JP4556357B2 - 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

低反射偏光板及びそれを用いた表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4556357B2
JP4556357B2 JP2001215080A JP2001215080A JP4556357B2 JP 4556357 B2 JP4556357 B2 JP 4556357B2 JP 2001215080 A JP2001215080 A JP 2001215080A JP 2001215080 A JP2001215080 A JP 2001215080A JP 4556357 B2 JP4556357 B2 JP 4556357B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent support
layer
polarizing plate
film thickness
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001215080A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003029036A (ja
Inventor
隆 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2001215080A priority Critical patent/JP4556357B2/ja
Publication of JP2003029036A publication Critical patent/JP2003029036A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4556357B2 publication Critical patent/JP4556357B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止機能が付与された低反射偏光板とそれを用いた表示装置に関するものであり、詳しくは、高い表示品質を安定して長期間提供することができる低反射偏光板及びそれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。
【0003】
最近、視認性向上のために反射防止機能を付与したディスプレイが多く使用されている。反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々の前面板を液晶ディスプレイの偏光子等に貼り合わせることで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。これら、前面板として用いる光学用フィルムには、塗布またはスパッタリング等で形成した反射防止機能層が設けられている。
【0004】
反射防止機能層は、表面の反射率を低くすることで、反射像の写り込みの視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。
【0005】
また、最近の検討の結果、表示装置に用いられる偏光板には反射防止機能を付与することによって、コントラスト低下を防止したり、像の写り込みを防止することが求められており、反射防止層としては様々な方法で設けることが可能であるが、表示装置の高精細化にともなって、単に反射防止層を設けただけでは、十分な性能を発揮することが困難となってきており、早急な改良手段の開発が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、カール、平面性が良好で、視認性、視野角等の表示特性に優れた低反射偏光板とそれを用いた表示装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0008】
1.2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる低反射偏光板において、透明支持体A、Bのいずれもがセルロースエステルを含有し、該透明支持体Aが偏光層とは反対の面に直接または他の層を介して反射防止層を有し、該透明支持体Aと該透明支持体Bとの膜厚が、前記式(1)で表される関係であり、かつ反射防止層を有する該透明支持体Aに含まれるセルロースエステルの平均置換度Aと、該透明支持体Bに含まれるセルロースエステルの平均置換度Bとが、前記式(2)で表される関係にあることを特徴とする低反射偏光板。
【0009】
2.前記透明支持体A、Bが、各々の膜厚が200μm以下であり、各々の透明支持体の膜厚差(透明支持体B膜厚−透明支持体A膜厚)をΔMとし、各々に用いられているセルロースエステルの平均置換度の差(透明支持体Aで用いるセルロースエステルの平均置換度−透明支持体Bで用いるセルロースエステルの平均置換度)をΔSとしたとき、前記式(3)の条件を満たすことを特徴とする前記1項に記載の低反射偏光板。
【0010】
3.2枚の透明支持体A、Bが、2軸延伸されたセルロースエステルフィルムであることを特徴とする前記1または2項に記載の低反射偏光板。
【0011】
4.2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる偏光板において、透明支持体Aが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を介して反射防止層を有し、かつ透明支持体Bが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を有することを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
【0012】
5.前記透明支持体Aの活性線硬化樹脂層の膜厚UVaと前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbとの膜厚比(UVb/UVa)が0.1〜10であることを特徴とする前記4項に記載の低反射偏光板。
【0013】
6.前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbが、1.3μm以上であることを特徴とする前記4または5項に記載の低反射偏光板。
【0014】
7.前記透明支持体Aの活性線硬化樹脂層の膜厚UVaと前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbとの膜厚比(UVb/UVa)が0.2〜0.95であることを特徴とする前記5項に記載の低反射偏光板。
【0015】
8.前記透明支持体Aまたは透明支持体Bが、炭素含有量0.2〜5%の金属酸化物層を有することを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
【0016】
9.前記透明支持体Aが、屈折率2.0以上の金属酸化物層を含む反射防止層を有することを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
【0017】
10.前記透明支持体Aが、大気圧プラズマ処理によって形成された反射防止層を有することを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
【0018】
11.450〜650nmの平均反射率が、0.5%未満であることを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
【0019】
12.前記1〜11項のいずれか1項に記載の低反射偏光板を用い、前記透明支持体A面側が表面側になるように配置されたことを特徴とする表示装置。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明者は、偏光板保護フィルムとして2枚のセルロースエステルフィルムを用いて、反射防止層を設ける側のセルロースエステルフィルムに対して、もう一方の側のセルロースエステルフィルムのセルロースエステルの置換度を低くすることによって、高い表示品質を提供できる偏光板が得られることを見いだした。このとき、より好ましくは反射防止層を有する側のセルロースエステルフィルムの膜厚がもう一方に対して、同じか薄くすることが好ましく、特に膜厚が200μm以下であって、透明支持体A、Bの膜厚差をΔMとし、透明支持体A、Bに用いられているセルロースエステルの平均置換度の差をΔSとしたとき、0.05+ΔM/200<ΔSの関係を満たすような偏光板とすることが好ましいことを新たに見いだした。
【0021】
上記で規定した条件とすることによって、高温、高湿条件であっても偏光板の特性が変化しにくく、高い表示品質を維持することができる。より好ましくは本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは2軸延伸されたものであり、これによって、更に良好な表示品質を提供することができる。
【0022】
更に好ましくは、両方の透明支持体に活性線硬化樹脂層が設けられていることが特徴であり、保存中における反りの問題が更に少なく、優れた表示性能を有する偏光板を提供することである。
【0023】
本発明においては、反射防止層が金属酸化物層で形成されることが特徴であるが、特に炭素含有量が0.2〜5%であることが好ましく、これにより耐擦り傷性を改善することができる。特に、屈折率2.0以上の金属酸化物層を有することが好ましく、これによってより表示品質に優れたフィルムとすることができる。これらの反射防止層は、好ましくは大気圧プラズマ法によって形成することが特徴であり、上記構成からなる3層以上の積層反射防止層を設けることにより、耐久性に優れる偏光板を得ることができる。特に、反射防止層の高屈折率層が屈折率2.0以上であると、より反射率の低い反射防止層とすることができるため好ましく、湿度等の影響で偏光板がカールしたり、うねったりすると視認性が悪化するが、本発明の偏光板はそのような問題がなく、優れた表示性能を提供することができたのである。
【0024】
特に、垂直配向方式(バーティカルアラインメント方式)を採用した液晶セルで耐久性よく視野角を広げる効果を得ることができる。また、本発明は、保存中における反りやうねりの問題もなく優れた表示性能を有する低反射偏光板を得ることができ、本発明に至った次第である。
【0025】
本発明の低反射偏光板の基本的構成について、以下説明する。
図1は、本発明の低反射偏光板の典型的な構成の一例を示す構成図である。
【0026】
本発明の低反射偏光板6は、偏光子を有する偏光層1を2つの透明支持体A、透明支持体Bで挟持されている。図1(a)において、低反射偏光板6を表示装置に用いた場合、主に表面側となる透明支持体Aは、セルロースエステルフィルム2と偏光層1に隣接した面にバックコート層3を設け、また偏光層1とは反対側の面に、活性線硬化樹脂層4と1層あるいは複数の層からなる反射防止層5が設けられている。一方、透明支持体Bは、セルロースエステルフィルム2′と偏光層1に隣接した面に設けたバックコート層3′からなっている。透明支持体Bとしては、バックコート層3′を設けずに、セルロースエステルフィルム2′単独でも良いが、好ましくは、図1(a)に記載の構成である。
【0027】
また、図1(b)は、請求項4に係る発明である活性線硬化樹脂層4を、透明支持体A、Bに設けた一例であり、透明支持体Aの反射防止層5とセルロースエステルフィルム2の間に、活性線硬化樹脂層4が設けられて、また透明支持体Bの偏光層1とは反対側の面に活性線硬化樹脂層4′が設けられている。
【0028】
