JP2003294901A - 反射防止フィルム、低屈折率領域の作製方法、偏光板 - Google Patents

反射防止フィルム、低屈折率領域の作製方法、偏光板

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JP2003294901A JP2002094405A JP2002094405A JP2003294901A JP 2003294901 A JP2003294901 A JP 2003294901A JP 2002094405 A JP2002094405 A JP 2002094405A JP 2002094405 A JP2002094405 A JP 2002094405A JP 2003294901 A JP2003294901 A JP 2003294901A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保管安定性に優れ、カールが少なく、偏光板
作製の際に凹みや泡の抱き込みが少ない反射防止フィル
ムを得ること。 【解決手段】 基材フィルム上に、少なくとも1つの高
屈折率領域とその上方に少なくとも1つの低屈折率領域
とを有する反射防止層が形成されている反射防止フィル
ムにおいて、表面の低屈折率領域は屈折率1.3〜1.
5であり、かつ珪素を含有し、表面に向かって段階的も
しくは連続的に炭素含有量が増加する領域を有すること
を特徴とする反射防止フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射防止フィルム、
及び大気圧もしくはその近傍の圧力下、プラズマ放電処
理により形成する低屈折率領域の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置の高精細化、動画表示対応など
高品質化が求められるようになり、更なる表示性能の向
上が求められている。表示装置の前面には反射防止加工
することが望ましく、様々な反射防止層が提案されてい
る。これまで、蒸着或いはスパッタリングなどによる方
法で反射防止層を形成する方法が行われてきたが、より
生産性の高い塗布方式による反射防止層を形成する方法
も提案されてきている。又、更に高い生産性が期待でき
るプラズマCVD法も提案されている。そのうち、大気
圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理は、
安価に複数の層を設けることが出来る方法として注目さ
れている。
【0003】反射防止層は屈折率の異なる光学干渉層が
積層されて構成されている。積層する層の数が多いほ
ど、反射率を低減することが可能となる。この反射防止
層は、通常、高屈折率層と低屈折率層を積層することに
よって形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、プラズマCVD
法で反射防止層を形成したフィルムをロール状態で保管
中、巻き状態での劣化が起こることが判明した。この問
題は膜厚が80μm以下のセルロースエステルフィルム
で多く発生し、中でも特に10〜60μmの薄膜セルロ
ースエステルフィルムではそれが顕著であった。
【0005】更に、プラズマ放電処理によって強いカー
ルが発生することが判った。強いカールはロールフィル
ムの巻き状態を更に悪化させるだけでなく、反射防止フ
ィルムを用いた偏光板作製の際に凹みや泡の抱き込み等
によって歩留まりを悪化させてしまい、その改善が求め
られていた。
【0006】又、カールが大きなセルロースエステルフ
ィルムを使用した反射防止フィルムを表示素子として組
み込んだ場合に、見る角度によって反射性が異なって見
えたり、画像がゆがんで見えたりし、出来るだけ平らで
平面性に優れたセルロースエステルフィルムを使用する
ことが求められていた。
【0007】本発明は上記事情に鑑みて為されたもので
あり、その目的は保管安定性に優れ、カールも少なく、
偏光板作製の際に凹みや泡の抱き込みが少ない平らな反
射防止フィルム、及びそれを生産性高く製造出来る方
法、更には該反射防止フィルムを組み込んだ偏光板、表
示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記の
構成よりなる。
【0009】1.基材フィルム上に、少なくとも1つの
高屈折率領域とその上方に少なくとも1つの低屈折率領
域とを有する反射防止層が形成されている反射防止フィ
ルムにおいて、表面の低屈折率領域は屈折率1.3〜
1.5であり、かつ珪素を含有し、表面に向かって段階
的もしくは連続的に炭素含有量が増加する領域を有する
ことを特徴とする反射防止フィルム。
【0010】2.低屈折率領域の基材フィルム側に下記
式で示される炭素含有率が5%未満の領域を有し、かつ
低屈折率領域の上方表面側に炭素含有率が5〜60%の
領域を有することを特徴とする前記1記載の反射防止フ
ィルム。
【0011】炭素含有率(%)=炭素含有量/(炭素含
有量+珪素含有量+酸素含有量)×100 3.低屈折率領域の最表面にフッ素化合物を有すること
を特徴とする前記1又は2記載の反射防止フィルム。
【0012】4.反射防止層が膜厚10〜80μmのセ
ルロースエステルフィルム上に直接又は他の層を介して
形成されたことを特徴とする前記1〜3の何れか1項記
載の反射防止フィルム。
【0013】5.反射防止層がセルロースエステルフィ
ルム上に形成された紫外線硬化型アクリルウレタン系樹
脂層の上に直接又は他の層を介して形成されたことを特
徴とする前記1〜3の何れか1項記載の反射防止フィル
ム。
【0014】6.低屈折率領域が大気圧プラズマCVD
法によって形成されたことを特徴とする前記1〜5の何
れか1項記載の反射防止フィルム。
【0015】7.屈折率が1.3〜1.5であり、かつ
珪素を含有し、表面に向かって段階的もしくは連続的に
炭素含有量が増加する領域を有する低屈折率領域を、珪
素を含む有機物を含有する反応ガスの大気圧もしくは大
気圧近傍の圧力下、プラズマ放電処理によって形成する
ことを特徴とする低屈折率領域の作製方法。
【0016】8.低屈折率領域を作製する際に、珪素を
含む有機物として低屈折率領域の膜厚の半分以上を主に
上記一般式(1)で表される化合物を用い、低屈折率領
域の表層を形成する際に上記一般式(2)〜(4)で表
される化合物の何れか、もしくはこれらの何れかと上記
一般式(1)で表される化合物との混合物を用いること
を特徴とする前記7記載の低屈折率領域の作製方法。
【0017】9.低屈折率領域の表層を形成する際に、
前記反応ガス中にフッ素化合物を含有させてプラズマ放
電処理することを特徴とする前記7又は8記載の低屈折
率領域の作製方法。
【0018】10.前記1〜6の何れか1項記載の反射
防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
【0019】11.前記1〜6の何れか1項記載の反射
防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
【0020】本発明者らは、反射防止フィルムに充分な
反射機能を有しながらロール状態で保管しても巻き状態
が劣化することなく、プラズマ放電処理によるカール発
生に起因する諸影響を改善する方法を検討し、そのよう
な問題点のない光学フィルムについて鋭意開発を行っ
た。その結果、低屈折率領域の表面に向かって段階的も
しくは連続的に炭素含有量が増加する領域を設けること
により、カールが少なく、巻き状態での保管性に優れ、
偏光板作製時の欠陥の発生や故障が減少するという反射
防止フィルムを得ることが出来ることを見出した。又、
大気圧もしくはその近傍の圧力で発生させるこのプラズ
マ放電処理により多層の反射防止層を積層することによ
り反射防止性能に優れ、しかも生産性、コストに優れた
光学フィルムを得ることに成功した。
【0021】この方法で形成された反射防止層を有する
反射防止フィルムはロールフィルムの保管安定性に優
れ、カールも少なく、偏光板作製の際に凹みや泡の抱き
込みが少ないことが確認された。又、この方法で作られ
た反射防止層は指紋などが付着しても拭き取るのが容易
であり、表示品質への影響もなく、高い膜硬度を持ちな
がら優れた防汚性、指紋拭き取り性を兼ね備えた低屈折
率領域を有する反射防止層であった。又、この低屈折率
領域を有する反射防止層は表面に油性マジックペン等で
書いても容易に拭き取ることができるものである。又、
この低屈折率領域を有する反射防止層は耐擦り傷性にも
優れ、250g/cm2の重りを積載した#0000の
スチールウールで10回往復させて擦った場合でも、傷
が入らない耐擦り傷性を付与することができる。
【0022】以下、本発明を詳細に説明する。複数の反
射防止層からなる反射防止フィルムの層構成は、透明基
材の上に必要に応じてハードコート層を任意の構成で設
け、屈折率と膜厚と層の数、層順により、目的とする光
学特性を設計することができる。
【0023】通常反射防止フィルムは、透明基材の観察
者側の面に反射防止層又は防眩層、ハードコート層、導
電性層等を設け、基材の観察者側の面とは反対側の面に
は、ディスプレイ用の偏光子等の表面にこれを貼合する
為の易接着層、ケン化処理層、粘着剤層を有している。
反射防止層は、通常、基材よりも屈折率の高い高屈折率
の層と基材よりも屈折率の低い低屈折率の層を組み合わ
せることにより達成される。構成の例としては、単層、
多層の各種知られているが、多層のものとしては基材側
から高屈折率層と低屈折率層の2層から成る構成や、屈
折率の異なる3層を、中屈折率層(基材或いはハードコ
ート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の
低い層)、高屈折率層、低屈折率層の順に積層すること
や、更に多くの層を積層すること等が提案されている。
中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性などから、
ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層、高屈折
率層、低屈折率層を設けることが好ましい。
【0024】基材面に(中屈折率層を設ける場合もあ
る)高屈折率層、その上に低屈折率層を順に積層し、高
屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚を光の波長に対し所
定の値に設定することにより光学干渉層を作り、反射防
止積層体としたものが反射防止層としては特に好まし
く、屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算
出し得る。
【0025】上記の反射防止フィルムの低屈折率層を形
成するには、珪素化合物、又は珪素化合物とフッ素化合
物の混合物、又はフッ素系化合物の層を積層することに
よりなされる。
【0026】本発明における「高屈折率領域」とは基材
或いはハードコート層よりも屈折率の高い高屈折率の層
を表し、「低屈折率領域」とは基材或いはハードコート
層よりも屈折率の低い低屈折率の層を表す。それぞれ1
層であっても複数の層であってもよく、組成が厚み方向
で変化しても良い。
【0027】本発明における低屈折率領域は珪素を20
%以上含有していることが好ましく、特に20〜45%
であることが好ましい。又、低屈折率領域の接触角は6
0゜〜180゜であることが好ましく、特に80〜15
0゜であることが好ましい。
【0028】低屈折率領域における炭素、珪素、酸素及
びフッ素の含有量は、X線光電子分光分析装置(以下、
XPS装置と記す)を用いてその値を測定することがで
きる。XPS装置としては特に限定なく、いかなる機種
も使用することができる。低屈折率領域の測定を行う前
に、汚染による影響を除くために、必要に応じて薄膜の
膜厚の5〜10%の厚さに相当する表面層をエッチング
除去する。表面層の除去には希ガスイオンが利用できる
イオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、
He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。
【0029】又、膜の深さ方向における炭素、珪素、酸
素含有量の変化も希ガスイオンによるエッチングを用い
て求める。希ガスイオンエッチングを繰り返し行い、膜
表面での元素含有量を求め、膜の深さ方向における、元
素含有量の変化を測定する。更に、本発明では低屈折率
領域における、各元素の平均含有率は上記深さ方向分析
を行った結果得られた各分析点での元素含有量の平均と
する。ここで、炭素含有率%は下式により求められる。
【0030】炭素含有率(%)=炭素含有量/(炭素含
有量+珪素含有量+酸素含有量)×100 本発明では低屈折率領域を設ける方法は特に限定され
ず、塗布、スパッタ、蒸着、プラズマCVD法によって
形成することができるが、特に大気圧プラズマCVD法
によって形成されたものであることが好ましい。この大
気圧プラズマCVD法は、大気圧又は大気圧近傍の圧力
下にある対向電極間の間隙に反応ガスを供給して放電す
ることにより発生させたプラズマによって、基材フィル
ム上に薄膜を形成させるものである。
【0031】大気圧プラズマ処理装置及び製膜方法につ
いて、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、
本発明はこれに限定されない。又、以下の説明には用語
等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、
本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語
