JP4110777B2 - 積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置 - Google Patents

積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型軽量ノートパソコンの技術進歩に伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。また、視認性向上のために反射防止層を設けたり、また、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩層を付与したコンピュータやワープロ等の液晶画像表示装置(液晶ディスプレイともいう)が多く使用されるようになってきた。
【0003】
反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々の前面板を液晶ディスプレイの偏光子等に貼り合わせることで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。これら、前面板として用いる光学用フィルムには、塗布または、スパッタリング等で形成した反射防止層または防眩層が設けられている。
【0004】
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。
【0005】
表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることができる。従来、このような凹凸を形成する方法としては、例えば、特開昭59−58036号等で開示されているような微粒子を塗布液に添加する方法が用いられている。このほか、特開平6−234175号で開示されているエンボス加工する方法、特開昭63−298201号で開示されているあらかじめ型を転写させる方法等が知られている。
【0006】
上述のような防眩層を有するフィルムでは、凹凸が形成された面の上に直接又は他の層を介して、複数の薄膜を形成し、光の干渉によって反射率を低減しているが、長期使用でクラックが入りやすいという問題があった。
【0007】
特に、このような積層体では高温高湿下で微細なクラックが入るという問題があり改善が求められている。微細なクラックは目視により白濁として認識されることがあり、その結果、視認性を著しく悪化させてしまうため、その改善が必要であった。特に金属酸化物を有する膜厚0.2μm以下の層が積層されているときにクラックが入りやすく、その改善が求められている。この問題は基材としてセルロースエステルを用いるケースで更に問題であり、膜厚80μmよりも厚いものではそれほどでもないが、10〜60μmの膜厚が薄いセルロースエステルフィルムで顕著でありその改善が必要であることが判明した。特に総置換度が2.8以下のセルロースエステルでクラックが入りやすくその改善が求められている。
【0008】
更に、表示装置の視野角が広くなってきているのに対応して、これらの視認性向上範囲も広くすることが求められている。特に室内で大画面で鑑賞することが増えてきており、必然的に斜め方向から鑑賞するケースも増加している。ところが、従来斜め方向からの反射に対しては、視認性が悪化しておりその改善が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、積層体表面でのクラック発生が防止され、かつ視野角は広く、視認性が向上した積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
【0011】
1.基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2とが下記式(1)の関係にあることを特徴とする積層体。
【0012】
式(1)
0.9<Ra2/Ra1
2.基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該複数設けた薄層の膜厚が、中心線より上の凸部領域の平均膜厚Aとし、中心線より下の凹部領域の平均膜厚Bとしたとき、平均膜厚Aと平均膜厚Bとが下記式(2)の関係であることを特徴とする積層体。
【0013】
式(2)
0.7≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.3
3.前記複数の薄膜が3層以上からなり、それぞれの膜厚が0.01〜0.2μmであり、かつ少なくとも1層が金属酸化物を有する薄膜であることを特徴とする前記1又は2項に記載の積層体。
【0014】
4.前記中心線平均粗さRa2が0.01〜1μmの範囲であることを特徴とする前記1又は3項に記載の積層体。
【0015】
5.450〜650nmにおける平均反射率が0.4%以下であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の積層体。
【0016】
6.前記基材が、膜厚10〜60μmの延伸セルロースエステルフィルムであることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項に記載の積層体。
【0017】
7.前記薄膜の少なくとも1層が、大気圧プラズマ処理で形成されたことを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の積層体。
【0018】
8.前記1〜7項のいずれか1項に記載の積層体を一方の面に有し、偏光子を挟んで他方の面に光学異方性層を備えた楕円偏光板。
【0019】
9.前記1〜7項のいずれか1項に記載の積層体を有する表示装置。
本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意検討を進めた結果、基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、基材表面に形成した構成層表面の中心線平均粗さをRa1とし、薄膜が形成された最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、0.9<Ra2/Ra1の条件に設定することによって、高温高湿下で長期間保管した後のクラックが入りにくい積層体を得ることができ、更に、凹凸を有する基材表面に形成された薄膜の膜厚を凹部と凸部でほぼ一定にすることでもクラックの発生を少なくし、反射率も低くすることができることを見いだしたものである。
【0020】
また、基材表面に形成された凹凸上に、平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を有する積層体において、該薄膜の膜厚を凹凸の中心線より上の凸部領域の平均膜厚Aとし中心線より下の凹部領域の平均膜厚Bとしたとき、0.7≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.3の条件とすることによって、高温高湿下で長期間保管した後のクラックが入りにくい積層体を得ることができたのである。特に、膜厚が0.2μm以下の薄膜が3層以上積層されている積層体において、クラックが入りにくく、このようにして得られた積層体は表示装置用の低反射防眩性フィルムに有用であり、大幅に視認性を改善することを見いだしたものである。
【0021】
以下、本発明の詳細について説明する。
請求項1に係る発明では、基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2との関係が0.9<Ra2/Ra1とすることが特徴であり、好ましくは、0.90<Ra2/Ra1<1.10であり、特に好ましくは0.95<Ra2/Ra1<1.05である。また、請求項4に係る発明では、中心線平均粗さRa2が0.01〜1μmの範囲であることが特徴である。
【0022】
本発明において、基材表面に凹凸を形成する方法として、特に制限はないが、後述の防眩層を好ましい一例として挙げることができ、また平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜としては、例えば、反射防止層を構成する複数の層(例えば、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層)、防汚層等を挙げることができる。ここで低屈折率層とは屈折率が基材フィルムより低い屈折率を有する層であり、高屈折率層とは基材フィルムより高い屈折率を有する層であり、中屈折率層とは、高屈折率層と低屈折率層との中間の屈折率を有する層である。低屈折率層の好ましい屈折率は1.3〜1.5、中屈折率層は1.55〜1.8、高屈折率層は1.85〜2.5であることが好ましい。
【0023】
本発明でいう基材表面に形成された凹凸上に積層した各薄膜の平均膜厚は、以下のようにして求めることができる。
【0024】
基材表面に形成された凹凸上に積層した各薄膜の平均膜厚は、その断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electro Microscope;以下TEMと略す)で観察することにより求めることができる。
【0025】
断面部の作製は、具体的には積層体を基材と共にTEM観察前処理用のエポキシ包埋樹脂に包埋し、ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトームにより、厚さ約80nmの超薄切片を作製するか、あるいは集束イオンビーム(Focusd Ion Beam:FIB)加工装置により、積層体表面にGaイオンビームを集束走査し、厚さ約100nmの薄片化した断面を切り出すことにより得ることができる。TEMによる観察倍率としては、5万〜50万倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージプレート、CCDカメラ等に記録する。TEMの加速電圧としては、80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0026】
その他の電子顕微鏡観察技法、あるいは試料作製技法の詳細に関しては、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作成法」(丸善)、「電子顕微鏡Q&A」(アグネ承風社)等を参考にすることができる。
【0027】
上記方法により、各記録媒体に記録されたTEM画像は、画像一枚当たり少なくとも1024×1024画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行なうことが好ましい。なお、画像処理技術の詳細に関しては、「田中弘編/画像処理応用技術」(工業調査会)を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては、上記操作が可能なものであれば特に限定はされないが、一例としてMEDIA CYBERNETICS社(USA)製画像解析ソフトImage−Pro PLUSが挙げられる。
【0028】
画像処理を行なうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作成し、2値化処理によって、積層体界面に相当する箇所を抽出し、界面間の幅(Thickness)を計測する。同様にして少なくとも凸部、凹部各20箇所について求めた値から平均膜厚を算出する。
【0029】
また、本発明でいう中心線平均粗さ(Ra)とは、JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義され、Ra1及びRa2も同義である。
【0030】
中心線平均粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿したのち、該環境下で測定した。
【0031】
具体的な試料の固定方法としては、試料を試料台に固定したときのたるみ、ゆがみなどを除去するため、試料を数cm角の大きさに切り取り、ガラス板に両面テープを用いて固定することが好ましい。
【0032】
用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
【0033】
以下に、上記装置を用いた際の測定条件の一例を示す。
VSIモードにおいて対物レンズ40倍、中間レンズ1.0倍を用いる。
【0034】
測定条件の詳細については、下記のように設定する。
Scan depth:40μm
Mod thresh:2.0%
Scan back:15.0μm
Resolution:368×238full view
Scan speed:HIGH
解析時はTerm removalをtilt only(傾斜補正)で補正し、FilteringはMedian Smoothingで行う。
【0035】
結果の解析方法は、プロファイルを3次元で表示し、149.7×111.2μm測定視野内において、中心線平均粗さRaを下式により求める。
【0036】
【数1】
Figure 0004110777
【0037】
