JP2004341017A - 光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法、反射防止フィルム及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法、反射防止フィルム及びそれを用いた表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、平面性、反射性に優れ、斑むらの発生が低減された光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法と、それを用いた視認性に優れた反射防止フィルム及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した後、搬送方向で曲率が変化する支持体上に部分的に巻き付けて、該塗布層を30〜120℃の温度に加熱しながら活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層を形成することを特徴とする光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法、反射防止フィルム及びそれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、表示装置の大型化、高精細化に伴って、反射防止加工などの機能層が求められるようになっている。その中でも、液晶ディスプレーやプラズマディスプレー等の画像表示装置では、画面にものが接触したりして生じる傷を防止するためハードコート層や反射防止フィルムを表面に貼り付けることが提案されている。反射防止フィルムは、耐傷性を向上させるためにハードコートフィルム上に設けられるが、従来のハードコートフィルムでは、その上に反射防止層として用いられる無機薄膜、有機薄膜、有機/無機ハイブリッド薄膜等の光学薄膜を形成すると、すじ状の斑が生じやすく、表示装置としての品位を損なう要因となっている。特に、幅が広くなると斑が起こりやすくその改善が求められている。
【0003】
上述のハードコート層の形成方法としては、膜強度を上げるため、多くの場合電離放射線硬化型樹脂が用いられ、樹脂層を塗布して乾燥した後、電離放射線(例えば、紫外線)を照射して架橋硬化する。
【0004】
樹脂フィルム基材(以降、単に基材またはフィルムともいう)上に塗布された電離放射線硬化型樹脂層を硬化する際、電離放射線照射による硬化反応を一定条件にコントロールするため、あるいは電離放射線照射による過度の温度上昇を防止するため、照射部の温度を一定に制御する方法がとられている。この温度制御が十分でないと、電離放射線硬化型樹脂層の硬化度が低下したり、フィルム温度の上昇に伴い熱変形を起こすことが知られており、フィルムを一定温度範囲に制御することが一般的である。この現象は特に紫外線を照射する際に問題となる。
【0005】
さらに、電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線照射により3次元的に架橋するため、膜収縮を起こす。上記課題に対しては、フィルム基材を同一の曲率を有する熱ロール表面に少なくとも部分的に巻きつけ、塗布層とともに特定の温度範囲に加熱しながら電離放射線を照射し硬化させることにより、この膜収縮により発生する歪みを防止し、密着性に優れた膜を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)また、加熱すると収縮するプラスチックフィルム基材上に塗布した樹脂層に、フィルム基材を加熱しながら紫外線を照射し、基材フィルムの熱収縮率と塗布された樹脂層の硬化による収縮率との差を2.0%以下とする条件下で硬化させ、カールのない平滑なフィルムを得る方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかし、薄膜のフィルム基材では、搬送時の張力により搬送方向に数mm〜数cmピッチのつれ状の変形が発生する。このような状態では、ロール表面に均一に接触しないため歪みが均一に取りきれない。同時にロール表面での接触強さが異なるため、収縮の違いが生じ、数mm〜数cmピッチのつれ状の変形が残ってしまうことがある。特に、この傾向は、長尺で広幅のフィルム基材上に電離放射線硬化型樹脂層を形成する際に、より顕著に表れる。また、この様にして形成されたハードコート層上に形成された反射防止層は、反射像がゆがんで観察され、目が疲れるという課題を抱えている。
【0007】
【特許文献1】
特公平7−51641号公報 (特許請求の範囲)
【0008】
【特許文献2】
特許第2870808号公報 (特許請求の範囲)
【0009】
【特許文献3】
特開平3−19839号公報 (特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、平面性、反射性に優れ、斑むらの発生が低減された光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法と、それを用いた視認性に優れた反射防止フィルム及び表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0012】
1.樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した後、搬送方向で曲率が変化する支持体上に部分的に巻き付けて、該塗布層を30〜120℃の温度に加熱しながら活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層を形成することを特徴とする光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
【0013】
2.前記搬送方向で曲率が変化する支持体上で、曲率が最も大きい部分近傍で活性線の照射強度が最大となるように活性線照射装置を配置したことを特徴とする前記1項に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
【0014】
3.前記搬送方向で曲率が変化する支持体が、金属ベルトであることを特徴とする前記1または2項に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
【0015】
4.前記1〜3項のいずれか1項に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法により製造された長尺の反射防止フィルムであって、幅が1.3〜4mであることを特徴とする反射防止フィルム。
【0016】
5.前記4項に記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した後、樹脂フィルム基材を搬送方向で曲率が変化する支持体上に部分的に巻き付けて塗布層とともに30〜120℃の温度に加熱しながら活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化する表面保護層の形成方法により、この問題を解決することができることを見出し本発明に至った次第である。
【0017】
すなわち、従来はロール(断面が円であり曲率は一定)に巻き付けて活性線を照射していたため、活性線照射中の硬化の進行により活性線硬化樹脂層が収縮しても同じ曲率で支えていたに過ぎなかったのに対し、本発明で規定する方法では、活性線硬化型樹脂の硬化による収縮に合わせて適切な曲率に変化させながら活性線照射と裏面からの温度制御により硬化を進行させることにより、活性線硬化樹脂層形成時の歪発生を抑制することができ、更に、この活性線硬化樹脂層上に無機薄膜等からなる反射防止層を形成するのに適し、かつ斑の発生しにくいハードコートフィルムを提供することができたのである。本発明の上記効果は、幅1.3〜4mの幅広で長尺の樹脂フィルム基材を用いる際に著しい効果を発揮することができ、特に、幅1.4〜4mの長尺樹脂フィルム基材で効果が得られた。
このようにして製造された反射防止フィルムは、大画面の表示装置であっても斑が少なく、視認性に優れた特性を有している。
【0018】
以下、本発明の詳細について、図を交えて説明する。
本発明の光学薄膜形成用ハードコートフィルム(以下、単にハードコートフィルムともいう)の製造方法では、樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した後、搬送方向で曲率が変化する支持体上に部分的に巻き付けて、該塗布層を30〜120℃の温度に加熱しながら活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層を形成することを特徴とする。
【0019】
本発明でいう搬送方向で曲率が変化する支持体とは、具体的には、例えば、活性線照射部の曲率がY=aXであらわされる2次曲線、あるいはY=a+a+a+a+・・・+a2n(ここでa、a、a、a、・・・、aは定数、nは正の整数)で表される曲線、もしくは長径A、短径BでかつA≠Bである楕円もしくはその一部の曲線等が例示されるが、特にこれらのみに限定はされず、任意の曲線でよく、また、これらの各曲線を組み合わせた曲線であって、活性線照射部の前後での曲率の変化が対称であっても、非対称である曲率の変化であってもよい。このような支持体としては、ベルト状のものが好ましく用いられる。材質としては特に限定されず、樹脂製であってもよいが、本発明では、特に金属ベルトであることが好ましい。
【0020】
以下に、搬送方向で曲率が変化する支持体を有する光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法の一例を、図を用いて説明するが、本発明では、ここに例示する構成にのみ限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【0022】
図1において、サポートロール2を介して連続搬送されている長尺広幅の樹脂フィルム基材1上に、コータ3により活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成し、ドライヤーDにて塗布層中の溶媒を蒸発させた後、活性線照射部Aに搬送される。活性線照射部Aは、複数の温度制御ロール4と多数の小径ロール6群とで形成された外周に可尭性のエンドレス金属ベルト5を装着して、搬送方向で曲率が変化する支持体を構成している。また、このエンドレス金属ベルト5の内周面側には、温度制御ロール4による温度制御に加え、送風部7を複数設けて、活性線照射部の温度を、30〜120℃の所定の温度に精密に制御する。この送風部7より吹き付けられる温度制御風の温度は、設定温度と同等の温度風、もしくは活性線照射時の温度状況を考慮して設定温度より低い温度に設定される。また、一部の温度制御ロール4を可動式とし、図1に矢印で記載した方向に移動して、可尭性のエンドレス金属ベルト5に張力Wを与えて、支持体に正確な曲率面を形成する。
【0023】
活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した樹脂フィルム基材1は、上記の構成からなる活性線照射部Aに搬送されて、30〜120℃の温度に加熱しながら、所定の位置で活性線照射装置8に設けた活性光源9より活性線を照射して、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層が形成される。
【0024】
上記のような搬送方向で曲率が変化する支持体を用いて、特定の温度に制御しながら活性線照射を行うことにより、活性線硬化型樹脂を含む塗布層の硬化時に生じる樹脂フィルム基材の歪みを効率的に消去することができ、結果として平面性に優れ、かつ斑の発生が低減されたハードコートフィルムを得ることができるものである。
【0025】
本発明に使用することができる活性線としては、紫外線、電子線、γ線等で、表面保護層の主要構成要素である活性線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
【0026】
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0027】
本発明においては、活性線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が1%以下であることがより好ましい。
【0028】
図2は、従来型の樹脂フィルム基材を同一の曲率を有する加熱ロールに部分的に巻き付けたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【0029】
図2において、サポートロール2を介して連続搬送されている長尺広幅の樹脂フィルム基材1上に、コータ3により活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成し、ドライヤーDにて塗布層中の溶媒を蒸発させた後、活性線照射部Aに搬送される。活性線照射部Aは、同一曲率の円形のヒートロール(中空ジャケットロール)10と、活性光源9を内蔵した活性線照射装置8とから構成され、30〜120℃の温度に加熱しながら、所定の位置で活性線照射装置8に設けた活性光源9より活性線を照射して、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層が形成される。ヒートロール10には温度制御部11より熱媒体が循環され、ヒートロール10を所定の温度に制御している。
【0030】
上記構成からなる同一の曲率を有する支持体により活性線照射を行った場合には、活性線照射中の硬化の進行により活性線硬化樹脂層が収縮しても同じ曲率で保持しているため、樹脂フィルム基材に生じる歪みの発生を効率的に制御することができないため、斑が発生しやすく高い平面性を実現することができなかった。
【0031】
上記説明した図1で表されるハードコートフィルムの製造方法の他に、本発明では、図3〜図5で示す様々な構成からなる装置構成を用いることができる。
【0032】
図3は、活性線照射装置の活性線照射軸を傾けたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【0033】
前述の図1に対し、図3に示すように活性線硬化樹脂層を設けた樹脂フィルム基材1への活性線照射装置8の活性線照射角度を、垂直方向から傾斜した角度に変更することにより、樹脂フィルム基材上1への活性線の光量分布を効果的に形成できるため、適切な活性線硬化樹脂層の硬化を行うことができ、その結果、過度の硬化による樹脂フィルム基材の歪みの発生を防止でき、平滑性に優れたハードコートフィルムを得ることができる。
【0034】
図4は、本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の他の一例を示す概略図である。
【0035】
図4のa−1)は、活性線照射部に位置するヒートロール10と、楕円状に配置されたサポートロール12と、その外周にエンドレス金属ベルト5を装着して、搬送方向で曲率が変化する支持体を構成している。楕円状に配置されたサポートロール12の位置を適切に配列することにより、エンドレス金属ベルト5に張力を付与し、最適の曲率を与える。
【0036】