の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0032】高屈折率領域とその上方に少なくとも1つ
の低屈折率領域とを有する反射防止層を形成する方法を
図1、2を用いて説明する。
【0033】反射防止層を形成する大気圧もしくはその
近傍の圧力下のプラズマ放電処理は下記のごときプラズ
マ放電処理装置を用いることによって行われる。
【0034】図1はプラズマ放電処理装置の一例を示す
図である。図1において、この装置は一対の回転電極1
0Aと10Bを有し、回転電極10Aと10Bには、プ
ラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源8
0が電圧供給手段81により接続され、82によりアー
スされている。回転電極10Aと10Bは基材(例え
ば、セルロースエステルフィルム)を巻き回しながら搬
送するもので、ロール電極もしくはベルト状の電極であ
ることが好ましく、図1ではロール電極を示している。
これらの回転電極間の間隙(電極間隙)は放電が行われ
る場所であり、セルロースエステルフィルムFが搬送で
きる間隔に設定されいる。この電極間の間隙が放電部5
0となる。この電極間隙は大気圧もしくは大気圧近傍の
圧力下に維持されており、ここに反応ガス供給部30よ
り反応ガスGが供給され、セルロースエステルフィルム
F表面がプラズマ放電処理される。
【0035】ここで、元巻きロールから巻き出されたセ
ルロースエステルフィルムF又は前工程から搬送されて
くるセルロースエステルフィルムFがガイドロール20
を経て、まず、移送方向に回転する回転電極10Aに接
しながら移送され、放電部50を通過して、セルロース
エステルフィルムFの表面に薄膜が形成される。一旦放
電部50から出たセルロースエステルフィルムFはUタ
ーンロール11A〜11DでUターンされ、今度は回転
電極10Aと反対方向に回転している回転電極10Bに
接しながら移送され、再び前記放電部50を通過して、
先ほど薄膜が形成されたセルロースエステルフィルムF
の表面に更にプラズマ放電処理され薄膜が形成される。
Uターンは通常0.1秒〜1分程度で行なわれる。処理
に使用された反応ガスGはガス排出口40より反応後の
排ガスG′として排出される。
【0036】図ではセルロースエステルフィルムF上に
形成された薄膜は省略してある。表面に薄膜が形成され
たセルロースエステルフィルムFは、ガイドローラ21
を介して次工程又は巻き取りロール(図示してない)方
向に搬送される。従って、セルロースエステルフィルム
Fは回転電極10A、10Bに密着した状態で放電部5
0を往復してプラズマ放電処理されることとなる。
【0037】尚、図示してないが、回転電極10Aと1
0B、ガイドロール20、21、Uターンロール11A
〜11D、反応ガス供給部30、ガス排出口40等の装
置は外界と遮断するプラズマ放電処理容器内に囲まれて
納められていることが好ましい。又、図示してないが、
必要に応じて、回転電極10Aと10Bの温度制御をす
るための温度制御用媒体が循環され、各々の電極表面温
度を所定の値に制御するようになっている。又、1回の
処理で必要な膜厚が得られない場合は、同様の装置を複
数用いて連続的に薄膜を形成することも出来る。
【0038】図2は回転電極と固定電極を有するプラズ
マ放電処理装置の一例を示す図である。回転電極110
とそれに対向して配置された複数の固定電極111を有
し、図示されていない元巻きロール又は前工程から搬送
されて来るセルロースエステルフィルムFがガイドロー
ル120、ニップロール122を経て回転電極110に
導かれ、セルロースエステルフィルムFは回転電極11
0に接した状態で回転電極110の回転と同期しながら
移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電
部150に反応ガス発生装置131で調製された反応ガ
スGが給気管130から供給され、固定電極111に対
向しているセルロースエステルフィルム面に薄膜が形成
される。
【0039】回転電極110と固定電極111には、プ
ラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源1
80が電圧供給手段181により接続されており、18
2によってアースされている。又、回転電極110、固
定電極111、放電部150はプラズマ放電処理容器1
90で覆われ、外界と遮断されている。処理された排ガ
スG′は処理室の下部にあるガス排気口140から排出
される。排ガスG′は回収し、フィルターや活性炭処
理、冷却等によって異物、分散物を除去した後希ガスを
再利用することも出来る。プラズマ放電処理されたセル
ロースエステルフィルムFはニップロール123及びガ
イドロール121を経て次工程又は図示してない巻き取
りロールへ搬送される。
【0040】セルロースエステルフィルムFがプラズマ
放電処理容器の出入り部分のニップロール122及び1
23のところに外界との仕切板124及び125が設け
られており、外界からニップロール122と共にセルロ
ースエステルフィルムFに同伴して来る空気を遮断し、
又出口においては、反応ガスG又は排ガスG′が外界に
漏れないようになっている。尚、図示してないが、必要
に応じて、回転電極110及び固定電極111は温度調
節のための温度制御された媒体を循環するようになって
いる。
【0041】このように、本発明において、薄膜が形成
されるセルロースエステルフィルムは回転電極上で移送
しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0042】回転電極がセルロースエステルフィルムと
接する表面は高い平滑性が求められ、回転電極の表面の
表面粗さがJIS−B−0601で規定される表面粗さ
の最大高さ(Rmax)が10μm以下であることが好
ましく、より好ましくは8μm以下であり、更に好まし
くは7μm以下であり、特に好ましくは3μm以下であ
る。
【0043】本発明に用いられる電極の表面は固体誘電
体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電
性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望まし
い。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、
ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2
等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙
げることができる。特に好ましくはセラミックスを溶射
後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理
誘電体である。ここで、金属等の導電性母材としては、
銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、チ
タン合金等の金属等を挙げることができるが、加工の観
点からステンレスが好ましい。
【0044】又、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガ
ラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン
酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラ
ス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、こ
の中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ま
しく用いられる。
【0045】本発明において、電極はその裏面側(内
側)から必要に応じて加熱或いは冷却することができる
ようになっていることが好ましい。電極がベルトの場合
には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロ
ールを用いた回転電極では内部に媒体を循環供給して電
極表面の温度及びセルロースエステルフィルムの温度を
制御することが好ましい。媒体としては、蒸留水、油特
にシリコンオイル等の絶縁性材料が好ましく用いられ
る。
【0046】放電処理の際のセルロースエステルフィル
ムの温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃
以下が好ましく、より好ましくは室温〜120℃以下で
あり、更に好ましくは50〜110℃である。
【0047】放電処理の際にセルロースエステルフィル
ム面の特に幅手方向で温度ムラが生じないようにするこ
とが望ましい。温度ムラは±5℃以内とすることが好ま
しく、より好ましくは±1℃以内であり、特に好ましく
は±0.1℃以内である。
【0048】本発明において、電極間隙は、固体誘電体
の厚さ、印加電圧や周波数、プラズマを利用する目的等
を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を
設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極
の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の
距離としては、何れの場合も均一な放電プラズマを発生
させるという観点から0.5mm〜20mmが好まし
く、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0049】本発明において、電極間隙の放電部には、
ガス発生装置で発生させた混合ガスを流量制御して、反
応ガス供給口よりプラズマ放電部に導入される。反応ガ
スの濃度や流量は適宜調整されるが、セルロースエステ
ルフィルムの搬送速度に対して十分な速度で処理用ガス
を電極間隙に供給することが好ましい。通常、処理され
るフィルムの幅1cm当たり0.1〜300L/min
で供給される。放電部では供給した反応ガスのほとんど
が反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件を
設定するのが望ましい。
【0050】放電部に大気が混入したり、反応ガスが装
置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中
のセルロースエステルフィルムは全体を囲んで外界から
遮蔽することが好ましい。本発明において、放電部の気
圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持される。
【0051】ここで大気圧近傍とは、20〜200kP
aの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得る
ためには、93〜110kPaが好ましい。装置外の大
気圧力に対して放電部がやや陽圧であることが好まし
く、大気圧プラズマ処理装置外の大気圧力+0.1kP
a〜5kPaであることがより好ましい。
【0052】本発明に有用な大気圧プラズマ処理装置で
は、一方の電極は電源に接続して電圧を印加し、もう一
方の電極はアースに接地し放電プラズマを発生させるこ
とが安定したプラズマを発生させるために好ましい。
【0053】高周波電源より電極に印加する電圧の値は
適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程
度で、印加する周波数は1kHz〜150MHzに調整
し、波形をパルス波であってもサイン波としてもよい。
特に周波数を100kHzを超えて50MHz以下とす
ることが、好ましい放電部(放電空間)が得られるため
好ましい。
【0054】放電部における放電密度は5〜1000W
・min/m2であることが好ましく、特に50〜50
0W・min/m2であることが望ましい。
【0055】プラズマ放電処理部はパイレックス(R)
ガラス製の処理容器等で適宜囲まれていることが望まし
く、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能
である。例えば、アルミ又はステンレスのフレームの内
面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレ
ームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。
又、放電部や回転電極の側面部、セルロースエステルフ
ィルム搬送部等の側面を囲むことによって、反応ガスや
排ガスを適切に放電部に供給したり排気することもでき
る。
【0056】反射防止層の形成に用いる反応ガスについ
て説明する。反射防止層は、屈折率の異なる層を積層し
て構成したものであり、それぞれの屈折率の主要の金属
化合物層について以下に説明する。
【0057】反射防止層は、高屈折率層を形成する酸化
チタン或いは酸化ジルコニウム等の層と中屈折率層を形
成する酸化錫或いは酸化亜鉛等の層、更に低屈折率層を
形成する酸化珪素、又は酸化珪素等の珪素化合物とフッ
素化合物の混合物、又はフッ素系化合物の層を積層する
ことにより構成されることが好ましい。
【0058】本発明において使用する反応ガスは、基材
フィルム上に設ける薄膜の種類によって異なるが、基本
的に、希ガス又は窒素ガスなどの不活性ガスと、薄膜を
形成するための反応性ガスが混合された反応ガスであ
る。反応性ガスは、反応ガスに対し0.01〜10体積
%含有させることが好ましく、より好ましくは0.1〜
5体積%である。
【0059】反応ガス中の不活性ガスの濃度は90体積
%以上であることが安定したプラズマ放電を発生させる
ために好ましく、90〜99.99体積%であることが