上記式中、M、NはX(中心線軸)、Y(縦倍率軸)それぞれの方向における測定ポイント数を表す。
【0038】
測定視野の一辺が200μmより大きいとフィルムを固定するときのたるみやゆがみによる影響を受けやすく、また一辺が100μmよりも小さいと試料表面の平均化した形状を求めることが困難となる。また、試料を固定している両面テープ及びガラス板の形状による影響を考慮し、解析時にはtilt only(傾斜補正)で補正することが好ましい。
【0039】
請求項2に係る発明では、基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該複数設けた薄層の膜厚が、中心線より上の凸部領域の平均膜厚Aとし、中心線より下の凹部領域の平均膜厚Bとしたとき、平均膜厚Aと平均膜厚Bとの関係が0.7≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.3であることが特徴であり、好ましくは0.85≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.15であり、より好ましくは0.95≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.05であり、特に好ましくは0.99≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.01である。ここでいう中心線とは、JIS−B−0601の中心線平均粗さRaでいうところの中心線である。
【0040】
本発明においては、複数設けた薄層の凹凸とは、積層体最表層の凹凸を意味するが、特に好ましくは、複数設ける薄層のそれぞれの表面部において、0.7≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.3の関係であることである。
【0041】
本発明で規定する平均膜厚Aと平均膜厚Bは、上述の透過型電子顕微鏡による断面観察により求めることができる。すなわち、断面観察で各薄膜表面部の凸部の膜厚を20点測定し、その平均値を求めこれを平均膜厚Aとし、同様に凹部の膜厚を20点測定し、その平均値を求めこれを平均膜厚Bとして、平均膜厚B/平均膜厚Aを算出することができる。
【0042】
次いで、本発明の積層体における薄膜の形成方法について説明する。
本発明の積層体は、表面に凹凸が形成された基材表面に、平均膜厚が0.01〜0.2μmの複数からなる薄膜を積層した形態である。
【0043】
本発明において、基体上に薄膜を形成する方法としては、特に限定されないが、好ましくは、プラズマ処理によって形成することであり、特に好ましくは、請求項7に係る発明である大気圧プラズマ処理であり、大気圧近傍の圧力下で反応ガスを供給し、プラズマ処理で基材の凹凸面上に薄膜を形成する方法である。
【0044】
他の方法としては塗布等によっても作成することができるが、その場合、塗布液のレベリングによる膜厚むらの発生をできるだけ抑制することが求められる。
【0045】
以下に、本発明で好ましく用いることのできるプラズマ処理装置の詳細について説明する。
【0046】
本発明の積層体に係る薄膜の形成方法、また、その方法に用いられる薄膜の形成装置について、以下に本発明に有用なプラズマ放電処理装置の一例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0047】
図1は、本発明の薄膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。図1においては、この装置は一対の回転電極10Aと10Bを有し、回転電極10Aと10Bには、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源80が電圧供給手段81、82を介して接続されている。回転電極10Aと10Bは基材フィルムを巻き回しながら搬送するもので、ロール電極もしくはベルト状の電極であることが好ましく、図1ではロール電極を示している。これらの回転電極間の間隙(電極間隙)は放電が行われる場所であり、基材フィルムFが搬送できる間隔に設定されいる。この電極間の間隙が放電部50となる。この電極間隙は大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下に維持されており、ここに反応ガス供給部30より反応ガスGが供給され、基材フィルムF表面がプラズマ放電処理される。ここで、図示してないが元巻きロールから巻き出された基材フィルムFまたは前工程から搬送されてくる基材フィルムFがガイドロール20を経て、まず、移送方向に回転する回転電極10Aに接しながら移送され、放電部50を通過して、基材フィルムFの表面に薄膜が形成される。一旦放電部50から出た基材フィルムFは、Uターンロール11A〜11DでUターンされて、今度は、基材フィルムFは回転電極10Aと反対方向に回転している回転電極10Bに接しながら移送され、再び前記放電部50を通過して、先ほど薄膜が形成された基材フィルムFの表面に更にプラズマ放電処理され薄膜が形成される。処理に使用された反応ガスGはガス排出口40より反応後の排ガスG′として排出される。図では基材フィルムF上に形成された薄膜は省略してある。表面に薄膜が形成された基材フィルムFは、ガイドローラ21を介して次工程または巻き取りロール(図示してない)方向に搬送される。従って、基材フィルムFは回転電極10A、10Bに密着した状態で放電部50を往復してプラズマ放電処理されることとなる。なお、図示してないが、回転電極10Aと10B、ガイドロール20、21、Uターンロール11A〜11D、反応ガス供給部30、ガス排出口40等の装置は外界と遮断するプラズマ放電処理容器内に囲まれて納められていることが好ましい。またこれも図示してないが、必要に応じて、回転電極10A、と10Bの温度制御をするための温度制御用媒体が循環されるようになっている。
【0048】
図2には別のプラズマ放電処理装置を示す。図2は本発明の薄膜形成方法に有用な回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。回転電極110とそれに対向して配置された複数の固定電極111を有し、図示されていない元巻きロールまたは前工程からから搬送されて来る基材フィルムFがガイドロール120、ニップロール122を経て回転電極110に導かれ、基材フィルムFは回転電極110に接した状態で回転電極110の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電部150に反応ガス発生装置131で調製された反応ガスGが給気管130から供給され、固定電極111に対向している基材フィルム面に薄膜が形成される。回転電極110と固定電極には、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電圧供給手段181、182を介して接続されている。また、回転電極110、固定電極111、放電部150はプラズマ放電処理容器190で覆われ、外界と遮断されている。処理された排ガスG′は処理室の下部にあるガス排気口140から排出される。プラズマ放電処理された基材フィルムFはニップロール123及びガイドロール121を経て次工程または図示してない巻き取りロールへ搬送される。基材フィルムFがプラズマ放電処理容器の出入り部分のニップロール122及び123のところに外界との仕切板124及び125が設けられており、外界からニップロール122と共に基材フィルムFに同伴して来る空気を遮断し、また出口においては、反応ガスGまたは排ガスG′が外界に漏れないようになっている、なお、図示してないが、必要に応じて、回転電極110及び固定電極111は温度調節のための温度制御された媒体を循環するようになっている。
【0049】
このように、本発明において、薄膜が形成される基材フィルムは回転電極上で移送しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0050】
回転電極が基材フィルムと接する表面は高い平滑性が求められ、回転電極の表面の表面粗さがJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下である。
【0051】
本発明に用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙げることができる。特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0052】
本発明において、電極は、その裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度及び基材フィルムの温度を制御することが好ましい。媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。基材フィルムの温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃以下が好ましく、より好ましくは室温〜120℃以下である。基材フィルムの温度ムラが生じないようにすることが必要である。
【0053】
本発明において、電極間隙は、固体誘電体の厚さ、印加電圧や周波数、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電プラズマを発生させるという観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0054】
本発明において、電極間隙の放電部には、ガス発生装置で発生させた混合ガスを流量制御して、反応ガス供給口よりプラズマ放電部に導入される。反応ガスの濃度や流量は適宜調整されるが、基材フィルムの搬送速度に対して十分な速度で処理用ガスを電極間隙に供給することが好ましい。放電部でほとんどが反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件が設定するのが望ましい。
【0055】
放電部に大気が混入したり、反応ガスが装置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中の基材フィルムは全体を囲んで外界から遮蔽することが好ましい。本発明において、放電部の気圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持される。ここで大気圧近傍とは、20〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93〜110kPaが好ましい。
【0056】
本発明に有用なプラズマ放電処理装置では、一方の電極は電源に接続して電圧を印加し、もう一方の電極はアースに接地し放電プラズマを発生させることが安定したプラズマを発生させるために好ましい。
【0057】
本発明で用いる高周波電源より電極に印加する電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、印加する周波数は1kHz〜150MHzに調整し、波形をパルス波であってもサイン波としてもよい。特に周波数を100kHzを超えて50MHz以下とすることが好ましい放電部(放電空間)が得られるため好ましい。
【0058】
放電部における放電密度は5〜1000W・min/m2であることが好ましく、特に50〜500W・min/m2であることが望ましい。
【0059】
プラズマ放電処理部はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等で適宜囲まれていることが望ましく、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。また、放電部や回転電極の側面部、基材フィルム搬送部等の側面を囲むことによって、反応ガスや排ガスを適切に放電部に供給したり排気することもできる。
【0060】
次いで、本発明の薄膜形成方法に係る反応ガスについて説明する。
本発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガス雰囲気内でプラズマ放電処理装置の対向電極間の放電処理部に充満させる反応ガス、つまり反射防止層や防汚層を形成する反応ガスについて述べる。
【0061】
本発明に使用する反応ガスは、窒素あるいは希ガスと反応性ガスを含有する混合ガスであることが好ましい。
【0062】
希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることができ、特に、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。希ガスは1種又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、ヘリウム:アルゴンを10:90〜90:10の比率で混合したものを使用しても良い。
【0063】
本発明において、薄膜を形成するのに適した反応ガス中の希ガスの混合割合は、90.0〜99.9体積%が好ましい。
