルロースエステル
としては、セルロースジアセテート、セルローストリア
セテート、セルロースアセテートブチレート、セルロー
スアセテートプロピオネートを挙げることが出来、中で
もセルローストリアセテート、セルロースアセテートブ
チレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ま
しい。これらの好ましいセルロースエステルにおいて、
アセチル基の置換度が1.6以上であることが特に好ま
しい。セルロースエステルの原料のセルロースとして
は、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針
葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフなどを挙げることが出
来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそ
れぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これら
のセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤
が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)
である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロラ
イド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒
を用いて定法により反応させて得ることが出来る。特に
混酸セルロースエステルの場合には、例えば混酸エステ
ルでは特開平10−45804号公報に記載の方法で反
応して得ることが出来る。アシル基の置換度の測定方法
はASTM−817−96の規定に準じて測定すること
が出来る。
【0073】セルロースエステルの数平均分子量(M
n)は、70,000〜250,000が、成型した場
合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり
好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,0
00である。
【0074】これらセルロースエステルは後述するよう
に一般的に溶液流延製膜法と呼ばれる方法で製造(製
膜)される。この方法は、無限に移送する無端の金属ベ
ルト(例えばステンレスベルト)あるいは回転する金属
ドラム(例えば鋳鉄で表面をクロムメッキしたドラム)
等の流延用金属支持体(以降、単に金属支持体というこ
ともある)上に、加圧ダイからドープ(セルロースエス
テル溶液のこと)を流延(キャスティング)し、金属支
持体上のウェブ(ドープ膜)を金属支持体から剥離し、
乾燥させて製造するものである。
【0075】ドープの調製に用いる有機溶媒としては、
セルロースエステルを溶解出来、かつ、適度な沸点であ
ることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒド
ロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリ
フルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ
−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパ
ノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,
3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエ
タン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙
げることが出来るが、メチレンクロライド、ジオキソラ
ン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等を好ま
しい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げることが出来
る。また、後述の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程
において金属支持体上に形成されたウェブから溶媒を乾
燥させる温度は、ウェブ中の有機溶媒の発泡を防止する
観点から、有機溶媒の沸点以下が好ましく、30〜80
℃が好ましい。例えば、上記の良溶媒の沸点は、メチレ
ンクロライド(沸点40℃)、酢酸メチル(同56
℃)、アセトン(同56℃)、酢酸エチル(同76℃)
等である。上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレ
ンクロライド及び酢酸メチルが特に好ましく用いられ
る。ドープには、良溶媒を全有機溶媒に対して50質量
%以上含み、良溶媒の他に貧溶媒として、0.1〜30
質量%の炭素原子数1〜4のアルコールやシクロヘキサ
ンを含有させることが好ましい。特に好ましくは10〜
30質量%で前記アルコールを含むことが好ましい。炭
素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−
ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等を挙げ
ることが出来、これらのうちドープの安定性、沸点も比
較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエ
タノールが好ましい。ドープとして、良溶媒70〜95
質量%に対してエタノール5〜30質量%が好ましい。
これら貧溶媒を含むドープを金属支持体に流延後、金属
支持体上でウェブから溶媒の蒸発が始まるとアルコール
(貧溶媒)の比率が多くなるに従いウェブがゲル化し、
ウェブが丈夫になるので、有機溶媒を多く含んでいても
金属支持体から容易に剥離することが出来る。またドー
プ中の貧溶媒の割合が少ない場合には、セルロースエス
テルの溶解を促進する役割もある。
【0076】ドープ調製方法としては、主たる有機溶媒
の沸点を越した温度で、圧力を高くして溶解する高温溶
解法、−100〜−10℃に冷却して溶解する冷却溶解
法、更に高圧で溶解する高圧溶解法等があり、いずれも
好ましく用いることが出来るが、作業の容易さ、設備が
シンプル等の理由から高温溶解法が特に好ましい。
【0077】本発明に係わるセルロースエステルフィル
ムは可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては特
に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エ
ステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピ
ロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン
酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを挙げ
ることが出来る。リン酸エステル系としては、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリブチルホスフェート等;フタル
酸エステル系としては、ジエチルフタレート、ジメトキ
シエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチル
フタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチル
ベンジルフタレート等;トリメリット酸系可塑剤とし
て、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリ
テート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸
エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテー
ト、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロ
メリテート等;グリセリンエステルとしては、トリアセ
チン、トリブチリン等;グリコール酸エステル系では、
エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエ
チルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート
等;その他のカルボン酸エステルの例としては、オレイ
ン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸
ジブチル、種々のトリメリット酸エステルを挙げること
が出来る。これらのうち、リン酸エステル系可塑剤やグ
リコール酸エステル系の可塑剤が好ましい。これらの可
塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セル
ロースエステルに対して1〜20質量%であることが好
ましい。
【0078】本発明に係わるセルロースエステルフィル
ムには、画像表示装置として屋外に置かれた場合等の劣
化防止の観点から紫外線吸収剤を含有させることが好ま
しい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫
外線の吸収能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光
の吸収が少ないものを好ましく用いることが出来る。例
えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ
ール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフ
ェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケ
ル錯塩系化合物などを挙げることが出来るが、これらに
限定されない。
【0079】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ
−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter
t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″
−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス
