JP2004279491A - 防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置 - Google Patents

防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置を提供することにある。
【解決手段】透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上にCVD法により金属化合物層を形成することを特徴とする防眩性反射防止層の形成方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規の膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。また、視認性向上のために反射防止層を設けたり、また、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩層を付与した、コンピュータやワープロ等の液晶画像表示装置(液晶ディスプレイともいう)が多く使用されるようになってきた。
【0003】
反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々のフィルムを液晶ディスプレイの前面に配置することで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。これら、前面板として用いられる光学用フィルムには、塗布または、スパッタリング等で形成した反射防止層または防眩層が設けられている。
【0004】
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。
【0005】
表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることができる。従来、このような凹凸を形成する方法としては、微粒子を塗布液に添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このほか、特開平6−234175号で開示されているエンボス加工する方法、特開昭63−298201号で開示されているあらかじめ型を転写させる方法等が知られている。しかしながら、エンボス加工や転写により凹凸を形成する方法は、生産性に劣り、特に微細な凹凸構造を形成することは極めて困難である。
【0006】
一方、微粒子を用いて凹凸を形成する方法として、微粒子、例えば無機微粒子あるいは有機微粒子を樹脂等のバインダー中に分散させた塗布液を調製、塗布して表面に凹凸構造を形成させる方法が用いられている。この方法では、バインダー層中に凹凸を形成する微粒子が存在するパターンであり、微粒子を適切に分散することが必要とされるため、所望の凹凸構造を効果的に形成することがむずかしく、防眩フィルムとしての十分なぎらつき防止効果を得ることに大きな障害を有していた。また、凹凸の形状を変更する場合には、微粒子の粒径、配合量、膜厚等を修正する必要があり、品種の切り替えが非常に煩雑になる。また、所望の凹凸構造を達成するためには、比較的粒径の大きな微粒子を用いることが必要となり、その結果、鮮鋭性等の低下を招く結果となっていた。また、上述の塗布により防眩層を形成する方法においては、しばしば塗布むらの発生や支持体あるいは下部層との接着性が低下することがあり、また生産性にも劣るという欠点を有しており、早急な改良手段の開発が要望されている。
【0007】
上記課題に対し、機能性層を形成する方法の一つとして、活性光線硬化型樹脂あるいは熱硬化性樹脂と各種微粒子を含む塗布液を、基材上に塗布した後、活性光線の照射あるいは加熱処理を施して、硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかしながら、活性光線硬化型樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いて、塗布方式により防眩層を形成する場合には、上述の場合と同様に、所望の凹凸構造を効果的に形成するためには、塗布液や塗布条件を適切に制御する必要があり、品種の切り替えの際の作業量が増加し、多品種生産における生産性を低下させる要因となっている。
【0008】
一方、反射を低減するため反射防止層を形成する様々な方法が提案されているが、反射を完全になくすことは困難であり、画面上への写りこみが多い環境では十分な視認性は得られなかった。この様な写りこみが多い環境では、上記のような防眩層を用いることが提案されているが、画質、特にコントラストの低下を招き、黒のしまりが悪く画質に不満が残っていた。そのため、防眩層上に反射防止層を形成する方法が提案されている。しかしながら、防眩層の多くは、上述のように、微粒子を用いて防眩性を付与させる方法がほとんどであり、この様な微粒子を用いて形成された防眩層の上に均一に反射防止層を形成することは困難であり、十分な品質を有する防眩性反射防止フィルムを得ることは困難であった。また、防眩層の上に反射防止層を形成したものは、防眩層のみのものと比較してコントラストがある程度改善されるものの、市場での要求レベルには及んでいないのが現状である。
【0009】
また、視認性を改善するため、従来でも、表示装置の表面には防眩層あるいは反射防止層が設けられているが、表示装置のカラー化、高精細化に伴って、より視認性に優れた防眩性反射防止フィルムが求められている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭59−58036号公報(特許請求の範囲)
【0011】
【特許文献2】
特開2001−310912号公報(特許請求の範囲)
【0012】
【特許文献3】
特開2002−114928号公報(特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献4】
特開2002−120311号公報(特許請求の範囲)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0016】
1.透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上にCVD法により金属化合物層を形成することを特徴とする防眩性反射防止層の形成方法。
【0017】
2.前記CVD法が、大気圧プラズマ法であることを特徴とする前記1項記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0018】
3.前記微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)が、0.05〜5.0μmであることを特徴とする前記1または2項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0019】
4.前記微細凹凸構造が、凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmである凸部を100μmあたり1〜50個有していることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0020】
5.前記防眩性付与組成物が、活性光線硬化型樹脂であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0021】
6.前記インク液滴を透明基体上に着弾させ、活性光線を照射することを特徴とする前記5項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0022】
7.前記防眩性付与組成物が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0023】
8.前記インク液滴を透明基体上に着弾させ、加熱硬化処理を行うことを特徴とする前記7項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0024】
9.2種以上の組成の異なるインク液滴を出射して、異なる屈折率を有する凹凸を形成することを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0025】
10.2種以上の粒径の異なるインク液滴を出射して形成することを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0026】
11.粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成することを特徴とする前記10項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0027】
12.前記インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子を含有することを特徴とする前記1〜11項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0028】
13.前記インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微小液滴を含有することを特徴とする前記1〜11項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0029】
14.前記微小液滴と、インク液滴媒体との屈折率差が0.01以上であることを特徴とする前記13項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0030】
15.前記インクジェット方式が、インクジェットヘッド部に振動を与えてインク液滴を吐出することを特徴とする前記1〜14項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0031】
16.前記透明基材が、透明支持体とその上に少なくとも1層のハードコート層を有し、該ハードコート層表面に、前記微細凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該ハードコート層表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成することを特徴とする前記1〜15項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0032】
17.前記ハードコート層がハーフキュア状態で、該ハードコート層表面に前記インク液滴を出射して微細凹凸構造を形成することを特徴とする前記16項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0033】
18.前記ハードコート層表面をプラズマ処理した後、該ハードコート層表面に前記インク液滴を出射して微細凹凸構造を形成することを特徴とする前記16または17項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0034】
19.前記ハードコート層が、可塑剤を含有することを特徴とする前記16〜18項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0035】
20.前記防眩層の上に、窒素を主成分とする雰囲気下で、大気圧プラズマ処理によって金属化合物層を形成することを特徴とする前記1〜19項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
【0036】
21.前記1〜20項のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法により、透明基材上に防眩層を形成し、更に該防眩層上に大気圧プラズマ処理により金属化合物層を形成する工程を有することを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
【0037】
22.前記21項に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
【0038】
23.インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、微細凹凸構造を形成した防眩層と、該防眩層上に反射防止層を設けた防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
【0039】
24.前面板を有することを特徴とする前記23項に記載の表示装置。
25.基材上に、防眩層形成用のインクジェット吐出部と、防眩層上に金属化合物層を形成するための大気圧プラズマ処理部とを有することを特徴とする防眩性反射防止加工装置。
【0040】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上にCVD法により金属化合物層を形成することより、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩性反射防止層の形成を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。加えて、本発明の構成により、特に、反射光の色むらが少なく均一な反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを実現できたものである。
【0041】
詳しくは、CVD法が大気圧プラズマ法であること、防眩層として、微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)を0.05〜5.0μmの範囲とすること、あるいは、凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmである凸部を100μmあたり1〜50個の範囲とすることが好ましく、また、防眩性付与組成物として、活性光線硬化型樹脂あるいは熱硬化性樹脂を用いることにより、上記で規定した極めて微細な凹凸構造を実現できたものである。更に、インクジェット方式による上記インク液滴として、2種以上の組成の異なるインク液滴を用いて、屈折率の異なる凹凸構造を形成すること、あるいは2種以上の粒径の異なるインク液滴を用いること、粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成すること、あるいは、インク液滴に、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子または微小液滴を含有させることにより、本発明の目的効果をより一層発揮されることを見出したものである。
【0042】
また、本発明の防眩性反射防止層の形成方法においては、透明基材上に上記で規定する防眩層を形成する構成であり、単に透明基材上に直接防眩層を設けてもよいが、1層以上のハードコート層を有する透明基材上に設けることがより好ましい。このときのハードコート層は、防眩層の凹凸構造を形成する際に、未硬化であってもよいが、ハードコート層がハーフキュア状態(半硬化状態)で防眩層を設けることが好ましく、また、ハードコート層表面をプラズマ処理した後、防眩層を設けること、あるいはハードコート層が可塑剤を含有していることがより好ましく、このような構成とすることにより、ハードコート層と防眩層の接着性を高めることができる。
【0043】
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明に係る防眩層の詳細について説明する。
【0044】
本発明の防眩性反射防止層の形成方法は、透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成することが、1つの特徴である。
【0045】
本発明に係る微細凹凸構造の一つの形状として、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さRaが0.05〜5μmである凹凸形状をさし、好ましくはRaが0.07〜1μm、最も好ましくはRaが0.1〜0.5μmの凹凸形状である。
【0046】
本発明で規定する中心線平均粗さRaは、JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義され、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0047】
【数1】
Figure 2004279491
【0048】
中心線平均粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることができる。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、試料のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や試料と試料の間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
【0049】
また、本発明に係る微細凹凸構造の他の形状として、凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmである凸部を100μmあたり1〜50個有していることが好ましい。
【0050】
図1は、透明基材上に、インクジェット方式で凹凸構造からなる防眩層を設けた一例を示す模式図である。
【0051】
図1の(a)は、凹凸構造からなる防眩層の斜視図であり、図1の(b)は断面図である。
【0052】
図1の(b)において、透明基材1の上に1層もしくは複数からなるハードコート層2を設けた後、インクジェット方式によりインク液滴3により形成された凹凸構造を有する防眩層の一例を示してあるが、本発明で規定する凹部底を基準とした高さaとは、底部であるハードコート層表面を底部として、凹凸構造の頂部までの高さ(μm)と定義する。
【0053】
防眩層表面の微細な凹凸は、市販の触針式表面粗さ測定機あるいは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することができる。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μmの範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。
【0054】
ここで隣接する底部を基準とした高さが0.5μm〜10μmである凸部の数をカウントし、100μmの面積あたりの数で示した。測定は、防眩性反射防止フィルム1mあたり任意の10点を測定してその平均値として求める。
【0055】
本発明において、防眩層を構成する凹凸構造の形状として、図1の(b)ではコニーデ型の凸部を着弾させた一例を示しているが、本発明は上記の凹凸構造に限定されるものではない。
【0056】
図2は、防眩層を構成する他の凹凸構造の一例を示す断面図である。
図2の(a)は、球体形状で着弾させた凹凸構造の一例であり、出射するインク液滴の粘度や、インク液滴とインク着弾面との接触角を適宜調整することにより、このような形状の凹凸構造を形成することができる。本発明のインクジェット方式による凹凸構造の形成方法は、従来の塗布方式等の防眩層形成方法に比較し、任意の形状の凹凸構造を形成できることが、大きな特徴である。
【0057】
図2の(b)は、半円状の凹凸構造からなる防眩層の一例を示す断面図である。
【0058】
上記凹凸構造の配置として、上図の説明では凸部を間隔をあけて着弾させた一例を示しているが、図2の(c)に示すように、間隙を設けずに、着弾面全体を凸部で被覆した構成でもよい。
【0059】
本発明の防眩性反射防止フィルムの構成としては、透明基材上に防眩層が形成されていれば特に制限はないが、好ましくは、透明基材上に1層以上のハードコート層を設けた後、インクジェット方式により上記で規定する凹凸構造からなる防眩層を設けることが好ましい。
【0060】
次いで、本発明に係るインクジェット方式について説明する。
図3は、本発明に係るインクジェット方法に用いることのできるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
【0061】