請求項1に係る発明では、2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる低反射偏光板において、透明支持体A、Bのいずれもがセルロースエステルを含有し、透明支持体Aが偏光層とは反対の面に直接または他の層を介して反射防止層を有し、透明支持体Bの膜厚が、透明支持体Aの膜厚以上で、透明支持体A+100μmの膜厚以下であり、更に反射防止層を有する透明支持体Aに含まれるセルロースエステルの平均置換度Aが、透明支持体Bに含まれるセルロースエステルの平均置換度B+0.05以上で、平均置換度B+0.35以下であることが特徴である。
【0029】
本発明でいう各透明支持体の膜厚とは、図1の(a)、(b)で示すごとく、透明支持体Aにおいては、反射防止層5、セルロースエステルフィルム2及びバックコート層3の総膜厚をいい、また活性線硬化樹脂層4を設ける場合にはそれを加えた総膜厚を指す。同様に、透明支持体Bにおいては、セルロースエステルフィルム2とバックコート層3の総膜厚、あるいは活性線硬化樹脂層4を設ける場合にはそれを加えた総膜厚を指す。
【0030】
次いで、セルロースエステルフィルムについて説明する。
一般に、透明支持体としては、例えば、セルローストリアセテート等のセルロースエステル支持体、ポリエステル支持体、ポリカーボネート支持体、ポリスチレン支持体、更にこれら支持体の上層にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル系樹脂等を塗設した支持体等が知られているが、本発明においてはセルロースエステルフィルムであることが特徴の一つである。
【0031】
本発明において、セルロースエステルフィルムを用いることにより、低い反射率の積層体が得られる点で好ましい。セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも、分岐していてもよい。
【0032】
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは、耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0033】
セルロースエステルとして、セルローストリアセテートを用いることが好ましいが、更に、一定以上の光学補償性能を得るためには、特定の置換基、すなわちアセチル基およびプロピオニル基を有する低級脂肪酸セルロースエステルを用いることが極めて効果的である。
【0034】
本発明に係るセルロースエステルフィルム作製に用いられるセルロースエステルは、炭素数2〜4のアシル基を置換基として有しており、特に、請求項1に係る発明では、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基及びまたはブチリル基の置換度をYとしたとき、本発明でいう平均置換度はX+Yで表され、透明支持体A、Bにおける平均置換度の関係が、前記式(2)の条件を満足するセルロースの混合脂肪酸エステルを用いて作製されたフィルム上に各機能層を設けた低反射偏光板であることが特徴である。
【0035】
また、請求項2に係る発明では、透明支持体A、Bの各々の膜厚が200μm以下であり、各々の透明支持体の膜厚差(透明支持体B膜厚−透明支持体A膜厚)をΔMとし、各々に用いられているセルロースエステルの平均置換度の差(透明支持体Aで用いるセルロースエステルの平均置換度−透明支持体Bで用いるセルロースエステルの平均置換度)をΔSとしたとき、前記式(3)の条件を満たすことが特徴である。
【0036】
これらのアシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していても良いし、例えば6位に高い比率で置換するなどの分布を持った置換がなされていても良い。
【0037】
ここで、置換度とは、いわゆる結合脂肪酸量の百分率をいい、ASTM−D817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従い算出される数値である。アシル基の置換度の測定法はASTM−D817−96に従って測定できる。本発明に係る平均置換度は、各々のアシル基の置換度を合計したものであり、複数のセルロースエステルが混合されている場合には、それらを平均した置換度で表す。
【0038】
アセチル基と炭素数3〜4個のアシル基の置換度が上記の範囲にあることで、長波長ほど位相差が大きくなる特性があり、かつ、良好な水分率や水バリアー性を備えたセルロースエステルフィルム支持体を得ることができるのである。
【0039】
特に、アセチル基の平均置換度が2.0未満であると延伸時の位相差のばらつきが少ないため特に好ましい。
【0040】
本発明に係るセルロースエステルフィルムを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、例えば、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合して使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料を、例えば、アシル化剤が酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応させてえることができる。また、アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)である場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして得ることができる。また、本発明で用いることのできるセルロースエステルは、各置換度に合わせて、上記アシル化剤量を調製混合して反応させたものであり、セルロースエステルは、これらアシル基がセルロース分子の水酸基と反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結した構造からなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が導入された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。実際には、置換度として2.6〜3.0である。
【0041】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0042】
これらセルロースエステルの製造方法は、基材フィルムとして溶液流延製膜法によって製造されたセルロースエステルフィルムを用いるが、溶液流延製膜方法そのものには、特に制限はなく、当業界で一般に用いられている方法、例えば、米国特許第2,492,978号、同第2,739,070号、同第2,739,069号、同第2,492,977号、同第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,607,704号、英国特許第64,071号、同第735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号等に記載の方法を参考にすることができる。
【0043】
以下に本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。この中で、縦方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向)を、横方向(幅手方向)とはフィルムの製膜方向と直角方向のことをいう。
【0044】
請求項3に係る発明では、セルロースエステルフィルムが、幅手方向若もしくは製膜方向に2軸延伸製膜されたフィルムであることが特徴である。
【0045】
セルロースエステルフィルムの好ましい延伸倍率は、一方向の延伸倍率が1.01〜2.0倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.00〜2.00倍に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.00〜1.50倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.50倍未満に延伸されたものであり、更に好ましくは一方向の延伸倍率が1.00〜1.25倍に延伸され、もう一方の延伸倍率が1.01〜1.25倍未満に延伸されたものである。
【0046】
これにより、光学的等方性に優れたセルロースエステルフィルムを好ましく得ることができる。製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
【0047】
溶液流延製膜法で用いるセルロースエステルのドープ液の調製に用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、更に、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。
【0048】
本発明でいう良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独では膨潤するかあるいは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤の対象が変化し、例えば、アセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となる。
【0049】
上記ドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0050】
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の各良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
【0051】
上記記載の良溶媒の中でも、溶解性に優れるメチレンクロライド、酢酸メチルが好ましく用いられ、特に、メチレンクロライドが全有機溶媒に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。
【0052】
上記有機溶媒の他に、0.1〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは、5〜30質量%でアルコールが含まれることが好ましい。これらは、上記のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、流延用支持体からの剥離を容易にするゲル化溶媒として用いられたり、アルコールの割合が少ない時には、非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割も有している。
【0053】
上記の炭素原子数1〜4のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0054】
これらアルコールの中では、ドープの安定化効果を有し、比較的低沸点で、乾燥性も良く、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましく、メチレンクロライド70〜95質量%に対して、エタノールを5〜30質量%含む溶媒を用いることが好ましい。環境上の制約でハロゲンを含む溶媒を避ける場合は、メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき冷却溶解法によりセルロースエステル溶液を調製することも好ましい。
【0055】
本発明に係る基材としてセルロースエステルフィルムを用いる場合、このセルロースエステルフィルムには、可塑剤を含有するのが好ましい。
【0056】