(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノー
ル)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−
5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6
−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、
オクチル−3−〔3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェニル〕プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−
〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−
クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニ
ル〕プロピオネート等を挙げることが出来、チヌビン
(TINUVIN)109、チヌビン171、チヌビン
326(チバ・スペッシャリティ・ケミカル社製)等が
市販されており、好ましく用いることが出来る。
【0080】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤も本
発明に係わるセルロースエステルフィルムに有用なもの
の一つである。例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホ
ベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ
−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出
来る。
【0081】本発明の光学フィルムには、紫外線吸収剤
として透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に
優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤を好ましく用いることが出来、不要
な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
が特に好ましい。
【0082】本発明に有用な基材としてのセルロースエ
ステルフィルムには、マット剤をセルロースエステルフ
ィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りを
し易くすることが出来る。マット剤は出来るだけ微粒子
のものが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化珪
素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カ
ルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微
粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも
二酸化珪素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ま
しい。微粒子の一次粒子または二次粒子の平均粒径は
0.05〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロー
スエステルに対して0.005〜0.3質量%が好まし
い。二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理
されている場合が多いが、このようなものはフィルムの
ヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい
有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、
シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均
粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径
の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一
次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7
〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステ
ルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に
0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好まし
い。二酸化珪素の微粒子としては日本アエロジル(株)
製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、
300、R972、R972V、R974、R202、
R812、OX50、TT600等を挙げることが出
来、好ましくはアエロジル200V、R972、R97
2V、R974、R202、R812である。これらの
微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場
合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この
場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばアエロジ
ル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜
99.9〜0.1の範囲で使用出来る。
【0083】本発明に有用な基材としてのセルロースエ
ステルフィルムの製膜方法は、上記ドープを、金属支持
体、例えばステンレスベルト上に加圧ダイから流延して
ウェブを形成させ、ウェブの表面側及び金属支持体の裏
面側から加熱して有機溶媒を蒸発させて乾燥する。ウェ
ブ表面からは乾球温度30〜80℃、露点温度10℃以
下の程度の温風を当て、裏面側からは、同様の温風を当
てても、赤外線を照射しても、あるいは主たる有機溶媒
の沸点以下の温度の温水を直接当てる方法が行われる。
特に裏面加熱は温水加熱が好ましい。剥離点においてス
テンレスベルトからウェブを剥離し、ロールで引回すロ
ール乾燥機、あるいはウェブの両端を把持して幅保持す
るか横延伸したりして、ウェブを乾燥し巻き取ることに
よってセルロースエステルフィルムを製膜することが出
来る。剥離する際の後述の残留溶媒量は、乾燥条件によ
り5〜150質量%が望ましく、40〜120質量%が
好ましい。巻き取る時の残留溶媒量は、本発明において
は、セルロースエステルフィルムの残留溶媒量は2質量
%未満であることが好ましく、0.5質量%未満である
ことがより好ましく、0.1質量%未満であることが特
に好ましい。セルロースエステルフィルムのような溶液
流延製膜法により製膜して得られる基材は有機溶媒が全
て蒸発しきれないで有機溶媒が残存することがあるが、
これを残留溶媒量といい、残留溶媒量が少ないほど後の
プラズマ放電処理に対する弊害が少なくて済む。残留溶
媒量は下記の式で表される。
【0084】 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mは残留溶媒量を測定する試料の質量、NはM
の試料を110℃で3時間加熱して吸湿しないように室
温に戻した質量である。
【0085】本発明に係わる基材としての光学特性は、
面内レターデーションR0が0〜1000nmのもの、
厚み方向のレターデーションRtが0〜300nmのも
のが好ましく、または、波長分散特性のR0(600)
/R0(450)が0.7〜1.3であることが好まし
く、特に1.0〜1.3であること好ましい。ここで、
0(450)は波長450nmの光による3次元屈折
率測定に基づいた面内レターデーション、R0(60
0)は波長600nmの光による3次元屈折率測定に基
づいた面内レターデーションを表す。
【0086】〔基材の被覆物及び被覆層〕本発明に係わ
る基材は、前述のフィルムだけで基材として用いる以外
に、前述のフィルム表面にゼラチン、ポリビニルアルコ
ール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系
樹脂等の被覆層を塗設したもの、或いは前述のフィルム
に直接、または上記被覆層の上に、防眩層やクリアハー
ドコート層、バックコート層、または帯電防止層等の被
覆層を設層したものを基材として用いることが出来る。
【0087】本発明において有用な被覆層として、不飽
和エチレン性モノマーを1種以上含む成分を重合させて
形成した層で、活性線硬化性の組成物または熱硬化性の
組成物を用いるのが好ましく、特に活性線硬化性組成物
を用いるのが好ましい。ここで、活性線硬化組成物と
は、不飽和エチレン性モノマーを主として含有する組成
物、または不飽和エチレン性基を有する比較的分子量の
大きい化合物(通常、樹脂と称する)を含有する組成物
で、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応
などにより硬化層を形成する組成物をいう。活性線硬化
性組成物としては、紫外線硬化性組成物や電子線硬化性
組成物などが代表的なものとして挙げることが出来、紫
外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する組成物
でもよい。
【0088】本発明の被覆物に有用な紫外線硬化性組成
物(紫外線硬化性樹脂を含)について述べる。
【0089】紫外線硬化性組成物に主として含有されて
いる樹脂成分としては、例えば、紫外線硬化型アクリル
ウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレー
ト系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬
化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0090】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物
に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタ
クリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表
