JP2007098833A - 機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置 - Google Patents

機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い生産性を維持したまま、本来の機能性薄膜としての機能を損ねることなく、耐久性のある優れた防汚特性を持ち、かつ耐久性のある機械強度(例えば、耐擦傷性、密着性)を持った機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】表層付近に隣接する2つの層A、Bにおいて、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(1)を満足し、かつ最表層の動摩擦係数が0.45以下であり、更に水の接触角が90°以上であることを特徴とする機能性薄膜を有する物品。
式(1) 1.05≦X/Y≦1.23
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、及び反射防止フィルムに関し、より詳しくは、耐久性のある優れた防汚特性を有し、かつ耐久性のある機械的強度(例えば、耐擦傷性、密着性)を有した機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置に関する。
近年、ガラスやプラスチックなどの基材上に様々な機能を有した機能性薄膜を積層した薄膜形成体が種々な分野で用いられている。例えば、ディスプレイ分野では、映り込む外光の影響を小さくし視認性を向上させる目的で反射防止膜(低反射体とも呼ばれる)が一般的に利用されている。
また薄膜形成体が最表面に位置する場合には、表面の汚れを付くにくくしたり、汚れが容易に拭き取れるように防汚膜が一般的に利用されている。
これら反射防止膜や防汚膜に代表される機能性薄膜は、実際に使用される環境から、耐擦傷性、密着性などの機械的強度や耐久性が求められてきた。
特許文献1では、表層膜密度が隣り合う層との関係である一定以上とすることで耐熱性、耐薬品性、機械的性質、実用時の耐久性を向上させる方法について開示されている。
また特許文献2及び特許文献3では、反射防止膜最上層の金属酸化物或いは低屈折率層を大気圧プラズマ放電処理する事で膜の強度を向上させ、耐擦傷性を向上させる方法について開示されている。
一方、特許文献4では、大気圧プラズマによって励起されたガスをフッ素原子含有の薄膜形成性ガスに接触させて間接励起ガスを作り、基材に晒すことで優れた防汚特性を有する防汚膜の形成方法について開示している。
しかしながら、これらの方法では防汚特性及び機械的強度の耐久性が十分とは言えず、耐久性のある優れた防汚特性を持ち、かつ耐久性のある機械的強度を持った機能性薄膜が求められていた。
特開2004−198590号公報 特開2004−170523号公報 特開2005−165010号公報 特開2004−360039号公報
従って、本発明の目的は、高い生産性を維持したまま、本来の機能性薄膜としての機能を損ねることなく、耐久性のある優れた防汚特性を持ち、かつ耐久性のある機械強度(例えば、耐擦傷性、密着性)を持った機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
(1)表層付近に隣接する2つの層A、Bにおいて、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(1)を満足し、かつ最表層の動摩擦係数が0.45以下であり、更に水の接触角が90°以上であることを特徴とする機能性薄膜を有する物品。
式(1) 1.05≦X/Y≦1.23
(2)前記表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(2)を満足することを特徴とする前記(1)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
式(2) 1.08≦X/Y≦1.23
(3)前記最表層の動摩擦係数が0.40以下であり、かつ水の接触角が100°以上であることを特徴とする前記(1)または(2)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(4)大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により形成された励起ガスに接触させることで形成されてなることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(5)前記印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることを特徴とする前記(4)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(6)大気圧もしくはその近傍の圧力下で、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により形成された励起ガスに接触することで形成されてなることを特徴とする前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(7)前記第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1kHz〜200kHzであり、かつ前記第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることを特徴とする前記(6)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(8)大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが該放電により製膜されてなることを特徴とする前記(1)〜(3)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(9)前記印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることを特徴とする前記(8)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(10)大気圧もしくはその近傍の圧力下で、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により製膜されてなることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(11)前記第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1kHz〜200kHzであり、かつ前記第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることを特徴とする前記(10)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(12)最表層がフッ素原子を含有した防汚層であることを特徴とする前記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(13)前記防汚層が大気圧プラズマ放電処理により形成されてなることを特徴とする前記(12)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(14)機能性薄膜が反射防止層を含むことを特徴とする前記(1)〜(13)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(15)前記反射防止層がゾルゲル法による塗工法により形成されてなることを特徴とする前記(14)項に記載の機能性薄膜を有する物品。
(16)前記(1)〜(15)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品が透明樹脂フィルム上に形成されていることを特徴とする反射防止フィルム。
(17)前記(1)〜(15)項のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品または前記(16)項に記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
(18)反射防止層をゾルゲル法による塗工により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて前記(16)項に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
(19)反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマ放電処理により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて前記(16)項に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
(20)反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマ放電処理により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により該反射防止層表面に製膜を行い前記(16)項に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
本発明により、高い生産性を維持したまま、本来の機能性薄膜としての機能を損ねることなく、耐久性のある優れた防汚特性を持ち、かつ耐久性のある機械強度(例えば、耐擦傷性、密着性)を持った機能性薄膜を有する物品、機能性薄膜の製造方法、反射防止フィルム、及び表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は機能性薄膜を有する物品に関し、表層付近に隣接する2つの層A、Bにおいて、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(1)を満足し、かつ最表層の動摩擦係数が0.45以下であり、更に水の接触角が90°以上であることを特徴とする。
式(1) 1.05≦X/Y≦1.23
上記式を満足する2つの層A、Bを得る為に、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により形成された励起ガスに接触させることで形成されてなることが好ましく、更に、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に製膜原料ガスを含む混合ガス(以下薄膜形成性ガスともいう)を供給し、高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが該放電により製膜されてなることが好ましい。
また、機能性薄膜が反射防止層である場合に、該反射防止層をゾルゲル法による塗工により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて反射防止フィルムを形成することがことが好ましく、更に前記反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマ放電処理により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により該反射防止層表面に製膜を行うことが好ましい。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の機能性薄膜を有する物品とは、基材上の少なくとも一方の面に表層と該表層近傍に隣接する2つの層A、Bとを有してなる複数の機能性薄膜が積層されてなる物品をいう。従って本発明でいう表層とは、機能性薄膜が最小ユニットである表層と該表層近傍に隣接する2つの層A、Bの3層構成である場合には最表面の層を意味する。しかしながら表層は単一の層である必要はなく、複数の層からなっていてもよい。その為、本発明では表層中最も表面にある層を最表層という。
同様に、本発明でいう2つの層A、Bとは、明確な境界面を有する層だけをいうものではなく、もともと同一層であったものが、例えば本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理等により密度が違う層が新たに発生し、X線反射率法によって初めて密度が違う2層となっていることが分かるような場合を含めて2つの層という。
前述した様に、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時に、膜密度の比X/Yが、
式(1) 1.05≦X/Y≦1.23
であることが本発明の効果を得る上で必要であり、更に、
式(2) 1.08≦X/Y≦1.23
であることが好ましい。
膜密度の比X/Yが1.05未満では本発明の効果が得られ難く、1.23を超えると耐擦傷性は良好になるが、2層間の膜密度が離れすぎる為密着性やクラック耐性が劣ることになり、耐擦傷性と密着性のバランスをとるには上記範囲であることが必要となる。
層A、層Bの膜密度の測定は、X線反射率法を用いることが出来る。X線反射率法の概要はX線回折ハンドブック151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)が参照出来る。
(膜密度の測定法)
装置はマックサイエンス社製MXP21を用いた。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定した。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングの残差平方和が最小となるように各パラメータを求めた。各パラメータから所望の2層の膜厚とそれぞれの膜密度を求める。