【0064】
反応性ガスは、機能性層の薄膜を形成するのに必要なガスである。特に積層体の場合には、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の各屈折率層及び防汚層の薄膜を形成するのに使用するガスであり、また直接薄膜を形成する化合物だけの場合もあるが、水素ガス、酸素ガス、オゾンガス、窒素ガス、炭酸ガス、4フッ化炭素等の補助的ガスを合わせて使用する場合がある。
【0065】
本発明に係る反射防止層や防汚層などの複数の薄膜を有する積層体は、異なった屈折率を有する複数の層(反射防止層)や他の機能を有する層(防汚層や帯電防止層)を基材上に直接または他の層を介して複数層積層して得られるものである。このような積層は、例えば、図1または2に記載のプラズマ放電処理装置を直列に、例えば4基(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層)の4層積層するとして並べて連続的に処理することができ、この連続的積層処理は品質の安定や生産性の向上等から本発明の積層体の作製に適している。また、1層の処理ごと、処理後巻き取り、逐次処理して積層してもよい。
【0066】
本発明の積層体の反射防止層形成用反応性ガスには、適切な屈折率を得ることのできる化合物であれば制限なく使用できるが、本発明において、高屈折率層形成用反応性ガスとしてはチタン化合物を、中屈折率層形成用反応性ガスとしては錫化合物、またはチタン化合物と珪素化合物の混合物や亜鉛化合物を、また低屈折率層形成用反応性ガスとしては珪素化合物、フッ素化合物、あるいは珪素化合物とフッ素化合物の混合物や珪素とフッ素を有する化合物を好ましく用いることができる。これらの化合物を屈折率を調節するために、何れかの層の形成用反応性ガスとして2種以上混合して使用してもよい。また、請求項3に係る発明では、複数の薄膜が3層以上からなり、それぞれの膜厚が0.01〜0.2μmであり、かつ少なくとも1層が金属酸化物を有する薄膜であることが特徴である。
【0067】
本発明において、中屈折率層形成用反応性ガスに使用し得る錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることができ、何れも本発明において、好ましく用いることができる。また、これらの反応性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。なお、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1011Ω/cm2以下に下げることができるため、帯電防止層あるいは導電層としても有用である。なお、中屈折率層については、後述の珪素化合物、下記チタン化合物または上記錫化合物を、目標とする屈折率に合わせて適宜混合することによっても得ることができる。
【0068】
本発明において、高屈折率層形成用反応性ガスに使用し得るチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。またこれらの反応性ガスを2種以上を同時に混合して使用することができる。
【0069】
本発明において、低屈折率層形成用反応性ガスに使用し得る珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、フッ化エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、パーフルオロオクチルエチルトリクロロシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。また、4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化プロピレン等のフッ素化合物も使用することができる。あるいは特開平9−222503号記載の化1、化2、化3で示されている含フッ素化合物もプラズマ処理の反応ガスとして好ましく用いられる。
【0070】
これらの反応性ガスは2種以上を同時に混合して使用することができる。また、屈折率の微調整にこれら錫化合物、チタン化合物、珪素化合物を適宜2種以上同時に混合して使用してもよい。
【0071】
請求項5に係る発明では、積層体の450〜650nmにおける平均反射率が0.4%以下であることが特徴であり、好ましくは0.00〜0.4%である。
【0072】
本発明においては、特に450nm〜650nmの平均反射率が0.4%以下となるような低反射防眩性フィルムであってもクラックが入りにくく、かつ視認性に優れた積層体を形成することができた。すなわち、反射率を低減するためには高屈折率層の屈折率を高くしたり、層の数を増やす必要があり、より一層クラックが発生しやすくなっていたが、本発明の構成とすることにより著しい効果を達成することができた。
【0073】
又、このようにして形成された薄膜は、斜め方向から見たときでも反射率が低く維持することができた。特に、室内環境では著しい効果が認められたのである。これは、室内環境では一般に蛍光灯あるいはLED等の人工光源による照明が使用されている。目視では白色に見える光でもRGBの光がミックスされているものである。特に、斜め方向からの反射光は長波長側の反射率が増加してくるのであるが、もともと人工光源では長波長側は610±30nm範囲で発光しているが、650nm以上では発光していない。そのため、主に人工照明下で使用する表示装置については650nm以下の波長範囲について反射率を低くすることが求められる。中でも610nm付近に発光の極大があるため、この波長における反射率が低く抑えられていることが、視認性に大きく寄与することを見いだした。特に、広視野角の表示装置では一層斜め方向から鑑賞することが前提となっており、その条件下での視認性向上が強く求められている。本発明によればそのような環境下にあっても優れた視認性を提供することができる。
【0074】
本発明における積層体の反射分光特性は、公知の分光光度計、例えば分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行い、450〜650nmにおける平均値を算出することにより得ることができる。測定方法としては、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率(450nm〜650nmの波長について)の測定を行い、この波長域内において、反射率の平均値を求める方法である。
【0075】
上記積層体の他の積層体には、各種の反応性ガスを適宜選択して、本発明に係るプラズマ処理装置を使用することにより様々な高機能性の薄膜の積層体を得ることができる。本発明に係る金属酸化物層としては、Al、Ag、Ti、Si、Zr、Zn、Sn、In、Ir、Mo、V、W、Co、Fe、Y、Cr、Ta、Cd等の酸化物を挙げることができる。以下に、本発明に係るプラズマ処理で形成される薄膜の一例を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0076】
電極膜 Au、Al、Ag、Ti、Ti、Pt、Mo、Mo−Si
誘電体保護膜 SiO2、SiO、Si34、Al23、Al23、Y23
透明導電膜 In23、SnO2、ZnO
エレクトロクロミック膜 WO3、IrO2、MoO3、V25
蛍光膜 ZnS、ZnS+ZnSe、ZnS+CdS
磁気記録膜 Fe−Ni、Fe−Si−Al、γ−Fe23、Co、Fe34、Cr、SiO2、AlO3
超導電膜 Nb、Nb−Ge、NbN
太陽電池膜 a−Si、Si
反射膜 Ag、Al、Au、Cu
選択性吸収膜 ZrC−Zr
選択性透過膜 In23、SnO2
反射防止膜 SiO2、TiO2、SnO2、ZrO2
シャドーマスク Cr
耐摩耗性膜 Cr、Ta、Pt、TiC、TiN
耐食性膜 Al、Zn、Cd、Ta、Ti、Cr
耐熱膜 W、Ta、Ti
潤滑膜 MoS2
装飾膜 Cr、Al、Ag、Au、TiC、Cu
上記の反応性ガスとして、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機銅化合物、有機銀化合物等の有機金属化合物を好ましく用いることができる。これらの反応性ガスの反応ガスの混合割合は同様に0.01〜10体積%である。
【0077】
防汚層には、珪素化合物、フッ素と珪素を有する化合物を好ましく用いることができる。珪素化合物としては有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物として、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物として、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。
【0078】
更に、本発明において、フッ素と珪素を有する化合物として、例えば、テトラ(トリフルオロメチル)シラン、テトラ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(ヘプタフルオロプロピル)シラン、ジメチルジ(トリフルオロメチル)シラン、ジエチルジ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(トリフルオロメトキシ)シラン、テトラ(ペンタフルオロエトキシ)シラン、メチルトリ(トリフルオロメトキシ)シラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ビニルトリ(トリフルオロメチル)シラン、トリパーフルオロメチルアクリロイルオキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、フッ化エチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリエトキシシラン、ジ(トリフルオロメチル)ジメトキシシラン、ジ(トリフルオロメチル)ジエトキシシラン等のフルオロシラン化合物、あるいはトリフルオロメチルメタクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、6フッ化プロピレン等のフッ素化合物を挙げることができ、これらの化合物を2種以上混合して使用してもよい。また重合性のシランモノマーのオリゴマーも使用できる。
【0079】
上記フッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物を適宜2種以上混合して使用してもよい。
【0080】
上記防汚層を形成するフッ素化合物及び珪素化合物の混合ガス、またフッ素及び珪素を有する化合物を用いることによって、防汚層(防汚層の表面)の表面エネルギーを低くし、撥水性も兼ね備えた薄膜を得ることができ好ましい。この構成により、純水に対する接触角が40〜180度、好ましくは60〜180度の防汚層を形成することができる。
【0081】
なお、本発明にフッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、フッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物が常温・常圧で液体または固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0082】
上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体何れの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を加熱により気化して用いる場合、金属テトラエトキシド、金属テトライソプロポキシドなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希ガス中へ気化器等により気化して反応ガスに使用すればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。
【0083】
反応性ガスについて、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
【0084】
更に、反応性ガスとして酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0085】
本発明の薄膜形成方法において、エッチング処理のための大気圧プラズマ放電処理に使用するエッチングガスとしては、希ガスのヘリウムまたはアルゴンの他、反応性ガスのテトラフルオロメタン等のフッ素化合物や酸素等を添加することができる。
【0086】
本発明においてエッチング処理に使用する大気圧プラズマ放電処理装置は、上述の例えば反射防止層に使用する装置と同様のものを使用することができる。エッチングガスは印加電源周波数に応じて薄膜の膜厚を削減する速度が異なり、周波数が高ければ高いほど速度を早くすることができる。印加電源としては上述の市販品を使用できる。
【0087】