図4のa−2)は、図4のa−1)の破線の円で示した活性線照射部の拡大図であり、頂点部(活性線照射位置)にヒートロール10を配置し、サポートロール12とヒートロールの間に、支持体の温度を制御するための送風部7が配置されている。このサポートロール12、あるいは送風部7の位置を適宜変更することにより、所望の曲率に自由に変更することができる。
【0037】
図4のb)は、1本のヒートロール10と2本のサポートロール12とで三角形の活性線照射部を形成したものであり、2本のサポートロール12の配置を変更することにより、頂点部(活性線照射位置)の曲率を任意の条件に制御することができる。
【0038】
図5は、本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の様々な例を示す概略図である。
【0039】
本発明の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法においては、図5のa)〜f)で示すように、搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部の構成としては、様々な形態のものを用いることができる。また、活性線照射装置8の数も、1つだけではなく、必要に応じて複数個配置してもよく、また任意の位置の配置してもよいが、本発明のハードコートフィルムの製造方法においては、活性線照射装置8は、搬送方向で曲率が変化する支持体上で、曲率が最も大きい部分近傍で活性線の照射強度が最大となるように配置することがより好ましい。
【0040】
次いで、本発明に係る光学薄膜形成用ハードコートフィルム及び反射防止フィルムの詳細について説明する。
【0041】
はじめに、本発明で用いることのできる樹脂フィルム基材について説明する。本発明に係る樹脂フィルム基材としては、製造が容易であること、活性線硬化型樹脂層との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
【0042】
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
【0043】
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)が好ましく、本発明においては、特にセルロースエステルフィルム(例えば、コニカタック 製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW、KC8UY、KC4UY、KC5UN、KC12UR(コニカ(株)製))が、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。基材フィルムの膜厚は、特に制限はなく、10μm〜10mmのシート状のものであってもよく、好ましくは10μm〜1mmである。
【0044】
樹脂フィルム基材の光学特性としては膜厚方向のリターデーションRが0nm〜300nm、面内方向のリターデーションRが0nm〜1000nmのものが好ましく用いられる。
【0045】
本発明においては、樹脂フィルム基材としてはセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0046】
特にアセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとしたとき、XとYが下記の範囲にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを有する樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂層と反射防止層を設けた反射防止フィルムが好ましく用いられる。
【0047】
2.3≦X+Y≦3.0
0.1≦Y≦1.2
特に、2.5≦X+Y≦2.85
0.3≦Y≦1.2であることが好ましい。
【0048】
本発明に係る樹脂フィルム基材として、セルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。
またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
【0049】
アシル化剤が酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することができる。また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
【0050】
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
【0051】
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0052】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
【0053】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0054】
これらセルロースエステルは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されることが好ましい。
【0055】
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0056】
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
【0057】
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライドあるいは酢酸メチルが好ましく用いられる。
【0058】
上記有機溶媒の他に、0.1質量%〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
【0059】
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
【0060】
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70質量%〜95質量%に対してエタノール5質量%〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
【0061】
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは少なくとも幅手方向に延伸されたものが好ましく、特に溶液流延工程で残留溶媒量が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向に1.01倍〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、残留溶媒料が3質量%〜40質量%であるときに幅手方向及び長手方向に、各々1.01倍〜1.5倍に延伸されることが望ましい。この様にすることにより、平面性及び光拡散性に優れた光拡散性フィルムを得ることが出来る。
【0062】
なお、残留溶媒量は下記の式により表される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブ(溶媒を含有したセルロースエステルフィルム)の任意時点における質量、NはMのウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0063】
更に、2軸延伸し、後述のナーリング加工をすることによって、長尺状光拡散フィルムのロール状での保管中の巻き形状の劣化を著しく改善することができる。
【0064】
本発明においては、二軸延伸されたセルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
【0065】
本発明に係るセルロースエステルフィルム支持体は、その厚さが10μm〜100μmのものが好ましく、透湿性は、JIS Z 0208(25℃、90%RH)に準じて測定した値として、200g/m・24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは、10〜180g/m・24時間以下であり、特に好ましくは、160g/m・24時間以下である。特には、膜厚10μm〜60μmで透湿性が上記範囲内であることが好ましい。
【0066】
本発明においては、長尺フィルムを用いることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、本発明の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法の効果をより発揮させる観点から、樹脂フィルム基材の幅は1.3〜4mであることが好ましい。
【0067】
更に、上記の長尺フィルムは、下記に記載のナーリング加工を施すことがこのましい。ここで、ナーリング加工について説明する。
【0068】
本発明では、上記の長尺フィルムの幅方向の両端に凹凸を付与して端部を嵩高くするいわゆるナーリング加工が施されていることが好ましい。ここで、ナーリング高さとは、下記のように定義される。
【0069】
ナーリング高さ(a:μm)のフィルム膜厚(d:μm)に対する比率X(%)=(a/d)×100
本発明においては、X=1〜25%の範囲であることが好ましく、5%〜20%が更に好ましく、10%〜15%が特に好ましい。
【0070】
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
【0071】
本発明に係るハードコートフィルムの支持体に、セルロースエステルフィルムを用いる場合、後述の活性線硬化型樹脂層で用いるのと同様の可塑剤を含有するのが好ましい。
【0072】
これらの可塑剤は、単独または併用するのが好ましい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1質量%〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3質量%〜15質量%である。
【0073】
本発明に係る支持体に用いられる紫外線吸収剤について説明する。光拡散性低反射フィルム用の支持体には、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0074】
本発明の光拡散フィルム用の支持体には、後述の活性線硬化型樹脂を含む塗布層において詳述するのと同様の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0075】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0076】
また、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには滑り性を付与するため、活性線硬化型樹脂を含む塗布層で記載したのと同様の微粒子を用いることができる。
【0077】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムに添加される微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成してセルロースエステルフィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることが出来る。
【0078】
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
【0079】
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
【0080】
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
【0081】
上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
【0082】
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
【0083】
《調製方法A》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0084】
《調製方法B》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0085】
《調製方法C》
溶剤に少量のセルローストリアセテートを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0086】
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
【0087】
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がさらに好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0088】
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0089】
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01質量部〜5.0質量部が好ましく、0.05質量部〜1.0質量部がさらに好ましく、0.1質量部〜0.5質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方が、凝集物が少なくなる。
【0090】
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどがあげられる。メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
【0091】
上記のような高圧分散装置には、Microfluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えば、イズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0092】
また、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
【0093】
また、流延後に剥離して乾燥されロール状に巻き取られた後、本発明に係る光拡散層が設けられる。加工若しくは出荷されるまでの間、汚れや静電気によるゴミ付着等から製品を保護するために通常、包装加工がなされる。この包装材料については、上記目的が果たせれば特に限定されないが、フィルムからの残留溶媒の揮発を妨げないものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、紙、各種不織布等が挙げられる。繊維がメッシュクロス状になったものは、より好ましく用いられる。
【0094】
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、複数のドープを用いた共流延法等による多層構成を有するものであってもよい。
【0095】
共流延とは、異なったダイを通じて2層または3層構成にする逐次多層流延方法、2つまたは3つのスリットを有するダイ内で合流させ2層または3層構成にする同時多層流延方法、逐次多層流延と同時多層流延を組み合わせた多層流延方法のいずれであっても良い。