示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水
酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させるこ
とによって、特開昭59−151110号公報に記載さ
れているように得ることが出来る。
【0091】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系
のモノマーを反応させることによって、特開昭59−1
51112号公報に記載されているように得ることが出
来る。
【0092】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、下
記のごとき光重合開始剤を添加して反応させた特開平1
−105738号公報に記載のものを挙げることが出来
る。光重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシ
ムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサント
ン誘導体等を挙げることが出来、2種以上を併用したも
のも用いられる。
【0093】また、紫外線硬化型ポリオールアクリレー
ト系樹脂としては、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリス
リトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0094】紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤ある
いは増感剤を含有し、紫外線により硬化される。光重合
開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒ
ドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミ
ロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導
体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート
系の光重合開始剤を使用する際、n−ブチルアミン、ト
リエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感
剤を用いることが出来る。
【0095】紫外線硬化性組成物には、上記樹脂成分を
希釈し且つ重合し硬化に関与する成分として不飽和エチ
レン性基を1〜4個1分子中に有するモノマーを含有さ
せることがある。該モノマーとしては、例えば、不飽和
エチレン性基を1個有するモノマーとして、メチルアク
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、
ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げるこ
とが出来る。また不飽和エチレン性基を二つ以上有する
モノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、
プロピレングリコールジアクリレート、1,4−シクロ
ヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメ
チルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、
ジビニルベンゼン等を挙げることが出来る。紫外線硬化
性樹脂について多くの市販品があり、例えば、アデカオ
プトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−4
10、KR−550、KR−566、KR−567、B
Y−320B(以上、旭電化工業株式会社製);コーエ
イハードA−101−KK、A−101−WS、C−3
02、C−401−N、C−501、M−101、M−
102、T−102、D−102、NS−101、FT
−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M
−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製);セイ
カビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−
3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP
−30、P1000、P1100、P1200、P13
00、P1400、P1500、P1600、SCR9
00(以上、大日精化工業株式会社製);KRM703
3、KRM7039、KRM7130、KRM713
1、UVECRYL29201、UVECRYL292
02(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社);RC
−5015、RC−5016、RC−5020、RC−
5031、RC−5100、RC−5102、RC−5
120、RC−5122、RC−5152、RC−51
71、RC−5180、RC−5181(以上、大日本
インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.34
0クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−60
1(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP
−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C
(グレース・ジャパン株式会社製);アロニックスM−
6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合
成株式会社製)等を挙げることが出来る。このような市
販品の紫外線硬化性樹脂を本発明に係わる被覆物として
適宜選択して利用出来る。
【0096】紫外線硬化性組成物を光硬化反応させて皮
膜を形成するための光源としては、紫外線を発生する光
源であればいずれでも使用出来る。例えば、低圧水銀
灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボン
アーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を
用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによ
って異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm
2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/
cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけて
光源に対しては、それらの領域に吸収極大を有する増感
剤を組成物に含有させることによって使用を可能にする
ことが出来る。
【0097】紫外線硬化性組成物は有機溶媒を含有して
紫外線硬化性組成物塗布液としてもよく、不飽和エチレ
ン性モノマーを希釈性モノマーとして使用する場合で
も、有機溶媒を含有させるのが好ましい。
【0098】紫外線硬化性組成物塗布液に使用する有機
溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等の炭化水素
類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、イソアミルアルコール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、
プロピレングリコールモノイソブチルエーテル等のグリ
コールエーテル類等を挙げることが出来、適宜選択し、
あるいはこれらを混合して使用出来るが、上記のプロピ
レングリコールモノアルキルエーテルまたはプロピレン
グリコールモノアルキルエーテルエステルを5質量%以
上含有させることが好ましく、これらを5〜80質量%
含有する混合有機溶媒を用いることがより好ましい。
【0099】紫外線硬化性組成物塗布液を基材に塗布す
る方法としては、グラビアコーター、スピナーコータ
ー、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバース
コーター、押し出しコーター、エアードクターコーター
等公知の方法を用いることが出来る。塗布の際の液膜厚
(ウェット膜厚ともいう)で0.1〜30μmが好まし
く、より好ましくは、0.5〜15μmである。
【0100】紫外線硬化性組成物塗布液を塗布し、乾燥
した後、もしくは生乾きの状態で、紫外線光源を上記の
エネルギー値程度に照射し硬化反応を行わせる。この時
の照射時間は、基材の移送速度、塗布液の組成、塗布厚
さ等によって異なるが、概して0.5秒〜5分程度で照
射及び硬化が完結することが好ましく、3秒〜2分がよ
り好ましい。
【0101】硬化した被覆層のブロッキング防止やすり
傷防止等のためあるいは防眩層とするために、無機ある
いは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無
機微粒子としては酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げること
が出来、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸
メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂
粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系
樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート
樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹
脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げるこ
とが出来、これらを紫外線硬化性組成物に加えることが
出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径は、0.005
〜1μmが好ましく、特に0.01〜0.1μmのもの
が好ましい。紫外線硬化性樹脂と微粒子粉末との割合
は、樹脂100質量部に対して、微粒子粉末を0.1〜