用いることのできる可塑剤としては、特に限定はないが、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができる。リン酸エステル系としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤としては、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系としては、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他に、カルボン酸エステルの例としては、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。また、ポリエステル系可塑剤としては、例えば、脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることができる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールは、それぞれ単独で用いても良いし、二種以上混合して用いても良い。
【0057】
特に、特願2000−338883に記載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の添加物を有するセルロースエステルフィルムが好ましく用いられる。
【0058】
これらの可塑剤を単独あるいは併用して用いることができ、これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。
【0059】
ついで、本発明に係る基材で用いることのできる紫外線吸収剤について説明する。本発明に係る基材には、液晶等の劣化防止の観点から紫外線吸収剤が含有されていることが好ましい。
【0060】
本発明で用いることのできる紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。また、特開平6−148430号に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
【0061】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、下記一般式〔1〕で表される化合物が好ましく用いられる。
【0062】
【化1】
Figure 0004556357
【0063】
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、各々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は互いに閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。また、上記の各基では、任意の置換基を有していて良い。
【0064】
以下に一般式〔1〕で表される紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0065】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(商品名:TINUVIN171、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(商品名:TINUVIN109、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
上記の中で、融点が20℃以下の紫外線吸収剤としては、UV−8が融点が−56℃であり、UV−9が常温(25℃)で黄色透明な粘調液体である。
【0066】
また、本発明で用いることもできる紫外線吸収剤のひとつであるベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、下記一般式〔2〕で表される化合物が好ましく用いられる。
【0067】
【化2】
Figure 0004556357
【0068】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、またはフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基またはフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnはそれぞれ1または2を表す。
【0069】
一般式〔2〕において、アルキル基としては、例えば炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては、例えば炭素数18までのアルコキシル基で、アルケニル基としては、例えば炭素数16までのアルケニル基で、例えばアリル基、2−ブテニル基などを表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子など、ヒドロキシル基、フェニル基、(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子などを置換していてもよい)などが挙げられる。
【0070】
以下、一般式〔2〕で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0071】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる上記記載の各紫外線吸収剤において、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、特に好ましく用いられる。
【0072】
また、本発明に係る基材に用いられる紫外線吸収剤は、特願平11−295209号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが、基材の面品質に優れ、配向層の配向阻害も少なく、かつ塗布性にも優れ好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0073】
可塑剤や紫外線吸収剤吸収剤を含むセルロースエステルフィルムを基材として用いた場合、これらがブリードアウトするなどによって、プラズマ処理部に付着するなどして工程を汚染し、これがフィルムに付着するなどして故障の原因となることがあり、セルロースエステルと可塑剤を有する基材においては、80℃、90%RHで50時間処理した前後の質量変化が±2質量%未満である基材を用いることにより、このような工程汚染が著しく低減でき、好ましい。このようなセルロースエステルフィルムとしは、特願2000−338883に記載のセルロースエステルフィルム等が好ましく用いられる。また、この目的のための好ましい紫外線吸収剤としては、特開平6−148430号、特願2000−156039に記載の高分子紫外線吸収剤または紫外線吸収性ポリマーを好ましく用いることができる。特に、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)で表される化合物、あるいは特願2000−156039に記載の一般式(3)、(6)、(7)で表される高分子紫外線吸収剤が、特に好ましく用いられる。
【0074】
基材の光学特性としては、面内リターデーション値ROは0〜1000nmのものが好ましく用いられ、厚さ方向のリターデーション値Rtは0〜300nmのものが、用途に応じて好ましく用いられる。また、波長分散特性はR600/R450は0.7〜1.3であることが好ましく、特に1.0〜1.3であること好ましい。ここでR450は450nmの波長の光による面内リターデーションであり、R600は600nmの波長の光による面内リターデーションである。
【0075】
請求項4に係る発明では、2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる偏光板において、透明支持体Aが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を介して反射防止層を有し、かつ透明支持体Bが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を有することが特徴である。
【0076】
本発明でいう活性線硬化樹脂層とは、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。また、具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
【0077】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。
【0078】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
【0079】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
【0080】
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。
【0081】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
【0082】
また、モノマーが液晶性を有していても良い。
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
【0083】
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することが出来る。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することが出来る。
【0084】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0085】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、製膜で用いられる公知の方法を適用することができる。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。
【0086】
請求項5に係る発明では、透明支持体Aの活性線硬化樹脂層の膜厚UVaと透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbとの膜厚比(UVb/UVa)が0.1〜10であることが特徴であり、更に請求項7に係る発明では、その膜厚比(UVb/UVa)が0.2〜0.95であることが特徴である。また、請求項6に係る発明では、透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbが、1.3μm以上であることが特徴であり、好ましくは1.5〜4.0μmである。
【0087】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【0088】
こうして得た硬化樹脂層に、ブロッキングを防止するために、また対擦り傷性等を高めるために、無機化合物あるいは有機化合物の微粒子を加えることも出来、それらの種類としては、前述のマット剤の微粒子とほぼ同様である。これらの微粒子粉末の一次平均粒径としては、0.005〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。
【0089】
紫外線硬化樹脂層は、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)が1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防眩層であってもよい。
【0090】