【0096】
また、本発明で用いられるセルロースエステルは、フィルムにしたときの輝点異物が少ないものが、支持体として好ましく用いられる。本発明において、輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面からセルロースエステルフィルムを観察したときに、光源の光がもれて見える点のことである。
【0097】
このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物の発生は、セルロースエステルに含まれる未酢化のセルロースがその原因の1つと考えられ、対策としては、未酢化のセルロース量の少ないセルロースエステルを用いることや、また、セルロースエステルを溶解したドープ液の濾過等により、除去、低減が可能である。また、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向がある。
【0098】
輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上のものが200個/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm以下、50個/cm以下、30個/cm以下、10個/cm以下であることが好ましいが、特に好ましくは、0であることである。
【0099】
また、0.005mm〜0.01mmの輝点についても200個/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは、100個/cm以下、50個/cm以下、30個/cm以下、10個/cm以下であることが好ましいが、特に好ましいのは、輝点が0の場合である。0.005mm以下の輝点についても少ないものが好ましい。
【0100】
輝点異物を濾過によって除去する場合、セルロースエステルを単独で溶解させたものを濾過するよりも可塑剤を添加混合した組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、セラミックス、金属等も好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく、更に好ましくは、30μm以下、10μm以下であるが、特に好ましくは、5μm以下のものである。
【0101】
これらは、適宜組み合わせて使用することもできる。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
【0102】
次いで、上記樹脂フィルム基材上に設ける活性線硬化型樹脂層について説明する。
【0103】
本発明に係る活性線硬化型樹脂層で用いる活性線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0104】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0105】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
【0106】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号)。
【0107】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
【0108】
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0109】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、有用に用いられるエポキシ系活性線反応性化合物を示す。
【0110】
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0111】
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
【0112】
上記のエポキシ化合物を活性線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
【0113】
エポキシ系活性線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
【0114】
活性線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性線反応性樹脂である。
【0115】
本発明に有用な活性線反応性エポキシ樹脂は、活性線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
【0116】
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R(R(R(RZ〕w+〔MeXw−
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えばI、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R、R、R、Rは同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
【0117】
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXw−の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF )、テトラフルオロホスフェート(PF )、テトラフルオロアンチモネート(SbF )、テトラフルオロアルセネート(AsF )、テトラクロロアンチモネート(SbCl )等を挙げることができる。
【0118】
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることができる。
【0119】
このようなオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
【0120】
また、エポキシアクリレート基を有する活性線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。この活性線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
【0121】
本発明に有用な活性線硬化型樹脂組成物において、重合開始剤は、一般的には、活性線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
【0122】
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することもでき、この場合、活性線ラジカル重合開始剤と活性線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
【0123】
また、本発明に係る活性線硬化型樹脂層には、オキセタン化合物を用いることもできる。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
【0124】
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
【0125】
本発明に使用する上記活性線反応性化合物を光重合または光架橋反応を開始させるには、上記活性線反応性化合物のみでも開始するが、重合の誘導期が長かったり、重合開始が遅かったりするため、光増感剤や光開始剤を用いることが好ましく、それにより重合を早めることができる。
【0126】
本発明に係る活性線硬化型樹脂層を構成する塗布液には、光反応開始剤、光増感剤を用いることができる。
【0127】
具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系樹脂の合成に光反応剤を使用する際に、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0128】
また、活性線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。
【0129】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
【0130】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(1)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0132】
【化1】
Figure 2004341017
【0133】
式中、R、R、R、R及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、RとRは閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0134】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0135】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0136】
【化2】
Figure 2004341017
【0137】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
【0138】
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
【0139】
以下に一般式(2)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0140】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0141】
また、特開2001−187825号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支持体の面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0142】
また、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039号の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
【0143】
また、硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
【0144】
また、活性線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0145】
本発明において、活性線硬化樹脂層組成物塗布液の樹脂フィルム基材上への塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号)により形成することができる。2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2,761,791号、同第2,941,898号、同第3,508,947号、同第3,526,528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0146】
次いで、上記方法で設けた活性線硬化型樹脂層であるハードコート層上に設ける金属酸化物層である反射防止層について、その詳細を説明する。
【0147】
本発明に係る反射防止層は、ハードコート層の上に、ハードコート層側から複数の屈折率層を設けることが好ましく、更には、高屈折率層、低屈折率層を順に積層したものであることが好ましい。屈折率の高低は、そこに含まれる金属または化合物によってほぼ決まり、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。屈折率と膜厚は、分光反射率の測定により計算して算出し得る。
【0148】
本発明の反射防止フィルムでは、各反射防止層を光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成されている。特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。または、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
【0149】
また、必要に応じて、汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に、さらに防汚層を設けることも好ましい。防汚層としては、含フッ素有機シラン化合物が好ましく用いられる。
【0150】
本発明に係る反射防止層は、塗布方式により形成することもでき、また大気圧プラズマ処理、CVD等のドライプロセスによって金属酸化物層、金属酸窒化物層(SiO、TiO、Ta、ZrO、ZnO、SnO、ITO、SiN、TiN、SiO、SiO、TiO、TiOなど)を設けることができる。
【0151】
はじめに、塗布方式により形成する反射防止層について説明する。
本発明に係る高屈折率層としては、好ましくはチタン酸化物を含有することが望ましい。これらは微粒子、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層である。
【0152】
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C、Ti(O−n−Cの2〜10量体、Ti(O−i−Cの2〜10量体、Ti(O−n−Cの2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。中でもTi(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C、Ti(O−n−Cの2〜10量体、Ti(O−n−Cの2〜10量体が特に好ましい。
【0153】
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、塗布液に含まれる固形分中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。このほか、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(あらかじめ有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)あるいは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。
【0154】
また、本発明においては、塗布液中に上記有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーの部分または完全加水分解物を含むが、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーは、自己縮合して架橋し網状結合するものである。その反応を促進するために触媒や硬化剤を使用することができ、それらには、金属キレート化合物、有機カルボン酸塩等の有機金属化合物や、アミノ基を有する有機けい素化合物、光による酸発生剤(光酸発生剤)等がある。これらの触媒または硬化剤の中で特に好ましいのは、アルミキレート化合物と光酸発生剤である。アルミキレート化合物の例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等であり、光酸発生剤の例としては、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、その他のホスホニウム塩やトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートの塩等を挙げることができる。