図3(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、11は基板、12は圧電素子、13は流路板、13aはインク流路、13bは壁部、14は共通液室構成部材、14aは共通液室、15はインク供給パイプ、16はノズルプレート、16aはノズル、17は駆動用回路プリント板(PCB)、18はリード部、19は駆動電極、20は溝、21は保護板、22は流体抵抗、23、24は電極、25は上部隔壁、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材、10はインクジェットヘッドである。
【0062】
集積化されたインクジェットヘッド10において、電極23、24を有する積層された圧電素子12は、流路13aに対応して、該流路13a方向に溝加工が施され、溝20と駆動圧電素子12bと非駆動圧電素子12aに区分される。溝20には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子12には、上部隔壁25を介して流路板13が接合される。すなわち、前記上部隔壁25は、非駆動圧電素子12aと隣接する流路を隔てる壁部13bとで支持される。駆動圧電素子12bの幅は流路13aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子12bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子12bは厚み方向に変化し、上部隔壁25を介して流路13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート16のノズル16aよりインク液滴を吐出する。
【0063】
流路板13上には、伝熱部材28を介してヒータ26がそれぞれ接着されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材28は、ヒータ26からの熱を効率良く流路板13に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、したがって、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、あるいは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
【0064】
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
【0065】
図4は、本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
【0066】
図4において、図4の(a)はヘッド部の断面図、図4の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、1は透明基材、31はインク液滴、32はノズル、29は活性光線照射部である。ノズル32より噴射したインク液滴31は透明基材1方向に飛翔して付着する。透明基材1上に着弾したインク液滴は、その上流部に配置されている活性光線照射部29より、活性光線を直ちに照射され、硬化する。なお、35は透明基材1を保持するバックロールである。
【0067】
本発明においては、図4の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、千鳥状に配置することが好ましく、また、透明基材1の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。また、インク吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振動を与え、インク滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ましい。これによって、干渉縞の発生を抑制することができる。微細な振動は、高周波電圧、音波、超音波などによって与えることができるが、特にこれらに限定されない。
【0068】
本発明に用いられる防眩層の形成方法は、多ノズルからインク小液滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましく、図5に、本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す。
【0069】
図5において、図5のa)は、インクジェットヘッド10を透明基材1の幅手方向に配置し、透明基材1を搬送しながらその表面に防眩層を形成する方法(ラインヘッド方式)であり、図5のb)はインクジェットヘッド10が副走査方向に移動しながらその表面に防眩層を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図5のc)はインクジェットヘッド10が、透明基材1上の幅手方向を走査しながらその表面に防眩層を形成する方法(キャプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることができるが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。なお、図5のa)〜c)に記載の29は、インクとして後述の活性光線硬化型樹脂を用いる場合に使用する活性光線照射部である。
【0070】
また、本発明においては、図5のa)、b)、c)の透明基材の搬送方向の下流側に、別の活性光線照射部を設けてもよい。
【0071】
本発明において、微細な凹凸を形成するため、インク液滴としては0.1〜100plが好ましく、0.1〜50plがより好ましく、0.1〜10plが特に好ましい。上記条件でインク液滴を出射することにより、視認性にも優れる微細な凹凸を有する防眩性反射防止フィルムを得ることができる。
【0072】
また、インク液滴の粘度は、25℃において0.1〜100mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜50mPa・sである。
【0073】
次いで、本発明に係る防眩層を形成するインクジェット方式で用いるインクについて説明する。
【0074】
本発明に係るインクは、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有することが特徴であるが、該防眩性付与組成物としては、活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0075】
はじめに、本発明に係る活性光線硬化型樹脂について説明する。
活性光線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性光線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性光線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0076】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0077】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
【0078】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号)。
【0079】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
【0080】
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0081】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、有用に用いられるエポキシ系活性光線反応性化合物を示す。
【0082】
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0083】
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
【0084】
上記のエポキシ化合物を活性光線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
【0085】
エポキシ系活性光線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性光線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
【0086】
活性光線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性光線反応性樹脂である。
【0087】
本発明に有用な活性光線反応性エポキシ樹脂は、活性光線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
【0088】
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R(R(R(RZ〕w+〔MeXw−
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えば、I、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R、R、R、Rは同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
【0089】
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXw−の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、テトラフルオロホスフェート(PF )、テトラフルオロアンチモネート(SbF )、テトラフルオロアルセネート(AsF )、テトラクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
【0090】
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることができる。
【0091】
このようなオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
【0092】
また、エポキシアクリレート基を有する活性光線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。この活性光線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
【0093】
本発明に有用な活性光線硬化型樹脂組成物において、重合開始剤は、一般的には、活性光線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
【0094】
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することもでき、この場合、活性光線ラジカル重合開始剤と活性光線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
【0095】
また、本発明に係る防眩層には、オキセタン化合物を用いることもできる。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
【0096】
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
【0097】
本発明に係るインクには、公知の熱可塑性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダを上記記載の活性光線硬化型樹脂に混合して使用することができる。これらの樹脂は、その分子中に極性基を持っていることが好ましい。極性基としては、−COOM、−OH、−NR、−NRX、−SOM、−OSOM、−PO、−OPOM(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは水素原子、アルキル基を表す)等を挙げることができる。
【0098】
本発明に使用する上記活性光線反応性化合物を光重合または光架橋反応を開始させるには、上記活性光線反応性化合物のみでも開始するが、重合の誘導期が長かったり、重合開始が遅かったりするため、光増感剤や光開始剤を用いることが好ましく、それにより重合を早めることができる。
【0099】
本発明に係るインクが、活性光線硬化型樹脂を含有する場合、活性光線の照射時においては、光反応開始剤、光増感剤を用いることができる。
【0100】
具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系樹脂の合成に光反応剤を使用する際に、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0101】
また、活性光線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。
【0102】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0103】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(1)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0105】
【化1】
Figure 2004279491
【0106】
式中、R、R、R、R及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、RとRは閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0107】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0108】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0109】
【化2】
Figure 2004279491
【0110】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
【0111】
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
【0112】
以下に一般式(2)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0113】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0114】
また、特開2001−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支持体の面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0115】
また、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
【0116】
また、インクジェット方式により形成した防眩層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
【0117】
本発明に係るインクには、SnO、ITO、ZnO等の導電性微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の帯電防止剤を含有させることが好ましい。また、これらの化合物は、透明基材上に設ける後述のハードコート層に添加してもよい。
【0118】
この他に、インクにはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、あるいはノニオン系界面活性剤を、0.01〜5.0%程度添加することができる。
【0119】
本発明において、インクジェット方式により形成した防眩層が活性光線硬化型樹脂を含む場合、活性光線の照射方法としては、インク液滴を透明基体上に着弾させた直後、すみやかに活性光線の照射を開始することが好ましい。
【0120】
本発明でいうインク液滴を透明基体上に着弾させた直後とは、具体的にはインク液滴が着弾後0.001〜2.0秒までの間に照射を始めることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒の間である。照射光源の照射間隔が0.001秒より短いと、ノズル部と照射光源の距離が接近しすぎて、硬化反応により昇華物質によるヘッドの汚染や、照射光のインク出射部への回り込みにより、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため好ましくない。また、照射光源の照射間隔が2.0秒を超えると、着弾したインク液滴の流動、変形等により、本発明で規定する所望の凹凸構造を得ることが困難となる場合があり、注意を要する。
【0121】
上記照射時のノズル部への光の回り込みを防止するため、本発明のインクジェット方式においては、活性光源照射部をインクジェットヘッドのノズル部に直接作用させない位置に配置することが好ましく、更に、照射される活性光線が、インクジェットヘッドのノズル部に作用しないように遮光板をその間に設けることが好ましい。
【0122】
また、インク液滴が着弾した直後の活性光線の照射は、着弾したインク液滴の流動性を低下させ、所望の凹凸構造が形成できる程度に照射すればよく、ハーフキュア状態でもよい。この場合には、別途下流側に設置した活性光源を照射して、完全に硬化させることができる。このようにすることにより、インクジェットヘッドのノズル部に、活性光線が作用し目詰まりを起こすことを防止することができる。
【0123】
本発明に使用することができる活性光線としては、紫外線、電子線、γ線等で、防眩性付与組成物である活性光線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
【0124】
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0125】
本発明においては、活性線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が1%以下であることがより好ましい。
【0126】
また、本発明においては、活性光線の硬化反応を効率的に進めるため、透明基材等を加熱することもできる。加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、あるいは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、インクジェット出射部の透明支持体を挟んで反対側に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。
【0127】
加熱温度としては、使用する活性光線硬化型樹脂の種類により一概には規定できないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
【0128】
次いで、本発明に係る熱硬化性樹脂について説明する。
本発明で用いることのできる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
【0129】
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Brでブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
【0130】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0131】
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
【0132】
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
【0133】
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
【0134】