請求項8に係る発明では、透明支持体Aまたは透明支持体Bが、炭素含有量0.2〜5%の金属酸化物層を有することが特徴であり、また、請求項9に係る発明では、透明支持体Aが、屈折率2.0以上の金属酸化物層を含む反射防止層を有することが特徴であり、好ましくは屈折率が2.1〜2.6の金属酸化物層である。
【0091】
本発明では、セルロースエステルフィルム上に直接あるいは紫外線硬化樹脂層等の上に金属酸化物層を形成することが特徴であり。このようにして形成された金属酸化物層を用いると、ピンホール欠陥が少ないという特徴が得られることが判った。経時でもピンホールは増加しないことも大きな効果である。
【0092】
これらの金属酸化物層は、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層等の反射防止層として有用であり、あるいは導電性層や帯電防止層等として好ましく用いられる。
【0093】
本発明でいう炭素含有率は、以下の方法により求めることができる。
本発明のフィルムの炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定することができる。XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、例えば、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。具体的には、例えば、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定する。測定を行う前に、汚染による影響を除くために、膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求める。次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定する。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを防止するために、VAMAS・SCA・JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM(Ver.2.3)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、炭素含有率の値を原子数濃度(atomic concentration)として求める。定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行う。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps・eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
【0094】
本発明に係る金属酸化物層を形成する方法としては、塗布により金属酸化物層を設けても良いが、大気圧もしくはその近傍の圧力下におけるプラズマ放電処理が好ましく用いられる。
【0095】
請求項10に係る発明では、透明支持体Aが、大気圧プラズマ処理によって形成された反射防止層を有することが特徴である。
【0096】
以下、本発明で用いることのできるプラズマ処理について説明する。
本発明において用いることのできる大気圧プラズマ放電処理装置の一例としては、図2に示すような装置を挙げることができる。図2において、Fは長尺状の基材である。12は大気圧もしくはその近傍の圧力下、連続的にプラズマ処理する処理室であり、13、14は一対の電極である。
【0097】
処理室12は前記基材Fの入口12Aと出口12Bを有する間仕切りされた処理室によって構成されている。以下処理部を処理室として説明する。
【0098】
図示の例では、処理室12に隣接して基材の入口側に予備室10が設けられ、その予備室10に隣接して予備室11が設けられている。出口側にも処理室12に隣接して予備室17が設けられている。
【0099】
予備室を設ける場合、図2で示すように、基材Fの入口側に二つ、出口側に一つを設ける態様であってもよいが、これに限定されず、基材Fの出入口側に一つづつ設ける態様、入口側に二つ設け、出口側に設けない態様、あるいは入口側に二つ以上、出口側に二つ以上設ける態様でもよい。
【0100】
いずれの態様であっても、処理室12内の内圧が、処理室12と隣接する予備室の内圧より高いことが好ましく、より好ましくは0.30Pa以上高いことである。このように処理室12と予備室の間でも圧力差を設けることにより、外部空気の混入を防止し、反応ガスの有効使用が可能となり、処理効果も更に向上する。
【0101】
また、処理室12に隣接して入口側に二つ以上、出口側に二つ以上予備室を設けた場合、その予備室と隣り合う予備室の間の差圧は、処理室12に近い側の予備室の内圧が高く設定されることが好ましく、0.30Pa以上高く設定されることが好ましい。このように複数の予備室同士の間でも圧力差を設けることによって、外部空気の混入をより効率的に防止し、反応ガスの有効使用がより可能となり、処理効果も更に向上する。
【0102】
予備室には、処理ガスの少なくとも1成分、好ましくは希ガスを有していることが反応ガスの効率的な使用と処理効果の向上の観点から好ましい。
【0103】
前記処理室12と予備室、予備室同士の部屋には間仕切りされていることが必要であり、かかる間仕切り手段としては、図示のように、入口側に一対のニップローラ8、出口側に一対のニップローラ9を設ける形態も好ましい。
【0104】
かかるニップローラは、基材Fに対して接触しながら閉鎖ないし間仕切りする機能を有するが、部屋同士を完全に間仕切りできないので、本実施の形態例の様な圧力差を設ける手段が有効に機能するのである。
【0105】
また間仕切り手段としては、基材Fに対して所定の間隙を保ち、且つ非接触である態様であってもよい。かかる態様としては図示しないエアーカーテン方式等を採用できる。
【0106】
なお、予備室を設けない場合には、処理室と外部の間に間仕切りがされればよい。
【0107】
図示の例で、一対の電極13、14は、金属母材と固体誘電体で構成され、該金属母材へライニングにより無機性質の誘電体を被覆した組み合わせ、または同母材に対しセラミックス溶射後、無機性物質により封孔処理した誘電体を被覆した組み合わせで構成されている。ここで金属母材は、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレスが加工し易い。
【0108】
また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が用いることができる、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易い。
【0109】
また溶射に用いるセラミックスとしては、アルミナが良く、封孔材としては、アルコキシシラン等をゾルゲル反応させて無機化させたものが用いられる。
【0110】
また、図2では一対の電極13、14のように平板電極を用いてあるが、一方もしくは双方の電極を円筒状電極、角柱状電極、ロール状電極としてもよい。
【0111】
この一対の電極13、14のうち一方の電極13に高周波電源15が接続され、他方の電極14は、アース16により接地されており、一対の電極13、14間に電界を印加できるように構成されている。
【0112】
また、本手段により、被処理基材が帯電することやそれに伴うゴミ付着等を引き起こすこともあるが、以下の解決手段により、特に問題とはならない。例えば、除電手段としては、特開平7−263173号に記載されている、通常のブロアー式、接触式以外に、複数の正負のイオン生成用除電電極と基材を挟むようにイオン吸引電極を対向させた除電装置と、その後正負の直流式除電装置を設けた高密度除電システムを用いることも好ましい。また、このときの基材の帯電量は±500V以下が好ましい。また、除電処理後のゴミ除去手段としては、特開平7−60211号等に記載されている非接触式のジェット風式減圧型ゴミ除去装置が好ましいが、これに限定される訳ではない。
【0113】
本発明でいう大気圧近傍の圧力とは、20〜200kPaの圧力下であり、好ましくは93〜107kPaの範囲である。
【0114】
この方法では、上記対向する電極間に、100kHzから150MHzの範囲に周波数を有する高周波電界を印加するのが好ましい。特に、周波数が高い程、製膜速度を上げることができ好ましい。
【0115】
また、一般にこのような高周波電界はサイン波形を有すが、パルス化された電界を印加することも可能である。このパルス化とは、ON/OFFのデューティ比を変化させることでプラズマガス温度の変化が可能になる。これにより、表面凹凸の形状を変化させることも可能となる場合がある。
【0116】
上記のパルス化された電界を印加することにより、大気圧及びその近傍下でのプラズマ放電が希ガス無しでも発生でき、プラズマ処理の効率を上げることができる。
【0117】
図2に示す装置を用いて処理するには、先ず搬送される基材Fが処理室12内に入り、その処理室12内で、高周波電界により発生させられたプラズマにより、その表面が連続処理される。更に処理前に、予め基材表面の除電処理を行い、更にゴミ除去を行うことによって、表面処理の均一性が更に向上するので好ましい。除電手段及び除電処理後のゴミ除去手段としては、上記装置で記載したのと同様の手段を用いることができる。
【0118】
図3は、本発明で用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図であり、基材Fを巻回して搬送回転するロール型の電極25に対して、複数の円筒で固定型の電極26を対向させた一例であり、ロール型の電極25に巻回してニップローラ65、66で押圧され、基材Fはガイドローラ64、67を介して放電処理室30内に搬送され、電極25の回転に同期して、搬送及び処理される。
【0119】
図4は、本発明で用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の他の一例を示す概略図であり、図3に対し固定型電極として角柱型の電極36に変更した装置の一例であり、円柱に比べ放電範囲を広げる効果がある。
【0120】
更に、図5は、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型のロール電極の一例を示す斜視図であり、図6は、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の円筒型電極の一例を示す斜視図であり、図7は、本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の角柱型電極の一例を示す斜視図である。
【0121】
電極25は、図5に示すように金属等の導電性のある母材25aへライニングにより無機性物質の誘電体25bを被覆した組み合わせ、または同母材25Aに対しセラミックス溶射後、無機性物質により封孔処理した誘電体25Bを被覆した組み合わせで構成されている。電極26及び36も同様の組み合わせで構成される。
【0122】
ここでも金属等の導電性のある母材25aは、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレスが加工し易い。
【0123】
図8は、本発明に係る放電プラズマによる放電処理装置の一例を示す概略図である。図8において、放電処理装置部は図4と同様で、それにガス充填手段50、電源40、電極冷却ユニット60等で構成されている。
【0124】
また電極25、36は、図4、5、6等に示すもので、対向する電極25、36間のギャップは、例えば1mm程度となっている。
【0125】