前記2層の膜密度の比X/Yを上記範囲にするには、本発明では大気圧プラズマ放電処理の表面処理条件の調整により行うことが好ましく、例えば、表面処理の強度は高周波電源の周波数と印加パワーに依存する為、周波数を上げる程(例えば50kHz以上)、若しくは印加パワーを上げる程、表面処理効果は大きく膜密度は向上傾向にある。しかしながら、上げすぎると膜そのものにダメージを与えてしまったり、基材がフィルムの場合はフィルムが熱ダメージを受けるなどの悪影響が発生するので、処理基材などに併せた適度な印加条件が必要である。但し、50kHz未満の低周波電源での処理では、いくら印加パワーを上げても処理効果が認められない為、最低限の周波数としては50kHzが必要である。
また、大気圧プラズマ放電処理により薄膜形成を行う場合も、膜密度は基本的に表面処理と同じ傾向にあり、電源周波数及び印加パワーに依存する。製膜の場合は、より印加パワーをupさせる必要があり、後述する二周波印加が好ましい。
本発明の機能性薄膜は、特に限定されるものではないが、一例として反射防止、防眩、赤外線吸収、紫外線吸収、帯電防止、電磁波遮断、耐擦過性向上、防汚性向上、光学補償のための位相差性、視野拡大性等の機能を有する薄膜をいう。特に、反射防止や、防汚機能を有する薄膜であることが好ましく、機能性薄膜を有する物品が反射防止層が塗設された反射防止フィルムであることが好ましく、更に前記表層または最表層が防汚層であることが特に好ましい。
本発明の機能性薄膜を有する物品を、好ましい実施態様をもとに図をもって説明する。
図1は、本発明に係る機能性薄膜を有する物品の断面を示した模式図である。
本発明の機能性薄膜を有する物品は、表層近傍に隣接する2つの層A、Bにおいて、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、前記式(1)を満足する2層である為、図では高密度層、低密度層という記載も加えた。
図1は基材F上に機能性層1(例えば、ハードコート層)、機能性層2(例えば、低屈折率層)を塗布により設け、機能性層2の表面に表面処理(例えば、大気圧プラズマ放電処理)を行い薄い高密度層を形成し、結果として高密度層(層A)と低密度層(層B)の2層構成に変性し、更にその上に動摩擦係数が0.45以下であり、更に水の接触角が90°以上である機能性層3(例えば、防汚層)を好ましくは大気圧プラズマ放電処理等により設けている模式図である。
図2は本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。
図2では基材F上に機能性層1(例えば、ハードコート層)、機能性層2(例えば、低屈折率層、層B)を塗布により設け、その上に例えば大気圧プラズマ放電処理により機能性層2と同一組成の薄い高密度層(層A)を新たに製膜し、更に機能性層3を設けている模式図である。
図1では塗布で形成した機能性層2の表面を大気圧プラズマ等により表面処理し、例えば機能性層2の最表面10nm以下の領域に高密度層(層A)を形成する。また、図2では塗布で形成した機能性層2の表面に大気圧プラズマ放電処理等により機能性層2と同一組成の膜を新たに形成することで、機能性層2の表面に10nm以下の高密度層(層A)を形成する様子を示している。図1は請求項4に係る本発明の機能性薄膜を有する物品であり、図2は請求項8に係る本発明の機能性薄膜を有する物品である。
上記方法は、塗布により機能性層をオンラインで一時に形成し、更に連続して大気圧プラズマ等の表面処理、或いは製膜によって高密度層(層A)を形成することで、比較的小規模な生産ラインで連続したオンライン処理で一度に機能性薄膜を形成出来る為、生産性が非常に高い。
また、例えば表面処理或いは比較的薄い膜厚の大気圧プラズマ放電処理による製膜の場合は、大気圧プラズマ放電処理装置は小さい装置で済み、設備コストが小さく、また設置スペースも小さくて済み、生産性の高い装置構成で済むという利点もある。
図3は本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。
図3では基材F上に機能性層1(例えば、ハードコート層)、機能性層2(例えば、低屈折率層、層B)を塗布により設け、その上に例えば大気圧プラズマ放電処理により機能性層2と同一組成または別組成の厚い高密度層(層A)を製膜し、更に機能性層3を設けている。
図4は本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。
図4では基材F上に機能性層1(例えば、ハードコート層)を塗布により設け、その上に機能性層2(例えば、低屈折率層)として、例えば大気圧プラズマ放電処理により低密度層(層B)、更に製膜条件を変えて同一組成または別組成の厚い高密度層(層A)を順次積層製膜し、次いで機能性層3を設けている。
図3、4で示す態様はいずれも請求項8に係る本発明の機能性薄膜を有する物品の製造方法であり、この場合、高密度層(層A)が厚くなり、本件に記載した効果がより大きく発揮され、性能として向上するが、大気圧プラズマ等による製膜領域が多くなる為、図1、2で示した態様に対して、処理装置部が比較的大規模になり、設備費、設置スペースなどの観点で不利となる。その為、本発明としては図1、2で示した態様であることがより好ましい。
本発明の機能性薄膜を保持する基材は特に限定されるものではないが、基材として透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明では下記透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
〔透明樹脂フィルム〕
はじめに、本発明の機能性薄膜を有する物品に好ましく用いられる透明樹脂フィルムについて説明する。
本発明で用いることの出来る透明樹脂フィルムは、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテート等のセルロースエステルフィルム、或いはセルロース誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム或いはポリアリレート系フィルム等を挙げることが出来、或いはこれらの樹脂を混合して使用することが出来る。本発明には、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等のセルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム及びポリスルホン系フィルムが透明性、機械的性質、光学的異方性がない等の点で好ましい。本発明において好ましく用いることの出来るセルロースエステルフィルムは、一般的な溶液流延成膜法により形成されるが、その他に、例えば、特開2000−352620号公報に記載の溶融流延成膜法によっても形成することが出来る。また、これらの透明樹脂フィルムは市販品として入手することも可能であり、例えば、環状オレフィン樹脂フィルム(例えば、アートン(JSR社製)、ゼオネクス、ゼオノア(日本ゼオン社製))、セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタオプト(株)製のコニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KV8UY−HA、KV8UX−RHA、KC10UBR等)が好ましく用いられる。
本発明に用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、特に制限はないが、偏光板等に用いる反射防止フィルムとしての機能を考慮すると、10〜500μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、20〜100μmであることが特に好ましい。
本発明で用いられる透明樹脂フィルムには、紫外線吸収剤、可塑剤または微粒子を添加することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体例としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。また、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤、特開2002−31715号公報の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式〔1〕で示される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2007098833
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に一般式〔1〕で示される紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN 171、チバスペシャルティケミカルズ社製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN 109、チバスペシャルティケミカルズ社製)
また本発明において、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式〔2〕で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2007098833
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシ基としては例えば、炭素数18までのアルコキシ基で、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基で例えばアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基へ置換してもよい置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基、(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
以下に一般式〔2〕で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
市販されているものとしては、TINUVIN P、TINUVIN 324、TINUVIN 320、TINUVIN 326、TINUVIN 327、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 770、TINUVIN 780、TINUVIN 144、TINUVIN 120、UVITEX OB(チバスペシャルティケミカルズ社製)等から適宜選択して使用することも出来る。
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、透明樹脂フィルムの製造時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加してもよい。
(可塑剤)
本発明で用いられる透明樹脂フィルムは、可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル等から選択される。そのうち、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式〔3〕で表される。
一般式〔3〕 R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例として、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2007098833
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Figure 2007098833
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グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることが出来る。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられるが、これらのリン酸エステル系可塑剤は本発明に用いられるセルロースエステルフィルム中には実質的に含有しないことが好ましい。前述のように、実質的に含有しないとは、含有量が、1質量%未満であり、好ましくは0.1質量%未満であり、全く含有しないことが特に好ましい。リン酸エステル系可塑剤が含まれると活性線硬化樹脂層を形成する際に基材が変形しやすくなるため、好ましくない。
透明樹脂フィルム中の可塑剤の含有量は、固形分総量に対し5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
多価アルコールエステル系可塑剤は1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。少ないと平面性の劣化が認められ、多過ぎるとブリードアウトしやすい。
(微粒子)
本発明で用いられる透明樹脂フィルムには、微粒子を添加することが好ましい。微粒子はフィルムの強度、耐ブロッキング性、上層との接着性を向上する。
無機の微粒子としては、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることが出来、また有機の微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、或いはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることが出来る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜10μmであり、支持体100gに対して0.1〜20gとなるように配合することが望ましい。特にブロッキング防止機能を果たすものとしては体積平均粒径0.005〜0.1μmの粒子を支持体100gに対して0.1〜5g配合するのが好ましい。