10質量部となるように配合することが望ましい。この
ようにして形成された紫外線硬化性被覆層の表面粗さ
は、目的や種類に応じて異なるが、中心線平均表面粗さ
Ra(前出)として、Raがクリアーハードコート層な
ら1〜50nm、防眩層なら0.1〜1μm程度が好ま
しい。このようにして得られた樹脂層表面に、本発明の
方法で均一に薄膜を形成することが出来る。
【0102】〔薄膜、積層体及び光学フィルム〕本発明
において、薄膜の形成は、図5に示したような装置を用
いて、対向電極の間隙の放電部で、基材を大気圧もしく
はその近傍の圧力下で上記反応ガスによりプラズマ放電
処理することによって行われる。本発明における大気圧
もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理は、基
材の幅が、例えば2000mmもの非常に幅広いものを
行うことが出来、また、処理速度を100m/分の速度
で行うことも出来る。本発明において、プラズマ放電を
開始する際、まず処理室の空気を真空ポンプで引きなが
ら、反応ガスまたは希ガスを処理室に導入して、空気と
置換してから放電部に反応ガスを供給し、放電部を満た
すのが好ましい。その後基材を移送させて処理を行う。
【0103】本発明は、図3または4に示したように、
多層の薄膜を連続的に設けることが出来る。例えば、プ
ラズマ放電処理して反射防止層を有する光学フィルムを
製造する場合、基材表面に連続して、チタンアルコキシ
ドで屈折率が1.6〜2.3の高屈折率層の薄膜を、こ
の上にシランアルコキシド或いは有機フッ素化合物を用
いて屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層の薄膜を効率
的に形成させることが出来る。このような、本発明の方
法で多層の薄膜を連続して積層させることにより薄膜各
層の間の密着性に優れた積層体を形成させることが出来
る。
【0104】本発明の光学フィルムの積層構成を下記に
例示する。ここで、隣接する各層を/を挟んで表示した
ものであり、左側(基材のおもて面)から順に右側(基
材の裏面)へと積層構成を示している。
【0105】A:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低
屈折率層/高屈折率層/ハードコート層/基材 B:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/帯電防止層/基材/粘着層 C:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/ハ
ードコート層/帯電防止層/基材 D:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/基材/導電性層/粘着層 E:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/ハ
ードコート層/基材/帯電防止層/バックコート層/粘
着層 F:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/導電性中屈折率
層/ハードコート層/基材/バックコート層/粘着層 G:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層/ハードコート層/基材/導電性
層/粘着層 H:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/中屈折率層/帯
電防止剤含有ハードコート層/基材 I:防汚層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高
屈折率層/ハードコート層/基材/導電性層/バックコ
ート層 ここで、ハードコート層はクリアハードコート層または
防眩層を指している。
【0106】上記のように、機能層の塗設及び本発明の
プラズマ放電処理により様々な組み合わせの積層体を形
成することが出来る。図3または4に示したような連続
的にプラズマ放電処理をすることにより、上記のような
所望の光学フィルムを精度よく得ることが、本発明の特
徴である。
【0107】上記防汚層としては、既にプラズマ放電処
理した低屈折率層の表面に、有機フッ素樹脂を0.1〜
20nmの膜厚で塗設した層であっても、また有機フッ
素化合物を含む反応ガスで本発明のプラズマ放電処理し
た層であってもよく、表面を有機フッ素化合物で被覆し
たものを好ましく用いることが出来る。実際的には連続
的に低屈折率層形成後に防汚層をプラズマ放電処理する
ことにより形成するのが好ましい。
【0108】上記低屈折率層としては、有機フッ素化合
物を含む反応ガスで本発明のプラズマ放電処理して得ら
れた有機フッ素化合物層あるいはアルコキシシラン等の
有機珪素化合物を用いて形成された、主に酸化珪素を有
する層が好ましく、高屈折率層としては有機金属化合物
を含むガスを大気圧プラズマ放電処理して得られた金属
酸化物、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを有
する層である。それぞれの薄膜はこれだけに限定される
ものではなく、層構成もこれらに限定されるものではな
い。
【0109】上記中屈折率層としては、低屈折率層用反
応性ガスと高屈折率層用反応性ガスを適宜混合して屈折
率を調整したものでもよく、あるいは例えば重合性基を
有する有機化合物を混合したものでもよい。
【0110】図3のように一対の対向電極の放電部に供
給する反応ガスを低屈折率層用の成分とし、次の一対の
対向電極の放電部では高屈折率層用の成分を供給すると
いうように交互にすることにより、また、図4のように
それぞれの独立した処理部に、それぞれの成分の反応ガ
スを交互に供給することにより、高屈折率層と低屈折率
層を交互に有する均一の膜厚の積層体を形成出来ること
が本発明の特徴であり、このような連続積層体の形成方
法は特に好ましい方法である。
【0111】膜厚は放電部や反応ガス濃度、基材の搬送
速度によって適宜調整することが出来る。
【0112】本発明のプラズマ放電処理により、基材上
に形成した薄膜は片面のみにあるが、巻き取り後、その
反対側をプラズマ放電処理するために装置内に通しても
よい。帯電防止層を金属酸化物で形成する場合に、帯電
防止層または導電性層は、金属酸化物微粒子や架橋カチ
オンポリマー粒子等の塗布液を膜厚0.1〜2μm程度
の層に基材に塗布して形成することが出来るが、本発明
のプラズマ放電処理によっても薄膜の導電性層を形成す
ることが出来る。例えば、酸化スズ、酸化インジウムあ
るいは酸化亜鉛等の金属酸化物の導電性層を形成しても
よい。また、特願2000−273066記載の易接着
加工、特願2000−80043記載の帯電防止加工等
も本発明のプラズマ放電処理を用いて実施することが出
来る。
【0113】本発明のプラズマ放電処理方法による薄膜
形成条件は前述プラズマ放電処理装置のところで述べた
が、更に、処理するためのその他の条件等について述べ
る。
【0114】本発明の薄膜を形成する際、あらかじめ基
材を50〜120℃に熱処理してからプラズマ放電処理
することにより均一な薄膜を形成し易く、予加熱するの
は好ましい方法である。熱処理することにより、吸湿し
ていた基材を乾燥させることが出来、低湿度に維持した
ままプラズマ放電処理することが好ましい。60%RH
未満、より好ましくは40%RHで調湿した基材を吸湿
させることなくプラズマ放電処理することが好ましい。
含水率は3%以下であることが好ましく、2%以下であ
ることがより好ましく、1%以下であることが更に好ま
しい。
【0115】また、プラズマ放電処理後の基材を50〜
130℃の熱処理ゾーンで1〜30分熱処理することに
より薄膜を安定化させることが出来、有効な手段であ
る。
【0116】更に、本発明の多段のプラズマ放電処理に
より積層体を作製する際、それぞれのプラズマ放電処理
前後に処理面に紫外線を照射してもよく、形成した薄膜
の基材への密着性(接着性)や安定性を改善することが
出来る。紫外線照射光量としては50〜2000mJ/
cm2であることが好ましく、50mJ/cm2未満では
効果が十分ではなく、2000mJ/cm2を越えると
基材の変形等が生じる恐れがある。
【0117】本発明で形成される薄膜の膜厚としては、
1〜1000nmの範囲が好ましい。
【0118】本発明のプラズマ放電処理により形成する
薄膜の平均膜厚に対する膜厚偏差は小さく、均一な薄膜
を形成することが出来、優れた薄膜形成方法である。薄
膜の膜厚偏差は±10%のものを容易に得ることが出
来、好ましくは±5%以内、特に±1%以内の均一な薄
膜を得ることが出来る。
【0119】上述の、無機または有機微粒子を含有する
組成物塗布液を基材に塗布乾燥し、表面をRaが0.1
〜0.5μm程度凹凸表面を有する機能層、例えば防眩
層の上に、プラズマ放電処理により均一な膜厚の薄膜を
形成することも出来る。例えば、その薄膜が低屈折率層
あるいは高屈折率層等の場合、光学干渉層として設ける
ことが出来る。
【0120】本発明の光学フィルムは本発明のプラズマ
放電処理により形成する薄膜及びその積層体により構成
される。
【0121】本発明の光学フィルムとしては、反射防止
フィルム、防眩性反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィル
ム、導電性フィルム、帯電防止フィルム、位相差フィル
ム、光学補償フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上
フィルム等があるが、これらに限定されない。
【0122】〔偏光板〕本発明の方法で作製した光学フ
ィルムは、特に偏光板保護フィルムとして有用であり、
公知の方法で偏光板を作製することが出来る。これらの
光学フィルムは薄膜の均一性が高いため、各種表示装置
に好ましく用いられ、優れた表示性能を得ることが出来
る。
【0123】偏光板は、例えばポリビニルアルコールフ
ィルムにヨウ素や二色性色素を含有させ、縦方向に延伸
した偏光子を保護フィルムで両側をサンドイッチしたよ
うな構成を有している。本発明の偏光板は、本発明のプ
ラズマ放電処理により作製した積層体の光学フィルムを
偏光板保護フィルムとして用いることにより、より均一
な薄膜を有する積層体の光学フィルムを低コストで生産
性よく提供することが出来る。
【0124】〔画像表示装置〕本発明の画像表示装置は
特に限定されないが、例えば液晶ディスプレイ装置、有
機ELディスプレイ装置、無機ELディスプレイ装置、
プラズマディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置を
挙げることが出来る。本発明の光学フィルムは均一な薄