望ましい。不活性ガスは安定したプラズマ放電を発生さ
せるために用いられ、該プラズマ中で反応性ガスはイオ
ン化或いはラジカル化され、基材表面に堆積或いは付着
するなどして薄膜が形成される。
【0060】上記不活性ガスは希ガスが挙げられ、周期
表の第18属元素、具体的にはヘリウム、ネオン、アル
ゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる
が、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、ア
ルゴンが好ましく用いられる。
【0061】反射防止層を形成する反応性ガスにおい
て、高屈折率層を形成するチタン化合物、中屈折率層を
形成する錫化合物、低屈折率層を形成する珪素化合物に
ついて述べる。
【0062】反射防止層を有する本発明の反射防止フィ
ルムは、各屈折率層を基材上に直接又は他の層を介して
積層して得られるものであるが、積層は、例えば、大気
圧もしくはその近傍の圧力下、反応ガス雰囲気内でプラ
ズマ放電処理装置を直列に例えば3基(中屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層)並べて連続的に処理することに
より3層積層することが出来る。この連続的積層処理は
品質の安定や生産性の向上等から本発明の光学フィルム
の作製に適している。又連続的に積層せずに、1層処理
ごと、処理後巻き取り、逐次処理して積層してもよい。
【0063】本発明の反射防止フィルムの反射防止層用
反応性ガスは、適切な屈折率を得ることの出来る化合物
であれば制限なく使用出来るが、本発明において、高屈
折率層形成用反応性ガスとしてはチタン化合物を、中屈
折率層形成用反応性ガスとしては錫化合物又はチタン化
合物と珪素化合物の混合物(又は高屈折率形成用のチタ
ン化合物で形成した層と低屈折率層を形成する珪素化合
物で形成した層を積層してもよい)を、又低屈折率層形
成用反応性ガスとしては珪素化合物、フッ素化合物、或
いは珪素化合物とフッ素化合物の混合物を好ましく用い
ることが出来る。これらの化合物を屈折率を調節するた
めに、何れかの層の形成用反応性ガスとして2種以上混
合して使用してもよい。
【0064】本発明に有用な高屈折率層形成用反応性ガ
スに使用するチタン化合物としては、有機チタン化合
物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有
機チタン化合物としては、例えば、トリエチルチタン、
トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチ
ルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチ
タン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリ
メトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブト
キシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポ
キシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエト
キシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラ
ジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセト
ナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタ
ン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン
水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロ
チタン、テトラクロロチタン等を挙げることが出来、何
れも本発明において好ましく用いることが出来る。又こ
れらの反応性ガスを2種以上を同時に混合して使用する
ことが出来る。
【0065】本発明に有用な中屈折率層形成用反応性ガ
スに用いる錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化
合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、
例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−
n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テ
トラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエ
トキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、
ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキ
シ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ
錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル
錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナー
ト、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物
等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙
げることが出来、何れも本発明において、好ましく用い
ることが出来る。又、これらの反応性ガスを2種以上同
時に混合して使用してもよい。尚、このようにして、形
成された酸化錫層は表面比抵抗値を1011Ω/cm2
下、更に好ましくは108Ω/cm2以下に下げることが
出来るため、帯電防止層としても有用である。
【0066】本発明に有用な低屈折率層形成用反応性ガ
スに使用する珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪
素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることが
出来、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチル
シラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラ
ン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テト
ライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
エチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化
シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合
物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることが出来、
何れも本発明において好ましく用いることが出来る。
【0067】前記低屈折率層を形成する材料としては、
有機珪素化合物、特にテトラアルコキシシランを含む珪
素アルコキシドを加水分解した(酸化珪素)ゾルを用い
ることが好ましい。このゾルは有機珪素化合物を塗布に
適した有機溶剤に溶解し、一定量の水を用いて加水分解
を行って調製することができる。このゾルの形成に使用
する有機珪素化合物の好ましい例は、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物を用いる。中でも低屈折率領
域の膜厚の半分以上を主に下記一般式(1)で表される
化合物を用い、低屈折率領域の表層を形成する際には下
記一般式(2)〜(4)で表される化合物の何れか、も
しくはこれらの何れかと下記一般式(1)で表される化
合物との混合物を用いることが好ましい。
【0068】 一般式(1) Si(OR1)(OR2)(OR3)(OR4) 一般式(2) R11Si(OR1)(OR2)(OR3) 一般式(3) R1112Si(OR1)(OR2) 一般式(4) R111213Si(OR1) −OR1〜−OR4は置換基を有してもよいアルコキシ基
であり、R11〜R13は置換基を有してもよいアルキル
基、アルケニル基、水素原子、ハロゲン原子から選択さ
れる置換基であり、それぞれ異なっていても同じでもよ
い。
【0069】この有機珪素化合物の具体例としては、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn
−プロポキシシラン、テトラi−プロポキシシラン、テ
トラn−ブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラ
ン、テトラt−ブトキシシランなどのテトラアルコキシ
ドシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メ
チルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシ
シラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルト
リメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、
グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシ
メチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルト
リメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、
α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリ
シドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシ
ブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、δ−グリキドキシブチルトリメトキシシラン、δ−
グリキドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシエトキシシラン、γ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラ
ン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリメトキシシランなどのトリアルコキシ
シラン、トリアシルオキシシラン、トリフェノキシシラ
ン類;ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメ
チルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシ
ラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリル
オキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエ
トキシシラン、メチルビニルジメトキシシレン、メチル
ビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジ
メトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシ
シラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、
β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−
グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジブトキシエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジアセトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシ
シラン、ジフェノキシシラン、ジアシルオキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルジシラン、
ヘキサメチルジシロキサン類等が挙げられる。
【0070】これらの有機珪素化合物は、求められる膜
の屈折率等の光学物性の調整や、表面の硬度、濡れ、密
着性、及びクラック防止の目的により2種以上用いるこ
とも可能である。特に、クラック防止及び染色性付与の
目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機珪素化
合物の使用が好適であり、高付加価値なものとなる。
【0071】上記珪素化合物の加水分解は、適当な溶媒
中に溶解して行うのが好ましい。この溶媒としては、例
えば、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、
メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のアルコール、ケトン、エステ
ル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素、或いはこれらの混合物が挙げられる。上
記珪素化合物は上記溶媒中に、該珪素化合物が100%
加水分解及び縮合したとして生じる酸化珪素換算で0.