〔ハードコート層〕
本発明は、透明樹脂フィルム上に機能性層としてハードコート層を有することが好ましく、ハードコート層として活性線硬化樹脂を主成分として用いることが好ましい。従って、以下ハードコート層を活性線硬化樹脂層ともいう。
活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂樹脂としてウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂、またはエポキシ樹脂等が挙げられる。本発明ではアクリレート系樹脂樹脂が好ましく用いられる。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
(金属酸化物微粒子)
こうして得たハードコート層には耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。
金属酸化物微粒子としては、Ti、Zr、Sn、Sb、As、Zn、Nb、In、Alから選択される金属酸化物微粒子が好ましく、具体的には、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(インジウムティンオキサイド)、ATO(アンチモンドープティンオキサイド)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。特に、酸化ジルコニウム、ITO、ATO等が好ましく用いられる。
また有機微粒子を含むことも出来、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、或いはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等が挙げられる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜5μmが好ましく0.01〜4μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
(防眩性微粒子)
防眩性とは、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることが出来、このような凹凸を形成する方法としては、防眩性微粒子を塗布液に添加する方法がある。
本発明において、防眩性微粒子としては、例えば、無機微粒子または有機微粒子を挙げることが出来る。
無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることが出来る。
本発明で用いることの出来る防眩性微粒子の平均粒径は、0.005〜3μmが好ましく、0.1〜1.0μmが特に好ましい。粒径や屈折率の異なる2種以上の防眩性微粒子を含有させてもよい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層であるか、若しくはRaが0.1〜1μm程度の防眩層であることが好ましい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定することが出来る。
(ハードコート層の屈折率)
本発明に用いられるハードコート層の屈折率は、低反射性フィルムを得るための光学設計上から屈折率が1.57〜2.00であることが好ましい。ハードコート層の屈折率は添加する微粒子或いは無機バインダーの屈折率や含有量によって調製することが出来、高屈折率化には酸化チタン及びTi、Zr、Sn、Sb、As、Zn、Nb、In、Alから選択される金属酸化物微粒子が好ましい。
(ハードコート層の膜厚)
ハードコート層の膜厚は、十分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から1〜20μmが好ましく、1.5〜10μmがより好ましい。
支持体とハードコート層の間には、密着層、接着層を設けてもよく、この場合は0.1μm以下の膜厚として本発明の効果の障害とならないようにしなくてはならない。支持体上にハードコート層を塗布する前処理として、火炎処理、コロナ放電、プラズマ加工を行ってもよい。これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することが出来る。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜100mJ/cm2である。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、若しくは2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性優れたフィルムを得ることが出来る。
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液には溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中でもから適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
また、紫外線硬化樹脂層組成物塗布液には、特にシリコン化合物を添加することが好ましい。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは、2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
シリコン化合物の市販品としては、DKQ8−779(ダウコーニング社製商品名)、SF3771、SF8410、SF8411、SF8419、SF8421、SF8428、SH200、SH510、SH1107、SH3749、SH3771、BX16−034、SH3746、SH3749、SH8400、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、BY−16−837、BY−16−839、BY−16−869、BY−16−870、BY−16−004、BY−16−891、BY−16−872、BY−16−874、BY22−008M、BY22−012M、FS−1265(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製商品名)、KF−101、KF−100T、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、シリコーンX−22−945、X22−160AS(以上、信越化学工業社製商品名)、XF3940、XF3949(以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロンLS−009(楠本化成社製)、グラノール410(共栄社油脂化学工業(株)製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、BYK−306、BYK−330、BYK−307、BYK−341、BYK−344、BYK−361(ビックケミ−ジャパン社製)日本ユニカー(株)製のLシリーズ(例えばL7001、L−7006、L−7604、L−9000)、Yシリーズ、FZシリーズ(FZ−2203、FZ−2206、FZ−2207)等が挙げられ、好ましく用いられる。
これらの成分は基材や下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚として1〜40μmが適当で、好ましくは、3〜20μmである。また、ドライ膜厚としては前述のように1〜20μm、好ましくは1.5〜10μmである。
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。また、これら活性線照射部の照度は50〜150mW/m2であることが好ましい。ハードコート層を2層重層して塗布するときは重層した状態で紫外線を照射するのが好ましい。
〔バックコート層〕
本発明の反射防止フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、ハードコート層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることが出来る。尚、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、ハードコート層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他更に溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール或いは炭化水素類(トルエン、キシレン)等がある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体或いは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することも出来る。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムのハードコート層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。或いは2回以上に分けてバックコート層を塗布することも出来る。
〔機能性薄膜〕
本発明に係る機能性薄膜としては、例えば、前記ハードコート層、反射防止層、防眩層、防汚層、帯電防止層、導電層、光拡散層、易接着層等を挙げることが出来るが、少なくとも1層が反射防止層であることが好ましい。また、反射防止層の上には防汚層を設けることがより好ましい。
ここでは反射防止層について詳細に説明する。
本発明の好ましい実施態様としては、反射防止層をゾルゲル法による塗工により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて高密度層(層A)を形成するか、前記反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマCVDにより形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて高密度層(層A)を形成するか、反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマCVDにより形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により該反射防止層表面に製膜を行い高密度層(層A)を形成することが好ましい。
〔塗工による反射防止層の形成〕
本発明では、前記ハードコート層の表面に直接または他の機能性層を介して反射防止層を設け反射防止フィルムとすることが好ましい。
本発明に用いられる反射防止層について説明する。
本発明に用いられる低屈折率層は、波長λの光に対して低屈折率層の光学膜厚をλ/4に設定して反射防止フィルムを作製する。光学膜厚とは、層の屈折率nと膜厚dとの積により定義される量である。屈折率の高低はそこに含まれる金属または化合物によってほぼ決まり、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。屈折率と膜厚は、分光反射率の測定により計算して算出し得る。
本発明の光学フィルムの一つである反射防止フィルムは低屈折率層を含め、多層の屈折率層を設けることも好ましい。透明なセルロースエステルフィルム支持体上に、活性エネルギー線硬化樹脂層を有し、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層出来る。反射防止層は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したり、特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体または活性エネルギー線硬化樹脂層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。
または、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
本発明に係る反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。ここで/は積層配置されていることを示している。
バックコート層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/低屈折率層
バックコート層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
バックコート層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/透明樹脂フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/透明樹脂フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
上記ハードコート層には、反射防止層との密着性を向上するために、特開2002−182004号、同2004−52028号、特許第3508342号、特開2002−139602号、同2002−282777号等の明細書中に記載の、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、大気圧プラズマ放電処理、レーザー処理、混酸処理、アルカリ処理及びオゾン酸化処理等の表面処理を行うことが好ましい。
特に、特開2000−327310号、特開2004−198458号、特開2003−328125号、特開2004−75738号、特開20004−198590号、特開2005−163010号等に記載の大気圧プラズマ放電処理を行うことが好ましい。
最表面の低屈折率層の上に、汚れや指紋の拭き取りが容易となるように、更に防汚層を設けることが好ましい。防汚層としては、含フッ素有機化合物が好ましく用いられる。