本発明の積層体において、反射防止層を基材に直接形成させてもよいが、他の層を少なくとも1層設けた上に形成させてもよい。本発明において、他の層として、防眩層やクリアハードコート層等を好ましく用いることができ、これらの層が熱硬化樹脂や紫外線等の活性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ましく、このような紫外線で硬化された樹脂層の上に本発明に係る反射防止層を形成させることによって耐擦り傷性に優れた積層体を得ることができる。
【0088】
防眩層及びクリアハードコート層の活性線硬化樹脂層は、好ましくはエチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0089】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
【0090】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
【0091】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることができる(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することができる。
【0092】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0093】
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤また光増感剤は該組成物の通常1〜10質量%添加することができ、2.5〜6質量%であることが好ましい。
【0094】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0095】
例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用できる。
【0096】
本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用できる。
【0097】
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテル、あるいはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0098】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。
【0099】
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
【0100】
こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるために無機あるいは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005μm〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。
【0101】
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部となるように配合することが望ましい。
【0102】
このようにして形成された紫外線硬化樹脂を硬化させた層は中心線平均粗さ(Ra)が10〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防眩層であってもよい。
【0103】
本発明では、基材の上に直接、または、上記その他の層の上にプラズマ放電処理で薄膜を形成することができる。特に本発明の方法によれば、表面に凹凸のある基材上に均一な低屈折率層あるいは高屈折率層等の光学干渉層を設けることができる。
【0104】
本発明においては、上記のような基材面に対して本発明に係る薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。また、本発明の積層体において、薄膜の膜厚としては、1層あたり0.01〜0.2μmの範囲であることが特徴であるが、好ましくは0.01〜0.15μmである。
【0105】
本発明に係る大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガス雰囲気内でプラズマ放電処理する際、処理前に、予め基材表面の除電処理を行い、更にゴミ除去を行うことによって、表面処理の均一性が更に向上するので好ましい。除電手段及び除電処理後のゴミ除去手段としては、前述装置のところでした手段と同様の手段を採用できる。図示してないが、除電手段としては、通常のブロアー式や接触式以外に、複数の正負のイオン生成用除電電極と基材を挟むようにイオン吸引電極を対向させた除電装置とその後に正負の直流式除電装置を設けた高密度除電システム(特開平7−263173号)を挙げることができ、好ましく用いることができる。またこのときの基材の帯電量は±500V以下となることが好ましい。また除電処理後のゴミ除去手段としては、非接触式のジェット風式減圧型ゴミ除去装置(特開平7−60211号)等を挙げることができ好ましく用いることができるが、これらに限定されることはなく、例えば、粘着ロール等を使用しても良い。
【0106】
次いで、本発明で用いることのできる基材(以下、支持体ともいう)について説明する。
【0107】
本発明に係る支持体としては、製造が容易であること、防眩層、または反射防止層等との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
【0108】
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルムが好ましく、本発明においては、特にセルローストリアセテートフィルム(例えばコニカタック製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW (コニカ(株)製)が好ましく用いられる。)またはセルロースアセテートプロピオネートフィルムが、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
【0109】
支持体の光学特性としては膜厚方向のリターデーションRtが0nm〜300nm、面内方向のリターデーションR0が0nm〜1000nmのものが好ましく用いられる。
【0110】
(セルロースエステルフィルム)
請求項6に係る発明では、膜厚10〜60μmの延伸セルロースエステルフィルムを用いることが特徴である。
【0111】
より低い反射率の積層体が得られるため、基材としてはセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0112】
特に、総置換度が2.8以下のセルロースエステルを用いた場合には、クラックが発生しやすいという問題があったが、本発明によれば、この様なセルロースエステルを用いてもクラックの発生が著しく低減された積層体をえることができる。
【0113】
本発明に係る支持体として、セルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
【0114】
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することができる。また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
【0115】
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
【0116】
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0117】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
【0118】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0119】
(流延製膜法による支持体の作製)
これらセルロースエステルは後述するように、溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されることが好ましい。
【0120】
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0121】
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.3℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.8℃)等である。
【0122】
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド、酢酸メチルが好ましく用いられ、特にメチレンクロライド、もしくは酢酸メチルが全有機溶媒に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。
【0123】
上記有機溶媒の他に、0.1質量%〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
【0124】
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0125】
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70質量%〜95質量%に対してエタノール5質量%〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
【0126】
また、作製したセルロースエステルフィルムを原料の一部として、再度ドープに添加、溶解してドープを調製する方法も好ましい方法の一例である。
【0127】
請求項6に係る発明では、セルロースエステルフィルムが延伸されたものであることが一つの特徴であり、特に溶液流延工程で残留溶媒量が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向に1.01倍〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、残留溶媒量が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向及び長手方向に、各々1.01倍〜1.5倍に延伸されることが好ましく、さらに好ましくは残留溶媒量が3〜10質量%で延伸することである。こうすることによって、視認性に優れた反射防止フィルムを得ることが出来る。更に、2軸延伸し、後述のナーリング加工をすることによって、長尺状反射防止フィルムのロール状での保管中の巻き形状の劣化を著しく改善することができる。
【0128】
ここで残留溶媒量は、下式で求められる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの目的測定時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0129】
更に好ましくは後述する裏面側の突起の数が所定範囲内に調整することにより、ロール状の反射防止フィルムの保管安定性の向上効果が得られる。
【0130】
(支持体の透過率)
本発明において、二軸延伸されたセルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
【0131】
(支持体の膜厚と透湿性)
本発明に係るセルロースエステルフィルム支持体は、通常その厚さが10μm〜200μmであるが、請求項6に係る発明では10〜60μmであることが一つの特徴である。透湿性は、200g/m2・24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは、10〜180g/m2・24時間以下であり、特に好ましくは、160g/m2・24時間以下である。
【0132】
ここで、支持体の透湿性は、JIS Z 0208に記載の方法に従い、測定条件Aである温度25±0.5℃、相対湿度90±2%で各試料の透湿性を測定した。
【0133】
(可塑剤)
本発明の防眩フィルムの支持体にセルロースエステルフィルムを用いる場合、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
【0134】
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
【0135】
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0136】
特に、特願2000−338883記載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の添加物を有するセルロースエステルも好ましく用いられる。
【0137】
具体的には、ロジン及びロジン誘導体としては、以下の構造式のものが挙げられる。
【0138】