1質量%以上、好ましくは0.1〜10質量%になるよ
うに溶解する。酸化珪素ゾルの濃度が0.1質量%未満
であると、形成されるゾル膜が所望の特性を十分に発揮
できず、一方10質量%を超えると、透明均質膜の形成
が困難となる。又、本発明においては、以上の固形分の
範囲内であるならば、有機物や無機物バインダーを併用
することも可能である。
【0072】この溶液に加水分解に必要な量以上の水を
加え、15〜35℃、好ましくは22〜28℃の温度
で、0.5〜48時間、好ましくは2〜24時間攪拌を
行う。上記加水分解においては、触媒を用いるのが好ま
しく、これらの触媒としては塩酸、硝酸、硫酸又は酢酸
等の酸が好ましく、これらの酸を約0.001〜20m
ol/L、好ましくは0.005〜5mol/L程度の
水溶液として加え、該水溶液中の水分を加水分解用の水
とすることができるが、溶液全体のpHが4〜10にな
るように加えるのが好ましい。又、酸以外にアンモニア
等の塩基を用いることができる。このようにして得られ
た酸化珪素ゾルは、無色透明な液体であり、ポットライ
フが約1ケ月の安定な溶液であり、基材に対して濡れ性
が良く、塗布適性に優れている。
【0073】前記珪素化合物の加水分解により得られる
(酸化珪素)ゾルは、液状で、通常の塗布作業が適用で
きる範囲の粘度を有するものであり、適用温度で1Pa
・s以下、更には0.1Pa・s以下のものが好まし
い。これより高い粘度を有する液状物は均一な塗膜を形
成するのが難しくなる。塗布方法としては、通常のコー
ティング作業で用いられる方法を用いることができ、例
えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロー
ルコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷
法、スクリーン印刷法、ビートコーター法、マイクログ
ラビアコーター法等を挙げることができる。
【0074】又、本発明においては以下のフッ素化合物
を使用することが出来る。これらの反応性ガスの2種以
上を同時に混合して使用することが出来る。又、屈折率
の微調整にこれら錫化合物、チタン化合物、珪素化合物
を適宜2種以上同時に混合して使用してもよい。
【0075】低屈折率層には、珪素化合物の他にフッ素
化合物を用いてもよい。又低屈折率層に珪素化合物とフ
ッ素化合物の混合物を使用することが出来る。フッ素化
合物としては、フッ化炭素ガス又はフッ化炭化水素ガス
であってもよく、例えば、四フッ化メタン、六フッ化エ
チレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン、
二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレ
ン、三フッ化プロピレン、一塩化三フッ化メタン、一塩
化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン、ヘキ
サフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ
メタノール、ペンタフルオロエタノール、1−ヒドロ−
1,2,3−ヘキサフルオロプロパノール等を挙げるこ
とが出来る。
【0076】反応ガスにフッ素化合物を混合させる場
合、反応ガス中のフッ素化合物は0.01〜5体積%、
更に0.1〜0.5体積%であることが好ましい。又、
フッ素化合物を反応ガスに混合して用いると、薄膜表面
のエネルギーが低下し、撥水性又は防汚性も付与するこ
とが出来、又、フッ素化合物より形成される薄膜も低屈
折率層とすることが出来る。上記フッ素化合物が常温、
常圧で気体である場合は、反応ガスの構成成分として、
そのまま使用出来るので最も容易に本発明において使用
することが出来る。しかし、フッ素化合物が常温・常圧
で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法に
より気化して使用すればよく、又、適切な溶剤に溶解し
て希ガスをバブリングして用いてもよい。溶媒として
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン
などの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。
【0077】上記の有機錫化合物、有機チタン化合物又
は有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化
合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガス
の発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金
属アルコキシドが好ましく用いられる。又、上記の有機
錫化合物、有機チタン化合物又は有機珪素化合物を放電
空間である電極間に導入する場合、これらは常温常圧
で、気体、液体、固体何れの状態であっても構わない。
気体の場合は、そのまま放電空間に導入出来るが、液
体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段に
より気化させて使用される。有機錫化合物、有機チタン
化合物又は有機珪素化合物を加熱により気化して用いる
場合、金属テトラエトキシド、金属テトライソプロポキ
シドなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金
属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられ
る。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使
用されても良く、この場合、希ガス中へ気化器等により
気化して反応ガスに使用すればよい。
【0078】反応性ガスについて、放電プラズマ処理に
より基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス
中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好
ましいが、更に好ましくは0.01〜1体積%である。
【0079】尚、中屈折率層については上記珪素化合
物、上記チタン化合物又は上記錫化合物を、目標とする
屈折率に合わせて適宜混合することによっても得ること
が出来る。
【0080】更に、これらの各層の形成に用いられる反
応ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一
酸化炭素、水素から選択される成分を反応性ガスとして
使用してもよい。好ましくは0.01〜10体積%、よ
り好ましくは0.1〜5体積%含有させることにより反
応促進され、且つ、薄膜の硬度を著しく向上させたり、
緻密で良質な薄膜を形成することが出来る。特に、酸素
又は水素を添加することが好ましい。
【0081】本発明の反射防止フィルムにおいては、表
面の低屈折率領域は以下のようにして形成することが出
来るが特にこの方法に限定されるものではない。まず前
述の方法で高屈折率層(例えば酸化チタン層、酸化ジル
コニウム層)を形成し、その上に酸化珪素層を形成す
る。例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、トリエトキシシラン等の一般式(1)で示される
成分を有する反応ガスAを用いることによって、大気圧
プラズマ法により主に酸化珪素を有する層を形成するこ
とが出来る。このとき、膜中に含まれる炭素含有率は5
%未満とする。5%を越えると膜が柔らかくなり、傷が
入りやすくなる。所定の低屈折率領域の膜厚に対して1
/2以上の膜厚分をここで形成することが好ましい。次
いでその上にメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチ
ルメトキシシラン、フルオロアルキルシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキサ
メチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、フェニル
トリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の一
般式(2)〜(4)で表される珪素化合物を有する反応
ガスBを用いて、大気圧プラズマ法により炭素含有率が
多い酸化珪素を有する層を形成する。即ち、大気圧プラ
ズマ処理の際の反応ガスの組成を反応ガスAから反応ガ
スBへと変更することによって、表面になるほど炭素含
有率が多い酸化珪素層を形成することが出来る。例え
ば、プラズマ処理の放電部が複数設けられている処理装
置を用いる場合、処理のはじめには反応ガスAを使用し
て薄膜を形成し、次に反応ガスBと反応ガスAの混合ガ
スを使用して薄膜を形成する。反応ガスBと反応ガスA
の混合比を次第に反応ガスBが多くなるようにしながら
薄膜を形成していき、更に反応ガスBを使用して薄膜を
形成する。このようにすることによって表面に行くほど
炭素含有率が次第に高くなる低屈折率領域を形成するこ
とが出来る。表面側の炭素含有率は5〜60%であるこ
とが好ましく、更に好ましくは6〜50%であり、更に
好ましくは7〜40%である。低屈折率領域の炭素含有
率を表層側で多くすることによって、カールやロールフ
ィルムの巻き形状劣化が少ない反射防止フィルムを得る
ことができる。炭素含有率を変更するため、反応ガスの
種類や組成を変更するだけでなく、プラズマ処理の放電
条件等を適宜調整してもよい。更に、炭素含有率が高い
低屈折率領域を形成する際に、反応ガス中にフッ素化合
物を含有させて、該低屈折率領域を構成している炭素に
フッ素を結合させたり、フッ素を有する置換基を導入す
ることが出来る。又は、炭素含有率が高い低屈折率領域
の表面をフッ素化合物を含有する反応ガスを用いてプラ
ズマ放電処理することによって、表面にフッ素化合物の
層を形成することも出来る。これによって、更にカール
が少なく、ロールフィルムの巻き形状劣化が少ない反射
防止フィルムを得ることができるだけでなく、防汚性や
良好な指紋ふき取り性を付与することが出来る。使用で
きるフッ素化合物としては、飽和炭化水素のフッ素化
物、不飽和炭化水素のフッ素化物、脂環式炭化水素のフ
ッ素化物又はSF6等のフッ化硫黄等が好ましく用いら
れる。具体的には、前述の低屈折率層形成に使用できる
フッ素化合物の他、ヘキサフルオロシクロプロパン(フ
ロンC−216)、1,1,2,2−テトラクロロテト
ラフルオロシクロブタン(フロンC−314)、1,2
−ジクロロヘキサフルオロシクロブタン(フロンC−3
16)、モノクロロヘプタフルオロシクロブタン(フロ
ンC−317)、オクタフルオロシクロブタン(フロン
C−318,OFB)、1,2,2−トリクロロ−3,
3,4,4−テトラフルオロシクロブタン(フロンC−
324)、1,1−ジクロロ−2,2,3,3−テトラ
フルオロシクロブタン(フロンC−334)、1−クロ
ロ−2,2,3,3−テトラフルオロシクロブタン(フ
ロンC−344)、1,1,2,2−テトラフルオロシ
クロブタン(フロンC−354)、1,2−ジクロロテ
トラフルオロシクロブテン(フロンC−1314)、ヘ
キサフルオロシクロブテン(フロンC−1316)、パ
ーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサ
ン、パーフルオロシクロヘプタンなどを挙げることが出
来、又不飽和炭化水素の水素原子の一部又は全部をフッ
素原子を含むハロゲン基で置換した含フッ素化合物とし
てはトリクロロモノフルオロエチレン(フロン111
1)、1,2−ジクロロジフルオロエチレン(フロン1
112)、1,1−ジクロロジフルオロエチレン(フロ
ン1112a)、モノクロロ−1,1,2−トリフルオ
ロエチレン(フロン1113)、テトラフルオロエチレ
ン(フロン1114)、1,2−ジクロロ−2−フルオ
ロエチレン(フロン1121)、1,1−ジクロロ−2
−フルオロエチレン(フロン1121a)、1−クロロ
−2,2−ジフルオロエチレン(フロン1122)、1
−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(フロン112
2a)、トリフルオロエチレン(フロン1123)、1
−クロロ−2−フルオロエチレン(フロン1131)、
1−クロロ−1−フルオロエチレン(フロン1131
a)、1,2−ジフルオロエチレン(フロン114
2)、1,1−フルオロエチレン(フロン1142
a)、フルオロエチレン(フロン1141)、ヘキサフ
ルオロプロピレン(HFP)、フルオロプロピレン、ジ
フルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、テトラ
フルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、オク
タフルオロブテン、フルオロブテン、ジフルオロブテ
ン、トリフルオロブテン、テトラフルオロブテン、ペン
タフルオロブテン、ヘキサフルオロブテン、ヘプタフル
オロブテン、パーフルオロペンタンなどが使用できる。
本発明では、反応ガス中のフッ素化合物としては、例え
ばフッ化メタン、ヘキサフルオロプロピレン、オクタフ
ルオロシクロブタン等が好ましく用いられる。
【0082】本発明では、これらを含む反応ガスを用い
てプラズマ処理することによって、低屈折率領域の表面
にフッ素化合物を付与することができる。
【0083】次に、基材について説明する。基材として
は、セルローストリアセテート等のセルロースエステル
支持体、ポリエステル支持体、ポリカーボネート支持
体、ポリスチレン支持体、更にこれら支持体の上層にゼ
ラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設した
支持体等を使用することが出来る。又、本発明に係る基
材は、上記の支持体単独で基材として用いても良く、上
記の支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設し
たり、バックコート層、配向層、液晶層、帯電防止層を
塗設したものを基材として用いることが出来る。
【0084】上記の支持体としては、具体的には、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ
プロピレンフィルム、セロファン、セルロースアセテー
トフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロ
ースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテ
ートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフ
タレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロ
ースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれら
の誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィル
ム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルア
ルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン
系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン
樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエ
ーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエー
テルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリ
エーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、
フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメ
タクリレートフィルム、アクリルフィルム或いはポリア
リレート系フィルム等を挙げることができる。
【0085】これらの素材は単独で或いは適宜混合され
て使用することもできる。中でもノルボルネン樹脂系フ
ィルムとしてゼオネックス、ゼオネア(日本ゼオン
(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などの樹脂
を用いたフィルムを使用することができる。更に、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポ
リエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材
であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には
縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより得る
ことが出来る。又、基材は上記のものに限定されない。
膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく
用いられる。
【0086】基材としては、中でもセルロースエステル
フィルムを用いることが低い反射率の積層体が得られる
為、好ましく用いられる。本発明に記載の効果を好まし
く得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロー
スアセテート、セルロースアセテートブチレート、セル
ロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセ
ルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート
プロピオネートが好ましく用いられる。
【0087】本発明では、これらセルロースエステルフ
ィルムは通常、膜厚10〜500μmのものが用いられ
るが、特に膜厚10〜80μmのものを使用することが
好ましい。
【0088】特にアセチル基の置換度をX、プロピオニ
ル基及び/又はブチリル基の置換度をYとしたとき、X
とYが下記の式(1)及び式(2)を同時に満たすセル
ロースの混合脂肪酸エステルを用いて作製された支持体
上、又は基材上に高屈折率層及び低屈折率層を設けた反
射防止フィルムが好ましく用いられる。
【0089】式(1):2.3≦X+Y≦3.0 式(2):0.1≦Y≦1.2 基材にセルロースエステルを用いる場合、セルロースエ
ステルの原料のセルロースは特に限定されないが、綿花
リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケ
ナフなどを挙げることが出来る。又それらから得られた
セルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用す
ることが出来る。これらのセルロースエステルは、セル
ロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プ
ロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような
有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸
のようなプロトン性触媒を用いて反応させて得ることが
できる。
【0090】アシル化剤が酸クロライド(CH3COC
l、C25COCl、C37COCl)の場合には、触
媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行
われる。具体的には、特開平10−45804号に記載
の方法等を参考にして合成出来る。又、セルロースエス
テルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を調製混合
して反応させたものであり、セルロースエステルはこれ
らアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セル
ロース分子はグルコースユニットが多数連結したものか
らなっており、グルコースユニットに3個の水酸基があ
る。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換
度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコ
ースユニットの3個の水酸基にアセチル基が結合してい
る(実際には2.6〜3.0)。
【0091】セルロースエステルとしては、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチ
レート、又はセルロースアセテートプロピオネートブチ
レートのようなアセチル基の他にプロピオネート基或い
はブチレート基が結合したセルロースエステルが特に好
ましく用いられる。尚、ブチレートを形成するブチリル
基としては、直鎖状でも、分岐していてもよい。
【0092】プロピオネート基を置換基として含むセル
ロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶
画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0093】アシル基の置換度の測定方法はASTM−
D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0094】セルロースエステルの数平均分子量は成型
した場合の機械的強度が強く、且つ、適度なドープ粘度
となることから7万〜25万が好ましく、更に好ましく
は8万〜15万である。
【0095】ここで、上記のセルロースエステルの数平
均分子量は下記のようにして求められる。 《セルロースエステルの数平均分子量の測定》高速液体
クロマトグラフィにより下記条件で測定する。
【0096】 溶媒 :アセトン カラム :MPW×1(東ソー(株)製) 試料濃度 :0.2質量/v% 流量 :1.0ml/分 試料注入量:300μl 標準試料 :ポリメタクリル酸メチル(Mw=188,200) 温度 :23℃ これらセルロースエステルは後述するように一般的に流
延法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を
例えば、無限に移送する無端の金属ベルト或いは回転す
る金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体という
こともある)上に加圧ダイからドープを流延(キャステ
ィング)し製膜する方法で製造されるが、これらドープ
の調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエス
テルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好まし
く、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,
3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサ
ノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノー
ル、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プ
ロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフル
オロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン等を挙げることが出来る
が、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオ
キソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等
が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられ
る。
【0097】又、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸
発工程において支持体上に形成されたウェブ(ドープ
膜)から溶媒を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防
止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては3
0〜80℃が好ましく、例えば、上記の良溶媒の沸点は
メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル
(沸点56.32℃)、アセトン(56.3℃)、酢酸
エチル(76.82℃)等である。
【0098】上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチ
レンクロライド、酢酸メチルが好ましく用いられる。
【0099】上記有機溶媒の他に、0.1〜30質量%
の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好
ましい。特に好ましくは10〜30質量%で前記アルコ
ールが含まれることが好ましい。これらは上記のドープ
を流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコール
の比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウ
ェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易に
するゲル化溶媒として用いられる。又、これらの割合が
少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶
解を促進する役割もある。
【0100】炭素原子数1〜4のアルコールとしては、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−
プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール等を挙げることが出来る。
【0101】これらのうちドープの安定性、沸点も比較
的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタ
ノールが好ましい。好ましくはメチレンクロライド70
〜90質量%に対してエタノール10〜30質量%を含
む溶媒を用いる。環境上の制約でハロゲンを含む溶媒を
避ける場合は、メチレンクロライドの代わりに酢酸メチ
ルを用いることもできる。この場合、−100℃〜−1
0℃に冷却して溶解する冷却溶解法を用いてセルロース
エステル溶液を調製することが出来る。
【0102】本発明の反射防止フィルムの基材フィルム
にセルロースエステルフィルムを用いる場合、このセル
ロースエステルフィルムには可塑剤を含有するのが好ま
しい。可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステ
ル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット
酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコ
レート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエス
テル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。リン
酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフ
ェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエ
チルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチ
ルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレ
ート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベン
ジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリ
メリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテー
ト、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリ
テート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テ
トラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテ
ート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エ
ステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフ
タリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリ
コレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエ
ン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、
トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシト
レート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチ
ルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等、或
いはトリメチロールプロパントリベンゾエートを好まし
く用いることができる。
【0103】その他のカルボン酸エステルの例には、オ
レイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシ
ン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれ
る。
【0104】ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基
酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグ
リコールの共重合体を用いることが出来る。脂肪族二塩
基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシ
ン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシ
ルジカルボン酸などを用いることが出来る。グリコール