光学干渉により反射率を低減出来るものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。また、帯電防止層は導電性ポリマー微粒子(例えば架橋カチオン微粒子)または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO等)を含む層であることが好ましく、塗布によって設けることが好ましい。または後述するように、大気圧プラズマ放電処理、プラズマCVD等によって金属酸化物層(ZnO2、SnO2、ITO等)を設けることも好ましい。
以下、反射防止層の各層について説明する。
〈低屈折率層〉
(テトラアルコキシシラン化合物またはその加水分解物)
本発明に用いられる低屈折率層には、ゾルゲル素材としてテトラアルコキシシラン化合物またはその加水分解物が含有され塗工されることが好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層用の素材として、後述する無機珪素酸化物以外に有機基を有する珪素酸化物を用いることが好ましい。これらは一般にゾルゲル素材と呼ばれるが、金属アルコレート、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることが出来る。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。
本発明に用いられる低屈折率層は前記有機基を有する珪素酸化物と下記シランカップリング剤を含むことが好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBM−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−802、KBM−803等が挙げられる。
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、後述する珪素酸化物微粒子及び前記有機基を有する珪素酸化物の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。また、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えてもよい。
低屈折率層には微粒子を含有させることも好ましく、用いられる無機微粒子としては、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、なかでも金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNiが好ましく、Mg、Ca、B及びSiがさらに好ましい。2種以上の金属を含む無機微粒子を用いてもよい。特に好ましい無機微粒子は、二酸化ケイ素微粒子、すなわちシリカ微粒子である。無機微粒子の平均粒径は0.001〜0.2μmであることが好ましく、0.005〜0.05μmであることがより好ましい。微粒子の粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましい。無機微粒子の粒径は大きすぎると光が散乱し、フィルムが不透明になり、小さすぎるものは凝集しやすく合成及び取り扱いが困難である。
無機微粒子の配合量は、低屈折率層の全質量の5〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜70質量%であり、特に好ましくは10〜50質量%である。無機微粒子は、表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップリング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシ金属化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。無機微粒子がシリカの場合はシランカップリング剤による処理が特に有効である。
また、低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことも出来る。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。
また、本発明に用いられる低屈折率層が、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層であってもよい。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることが出来る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の相み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
更に、本発明に用いられる低屈折率層では、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示されている中空シリカ系微粒子等を含有してもよい。
本発明に用いられる低屈折率層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号)により、塗布により形成することが出来る。また、2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明に用いられる低屈折率層の膜厚は50〜200nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
本発明においては、反射率の更なる低減の為に透明樹脂フィルム、またはハードコート層と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることが好ましい。また、該透明樹脂フィルムと高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために更に好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明樹脂フィルムの屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜200nmであることが更に好ましく、30nm〜100nmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
本発明に用いられる中、高屈折率層は下記一般式(1)で表される有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層であることが好ましい。
一般式(1) Ti(OR14
式中、R1としては炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。また、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、アルコキシド基が加水分解を受けて−Ti−O−Ti−のように反応して架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−i−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもTi(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体が特に好ましい。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、塗布液に含まれる固形分中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。この他、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。
本発明に好ましく用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、金属酸化物微粒子を固形成分として20〜90%(質量比率)の範囲で含有し、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
上記塗布液調製法で加水分解/重合した有機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わせると、金属酸化物粒子と加水分解/重合した有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子のもつ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強い塗膜を得ることが出来る。
高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸化物粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることが更に好ましい。金属酸化物粒子の1次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることが更に好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることが更に好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物であり、具体的には二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むことが出来る。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びS等が挙げられる。
金属酸化物粒子は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することが出来る。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、シランカップリング剤が最も好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化物粒子の割合は、5〜95体積%であることが好ましく、より好ましくは20〜90体積%であり、更に好ましくは40〜85体積%である。
上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することが出来る。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。
前記バインダーポリマーに用いられるモノマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることが出来る。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、活性エネルギー線硬化樹脂層のバインダーポリマーを形成するために用いられる熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。
反射防止層の各層またはその塗布液には、前述した成分(金属酸化物粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。
本発明に用いられる中〜高屈折率層及び低屈折率層の塗設後、金属アルコキシドを含む組成物の加水分解または硬化を促進するため、活性エネルギー線を照射することが好ましい。より好ましくは、各層を塗設するごとに活性エネルギー線を照射することである。
前記活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、またはエキシマランプ等も用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm2〜10,000mJ/cm2が好ましく、更に好ましくは、100mJ/cm2〜2,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、400mJ/cm2〜2,000mJ/cm2である。
〔大気圧プラズマ放電処理による機能性層、高密度層(層A)の形成〕
本発明に係る機能性層を構成する低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層及びその他の構成層の作製には、前述した塗工以外に、スパッタ、蒸着、プラズマCVD法等、従来公知の方法を用いて形成することが出来るが、生産性向上、環境適性及び優れた反射防止能を付与する観点から、特に大気圧プラズマ放電処理法(単に大気圧プラズマ法ともいう)によって形成されることが好ましい。
即ち本発明は、反射防止層をゾルゲル法による塗工により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて該反射防止層の一部分に高密度層(層A)を形成することが好ましい。
また、反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマCVDにより形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて該反射防止層の一部分に高密度層(層A)を形成することが好ましい。
更に、反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマCVDにより形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により該反射防止層表面に製膜を行い該反射防止層に高密度層(層A)を積層形成することが好ましい。
本発明に係る反射防止層を構成する素材としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、タングステン、タンタル、アルミニウム、亜鉛、インジウム、クロム、バナジウム、ニオブ及び錫からなる元素群から選択される少なくとも1種類の元素を含むことが好ましく、更に、ケイ素、チタン及び錫からなる元素群から選択される少なくとも1種の元素を有することが好ましい。