【0155】
反射防止層の塗布液中の固形分比率として0.5質量%〜20質量%のバインダが含まれることが好ましい。
【0156】
バインダとしては、重合可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基、オキセタン環等の重合性基を2つ以上有し、活性線硬化型樹脂を含む塗布層で用いたのと同様なアクリルまたはメタクリル系活性エネルギー線反応性化合物、エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物またはオキセタン系活性エネルギー線反応性化合物を用いることができる。これらの化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマーを含む。重合速度、反応性の点から、これらの活性基のうちアクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基が好ましく、多官能モノマーまたはオリゴマーがより好ましい。また、前述の活性線硬化型樹脂を含む塗布層及びハードコート層に用いられる活性線硬化型樹脂も好ましく用いることができる。更に、アルコール溶解性アクリル樹脂も好ましく用いられる。
【0157】
チタン化合物を含む中〜高屈折率層には、バインダとしてアルコール溶解性アクリル樹脂も好ましく用いられ、これによって、膜厚むらが少ない中、高屈折率層を得ることができる。具体的には、アルキル(メタ)アクリレート重合体またはアルキル(メタ)アクリレート共重合体、例えばn−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート等の共重合体が好ましく用いられるが、共重合成分としてはこれらに限定されるものではない。市販品としては、ダイヤナールBR−50、BR−51、BR−52、BR−60、BR−64、BR−65、BR−70、BR−73、BR−75、BR−76、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−89、BR−90、BR−93、BR−95、BR−96、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118(以上、三菱レーヨン(株)製)等が使用できる。これらのモノマー成分も中〜高屈折率層用バインダとして添加することができる。バインダの添加比率を変更することによって屈折率を調整することができる。
【0158】
低屈折率層にはすべり剤を添加することが好ましく、滑り性を付与することによって耐傷性を改善することができる。すべり剤としては、シリコンオイルまたはワックス状物質が好ましく用いられる。
【0159】
具体的には、ベヘン酸、ステアリン酸アミド、ペンタコ酸等の高級脂肪酸またはその誘導体、天然物としてこれらの成分を多く含んでいるカルナバワックス、蜜蝋、モンタンワックスも好ましく使用できる。特公昭53−292号に開示されているようなポリオルガノシロキサン、米国特許第4,275,146号に開示されているような高級脂肪酸アミド、特公昭58−33541号、英国特許第927,446号または特開昭55−126238号及び同58−90633号に開示されているような高級脂肪酸エステル(炭素数が10〜24の脂肪酸と炭素数が10〜24のアルコールのエステル)、そして米国特許第3,933,516号に開示されているような高級脂肪酸金属塩、特開昭51−37217号に開示されているような炭素数10までのジカルボン酸と脂肪族または環式脂肪族ジオールからなるポリエステル化合物、特開平7−13292号に開示されているジカルボン酸とジオールからのオリゴポリエステル等を挙げることができる。
【0160】
低屈折率層に使用する滑り剤の添加量は0.01mg/m〜10mg/mが好ましい。必要に応じて、中屈折率層や高屈折率層に添加することもできる。
【0161】
本発明の低屈折率層には、界面活性剤、柔軟剤、柔軟平滑剤等を添加することが好ましく、これによって耐擦り傷性が改善される。中でもアニオン系または非イオン系の界面活性剤が好ましく、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、多価アルコール脂肪酸エステルの非イオン界面活性剤乳化物等が好ましい。例えば、リポオイルNT−6、NT12、NT−33、TC−1、TC−68、TC−78、CW−6、TCF−208、TCF−608、NKオイルCS−11、AW−9、AW−10、AW−20、ポリソフターN−606、塗料用添加剤PC−700(日華化学株式会社製)等が用いられる。
【0162】
本発明に係る低屈折率層は、酸化珪素等の珪素化合物微粒子あるいはフッ素含有化合物微粒子等を塗設して設けることが好ましい。好ましい有機けい素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができ、これらを加水分解することによりシリケートオリゴマーが得られる。加水分解反応は、公知の方法により行うことができ、例えば、上記テトラアルコキシシランに所定量の水を加えて、酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら、通常、室温〜100℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、続いて縮合反応が起こり、ヒドロキシル基を2個以上有する液状のシリケートオリゴマー(通常、平均重合度は2〜8、好ましくは3〜6)を加水分解物として得ることができる。
【0163】
硬化触媒としては、酸、アルカリ、有機金属、金属アルコキシド等を挙げることができるが、本発明においては酸、特にスルホニル基またはカルボキシル基を有する有機酸が好ましく用いられる。例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メチルスルホン酸等が用いられる。有機酸は1分子内に水酸基とカルボキシル基を有する化合物であればいっそう好ましく、例えば、クエン酸または酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸が用いられる。
また、有機酸は水溶性の酸であることが更に好ましく、例えば上記クエン酸や酒石酸の他に、レブリン酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルコハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸、2−オキソグルタル酸、グリコール酸、D−グリセリン酸、D−グルコン酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、イソクエン酸、乳酸等が好ましく用いられる。また、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アトロバ酸等も適宜用いることができる。
【0164】
上記有機酸を用いることで、硫酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、ホウ酸等の無機酸の使用による生産時の配管腐蝕や安全性への懸念が解消できるばかりでなく、加水分解時のゲル化を起こすことなく、安定した加水分解物を得ることができる。添加量は、部分加水分解物100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部がよい。また、水の添加量については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上であればよく、100〜300%相当量、好ましくは100〜200%相当量を添加するのがよい。
【0165】
このようにして得られた低屈折率層用の塗布組成物は極めて安定である。
更に、本発明では熟成工程により、有機けい素化合物の加水分解、縮合による架橋が充分に進み、得られた被膜の特性が優れたものとなる。熟成は、オリゴマー液を放置すればよく、放置する時間は、上述の架橋が所望の膜特性を得るのに充分な程度進行する時間である。具体的には用いる触媒の種類にもよるが、塩酸では室温で1時間以上、マレイン酸では数時間以上、8時間〜1週間程度で充分であり、通常3日前後である。熟成温度は熟成時間に影響を与え、極寒地では20℃付近まで加熱する手段をとった方がよいこともある。一般に高温では熟成が早く進むが、100℃以上に加熱するとゲル化が起こるので、せいぜい50〜60℃までの加熱が適切である。また、本発明で用いるシリケートオリゴマーについては、上記の他に、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基等の官能基を有する有機化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)等により変性した変性物であってもよく、単独または上記シリケートオリゴマーと併用することも可能である。
【0166】
また、本発明においては上記低屈折率層に酸化けい素微粒子を含有させることができる。粒径0.1μm以下の酸化けい素微粒子を含むことが好ましい。例えば、アエロジル200V(日本アエロジル(株)製)等を添加することができる。特に表面がアルキル基で修飾された酸化けい素微粒子が好ましく用いられ、例えばアエロジルR972、R972V(日本アエロジル(株)製)として市販されている表面がメチル基で修飾された酸化けい素微粒子を好ましく添加することができる。このほか特開2001−2799号に記載されている表面がアルキル基で置換された酸化けい素微粒子を用いることもでき、前述のシリケートオリゴマーの加水分解後にアルキルシランカップリング剤により処理することでも容易に得ることができる。添加量としては低屈折率層中の固形分比率で0.1質量%〜40質量%の範囲となるように添加することが好ましい。
【0167】
本発明の各屈折率層には、屈折率の調整あるいは膜質の改善のために更にシラン化合物を添加することができる。
【0168】
本発明に係る高〜低屈折率層(光学干渉層ともいう)を塗設する際の塗布液に使用する溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0169】
また、分子内にエーテル結合をもつものが特に好ましく、グリコールエーテル類が更に好ましい。
【0170】
グリコールエーテル類としては、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルであり、具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。また、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルとしては特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられ、具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒は、塗布液中に全有機溶媒の1質量%〜90質量%添加されていることが好ましい。
【0171】
また、本発明に係る高〜低屈折率層の各層の塗布液には各種のレベリング剤、界面活性剤、シリコンオイル等の低表面張力物質を添加することが好ましい。
【0172】
本発明に係る中〜高屈折率層及び低屈折率層の塗設後、金属アルコキシドを含む組成物の加水分解または硬化を促進するため、活性線を照射することが好ましい。より好ましくは、各層を塗設するごとに活性エネルギー線を照射することである。
【0173】
本発明に使用する活性線は、活性線硬化型樹脂層の硬化で用いるのと同様の光源を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm〜10,000mJ/cmが好ましく、更に好ましくは、100mJ/cm〜2,000mJ/cmであり、特に好ましくは、400mJ/cm〜2,000mJ/cmである。
【0174】
紫外線を用いる場合、多層の反射防止層を1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよいが、多層を積層した後、紫外線を照射することが特に好ましい。
【0175】
次いで、CVD法による反射防止層の形成方法について説明する。
本発明の反射防止フィルムにおいて、CVD法の中でも、特に好ましい大気圧プラズマ法による金属化合物層(反射防止層)の形成方法について説明する。
【0176】
本発明の反射防止フィルムにおいては、本発明に記載の効果を得るために、CVD法により複数の金属化合物層を上記のハードコート層上に設けることが好ましく、特に好ましくは大気圧プラズマ法により形成することである。金属化合物層は、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下にある電極間隙に、好ましくは窒素あるいはアルゴン、ヘリウムを主体とする反応ガスを供給してプラズマ放電処理することにより形成される。
【0177】
このプラズマ放電処理方法は、常圧プラズマ法あるいは大気圧プラズマ放電処理方法とも呼ばれている方法(以下、この大気圧またはその近傍の圧力下のプラズマ放電処理を単にプラズマ放電処理と略すことがある)で、大気圧またはその近傍の圧力下にある対向電極間の間隙に反応ガスを供給して放電することにより発生させたプラズマによって、ハードコート層上に薄膜を形成させるものである。本発明でいう大気圧またはその近傍の圧力とは、20〜200kPaの圧力であり、特に90〜110kPaを意味する。
【0178】
本発明に係る反射防止層の形成方法においては、長時間連続的に樹脂フィルム基材上に設けたハードコート層上に金属化合物層を形成することができ、金属酸化物薄膜層のクラックの発生が少なく、更に、防眩機能、反射防止機能、鮮鋭性及び視認性に優れた反射防止層を得ることができる。
【0179】
本発明で金属化合物層を設ける場合、塗布、スパッタ、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成された金属化合物層と組み合わせて用いることも可能である。好ましくは1層以上が窒素を主成分とする雰囲気下での大気圧プラズマ処理によって形成された金属化合物層を有することであり、更に好ましくは2層以上が窒素を主成分とする雰囲気下での大気圧プラズマ処理によって形成された金属化合物層を有することである。
【0180】