膜が形成されているため、これらの表示装置に用いた場
合、ムラのない高い表示品質の表示装置を低コストで提
供することが出来る。
【0125】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0126】〔評価方法〕 〈反射率の測定1(膜厚と偏差)〉試料の分光反射率を
分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、
5度正反射の条件で反射率の測定を行った。測定では、
試料の観察面の裏面を、目の細かいサンドペーパーを用
いて粗面化処理した後、黒色のスプレーを吹きつけ光吸
収処理を行い、試料裏面での光の反射を防止した。観察
面について、400nm〜700nmの波長での反射率
の測定を行った。得られる反射スペクトルデータより、
薄膜層の膜厚を算出する。セルロースエステルフィルム
の製膜時の幅方向及び長手方向についてそれぞれ10c
m間隔で10点を測定して膜厚のバラツキをnm単位で
表す。
【0127】〈反射率の測定2(反射率が0.6%以下
となった点の数)〉上記観察面の裏面を光反射を防止し
たのち、観察面について同様に反射スペクトルを測定し
スペクトルデータから、幅手方向に10点測定を行い、
450〜650nmの範囲で反射率が0.6%以下とな
った点の数をカウントした。
【0128】〈目視評価(ムラ)〉幅方向全幅×長手方
向50cmの試料を裏面に黒色のスプレーを用いて光吸
収処理を行い、表面から蛍光灯の反射を観察して反射光
のムラについて評価した。
【0129】 ◎:ムラが全く認められない ○:わずかにムラが認められる △:ムラが認められる ×:明らかにムラが認められる。
【0130】〈目視評価(偏光板のムラ、液晶表示パネ
ルのムラ)〉偏光板及び液晶表示パネルについて、表面
から蛍光灯をあてて観察して反射光のムラについて評価
した。基準は上記と同様である。
【0131】〔基材の作製〕下記のように基材を準備し
た。
【0132】 〈ドープ〉 《ドープA》 アエロジル200V 1kg エタノール 9kg 上記素材をディゾルバ攪拌機で30分間撹拌混合した
後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行
い酸化珪素微粒子分散液を得た。
【0133】 (酸化珪素微粒子添加液Aの調製) セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.7) 6kg メチレンクロライド 140kg を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶
解、濾過した後、10kgの上記酸化珪素微粒子分散液
を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾
過し、酸化珪素微粒子添加液Aを調製した。
【0134】 (ドープAの調製) メチレンクロライド 440kg エタノール 35kg セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.7) 100kg エチルフタリルエチルグリコレート 7kg チヌビン171 2kg 上記組成物のメチレンクロライドとエタノールを密閉容
器に投入し、攪拌しながらセルローストリアセテート、
エチルフタリルエチルグリコレート及びチヌビン171
を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合し
た。このセルローストリアセテートを流延する温度まで
温度を下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を
安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾
過した。更にこのセルローストリアセテート溶液100
kg当たり酸化珪素微粒子添加液を2kgの割合で添加
し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−
Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープA
を調製した。
【0135】 《ドープB》 (酸化珪素微粒子添加液Bの調製) セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、 プロピオニル基置換度:0.8) 6kg 酢酸メチル 100kg エタノール 40kg 上記の素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しなが
ら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化
珪素微粒子分散液を撹拌しながら加えて、さらに30分
間撹拌した後、濾過し、酸化珪素微粒子添加液Bを調製
した。
【0136】 (ドープBの調製) セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.0、 プロピオニル基置換度:0.8) 100kg 酢酸メチル 290kg エタノール 85kg トリフェニルフォスフェート 8kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg チヌビン109 2kg 酢酸メチルとエタノールを密閉容器に投入し、攪拌しな
がら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、
混合した。このセルロースプロピオネート溶液を流延す
る温度まで温度を下げて一晩静置し、脱泡操作を施した
後、セルロースプロピオネート溶液を安積濾紙(株)製
の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に溶液
100kgあたり酸化珪素微粒子添加液Bを2kgの割
合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合
機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、
ドープBを調製した。
【0137】 《ドープC》 (酸化珪素微粒子添加液Cの調製) セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.88) 6kg メチレンクロライド 140kg を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶
解、濾過した。これに10kgの上記酸化珪素分散液を
撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過
し、酸化珪素微粒子添加液Cを調製した。
【0138】 (ドープCの調製) メチレンクロライド 440kg エタノール 35kg トリアセチルセルロース(アセチル置換度:2.88) 100kg トリフェニルフォスフェート 8kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg チヌビン326 0.4kg チヌビン109 0.9kg チヌビン171 0.9kg 上記組成物のメチレンクロライドとエタノールを密閉容
器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌し
ながら、完全に溶解、混合し、セルローストリアセテー
ト溶液を調製した。このセルローストリアセテートを流
延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した
後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を
使用して濾過した。更にセルローストリアセテート溶液
100kgあたり酸化珪素微粒子添加液Cを2kgの割
合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合
機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、
ドープCを調製した。
【0139】《セルロースエステルフィルム》上記で調
製したドープA、B及びCを用いて下記のようにしてセ
ルロースエステルフィルム1〜3を作製した。なお、作
製したセルロースエステルフィルムロールの幅を130
0mm、ロール長さを2500mとした。
【0140】(セルロースエステルフィルム1の作製)
ドープAを濾過した後、温度を35℃としたドープAを
加圧ダイから、無限移行する無端のステンレスベルト上
に流延した。ウェブの表面側から乾燥風で加熱し、また
ステンレスベルトの裏面から38℃の温水で加熱し、残
留溶媒量35質量%でウェブをステンレスベルトから剥
離した。
【0141】剥離後、ウェブの両端をクリップで把持し
幅保持をしながら100℃で乾燥させた後、クリップか
らウェブを解放後、ロール搬送しながら120℃の乾燥
ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、
高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚60μmの
セルロースエステルフィルム1を作製した。
【0142】(セルロースエステルフィルム2及び3の
作製)ドープAをドープBに代え、膜厚50μmとした
以外はセルロースエステルフィルム1と同様にセルロー
スエステルフィルム2を作製した。また、ドープAをド
ープCに代え、膜厚40μmとした以外はセルロースエ
ステルフィルム1と同様にセルロースエステルフィルム
3を作製した。
【0143】〈基材〉セルロースエステルフィルム1〜
3を用いて、下記のようにして基材1〜9とした。
【0144】《基材1》セルロースエステルフィルム1
をそのまま(何も加工しないで)基材1とした。
【0145】《基材2》セルロースエステルフィルム1
のB面側(ステンレスベルトにウェブが接していた側の
フィルムの面をB面と定義する)に下記のクリアハード
コート層塗布組成物を液膜厚が13μmとなるように押
し出しコーターで塗布し、次いで80℃に設定された乾
燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射
し、乾燥膜厚で3μmの中心線平均表面粗さ(Ra)1
3nmのクリアハードコート層を設け、基材2とした。
【0146】 (クリアハードコート層塗布組成物) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン 4質量部 酢酸エチル 45質量部 メチルエチルケトン 45質量部 イソプロピルアルコール 60質量部。