本発明に係る反射防止層の形成に適用出来る大気圧プラズマ法としては、特開平11−133205号公報、特開2000−185362号公報、特開平11−61406号公報、特開2000−147209号公報、同2000−121804号公報等に開示されている技術を挙げることが出来る。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理方法について説明する。
最初に、本発明に有用な大気圧プラズマ放電処理方法及びその装置について説明する。
本発明の基本的な薄膜を有する物品の製造方法(単に、薄膜形成方法ということがある)は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、放電空間(対向電極間)にガスを供給し、該放電空間に高周波電圧を印加し、ガスを励起してプラズマ状態とし、この励起したプラズマ状態のガスに機能性層を晒すことにより、機能性層の表面に薄膜の高密度層(層A)を形成するもので、この薄膜形成方法を大気圧プラズマ放電処理方法(以降、プラズマ放電処理ということがある)という。対向電極間で形成する放電空間に印加する高周波電圧は、一つの周波数の高周波であってもよいし、二つ或いはそれ以上の周波数の高周波であってもよい。
本発明において、大気圧プラズマ放電処理は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるが、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
本発明において、対向電極間(放電空間)に供給するガスは、少なくとも、高周波電圧により励起する励起ガス、または、高周波電圧により励起する励起ガスとそのエネルギーを受け取ってプラズマ状態或いは励起状態になり薄膜を形成する薄膜形成性ガスとを含んでいる。本発明でいう高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
一つの周波数の高周波電圧で薄膜形成する場合(1周波数高周波電圧印加方式という場合がある)、または二つの周波数の高周波電圧で薄膜形成する場合(2周波数高周波電圧印加方式という場合がある)の電極は全く同じものが使用出来、装置自体は大きな違いはない。異なる点は、高周波電源が二つ、それに付随するフィルターがあること、更に対向電極の両方の電極から高周波電圧を印加することである。
本発明に有用な1周波数高周波電圧印加方式の場合には、対向電極の一方はアース電極、もう片方は印加電極であり、印加電極に高周波電源が接続されており、アース電極にはアースが接地されている。
図を使用して、1周波数高周波電圧印加方式及び2周波数高周波電圧印加方式のそれぞれの方式の薄膜形成装置(大気圧プラズマ放電処理装置)を図で説明する。
図5は、本発明に有用な1周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
プラズマ放電容器130の内部にある高周波電圧を印加する印加電極(角筒型電極)136とその下側にある透明樹脂フィルムFを巻き回すロール型アース電極135とで対向電極を形成している。印加電極136は何個並べてもよい。ガスGは、プラズマ放電容器10のガス供給口152から供給され、ガスGを均一化するメッシュを通り、印加電極136の間及び印加電極とプラズマ放電容器131の内壁に沿って通り、対向電極の間の放電空間13をガスGで満たす。高周波電源21により印加電極136に高周波電圧を印加し、放電空間132で励起したガスGに透明樹脂フィルムFが晒され、該透明樹脂フィルムF上に薄膜が形成される。印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることが好ましい。より好ましくは50kHz〜150MHzの範囲である。
50kHz未満は本発明の効果が得られない。また、150MHzを越える周波数は、放電形成が難しくなり複雑な設備が必要になること、また電位分布発生で不均一処理となり大面積化処理に不向きとなること、などから本発明には適さないと考えられる。
薄膜形成中、電極温度調節手段160から配管を経て電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向或いは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
図6は、本発明に有用な2周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の別の一例を示す概略図である。これは図5と同様にロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との対向電極間(放電空間)132で、透明樹脂フィルムFをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との間の放電空間(対向電極間)132に、ロール電極(第1電極)135には第1電極141から周波数ω1であって高周波電圧V1を、また角筒型電極群(第2電極)136には第2電源142から周波数ω2であって高周波電圧V2をかけるようになっている。
ロール電極(第1電極)135と第1電源141との間には、第1電源141からの電流がロール電極(第1電極)135に向かって流れるように第1フィルター143が設置されており、該第1フィルターは第1電源141からの電流を通過しにくくし、第2電源142からの電流を通過し易くするように設計されている。また、角筒型電極群(第2電極)136と第2電源142との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター144が設置されており、第2フィルター144は、第2電源142からの電流を通過しにくくし、第1電源141からの電流を通過し易くするように設計されている。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過し易いとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
本発明において、上記のような性質のあるフィルターであれば制限無く使用出来る。例えば、第1フィルターとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
尚、本発明においては、ロール電極135を第2電極、また角筒型電極群136を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。更に、第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加出来る能力を有していればよい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有していればよい。
ガス供給手段150のガス供給装置151で発生させたガスGは、流量を制御して給気口152よりプラズマ放電処理容器131内に導入する。放電空間132及びプラズマ放電処理容器131内をガスGで満たす。
透明樹脂フィルムFを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール164を経てニップロール165で透明樹脂フィルムに同伴されて来る空気等を遮断し、ロール電極135に接触したまま巻き回しながら角筒型電極群136との間に移送し、ロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)132で放電プラズマを発生させる。透明樹脂フィルムFはロール電極135に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。透明樹脂フィルムFは、ニップロール166、ガイドロール167を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口153より排出する。
薄膜形成中、ロール電極(第1電極)135及び角筒型電極群(第2電極)136を加熱または冷却するために、電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管161を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。尚、165及び166はプラズマ放電処理容器131と外界とを仕切る仕切板である。
本発明において、印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であってもよいし、連続したサイン波であってもよく、印加電圧波形に限定されないが、ハイパワーの高周波電圧を印加、強固な薄膜を形成させるのにサイン波が好ましい。
本発明では、第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1kHz〜200kHzであり、かつ前記第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることが好ましい。
その時の電力密度は1〜50W/cm2(ここで、分母のcm2は放電が起こっている面積である。)が好ましく、より好ましくは1.2〜30W/cm2である。この場合、放電ガスを励起させプラズマを発生させるのと、励起された薄膜形成性ガスにより基材表面に強固に薄膜を形成することが出来る両方が可能となる。
本発明の薄膜形成装置に有用な高周波電源としては、100kHz*(ハイデン研究所製)、200kHz、800kHz、2MHz、13.56MHz、27MHz及び150MHz(何れもパール工業製)等を挙げることが出来る。尚、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
本発明においては、このような電圧を印加して、以下に述べる均一なグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
図7は、図に示したロール電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図7において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて温度調節が行われるようになっている。
図8は、図5、6に示されている角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図8において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図7同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
尚、角筒型電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール電極35に対向している全角筒型電極面の面積の和で表される。
図8に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図7及び8において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタンまたはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタンまたはチタン合金が特に好ましい。
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
プラズマ放電処理容器10または31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図5において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細について述べる。
このようなハイパワーの大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。尚、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
金属母材 誘電体
(1)純チタンまたはチタン合金 セラミックス溶射被膜
(2)純チタンまたはチタン合金 ガラスライニング
(3)ステンレススティール セラミックス溶射被膜
(4)ステンレススティール ガラスライニング
(5)セラミックスおよび鉄の複合材料 セラミックス溶射被膜
(6)セラミックスおよび鉄の複合材料 ガラスライニング
(7)セラミックスおよびアルミの複合材料 セラミックス溶射皮膜
(8)セラミックスおよびアルミの複合材料 ガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(1)または(2)および(5)〜(8)が好ましく、特に(1)が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタンである。本発明において、チタン合金またはチタン中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタンは、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタンはステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタンの上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、或いは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。尚、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜3mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