本発明においては、ハードコート層を付与した樹脂フィルム基材上に、金属化合物層を設けることが特に好ましい。上記構成層を有する樹脂フィルム基材の最上層(防眩層)に低屈折率の金属化合物層を形成し、その間に高屈折率層の金属化合物層を形成したり、更にはハードコート層と高屈折率層との間に更に中屈折率層(金属酸化物の量あるいは、金属の種類を変更して)を設けることは、反射率の低減のために、好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、樹脂フィルム基材の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。金属化合物層の厚さは、5nm〜200nmの範囲で反射率等を考慮して決定される。金属化合物層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。金属化合物層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。本発明においては、前述の塗布によって形成された金属化合物層を併せて有しても良く、その場合は無機微粒子とバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
【0181】
金属化合物層に用いる無機微粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることがさらに好ましい。無機微粒子の一次粒子の重量平均粒子径は、1nm〜150nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがさらに好ましく、1nm〜80nmであることが最も好ましい。層中での無機微粒子の重量平均粒子径は、1nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜150nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることがさらに好ましく、10nm〜80nmであることが最も好ましい。無機微粒子の平均粒径は、20nm〜30nm以上であれば光散乱法により、20nm〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。無機微粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10m/g〜400m/gであることが好ましく、20m/g〜200m/gであることがさらに好ましく、30m/g〜150m/gであることが最も好ましい。
【0182】
無機微粒子は、金属の酸化物から形成された粒子である。金属の酸化物または硫化物の例として、二酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられる。中でも、二酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが挙げられる。
【0183】
無機微粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が挙げられる。なかでもアルミナおよびシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。なかでも、シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。
無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状または不定形状であることが好ましい。二種類以上の無機微粒子を金属化合物層に併用してもよい。
【0184】
金属化合物層中の無機微粒子の割合は、5体積%〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10体積%〜60体積%であり、さらに好ましくは20体積%〜55体積%である。
【0185】
本発明においては、プラズマ放電処理によって金属化合物層を形成する方法が好ましく、以下に、プラズマ放電処理により金属化合物層を形成する方法を図6、7を用いて説明する。
【0186】
図6は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0187】
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図6には図示してないが、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
【0188】
プラズマ放電処理装置110は、第1電極111と第2電極112から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極111には第1電源121からの第1の周波数ωの高周波電圧Vが印加され、また第2電極112には第2電源122からの第2の周波数ωの高周波電圧Vが印加されるようになっている。第1電源121は第2電源122より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有していればよく、また第1電源121の第1の周波数ωと第2電源122の第2の周波数ωは、ω<ωの関係にある。
【0189】
第1電極111と第1電源121との間には、第1電源121からの電流121Aが第1電極111に向かって流れるように第1フィルター123が設置されており、第1電源121からの電流121Aをアース側へと通過しにくくし、第2電源122からの電流122Aがアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0190】
また、第2電極112と第2電源122との間には、第2電源122からの電流122Aが第2電極112に向かって流れるように第2フィルター124が設置されており、第2電源122からの電流122Aをアース側へと通過しにくくし、第1電源121からの電流121Aをアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0191】
第1電極111と第2電極112との対向電極間(放電空間)113に、ここでは図示してない(後述の図7に図示してあるような)ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極111と第2電極112から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と樹脂フィルム基材1とで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る樹脂フィルム基材1の上に、処理位置114付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、ここでは図示してない(後述の図9に図示してあるような)電極温度調節手段から配管を経て電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の表面の温度を均等に調節することが望まれる。
【0192】
また、図6に前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。125及び126は高周波プローブであり、127及び128はオシロスコープである。
【0193】
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることが出来るので、複数回処理することで高速処理することも出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
【0194】
図7は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0195】
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置130、二つの電源を有する電圧印加手段140、ガス供給手段150、電極温度調節手段160を有している装置である。
【0196】
図7は、ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との対向電極間(放電空間)132で、樹脂フィルム基材1をプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
【0197】
ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との間の放電空間(対向電極間)132に、ロール回転電極(第1電極)135には第1電源141から周波数ωであって高周波電圧Vを、また角筒型固定電極群(第2電極)136には第2電源42から周波数ωであって高周波電圧Vをかけるようになっている。
【0198】
ロール回転電極(第1電極)135と第1電源141との間には、第1電源141からの電流がロール回転電極(第1電極)135に向かって流れるように第1フィルター143が設置されている。該第1フィルターは第1電源141からの電流をアース側へと通過しにくくし、第2電源142からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)136と第2電源142との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター144が設置されている。第2フィルター144は、第2電源142からの電流をアース側へと通過しにくくし、第1電源141からの電流をアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0199】
なお、ロール回転電極135を第2電極、また角筒型固定電極群136を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有しており、また、周波数はω<ωとなる能力を有している。
【0200】
なお、放電ガスがヘリウムまたはアルゴンを主成分とする場合は、いずれか一方の電源のみを使用して放電することもできる。
【0201】
ガス供給手段150のガス供給装置151で発生させたガスGは、流量を制御して給気口152よりプラズマ放電処理容器131内に導入する。放電空間132及びプラズマ放電処理容器131内をガスGで満たす。
【0202】
樹脂フィルム基材1は、前工程であるハードコート層形成工程から搬送されて来て、ガイドロール164を経てニップロール165で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極135に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群136との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)135と角筒型固定電極群(第2電極)136との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)132で放電プラズマを発生させる。樹脂フィルム基材1はロール回転電極135に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。樹脂フィルム基材1は、ニップロール166、ガイドロール167を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0203】
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口153より排出する。図7では省略しているが、角筒型固定電極群136の間にはガスGの供給口または排ガスG′の排出口が交互に設けられている。
【0204】
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)135及び角筒型固定電極群(第2電極)136を加熱または冷却するために、電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管161を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、168及び169はプラズマ放電処理容器131と外界とを仕切る仕切板である。
【0205】
図8は、図7に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0206】
図8において、ロール電極135aは導電性の金属質母材135Aとその上に誘電体135Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて、電極表面の温度調節が行われるようになっている。即ち、放電中の電極表面の温度を制御するための媒体(水または純水、シリコンオイル等)を循環できるようになっている。
【0207】
図9は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0208】
図9において、角筒型電極136aは、導電性の金属質母材136Aに対し、図8同様の誘電体136Bの被覆を有し、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、内部に温度制御された媒体(水又は純水、シリコンオイル等)を循環出来るようになっている。放電中の電極表面の温度調節が行えるようになっている。
【0209】
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール回転電極135に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0210】
図7に示した角筒型電極136は、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。また、角筒型電極の角は、半径1〜20mmの丸みを有していても良く、またロール電極放電面に対して略平行もしくは±10°程度以内で、傾けて配置してもよい。図6における電極111、112も同様である。
【0211】
図8及び9において、ロール電極135a及び角筒型電極136aは、それぞれ導電性の金属質母材135A及び136Aの上に誘電体135B及び136Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ、窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0212】
導電性の金属質母材135A及び136Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料等を挙げることが出来るが、後述の理由から、チタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0213】
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5mm〜2mmである。
【0214】
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
【0215】
プラズマ放電処理容器131はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図6において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
【0216】