また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることができる。
【0135】
なお、本発明に係る熱硬化性樹脂からなるインクには、活性光線硬化型樹脂を含むインクに記載した酸化防止剤や紫外線吸収剤を適宜用いてもよい。
【0136】
本発明において、インクジェット方式により形成した防眩層が熱硬化性樹脂を含む場合、加熱方法としては、インク液滴を透明基体上に着弾させた直後に、加熱処理を行うことが好ましい。
【0137】
本発明でいうインク液滴を透明基体上に着弾させた直後とは、具体的にはインク液滴が着弾と同時または5秒以内に加熱が開始されることが好ましく、予め透明基材の温度を上げておくことができる。例えば、透明基材をヒートロール上に巻き付けて、これにインク液滴を着弾させることができ、より好ましくは着弾と同時または2.0秒の間である。また、ノズル部と加熱部の距離が接近しすぎて、熱がヘッド部に伝達すると、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため注意が必要である。また、加熱間隔が5.0秒を超えると、着弾したインク液滴の流動、変形等により、本発明で規定する所望の凹凸構造を得ることが困難となる。
【0138】
上記加熱時のノズル部への熱の伝達を防止するため、本発明のインクジェット方式においては、加熱部をインクジェットヘッドのノズル部に直接作用させない位置に配置することが好ましい。
【0139】
加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、あるいは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、インクジェット出射部の透明支持体を挟んで反対側に設けるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定できないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
【0140】
本発明に係るインクにおいては、防眩性付与組成物として、上述した活性光線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることができるが、好ましくは活性光線硬化型樹脂を用いることである。
【0141】
本発明に係る上記インクには、必要に応じて溶媒を含有させることができる。例えば、水系溶媒に前記活性光線硬化型樹脂モノマー成分、あるいは熱硬化性樹脂モノマー成分を溶解もしくは分散させてもよく、あるいは有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒は低沸点のものでも高沸点のものでも適宜選択して用いることができ、これらの溶媒の添加量や種類、組成はインクの粘度を調整するため適宜調整することが好ましい。
【0142】
本発明に係るインクで用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジエチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。また、分子内にエーテル結合をもつものが特に好ましく、グリコールエーテル類も好ましく用いられる。
【0143】
グリコールエーテル類としては、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されない。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルAc、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルAc、エチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることができる、なおAcはアセテートを表す。本発明に係るインクにおいては、上記溶媒の中でも、沸点が100℃未満の溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒は、インクジェットヘッドから吐出された直後から揮発され、着弾後も所望の凸形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望ましい。
【0144】
次いで、本発明におけるインクジェット方式による凹凸構造を形成する好ましい態様について説明する。
【0145】
本発明における凹凸構造を有する防眩層の好ましい形成方法の一つは、2種以上の屈折率の異なるインク液滴を出射して形成する方法である。詳しくは、硬化後の550nmにおける屈折率が0.01以上異なる2種以上のインク液滴を用いることにより、視認性に優れる防眩層が形成できるため好ましい。好ましくは屈折率差が0.01〜2.0、特に屈折率差が0.03〜1.0異なるインク滴を組み合わせることが好ましい。本発明に係るインクにおいて、上記条件を満たすための方法として、特に制限はなく、例えば、活性光線硬化型樹脂あるいは熱硬化性樹脂の種類や添加量、あるいは不揮発性有機溶媒の種類や添加量、その他の添加剤の種類や添加量を適宜調整することにより、実現することができる。
【0146】
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、2種以上の粒径の異なるインク液滴を出射して形成することが好ましく、更に好ましくは、粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成することである。
【0147】
図6は、透明基材上にインクジェット方式により、粒径の大きなインク液滴で微細構造71を形成した後、より粒径の小さなインク液滴で、更に微細な凹凸構造72を形成した一例を表す模式図である。
【0148】
図6の(a)は、比較的低粘度のインクを用いて、コニーデ型の凸部71を設けた後、その表面及び未着弾部により微小の凸部72を設けた一例であり、図6の(b)は、インク液滴と基材表面との接触角を制御し、球体状の凸部71′を設けた後、その表面及び未着弾部により微小の凸部72を設けた一例である。
【0149】
本発明において、凹凸構造を形成するインクとして粒径の異なるインク液滴を用いて形成することにより、干渉縞を生じにくくするとともに、表示装置の視認性にも優れる微細な凹凸を形成することができる。各々のインク液滴は、0.1〜100plが好ましく、0.1〜50plが更に好ましく、0.1〜10plが特に好ましい。2種以上の大きさの異なるインク液滴を用いる場合、平均粒径が最も大きい粒径のインク液滴に対し、平均粒径が最も小さな粒径のインク液滴の容量としては、0.1〜80体積%、更に好ましくは1〜60体積%、特に好ましくは3〜50体積%であることが好ましい。また、3種以上の容量が異なるインク液滴を組み合わせることがより好ましい態様である。
【0150】
また、2種以上のインク液滴を用いる場合、固形分濃度が異なる各インク液滴を用いることができる。例えば、主に後から出射する微小な液滴の固形分濃度を低く設定し、溶媒を揮発させることで、より微細な凸部を形成することができる。このように各インク液滴の固形分濃度を適宜調整することにより、微細な凹凸構造の形成や形状を容易に制御することができる。
【0151】
更に、本発明においては、異なる容量のインク滴を組み合わせて凹凸構造を形成する場合、大きなインク液滴を透明基材上に着弾させた後、より微細なインク液滴をその上に着弾させることが好ましい。大きなインク滴を着弾させて、未硬化の状態でその上により微細なインク液滴を着弾させてもよいが、本発明では、大きなインク液滴を着弾させた後、活性光線を照射すること、あるいは加熱処理を施してより完全に硬化させるか、あるいはハーフキュアの状態にした後、より微細なインク液滴をその上に着弾させることが好ましい。
【0152】
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子を含有することが好ましい。
【0153】
本発明において、インク液滴中に含有せしめることのできる微粒子としては、例えば、無機微粒子または有機微粒子を挙げることができる。
【0154】
無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
【0155】
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0156】
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0157】
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることができる。
【0158】
本発明で用いる微粒子の平均粒径は、0.001〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.005〜3μmであり、特に好ましくは0.01〜1μmである。粒径や屈折率の異なる2種以上の微粒子を含有させてもよい。
【0159】
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微小液滴を含有することが好ましい。
【0160】
本発明でいう微小液滴とは、インク液滴より小粒径で、相分離状態にあるか、あるいは乳化物の形態でインク中に液状で存在しているものが好ましく、インクの主成分とは完全に混じりあわないものであることが好ましく、また、インクが硬化した後、550nmにおける屈折率が、インク液滴媒体と0.01以上異なることが好ましい。好ましくは屈折率が0.01〜2.0異なること、特に屈折率が0.03〜1.0異なることが好ましい。
【0161】
上述したインク液滴に微粒子を用いた場合には、インクジェットヘッドの目詰まりを起こす可能性も残るが、液状物であれば目詰まりを起こしにくく特に好ましい。また、微小液滴自身も硬化性成分を含んでいることが好ましく、着弾後に硬化させることが好ましい。これらを用いることによって、より微細な凹凸や光散乱の効果が得られ、視認性の向上が期待できる。
【0162】
本発明に係る微小液滴として、金属アルコキシド又はその加水分解物あるいは部分重合物を用いることが特に好ましい。
【0163】
金属原子としては、Si、Ti、Zr等を挙げることができ、本発明で用いることのできる金属アルコキシドの具体例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のシランカップリング剤、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、テトラブチルジルコニウム、テトライソプロピルジルコニウム、テトラエトキシチタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの金属アルコキシドは、インク液滴が透明基材に着弾した後、活性光線等による硬化処理により硬化し、その種類により屈折率の異なる凹凸構造を形成することができる。
【0164】
次いで、本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法について説明する。
図7は、透明基材上のインクジェット方式により防眩層を設けて工程のフローの一例を示す模式図である。詳しくは、透明基材上にハードコート層を塗布方式で塗設した後、インクジェット方式で凹凸構造を有する防眩層を形成し、次いで、例えば、後述の図9に記載の大気圧プラズマ放電処理装置を複数用いて、複数の反射防止層を設けて防眩性反射防止フィルムを製造するフローを示してある。
【0165】
図7において、ロール501より繰り出された透明基材502は、搬送されて、第1コータステーションAで、押し出し方式の第1コータ503によりハードコート層を塗設する。このとき、ハードコート層は単層構成でも、複数から構成されている層でもよい。ハードコート層を塗設した透明基材502は、次いで乾燥ゾーン505Aで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材502の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。乾燥後、ハードコート層にバインダーとして活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、活性光線照射部506Aで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させたり、あるいは照射量や照射条件を制御してハーフキュア状態とすることもできる。活性光線照射部506Aで基材502は、20〜120℃に温度制御されたバックロールに巻いた状態で照射することもできる。
【0166】
次いで、インクジェット方式を用いた防眩層を設ける第2コータステーションBに搬送されるが、ハードコート層は、ハーフキュア状態であることが好ましい。あるいは、防眩層を形成する前にプラズマ処理部507で表面処理を施すことが好ましい。インクジェット出射部509には、インク供給タンク508が接続されており、そこからインク液が供給される。インクジェット出射部509は、図4の(b)で示すような複数のインクジェットノズルを透明基材の幅全域に千鳥状に配置し、インク液滴をハードコート層上に出射して、その表面に凹凸構造を形成する。また、2種以上のインク液滴を出射する場合には、2列以上配置したインクジェットノズルより、各々のインク液滴を出射してもよいし、あるいはランダムに任意のインクジェットノズルよりインク液滴を出射してもよい。また、インクジェット出射部を複数配置し、各々のインク出射部より異なるインク液滴を出射してもよい。本発明においては、0.1〜100pl、場合によっては0.1〜10plという微細な液滴を出射するため、インク液滴の飛翔性に対し、外気の気流の影響を受けやすくなるため、第2コータステーションB全体を、隔壁等で覆って防風処理を施すことが好ましい。また、1pl以下の極めて微細な液滴を精度高く飛翔させるため、インクジェット出射部509と透明基材502あるいはバックロール504B間に電圧を印加し、インク液滴に電荷を与えて電気的にインク液滴の飛翔安定性を補助する方法も好ましい。また、着弾したインク液滴の変形を防止するため、透明基材を冷却して着弾後のインク液滴の流動を速やかに低下させる方法を用いることも好ましい。あるいは、インク液滴が出射後、着弾するまでの飛翔中に含有する溶媒を揮発させて、インク液滴中の含有溶媒量が減少した状態で着弾させることが、より微細な凹凸構造を形成する上で好ましい。そのため、インク飛翔空間の温度を高くしたり、あるいは気圧を、1気圧以下、例えば20〜100kPaに制御する方法も好ましい。
【0167】
ハードコート層表面に着弾したインク液滴は、活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、インクジェット出射部509の直後に配置されている活性光線照射部506Bで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させる。また、インク液滴が熱硬化性樹脂を用いている場合には、加熱部510、例えば、ヒートプレートにより加熱、硬化される。また、バックロール504Bをヒートロールとして加熱する方法も好ましい。
【0168】
第2コータステーションBにおいて、活性光線照射部506Bの照射光が、インクジェット出射部509のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、活性光線照射部506Bとインクジェット出射部509とを適度な間隔で配置する、あるいは活性光線照射部506Bとインクジェット出射部509とを間に、遮光壁等を設置することが好ましい。また、加熱部510の熱が、インクジェット出射部509のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、インクジェット出射部509を保温カバーで被覆する、あるいは図7で示すように、加熱部510を透明基材502の裏面側に配置し、インクジェット出射部509に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0169】
着弾したインク液滴により形成された凹凸構造が維持できる程度に硬化処理を行った透明基材502は、乾燥ゾーン505Bで不要な有機溶媒等を蒸発させた後、更に活性光線照射部506Cで、活性光線を照射して、硬化を完了させる。
【0170】
発生光線照射部506Cの部分では、20〜120℃に温度制御されたバックロール上の透明基材502に活性光線を照射することが好ましい。
【0171】
防眩層を設けた透明基材502は、次いで、後述の図8または図9で示す構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、反射防止層が積層される。防眩層を設けた後、一端ロール状に巻き取った後、このロールから再度、防眩層を設けた基材を繰り出して、上記方法で反射防止層を設けても良いが、生産性等を考慮すると、防眩層を設ける工程と、反射防止層を設ける工程とを連続して行うことが特に好ましい。
【0172】
次に、上述した防眩層上へ、CVD法の中でも、特に好ましい大気圧プラズマ法による金属化合物層(反射防止層)の形成方法について説明する。
【0173】
本発明の防眩性反射防止フィルムにおいては、本発明に記載の効果を得るために、CVD法により複数の金属化合物層を上記の防眩層上に設けることが好ましく、特に好ましくは大気圧プラズマ法により、形成することが好ましい。金属化合物層は、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下にある電極間隙に、好ましくは窒素を主体とする反応ガスを供給してプラズマ放電処理することにより形成される。
【0174】
このプラズマ放電処理方法は、常圧プラズマ法あるいは大気圧プラズマ放電処理方法とも呼ばれている方法(以下、この大気圧またはその近傍の圧力下のプラズマ放電処理を単にプラズマ放電処理と略すことがある)で、大気圧またはその近傍の圧力下にある対向電極間の間隙に反応ガスを供給して放電することにより発生させたプラズマによって、防眩層上に薄膜を形成させるものである。本発明でいう大気圧またはその近傍の圧力とは、20〜200kPaの圧力であり、特に90〜110kPaを意味する。
【0175】
本発明の防眩性反射防止層の形成方法においては、長時間連続的に透明基材上に設けた防眩層上に金属化合物層を形成することができ、金属酸化物薄膜層のクラックの発生が少なく、更に、防眩機能、反射防止機能、鮮鋭性及び視認性に優れた防眩性反射防止層を得ることができた。
【0176】
本発明で金属化合物層を設ける場合、塗布、スパッタ、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成された金属化合物層と組み合わせて用いることも可能である。好ましくは1層以上が窒素を主成分とする雰囲気下での大気圧プラズマ処理によって形成された金属化合物層を有することであり、更に好ましくは2層以上が窒素を主成分とする雰囲気下での大気圧プラズマ処理によって形成された金属化合物層を有することである。
【0177】
本発明においては、ハードコート層と防眩層を付与した透明基材上に、金属化合物層を設けることが特に好ましい。上記構成層を有する透明基材の最上層(防眩層)に低屈折率の金属化合物層を形成し、その間に高屈折率層の金属化合物層を形成したり、更には防眩層と高屈折率層との間に更に中屈折率層(金属酸化物の量あるいは、金属の種類を変更して)を設けることは、反射率の低減のために、好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明基材の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。金属化合物層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。金属化合物層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。金属化合物層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。本発明においては、塗布によって形成された金属化合物層を併せて有しても良く、その場合は無機微粒子とバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