本発明の薄膜形成方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化出来ること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることが出来る。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。更にJIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。尚、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1〜50W/cm2の電力密度を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。好ましくは1.2〜30W/cm2である。
ここで高周波電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
本発明における放電条件は、対向する第1電極と第2電極との放電空間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有することが好ましい。
前記高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波の波形となる。サイン波の重畳した波形に限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。しかし、本発明においては、1周波数高周波電圧印加方式と同様に、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方が、より緻密で良質な膜が得られる。
本発明において、放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種などによって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することが出来ると推定される。
本発明において、高周波電圧を、放電空間に印加する具体的な方法は、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した薄膜形成装置(大気圧プラズマ放電処理装置)を用いる。
このような二つの高周波電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成するのに必要であるということが重要な点である。
本発明において、第1電源を用いて第1電極からは1〜200kHz程度の高周波電圧を、また第2電源を用いて第2電極からは800kHz〜15MHzの程度の高周波電圧を印加するのが好ましい。この場合、印加する1〜200kHzの高周波電圧により、放電開始電圧の高い放電ガスが励起しプラズマを発生し、そのエネルギーで薄膜形成性ガスを励起し、プラズマ状態の薄膜形成性ガスが印加する比較的高い周波数の高周波電圧により薄膜を基材上に強固に形成する。
更に、本発明の薄膜形成装置の第1電源は、第2電源より大きな高周波電圧を印加出来る能力を有していることが好ましい。
また、本発明における別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2
を満たす。更に好ましくは、
1>IV>V2
を満たすことである。
高周波および放電開始電圧の定義、また、上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
ここで、本発明でいう高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
高周波電圧V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
本発明において、高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電ガスを開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来るのである。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
放電ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の希ガス、空気、水素、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわないが、窒素ガスを用いることが、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスを用いる場合に比較し、放電ガスの高い経済性を得ることが出来るため、特に好ましい。放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、70〜100体積%含有することが好ましい。
本発明の薄膜形成装置(大気圧プラズマ放電処理装置)に設置する高周波電源は、前述のものと同じであるが、第1電源(高周波電源)と第2電源(高周波電源)とに周波数により下記のように分けられる。
第1電源としは、
高周波電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
尚、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
また、第2電源(高周波電源)としては、
高周波電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
上記の対向電極の少なくとも一方の電極が膜厚制御手段を有し、前記対向電極間に、放電ガスと薄膜形成性ガスとを供給するガス供給手段を備えることが好ましい。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、図5、6の電極には金属母材及び誘電体が示されていないが、図7及び8と同様に電極の金属母材に同様な誘電体が被覆されていることはいうまでもない。
本発明の機能性薄膜を形成する薄膜形成性ガスについて、例として、反射防止層の形成ガスについて述べる。
本発明に係わる反射防止層は、高屈折率層を形成するチタン化合物、中屈折率層或いは高屈折率層を形成する錫化合物、低屈折率層を形成する珪素化合物のような薄膜形成性ガス(原料ガスともいう)を種々使い分けることで形成される。
反射防止層を有する反射防止フィルムは、各屈折率層を透明樹脂フィルム上に直接または他の層を介して積層して得られるものであるが、積層は、例えば、図5、6または7のような薄膜形成装置を、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に3層を積層するために、直列に3基並べて連続的に処理することが出来、この連続的積層処理は品質の安定や生産性の向上等から本発明の薄膜形成方法に適している。また連続的に積層せずに、1層処理ごと、処理後巻き取り、逐次処理して積層してもよい。本発明に関して、反射防止層の上に防汚層を設ける場合には、上記の薄膜形成装置を更にもう1基続けて設置し、4基並べて最後に防汚層を積層してもよい。また、反射防止層を設ける前に、前述したように透明樹脂フィルムの上にその他の機能性層として、予めハードコート層や防眩層を塗布によって設けてもよく、また、その裏側に予めバックコート層を塗布によって設けてもよい。これらは全て1パス(一回通し)で連続的に形成することが好ましい。
本発明の反射防止高機能性フィルムの各層を形成するガスには、適切な屈折率を得ることの出来る化合物であれば制限なく使用出来るが、本発明において、高屈折率層を形成するガスとしてはチタン化合物を、中屈折率層を形成するガスとしては錫化合物またはチタン化合物と珪素化合物の混合物(または高屈折率形成用のチタン化合物で形成した層と低屈折率層を形成する珪素化合物で形成した層を積層してもよい)を、また低屈折率層を形成するガスとしては珪素化合物、フッ素化合物、或いは珪素化合物とフッ素化合物の混合物を好ましく用いることが出来る。これらの化合物を屈折率を調節するために、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に有用な錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、ジブチルジエトキシ錫、ブチル錫トリス(2,4−ペンタンジオナート)、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、エチルエトキシ錫、メチルメトキシ錫、イソプロピルイソプロポキシ錫、ジブチル錫ジアセタート、テトラブトキシ錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、ジブチリロキシ錫、ジエチル錫、テトラブチル錫、錫ビス(2,4−ペンタンジオナート)、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫(2,4−ペンタンジオナート)、ジメチル錫ジ(2,4−ペンタンジオナート)、ジアセトメチルアセタート錫、ジアセトキシ錫、ジブトキシジアセトキシ錫、ジアセトオキシ錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることが出来、また、亜鉛アセトアセトナート、または亜鉛(2,4−ペンタンジオナート)、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジエトキシ亜鉛等の亜鉛化合物も本発明において、好ましく用いることが出来る。また、これらの薄膜形成性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。尚、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1011Ω/cm2以下に下げることが出来るため、帯電防止層としても有用である。また、ドープによって透明導電層とすることも出来る。
本発明に有用なチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、トリエチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジ(2,4−ペンタンジオナート)、エチルチタントリ(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(アセトメチルアセタート)、トリアセトキシチタン、ジプロポキシプロピオニルオキシチタン等、ジブチリロキシチタン、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることが出来、また、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリメチルインジウム、テトライソプロポキシタンタル、ペンタイソプロポキシタンタル、ペンタエトキシタンタル等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。またこれらの薄膜形成性ガスを2種以上を同時に混合して使用することが出来る。
本発明に有用な珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることが出来、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジ(2,4−ペンタンジオナート)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。これらの薄膜形成性ガスを2種以上を同時に混合して使用することが出来る。また、屈折率の微調整にこれら錫化合物、チタン化合物、珪素化合物を適宜2種以上同時に混合して使用してもよい。
また、防汚層或いは低屈折率層を形成するためのガスとして、フッ素化合物と珪素化合物の混合物とフルオロシラン化合物のようなフッ素と珪素を有する化合物のガスが有用である。フッ素化合物としては、有機フッ素化合物として、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等を好ましく用いることが出来る。フッ化炭素ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、オクタフルオロシクロブタン等を挙げることが出来る。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、例えば、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン等を挙げることが出来る。更に、例えば、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロシクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やトリフルオロメタノール、ペンタフルオロエタノール等のフルオロアルコール、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸等のフッ素化脂肪酸、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素化ケトン等の有機フッ素化合物を用いることが出来るが、これらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にフッ素化エチレン性不飽和基を有していても良い。
更に、防汚層形成における好ましい条件を以下に説明する。
本発明に係る防汚層を形成する場合の対向電極間に印加する高周波電界の周波数としては特に限定はないが、高周波電源として100kHz以下とすることが出来、本発明の目的効果をより奏する観点からは、より低周波数の30kHz以下とすることが好ましく、更に好ましくは1kHz以上、20kHz以下である。対向電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