【0147】《基材3》セルロースエステルフィルム1
のB面に下記の防眩層塗布組成物を液膜厚が13μmと
なるように押し出しコーターで塗布し、次いで80℃に
設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2
紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの防眩層(中心線平均
表面粗さ(Ra)0.3μm)を設け、基材3とした。
【0148】 (防眩層塗布組成物) 酢酸エチル 45質量部 メチルエチルケトン 45質量部 イソプロピルアルコール 60質量部 サイリシア431(平均粒径2.5μm、富士シリシア化学社製) 2質量部 アエロジル200V(平均粒径12nm) 3質量部 以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業
(株)製)で攪拌し、その後マントンゴーリン衝突型分
散機(高圧分散装置、ゴーリン社製)で分散した後、下
記の成分を添加し、防眩層塗布組成物を調製した。
【0149】 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン 4質量部。
【0150】《基材4〜6》上記の基材1〜3のセルロ
ースエステルフィルム1をセルロースエステルフィルム
2に変更した以外は同様にして基材4〜6とした。
【0151】《基材7》セルロースエステルフィルム3
のA面側(ステンレスベルト上でのウェブの空気側のフ
ィルム面をA面と定義する)下記バックコート層塗布組
成物を液膜厚13μmとなるように押し出しコーターで
塗布し、乾燥温度80℃で乾燥し、バックコート層を設
け、基材7とした。
【0152】 (バックコート層塗布組成物) アセトン 30質量部 酢酸エチル 45質量部 イソプロピルアルコール 10質量部 ジアセチルセルロース 0.5質量部 アエロジル200V(アセトンの一部を用い2%アセトン分散液として添加) (アセトンの一部を用い2%アセトン分散液として添加)0.1質量部。
【0153】《基材8》セルロースエステルフィルム3
のA面に上記のバックコート層を基材7と同様に塗設
し、その後、B面側に上記クリアハードコート層を基材
2と同様に設け、基材8とした。
【0154】《基材9》セルロースエステルフィルム3
のA面に上記のバックコート層を基材7と同様に塗設
し、その後、B面側に上記防眩層を基材3と同様に設
け、基材9とした。
【0155】上記の基材1〜9とそれに使用した使用セ
ルロースエステルフィルム1〜3について下記表1に層
構成をまとめた。
【0156】
【表1】
【0157】実施例1 《光学フィルム1〜3の作製》基材1、4及び7のB面
に、図5に示したような装置を用いて放電部における圧
力を100kPaとして下記高屈折率形成用反応ガスを
用いプラズマ放電処理を行った。図5の予備室の圧力を
処理室より0.3Pa低くして、何れにもアルゴンガス
を導入し満たし、放電部には反応ガス供給部から下記の
組成の反応ガスを供給し、排気口から処理後のガスを排
気した。予備室の圧力は外界に対して0.3Pa高くし
た。対向電極のロール電極は、冷却水による冷却機能を
有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は
図1には図示していない)で出来ており、ロールの外周
にはセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、そ
の後テトラメトキシシランの有機溶媒溶液を塗布乾燥
後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行った固体
誘電体を有するものである。ロール電極の一方をアース
に接地した。ロール電極の間隙を1.5mmとし、放電
プラズマ発生に用いる使用電源には日本電子(株)製の
高周波電源JRF−10000で13.56MHzに設
定し、放電密度を300W・min/m2としてプラズ
マ放電処理を行い、基材のB面側に膜厚約100nmと
なるように高屈折率層を形成し、光学フィルム1〜3を
作製した。なお、ロール電極はラインドライブモータと
同期させて回転させた。評価方法に示した幅手方向及び
長手方向の高屈折率層の反射率を測定して膜厚とその偏
差を評価し、また評価方法に示した膜厚ムラを目視で評
価し、結果を表2に示した。
【0158】 (高屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.8体積% 反応性ガス:テトライソプロポキシチタン蒸気 (150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.2体積% 水素ガス 1体積% 比較例1 プラズマ放電処理を図7の装置を使用し、一方向に基材
を移送させた以外は実施例1と同様に行った。図7はロ
ール電極を用い一方向に通過する基材を処理するプラズ
マ放電処理装置を模式的に示した図である。図7におい
て、一対の対向ロール電極10S及び10Tを有し、こ
れらのロール電極10S及び10Tには放電のための電
圧を印加出来る高周波電源80Sが電圧供給手段81S
と82Sを介して接続されている。ロール電極10S及
び10Tは基材FT及びFSをそれぞれ別々に巻き回し
ながら回転することが出来る回転電極である。放電部1
00Sには大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持さ
れ、反応ガス供給部30Sから反応ガスGが供給され放
電部100Sにおいてプラズマ放電が行われる。前工程
または元巻きから供給される基材FSはガイドロール2
0Sによりロール電極10Sに密着され、同期して回転
移送され、放電部100Sで大気圧もしくはその近傍の
圧力下で反応ガスによりプラズマ放電処理が施される。
もう一方の電極10Tにおいても、同様に基材FTも処
理される。図7には基材の折り返しはなく、ロール電極
10S及び10Tを別々の基材FSとFTを移送し、基
材FSとFTはそれぞれが同じ放電部において同時に処
理される。21Sと21Tは送り出す側のガイドロール
である。処理後の反応ガスは排出口40Sから排出され
る。
【0159】比較例1はこのように、一方通過の基材を
処理するものである。図示してないが図5のような処理
室と予備室を有している。基材1、4及び7を用いて、
装置として図7を使用したこと以外は実施例1と同様に
連続的に基材のB面側に膜厚約100nmとなるように
高屈折率層を形成し、光学フィルム11〜13を作製し
た。実施例1と比較して膜厚形成速度が遅かったため、
約半分の速度で基材を搬送して処理しなければならなか
った。
【0160】評価方法に示した幅手方向及び長手方向の
高屈折率層の反射率から膜厚及びその偏差を測定し、ま
た評価方法に示した膜厚ムラを目視で評価し、結果を表
2に示した。
【0161】
【表2】
【0162】(結果)本発明の方法は、比較例と比べて
約2倍の速度で処理することが出来た。これに対して、
光学フィルム11〜13は処理ムラがあり、反射率によ
る膜厚のムラも大きく本発明に対して何れも劣ってい
た。
【0163】実施例2 基材2、3、5、6、8及び9を用い、図5のプラズマ
放電処理装置を5個直列につないだ図4に示したような
連続積層プラズマ放電処理装置を用いて、表面に複数の
薄膜を形成した積層体の光学フィルムを下記のようにし
て作製した。該基材のB面側に(基材2、5、8はクリ
アハードコート層の上に各屈折率層を形成し、また基材
3、6、9は防眩層の上に各屈折率層を形成)ロール電
極の放電部側にして下記条件で、100kPaの圧力下
で順に、低屈折率層用反応ガス、高屈折率層形成用反応
ガス、低屈折率層形成用反応ガス、高屈折率層形成用反
応ガス及び低屈折率層用反応ガスを用いてプラズマ放電
処理を、基材/低屈折率層1(膜厚20nm)/高屈折
率層1(膜厚23nm)/低屈折率層2(膜厚25n
m)/高屈折率層2(膜厚95nm)/低屈折率層3
(膜厚88nm)になるように連続的に行った。なお、
低屈折率層、高屈折率層のそれぞれの膜厚が上記のよう
になるように放電条件、放電部をそれぞれ調節して行っ
た。高屈折率層形成用反応ガス及び低屈折率層形成用反
応ガスはそれぞれの回数共同じ組成のものを使用した。
対向ロール電極、高周波数電源、周波数及び放電密度の
条件を実施例1と基本的に同様にした。使用した高屈折
率層用反応ガス組成物は屈折率が1.90となるよう
に、また低屈折率層用反応ガス組成物は屈折率が1.4
6となるように配合されている。上記のようにプラズマ
放電処理し、基材2、3、5、6、8及び9を用い、光
学フィルム4〜9を作製した。
【0164】上記で得られた積層体の光学フィルムを前
記評価方法の反射率の測定を行い、反射率が0.6%以
下となった点(反射率の測定2)の評価、及び目視によ
る反射光のムラの評価を行い、結果を表3に示した。
【0165】 (高屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.8体積% 反応性ガス:テトライソプロポキシチタン蒸気 (150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.2体積% 水素ガス 1体積% (低屈折率層形成用反応ガス組成) 希ガス:アルゴン 98.2体積% 反応性ガス:テトラメトキシシラン蒸気 (加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積% 水素ガス 1.5体積% 比較例2 図7で示した装置が連続的に5個直列した装置(図5の
ような処理室と予備室を有している)を用いた以外は実
施例2と同様に、基材2、3、5、6、8及び9の上に
積層体を形成し、光学フィルム14〜19を作製した。
【0166】上記で得られた積層体の光学フィルムを4
50〜650nmの反射率及び目視による反射光のムラ
の評価を行い、結果を表3に示した。図8は本発明の光
学フィルム8の400〜700nmの反射率のスペクト
ルグラフを一例として示した図であるが、その他のスペ
クトルグラフは省略した。
【0167】
【表3】
【0168】(結果)表3から、本発明の方法で製造さ
れた薄膜を有する積層体は、目的の膜厚の薄膜が均一に
形成出来るため反射率が極めて低く、本発明の光学フィ
ルム4〜9はは450〜650nmの波長領域におい
て、何れも図8のごとく反射率0.6%以下で、しかも
ほとんど平らで波長によるムラが認められなかった。ま
た目視によるムラも何れも全くなかった。これに対し
て、比較例の光学フィルム14〜19は図示してない
が、しかも450〜650nmの範囲内で反射率が0.