【0178】
金属化合物層に用いる無機微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることがさらに好ましい。無機微粒子の一次粒子の重量平均粒子径は、1nm〜150nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがさらに好ましく、1nm〜80nmであることが最も好ましい。層中での無機微粒子の重量平均粒子径は、1nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜150nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることがさらに好ましく、10nm〜80nmであることが最も好ましい。無機微粒子の平均粒径は、20nm〜30nm以上であれば光散乱法により、20nm〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。無機微粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10m/g〜400m/gであることが好ましく、20m/g〜200m/gであることがさらに好ましく、30m/g〜150m/gであることが最も好ましい。
【0179】
無機微粒子は、金属の酸化物から形成された粒子である。金属の酸化物または硫化物の例として、二酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。中でも、二酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが挙げられる。
【0180】
無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が挙げられる。なかでもアルミナおよびシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状または不定形状であることが好ましい。二種類以上の無機微粒子を金属化合物層に併用してもよい。
【0181】
金属化合物層中の無機微粒子の割合は、5体積%〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10体積%〜60体積%であり、さらに好ましくは20体積%〜55体積%である。
【0182】
無機微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、金属化合物層を形成するための塗布液に供される。無機微粒子の分散媒体としては、沸点が60℃〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノール等が特に好ましい。
【0183】
無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例えば、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが挙げられる。
【0184】
金属化合物層は、架橋構造を有するポリマー(以下、「架橋ポリマー」ともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下「ポリオレフィン」と総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエーテルおよびポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィンおよびポリエーテルの架橋物がさらに好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーが、アニオン性基を有することは、更に好ましい。アニオン性基は、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
【0185】
本発明においては、プラズマ放電処理によって金属化合物層を形成する方法が1つの特徴であり、以下に、プラズマ放電処理により金属化合物層を形成する方法を図8、9を用いて説明する。
【0186】
図8は本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0187】
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図8には図示してないが、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
【0188】
プラズマ放電処理装置110は、第1電極111と第2電極112から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極111には第1電源121からの第1の周波数ωの高周波電圧Vが印加され、また第2電極112には第2電源122からの第2の周波数ωの高周波電圧Vが印加されるようになっている。第1電源121は第2電源122より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有していればよく、また第1電源121の第1の周波数ωと第2電源122の第2の周波数ωは、ω<ωの関係にある。
【0189】
第1電極111と第1電源121との間には、第1電源121からの電流121Aが第1電極111に向かって流れるように第1フィルター123が設置されており、第1電源121からの電流121Aをアース側へと通過しにくくし、第2電源122からの電流122Aがアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0190】
また、第2電極112と第2電源122との間には、第2電源122からの電流122Aが第2電極112に向かって流れるように第2フィルター124が設置されており、第2電源122からの電流122Aをアース側へと通過しにくくし、第1電源121からの電流121Aをアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0191】
第1電極111と第2電極112との対向電極間(放電空間)113に、ここでは図示してない(後述の図9に図示してあるような)ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極111と第2電極112から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置114付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、ここでは図示してない(後述の図9に図示してあるような)電極温度調節手段から配管を経て電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の表面の温度を均等に調節することが望まれる。
【0192】
また、図8に前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。125及び126は高周波プローブであり、127及び128はオシロスコープである。
【0193】
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることが出来るので、複数回処理することで高速処理することも出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
【0194】
図9は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0195】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置130、二つの電源を有する電圧印加手段140、ガス供給手段150、電極温度調節手段160を有している装置である。
【0196】
図9は、ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との対向電極間(放電空間)132で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
【0197】
ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との間の放電空間(対向電極間)132に、ロール回転電極(第1電極)135には第1電源141から周波数ωであって高周波電圧Vを、また角筒型固定電極群(第2電極)136には第2電源42から周波数ωであって高周波電圧Vをかけるようになっている。
【0198】
ロール回転電極(第1電極)135と第1電源141との間には、第1電源141からの電流がロール回転電極(第1電極)135に向かって流れるように第1フィルター143が設置されている。該第1フィルターは第1電源141からの電流をアース側へと通過しにくくし、第2電源142からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)136と第2電源142との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター144が設置されている。第2フィルター144は、第2電源142からの電流をアース側へと通過しにくくし、第1電源141からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0199】
なお、ロール回転電極135を第2電極、また角筒型固定電極群136を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有しており、また、周波数はω<ωとなる能力を有している。
【0200】
なお、放電ガスがヘリウムまたはアルゴンを主成分とする場合は、いずれか一方の電源のみを使用して放電することもできる。
【0201】
ガス供給手段150のガス供給装置151で発生させたガスGは、流量を制御して給気口152よりプラズマ放電処理容器131内に導入する。放電空間132及びプラズマ放電処理容器131内をガスGで満たす。
【0202】
基材Fは、前工程である防眩層形成工程から搬送されて来て、ガイドロール164を経てニップロール165で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極135に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群136との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)132で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極135に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。基材Fは、ニップロール166、ガイドロール167を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0203】
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口153より排出する。図9では省略しているが、角筒型固定電極群136の間にはガスGの供給口または排ガスG′の排出口が交互に設けられている。
【0204】
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)135及び角筒型固定電極群(第2電極)136を加熱または冷却するために、電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管161を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、168及び169はプラズマ放電処理容器131と外界とを仕切る仕切板である。
【0205】
図10は、図9に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0206】
図10において、ロール電極135aは導電性の金属質母材135Aとその上に誘電体135Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて、電極表面の温度調節が行われるようになっている。即ち、放電中の電極表面の温度を制御するための媒体(水、シリコンオイル等)を循環できるようになっている。
【0207】
図11は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0208】
図11において、角筒型電極136aは、導電性の金属質母材136Aに対し、図10同様の誘電体136Bの被覆を有し、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、内部に温度制御された媒体(水、シリコンオイル等)を循環出来るようになっている。放電中の電極表面の温度調節が行えるようになっている。
【0209】
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール回転電極135に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0210】
図9に示した角筒型電極136は、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。また、角筒型電極の角は、半径1〜20mmの丸みを有していても良く、またロール電極放電面に対して略平行もしくは±10°程度以内で、傾けて配置してもよい。図8における電極111、112も同様である。
【0211】
図10及び11において、ロール電極135a及び角筒型電極136aは、それぞれ導電性の金属質母材135A及び136Aの上に誘電体135B及び136Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0212】
導電性の金属質母材135A及び136Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料等を挙げることが出来るが、後述の理由から、チタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0213】
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1nm〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5nm〜2mmである。
【0214】
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
【0215】
プラズマ放電処理容器131はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図8において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
【0216】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
Figure 2004279491
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0217】
また、第2電源(高周波電源)としては、
Figure 2004279491
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
【0218】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0219】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力は、好ましくは1W/cm〜50W/cmであり、更に好ましくは、1.2W/cm〜20W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0220】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0221】
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0222】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、更に好ましくは5×10−6/℃以下、更に好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0223】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
Figure 2004279491
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(a)または(b)および(e)〜(h)が好ましく、特に、(a)が好ましい。
【0224】
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
【0225】
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
【0226】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0227】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0228】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
【0229】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0230】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiO)を主成分として含有するものが好ましい。
【0231】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0232】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0233】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiO(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiO含有量は、XPS(X線光電子スペクトル)により誘電体層の断層を分析することにより測定できる。
【0234】
本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが好ましいが、更に好ましくは、8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化出来ること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることが出来る。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0235】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0236】
本発明に係る金属化合物層の形成方法に用いる反応ガスについて説明する。
薄膜層を形成するための反応ガスは、主に窒素を含むガスであることが好ましい。すなわち、窒素ガスが50%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは70%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは90体積%〜99.99体積%であることが望ましい。反応ガスには窒素のほかに希ガスが含有していてもよい。
【0237】
ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等であり、本発明では、ヘリウム、アルゴン等が窒素に添加されて用いられてもよい。
【0238】
窒素ガスは安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、反応ガスには薄膜を形成するための原料として、反応性ガスが添加される。該プラズマ中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、基材表面に堆積あるいは付着するなどして薄膜が形成される。
【0239】
更に、反応ガス中に酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化窒素、水、過酸化水素、オゾン等を0.1体積%〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することができる。
【0240】
本発明に有用な反応ガスは、様々な物質の原料ガスを添加したものを用いることによって、様々な機能を持った薄膜を透明基材上に形成することができる。ここでいう原料ガスとはプラズマ処理により薄膜を形成するためのガスであり、金属化合物層を形成する場合、金属化合物のガスを意味する。
本発明に有用な原料ガスとしての有機金属化合物としては、特に限定されないが、Al、As、Au、B、Bi、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Se、Si、Sn、Ti、Zr、Y、V、W、Zn,Ta等の金属酸化物を形成するための金属化合物を挙げることができる。
【0241】
例えば、Ti、Zr、In、Sn、Zn、Ge、Si、Taあるいはその他の金属を含有する有機金属化合物、金属水素化合物、金属ハロゲン化物、金属錯体を用いて、これらの金属化合物層(金属酸化物層、金属酸化物窒化物層も含む)または金属窒化物層等を形成することができ、これらの層は反射防止層の中屈折率層または高屈折率層としたり、あるいは導電層または帯電防止層とすることもできる。
【0242】
また、フッ素含有有機化合物で防汚層や低屈折率層を形成することもでき、珪素化合物でガスバリア層や低屈折率層あるいは防汚層を形成することもできる。本発明は、高、中屈折率層と低屈折率層を交互に多層を積層して形成される反射防止層の形成に特に好ましく用いられる。
【0243】
本発明において、反応性ガスとして有機金属化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により透明基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の原料ガスとしての金属化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0244】
原料ガスについてさらに詳細に説明する。
反射防止層の高屈折率層を形成するには、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラジメチルアミノチタンなどの有機アミノ金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタルなどの金属アルコキシドなどを挙げることができ、これらを用いて金属化合物層を形成することができる。
【0245】
亜鉛化合物としては、ジンクアセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛などがあげられ、錫化合物としては、テトラエチルスズ、テトラメチルスズ、二酢酸ジ−n−ブチルすず、ビス(2−エチルヘキサン酸)ジブチルすず、二酢酸ジブチルすず、酸化ジブチルすず、二ラウリン酸ジブチルすず、テトラメチルすず、テトラエチルすず、テトラブチルすず、テトラプロピルすず、テトラオクチルすず等の有機錫化合物が好ましく用いられ、インジウム化合物としてはトリエチルインジウム、トリメチルインジウムなどが好ましく用いられる。
【0246】
大気圧プラズマ処理では原料ガスにフッ素含有有機化合物を用いることでフッ素化合物含有層を形成することもできる。
【0247】
フッ素含有有機化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。
【0248】
具体的には、フッ素含有有機化合物としては、例えば、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;
二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物、アルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体等を挙げることができる。
【0249】
これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等の各ガスを挙げることができる。
【0250】
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0251】
また、これらの化合物は分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。また、上記の化合物は混合して用いても良い。
【0252】
本発明に有用な反応性ガスにフッ素含有有機化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により透明基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしてのフッ素含有有機化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいく、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0253】
また、本発明に好ましく用いられるフッ素含有、有機化合物が常温常圧で気体である場合は、反応性ガスの成分としてそのまま使用できる。
【0254】
また、フッ素含有有機化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0255】
本発明に有用な反応性ガスとしての珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シラン、四フッ化珪素などの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、などのアルコキシシラン、オルガノシラン等、3,3,3−トリフルオロメチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類を用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0256】
また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。あるいは別の有機化合物を添加して膜の物性を変化あるいは制御することもできる。
【0257】
また、珪素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物等の金属化合物を放電部へ導入するには、両者は常温常圧で気体、液体または固体いずれの状態であっても使用し得る。
【0258】
気体の場合は、そのまま放電部に導入できるが、液体や固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の気化手段により気化させて使用することができる。この目的のため、市販の気化器が好ましく用いられる。
【0259】
珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなどのように常温で液体で、且つ、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが本発明の金属酸化物薄膜層の形成する方法に好適である。上記金属アルコキシドは、有機溶媒によって希釈して使用しても良く、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、アセトンなどの有機溶媒またはこれらの混合有機溶媒を使用することができる。
【0260】
表1、表2に好ましい反応ガス組成の一例を示すが、これらのみに限定されない。
【0261】
【表1】
Figure 2004279491
【0262】
【表2】
Figure 2004279491
【0263】
これらはあらかじめ調整されたガスとして放電部に供給してもよいし、放電部近傍で2種以上のガスを混合して下記ガス組成としてもよい。水素、酸素等の添加ガスはあらかじめ窒素もしくは希ガスなどによって希釈されたものを放電空間に導入することが、連続製膜の際に薄膜の物性が安定するため好ましい。
【0264】
また、反応ガスは室温〜200℃に加温して放電部に供給されることが好ましく、更に好ましくは50〜150℃であり、更に好ましくは70〜120℃であり、特に90〜110℃であることが好ましい。温度が高いほど得られる金属化合物層が緻密で、硬度に優れた膜が得られるが高すぎると基材が変形することがある。
【0265】
供給ガスの温度は一定であることが、連続製膜において、膜厚や膜質を安定するために好ましく、温度変動は±10℃以内であることが好ましく、±5℃以内であることが更に好ましく、±1℃以内であることが更に好ましく±0.1℃以内であることが特に好ましい。また、幅手方向でのバラツキも同様に少ないことが好ましい。
【0266】
供給ガスの供給量も一定であることが好ましい。放電部へのガス供給量としては、反応ガス供給量(ml/秒)/放電空間の容積(ml)に対して、10−2〜10(1/秒)とすることができ、適宜調整される。
【0267】
以上の方法により酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等の非晶性の金属酸化物層を好ましく作製することができる。また、これらの非晶性の金属酸化物層は熱処理により、あるいはレーザーなどのエネルギーを与えることによって結晶化させることもできる。
【0268】
本発明に係る金属化合物層の膜厚としては、1nm〜1000nmの範囲のものが好ましく得られる。
【0269】
本発明の防眩性反射防止フィルムは、例えば、防眩層上に低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層を有する防眩性反射防止フィルム、または導電層、帯電防止層を有する防眩性反射防止フィルム等に好ましく用いることができる。
【0270】
本発明において、プラズマ放電装置を複数設けることによって、多層の薄膜を連続的に設けることができ、薄膜のムラもなく多層の積層体を形成することができる。複数の層を1パスで連続的に形成するためには、各層が所定の薄膜形成速度となるように調整されることが必要である。そのため、各層形成後膜厚を測定するか、反射スペクトルを測定し、その結果に基づいて薄膜形成速度をフィードバック制御することが好ましい。これによって、一定の速度で搬送される基材フィルム上に異なる組成あるいは異なる膜厚の薄膜を1パスで連続的に形成することができる。各層の薄膜形成速度を制御する方法としては、特に限定はないが、放電の印加電圧、電流、周波数、パルス条件等の放電条件、反応ガス中の各成分の比率(窒素濃度、酸素あるいは水素等の添加ガス濃度、種類、原料ガス濃度)、反応ガス供給量、電極間距離、放電部の気圧、基材温度、電極温度、反応ガス温度、放電部の温度、放電面積の変更等があげられるが、これらのみに限定されるものではない。これらの1つ以上の条件を適宜組み合わせることによって、製膜される薄膜の膜質を大きく変えることなく、薄膜形成速度を制御することができる。
【0271】
例えば、透明基材にインクジェット方式により設けた防眩層上に反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.3の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を防眩層表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0272】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された金属化合物層、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルを有する層が好ましい。
【0273】
大気圧プラズマ処理により、図1、図2(a)〜(c)、図6(a)、(b)で示されているような微細な凹凸形状を有する防眩層上に均一な膜厚の金属化合物層を形成することができる。
【0274】
本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にアルキル基を有するシラン化合物またはフッ素含有有機化合物ガス存在下で大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理して防汚層を設けてもよい。あるいは公知の防汚層、例えば、フルオロアルキルシラン等含む組成物を塗設することもでき、好ましくは純水の接触角が90°以上の防汚層(膜厚1〜10nm)を表面に有する。
【0275】
上記の方法により、本発明においては、多層の薄膜を積層することができ、各層の膜厚むらもなく、均一な光学フィルムを得ることができる。
【0276】
金属化合物層等の薄膜の膜厚は、積層体の断面を作製し、透過電子顕微鏡(Transmission Electoron Microscope:以下、TEMと称す)で観察を行うことによって求めることができる。
【0277】
断面の作製は、具体的には積層体を基材と共に電子顕微鏡観察前処理用のエポキシ包埋樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて、厚さ約80nmの超薄切片を作製するか、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いて、積層体表面にGaイオンビームを集束走査し、厚さ約100nmの薄片化した断面を切り出すことで作製することができる。
【0278】
TEMによる観察は倍率として50,000〜500,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに記録する。
【0279】
TEMの加速電圧としては、80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0280】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)、「電子顕微鏡Q&A」(アグネ承風社)をそれぞれ参考にすることができる。
【0281】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行なうことが好ましい。
【0282】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にでき、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なものであれば特に限定はされないが、一例としてMEDIA CYBERNETICS社(USA)製画像解析ソフトImage−Pro PLUSが挙げられる。
【0283】
画像処理を行なうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって、積層体界面に相当する箇所を抽出し、界面間の幅(Thickness)を計測する。
【0284】
同様にして少なくとも25箇所以上好ましくは50箇所以上について求めた値から平均膜厚及びその変動を算出することができる。
【0285】
次いで、本発明で用いることのできる透明基材について説明する。
本発明に係る透明基材としては、製造が容易であること、防眩層、または反射防止層等との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
【0286】
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
【0287】
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマー系フィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)が好ましく、本発明においては、特にセルロースエステルフィルム(例えば、コニカタック 製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW、KC5UN(コニカ(株)製))が、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
【0288】
透明基材の光学特性としては膜厚方向のリターデーションRが0nm〜300nm、面内方向のリターデーションRが0nm〜1000nmのものが好ましく用いられる。
【0289】
本発明においては、透明基材としてはセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0290】
特にアセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとしたとき、XとYが下記の範囲にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを有する透明基材上に防眩層と反射防止層を設けた防眩性反射防止フィルムが好ましい。
【0291】
2.3≦X+Y≦3.0
0.1≦Y≦1.2
特に、2.5≦X+Y≦2.85
0.3≦Y≦1.2であることが好ましい。
【0292】
本発明に係る透明基材として、セルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
【0293】
アシル化剤が酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することができる。また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
【0294】
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
【0295】
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0296】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
【0297】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0298】
以下、流延製膜法による支持体の作製方法について説明する。
これらセルロースエステルは、後述するように一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されることが好ましい。
【0299】
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0300】
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
【0301】
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド、酢酸メチルが好ましく用いられ、特にメチレンクロライドが全有機溶媒に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。
【0302】
上記有機溶媒の他に、0.1質量%〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
【0303】
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0304】
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70質量%〜95質量%に対してエタノール5質量%〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