本発明において、電極間の距離は、電極の金属母材に設置した誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは0.5〜3mm、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
また、本発明に係る防汚層の形成に用いる放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、70〜100体積%含有することが好ましい。
また、本発明に用いられる薄膜形成性ガスとは、本発明に用いられるフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を含有し、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成するガスであることが好ましい。本発明において防汚層薄膜形成性ガスとして、フッ素と珪素を有する化合物も好ましく用いることが出来る。例えば、テトラ(トリフルオロメチル)シラン、テトラ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(セプタフルオロプロピル)シラン、ジメチルジ(トリフルオロメチル)シラン、ジエチルジ(ペンタフルオロエチル)シラン、テトラ(トリフルオロメトキシ)シラン、テトラ(ペンタフルオロエトキシ)シラン、メチルトリ(トリフルオロメトキシ)シラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ビニルトリ(トリフルオロメチル)シラン、トリパーフルオロメチルアクリロイルオキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロシラン化合物を挙げることが出来、これらの化合物を2種以上混合して使用してもよい。また重合性のシランモノマーのオリゴマーも使用出来る。
上記フッ素化合物、珪素化合物、フッ素及び珪素を有する化合物を適宜2種以上混合して使用してもよい。
本発明の薄膜形成性ガスは、上述の放電ガスとして説明した窒素や希ガス等を含有することが出来る。尚、本発明の薄膜形成性ガスは、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、空気等の補助ガスを0.001体積%〜30体積%混合させて使用してもよい。
かかる防汚層を形成するフッ素化合物及び珪素化合物の混合ガス、またフッ素及び珪素を有する化合物を用いることによって、防汚層(防汚層の表面)の表面エネルギーを低くし、撥水性も兼ね備えた薄膜を得ることが出来る。特に下記測定法による水の接触角として90°以上である防汚層であることが最表層としての特性として必要であり、好ましくは90°〜174°、より好ましくは90°〜150°、最も好ましくは100°〜150°の撥水性を有する防汚層である。90°未満では撥水性が不十分であり、90°〜100°もその効果はやや不十分であり、174°以上は現実的に不可能である。更に150°以上は表面の粗面化が必要となり摩擦係数増加につながる為好ましくなく、従って100°〜150°が最も好ましい。更に、該防汚層は耐傷性を向上する為に、下記測定法による動摩擦係数が0.45以下であることが必要であり、好ましくは0.12〜0.40の範囲である。
(水の接触角の測定)
反射防止フィルムを23℃、55%RHの環境の下、協和界面科学製接触角CA−Wを用いて水の接触角を測定する。
(動摩擦係数の測定)
耐擦傷性試験で用いるスチールウールと反射防止フィルムとの動摩擦係数を測定する。
動摩擦係数測定には新東科学社製表面性測定機(HEIDON−14D)を用いる。
試料台に反射防止フィルムを貼り付け、圧子にスチールウール(#0000)を取り付けて、その上に約160g/cm2の荷重を加えて3m/minの速度で10回往復摺動させ、10往復の平均動摩擦係数を算出する。
上記水の接触角や動摩擦係数によって表される防汚性能の向上は、大気圧プラズマ放電処理の処理強度を上げることで、防汚層の密着性が向上し、その結果防汚性能が向上するものと考えられる。上記範囲も膜密度向上と同様に、大気圧プラズマ放電処理条件を調整することにより表面性をコントロールすることが可能である。
上記薄膜形成性ガスは気体の場合は、そのまま放電空間に導入出来るが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。或いは溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希ガス中へ気化器等により気化して混合ガスに使用すればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサン、アセトンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。特に、これらのみに限定されない。
薄膜形成性ガスについて、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
これらは予め調製されたガスとして放電空間に供給してもよいし、放電空間近傍で2種以上のガスを混合してもよい。水素、酸素等の添加ガスは予め窒素もしくは希ガスなどによって希釈されたものを放電空間に導入することが、連続製膜の際に薄膜の物性が安定するため好ましい。
また、ガスは室温〜200℃に加温して放電空間に供給されることが好ましく、更に好ましくは50〜150℃であり、更に好ましくは70〜120℃であり、特に90〜110℃であることが好ましい。温度が高いほど得られる金属化合物層が緻密で、硬度に優れた膜が得られるが高すぎると基材が変形することがある。
本発明の反射防止フィルムは、特に偏光板保護フィルムとして有用であり、これを用いて公知の方法で偏光板を作製することが出来る。
本発明の反射防止フィルムを適用した偏光板は優れた防汚性を示した。また、本発明の偏光板を用いて作製した画像表示装置は視認性に優れており、過酷な環境下でも優れた視認性を提供することが出来た。
本発明の反射防止フィルムを備えた偏光板は、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
基材として、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムであるコニカミノルタタック KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)を用いて下記のハードコート層、バックコート層を塗布した。
(ハードコート層)
塗布液として下記組成のハードコート層用塗布液を調製し、前記セルロースエステルフィルムの上に、硬化後の膜厚が3μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布し溶剤を蒸発乾燥後、高圧水銀灯を用いて0.2J/cm2の紫外線照射により硬化させハードコートフィルムを作製した。
〈ハードコート層用塗布液〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光反応開始剤 4質量部
(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
酢酸エチル 150質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150質量部
シリコン化合物 0.4質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
(バックコート層)
下記のバックコート層用塗布組成物を、3μmの粒子捕捉効率が99%以上で0.5μm以下の粒子捕捉効率が10%以下のフィルターで濾過して調製した。このバックコート層用塗布組成物をハードコート層を塗設した面の反対側の面に、エクストルージョンコーターにてウェット膜厚が15μmになるように塗布し、90℃で30秒間乾燥させた。
〈バックコート層用塗布液〉
ジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.4) 0.5質量部
アセトン 70質量部
メタノール 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
超微粒子シリカ アエロジル200V(日本アエロジル(株)製)
0.002質量部
(シリカ微粒子は添加するメタノール中に分散して添加した。)
上記ハードコート層上に反射防止層を塗布或いは大気圧プラズマを用いて形成し、フィルム試料を作製した。
〔反射防止層の形成〕
〈塗布による反射防止層の作製方法〉
以下に示す3つの屈折率層を基材上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に各膜厚を86nm、80nm、100nmとなるように塗設し、反射防止層を作製した。
(中屈折率層の塗設)
上記ハードコート層上に、下記中屈折率層組成物をダイコータで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射して硬化させ、中屈折率層を形成した。
〈中屈折率層組成物〉
固形分15%酸化チタン微粒子分散物(RTSPNB15WT%−G0 シーアイ化成工業社製) 270質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 5質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA 日本化薬社製) 40質量部
イルガキュア184(チバガイギー社製) 10質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207 日本ユニカー社製) 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1470質量部
イソプロピルアルコール 2720質量部
メチルエチルケトン 490質量部
中屈折率層の膜厚 :86nm
中屈折率層の屈折率:1.64
(高屈折率層の塗設)
次いで、中屈折率層の上に、下記高屈折率層組成物をダイコータで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射し、100℃で1分間熱処理を実施して、高屈折率層を形成した。
〈高屈折率層組成物〉
固形分15%酸化チタン微粒子分散物(RTSPNB15WT%−G0 シーアイ化成工業社製) 530質量部
テトラ(n)ブトキシチタン 50質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシシラン(KBM503 信越化学社製)
10質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207 日本ユニカー社製) 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1470質量部
イソプロピルアルコール 2490質量部
メチルエチルケトン 490質量部
高屈折率層の膜厚 :80nm
高屈折率層の屈折率:1.85
(低屈折率層の塗設)
次いで高屈折率層の上に下記低屈折率層組成物をダイコータで塗布し、80℃、0.1m/秒の条件で1分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプ(80W)を用いて紫外線を130mJ/cm2照射し、120℃で1分間熱処理を実施して、低屈折率層を形成した。
〈低屈折率層組成物〉
プロピレングリコールモノメチルエーテル 382質量部
イソプロピルアルコール 384質量部
この混合溶媒に
テトラエトキシシラン加水分解物 226質量部
をゆっくり添加して混合した。混合攪拌後、
KBM503(シランカップリング剤 信越化学製) 6質量部
をゆっくり添加して混合した。混合攪拌後、
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207:日本ユニカー社製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液 2質量部
をゆっくり添加して混合し、低屈折率層組成物とした。
低屈折率層の膜厚 :100nm
低屈折率層の屈折率:1.42
〔反射防止フィルムの作製〕
前記反射防止層上に以下の大気圧プラズマ放電処理を行い、反射防止フィルムを作製した。
〈フィルム−1〉
大気圧プラズマ放電処理なし、防汚層なしの反射防止層のみをフィルム−1とした。
〈フィルム−2〉
大気圧プラズマ放電処理なし、防汚層を以下の方法で形成したフィルムをフィルム−2とした。
(防汚層の形成)
図6に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用い、反射防止層上に防汚層を形成した。
以下に大気圧プラズマを用いた防汚層の製膜方法を詳述する。
以下に示す放電ガス及び薄膜形成性ガスを体積比率1:1の割合で混合させて放電空間に供給し、放電を形成させると共に薄膜形成性ガスを活性化させて反射防止層上に防汚層を形成する。薄膜形成性ガスは、薄膜の原料である有機金属化合物(常温で液体)をアプリオリ(株)製液体原料気化装置AR−2118にて窒素ガス中に気化し、放電空間に供給する。
(放電ガス)
窒素ガス 98.0体積%
水素ガス 2.0体積%
(薄膜形成性ガス)
窒素ガス 99.95体積%
有機金属化合物(以下に示す原料1) 0.05体積%
原料1;GE東芝シリコーン社製フルオロアルキルシラン(XC95−A9715)
高周波電源は神鋼電機社製5kHz高周波電源を使用し、電極間隙を1.0mmとして、印加電圧Vp=8.5kV及び出力密度1W/cm2として放電を形成させ、上記ガスを供給して反射防止層上に防汚層を約2nmの膜厚で形成した。