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0217】
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
【0218】
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
【0219】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力は、好ましくは1W/cm〜50W/cmであり、更に好ましくは、1.2W/cm〜20W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0220】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0221】
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0222】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、更に好ましくは5×10−6/℃以下、更に好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0223】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
金属質母材 誘電体
(a)純チタンまたはチタン合金 セラミックス溶射被膜
(b)純チタンまたはチタン合金 ガラスライニング
(c)ステンレススティール セラミックス溶射被膜
(d)ステンレススティール ガラスライニング
(e)セラミックスと鉄の複合材料 セラミックス溶射被膜
(f)セラミックスと鉄の複合材料 ガラスライニング
(g)セラミックスとアルミの複合材料 セラミックス溶射皮膜
(h)セラミックスとアルミの複合材料 ガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(a)または(b)および(e)〜(h)が好ましく、特に、(a)が好ましい。
【0224】
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
【0225】
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
【0226】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0227】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0228】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。
この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
【0229】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0230】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiO)を主成分として含有するものが好ましい。
【0231】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0232】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0233】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiO(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiO含有量は、XPS(X線光電子スペクトル)により誘電体層の断層を分析することにより測定できる。
【0234】
本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが好ましいが、更に好ましくは、8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化出来ること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることが出来る。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0235】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0236】
本発明に係る金属化合物層の形成方法に用いる反応ガスについて説明する。
薄膜層を形成するための反応ガスは、主に窒素を含むガスであることが好ましい。すなわち、窒素ガスが50%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは70%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは90体積%〜99.99体積%であることが望ましい。反応ガスには窒素のほかに希ガスが含有していてもよい。
【0237】
ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等であり、本発明では、ヘリウム、アルゴン等が窒素に添加されて用いられてもよい。
【0238】
窒素ガスは安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、反応ガスには薄膜を形成するための原料として、反応性ガスが添加される。該プラズマ中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、基材表面に堆積あるいは付着するなどして薄膜が形成される。
【0239】
更に、反応ガス中に酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化窒素、水、過酸化水素、オゾン等を0.1体積%〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することができる。
【0240】
本発明に有用な反応ガスは、様々な物質の原料ガスを添加したものを用いることによって、様々な機能を持った薄膜を樹脂フィルム基材上に形成することができる。ここでいう原料ガスとはプラズマ処理により薄膜を形成するためのガスであり、金属化合物層を形成する場合、金属化合物のガスを意味する。
【0241】
本発明に有用な原料ガスとしての有機金属化合物としては、特に限定されないが、Al、As、Au、B、Bi、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Se、Si、Sn、Ti、Zr、Y、V、W、Zn,Ta等の金属酸化物を形成するための金属化合物を挙げることができる。
【0242】
例えば、Ti、Zr、In、Sn、Zn、Ge、Si、Taあるいはその他の金属を含有する有機金属化合物、金属水素化合物、金属ハロゲン化物、金属錯体を用いて、これらの金属化合物層(金属酸化物層、金属酸化物窒化物層も含む)または金属窒化物層等を形成することができ、これらの層は反射防止層の中屈折率層または高屈折率層としたり、あるいは導電層または帯電防止層とすることもできる。
【0243】
また、フッ素含有有機化合物で防汚層や低屈折率層を形成することもでき、珪素化合物でガスバリア層や低屈折率層あるいは防汚層を形成することもできる。
本発明は、高、中屈折率層と低屈折率層を交互に多層を積層して形成される反射防止層の形成に特に好ましく用いられる。
【0244】
本発明において、反応性ガスとして有機金属化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により樹脂フィルム基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の原料ガスとしての金属化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0245】
原料ガスについてさらに詳細に説明する。
反射防止層の高屈折率層を形成するには、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラジメチルアミノチタンなどの有機アミノ金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタルなどの金属アルコキシドなどを挙げることができ、これらを用いて金属化合物層を形成することができる。
【0246】
亜鉛化合物としては、ジンクアセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛などがあげられ、錫化合物としては、テトラエチルスズ、テトラメチルスズ、二酢酸ジ−n−ブチルすず、ビス(2−エチルヘキサン酸)ジブチルすず、二酢酸ジブチルすず、酸化ジブチルすず、二ラウリン酸ジブチルすず、テトラメチルすず、テトラエチルすず、テトラブチルすず、テトラプロピルすず、テトラオクチルすず等の有機錫化合物が好ましく用いられ、インジウム化合物としてはトリエチルインジウム、トリメチルインジウムなどが好ましく用いられる。
【0247】
大気圧プラズマ処理では原料ガスにフッ素含有有機化合物を用いることでフッ素化合物含有層を形成することもできる。
【0248】
フッ素含有有機化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。
【0249】
具体的には、フッ素含有有機化合物としては、例えば、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;
二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物、アルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体等を挙げることができる。
【0250】
これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等の各ガスを挙げることができる。
【0251】
更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0252】
また、これらの化合物は分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。また、上記の化合物は混合して用いても良い。
【0253】
本発明に有用な反応性ガスにフッ素含有有機化合物を用いる場合、プラズマ放電処理により樹脂フィルム基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしてのフッ素含有有機化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいく、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0254】
また、本発明に好ましく用いられるフッ素含有、有機化合物が常温常圧で気体である場合は、反応性ガスの成分としてそのまま使用できる。
【0255】
また、フッ素含有有機化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0256】
本発明に有用な反応性ガスとしての珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シラン、四フッ化珪素などの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、などのアルコキシシラン、オルガノシラン等、3,3,3−トリフルオロメチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン類を用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0257】
また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。あるいは別の有機化合物を添加して膜の物性を変化あるいは制御することもできる。
【0258】
また、珪素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、タンタル化合物等の金属化合物を放電部へ導入するには、両者は常温常圧で気体、液体または固体いずれの状態であっても使用し得る。
【0259】
気体の場合は、そのまま放電部に導入できるが、液体や固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の気化手段により気化させて使用することができる。この目的のため、市販の気化器が好ましく用いられる。
【0260】
珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなどのように常温で液体で、且つ、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが本発明の金属酸化物薄膜層の形成する方法に好適である。上記金属アルコキシドは、有機溶媒によって希釈して使用しても良く、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、アセトンなどの有機溶媒またはこれらの混合有機溶媒を使用することができる。
【0261】
表1、表2に好ましい反応ガス組成の一例を示すが、これらのみに限定されない。
【0262】
【表1】
Figure 2004341017
【0263】
【表2】
Figure 2004341017
【0264】
これらはあらかじめ調整されたガスとして放電部に供給してもよいし、放電部近傍で2種以上のガスを混合して下記ガス組成としてもよい。水素、酸素等の添加ガスはあらかじめ窒素もしくは希ガスなどによって希釈されたものを放電空間に導入することが、連続製膜の際に薄膜の物性が安定するため好ましい。
【0265】
また、反応ガスは室温〜200℃に加温して放電部に供給されることが好ましく、更に好ましくは50〜150℃であり、更に好ましくは70〜120℃であり、特に90〜110℃であることが好ましい。温度が高いほど得られる金属化合物層が緻密で、硬度に優れた膜が得られるが高すぎると基材が変形することがある。
【0266】
供給ガスの温度は一定であることが、連続製膜において、膜厚や膜質を安定するために好ましく、温度変動は±10℃以内であることが好ましく、±5℃以内であることが更に好ましく、±1℃以内であることが更に好ましく±0.1℃以内であることが特に好ましい。また、幅手方向でのバラツキも同様に少ないことが好ましい。
【0267】
供給ガスの供給量も一定であることが好ましい。放電部へのガス供給量としては、反応ガス供給量(ml/秒)/放電空間の容積(ml)に対して、10−2〜10(1/秒)とすることができ、適宜調整される。
【0268】
以上の方法により酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等の非晶性の金属酸化物層を好ましく作製することができる。また、これらの非晶性の金属酸化物層は熱処理により、あるいはレーザーなどのエネルギーを与えることによって結晶化させることもできる。