ガス充填手段50は、希ガス及び反応ガスの混合ガスを放電処理室30に送気して充填する手段であり、混合ガスはヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)の希ガスと酸素、水素、有機フッ素化合物またはその混合ガスとを用いる。なお、比較的安価なアルゴンガスでの放電が望ましい。
【0126】
電源40は、導電性の電極部分25a、25A、または26a、26A、または36a、36Aに電圧を印加する。放電処理室30は、パイレックス(R)ガラス製の処理容器31で構成され、処理容器31内に混合ガスが充填される。なお、実施形態では、処理容器31はパイレックス(R)ガラス製であるが、電極と絶縁がとれていれば金属製であってもよく、例えは、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
【0127】
処理容器31内にロール状の電極25、角柱型の電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口52より放電処理室30の処理容器31内に入れ、該処理容器31内を混合ガスで充填し排気口53より排出するようにする。次に、電源40により電極36に電圧を印加し、電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状のフィルム61より基材Fを供給し、ガイドローラ64、67を介して、放電処理室30内の電極25、36間を片面が電極25に接触する状態で搬送される。基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後に排出するようになっている。ここで基材Fは、電極25に接触していない面が放電処理がなされる。
【0128】
本発明に係る希ガス、あるいは不活性ガスを含む混合ガスについて説明する。
本発明に係る混合ガスは、希ガスと、酸素、あるいは水素を含有したものが好ましく用いられる。更に、金属酸化物層を形成するためには、金属アルコキシドなどの有機金属化合物を含有する。また、低屈折率層あるいは防眩層を有機フッ素化合物を用いて形成することもできる。
【0129】
本発明に係るプラズマ処理方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスの混合ガスである。反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。薄膜の膜厚としては、0.1〜1000nmの範囲の薄膜が得られる。
【0130】
上記不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
【0131】
反応性ガスに有機金属化合物を添加することにより、金属化合物層を形成することができ、例えば、有機金属化合物としてLi,Be,B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Cd,In,Ir,Sn,Sb,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Tl,Pb,Bi,Ce,Pr,Nd,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される金属を含むことができる。より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0132】
また、反応性ガスとして、例えば、ジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含む反応性ガスを用いて、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な金属酸化物層を形成することができる。
【0133】
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CF3CFCF2)、8フッ化シクロブタン(C48)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いる。
【0134】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
【0135】
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0136】
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有する反応性ガスを用いることにより、反射防止膜の低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
【0137】
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0138】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
【0139】
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0140】
また、本発明に係る有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0141】
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0142】
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0143】
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0144】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0145】
また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
【0146】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0147】
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0148】
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0149】
請求項11に係る発明では、低反射偏光板の450〜650nmにおける平均反射率が0.5%以下であることが特徴であり、この範囲における最低反射率は0.00〜0.3%にあることが特に好ましい。
【0150】
本発明に係る各透明支持体には、上記説明した各機能層の他に、フィルムの動摩擦係数を調整するため、裏面側に微粒子を含有するバックコート層を設けることもできる。添加する微粒子の大きさや添加量、材質等によって動摩擦係数を調整することが出来る。
【0151】
本発明に有用なバックコート層に含ませる微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子を挙げることが出来、前述のセルロースエステルフィルムに含有させる微粒子、微粒子の粒径、微粒子の見かけ比重、分散方法等ほぼ同様である。
【0152】
バックコート層のバインダーに対する微粒子の添加量は樹脂100質量部に対して、微粒子は0.01〜1質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部が更に好ましく、0.08〜0.2質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数が低くなり、また少ない方がヘイズが低く、凝集物も少なくなる。
【0153】
バックコート層に使用される有機溶媒は特に限定されないが、バックコート層にアンチカール機能を付与することも出来るので、基材フィルム及び基材フィルムの素材の樹脂を溶解させる有機溶媒または膨潤させる有機溶媒が有用である。
これらを基材フィルムのカール度合、樹脂の種類、混合割合、塗布量等により適宜選べばよい。
【0154】
バックコート層に使用し得る有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムあるいはN−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどがある。溶解させない有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノールなどがあるが、有機溶媒としては特にこれらに限定されるものではない。
【0155】
バックコート層塗布組成物の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、ワイヤーバーコーター、リバースコーター、押し出しコーター等を用いて、塗布液膜厚(ウェット膜厚ということもある)を1〜100μmとすることが好ましく、特に5〜30μmが好ましい。
【0156】
バックコート層に用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/アクリロニトリルコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー等のビニル系ホモポリマーあるいはコポリマー、セルロースニトラート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、マレイン酸および/またはアクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルコポリマー、アクリロニトリル/スチレンコポリマー、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレンコポリマー、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレンコポリマー、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートとポリメチルアクリレートの共重合体等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。特に好ましくはセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
【0157】
例えば、以上のようなバックコート層を設けることにより、動摩擦係数を0.9以下にすることができる。
【0158】
本発明の低反射偏光板及び本発明の表示装置について説明する。
本発明の低反射偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理してポリエンを配向させたものを用いることができる。そして、本発明の低反射偏光板が、少なくとも液晶セルのセル側の表面側に設けられる。また、両側に設けられる場合は、本発明に係る透明支持体Aが、偏光子に対して液晶セルに近い方に貼りつけることができる。以上により、本発明の液晶表示装置を得ることが出来る。本発明の低反射偏光板は、低い反射性、良好な紫外線カット性能から液晶表示用装置に用いられるのが好ましい。
【0159】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0160】
実施例1
《セルロースエステルフィルムの作製》
以下に示す方法に従って、基材フィルムであるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0161】
〔ドープの調製〕
(酸化ケイ素分散液の調製)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