【0305】
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは少なくとも幅手方向に延伸されたものが好ましく、特に溶液流延工程で剥離残溶量が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向に1.01倍〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、剥離残溶量が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向及び長手方向に、各々1.01倍〜1.5倍に延伸されることが望ましい。こうすることによって、視認性に優れた防眩性低反射フィルムを得ることが出来る。更に、2軸延伸し、後述のナーリング加工をすることによって、長尺状防眩性反射防止フィルムのロール状での保管中の巻き形状の劣化を著しく改善することができる。
【0306】
このときの延伸倍率としては1.01倍〜1.5倍が好ましく、特に好ましくは、1.03倍〜1.45倍である。
【0307】
更に好ましくは後述する裏面側の突起の数が所定範囲内に調整することにより、ロール状の防眩性反射防止フィルムの保管安定性の向上効果が得られる。
【0308】
本発明においては、二軸延伸されたセルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
【0309】
本発明に係るセルロースエステルフィルム支持体は、その厚さが10μm〜100μmのものが好ましく、透湿性は、200g/m・24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは、10〜180g/m・24時間以下であり、特に好ましくは、160g/m・24時間以下である。特には、膜厚10μm〜60μmで透湿性が上記範囲内であることが好ましい。
【0310】
ここで、支持体の透湿性は、JIS Z 0208に記載の方法に従い、各試料の透湿性を測定することができる。
【0311】
本発明においては、長尺フィルムを用いることができ、具体的には、幅1〜2m、長さ100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。更に、上記の長尺フィルムは下記に記載のナーリング加工を施すことがこのましい。ここで、ナーリング加工について説明する。
【0312】
本発明では、上記の長尺フィルムの幅方向の両端に凹凸を付与して端部を嵩高くするいわゆるナーリング加工が施されていることが好ましい。ここで、ナーリング高さとは、下記のように定義される。
【0313】
ナーリング高さ(a:μm)のフィルム膜厚(d:μm)に対する比率X(%)=(a/d)×100
本発明においては、X=1〜25%の範囲であることが好ましく、5%〜20%が更に好ましく、10%〜15%が特に好ましい。
【0314】
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
【0315】
本発明の防眩性反射防止フィルムの支持体にセルロースエステルフィルムを用いる場合、後述のハードコート層で用いるのと同様の可塑剤を含有するのが好ましい。
【0316】
これらの可塑剤は単独または2種以上を併用するのが好ましい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1質量%〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3質量%〜13質量%である。
【0317】
本発明に係る支持体に用いられる紫外線吸収剤について説明する。防眩性低反射フィルム用の支持体には、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0318】
本発明の防眩性反射防止フィルム用の支持体には、前述のインクにおいて詳述するのと同様の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0319】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0320】
また、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには滑り性を付与するため、インクで記載したのと同様の微粒子を用いることができる。
【0321】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムに添加される微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成してセルロースエステルフィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることが出来る。
【0322】
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
【0323】
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
【0324】
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
【0325】
上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
【0326】
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
【0327】
《調製方法A》
溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0328】
《調製方法B》
溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0329】
《調製方法C》
溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0330】
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
【0331】
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶媒などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がさらに好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0332】
使用される溶媒は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
【0333】
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01質量部〜0.5質量部が好ましく、0.05質量部〜0.3質量部がさらに好ましく、0.08質量部〜0.2質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
【0334】
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。
【0335】
メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどがあげられる。
【0336】
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
【0337】
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0338】
また、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
【0339】
又、ロール状に巻き取られた後、出荷されるまでの間、汚れや静電気によるゴミ付着等から製品を保護するために通常、包装加工がなされる。この包装材料については、上記目的が果たせれば特に限定されないが、フィルムからの残留溶媒の揮発を妨げないものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、紙、各種不織布等が挙げられる。繊維がメッシュクロス状になったものは、より好ましく用いられる。
【0340】
本発明に係るセルロースエステルフィルムは複数のドープを用いた共流延法等による多層構成を有するものであってもよい。
【0341】
共流延とは、異なったダイを通じて2層または3層構成にする逐次多層流延方法、2つまたは3つのスリットを有するダイ内で合流させ2層または3層構成にする同時多層流延方法、逐次多層流延と同時多層流延を組み合わせた多層流延方法のいずれであっても良い。
【0342】
本発明で用いられるセルロースエステルはフィルムにしたときの輝点異物が少ないものが、支持体として好ましく用いられる。本発明において、輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面からセルロースエステルフィルムを観察したときに、光源の光がもれて見える点のことである。
【0343】
このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物の発生は、セルロースエステルに含まれる未酢化のセルロースがその原因の1つと考えられ、対策としては、未酢化のセルロース量の少ないセルロースエステルを用いることや、また、セルロースエステルを溶解したドープ液の濾過等により、除去、低減が可能である。又、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向がある。
【0344】
輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上のものが200個/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm以下、50個/cm以下、30個/cm以下、10個/cm以下であることが好ましいが、特に好ましくは、0であることである。
【0345】
又、0.005mm〜0.01mmの輝点についても200個/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm以下、50個/cm以下、30個/cm以下、10個/cm以下であることが好ましいが、特に好ましいのは、輝点が0の場合である。0.005mm以下の輝点についても少ないものが好ましい。
【0346】
輝点異物を濾過によって除去する場合、セルロースエステルを単独で溶解させたものを濾過するよりも可塑剤を添加混合した組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、セラミックス、金属等も好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく、更に好ましくは、30μm以下、10μm以下であるが、特に好ましくは、5μm以下のものである。
【0347】
これらは、適宜組み合わせて使用することもできる。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
【0348】
次いで、本発明の防眩性反射防止フィルムの他の構成要素について説明する。
本発明の防眩性反射防止フィルムにおいては、透明基材上に直接インクジェット方式により防眩層を形成すること特徴であるが、より好ましくは1層以上のハードコート層を形成した後、そのハードコート層表面上に凹凸構造からなる防眩層を形成することが好ましい。
【0349】
ハードコート層には、インクで用いたのと同様の熱硬化性樹脂または活性線硬化型樹脂を好ましく用いることができるが、特に紫外線硬化樹脂が好ましい。また、ハードコート層の形成に際しては、上記各樹脂の他に、インクで記載したのと同様な光反応開始剤、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機微粒子、有機微粒子等を適宜添加することができる。
【0350】
また、本発明においては、ハードコート層は複数層で構成されてもよいが、インク液滴を着弾させるハードコート層の最表層が、可塑剤を含有していることが好ましい。
【0351】
ハードコート層で用いることのできる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
【0352】
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
【0353】
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0354】
特に、特願2000−338883記載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の添加物を有するセルロースエステルも好ましく用いられる。
【0355】
上記化合物としては、KE−604とKE−610は荒川化学工業(株)からそれぞれ酸価237と170で市販されている。同じく、荒川化学工業(株)からアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物のエステル化物として、KE−100及びKE−356が、それぞれの酸価は8と0で市販されている。また、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物は、播磨化成(株)からそれぞれの酸価167、168のG−7及びハートールR−Xで市販されている。
【0356】
また、エポキシ樹脂としては、アラルダイドEPN1179及びアラルダイドAER260は旭チバ(株)から市販されている。
【0357】
ケトン樹脂としては、ハイラック110及びハイラック110Hは日立化成(株)から市販されている。
【0358】
パラトルエンスルホンアミド樹脂としては、トップラーとして、フジアミドケミカル(株)から市販されている。
【0359】
防眩層を形成するインク液滴を着弾させるハードコート層最表層には、可塑剤が0.1〜10質量%を含有することが好ましい。たとえば前記ハードコート層の塗布組成物にあらかじめ可塑剤を添加することが好ましく、あるいはハードコート層を塗設前にあらかじめ基材表面に可塑剤を塗布もしくは付着させておくこともできる。これらによって、硬化後のインク滴の密着性が改善される。
【0360】
本発明に係るハードコート層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0361】
上記説明した組成からなるハードコート層組成物塗布液を透明基材上に塗布する方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で5μm〜30μmが適当で、好ましくは10μm〜20μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分が好ましい。また、乾燥膜厚保としては、1〜10μmが好ましい。
【0362】
ハードコート層組成物は塗布乾燥された後、インクの硬化と同様の方法で、紫外線や電子線等の活性光線を照射したり、あるいは加熱処理により硬化されることが好ましいが、前記活性光線の照射時間は0.1秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、0.1〜10秒である。
【0363】
本発明においては、上記方法で透明基材上に塗布したハードコート層が未硬化の状態、あるいは完全に硬化が終了した後のいずれの時期で、インクジェット方式により、防眩層を形成するインク液滴を着弾させてもよいが、好ましくはハードコート層が硬化した後にインクジェット方式により、インク液滴を着弾させて凹凸構造を形成することが好ましく、特に好ましくはハードコート層がハーフキュア(半硬化状態)のときにインク液滴を着弾させて凹凸構造を形成させることが、微細な凹凸が形成しやすく、かつ生産性にも優れるため好ましく、更に、凹凸構造部とハードコート層表面との密着性を向上することができる。
【0364】
また、上記方法で透明基材上に塗布したハードコート層表面に、防眩層を形成するインク液滴を着弾する前に、プラズマ処理を施すことが、より微細な凹凸構造を形成することができるため好ましい。特に、大気圧プラズマ処理を施すことが好ましく、ヘリウム、アルゴン等の希ガスもしくは窒素、空気などの放電ガスと必要に応じて、酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、水蒸気、メタン、4フッ化メタンなどを1種以上含有する反応ガスによって表面改質することができ、例えば、特開2000−356714号公報に記載の方法を参考にして、ハードコート層表面に、プラズマ処理を施すことができる。
【0365】
また、本発明の防眩性反射防止フィルムにおいては、必要に応じて、汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に、さらに防汚層を設けることも好ましい。防汚層としては、有機シラン化合物、含フッ素有機シラン化合物が好ましく用いられる。
【0366】
以上のようにして作製した防眩性反射防止フィルムは、偏光板保護フィルムとして好ましく用いることができ、偏光子の少なくとも片側に積層し、貼合されて偏光板とすることができ、あるいは有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置の前面板としても有用である。
【0367】
本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板、それを用いた表示装置について説明する。
【0368】
偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。これらは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
【0369】
偏光板は、こうして得られた偏光子と本発明の防眩性反射防止フィルムと貼合して得られる。あるいは、防眩性反射防止フィルムに塗布することにより偏光子を設けてもよい。
【0370】
本発明に係る偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の防眩性反射防止フィルムをアルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。上記記載のアルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理を示す。このとき、反射防止層の表面には再剥離性の保護フィルム(例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、またはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂製)を設けることにより、アルカリや汚れから保護することができる。
【0371】
本発明の防眩性反射防止フィルムを一方の偏光板保護フィルムとして用いた場合、もう一方の偏光板保護フィルムには、光学補償機能を持たせることができる。例えば、直接または配向層を介して、液晶(ディスコチック液晶、棒状液晶)を塗布して配向、固定化した光学異方層(例えば、ハイブリッド配向で固定化した層)を設け、これを偏光板保護フィルムとして用いて視野角拡大効果を有する偏光板を作製することもできる。
【0372】
又、必要に応じて、反射防止層の表面に防汚性を持たせるかあるいは防汚層を設けることができる。防汚層としてはシリコーン系あるいはフッ素系の公知の化合物を用いた膜厚が1〜30nmの層が好ましく用いられる。
【0373】
代表的な偏光板の構成を、以下に示す。
防汚層/反射防止層/防眩層/セルロースエステルフィルム/偏光子/セルロースエステルフィルム/配向層/光学異方層(液晶セル側)
この様にして得られた偏光板は、液晶セルの一方の面もしくは、両面に設けてもよい。本発明の防眩性反射防止フィルムは、反射防止層が外側を向くように液晶セルに貼りつけ、表示装置が得られる。本発明の防眩性反射防止フィルムを用いることによって、高精細でありながら視認性に優れた表示装置を提供することができる。