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレ
ングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなど
を用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコー
ルはそれぞれ単独で用いても良いし、二種以上混合して
用いても良い。
【0105】特に、特願2000−338883号に記
載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等
の添加物を有するセルロースエステルフィルムが好まし
く用いられる。具体的には、ロジン及びロジン誘導体と
しては、以下の構造式のものが挙げられる。
【0106】
【化1】
【0107】上記化合物のうち、荒川化学工業(株)か
らKE−604とKE−610はそれぞれ酸価237と
170で市販されている。同じく、荒川化学工業(株)
からアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラスト
リン酸3者の混合物のエステル化物として、KE−10
0及びKE−356が、それぞれの酸価は8と0で市販
されている。又、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸
及びパラストリン酸3者の混合物は、播磨化成(株)か
らそれぞれの酸価167、168のG−7及びハートー
ルR−Xで市販されている。
【0108】本発明に用いられるエポキシ樹脂は、以下
の構造を有するものが挙げられる。
【0109】
【化2】
【0110】アラルダイドEPN1179及びアラルダ
イドAER260は旭チバ(株)から市販されている。
【0111】本発明に用いられるケトン樹脂の一例とし
ては、以下の構造のものが挙げられる。
【0112】
【化3】
【0113】ハイラック110、ハイラック110Hは
日立化成(株)からの市販されているものが用いられ
る。パラトルエンスルホンアミド樹脂としては、以下の
構造のものが挙げられ、トップラーとして、フジアミド
ケミカル(株)から市販されている。
【0114】
【化4】
【0115】これらの可塑剤を単独或いは併用するのが
好ましい。これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、
加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20
質量%であることが好ましい。
【0116】本発明で用いられる支持体に係る紫外線吸
収剤について説明する。本発明の反射防止フィルムの基
材(支持体単独の場合もある)としては、液晶等の劣化
防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0117】紫外線吸収剤としては、波長370nm以
下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観
点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないも
のが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる
紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフ
ェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチ
ル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリ
アジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケ
ル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定され
ない。又、特開平6−148430号記載の高分子紫外
線吸収剤も好ましく用いられる。
【0118】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は下記一般式〔1〕で示される化合物が好ましく用いら
れる。
【0119】
【化5】
【0120】式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一
でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ
基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しく
はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基又は5〜6員の
複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環
を形成してもよい。又、上記のこれらの基は、任意の置
換基を有していて良い。
【0121】以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例
を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0122】UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾール UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,
4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)フェノール) UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェ
ノール(TINUVIN171、Ciba製) UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチル
ヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINU
VIN109、Ciba製) 上記の中で、融点が20℃以下の紫外線吸収剤として
は、UV−8が融点が−56℃であり、UV−9が常温
(25℃)で黄色透明な粘稠液体である。
【0123】又本発明に係る紫外線吸収剤の一つである
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式
〔2〕で表される化合物が好ましく用いられる。
【0124】
【化6】
【0125】式中、Yは水素原子、ハロゲン原子又はア
ルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニ
ル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフ
ェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、
アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキ
ル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基又
は−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、
アルケニル基又は置換基を有していてもよいフェニル基
を表す。m及びnは1又は2を表す。
【0126】上記アルキル基としては、例えば、炭素数
24までの直鎖又は分岐の脂肪族基を表し、アルコキシ
ル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル
基、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのア
ルケニル基で例えばアリル基、2−ブテニル基などを表
す。又、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置
換分としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原
子、フッ素原子など、ヒドロキシル基、フェニル基、
(このフェニル基にはアルキル基又はハロゲン原子など
を置換していてもよい)などが挙げられる。
【0127】以下に一般式〔2〕で表されるベンゾフェ
ノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定
されない。
【0128】 UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スル
ホベンゾフェノン UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5
−ベンゾイルフェニルメタン) 本発明で好ましく用いられる上記の紫外線吸収剤は、透
明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫
外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられ
る。
【0129】又、紫外線吸収剤は特願平11−2952
09号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線
吸収剤を含むことが、プラズマ処理工程の汚染が少な
く、又、各種塗布層の塗布性にも優れる為好ましく、特
に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いること
が好ましい。
【0130】可塑剤や紫外線吸収剤を含むセルロースエ
ステルフィルムを基材として用いた場合、これらがブリ
ードアウトするなどによって、プラズマ処理部に付着す
るなどして工程を汚染し、これがフィルムに付着するな
どして故障の原因となることがあった。そのため、この
問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、支持体がセ
ルロースエステルと可塑剤を有し、80℃、90%RH
で時間処理した前後の質量変化が±2質量%未満である
支持体であればこのような工程汚染が著しく低減できる
ことが確認された。このようなセルロースエステルフィ
ルムは特願2000−338883号記載のセルロース
エステルフィルム等が好ましく用いられる。又、この目
的のために特開平6−148430号、特開2002−
47357号記載の高分子紫外線吸収剤(又は紫外線吸
収性ポリマー)を好ましく用いることができる。高分子
紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学
(株)製)などが市販されている。特開平6−1484
30号の一般式(1)或いは一般式(2)或いは特開2
002−47357の一般式(3)、(6)及び(7)
記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0131】本発明に係る基材の光学特性としては、面
内リターデーションR0は0〜1000nmのものが好
ましく用いられ、厚味方向のリターデーションRtは0
〜300nmのものが用途に応じて好ましく用いられ
る。又、波長分散特性としてはR0(600)/R0(4
50)は0.7〜1.3であることが好ましく、特に
1.0〜1.3であること好ましい。
【0132】ここで、R0(450)は波長450nm
の光による3次元屈折率測定に基づいた面内リターデー
ション、R0(600)は波長600nmの光による3
次元屈折率測定に基づいた面内リターデーションを表
す。
【0133】基材とプラズマ放電処理により形成される
薄膜との密着性を向上させる観点から、本発明の反射防
止フィルムは、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを
含む成分を硬化させて形成した層に上記のプラズマ放電
処理をして形成されたものであることが好ましく、特
に、前記エチレン性不飽和モノマーを含む成分を硬化さ
せて形成した層をpH10以上の溶液で処理した後にプ
ラズマ放電処理することにより、更に密着性が改善され
るため好ましい。pH10以上の溶液としては、0.1
〜3mol/Lの水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリ
ウム水溶液等が好ましく用いられ、40〜60℃で30
〜120秒処理された後、水洗・乾燥されることが好ま
しい。
【0134】エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重
合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂或い
は熱硬化樹脂を構成成分として含有する層が好ましく用
いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹
脂層である。
【0135】ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電
子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化
する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂
としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代
表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の
活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化
性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタ
ン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹
脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線
硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化
型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0136】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物
に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタ
クリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表
示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水
酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させるこ
とによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭5
9−151110号等を参照)。
【0137】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系
のモノマーを反応させることによって容易に得ることが
出来る(例えば、特開昭59−151112号を参
照)。
【0138】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマー
とし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反
応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1
−105738号)。この光反応開始剤としては、ベン
ゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン
誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もし
くは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0139】又、紫外線硬化型ポリオールアクリレート
系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリ
レート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエ
リスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来
る。
【0140】これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に
使用される。又上記光反応開始剤も光増感剤としても使
用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノ
ン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α
−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれら
の誘導体を挙げることが出来る。又、エポキシアクリレ
ート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリ
エチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤
を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分
を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始
剤又光増感剤は該組成物の2.5〜6質量%であること
が好ましい。
【0141】樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二
重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニ
ル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来
る。又不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シク
ロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジ
メチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアク
リルエステル等を挙げることができる。
【0142】例えば、紫外線硬化性樹脂としては、アデ
カオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR
−410、KR−550、KR−566、KR−56
7、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、
或いはコーエイハードA−101−KK、A−101−
WS、C−302、C−401−N、C−501、M−
101、M−102、T−102、D−102、NS−
101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG
−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会
社製)、或いはセイカビームPHC2210(S)、P
HC X−9(K−3)、PHC2213、DP−1
0、DP−20、DP−30、P1000、P110
0、P1200、P1300、P1400、P150
0、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株
式会社製)、或いはKRM7033、KRM7039、
KRM7130、KRM7131、UVECRYL29
201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・
ユーシービー株式会社)、或いはRC−5015、RC
−5016、RC−5020、RC−5031、RC−
5100、RC−5102、RC−5120、RC−5
122、RC−5152、RC−5171、RC−51
80、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株
式会社製)、或いはオーレックスNo.340クリヤ
(中国塗料株式会社製)、或いはサンラッドH−601
(三洋化成工業株式会社製)、或いはSP−1509、
SP−1507(昭和高分子株式会社製)、或いはRC
C−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニ
ックスM−6100、M−8030、M−8060(以
上、東亞合成株式会社製)或いはこの他の市販のものか
ら適宜選択して利用できる。
【0143】本発明に用いられる活性線硬化樹脂層は公
知の方法で塗設することができる。活性線硬化性樹脂を
光硬化反応により硬化させて皮膜層を形成するための光
源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使
用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライド
ランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射
条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は
20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好まし
くは50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域
〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増
感剤を用いることによって使用出来る。
【0144】活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒とし
て前述のバックコート層や導電性微粒子を含有する樹脂
層を塗設する溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール
類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、そ
の他の溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し
利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ
(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテル又はプ
ロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)
アルキルエーテルエステルを5質量%以上、更に好まし
くは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
【0145】紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法
としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイ
ヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコータ
ー、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知
の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で
0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15
μmである。塗布速度は好ましくは10〜60m/分で
行われる。
【0146】紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された
後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒
〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率
とから3秒〜2分がより好ましい。
【0147】こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキング
を防止するため、又対擦り傷性等を高めるために無機或
いは有機の微粒子を加えることが好ましい。例えば、無
機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げるこ
とができ、又有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸
メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂
粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系
樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート
樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹
脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、或いはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げること
ができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来
る。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.00
5μm〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmである
ことが特に好ましい。
【0148】紫外線硬化性樹脂組成物と微粒子粉末との
割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜1
0質量部となるように配合することが望ましい。又紫外
線硬化性樹脂を硬化させた層(紫外線硬化性樹脂層)は
2層以上を積層して形成しても良い。
【0149】このようにして形成された紫外線硬化性樹
脂層は中心線表面粗さRaが1〜50nmのクリアハー
ドコート層であっても、Raが0.1〜1μm程度の防
眩層であってもよい。又、これらの紫外線硬化性樹脂層
は鉛筆硬度の2H以上、好ましくは4H〜6Hであるこ
とが好ましい。又、これらの紫外線硬化性樹脂層の残留
溶媒は0〜3%未満、好ましくは0〜1%未満に乾燥さ
れていることが好ましく、特に好ましくは0〜0.1%
未満となっていることが望ましい。
【0150】本発明では、これらの層の上にプラズマ放
電処理することができる。特に本発明の方法によれば、
表面の凹凸のある基材上に均一な低屈折率層或いは高屈
折率層等の光学干渉層を設けることが出来る。特に、J
IS B 0601で規定される中心線平均粗さ(R
a)が0.1〜0.5μmの防眩層上に均一にプラズマ
放電処理できるために好ましい。
【0151】本発明においては、上記のような基材面に
対して薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を
±10%になるように設けることが好ましく、更に好ま
しくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内に
なるように設けることが好ましい。
【0152】本発明の反射防止フィルムを作製する場
合、プラズマ放電処理する前にプラズマ放電処理面に紫
外線を照射することが形成される皮膜の密着性に優れる
ため好ましい。紫外線照射光量としては50〜2000
mJ/cm2であることが好ましい。50mJ/cm2
満では、効果が十分ではなく、2000mJ/cm2
越えると基材の変形等が生じる恐れがあり好ましくな
い。紫外線照射後、1時間以内にプラズマ放電処理する
ことが好ましく、特に紫外線照射後10分以内にプラズ
マ放電処理することが好ましい。プラズマ放電処理前の
紫外線の照射は、前述の紫外線硬化性樹脂の硬化のため
の紫外線照射と同時に行ってもよく、その場合、硬化の
ために最低限必要な紫外線照射量よりも多くすることが
好ましい。
【0153】本発明の反射防止フィルムを作製する場
合、プラズマ放電処理を行った後に紫外線照射すること
も、形成された皮膜を早期に安定化させるために有効で
ある。このため、紫外線照射光量として50〜2000
mJ/cm2をプラズマ放電処理後にプラズマ放電処理
面に照射することが好ましい。これらの処理はプラズマ
放電処理の後、巻き取り工程までの間に行うことが好ま
しい。又、プラズマ放電処理後の基材は50〜130℃
に調整された熱処理ゾーンにおいて1〜30分処理され
ることが好ましい。
【0154】反射防止フィルムは両面にプラズマ放電処
理が施されていることが処理後の反射防止フィルムのカ
ールが少なくなるため好ましい。裏面のプラズマ放電処
理は別々に行ってもよいが、両面同時にプラズマ放電処
理を行うことが好ましく、反射防止層を有する面の裏面
側には、プラズマ放電処理による裏面加工を行うことが
好ましい。例えば、特願2000−273066号記載
の易接着加工、特開2001−337201号記載の帯
電防止加工が挙げられるが、特にこれらに限定されな
い。
【0155】本発明においては、屈折率1.6〜2.3
の高屈折率層、屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を長
尺の基材表面に連続して設けることが好ましい。これに
より各層の間の密着性が良好となる。好ましくは基材フ
ィルム上に紫外線硬化性樹脂層を設けた後、直ちにプラ
ズマ放電処理によって高屈折率層及び低屈折率層を設け
ることがより好ましい。
【0156】本発明の反射防止フィルムでは、高屈折率
層及び低屈折率層は、各々2層以上を交互に積層して更
に反射率が少ない反射防止フィルムを得ることが出来
る。又、各層の炭素含有率が0.1〜20%であると下
層との密着性と膜の柔軟性に優れるために好ましい。即
ち、プラズマ放電処理によって形成された層は有機物
(炭素原子)を含んでいるため、その範囲が膜に柔軟性
を与えるため、膜の密着性に優れ好ましい。炭素の比率
があまり多くなりすぎると経時で屈折率が変動しやすく
なる傾向があり、好ましくない。
【0157】屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を有す
る反射防止フィルムでは、低屈折率層の基材フィルム側
に炭素含有率が5%未満の領域を有し、かつ低屈折率領
域の上方表面側に炭素含有率が5〜60%の領域を有す
ることが好ましい。屈折率1.6〜2.3の高屈折率層