【0162】
(添加液Aの調製)
セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7) 4kg
メチレンクロライド 76kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 3kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 4kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 4kg
上記素材を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。
これに9kgの上記酸化ケイ素分散液を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Aを調製した。
【0163】
〔ドープAの調製〕
トリフェニルフォスフェート 15kg
エチルフタリルエチルグリコレート 5kg
メチレンクロライド 640kg
エタノール 120kg
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.90、
プロピオニル基置換度0.70、平均置換度2.60) 220kg
上記素材を順に、攪拌しながら密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
更に、この溶液100kgあたり添加液Aを2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機Hi−Mixer SWJ)で十分混合した後、濾過してドープAを調製した。
【0164】
〔ドープBの調製〕
上記添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.90、プロピオニル基置換度0.70)をセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:2.00、プロピオニル基置換度0.80、平均置換度2.80)に変更した以外は同様にして、添加液B及びドープBを調製した。
【0165】
〔ドープCの調製〕
上記添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.90、プロピオニル基置換度0.70)をセルロースアセテート(アセチル置換度:2.66)に変更した以外は同様にして、添加液C及びドープCを調製した。
【0166】
〔ドープDの調製〕
上記添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7)をセルロースアセテート(アセチル置換度:2.70)に変更した以外は同様にして、添加液D及びドープDを調製した。
【0167】
〔ドープEの調製〕
上記添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7)をセルロースアセテート(アセチル置換度:2.75)に変更した以外は同様にして、添加液E及びドープEを調製した。
【0168】
〔ドープFの調製〕
上記添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7)をセルロースアセテート(アセチル置換度:2.85)に変更した以外は同様にして、添加液F及びドープFを調製した。
【0169】
〔ドープGの調製〕
添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7)をセルロースアセテート(アセチル置換度:2.90)に変更した以外は同様にして、添加液G及びドープGを調製した。
【0170】
〔ドープHの調製〕
添加液A及びドープAで使用したセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度:1.9、プロピオニル基置換度0.7)をセルロースアセテート(アセチル置換度2.50)に変更した以外は同様にして、添加液H及びドープHを調製した。
【0171】
(セルロースエステルの置換度の測定)
尚、上記記載のドープA〜Hの各々の調製に用いたセルロースエステルの置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定した。
【0172】
〔セルロースエステルフィルムの作製〕
(セルロースエステルフィルム1の作製)
上記調製したドープAを用いて下記のようにして透明支持体1を作製した。
【0173】
ドープAを濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は80%であった。
【0174】
ステンレスバンド支持体から剥離した後、85℃の乾燥ゾーンをロール搬送しながら乾燥させた後、残留溶媒量が35質量%未満となったところで、2軸延伸テンターでTD方向(幅手方向)に1.07倍及びMD方向(製膜方向)に1.01倍に延伸しながら90℃で乾燥させた後、幅把持を解放し、さらにロール搬送しながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ8μmのナーリング加工を施して、膜厚41μmのセルロースエステルフィルム1を作製した。フィルム幅は1300mm、巻き取り長は2000mとした。巻き取り時の残留溶媒量は0.1質量%未満であった。
【0175】
(セルロースエステルフィルム2〜30の作製)
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、ドープの種類と2軸延伸テンターにおける延伸倍率及び膜厚を表1に記載のように変更した以外は同様にして、セルロースエステルフィルム2〜30を作製した。
【0176】
(リターデーション値:Rtの測定)
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めた。下記(式A)に従って、リターデーション値(Rt)を算出した。
【0177】
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d (式A)
式中、nxはフィルム面内の製膜方向に平行な方向でのフィルムの屈折率。nyは製膜方向に直角な方向でのフィルムの屈折率。nzはフィルムの厚み方向での屈折率。dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
【0178】
(リターデーション値:ROの測定)
上記と同様の方法にて、屈折率nx、nyを求めた。下記(式B)に従って、面方向のリタデーション値(RO)を算出した。
【0179】
RO=(nx−ny)×d (式B)
式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
【0180】
【表1】
Figure 0004556357
【0181】
《透明支持体の作製》
〔透明支持体1Cの作製〕
上記作製したセルロースエステルフィルム1に、下記に記載のバックコート層及びクリアハードコート層及び反射防止層を設けて、透明支持体1Cを作製した。
【0182】
(バックコート層を塗設)
下記のバックコート層塗布組成物1をセルロースエステルフィルムのa面(流延製膜の際にベルト支持体に接していた側(b面)とは反対側の面)に、ウェット膜厚13μmとなるように押し出しコートし、乾燥温度80℃にて乾燥させ、バックコート層を塗設した。
【0183】
〈バックコート層塗布組成物1〉
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
ジアセチルセルロース 0.5質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液
(アエロジル200V:日本アエロジル社製) 0.11質量部
(クリアハードコート層の塗設)
さらに透明支持体1のb面(流延製膜時にベルト支持体にドープが接していた側面)に、下記のクリアハードコート層塗布組成物1をウェット膜厚で13μmとなるように押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、118mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3.5μmの中心線平均表面粗さ(Ra)8nmのクリアハードコート層を設けた。
【0184】
Figure 0004556357
更に、クリアハードコート層の上に下記の手順に従って、反射防止層を設け、透明支持体1Cを得た(Cが付与されている透明支持体はクリアハードコート層及び反射防止層を有するものである)。
【0185】
(反射防止層の形成)
図2に記載のプラズマ放電処理装置を用いて、クリアハードコート層上に反射防止層を形成した。反射防止層形成の詳細を下記に示す。
【0186】
図2に示すようなプラズマ放電処理容器を3つ、プラズマ放電処理装置に設置し、透明支持体のクリアハードコート層の上に連続的に大気圧プラズマ処理して、順に酸化錫層(屈折率1.7、膜厚69nm、炭素含有量0.3%)、酸化チタン層(屈折率2.14、膜厚110nm、炭素含有量0.4%)、酸化珪素層(屈折率1.45、膜厚87nm、炭素含有量0.2%)の3層を設けた。
【0187】
〈炭素含有率の測定〉
本発明のフィルムの炭素含有率は、XPS表面分析装置を用いてその値を測定した。XPS表面分析装置としては、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定をおこなう前に、膜厚の10〜20%の厚さに相当する表面層をエッチング除去した。表面層の除去には、Arイオンエッチングを用いて表面層を除去した。先ず、結合エネルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定した。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM(Ver.2.3)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、炭素含有率の値を原子数濃度(atomicconcentration)として求めた。定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度を用いた。
【0188】
〈プラズマ放電処理〉
プラズマ放電処理は以下の手順で実施した。図3に記載のプラズマ放電処理装置において、ロール電極25として、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は図2には図示していない)に、セラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その後テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行った誘電体を有するロール電極を製作しアース(接地)した。一方、印加電極26としては、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する電極群とし、低屈折率層、高屈折率層共に必要な膜厚が各々得られるように調整した。また、放電プラズマ発生に用いる使用電源は、日本電子製高周波電源を使用し、連続周波数を13.56MHz、15W/cm2の電力を供給した。但し、ロール電極は、ドライブを用いて基材の搬送に同期して回転させた。
【0189】
プラズマ処理に用いた混合ガス(反応ガス)の組成を以下に記す。
(酸化錫層形成用反応ガス)
アルゴンが98.7%、水素ガスが1%、テトラブチル錫蒸気が0.3%の反応ガスである。