【化1】
Figure 0004110777
【0139】
上記化合物のうち、KE−604とKE−610は荒川化学工業(株)からそれぞれ酸価237と170で市販されている。同じく、荒川化学工業(株)からアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物のエステル化物として、KE−100及びKE−356が、それぞれの酸価は8と0で市販されている。また、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物は、播磨化成(株)からそれぞれの酸価167、168のG−7及びハートールR−Xで市販されている。
【0140】
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、以下の構造を有するものが挙げられる。
【0141】
【化2】
Figure 0004110777
【0142】
アラルダイドEPN1179及びアラルダイドAER260は旭チバ(株)から市販されている。
【0143】
ケトン樹脂としては、以下の構造のものが挙げられる。
【0144】
【化3】
Figure 0004110777
【0145】
ハイラック110及びハイラック110Hは日立化成(株)から市販されている。
【0146】
パラトルエンスルホンアミド樹脂としては、以下の構造のものが挙げられ、トップラーとして、フジアミドケミカル(株)から市販されている。
【0147】
【化4】
Figure 0004110777
【0148】
これらの可塑剤は単独または併用するのが好ましい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1質量%〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3質量%〜13質量%である。
【0149】
(紫外線吸収剤)
本発明に係る支持体に用いられる紫外線吸収剤について説明する。防眩フィルム用の支持体には、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0150】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0151】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(7)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0153】
【化5】
Figure 0004110777
【0154】
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0155】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0156】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(8)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0157】
【化6】
Figure 0004110777
【0158】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
【0159】
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
【0160】
以下に一般式(8)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0161】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0162】
また、特開2001−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支持体の面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0163】
また、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
【0164】
また、特開2001−235621記載の紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。
【0165】
本発明に用いられる紫外線吸収剤添加液の添加方法としては、下記に記載の方法が挙げられる。
【0166】
《添加方法A》
紫外線吸収剤添加液の調製方法としては、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤を溶解してから直接ドープ組成中に添加する。
【0167】
《添加方法B》
紫外線吸収剤添加液の調製方法としては、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤と少量のセルロースエステルを溶解してからインラインミキサーでドープに添加する。
【0168】
本発明においては、添加方法Bの方が、紫外線吸収剤の添加量を容易に調整できるため、生産性に優れていて好ましい。
【0169】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常はセルロースエステルフィルム1m2当り、0.2〜3.0gが好ましく、0.4〜1.5gがさらに好ましく、0.6〜1.0gが特に好ましい。
【0170】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには滑り性を付与するために微粒子を添加することができる。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
【0171】
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減できるので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
【0172】
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0173】
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0174】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0175】
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0176】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムに添加される微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。これらの微粒子は0.05〜5μmの粒径の2次粒子を形成してセルロースエステルフィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることが出来る。
【0177】
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
【0178】
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
【0179】
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
【0180】
上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
【0181】
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
【0182】
《調製方法A》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0183】
《調製方法B》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0184】
《調製方法C》
溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0185】
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
【0186】
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がさらに好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0187】
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0188】
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01質量部〜0.3質量部が好ましく、0.05質量部〜0.2質量部がさらに好ましく、0.08質量部〜0.15質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
【0189】
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。
【0190】
メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどがあげられる。
【0191】
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
【0192】
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0193】
又、ロール状に巻き取られた後、出荷されるまでの間、汚れや静電気によるゴミ付着等から製品を保護するために通常、包装加工がなされる。この包装材料については、上記目的が果たせれば特に限定されないが、フィルムからの残留溶媒の揮発を妨げないものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、紙、各種不織布等が挙げられる。繊維がメッシュクロス状になったものは、より好ましく用いられる。
【0194】
本発明のセルロースエステルフィルムは複数のドープを用いた共流延法等による多層構成を有するものであってもよい。
【0195】
共流延とは、異なったダイを通じて2層または3層構成にする逐次多層流延方法、2つまたは3つのスリットを有するダイ内で合流させ2層または3層構成にする同時多層流延方法、逐次多層流延と同時多層流延を組み合わせた多層流延方法のいずれであっても良い。また、4層以上の層構成であっても良い。
【0196】
又、本発明で用いられるセルロースエステルはフィルムにしたときの輝点異物が少ないものが、支持体として好ましく用いられる。本発明において、輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面からセルロースエステルフィルムを観察したときに、光源の光がもれて見える点のことである。
【0197】
このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物の発生は、セルロースエステルに含まれる未酢化のセルロースがその原因の1つと考えられ、対策としては、未酢化のセルロース量の少ないセルロースエステルを用いることや、また、セルロースエステルを溶解したドープ液の濾過等により、除去、低減が可能である。又、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向がある。
【0198】
輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上のものが200個/cm2以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm2以下、50個/cm2以下、30個/cm2以下、10個/cm2以下であることが好ましいが、特に好ましくは、0であることである。
【0199】
又、0.005mm〜0.01mmの輝点についても200個/cm2以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm2以下、50個/cm2以下、30個/cm2以下、10個/cm2以下であることが好ましいが、特に好ましいのは、輝点が0の場合である。0.005mm以下の輝点についても少ないものが好ましい。
【0200】
輝点異物を濾過によって除去する場合、セルロースエステルを単独で溶解させたものを濾過するよりも可塑剤を添加混合した組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、セラミックス、金属等も好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく、更に好ましくは、30μm以下、10μm以下であるが、特に好ましくは、5μm以下のものである。