【0374】
また、本発明の表示装置においては、前面板を有することが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムにおいては、表面の凹凸と内部ヘイズとを個別に調整することが可能となり、高精細で視認性に優れた防眩性反射防止層を提供することができる。また、微粒子を用いることなく所望の防眩機能を付与することができるため、防眩層内部の不要な散乱によるコントラストの低下を抑制することができる。例えば、使用環境や目的によって防眩機能をなくしたりあるいは強めたりするという要望がある。そのため、着脱可能な前面板を設け、その前面の表面加工をクリアハードコート+反射防止、防眩加工+反射防止と切り替えることも可能である。特に、防眩層を表面に有する表示装置の前面に、クリアハードコート+反射防止の前面板を設置することで、よりコントラストの高い映像を鑑賞することができ、写りこみが気になる場合は、前面板をはずすだけで防眩層が最表面となり、写りこみの影響を低減させることができる。このとき、表示装置表面側に設けた防眩層が、主に微粒子の添加によって形成された従来の防眩層である場合には、含まれている多量の微粒子による内部散乱によってコントラストが低下し、前面板を設ける効果を損ねていた。本発明の防眩性反射防止層は、防眩層中の微粒子添加量が少ないか、添加することなく防眩機能を付与することが可能であり、前面板を設ける表示装置に用いることによってコントラスト重視と写りこみ防止重視を切り替えて使用することができ、その際に優れた視認性を提供できるものである。本発明の表示装置は、特に着脱可能な前面板を設ける場合に適しており、写りこみ防止を優先する場合は本発明の防眩性反射防止層が表面にくるようにしてそのまま使用し、画質、特にコントラスト優先の場合は、クリアハードコート層の上に反射防止加工されている前面板をさらに設置することができる。インクジェット方式により形成した防眩層は、防眩層中の微粒子添加量が少ないか、含まないため、内部散乱によるコントラスト低下が著しく低減され、優れた表示性能が得られる。又、前面板を設ける際の生じる干渉縞の発生もない。
【0375】
また、本発明の防眩性反射防止フィルムは、前面板と組み合わせることによって、使用環境に応じて最適な視認性を選択できる。写りこみ防止を重視する場合は、前面板をはずし、写りこみが問題ないときはコントラスト重視のため前面板を使用するといった使い方ができる利点を有している。
【0376】
図12は、表示装置上への前面板の装着状態を示す概念図であり、図13は表示装置上へ前面板の装着したときの断面図である。
【0377】
図12において、Aは表示装置、Bは前面板であり、図12のa)は前面板Bを表示装置Aに装着する前の状態を示し、図12のb)は装着した状態を示す。
【0378】
また、図13において、表示装置Aは表面に本発明の防眩性反射防止フィルムDを有し、前面板Bは、透明基材E、例えば、アクリル板の両面に、反射防止層Fを設けたものである。
【0379】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明の構成と効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0380】
実施例1
《透明基材の作製》
下記のように各種添加液、各種ドープを調製して、透明基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0381】
(セルロースエステルフィルムの作製)
〈酸化けい素分散液Aの調製〉
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
以上をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行い、酸化けい素分散液Aを調製した。
【0382】
〈添加液Bの調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 6kg
メチレンクロライド 140kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化けい素分散液Aを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Bを調製した。
【0383】
〈ドープCの調製〉
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 100kg
トリフェニルホスフェート 10kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶媒を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液に添加液Bを3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で10分間混合し、濾過し、ドープCを調製した。
【0384】
ドープCを濾過した後、ベルト流延装置を用い、35℃のドープを35℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、支持体上で乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からフィルムを剥離した。このときのフィルムの残留溶媒量は80%であった。ステンレスバンド支持体から剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで1分間乾燥させた後、2軸延伸テンターを用いて、残留溶媒量3〜10質量%であるときに100℃の雰囲気下で長手方向に1.03倍、幅方向に1.1倍に延伸し、幅把持を解放して、多数のロールで搬送させながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施して、膜厚60μmのセルロースエステルフィルムを作製した。
【0385】
《防眩性反射防止フィルム1の作製》
〔ハードコート層の塗布〕
セルロースエステルフィルムの一方の面に、下記のハードコート層塗布組成物をダイコーターで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、続いて活性光線照射部より115mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの中心線平均表面粗さ(Ra)12nmのハードコート層を設けた。
【0386】
〈ハードコート層塗布組成物〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分20質量部
ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
〔反射防止層1の形成〕
上記の様にして形成したハードコート層上に、下記のようにして中屈折率層、高屈折率層、次いで、低屈折率層の順に反射防止層1を塗設して、防眩性反射防止フィルム1を作製した。
【0387】
(中屈折率層の形成)
セルロースエステルフィルムのハードコート層上に、下記中屈折率層組成物をダイコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さが78nmとなるように中屈折率層を設けた。なお、この中屈折率層の屈折率は1.70であった。
【0388】
〈中屈折率層組成物〉
イソプロピルアルコール 510質量部
水 2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 227質量部
メチルエチルケトン 84質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 39質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 6質量部
5%アクリル樹脂溶液(三菱レーヨン(株)製、ダイヤナールBR−102、
溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解) 31質量部
10%シリコーンオイル(信越化学工業(株)社製KF−96−1,000C
S、溶媒:メチルエチルケトン) 1.5質量部
(高屈折率層の形成)
上記中屈折率層上に、下記の高屈折率層組成物をダイコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さが66nmとなるように高屈折率層を設けた。尚、この高屈折率層の屈折率は1.85であった。
【0389】
〈高屈折率層組成物〉
イソプロピルアルコール 445質量部
水 1.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 223質量部
メチルエチルケトン 73質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 545質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 0.8質量部
10%シリコーンオイル(信越化学工業(株)社製KF−96−1,000C
S、溶媒:メチルエチルケトン) 1.4質量部
(低屈折率層の形成)
上記高屈折率層上に、下記の低屈折率層組成物をダイコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、さらに紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設けた。尚、この低屈折率層の屈折率は1.45であった。
【0390】
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン580gとエタノール1144gを混合し、これにクエン酸水溶液(クエン酸1水和物5.4gを水272gに溶解したもの)を添加した後に、室温(25℃)にて1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
【0391】
〈低屈折率層組成物〉
プロピレングリコールモノメチルエーテル 303質量部
イソプロピルアルコール 305質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 139質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 1.6質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 1.3質量部
《防眩性反射防止フィルム2の作製》
上記作製した防眩性反射防止フィルム1において、ハードコート層を塗設した後、下記の防眩層1を塗布方式で用いて形成し、次いで上記反射防止層1を設けた以外は同様にして防眩性反射防止フィルム2を作製した。
【0392】
〔防眩層1の塗布〕
ハードコート層上に、下記の防眩層塗布組成物をダイコーターで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、続いて活性光線照射部より115mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの防眩層1を設けた。
【0393】
〈防眩層1塗布組成物〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分20質量部
合成シリカ粒子(平均粒径1.8μm) 8質量部
ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
《防眩性反射防止フィルム3の作製》
上記作製した防眩性反射防止フィルム1において、ハードコート層を塗設した後、下記の防眩層2をインクジェット方式で形成し、次いで上記反射防止層1を設けた以外は同様にして防眩性反射防止フィルム3を作製した。
【0394】
〔防眩層2の形成〕
ハードコート層上に、下記の防眩層インク液1をインクジェット方式によりインク液滴として1plで出射し、0.2秒後に活性光線照射部より100mJ/cmの照射強度で紫外線照射して硬化させた後、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、更に100mJ/cmの照射強度で紫外線照射して、中心線平均粗さRaが1μm、凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmである凸部を100μmあたり1個有している防眩層2を形成した。
【0395】
〈インクジェット出射方法〉
インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図4の(a))を使用し、ノズル径が3.5μmのノズルを所定数有するインクジェットヘッドを10基を準備した。インクジェットヘッドは図3に記載の構成のものを使用した。
【0396】
インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。
【0397】
〈防眩層インク液1の組成〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(ジメトキシベンゾフェノン) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
メチルエチルケトン 100質量部
《防眩性反射防止フィルム4の作製》
上記作製した防眩性反射防止フィルム3において、反射防止層1に代えて、反射防止層2を大気圧プラズマ処理装置を用いて設けた以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム4を作製した。
【0398】
〔反射防止層2の形成〕
下記の大気圧プラズマ放電処理装置により、上記防眩層2上に下記の特性からなる高屈折率層1、低屈折率層1、高屈折率層2、低屈折率層2に順に設けて反射防止層2を形成した。
【0399】
高屈折率層1:チタン酸化物層 膜厚23nm 屈折率2.00
低屈折率層1:珪素酸化物層 膜厚29nm 屈折率1.46
高屈折率層2:チタン酸化物層 膜厚77nm 屈折率2.00
低屈折率層2:珪素酸化物層 膜厚95nm 屈折率1.46
〔大気圧プラズマ放電処理装置〕
図9に示した大気圧プラズマ放電処理装置において、誘電体で被覆したロール電極及び同様に誘電体で被覆した複数の角筒型電極のセットを以下のように作製した。
【0400】
各層毎に、各1台のプラズマ放電処理装置を使用し、これらを連結して1パスで各層を連続して形成させた。
【0401】
第1電極となるロール電極(図10)は、冷媒を循環させることによる電極表面温度の制御手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、アルミナ溶射膜を被覆し、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax1μmとなるように加工した。最終的な誘電体の膜厚は1mm、誘電体の比誘電率は10であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は1.7×10−4で、耐熱温度は260℃であった。ロール電極には電極表面温度を制御するための温度制御された冷媒を循環できるようにし、80℃の温水を供給し、電極温度を制御した。
【0402】
一方、第2電極の角筒型電極(図11)は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。この角筒型電極の誘電体については上記ロール電極のものと同じである。角筒型電極内部にはそれぞれ電極表面温度を制御するための温度制御された冷媒を循環できるようにし90℃の温水を供給し、電極温度を制御した。
【0403】
このロール電極のまわりに角筒型電極を配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、130cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×最大20本(電極の数)であった。
【0404】
ロール電極のまわりに配置した複数の角筒型固定電極の間隙より、反応ガスの導入と使用済みガスの排気を交互に行った。1つの間隙に対して下記の流量で窒素を主成分とする反応ガスを導入した。
【0405】
大気圧プラズマ放電処理装置には、固定電極(角筒型電極)側に、連続周波数13.56MHz、電界強度0.8kV/mm(1/2Vp−p)の高周波電圧(パール工業社製高周波電源 CF−5000−13M)を供給し、ロール電極側には、連続周波数100kHz、電界強度10kV/mm(1/2Vp−p)の高周波電圧(ハイデン研究所製高周波電源 PHK−6k 連続モード)を供給した。また、ロール電極は、ドライブを用いて防眩層を有するフィルムの搬送に同期して回転させた。
【0406】
ここでいう高周波の電界強度(印加電界強度 1/2Vp−p)とは、下記の方法に従って求めることができる。すなわち、高周波電界強度(単位:kV/m))は、各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、この高周波プローブをオシロスコープ(例えば、Tektronix社製 TDS3012B)に接続して測定した。
【0407】
なお、固定電極とロール電極の間隙は0.5mm、反応ガスの圧力は大気圧下で行った。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。尚、反応ガス中の液体成分は気化器によって蒸気とし、ガス供給系の配管は原料ガスが凝結するのを防止するため保温しながらロール電極のまわりに配置された隣接する角筒型電極の間隙(1mm)より放電部に供給し、1箇所の間隙あたり下記に示したガスの割合で放電部に供給した。
【0408】
〈放電条件〉
ロール電極側:100kHz 10W/cm
固定電極(角筒型電極)側:13.56MHz 5W/cm
〈低屈折層形成用の反応ガス組成〉
窒素:300L/min
酸素:15L/min
テトラエトキシシラン(蒸気):0.3g/min(リンテック社製の気化器にて気化させた)
ガス温度:90〜100℃
〈高屈折率層形成用の反応ガス組成〉
窒素:300L/min
水素:2L/min
テトライソプロポキシチタン(蒸気):0.2g/min(リンテック社製の気化器にて気化させた)
ガス温度:90〜100℃
《防眩性反射防止フィルム5〜10の作製》
上記防眩性反射防止フィルム4の作製において、防眩層インク液の種類(上記防眩層インク液1及び下記の防眩層インク液2、3)及びインク液滴量を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム5〜10を作製した。
【0409】
〈防眩層インク液2の組成〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(ジメトキシベンゾフェノン) 4質量部
アセトン 900質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
酢酸エチル 10質量部
〈防眩層インク液3の組成〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(ジメトキシベンゾフェノン) 4質量部
アセトン 10000質量部
イソプロピルアルコール 5質量部
酢酸エチル 5質量部
《防眩性反射防止フィルム11の作製》
前記防眩性反射防止フィルム10の作製において、形成した防眩層の上に、更に防眩層インク液3をインク液適量0.1plの条件で出射して、同様に紫外線を照射、硬化させ、さらに微細な凹凸を形成した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム11を作製した。
【0410】
《防眩性反射防止フィルム12の作製》
上記防眩性反射防止フィルム9の作製において、ハードコート層がハーフキュアの状態で、インクジェット方式により防眩層を形成した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム12を作製した。