【0190】
(酸化チタン層形成用反応ガス)
アルゴンが98.7%、水素ガスが1%、テトライソプロポキシチタン蒸気が0.3%の反応ガスである。
【0191】
(酸化珪素層形成用反応ガス)
アルゴンが98.7%、水素ガスが1%、テトラメトキシシラン蒸気が0.3%の反応ガスである。
【0192】
〔透明支持体2C〜30Cの作製〕
上記透明支持体1Cの作製と同様に、セルロースエステルフィルム2〜30に、上記記載の各層を塗設し、更にプラズマ処理を施して、透明支持体2C〜30Cを作製した。
【0193】
なお、セルロースエステルフィルム1〜30、透明支持体1C〜30Cはいずれもヘイズが0〜0.2%であった。なお、ヘイズの測定は、ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0194】
《偏光板の作製》
表2、3に記載した組み合わせで、透明支持体A(バックコート層、クリアハードコート層及び反射防止層)及び透明支持体B(セルロースエステルフィルム単独)で偏光層を挟んだ構成の偏光板1〜34を下記に記載の方法により作製した。
【0195】
透明支持体Aと透明支持体Bを、50℃の1mol/LのNaOH水溶液で1分間処理して表面を鹸化処理した。鹸化処理では、透明支持体Aの反射防止層面には再剥離可能な粘着剤が付いたポリエチレンテレフタレート製保護フィルム(膜厚:50μm)を張り付けて、アルカリから保護した。ヨウ素ドープした延伸ポリビニルアルコールからなる偏光層を鹸化処理した透明支持体Aのバックコート層側と透明支持体Bで挟んで接着し偏光板とした。このようにして表2、3に記載の偏光板1〜34を作製した。
【0196】
《偏光板の評価》
以上のようにして作製した各偏光板について、以下の評価を行った。
【0197】
(カール・平面性の評価)
上記作製した各偏光板を10cm×10cmにカットし、60℃、90%RHの雰囲気下で48時間放置した後、常法に従いカール度及び平面性の変化を評価し、以下の基準に則り判定を行った。
【0198】
◎:カールが認められず、また平面性の劣化も認められない
○:弱いカールが認められるが、平面性の大きな劣化は認められない
△:カール度が高いが、実用上問題なし
×:著しくカール度が高くなり、平面性も悪化する
(反射率の測定)
低反射積層体の分光反射率は分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率(400nm〜700nmの波長について)の測定を行った。450nm〜650nmの範囲について平均反射率を求めた。
【0199】
図9に上記作製した偏光板2の反射スペクトルデータを一例として示す。
(視認性の評価)
上記作製した各偏光板を液晶パネルに張り付けて評価した。このとき、反射防止層が外側を向くように配置した。
【0200】
カラー液晶ディスプレイ(富士通(株)製 MODEL VL−1530S)の表裏両面の偏光板を剥離して、上記作製した各偏光板を吸収軸をもとの偏光板と同一となるように張り付けた。これを40℃、90%RHで1ヶ月間放置した後、画面のコントラストを目視で評価し、下記に記載の基準に則り視認性の判定を行った。
【0201】
◎:コントラスト低下は認められない
○:画面周辺部でわずかにコントラスト低下が認められる
△:画面周辺部でコントラスト低下が認められる
×:著しいコントラストの低下が認められる
以上により得られた各評価結果を、表2、3に示す。
【0202】
【表2】
Figure 0004556357
【0203】
【表3】
Figure 0004556357
【0204】
表2、3より明らかなように、本発明の低反射偏光板は、比較例に対し、カール、平面性が良好で、視認性に優れていることが判る。
【0205】
実施例2
《透明支持体Aの作製》
(透明支持体24Aの作製)
セルロースエステルフィルム24のa面側に実施例1と同様にしてバックコート層を設けた。さらにb面側に下記の方法で所定膜厚の防眩層を形成した。
【0206】
下記の塗布組成物2を押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射し、乾燥膜厚で4μmの防眩層(中心線平均粗さRa:0.3μm)を設けた。
【0207】
Figure 0004556357
以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業(株)製)で攪拌し、その後、衝突型分散機(マントンゴーリン、ゴーリン(株)製)で分散した後、下記の各成分を添加して、塗布組成物2を調製した。
【0208】
Figure 0004556357
(透明支持体15A、20A、22A、23A、25Aの作製)
上記透明支持体24Aの作製において、セルロースエステルフィルム24をセルロースエステルフィルム15、20、22、23、25に変更し、表4に記載の膜厚の防眩層を有する透明支持体15A、20A、22A、23A、25Aを作製した。なお、膜厚の調整は、塗布時のウエット膜厚の増減及び塗布組成物2の希釈で行った。希釈は塗布組成物2の溶媒比率を変更しないようにして行った。
【0209】
次いで、実施例1と同様にして、各々の透明支持体について、形成した防眩層の上に連続的に大気圧プラズマ処理して、順に酸化錫層(屈折率1.7、膜厚69nm、炭素含有量0.3%)、酸化チタン層(屈折率2.14、膜厚110nm、炭素含有量0.4%)及び酸化珪素層(屈折率1.45、膜厚87nm、炭素含有量0.2%)の3層を設けた。
【0210】
《透明支持体Bの作製》
(透明支持体6Bの作製)
セルロースエステルフィルム6のa面側に、実施例1と同様にしてバックコート層を設け、b面側に下記の塗布組成物3を押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥し、118mJ/cm2で紫外線照射した後、下記に記載の構成からなるクリアハードコート層を設けて、透明支持体6Bを作製した。
【0211】
なお、透明支持体6Bは、表4に記載のようにクリアハードコート層の乾燥膜厚が異なる6種を作製した。
【0212】
Figure 0004556357
(透明支持体4B、5B、14Bの作製)
上記透明支持体6Bの作製において、セルロースエステルフィルム6に代えて、それぞれセルロースエステルフィルム4、5、14を用い、更に表4に記載のクリアハードコート層の乾燥膜厚に変更した以外は同様にして、それぞれクリアハードコート層の乾燥膜厚の異なる透明支持体4B、5B、14Bを作製した。
【0213】
《偏光板の作製》
表4に記載した組み合わせで、透明支持体A及び透明支持体Bで偏光層を挟んだ構成の偏光板35〜61を、実施例1に記載の方法により作製した。
【0214】
《偏光板の評価》
(カール・平面性、反射率の評価)
上記作製した各偏光板について、実施例1に記載の方法に従い評価を行った。
【0215】
(視野角評価方法)
上記作製した各偏光板について、下記に記載の方法に従って、視野角測定を行った。
【0216】
カラー液晶ディスプレイ(富士通(株)製 MODEL VL−1530S)の表裏両面の偏光板を剥離して、実施例で作製した各偏光板を吸収軸をもとの偏光板と同一となるように張り付けた。これを40℃、90%RHで1ヶ月間放置した後、ELDIM社製EZ−contrastにより視野角を測定した。視野角は、液晶パネルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する斜め45度方向の面(パネルの左上から右下へ斜め45度傾いた面)の視野角範囲で評価を行った。
【0217】
◎:斜め45度方向の視野角が120〜130度
○:斜め45度方向の視野角が110〜120度未満
△:斜め45度方向の視野角が100〜110度未満
×:斜め45度方向の視野角が100度未満
以上により得られた各評価結果を表4に示す。
【0218】
【表4】
Figure 0004556357
【0219】
表4より明らかなように、本発明の偏光板は比較の偏光板に対し、カール、平面性に優れ、かつ視野角が広くなっていることが確認され、特に横方向からも細かい文字まで読みとることができた。
【0220】
【発明の効果】
本発明により、カール、平面性が良好で、視認性、視野角等の表示特性に優れた低反射偏光板とそれを用いた表示装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低反射偏光板の典型的な構成の一例を示す構成図である。
【図2】本発明で用いられる大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す断面図。
【図3】本発明で用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の一例を示す概略図である。
【図4】本発明で用いられるプラズマ放電処理装置に設置されるプラズマ放電処理容器の他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる円筒型のロール電極の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の円筒型電極の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るプラズマ放電処理に用いられる固定型の角柱型電極の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る放電プラズマによる放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の低反射偏光板の反射スペクトルの一例を示す。
【符号の説明】
1 偏光層
2、2′ セルロースエステルフィルム
3、3′ バックコート層
4、4′ 活性線硬化樹脂層
5 反射防止層
A 透明支持体
B 透明支持体
6 低反射偏光板
F 基材
8、9 ニップローラ
10、11、17 予備室
12 処理室
13、14 電極
15 高周波電源
25、26、36 電極
25a、25A、26a、26A、36a、36A 金属等の導電性母材
25b、26b、36b ライニング処理誘電体
25B、26B、36B セラミック被覆処理誘電体
30 放電処理室
31 処理容器
40 高周波電源
50 ガス充填手段
51 ガス発生装置
52 給気口(反応ガス導入口)
53 排気口
54 仕切板
60 電極冷却ユニット
61 フィルム
65、66 ニップローラ
64、67 ガイドローラ

Claims (12)

  1. 2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる低反射偏光板において、透明支持体A、Bのいずれもがセルロースエステルを含有し、該透明支持体Aが偏光層とは反対の面に直接または他の層を介して反射防止層を有し、該透明支持体Aと該透明支持体Bとの膜厚が、下式(1)で表される関係であり、かつ反射防止層を有する該透明支持体Aに含まれるセルロースエステルの平均置換度Aと、該透明支持体Bに含まれるセルロースエステルの平均置換度Bとが、下式(2)で表される関係にあることを特徴とする低反射偏光板。
    式(1)
    透明支持体Aの膜厚(μm)≦透明支持体Bの膜厚(μm)≦透明支持体Aの膜厚+100(μm)
    式(2)
    平均置換度B+0.05≦平均置換度A≦平均置換度B+0.35
  2. 前記透明支持体A、Bが、各々の膜厚が200μm以下であり、各々の透明支持体の膜厚差(透明支持体B膜厚−透明支持体A膜厚)をΔMとし、各々に用いられているセルロースエステルの平均置換度の差(透明支持体Aで用いるセルロースエステルの平均置換度−透明支持体Bで用いるセルロースエステルの平均置換度)をΔSとしたとき、下式(3)の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の低反射偏光板。