6%以上を示す測定点があり、ムラが目立った。目視に
おいてもムラが観察された。また、プラズマ放電処理速
度も本発明に対して約1/2に遅くしても、薄膜の膜厚
が目標になかなか到達出来なかった。
【0169】実施例3及び比較例3 実施例2及び比較例2で作製した積層体の光学フィルム
8と9及び18と19を偏光板保護フィルムとして用い
て、以下に述べる方法に従って偏光板8、9、18と1
9を作製し、評価を行った。
【0170】〈偏光膜の作製〉厚さ120μmのポリビ
ニルアルコールフィルムを、温度110℃で縦方向に倍
率5倍に一軸延伸した。これをヨウ素0.075質量
部、ヨウ化カリウム5質量部、水100質量部からなる
水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6質量
部、ホウ酸7.5質量部、水100質量部からなる68
℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得
た。
【0171】〈偏光板の作製〉次いで、下記工程1〜5
に従って、偏光膜と各偏光板用保護フィルムとを貼り合
わせて偏光板を作製した。
【0172】工程1:実施例2及び比較例2で作製した
光学フィルム8、9、18及び19をそれぞれ長手方向
30cm及び巾手方向18cmの大きさに各2枚切り出
し、2mol/lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で9
0秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。低屈折率層の
面には、剥離性の保護フィルムを張り付けて処理を行っ
た。
【0173】工程2:上記偏光膜を長手方向30cm、
幅手方向18cmの大きさに光学フィルムの数だけ切り
だし、完全鹸化ポリビニルアルコール2質量%含有する
水性接着剤槽中に1〜2秒間それぞれの偏光膜を浸漬し
た。
【0174】工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の
接着剤を軽く取り除き、それを工程1で処理したそれぞ
れの光学フィルムのA面側に貼り合わせ、更に偏光膜の
もう一方の面に使用した同一の光学フィルムを接着剤と
接する様に貼り合わせ(低屈折率層が外側となるように
貼り合わせ)偏光膜をサンドウィッチ型に積層体とし
た。
【0175】工程4:上記積層体中の過剰の接着剤と気
泡を取り除くために、ハンドローラで20〜30N/c
2の圧力で、ローラスピードは約2m/分で工程3で
積層押し且つ絞り出し圧着して貼り合わせた。
【0176】工程5:工程4で圧着した積層体を80℃
の乾燥機中で2分間乾燥処理し、偏光板8、9、18及
び19を作製した。
【0177】〈液晶表示パネル(液晶表示装置)〉市販
のNEC製カラー液晶ディスプレイ、MultiSyn
c LCD1525J、型名LA−1529HMの液晶
画像表示パネルの最表面の偏光板を注意深く剥離し、こ
こに偏光方向を合わせて上記偏光板8、9、18及び1
9を張り付け液晶表示パネル8、9、18及び19を作
製し、結果を表4に示した。
【0178】偏光板及び液晶表示パネルについて、目視
でムラの評価を行い、前述のムラの評価の基準で同様に
評価し、表4に示した。
【0179】
【表4】
【0180】(結果)本発明の偏光板及び偏光板を用い
た液晶表示パネルは、ムラ、特に干渉模様のような色の
付いたムラがなく優れた偏光板及び液晶表示パネルを
得、品質の高いものとして提供出来ることがわかった。
これに対して、比較例の偏光板及び液晶表示パネルはム
ラが多く、特に色の付いたムラが表示性能を劣化させ、
実用として提供出来るものではなかった。
【0181】
【発明の効果】本発明により、均一な薄膜を高い製膜速
度で効率的に生産性よく作るプラズマ放電装置及びその
装置で薄膜を形成する方法を提供出来る。これにより膜
厚均一な高品質な光学フィルム、偏光板及び画像表示装
置を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール電極を用いて基材を往復させて処理する
プラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。
【図2】ベルト電極を用いて基材を往復させて処理する
プラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。
【図3】複数のロール電極を用いて基材を往復させて処
理するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図であ
る。
【図4】基材を往復させて処理するロール電極対を連続
的につなげて処理するプラズマ放電処理装置を模式的に
示した図である。
【図5】外界と遮断する処理室とその出入口の両側に予
備室を有するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図
である。
【図6】基材を往復させて処理するロール電極対を連続
的につなげて処理するプラズマ放電処理装置の別の1態
様を模式的に示した図である。
【図7】ロール電極を用い一方向に通過する基材を処理
するプラズマ放電処理装置を模式的に示した図である。
【図8】本発明の光学フィルムの400〜700nmの
反射率スペクトルグラフを一例として示した図である。
【符号の説明】
F、FS、ST 基材 G 反応ガス G′ 処理後のガス 10A、10B、10C、10D、10E、10F、1
0G ロール電極 A1〜A5,B1〜B5 ロール電極 11A、11B、11C、11D、11E、11F、1
1G、11H、11I折り返しロール(Uターンロー
ル) 13A、13B ベルト電極 14C、14D、14E、14F サポートロール 20、20C、20E、20G、21、22、23 ガ
イドロール 30、30C、30E、30G 反応ガス供給部 31 ガス導入口 40、40C、40E、40G 排出口 60A、60B 予備室 65、66 ニップロール 70 処理室 71 処理室容器 80、80C、80E、80G 電源 81、81D、81H、81F、81J 電圧供給手段 100、100S、100T、101 放電部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BB13 BB33 BB63 BC01 BC05 BC09 2K009 AA02 AA07 AA15 CC03 CC26 CC42 DD17 EE03 EE05 4K030 AA11 CA12 FA03 GA14 JA03 JA06 JA18 KA16 KA30

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に移送する基材の表面を大気圧も
    しくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラズ
    マ放電処理装置であって、少なくとも一対の対向電極と
    該対向電極の間に形成される放電部を有し、該放電部に
    おいて該対向電極の一方の電極に接しながら該放電部を
    通過し処理された該基材が再び該対向電極のもう一方の
    電極に接しながら該放電部に移送するための折り返し移
    送手段を有し、該放電部において往復して通過する該基
    材の間に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給
    する手段及び処理後の排ガスを排出する手段を有し、且
    つ該対向電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生さ
    せる手段を有することを特徴とするプラズマ放電処理装
    置。
  2. 【請求項2】 連続的に移送する基材の表面を大気圧も
    しくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラズ
    マ放電処理装置であって、複数対の対向電極と該対向電
    極の間に形成される複数の放電部を有し、放電部におい
    てそれぞれの一方の電極に接しながらそれぞれの放電部
    を通過し処理された該基材を再び該対向電極のそれぞれ
    のもう一方の電極に接しながらそれぞれの放電部に移送
    し処理するための折り返し移送手段を有し、各放電部に
    おいて往復して通過する該基材の間に大気圧またはその
    近傍の圧力の反応ガスを供給する手段及び処理後の排ガ
    スを排出する手段を有し、且つそれぞれの対向電極間に
    電圧を印加してプラズマ放電を発生させる手段を有する
    ことを特徴とするプラズマ放電処理装置。