【0269】
本発明に係る金属化合物層の膜厚としては、1nm〜1000nmの範囲のものが好ましく得られる。
【0270】
本発明の反射防止フィルムは、例えば、ハードコート層上に低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層を有する防眩性反射防止フィルム、または導電層、帯電防止層を有する防眩性反射防止フィルム等に好ましく用いることができる。
【0271】
本発明において、プラズマ放電装置を複数設けることによって、多層の薄膜を連続的に設けることができ、薄膜のムラもなく多層の積層体を形成することができる。複数の層を1パスで連続的に形成するためには、各層が所定の薄膜形成速度となるように調整されることが必要である。そのため、各層形成後膜厚を測定するか、反射スペクトルを測定し、その結果に基づいて薄膜形成速度をフィードバック制御することが好ましい。これによって、一定の速度で搬送される基材フィルム上に異なる組成あるいは異なる膜厚の薄膜を1パスで連続的に形成することができる。各層の薄膜形成速度を制御する方法としては、特に限定はないが、放電の印加電圧、電流、周波数、パルス条件等の放電条件、反応ガス中の各成分の比率(窒素濃度、酸素あるいは水素等の添加ガス濃度、種類、原料ガス濃度)、反応ガス供給量、電極間距離、放電部の気圧、基材温度、電極温度、反応ガス温度、放電部の温度、放電面積の変更等があげられるが、これらのみに限定されるものではない。これらの1つ以上の条件を適宜組み合わせることによって、製膜される薄膜の膜質を大きく変えることなく、薄膜形成速度を制御することができる。
【0272】
例えば、樹脂フィルム基材に本発明で規定する方法により設けたハードコート層上に反射防止層を有する反射防止フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.3の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層をハードコート層表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0273】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された金属化合物層、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタルを有する層が好ましい。
【0274】
本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にアルキル基を有するシラン化合物またはフッ素含有有機化合物ガス存在下で大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理して防汚層を設けてもよい。あるいは公知の防汚層、例えば、フルオロアルキルシラン等含む組成物を塗設することもでき、好ましくは純水の接触角が90°以上の防汚層(膜厚1〜10nm)を表面に有する。
【0275】
以上のようにして作製した反射防止フィルムは、偏光板保護フィルムとして好ましく用いることができ、偏光子の少なくとも片側に積層し、貼合されて偏光板とすることができ、あるいは有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置の前面板としても有用である。
【0276】
本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板、それを用いた表示装置について説明する。
【0277】
偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。これらは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
【0278】
偏光板は、こうして得られた偏光子と本発明の防眩性反射防止フィルムと貼合して得られる。あるいは、防眩性反射防止フィルムに塗布することにより偏光子を設けてもよい。
【0279】
本発明に係る偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の防眩性反射防止フィルムをアルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。上記記載のアルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理を示す。このとき、反射防止層の表面には再剥離性の保護フィルム(例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、またはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂製)を設けることにより、アルカリや汚れから保護することができる。
【0280】
本発明の反射防止フィルムを一方の偏光板保護フィルムとして用いた場合、もう一方の偏光板保護フィルムには、光学補償機能を持たせることができる。例えば、直接または配向層を介して、液晶(ディスコチック液晶、棒状液晶)を塗布して配向、固定化した光学異方層(例えば、ハイブリッド配向で固定化した層)を設け、これを偏光板保護フィルムとして用いて視野角拡大効果を有する偏光板を作製することもできる。
【0281】
代表的な偏光板の構成を、以下に示す。
防汚層/反射防止層/ハードコート層/セルロースエステルフィルム/偏光子/セルロースエステルフィルム/配向層/光学異方層(液晶セル側)
この様にして得られた偏光板は、液晶セルの一方の面もしくは、両面に設けてもよい。本発明の反射防止フィルムは、反射防止層が外側を向くように液晶セルに貼りつけ、表示装置が得られる。本発明の反射防止フィルムを用いることによって、高精細でありながら視認性に優れた表示装置を提供することができる。
【0282】
【実施例】
以下、実施例を示し本発明の構成と効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0283】
実施例1
《樹脂フィルム基材の作製》
下記のように各種添加液、各種ドープを調製して、樹脂フィルム基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0284】
(セルロースエステルフィルムの作製)
〈酸化けい素分散液Aの調製〉
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 1kg
エタノール 9kg
以上をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行い、酸化けい素分散液Aを調製した。
【0285】
〈添加液Bの調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 6kg
メチレンクロライド 140kg
以上を密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化けい素分散液Aを撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液Bを調製した。
【0286】
〈ドープCの調製〉
メチレンクロライド 440kg
エタノール 35kg
セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 100kg
トリフェニルホスフェート 10kg
エチルフタリルエチルグリコレート 2kg
チヌビン326(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.3kg
チヌビン109(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.5kg
上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。更に上記溶液に添加液Bを3kg添加し、インラインミキサー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixer、SWJ)で混合し、濾過し、ドープCを調製した。
【0287】
ドープCを濾過した後、ベルト流延装置を用い、35℃のドープを35℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、支持体上で乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からフィルムを剥離した。このときのフィルムの残留溶媒量は80%であった。ステンレスバンド支持体から剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで1分間乾燥させた後、2軸延伸テンターを用いて、残留溶媒量3〜10質量%であるときに100℃の雰囲気下で長手方向に0.98倍、幅方向に1.1倍に延伸し、幅把持を解放して、多数のロールで搬送させながら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施して、幅1.4m、長さ2500m、膜厚80μmの長尺広幅のセルロースエステルフィルムを作製した。
【0288】
《反射防止フィルム1の作製》
〔活性線硬化型樹脂層の形成〕
セルロースエステルフィルムの一方の面に、図2に記載の方法に従って、下記の活性線硬化型樹脂層塗布組成物をスリットダイで塗布した後、同一曲率の円形のヒートロール10(トクデン社製中空ジャケットロール φ800mm)に部分的に巻き付けて、ヒートロール内のへの熱媒体の温度を80℃に制御しながら、活性線照射部より150mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの活性線硬化型樹脂層を設けた。
【0289】
〈活性線硬化型樹脂層塗布組成物〉
Figure 2004341017
〔反射防止層の形成〕
上記の様にして形成した活性線硬化型樹脂層上に、下記のようにして中屈折率層、高屈折率層、次いで、低屈折率層の順に反射防止層を塗設し、反射防止フィルム1を作製した。
【0290】
(中屈折率層の塗布)
セルロースエステルフィルムの活性線硬化型樹脂層上に、下記中屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さが78nmとなるように中屈折率層を設けた。なお、この中屈折率層の屈折率は1.70であった。
【0291】
〈中屈折率層組成物〉
イソプロピルアルコール 510質量部
水 2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 227質量部
メチルエチルケトン 84質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 39質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 6質量部
5%アクリル樹脂溶液(三菱レーヨン(株)製、ダイヤナールBR−102、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解) 31質量部
10%シリコーンオイル(信越化学工業(株)社製KF−96−1,000CS、溶媒:メチルエチルケトン) 1.5質量部
(高屈折率層の形成)
上記中屈折率層上に、下記の高屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さが66nmとなるように高屈折率層を設けた。尚、この高屈折率層の屈折率は1.85であった。
【0292】
〈高屈折率層組成物〉
イソプロピルアルコール 445質量部
水 1.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 223質量部
メチルエチルケトン 73質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 545質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 0.8質量部
10%シリコーンオイル(信越化学工業(株)社製KF−96−1,000CS、溶媒:メチルエチルケトン) 1.4質量部
(低屈折率層の形成)
上記高屈折率層上に、下記の低屈折率層組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、更に120℃で1分間熱硬化させ、さらに紫外線を175mJ/cm照射して硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設けた。尚、この低屈折率層の屈折率は1.45であった。
【0293】
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン580gとエタノール1144gを混合し、これにクエン酸水溶液(クエン酸1水和物5.4gを水272gに溶解したもの)を添加した後に、室温(25℃)にて1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
【0294】
〈低屈折率層組成物〉
プロピレングリコールモノメチルエーテル 303質量部
イソプロピルアルコール 305質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 139質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 1.6質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 1.3質量部
《反射防止フィルム2の作製》
上記反射防止フィルム1の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、図2に記載の方法に代えて、図1に記載の方法により活性線硬化型樹脂層を設けた以外は同様にして、反射防止フィルム2を作製した。
【0295】
図1の構成において、温度制御ロール4は中空ジャケットロール(トクデン社製ジャケットロール φ200mm)を使用し、温度はエンドレス金属ベルト5の温度が80℃となるように設定した。また、図1には記載していないが、各小径ロール6に接触するように、複数のバックアップロールを配置した。エンドレス金属ベルト5は、厚さ1.5mmのステンレススチール製1.0tを使用した。また、送風部7より吹き付ける温度制御風の温度は、70℃とし、活性線照射部より150mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの活性線硬化型樹脂層を設けた。
【0296】
なお、上記構成において、活性線照射部の照射開始位置の曲率半径は400mm、また活性線照射部の照射頂部における曲率半径は200mmであった。
【0297】
《反射防止フィルム3の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、図1に記載の方法に代えて、活性線照射装置の活性線照射軸を傾けた図3に記載の方法により活性線硬化型樹脂層を設けた以外は同様にして、反射防止フィルム3を作製した。なお、活性線照射装置の活性線照射軸は、垂直方向に対し右に30度傾けて配置した。