【0201】
これらは、適宜組み合わせて使用することもできる。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
【0202】
《バックコート層》
(支持体のバックコート層の突起)
本発明の防眩フィルムは、支持体の一方の面には防眩層、反射防止層等を有するが、もう一方の面(裏面ともいう)には、表面からの高さが、0.1μm以上の突起を10個〜500個/100μm2有することが好ましく、更に好ましくは、50個〜500個/100μm2であり、特に好ましくは、100個〜450個/100μm2である。
【0203】
ここで、表面の突起数の測定は、光学干渉式表面粗さ計(例えばWYKO社製RST PLUS)を用い、フィルム表面から高さ0.1μm以上の突起の数をカウントすることができる。
【0204】
このような裏面側の突起は、あらかじめフィルム中に微粒子を添加する方法、あるいは微粒子を含有する塗布液を塗設してバックコート層を設ける方法によって形成することが出来る。突起の数や大きさは微粒子の添加量や分散状態を制御することによって制御することができる。
【0205】
これによって、各光学干渉層塗設中に一旦ロール状に巻き取りをしてもブロッキングの発生が防止できるだけでなく、次の光学干渉層を塗設する際の塗布むらを著しく低減することができる。塗布むらの原因は完全に明らかにはなっていないが、原因の1つとしてロール状に巻き取ったフィルムを塗布工程に送り出す際の剥離帯電が関係していると推測される。基材フィルム中に微粒子を添加することで、裏面に高さ0.1〜10μmの突起を10〜500個/100μm2有するようにすることができる。このとき、基材フィルムを共流延等により多層構成として、表層のみに微粒子を含ませることもできる。
【0206】
裏面の突起を上記の範囲に調整することにより、長尺ロール状の反射防止フィルムの保管性の改善に効果がある。
【0207】
バックコート層には、樹脂と微粒子が含まれていることが好ましく、添加する微粒子の種類としては、有機化合物でも無機化合物でもよく、例えば二酸化けい素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化けい素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.1〜10μmで、その含有量は基材のセルロースエステルに対して0.04〜0.3質量%が好ましい。二酸化けい素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、これはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類(特にメチル基を有するアルコキシシラン類)、シラザン、シロキサン等が挙げられる。微粒子の平均粒径は大きい方がマット効果が大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜16nmである。二酸化けい素の微粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL(アエロジル)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはAEROSIL(アエロジル)200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばAEROSIL(アエロジル)200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
【0208】
この塗布組成物には樹脂を含ませることができ、ここで用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合体、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタジエン/アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(以上、三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(以上、根上工業(株)製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118(以上、三菱レーヨン(株)製)等が用いられる。特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースエステル樹脂が用いられる。
【0209】
添加する微粒子の添加量、粒径を調整することによって裏面の突起数を調整することが出来る。また、反射防止層(光学干渉層ともいう)の裏面側に微粒子を含む層を塗設することによって、裏面に高さ0.1〜10μmの突起を1〜500個/0.01mm2有する防眩フィルムを提供することができる。
【0210】
上記のような樹脂、微粒子の混合組成物を溶解、膨潤または分散させる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。
【0211】
本発明に用いられるバックコート層には、アンチカール機能を付与することもできる。具体的には支持体を溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒の混合物の他、さらに溶解させない溶媒を含む場合もある。これらを樹脂フィルムのカール度や樹脂の種類によって適宜選択した割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
【0212】
カール防止機能を強めたい場合は、溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは、(溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。
【0213】
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、ワイヤーバーコーター、リバースロールコーター、押し出しコーター等を用いて基材の表面にウェット膜厚1〜100μm塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであるとよい。
【0214】
本発明に用いられるバックコート層を塗設する順番は、反射防止層を塗設する前であることが好ましく、更に好ましくは、防眩層等の紫外線硬化樹脂層を設ける前に支持体上に設けることである。
【0215】
本発明の楕円偏光板、それを用いた本発明の表示装置について説明する。
本発明の楕円偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。これらは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
【0216】
本発明の楕円偏光板はこうして得られた偏光子と本発明の積層体フィルムとを貼合して得られる。
【0217】
本発明の積層体フィルムは偏光板保護フィルムとして好ましく用いられ、偏光子の少なくとも片側に積層し、貼合されて楕円偏光板とすることができる。
【0218】
本発明の楕円偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の積層体フィルムをアルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。上記記載のアルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理を示す。このとき、反射防止層の表面には再剥離性の保護フィルム(例えばPET等のポリエステル樹脂製)を設けることにより、アルカリや汚れから保護することができる。
【0219】
本発明の積層体フィルムを一方の楕円偏光板保護フィルムとして用いた場合、もう一方の楕円偏光板保護フィルムには、光学補償機能を持たせることが出来る。例えば、直接または配向層を介して、ディスコチック液晶あるいは棒状液晶等の液晶を塗布して配向、固定化した光学異方層(例えばハイブリッド配向で固定化した層)を設け、これを偏光板保護フィルムとして用いて視野角拡大効果を有する楕円偏光板を作製することも出来る。あるいは、延伸処理された高分子フィルムを光学異方層とすることも特に好ましい。特に、膜厚方向のリターデーションRtが120〜160nm、面内リターデーションが40〜70nmの延伸フィルムが好ましく用いられる。本発明において、R0、Rtは自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて590nmの波長の光で測定することができる。
【0220】
一般に、延伸倍率が高いフィルムを偏光板保護フィルムとして使用すると、高温高湿処理や長期間の保存で寸法変化しやすく、その結果、更にクラックが発生しやすくなるが、本発明の構成により楕円偏光板としてクラックの発生が低減され、更に、表示装置として視認性が著しく改良される。
【0221】
又、必要に応じて、反射防止層の表面に防汚性を持たせるかあるいは防汚層を設けることが出来る。防汚層としてはSi系あるいはF系の公知の化合物を用いた層が好ましく用いられる。
【0222】
代表的な楕円偏光板の構成の一例を以下に示す。
反射防止層/防眩層/セルロースエステルフィルム/偏光子/延伸セルロースエステルフィルム/配向層/光学異方層
反射防止層/防眩層/セルロースエステルフィルム/偏光子/延伸セルロースエステルフィルム
(液晶セル)
この様にして得られた楕円偏光板は、液晶セルの一方の面もしくは、両面に設けてもよい。本発明の積層体フィルムは反射防止層が外側を向くように液晶セルに貼りつけ、本発明の表示装置が得られる。
【0223】
本発明の積層体フィルムを用いることによって、高精細でありながら視認性に優れた表示装置を提供することができる。
【0224】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0225】
実施例1
《セルロースエステルフィルムの作製》
以下に示す方法に従って各種添加液、各種ドープを調製して、基材フィルムであるセルロースエステルフィルム1〜7を作製した。
【0226】
(セルロースエステルフィルム1の作製)
〈酸化けい素分散液1の調製〉
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
以上をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行い、酸化けい素分散液1を調製した。
【0227】
〈添加液1の調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.8) 6kg
メチレンクロライド 140kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化けい素分散液1を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液1を調製した。
【0228】
〈ドープ1の調製〉
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.8) 100kg
トリフェニルホスフェート 9kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液100kgに添加液1を3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で10分間混合し、濾過し、ドープ1を調製した。
【0229】
ドープ1を濾過した後、ベルト流延装置を用い、35℃のドープを35℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、支持体上で乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からフィルムを剥離した。このときのフィルムの残留溶媒量は80%であった。ステンレスバンド支持体から剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで1分間乾燥させた後、2軸延伸テンターを用いて、残留溶媒量3〜10質量%であるときに100℃の雰囲気下で長手方向に1.03倍、幅方向に1.1倍に延伸し、幅把持を解放して、多数のロールで搬送させながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施して、膜厚40μmのセルロースエステルフィルム1を作製した。
【0230】
(セルロースエステルフィルム2の作製)
セルロースエステルフィルム1の作製において、添加液1を添加液2に、ドープ1をドープ2に代えた以外は同様にして、膜厚40μmのセルロースエステルフィルム2を作製した。
【0231】