  3. 【請求項3】 連続的に移送する基材の表面を大気圧も
    しくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラズ
    マ放電処理装置であって、一対の対向電極と該対向電極
    の間に形成される放電部を有し、該放電部において該対
    向電極の一方の電極に接しながら該放電部を通過し処理
    された該基材を再び該対向電極のもう一方の電極に接し
    ながら該放電部に移送し処理するための折り返し移送手
    段を有し、該放電部において往復して通過する該基材の
    間に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給する
    手段及び処理後の排ガスを排出する手段を有し、且つ該
    対向電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させる
    手段を有する放電部を、連続して複数有することを特徴
    とするプラズマ放電処理装置。
  4. 【請求項4】 対向電極が回転するロール電極であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプ
    ラズマ放電処理装置。
  5. 【請求項5】 連続的に移送する基材の表面を大気圧も
    しくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラズ
    マ放電処理装置であって、少なくとも一つの回転するロ
    ール電極とこれに対向する複数の回転するロール電極と
    の間に形成される複数の放電部を有し、該放電部におい
    て、対向するロール電極の一方に接しながら該放電部を
    通過し処理された該基材が、再び該対向するロール電極
    のもう一方に接しながら該放電部を通過し、処理するこ
    とが可能な移送手段を有し、該放電部において往復して
    通過する該基材の間に大気圧またはその近傍の圧力の反
    応ガスを供給する手段を有し、且つ該対向するロール電
    極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させる手段を
    有することを特徴とするプラズマ放電処理装置。
  6. 【請求項6】 対向電極の表面が固体誘電体で被覆され
    ていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に
    記載のプラズマ放電処理装置。
  7. 【請求項7】 対向電極間の間隙が0.5〜20mmで
    あることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記
    載のプラズマ放電処理装置。
  8. 【請求項8】 前記電源の周波数が100kHzを超え
    150MHz以下であることを特徴とする請求項1乃至
    7の何れか1項に記載のプラズマ放電処理装置。
  9. 【請求項9】 一対の対向電極、該対向電極の間で形成
    される放電部、折り返し手段、反応ガス供給手段及び排
    ガスを排出する手段を一つの処理室内に有することを特
    徴とする請求項1、3乃至8のいずれか1項に記載のプ
    ラズマ放電処理装置。
  10. 【請求項10】 複数の対向電極とそれらの間で形成さ
    れる複数の放電部、一つの折り返し手段、複数の反応ガ
    ス供給手段及び複数の排ガスを排出する手段を一つの処
    理室内に有することを特徴とする請求項2、4乃至8に
    記載のプラズマ放電処理装置。
  11. 【請求項11】 前記処理室の基材の入口及び出口のそ
    れぞれに予備室を隣接して有することを特徴とする請求
    項5、9または10に記載のプラズマ放電処理装置。
  12. 【請求項12】 一つのプラズマ放電部を往復して連続
    移送する基材の表面を大気圧もしくはその近傍の圧力下
    で反応ガスにより処理することを特徴とするプラズマ放
    電処理方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至11の何れか1項に記載
    のプラズマ放電処理装置を用いて、往復して連続移送す
    る基材の表面を大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応
    ガスにより処理することを特徴とするプラズマ放電処理
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項2乃至11の何れか1項に記載
    の複数の放電部を有するプラズマ放電処理装置を用い
    て、往復して連続移送する基材の表面に大気圧もしくは
    その近傍の圧力下で反応ガスにより処理することを特徴
    とするプラズマ放電処理方法。
  15. 【請求項15】 前記反応ガスが90〜99.99体積
    %の希ガスと0.01〜10体積%の反応性ガスを有す
    ることを特徴とする請求項5または12乃至14の何れ
    か1項に記載のプラズマ放電処理方法。
  16. 【請求項16】 反応性ガスがガス状の有機金属化合物
    またはガス状の有機フッ素化合物を含有することを特徴
    とする請求項5または12乃至15の何れか1項に記載
    のプラズマ放電処理方法。
  17. 【請求項17】 請求項12、15または16に記載の
    方法を用いて、基材表面に形成したことを特徴とする薄
    膜。
  18. 【請求項18】 請求項12乃至16の何れか1項に記
    載の方法を用いて、基材表面に複数形成したことを特徴
    とする薄膜積層体。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載の薄膜を有すること
    を特徴とする光学フィルム。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の薄膜積層体を有す
    ることを特徴とする光学フィルム。
  21. 【請求項21】 請求項19または20に記載の光学フ
    ィルムを有すること特徴とする偏光板。
  22. 【請求項22】 請求項19または20に記載の光学フ
    ィルムを有すること特徴とする画像表示装置。
  23. 【請求項23】 請求項21に記載の偏光板を有するこ
    とを特徴とする画像表示装置。
  24. 【請求項24】 連続的に移送する基材の表面を大気圧
    もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理するプラ
    ズマ放電処理方法であって、少なくとも一対の対向電極
    の間に形成される放電部を有し、該放電部において、一
    方の電極に接しながら該放電部を通過する該基材上に大
    気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給し、且つ該
    対向電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ、
    基材表面にプラズマ放電処理を行った後、直ちに又は他
    の放電部を通過した後折り返し移送手段によって折り返
    され、もう一方の対向電極に接しながら該放電部に再び
    移送され、通過する基材に、該放電部において更にプラ
    ズマ放電処理を行うことを特徴とするプラズマ放電処理
    方法。
  25. 【請求項25】 少なくとも1つの対向電極に対して、
    2つ以上の対向電極が配置され、これらの電極間にプラ
    ズマ放電可能な電圧が印加されて複数の放電部を形成
    し、各々の放電部において、電極に接しながら搬送され
    る基材表面にプラズマ放電処理されることを特徴とする
    請求項24に記載のプラズマ放電処理方法。
  26. 【請求項26】 複数の対からなる対向電極群を有し、
    一方の対向電極群のうち1つと、これと対となる対向電
    極群の複数の対向電極とが複数の放電部を形成するよう
    に隣接して配置され、各々の放電部において、一方の対
    向電極に接して搬送され、プラズマ放電処理された基材
    が、折り返し移送手段によって折り返され、再度もう一
    方の対向電極に接して搬送され、基材表面が再びプラズ
    マ放電処理されることを特徴とする請求項24に記載の
    プラズマ放電処理方法。
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