【0298】
《反射防止フィルム4の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、図1に記載の方法に代えて、図4のa−1)、a−2)に記載の方法により活性線硬化型樹脂層を設けた以外は同様にして、反射防止フィルム4を作製した。
【0299】
《反射防止フィルム5の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、図1に記載の方法に代えて、図5のc)に記載の方法により活性線硬化型樹脂層を設けた以外は同様にして、反射防止フィルム5を作製した。
【0300】
《反射防止フィルム6の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、図1に記載の方法に代えて、図5のf)に記載の方法により活性線硬化型樹脂層を設けた以外は同様にして、反射防止フィルム6を作製した。
【0301】
《反射防止フィルム7の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、温度制御ロールの制御温度を20℃に変更した以外は同様にして、反射防止フィルム7を作製した。
【0302】
《反射防止フィルム8の作製》
上記反射防止フィルム2の作製において、活性線硬化型樹脂層の形成方法として、温度制御ロールの制御温度を130℃に変更した以外は同様にして、反射防止フィルム8を作製した。
【0303】
《反射防止フィルムの評価》
以上により作製した反射防止フィルム1〜8について下記の各評価を行った。
【0304】
(平面性の評価)
上記作製した各反射防止フィルムの両端部より、10cm×10cmの評価サンプルを切り出し、60℃、90%RHの雰囲気下で48時間放置した後、常法に従いカール度及び平面性の変化を評価し、以下の基準に則り判定を行った。
【0305】
◎:ほとんどカールが認められず、また平面性にも優れている
○:弱いカールが認められるが、平面性の大きな劣化は認められない
△:カール度は高いが、平面性に関しては実用上許容範囲内の品質である
×:著しくカール度が高くなり、端部に波状の変形が発生し平面性も劣る
(斑むら耐性の評価)
各反射防止フィルム表面を目視で観察し、以下の基準に則り斑むら耐性の評価を行った。
【0306】
A:極めて良好な表面状態である
B:斑ムラ、スジなどの故障が僅かに発生している
C:斑ムラ、スジなどの故障が散発している
D:斑ムラ、スジなどの故障が、両端部に発生している
E:斑ムラ、スジなどのムラが全幅に発生している。
【0307】
(反射性の評価)
作製した各反射防止フィルムの反射光の色むらを1mについて目視により下記のようにランク評価した。
【0308】
A:反射光の色調変化が認められない
B:わずかに反射光の色調変化が認められる(面積の5%未満)
C:ごく一部に反射光の色調変化が認められる(面積の5%以上、10%未満)
D:部分的に反射光の色調変化が認められる(面積の10%以上、30%未満)
E:全体的に反射光の色調変化が認められる
(視認性の評価)
各反射防止フィルムの視認性については、反射防止フィルム1〜8を用いて下記のようにして偏光板1〜8を作製し、それらの偏光板を液晶表示パネルに組み込み、視認性を評価した。
【0309】
下記の方法に従って、反射防止フィルムとセルロースエステルフィルム(KC8UCR3、コニカ(株)製)を各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて偏光板を作製した。
【0310】
a)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
【0311】
b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0312】
工程1:長尺のセルロースエステルフィルムと各反射防止フィルムとを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。反射防止フィルムの反射防止層を設けた面にはあらかじめ剥離性の保護フィルム(ポリエチレン製)を張り付けて保護した。
【0313】
同様に長尺のセルロースエステルフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
【0314】
工程2:前述の長尺の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
【0315】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルロースエステルフィルムと各反射防止フィルムで挟み込んで、積層配置した。
【0316】
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
【0317】
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏光板1〜8を作製した。
【0318】
市販の液晶表示パネル(富士通製 VA型液晶表示装置:型名 VL−150SD)の両面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた偏光板1〜8を張り付けた。
【0319】
上記のようにして得られた液晶パネル1〜8を床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業(株)製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき評価者が液晶パネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さ(視認性)を下記のように評価した。
【0320】
○:蛍光灯の写り込み画像に歪みがなく、目が疲れない
×:蛍光灯の写り込み画像に歪みが発生し、目が疲れる
以上により得られた結果を表3に示す。
【0321】
【表3】
Figure 2004341017
【0322】
表3より明らかなように、本発明の反射防止フィルムは、比較例に対し、平面性、斑むら耐性及び反射性が良好で、また液晶パネルに使用した際の写り込みが気にならず、目が疲れないことが分かる。
【0323】
実施例2
実施例1に記載の反射防止フィルム1〜8の作製において、反射防止層を塗布方式に代えて、大気圧プラズマ放電処理装置を用いて設けた以外は同様にして、反射防止フィルム9〜16を作製した。
【0324】
下記の大気圧プラズマ放電処理装置により、各活性線硬化型樹脂層上に下記の特性からなる高屈折率層1、低屈折率層1、高屈折率層2、低屈折率層2をこの順に設けて各反射防止層を形成した。
【0325】
高屈折率層1:チタン酸化物層 膜厚23nm 屈折率2.00
低屈折率層1:珪素酸化物層 膜厚29nm 屈折率1.46
高屈折率層2:チタン酸化物層 膜厚77nm 屈折率2.00
低屈折率層2:珪素酸化物層 膜厚95nm 屈折率1.46
〔大気圧プラズマ放電処理装置〕
図7に示した大気圧プラズマ放電処理装置において、誘電体で被覆したロール電極及び同様に誘電体で被覆した複数の角筒型電極のセットを以下のように作製した。
【0326】
各層毎に、各1台のプラズマ放電処理装置を使用し、これらを連結して1パスで各層を連続して形成させた。
【0327】
第1電極となるロール電極(図8)は、冷媒を循環させることによる電極表面温度の制御手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、アルミナ溶射膜を被覆し、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax1μmとなるように加工した。最終的な誘電体の膜厚は1mm、誘電体の比誘電率は10であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は1.7×10−4で、耐熱温度は260℃であった。ロール電極には電極表面温度を制御するための温度制御された冷媒を循環できるようにし、80℃の温水を供給し、電極温度を制御した。
【0328】
一方、第2電極の角筒型電極(図9)は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。この角筒型電極の誘電体については上記ロール電極のものと同じである。角筒型電極内部にはそれぞれ電極表面温度を制御するための温度制御された冷媒を循環できるようにし90℃の温水を供給し、電極温度を制御した。
【0329】
このロール電極のまわりに角筒型電極を配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、130cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×最大20本(電極の数)であった。
【0330】
ロール電極のまわりに配置した複数の角筒型固定電極の間隙より、反応ガスの導入と使用済みガスの排気を交互に行った。1つの間隙に対して下記の流量で窒素を主成分とする反応ガスを導入した。
【0331】
大気圧プラズマ放電処理装置には、固定電極(角筒型電極)側に、連続周波数13.56MHz、電界強度0.8kV/mm(1/2Vp−p)の高周波電圧(パール工業社製高周波電源 CF−5000−13M)を供給し、ロール電極側には、連続周波数100kHz、電界強度10kV/mm(1/2Vp−p)の高周波電圧(ハイデン研究所製高周波電源 PHK−6k 連続モード)を供給した。また、ロール電極は、ドライブを用いてハードコート層を有するフィルムの搬送に同期して回転させた。
【0332】
ここでいう高周波の電界強度(印加電界強度 1/2Vp−p)とは、下記の方法に従って求めることができる。すなわち、高周波電界強度(単位:kV/mm)は、各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、この高周波プローブをオシロスコープ(例えば、Tektronix社製 TDS3012B)に接続して測定した。
【0333】
なお、固定電極とロール電極の間隙は0.5mm、反応ガスの圧力は大気圧下で行った。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。尚、反応ガス中の液体成分は気化器によって蒸気とし、ガス供給系の配管は原料ガスが凝結するのを防止するため保温しながらロール電極のまわりに配置された隣接する角筒型電極の間隙(1mm)より放電部に供給し、1箇所の間隙あたり下記に示したガスの割合で放電部に供給した。
【0334】
〈放電条件〉
ロール電極側:100kHz 10W/cm
固定電極(角筒型電極)側:13.56MHz 5W/cm
〈低屈折率層形成用の反応ガス組成〉
窒素:300L/min
酸素:15L/min
テトラエトキシシラン(蒸気):0.3g/min(リンテック社製の気化器にて気化させた)
ガス温度:90℃
〈高屈折率層形成用の反応ガス組成〉
窒素:300L/min
水素:2L/min
テトライソプロポキシチタン(蒸気):0.2g/min(リンテック社製の気化器にて気化させた)
ガス温度:90℃
《反射防止フィルムの評価》
以上により作製した反射防止フィルム9〜16について、実施例1に記載の方法と同様にして、平面性、反射性及び視認性の各評価を行い、得られた結果を、表4に示す。
【0335】
【表4】
Figure 2004341017
【0336】
表4より明らかなように、反射防止層をCVD法で形成した本発明の反射防止フィルムは、比較例に対し、実施例1と同様に、平面性、斑むら耐性及び反射性が良好で、また液晶パネルに使用した際の写り込みが気にならないことが分かる。更に、動画を表示した際の黒のしまりが良好で、かつ鮮鋭性に優れていることも確認することができた。
【0337】
【発明の効果】
本発明により、平面性、反射性に優れ、斑むらの発生が低減された光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法と、それを用いた視認性に優れた反射防止フィルム及び表示装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】従来型の樹脂フィルム基材を同一の曲率を有する加熱ロールに部分的に巻き付けたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【図3】活性線照射装置の活性線照射軸を傾けたハードコートフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
【図4】本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明で用いる搬送方向で曲率が変化する支持体と活性線照射部を有するハードコートフィルムの製造方法の様々な例を示す概略図である。
【図6】本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【図7】本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図8】図7に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図9】角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 樹脂フィルム基材
2 サポートロール
3 コータ
4 温度制御ロール
5 エンドレス金属ベルト
6 小径ロール
7 送風部
8 活性線照射装置
9 活性光源
10 ヒートロール
11 温度制御部
12 サポートロール
A 活性線照射部
D ドライヤー
110 プラズマ放電処理装置
111 第1電極
112 第2電極
120 電圧印加手段
121 第1電源
122 第2電源

Claims (5)

  1. 樹脂フィルム基材上に活性線硬化型樹脂を含む塗布層を形成した後、搬送方向で曲率が変化する支持体上に部分的に巻き付けて、該塗布層を30〜120℃の温度に加熱しながら活性線を照射し、活性線硬化型樹脂を硬化して表面保護層を形成することを特徴とする光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
  2. 前記搬送方向で曲率が変化する支持体上で、曲率が最も大きい部分近傍で活性線の照射強度が最大となるように活性線照射装置を配置したことを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
  3. 前記搬送方向で曲率が変化する支持体が、金属ベルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学薄膜形成用ハードコートフィルムの製造方法により製造された長尺の反射防止フィルムであって、幅が1.3〜4mであることを特徴とする反射防止フィルム。
  5. 請求項4に記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
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