    式(3)
    0.05+ΔM/200<ΔS
  3. 2枚の透明支持体A、Bが、2軸延伸されたセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の低反射偏光板。
  4. 2枚の透明支持体A、Bにより、偏光層を挟持してなる偏光板において、透明支持体Aが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を介して反射防止層を有し、かつ透明支持体Bが偏光層とは反対の面に活性線硬化樹脂層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
  5. 前記透明支持体Aの活性線硬化樹脂層の膜厚UVaと前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbとの膜厚比(UVb/UVa)が0.1〜10であることを特徴とする請求項4に記載の低反射偏光板。
  6. 前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbが、1.3μm以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の低反射偏光板。
  7. 前記透明支持体Aの活性線硬化樹脂層の膜厚UVaと前記透明支持体Bの活性線硬化樹脂層の膜厚UVbとの膜厚比(UVb/UVa)が0.2〜0.95であることを特徴とする請求項5に記載の低反射偏光板。
  8. 前記透明支持体Aまたは透明支持体Bが、炭素含有量0.2〜5%の金属酸化物層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
  9. 前記透明支持体Aが、屈折率2.0以上の金属酸化物層を含む反射防止層を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
  10. 前記透明支持体Aが、大気圧プラズマ処理によって形成された反射防止層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
  11. 450〜650nmの平均反射率が、0.5%未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の低反射偏光板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の低反射偏光板を用い、前記透明支持体A面側が表面側になるように配置されたことを特徴とする表示装置。
JP2001215080A 2001-07-16 2001-07-16 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置 Expired - Lifetime JP4556357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001215080A JP4556357B2 (ja) 2001-07-16 2001-07-16 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001215080A JP4556357B2 (ja) 2001-07-16 2001-07-16 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003029036A JP2003029036A (ja) 2003-01-29
JP4556357B2 true JP4556357B2 (ja) 2010-10-06

Family

ID=19049786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001215080A Expired - Lifetime JP4556357B2 (ja) 2001-07-16 2001-07-16 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4556357B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004295055A (ja) 2003-02-07 2004-10-21 Fuji Photo Film Co Ltd 医療用ディスプレイおよび医療用ディスプレイシステム
TWI330262B (en) 2003-03-31 2010-09-11 Zeon Corp Protective film for polarizing plate
JP4479175B2 (ja) * 2003-06-06 2010-06-09 コニカミノルタオプト株式会社 ハードコートフィルム、その製造方法、偏光板及び表示装置
JP2005077795A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Konica Minolta Opto Inc 光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
TWI353461B (en) * 2004-05-18 2011-12-01 Fujifilm Corp Optical film, optical compensation film, polarizin
JP4661082B2 (ja) * 2004-05-19 2011-03-30 コニカミノルタオプト株式会社 透明長尺セルロースエステルフィルム、偏光板及び表示装置
TWI372266B (en) * 2004-05-20 2012-09-11 Fujifilm Corp Polarizing plate and liquid crystal display

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09318817A (ja) * 1996-05-30 1997-12-12 Tokai Rubber Ind Ltd 偏光フィルムの構造
JP2000352620A (ja) * 1999-03-31 2000-12-19 Konica Corp 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2001100042A (ja) * 1999-09-30 2001-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板
JP2002071957A (ja) * 2000-06-14 2002-03-12 Konica Corp 光学フィルム、偏光板、光学フィルムロ−ル、光学フィルムを用いた表示装置、光学フィルムの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09318817A (ja) * 1996-05-30 1997-12-12 Tokai Rubber Ind Ltd 偏光フィルムの構造
JP2000352620A (ja) * 1999-03-31 2000-12-19 Konica Corp 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2001100042A (ja) * 1999-09-30 2001-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板
JP2002071957A (ja) * 2000-06-14 2002-03-12 Konica Corp 光学フィルム、偏光板、光学フィルムロ−ル、光学フィルムを用いた表示装置、光学フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003029036A (ja) 2003-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7220460B2 (en) Thin film forming method, optical film, polarizing film and image display method
JP4254236B2 (ja) 薄膜形成方法
JP2005208290A (ja) 防汚性光学薄膜、防汚性反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板、表示装置
JP4000830B2 (ja) プラズマ放電処理装置
JP5050299B2 (ja) 長尺基材の表面処理方法及びその方法により製造された光学フィルム
JP2003201570A (ja) 大気圧プラズマ処理装置、大気圧プラズマ処理方法及びそれを用いて作製した長尺フィルム
JP4556357B2 (ja) 低反射偏光板及びそれを用いた表示装置
JP2003025504A (ja) セルロースエステルフィルム、防眩フィルム、それらの製造方法及び偏光板
JP2006299000A (ja) 表面処理方法、プラズマ放電処理装置、防眩性フィルム及び防眩性低反射フィルム
JP4265142B2 (ja) 反射防止フィルム、低屈折率領域の作製方法、偏光板
JP4356278B2 (ja) 表面処理方法、防眩層の形成方法、防眩層フィルム及び防眩性低反射フィルム
JP4325183B2 (ja) プラズマ放電処理装置及びプラズマ放電処理方法
JP2004037618A (ja) 反射防止フィルム、反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び、表示装置
JP2002228803A (ja) 低反射積層体の製造方法及び低反射積層体
JP4349043B2 (ja) プラズマ放電処理装置、プラズマ放電処理方法
JP2003053882A (ja) 光学フィルム、その製造方法、反射防止フィルム、偏光板
JP2003231765A (ja) 反射防止フィルムの製造方法、その方法で製造された反射防止フィルム及びそれを用いた偏光板
JP4470426B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP4110777B2 (ja) 積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置
JP2003183836A (ja) 大気圧プラズマ放電薄膜形成方法、光学フィルム、反射防止フィルム及び画像表示素子
JP5007734B2 (ja) 光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
JP4581366B2 (ja) 放電プラズマ処理方法
JP4288915B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2005003704A (ja) 積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置
JP2011187445A (ja) 誘電体被覆電極及びプラズマ放電処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080701

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4556357

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term