〈添加液2の調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.9) 6kg
メチレンクロライド 140kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化けい素分散液1を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液2を調製した。
【0232】
〈ドープ2の調製〉
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.9) 100kg
トリフェニルホスフェート 9kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液100kgに添加液2を3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で10分間混合し、濾過し、ドープ2を調製した。
【0233】
(セルロースエステルフィルム3の作製)
セルロースエステルフィルム1の作製において、添加液1を添加液3に、ドープ1をドープ3に代えた以外は同様にして、膜厚60μmのセルロースエステルフィルム3を作製した。
【0234】
(添加液3の調製)
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基の置換度1.9、プロピオニル基の置換度0.7) 6kg
酢酸メチル 100kg
エタノール 40kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの前記酸化けい素分散液1を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液3を調製した。
【0235】
(ドープ3の調製)
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基の置換度1.9、プロピオニル基の置換度0.7) 100kg
酢酸メチル 290kg
エタノール 85kg
トリフェニルフォスフェート 8kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液100kgに添加液3を3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、濾過し、ドープ3を調製した。
【0236】
(セルロースエステルフィルム4の作製)
セルロースエステルフィルム1の作製において、2軸延伸テンターを行わずに乾燥させた以外は同様にして、膜厚40μmのセルロースエステルフィルム4を作製した。
【0237】
(セルロースエステルフィルム5の作製)
セルロースエステルフィルム2の作製において、2軸延伸テンターを行わずに乾燥させた以外は同様にして、膜厚40μmのセルロースエステルフィルム5を作製した。
【0238】
(セルロースエステルフィルム6の作製)
セルロースエステルフィルム3の作製において、2軸延伸テンターを行わずに乾燥させた以外は同様にして、膜厚60μmのセルロースエステルフィルム6を作製した。このセルロースエステルフィルム6は、面内リターデーションR0は5nm、厚み方向のリターデーションRtは60nmであった。
【0239】
《防眩フィルムの作製》
上記作製したセルロースエステルフィルム1〜6のA面(溶液流延製膜工程でステンレスベルト支持体に接している面をB面、その反対側の面をA面とする)にバックコート層を塗設した。
【0240】
〔バックコート層の塗設〕
下記のバックコート層塗布組成物をセルロースエステルフィルム1〜6のA面側に、ウェット膜厚15μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、乾燥温度85℃にて乾燥させてバックコート層(BC層と略すことがある)を塗設した。
【0241】
(バックコート層塗布組成物)
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
セルロースジアセテート 0.5質量部
アエロジル200V 0.1質量部
《防眩フィルムの作製》
BC層を塗設したセルロースエステルフィルム1〜6のBC層とは反対側のB面側に下記の防眩層塗布組成物1又は2を表1に記載の組み合わせで、グラビアコーターで塗布し、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥して酢酸エチルを蒸発させた後、150mJ/cm2の照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で2μmの防眩層(AG層と略すことがある)を設け、表面に凹凸を有する防眩フィルム1〜9を作製した。
【0242】
Figure 0004110777
以上の各添加物を混合した。予め、上記混合溶媒の一部に酸化ケイ素微粒子(平均一次粒径16nm、アエロジルR972V、日本アエロジル社製)10gを添加して、高速攪拌型分散機により5000rpmで1時間攪拌及び分散を行った分散物を添加し、更に混合分散を行い、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩層塗布組成物1を調製した。
【0243】
上記調製した防眩層塗布組成物1を、セルロースエステルフィルム1〜3のB面上に塗布して、中心線平均粗さが0.14μmの防眩フィルム1〜3を作製した。
【0244】
〔防眩フィルム4〜9の作製〕
(防眩層塗布組成物2の調製)
酸化珪素微粒子(アエロジルR972V 日本アエロジル社製)5部、平均一次粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H 総研化学社製)5部、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂100部〔ユニディック17−806(大日本インキ社製)99部、コロネートL(ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン社製)1部〕、光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製)3部を溶剤(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合して揮発分濃度70%の均質な分散液を調製した。
【0245】
上記調製した防眩層塗布組成物2を、セルロースエステルフィルム1〜6のB面上に塗布して、中心線平均粗さが0.30μmの防眩フィルム4〜9を作製した。
【0246】
《反射防止フィルム1〜24の作製》
〔大気圧プラズマ処理法による反射フィルムの作製〕
下記に記載のプラズマ放電処理装置により、前記作製した防眩フィルム上に各薄膜を形成して、表1に記載の反射防止フィルム1〜18を作製した。
【0247】
(プラズマ放電処理装置)
図2に示したプラズマ放電処理装置を4基連続して設置して、反射防止フィルムを作製した。ロール電極には、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材(冷却機能は図2には図示していない)を用いた。これにセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その上にテトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行いRmax1μm誘電体を有するロール電極を製作しアース(接地)した。一方、対向電極としては、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、相対する電極群とし、第1〜第4のプラズマ放電処理装置に各々下記に記載の反応ガスを導入して、それぞれ必要な膜厚が得られるように調整した。また、第1〜第4の各プラズマ放電処理装置の電源は、日本電子製高周波電源JRF−100000を使用し、連続周波数を13.56MHzとし、12W/cm2の電力を供給した。但し、ロール電極は、ドライブを用いて基材フィルムの搬送に同期して回転させた。なお、電極間隙は1.5mm、反応ガスの圧力を102kPaとして行った。
【0248】
(薄膜積層体の形成)
上記記載の各プラズマ放電処理装置に、下記の各反応ガスを表1に記載の組み合わせ(AR構成1〜4)及び各層の膜厚となるように、各々薄層を積層して、積層体である反射防止フィルム1〜18を作製した。なお、各薄層の膜厚は、前述の透過型電子顕微鏡による断面観察により求めた。
【0249】
〈反応ガス1:酸化チタン膜形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.0体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.7体積%
反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積%
〈反応ガス2:酸化珪素膜形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.0体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.7体積%
反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
〈反応ガス3:酸化錫膜形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.0体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.7体積%
反応ガス(テトラブチル錫蒸気) 0.3体積%
〈反応ガス4:有機フッ素化合物膜形成用反応ガス〉
不活性ガス(ヘリウム) 99.2体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.5体積%
反応ガス(六フッ化プロピレン蒸気) 0.3体積%
以上により積層した各薄膜の膜厚を表1に記載する。
【0250】
なお、表1に記載の反射防止層の構成は以下の通りである。
AR構成1=第1層:酸化チタン膜(屈折率2.15)/第2層:酸化ケイ素膜(屈折率1.46)/第3層:酸化チタン膜(屈折率2.15)/第4層酸化ケイ素膜(屈折率1.46)
AR構成2=第1層:酸化錫膜(屈折率1.70)/第2層:酸化チタン膜(屈折率2.15)/第3層:有機フッ素化合物(屈折率1.42)
なお、各層の屈折率は、波長510nmの光に対する値である。
【0251】
〔塗布方式による反射フィルムの作製〕
塗布方式により、前記作製した防眩フィルム上に各薄膜を形成して、反射防止フィルム19〜24を作製した。
【0252】
(反射防止フィルム19〜21の作製)
前記作製した防眩フィルム4〜6上に、下記に記載の各塗布液を順次塗布、乾燥して、下記AR構成3からなる反射防止フィルム19〜21を作製した。
【0253】
Figure 0004110777
以上の各添加物を攪拌混合した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、第1層塗布液1を調製した。
【0254】
第1層塗布液1を塗布し、80℃で5分乾燥し、メタルハライドランプを200mJ/cm2照射して第1層を設けた。
【0255】
Figure 0004110777
以上の各添加物を攪拌混合した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、第2層塗布液1を調製した。
【0256】
第2層塗布液1を第1層の上に塗布し、80℃で5分乾燥し、メタルハライドランプを300mJ/cm2照射して第2層(屈折率=1.90)を設けた。
【0257】
Figure 0004110777
以上の各添加物を攪拌混合した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、第3層塗布液1を調製した。
【0258】
第3層塗布液1を第2層の上に塗布し、80℃乾燥した後、120℃で10分間熱硬化して、第3層(屈折率:1.42)を設けた。
【0259】
以上のようにして積層した第1層〜第3層の各層膜厚を、表1に記載する。
(反射防止フィルム22〜24の作製)
前記作製した防眩フィルム4〜6上に、前記AR構成1と同様にして反射防止層を形成した。だたし、第1層〜第4層を形成する際に、製膜とプラズマ処理でのエッチングを交互に行うことにより膜厚を制御して反射防止層を形成し、これをAR構成4として、反射防止フィルム22〜24を作製した。
【0260】
AR構成4=第1層:酸化チタン膜/第2層:酸化珪素膜/第3層:酸化チタン膜/第4層:酸化珪素膜
第1層〜第4層の各層の膜厚を、表1に記載する。
【0261】
《各試料の中心線平均粗さRa1及びRa2の測定》
上記作製した各防眩フィルム及びそれを用いた各反射防止フィルムの表面層の中心線平均粗さを下記に示す方法に従って測定し、Ra2/Ra1を算出し、得られた結果を表1に示す。