〈フィルム−3〉
図5の大気圧プラズマ処理装置を用い、反射防止層表面にプラズマ処理を行った。
電極間隙を0.5mmとして、以下に示す放電ガスを放電空間に供給し、神鋼電機社製5kHz高周波電源を使用して印加電圧Vp=9.5kV及び出力密度1.5W/cm2として放電を形成させて表面処理を行った。
(放電ガス)
窒素ガス 80.0体積%
酸素ガス 20.0体積%
表面処理後、前記防汚層形成方法に従い、反射防止層上に防汚層を形成して反射防止フィルム−3を作製した。
〈フィルム−4〉
高周波電源を神鋼電機社製50kHzとし、印加電圧Vp=5.5kV及び出力密度6W/cm2としたこと以外はフィルム−3と同様にしてフィルム−4を作製した。
〈フィルム−5〉
高周波電源を神鋼電機社製50kHzとし、印加電圧Vp=6.5kV及び出力密度10W/cm2としたこと以外はフィルム−3と同様にしてフィルム−5を作製した。
〈フィルム−6〉
図6の大気圧プラズマ処理装置を用い、反射防止層表面にプラズマ処理を行った。
電極間隙は0.5mmとし、放電ガスはフィルム−3と同様にして放電空間に供給し、ロール側電極には神鋼電機社製50kHzを印加電圧Vp=6.5kV及び出力密度10W/cm2で印加、対向する棒型の電極にはパール工業社製13.56MHzを出力密度2.5W/cm2として放電を形成させて表面処理を行った。
表面処理後、前記防汚層形成方法に従い、反射防止層上に防汚層を形成して反射防止フィルム−6を作製した。
〈フィルム−7〉
対向する棒型の電極にパール工業社製13.56MHzを出力密度5.0W/cm2とすること以外はフィルム−6と同様にしてフィルム−7を作製した。
〈フィルム−8〉
フィルム−7と同様の表面処理を行ったままとし、防汚層を形成しないで、フィルム−8とした。
〈フィルム−9〉
図6の大気圧プラズマ処理装置を用い、反射防止層表面に製膜を行った。
電極間隙は0.5mmとし、下記に示す放電ガス及び薄膜形成性ガスを体積比率1:1の割合で混合させて放電空間に供給し、ロール側電極には神鋼電機社製50kHzを印加電圧Vp=6.5kV及び出力密度10W/cm2で印加、対向する棒型の電極にはパール工業社製13.56MHzを出力密度5.0W/cm2として放電を形成させ、薄膜形成性ガスを活性化させて反射防止層表面に酸化珪素薄膜を膜厚で約3nm形成した。
(放電ガス)
窒素ガス 80.0体積%
酸素ガス 20.0体積%
(薄膜形成性ガス)
窒素ガス 99.9体積%
テトラエトキシシラン 0.1体積%
酸化珪素薄膜形成後、前記防汚層形成方法に従い、反射防止層上に防汚層を形成して反射防止フィルム−9を作製した。
〈フィルム−10〉
図6の大気圧プラズマ放電処理装置を用い、反射防止層表面に酸化珪素膜を膜厚で約30nm形成したこと以外はフィルム−9と同様にしてフィルム−10を作製した。
〔評価〕
(膜密度の測定)
膜密度を測定にはX線反射率法を用いた。X線反射率法の概要はX線回折ハンドブック151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)が参照出来る。
具体的な測定法を以下に示す。
装置はマックサイエンス社製MXP21を用いた。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定した。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングの残差平方和が最小となるように各パラメータを求めた。各パラメータから所望の2層の膜厚とそれぞれの膜密度を求めた。
試料フィルムは防汚層なしの場合は、最表面から2層分を測定対象とし膜密度比X/Yを求めた。防汚層ありの場合は、防汚層を除いて表面側から2層分を測定対象とし膜密度比X/Yを求めた。ここでいう2層とは本発明で定義した2層をいう。
(動摩擦係数の測定)
耐擦傷性試験で用いるスチールウールと反射防止フィルムとの動摩擦係数を測定した。
動摩擦係数測定には新東科学社製表面性測定機(HEIDON−14D)を用いた。
試料台に反射防止フィルムを貼り付け、圧子にスチールウール(#0000)を取り付けて、その上に約160g/cm2の荷重を加えて3m/minの速度で10回往復摺動させ、10往復の平均動摩擦係数を算出した。
(水の接触角の測定)
反射防止フィルムを23℃、55%RHの環境の下、協和界面科学製接触角CA−Wを用いて水の接触角を測定した。
(防汚特性の耐久性)
油性マジック(ゼブラ製マッキー細 黒インク)で反射防止フィルム表面に適当な線を書き、ベンコットン(旭化成製M−3)で線が見えなくなるまで拭き取る、この一連の作業を試料の同じ位置で繰り返し行い、線が消せなくなる回数を測定した。
拭き取り回数
◎:100回以上
○:20回以上100回未満
△:5回以上20回未満
×:5回未満
(耐擦傷性)
反射防止フィルムを60℃、90%RHの条件で100時間放置した後、23℃、55%RHに戻し、耐擦傷性試験を行った。耐擦傷性試験は、#0000のスチールウールをARフィルム表面に置き、更にその上に約160g/cm2の荷重を加え、50回往復摺動させ、目視により幅1cm当りの傷本数を測定した。
傷本数
◎:傷が全く見えない
○:非常に浅い傷が1〜2本発生
△:少し傷発生(目安;5本未満)
×:明らかに傷が多数発生
(密着性)
反射防止フィルムの表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横11本入れ、1mm角の碁盤目を100個作成する。ニチバン製セロハンテープを碁盤目上に貼り付け、テープの一端を手で持ち力強く引き剥がす。このとき、100個の碁盤目で反射防止層が剥がれている面積の割合を目視で観察して以下のランクに従い評価した。
剥がれた面積
○:全く剥がれなかった
△:剥がれたが面積は20%未満であった
×:20%以上の面積が剥がれた
以上の測定結果、評価結果を下記表1に示す
Figure 2007098833
表より、本発明のフィルム5、6、7,9,10は比較例のフィルム1,2,3,4、8に対し、防汚特性の耐久性、耐擦傷性、密着性が優れていることが明らかである。
以上から、本発明により、耐久性のある優れた防汚特性を持ち、かつ耐久性のある耐擦傷性、密着性を持った機能性薄膜を有した物品を提供することが出来る。また、大気圧プラズマ放電処理を用いることで、高い生産性を維持したまま、本来の機能性薄膜としての機能を損ねることなく、上記優れた機能性薄膜を有する物品を提供出来る。
本発明に係る機能性薄膜を有する物品の断面を示した模式図である。 本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。 本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。 本発明に係る機能性薄膜を有する別の物品の断面を示した模式図である。 本発明に有用な1周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。 本発明に有用な2周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。 ロール電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
符号の説明
F 基材
G 放電ガス
G′励起放電ガス
P 送液ポンプ
130 大気圧プラズマ放電処理装置
131 大気圧プラズマ放電処理容器
132 放電空間
135 ロール電極(第1電極)
136 角筒型電極群(第2電極)
140 電界印加手段
141 第1電源
142 第2電源
143 第1フィルター
144 第2フィルター
150 ガス供給手段
151 ガス発生装置
152 給気口
153 排気口
160 電極温度調節手段
161 配管
164、167 ガイドロール
165、166 ニップロール
168、169 仕切板

Claims (20)

  1. 表層付近に隣接する2つの層A、Bにおいて、表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(1)を満足し、かつ最表層の動摩擦係数が0.45以下であり、更に水の接触角が90°以上であることを特徴とする機能性薄膜を有する物品。
    式(1) 1.05≦X/Y≦1.23
  2. 前記表層に近い側の層Aの膜密度をX、もう一方の層Bの膜密度をYとした時、下記式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の機能性薄膜を有する物品。
    式(2) 1.08≦X/Y≦1.23
  3. 前記最表層の動摩擦係数が0.40以下であり、かつ水の接触角が100°以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性薄膜を有する物品。
  4. 大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により形成された励起ガスに接触させることで形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
  5. 前記印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることを特徴とする請求項4に記載の機能性薄膜を有する物品。
  6. 大気圧もしくはその近傍の圧力下で、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により形成された励起ガスに接触することで形成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
  7. 前記第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1kHz〜200kHzであり、かつ前記第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることを特徴とする請求項6に記載の機能性薄膜を有する物品。
  8. 大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向する電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが該放電により製膜されてなることを特徴とする請求項1〜3に記載の機能性薄膜を有する物品。
  9. 前記印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることを特徴とする請求項8に記載の機能性薄膜を有する物品。
  10. 大気圧もしくはその近傍の圧力下で、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、前記表層に近い側の層Aが、該放電により製膜されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
  11. 前記第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1kHz〜200kHzであり、かつ前記第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることを特徴とする請求項10に記載の機能性薄膜を有する物品。
  12. 最表層がフッ素原子を含有した防汚層であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品。
  13. 前記防汚層が大気圧プラズマ放電処理により形成されてなることを特徴とする請求項12に記載の機能性薄膜を有する物品。
  14. 機能性薄膜が反射防止層を含むことを特徴とする請求項1〜13に記載の機能性薄膜を有する物品。
  15. 前記反射防止層がゾルゲル法による塗工法により形成されてなることを特徴とする請求項14に記載の機能性薄膜を有する物品。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品が透明樹脂フィルム上に形成されていることを特徴とする反射防止フィルム。
  17. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の機能性薄膜を有する物品または請求項16に記載の反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
  18. 反射防止層をゾルゲル法による塗工により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて請求項16に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
  19. 反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマ放電処理により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該反射防止層を接触させて請求項16に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
  20. 反射防止層をゾルゲル法による塗工或いは、大気圧プラズマ放電処理により形成し、その後オンラインで、大気圧もしくはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に製膜原料ガスを含む混合ガスを供給し、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により該反射防止層表面に製膜を行い請求項16に記載の反射防止フィルムを形成することを特徴とする機能性薄膜の製造方法。
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