【0411】
《防眩性反射防止フィルム13の作製》
上記防眩性反射防止フィルム9の作製において、ハードコート層塗布液に可塑剤としてトリフェニルフォスフェートを1質量部添加した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム13を作製した。
【0412】
《防眩性反射防止フィルム14の作製》
上記防眩性反射防止フィルム9の作製において、インクジェット方式による防眩層を形成する前に、ハードコート層表面を、1%酸素を含有する窒素雰囲気の大気圧下で、100kHzの高周波電圧でプラズマ放電により表面処理した後、インクジェット方式による防眩層を形成した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム14を作製した。
【0413】
《防眩性反射防止フィルム15の作製》
上記防眩性反射防止フィルム12の作製において、防眩層インク液1に、約12nmの気相法シリカ(トクヤマ製:レオロシールQS−20)を1質量部添加した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム15を作製した。
【0414】
《防眩性反射防止フィルム16の作製》
上記防眩性反射防止フィルム12の作製において、防眩層インク液1に、下記のテトラエトキシシラン加水分解物を20質量部添加した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム16を作製した。
【0415】
(テトラエトキシシラン加水分解物:微小液滴としてインク中に含有)
テトラエトキシシランの580質量部と、エタノールの1100質量部とを混合し、クエン酸・1水和物の5.4質量部を水300質量部に溶解したものを添加し、室温で1時間攪拌して、テトラエトキシシラン加水分解物を調製した。
【0416】
《防眩性反射防止フィルム17の作製》
上記防眩性反射防止フィルム12の作製において、防眩層形成時に、同時に0.5plと0.3plのインク液滴を出射した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム17を作製した。
【0417】
《防眩性反射防止フィルム18の作製》
上記防眩性反射防止フィルム12の作製において、0.5plのインク液滴を出射して、活性線を照射した1秒後に、0.3plのインク液滴を出射し、同様に硬化させた以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム18を作製した。
【0418】
《防眩性反射防止フィルム19の作製》
上記防眩性反射防止フィルム12の作製において、防眩層形成時の活性光線の照射時期を、インクが着弾した4秒後に変更した以外は同様にして、防眩性反射防止フィルム19を作製した。
【0419】
【表3】
Figure 2004279491
【0420】
《防眩性反射防止フィルムの評価》
以上により作製した防眩性反射防止フィルム1〜19について下記の各評価を行った。
【0421】
(表面特性の測定)
防眩性反射防止フィルム1〜19の作製において、防眩層を形成した時点で、その表面を、WYKO社製のRSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システムを用いて測定し、表面粗さRa(μm)と凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmの範囲にある凸部の100μm当たりの個数(表4の*1項)を計測した。
【0422】
(接着性の評価)
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行った。具体的には、得られた防眩性反射防止フィルムの試料を用いて、1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個作り、この上にセロハン粘着テープを貼り付け、90°で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数をカウントし、下記に示すようなランク評価を行った。
【0423】
A:100
B:97〜99
C:93〜96
D:90〜92
E:70〜89
F:69以下
(反射性の評価)
作製した各防眩性反射防止フィルムの反射光の色むらを1mについて目視により下記のようにランク評価した。
【0424】
A:反射光の色調変化が全く認められない
B:反射光の色調変化が認められない
C:わずかに反射光の色調変化が認められる(面積の5%未満)
D:ごく一部に反射光の色調変化が認められる(面積の5%以上、10%未満)
E:部分的に反射光の色調変化が認められる(面積の10%以上、30%未満)
F:全体的に反射光の色調変化が認められる
(視認性の評価)
各防眩性反射防止フィルムの視認性については、防眩性反射防止フィルム1〜19を用いて下記のようにして偏光板1〜19を作製し、それらの偏光板を液晶表示パネルに組み込み、視認性を評価した。
【0425】
下記の方法に従って、防眩性反射防止フィルムとセルロースエステルフィルム(KC8UCR、コニカ(株)製)を各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて偏光板を作製した。
【0426】
a)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
【0427】
b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0428】
工程1:長尺のセルロースエステルフィルムと防眩性反射防止フィルム1とを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。防眩性反射防止フィルムの反射防止層を設けた面にはあらかじめ剥離性の保護フィルム(ポリエチレン製)を張り付けて保護した。
【0429】
同様に長尺のセルロースエステルフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
【0430】
工程2:前述の長尺の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
【0431】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルロースエステルフィルムと防眩性反射防止フィルム1で挟み込んで、積層配置した。
【0432】
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
【0433】
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、本発明の偏光板1を作製した。
【0434】
防眩性反射防止フィルム1を防眩性反射防止フィルム2〜19に代えて一方の偏光板保護フィルムとして用いた以外は同様にしてそれぞれ偏光板2〜19を作製した。
【0435】
市販の液晶表示パネル(富士通製 VA型液晶表示装置:型名 VL−150SD)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた偏光板1〜19を張り付けた。
【0436】
上記のようにして得られた液晶パネル1〜19を床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業(株)製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき評価者が液晶パネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さ(視認性)を下記のようにランク評価した。
【0437】
A:もっとも近い蛍光灯の写り込みが全く気にならず、またフォントの大きさ8以下の文字も極めて明瞭に読める
B:もっとも近い蛍光灯の写り込みが気にならず、またフォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
C:もっとも近い蛍光灯の写り込みがほぼ気にならず、フォントの大きさ8以下の文字も読める
D:近くの蛍光灯の写りこみはやや気になるが、遠くは気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もなんとか読める
E:遠くの蛍光灯の写りこみも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を読むのは困難である
F:蛍光灯の写りこみがかなり気になり、写り込みの部分はフォントの大きさ8以下の文字を読むことはできない
(動画及び鮮鋭性の評価)
上記視認性評価で作製した各液晶パネルに、動画及び鮮鋭性評価用のテストチャート画像を出力し、画像のしまり及び鮮鋭性を下記の基準に則り評価した。
【0438】
A:動画の黒のしまりが極めて良好で、かつテストパターンが、極めて鮮鋭に映し出されている
B:動画の黒のしまりが良好で、かつテストパターンが、極めて鮮鋭に映し出されている
C:動画の黒のしまりが良好で、かつ高周波のテストパターンで、わずかに鮮鋭性の低下が認められる
D:動画の黒のしまりが稍弱く、また高周波及び中高周波のテストパターンで稍鮮鋭性の低下が認められるが実用上問題はない
E:動画の黒のしまりが弱く、かつ全周波域のテストパターンで鮮鋭性の低下が認められ、実用上問題がある
F:動画の黒のしまりが悪く、かつ全周波域のテストパターンで、明らかな鮮鋭性の低下が認められ、実用上問題がある
以上により得られた結果を表4に示す。
【0439】
【表4】
Figure 2004279491
【0440】
表4より明らかなように、本発明の防眩性反射防止フィルムは、比較例に対し、接着性、膜均一性が良好で、また液晶パネルに使用した際の写り込みが気にならないと同時に動画を表示した際の黒のしまりが良好で、かつ鮮鋭性に優れていることが分かる。その中でも、特に、防眩性反射防止フィルム7〜18が、より良好な結果を示した。
【0441】
実施例2
実施例1に記載の視認性評価で作製した液晶パネル1(比較例:防眩性反射防止フィルム1)、液晶パネル2(比較例:防眩性反射防止フィルム2)、液晶パネル12(本発明:防眩性反射防止フィルム12)、液晶パネル18(本発明:防眩性反射防止フィルム18)の前面に、両面に実施例1に記載のハードコート層(厚み5μm)を塗布で、その上に実施例1に記載の反射防止層2を大気圧プラズマ放電処理方法で形成したアクリル板(厚み1mm)を設置して、表示装置に動画を表示させて、画質鑑賞を行った。
【0442】
その結果、本発明の防眩性反射防止フィルムを有する液晶パネル3、4を用いた表示装置に前面板を設けた組み合わせは、黒の締まりが良好で、コントラストに優れていた。更に、前面板をはずすことにより、十分な写りこみ防止効果があった。それに対して、比較例である液晶パネル2は、前面板を装着したとき、コントラストが低下し、黒の締まりが悪いことが確認された。又、比較例である液晶パネル1では、前面板を設けると干渉縞が認められ、また前面板をはずしても写りこみ防止効果はなく、状況により視認性を改善する柔軟性に乏しかった。
【0443】
【発明の効果】
本発明により、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩性反射防止層の形成方法、防眩性反射防止フィルムとその製造方法、防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置及び防眩性反射防止加工装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明基材上に、インクジェット方式で凹凸構造からなる防眩層を設けた一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る防眩層を構成する他の凹凸構造の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係るインクジェット方法に用いることのできるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
【図4】本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
【図5】本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す模式図である。
【図6】インクジェット方式により、粒径の大きなインク液滴で微細構造を形成した後、より粒径の小さなインク液滴で、更に微細な凹凸構造を形成した一例を表す模式図である。
【図7】透明基材上のインクジェット方式により防眩層を設けて防眩性反射防止フィルムを製造するフローの一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係る反射防止層の形成に用いるのに有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【図9】本発明に係る反射防止層の形成に用いるのに有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図10】図9に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図11】角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図12】表示装置上への前面板の装着状態を示す概念図である。
【図13】表示装置上へ前面板の装着したときの断面図である。
【符号の説明】
1、502、F 透明基材
2 ハードコート層
3、31 インク液滴
10 インクジェットヘッド
12 圧電素子
29、106A〜E 活性光線照射部
35 バックロール
51 エンドレスステンレスベルト
52 ダイ
53 乾燥ゾーン
55 流延部
56 剥離部
110 プラズマ放電処理装置
111 第1電極
112 第2電極
120 電圧印加手段
121 第1電源
122 第2電源
501 積層ロール
503 第1コータ
504A、B バックロール
505A、B 乾燥ゾーン
507 プラズマ処理部
508 インク供給タンク
509 インクジェット出射部
510 加熱部

Claims (25)

  1. 透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上にCVD法により金属化合物層を形成することを特徴とする防眩性反射防止層の形成方法。
  2. 前記CVD法が、大気圧プラズマ法であることを特徴とする請求項1記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  3. 前記微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)が、0.05〜5.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  4. 前記微細凹凸構造が、凹部底を基準とした高さaが0.5〜10.0μmである凸部を100μmあたり1〜50個有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  5. 前記防眩性付与組成物が、活性光線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  6. 前記インク液滴を透明基体上に着弾させ、活性光線を照射することを特徴とする請求項5に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  7. 前記防眩性付与組成物が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  8. 前記インク液滴を透明基体上に着弾させ、加熱硬化処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  9. 2種以上の組成の異なるインク液滴を出射して、異なる屈折率を有する凹凸を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  10. 2種以上の粒径の異なるインク液滴を出射して形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  11. 粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成することを特徴とする請求項10に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  12. 前記インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  13. 前記インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微小液滴を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  14. 前記微小液滴と、インク液滴媒体との屈折率差が0.01以上であることを特徴とする請求項13に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  15. 前記インクジェット方式が、インクジェットヘッド部に振動を与えてインク液滴を吐出することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  16. 前記透明基材が、透明支持体とその上に少なくとも1層のハードコート層を有し、該ハードコート層表面に、前記微細凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該ハードコート層表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  17. 前記ハードコート層がハーフキュア状態で、該ハードコート層表面に前記インク液滴を出射して微細凹凸構造を形成することを特徴とする請求項16に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  18. 前記ハードコート層表面をプラズマ処理した後、該ハードコート層表面に前記インク液滴を出射して微細凹凸構造を形成することを特徴とする請求項16または17に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  19. 前記ハードコート層が、可塑剤を含有することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  20. 前記防眩層の上に、窒素を主成分とする雰囲気下で、大気圧プラズマ処理によって金属化合物層を形成することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の防眩性反射防止層の形成方法により、透明基材上に防眩層を形成し、更に該防眩層上に大気圧プラズマ処理により金属化合物層を形成する工程を有することを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
  22. 請求項21に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
  23. インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、微細凹凸構造を形成した防眩層と、該防眩層上に反射防止層を設けた防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
  24. 前面板を有することを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
  25. 基材上に、防眩層形成用のインクジェット吐出部と、防眩層上に金属化合物層を形成するための大気圧プラズマ処理部とを有することを特徴とする防眩性反射防止加工装置。
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