【0262】
測定装置としては、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システムを用いて、以下に記載の測定条件で行った。
【0263】
VSIモードにおいて対物レンズ40倍、中間レンズ1.0倍を用いた。
測定条件の詳細については、下記のように設定した。
【0264】
Scan depth:40μm
Mod thresh:2.0%
Scan back:15.0μm
Resolution:368×238full view
Scan speed:HIGH
解析時はTerm removalをtilt only(傾斜補正)で補正し、FilteringはMedian Smoothingで行った。
【0265】
結果の解析方法は、プロファイルを3次元で表示し、149.7×111.2μm測定視野内において、それぞれの中心線平均粗さRaを求めた。
【0266】
《反射防止フィルムの各薄膜の平均膜厚A及び平均膜厚Bの測定》
前述の透過型電子顕微鏡による断面観察法に従い、反射防止フィルムの断面を撮影及び画像をフィルムで記録した後、各薄膜表面部の凸部の膜厚を20点測定し、その平均値を平均膜厚Aとし、同様に凹部の膜厚を20点測定し、その平均値を平均膜厚Bとして、平均膜厚B/平均膜厚Aを算出し、得られた結果を表1に示す。
【0267】
【表1】
Figure 0004110777
【0268】
《反射防止フィルムの評価》
以上のようにして作製した反射防止フィルム1〜24について、下記の測定及び評価を行った。
【0269】
(平均反射率の測定)
分光光度計(日立製作所製U−4000型)を用い、反射防止層が塗布されていない側の面(バックコート層が塗設されている面)を粗面化した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、裏面での光の反射を防止して5度の正反射の条件にて450nm〜650nmにおける各反射率の測定し、その平均反射率を求めた。
【0270】
(クラック評価1)
各反射防止フィルムを80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で3時間強制処理した後、23℃、55%RH雰囲気に戻し、1日間放置した。このサイクルを10回繰り返した後、光学顕微鏡で表面のクラックの発生状況を観察し、更に上記サイクルを10回(計20回)繰り返して、再び光学顕微鏡で表面のクラックの発生状況を観察して、下記に記載の基準に則り評価を行った。
【0271】
A:20回目のサイクル処理後でも、クラックの発生は認められない。
B:10回目のサイクル処理後で、僅かにクラックの発生が認められるが20回目のサイクル処理後でクラック数の増加は認められない
C:10回目のサイクル処理後で、僅かにクラックの発生が認められ、20回目のサイクル処理後でクラック数がやや増加している
D:10回目のサイクル処理後で、クラックの発生が認められ、20回目のサイクル処理後でクラック数が明らかに増加している
E:10回目のサイクル処理後及び20回目のサイクル処理後の観察で、無数のクラック数が認められる
(クラック評価2)
各反射防止フィルムを80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で3週間強制処理した後、目視による白濁の状態を観察した。この観察で、微細なクラックの発生に伴い白濁度が上昇する。評価は、白濁が全く認められないものを1とし、著しい白濁を起こしているものを5とし、その間のランクの状態を2〜4とした5段階評価を行った。
【0272】
以上により得られた結果を表2に示す。
【0273】
【表2】
Figure 0004110777
【0274】
表2より明らかなように、基材表面構成層の中心線平均粗さRa1と、薄膜の最表面の中心線平均粗さRa2とが前記式(1)の関係にある反射防止フィルム、あるいは薄層の凹凸として、平均膜厚B/平均膜厚Aが前記式(2)で規定する範囲にある反射防止フィルムは、比較品に対し表面反射特性(正反射)に優れ、かつ表面でのクラックの発生が極めて少ないことが分かる。更に、薄膜形成を大気圧プラズマ処理で形成すること、あるいはRa2が0.01〜1μmの範囲とすること、基材として延伸セルロースエステルフィルムを用いることにより本発明の効果がより一層発揮されていることを確認することができた。
【0275】
実施例2
実施例1で作製した反射防止フィルムを一方の偏光板保護フィルムとし、他方の面の保護フィルムとして、実施例1で作製したセルロースエステルフィルム6又は下記のセルロースエステルフィルム7とを表3に記載の組み合わせで使用して、下記の方法に従って楕円偏光板1〜8を作製した。
【0276】
(セルロースエステルフィルム7の作製)
実施例1に記載のセルロースエステルフィルム3の作製において、剥離後溶媒を含んだ状態のフィルムを120℃の雰囲気下で2軸延伸テンターで幅方向に1.45倍、長手方向に1.00倍延伸し、膜厚85μmのセルロースエステルフィルム7を作製した。厚み方向のリターデーションRtは140nm、面内のリターデーションR0は55nmであった。
【0277】
(楕円偏光板の作製)
(a)偏光膜の作製
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
【0278】
(b)楕円偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と各偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0279】
工程1:各セルロースエステルフィルムと各反射防止フィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。反射防止フィルムの反射防止層を設けた面にはあらかじめ剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けて保護した。
【0280】
同様にセルロースエステルフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
【0281】
工程2:前述の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
【0282】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルロースエステルフィルムと反射防止フィルムとで挟み込んで、積層配置した。
【0283】
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cm2の圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
【0284】
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を3分間乾燥処理して、楕円偏光板1〜8を作製した。
【0285】
《液晶表示パネルによる評価》
市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ MultiSync LCD1525J:型名 LA−1529HM)の両面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた上記楕円偏光板1〜8を張り付けて、液晶表示パネル1〜8を作製した。
【0286】
上記作製した各液晶表示パネルについて、下記の評価を行った。
(左右視野角の測定)
視野角の測定は、上記で得られた各液晶表示パネルを、ELDIM社製EZ−contrastを用いて視野角を測定した。視野角の評価としては、液晶表示パネルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上、および反転を起こす領域を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲で表した。
【0287】
(視認性の評価)
上記で得られた各液晶表示パネルを、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業(株)製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき評価者が液晶表示パネルの表示面正面にいるときに、評価者の頭上より側面方向に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして斜め45度の画面の横方向からの見易さ(視認性)を下記のようにランク評価した。
【0288】
A:もっとも近い蛍光灯の写りこみから気にならず、小さな文字もはっきりと読める
B:近くの蛍光灯の写りこみはやや気になるが、遠くは気にならず、小さな文字もなんとかと読める
C:遠くの蛍光灯の写りこみも気になり、小さな文字を読むのは困難である
D:蛍光灯の写りこみがかなり気になり、写り込みの部分は小さな文字を読むことはできない
以上により得られた結果を表3に示す。
【0289】
【表3】
Figure 0004110777
【0290】
表3より明らかなように、本発明の積層体である反射防止フィルムを用いた液晶表示パネルは、比較例に対し左右視野角が広く、かつ視認性に優れていることが分かる。
【0291】
【発明の効果】
本発明により、優れた反射特性を有し、積層体表面でのクラック発生が防止され、かつ視野角は広く、視認性が向上した積層体とそれを用いた楕円偏光板及び表示装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜形成方法に用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の薄膜形成方法に有用な回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
F 基材フィルム
G 反応ガス
G′ 排ガス
10A,10B,110 回転電極
11A,11B,11C,11D Uターンロール
20,21 ガイドロール
30 反応ガス供給部
40,140 ガス排気口
50,150 放電部
80,180 電源
81,82,181,182 電圧供給手段
110 回転電極
111 固定電極
120,121 ガイドロール
122,123 ニップロール
124,125 仕切板
130 給気管
131 反応ガス発生装置
190 プラズマ放電処理容器

Claims (9)

  1. 基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該複数設けた薄層の膜厚が、中心線より上の凸部領域の平均膜厚Aとし、中心線より下の凹部領域の平均膜厚Bとしたとき、平均膜厚Aと平均膜厚Bとが下記式(2)の関係であることを特徴とする積層体。
    式(2)0.7≦平均膜厚B/平均膜厚A≦1.3
  2. 前記基材が、膜厚10〜60μmの延伸セルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項に記載の積層体。
  3. 前記薄膜の少なくとも1層が、大気圧プラズマ処理で形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体を一方の面に有し、偏光子を挟んで他方の面に光学異方性層を備えた楕円偏光板。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体を有する表示装置。
  6. 基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2とが下記式(1)の関係にあり、前記基材が、膜厚10〜60μmの延伸セルロースエステルフィルムであることを特徴とする積層体。
    式(1)0.9<Ra2/Ra1
  7. 基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2とが下記式(1)の関係にあり、前記基材が、前記薄膜の少なくとも1層が、大気圧プラズマ処理で形成されたことを特徴とする積層体。
    式(1)0.9<Ra2/Ra1
  8. 基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2とが下記式(1)の関係にある積層体を一方の面に有し、偏光子を挟んで他方の面に光学異方性層を備えた楕円偏光板。
    式(1)0.9<Ra2/Ra1
  9. 基材表面に形成された凹凸を有する構成層上に、各層の平均膜厚が0.01〜0.2μmの範囲内にある複数の薄膜を設けた積層体において、該基材表面の凹凸を有する構成層の中心線平均粗さをRa1、該形成された薄膜の最表面の中心線平均粗さをRa2としたとき、Ra1とRa2とが下記式(1)の関係にある積層体を有する表示装置。
    式(1)0.9<Ra2/Ra1
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