を有する反射防止フィルムにおいて、高屈折率層の炭素
含有率が0.1〜20%であることが好ましい。
【0158】本発明の反射防止フィルムは、液晶ディス
プレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ
等の各種表示装置に好ましく用いられる。
【0159】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されない。尚、以下の「部」は「質
量部」を表す。
【0160】実施例1 《基材フィルムの作製》以下に示す方法に従って、基材
であるセルロースエステルフィルムを作製した。(ドー
プの調製)以下に記載の素材を密閉容器に投入し、加
熱、撹拌しながら、完全に溶解、濾過し、ドープ1〜3
を調製した。尚、二酸化珪素微粒子(アエロジル R9
72V)はエタノールに分散した後、添加した。2次粒
子の平均粒径は0.2μmであった。 ドープ1 セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 100部 トリメチロールプロパントリベンゾエート 6部 エチルフタリルエチルグリコレート 6部 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル )−4−メチルフェノール 0.5部 5−クロロ−2−(3,5−ジ sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル) −2H−ベンゾトリアゾール 0.5部 メチレンクロライド 418部 エタノール 23部 アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.13部 ドープ2 セルロースアセテートプロピオネート 100部 (アセチル置換度1.9 プロピオニル置換度0.8) トリメチロールプロパントリベンゾエート 6部 エチルフタリルエチルグリコレート 6部 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル )−4−メチルフェノール 0.5部 5−クロロ−2−(3,5−ジ sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル) −2H−ベンゾトリアゾール 0.5部 酢酸メチル 400部 エタノール 50部 アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.13部 ドープ3 セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 100部 トリフェニルホスフェート 12部 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル )−4−メチルフェノール 0.5部 5−クロロ−2−(3,5−ジ sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル) −2H−ベンゾトリアゾール 0.5部 メチレンクロライド 418部 エタノール 23部 アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.13部 (セルロースエステルフィルムの作製)得られたドープ
1を用いて、以下のようにしてそれぞれ膜厚40μmの
セルロースエステルフィルム1、膜厚60μmのセルロ
ースエステルフィルム2を作製した。同様にドープ2を
用いて、以下のようにしてそれぞれ膜厚40μmのセル
ロースエステルフィルム3、膜厚80μmのセルロース
エステルフィルム4を作製した。同様にドープ3を用い
て、以下のようにしてそれぞれ膜厚40μmのセルロー
スエステルフィルム5、膜厚60μmのセルロースエス
テルフィルム6を作製した。
【0161】ドープを濾過した後、ベルト流延装置を用
い、ドープ温度36℃で36℃のステンレスバンド支持
体上に均一に流延した。温風を当てながら支持体上で乾
燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥
離した。
【0162】ステンレスバンド支持体から剥離した後、
70℃の雰囲気でロール搬送し縦方向に搬送張力をかけ
ながら乾燥させた後、テンターで残留溶媒量10%のと
き80℃の雰囲気内で幅方向(幅手方向)に1.06倍
延伸し、幅把持を解放して、ロール搬送しながら125
℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅1
0mm、高さ8μmのナーリング加工を施し、セルロー
スエステルフィルム1〜6を作製した。フィルム幅は1
300mm、巻き取り長は2000mとした。
【0163】次に、下記の方法で表1記載のように各々
の塗布層を設けた基材フィルム1〜24を作製した。こ
こで、流延製膜時、流延膜がステンレスバンド支持体に
接していた側のフィルム面をB面として、その反対側の
面をA面とする。 《帯電防止層(ANS層)の塗設》上記基材フィルム1
3〜16について、それぞれB面に下記の塗布組成物
(1)をウェット膜厚13μmとなるように押し出しコ
ートを行い、乾燥温度90℃にて乾燥させ帯電防止層を
塗設した。 ・塗布組成物(1)(帯電防止層用塗布組成物) アクリペットMD(三菱レーヨン(株)製) 0.5部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 60部 メチルエチルケトン 16部 乳酸エチル 5部 メタノール 8部 導電性ポリマー樹脂P−1(平均粒径0.1μm粒子) 0.5部
【0164】
【化7】
【0165】《バックコート層(BC層)の塗設》下記
の塗布組成物(2)をセルロースエステルフィルムのA
面に、ウェット膜厚15μmとなるように押し出しコー
トし、乾燥温度80℃にて乾燥させバックコート層を塗
設した。 ・塗布組成物(2)(バックコート層塗布組成物) アセトン 30部 酢酸エチル 45部 イソプロピルアルコール 10部 ジアセチルセルロース 0.5部 超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジル 200V:日本アエロジル (株)製) 0.1部 《クリアハードコート層の塗設》 −CHC1層− 下記の塗布組成物(3)をグラビアコートし、次いで8
0℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/c
2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの中心線平均粗
さ(Ra)0.01μmのクリアハードコート層(CH
C1層)を設けた。ここで、上記の中心線平均粗さ(R
a)はJIS B 0601で規定される値である。 ・塗布組成物(3)(クリアハードコート層塗布組成物) 紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂 100部 (ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)99部、コロネート L(ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン(株)製)1部) 光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製) 3部 を溶剤(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合し
て揮発分濃度60%の均質な塗布液を調製した。 −CHC2層− 下記の塗布組成物(4)をグラビアコートし、次いで8
0℃に設定された乾燥部で乾燥した後、118mJ/c
2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの中心線平均粗
さ(Ra)0.01μmのクリアハードコート層(CH
C2層)を設けた。ここで、上記の中心線平均粗さ(R
a)はJIS B 0601で規定される値である。 ・塗布組成物(4)(クリアハードコート層塗布組成物) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部 ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4部 酢酸エチル 50部 メチルエチルケトン 50部 イソプロピルアルコール 50部 《防眩層の塗設》 −AG1層− 下記の塗布組成物(5)をグラビアコートし、次いで8
0℃に設定された乾燥部で乾燥した後、118mJ/c
2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの防眩層(AG
1層)を設けた。中心線平均粗さ(Ra)は0.2μm
であった。ここで、上記の中心線平均粗さ(Ra)はJ
IS B 0601で規定される値である。 ・塗布組成物(5)(AG1層塗布組成物) 合成シリカ微粒子(平均粒径0.5μm) 10部 合成シリカ微粒子(平均粒径1.4μm) 10部 紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂 100部 (ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)99部、コロネート L(ポリイソシアネート化合物:日本ポリウレタン(株)製)1部) 光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製) 3部 を溶剤(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合し
て揮発分濃度60%の均質な分散液を調製した。 −AG2層− 下記の塗布組成物(6)をグラビアコートし、次いで8
0℃に設定された乾燥部で乾燥した後、118mJ/c
2で紫外線照射し、乾燥膜厚で3μmの防眩層(AG
2層)を設けた。中心線平均粗さ(Ra)は0.2μm
であった。ここで、上記の中心線平均粗さ(Ra)はJ
IS B 0601で規定される値である。 ・塗布組成物(6)(AG2層塗布組成物) 酢酸エチル 50部 メチルエチルケトン 50部 イソプロピルアルコール 50部 アエロジル R972V(1次粒子平均粒径16nm) (日本アエロジル(株)製) 5部 以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業
(株)製)で攪拌し、その後衝突型分散機(マントンゴ
ーリン、ゴーリン(株)製)で分散した後、下記の成分
を添加し、塗布組成物(6)を調製した。
【0166】 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部 ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4部
【0167】
【表1】
【0168】〈大気圧プラズマ放電処理による反射防止
層の形成〉作製した基材フィルムのクリアハードコート
層もしくは防眩層の上に図2の大気圧プラズマ放電処理
によって、中屈折率層、高屈折率層を順に設けた。ロー
ル電極には、シリコンオイルによる温度調整機能を有す
るステンレス製ジャケットロール母材(温度調整機能は
図2には図示していない)を用いた。これにセラミック
溶射によりアルミナを1mm被覆し、その上にテトラメ
トキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥
後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行いRma
x3μmの誘電体を有するロール電極を製作しアース
(接地)した。一方、対向電極としてはチタン製とし内
部に温度調整のための媒体の循環流路を設け、上記同様
の誘電体を同条件にて被覆し、相対する電極群とし、第
1のプラズマ放電処理装置を中屈折率層用に、第2のそ
れを高屈折率層用に、更に第3のそれを低屈折率層用と
して、それぞれ必要な膜厚が各々得られるように調整し
た。又、第1、2及び3のプラズマ放電処理装置の電源
は高周波電源(パール工業製)を使用し、連続周波数を
2MHzとし、3W/cm2の電力を供給した。ロール
電極は、ドライブを用いて基材フィルムの搬送に同期し
て回転させた。尚、電極間隙は1.2mm、反応ガスの
圧力を大気圧+1kPaとして行った。プラズマ放電処
理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。液体の反応ガ
ス成分は気化器を用いて気化させて不活性ガスと混合し
てプラズマ放電処理装置に導入した。各々の反応ガスは
80℃で放電部に供給された。 (酸化錫層(中屈折率層)形成用反応ガス) 不活性ガス(ヘリウム) 99.4体積% 反応ガス(酸素ガス) 0.3体積% 反応ガス(テトラブチル錫蒸気) 0.3体積% (酸化チタン層(高屈折率層)形成用反応ガス) 不活性ガス(ヘリウム) 99.4体積% 反応ガス(酸素ガス) 0.3体積% 反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積% 連続的に大気圧プラズマ処理して、順に酸化錫層(屈折
率1.7、膜厚76nm)、酸化チタン層(屈折率2.
14、膜厚112nm)を形成した。
【0169】その上に更に下記の反応ガスを使用して低
屈折率層である酸化珪素層(屈折率1.46、膜厚87
nm)を設け、以下の表2、表3記載の光学フィルム1
〜40を作製した。低屈折率層は途中でガス条件を1〜
3の中から変更して形成し、最初ガス条件Aで処理して
形成した後、次いでガス条件Bで処理することによって
形成し、全体で膜厚87nmとなるようにした。各々の
ガス条件で形成された低屈折率層はXPS装置を用いて
各元素の含有量を求め、下式に従って炭素含有率を得
た。 ・ガス条件1 テトラエトキシシラン 0.3% ヘリウム 99.5% 酸素 0.2% 炭素含有率(酸化珪素層中) 0.2% ・ガス条件2 テトラエトキシシラン 0.15% メチルトリエトキシシラン 0.15% ヘリウム 99.5% 酸素 0.2% 炭素含有率(酸化珪素層中) 10% ・ガス条件3 テトラエトキシシラン 0.2% メチルトリエトキシシラン 0.1% ヘリウム 99.6% 四フッ化メタン 0.1% 炭素含有率(酸化珪素層中) 7% 《各元素含有量の測定》低屈折率領域における炭素、珪
素、酸素及びフッ素含有量は、XPS装置を用いてその
値を測定する。XPS装置としては特に限定なく、いか
なる機種も使用することができるが、本発明においては
VGサイエンティフィックス社製ESCALAB 20
0Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力60
0W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)
で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/
2ピークの半値幅で規定したとき、1.5〜1.7eV
となるように設定した。低屈折率領域の測定を行う前
に、汚染による影響を除くために、薄膜の膜厚の5〜1
0%の厚さに相当する表面層をエッチング除去する必要
がある。表面層の除去には、希ガスイオンが利用できる
イオン銃を用い、イオン種としては、He、Ne、A
r、Xe、Krなどが利用できる。
【0170】又、膜の深さ方向における炭素、珪素、酸
素含有量の変化も希ガスイオンによるエッチングを用い
て求めた。本測定おいては、加速電圧3kVのArイオ
ンを用いて1分間隔でエッチングを行い、膜表面の元素
含有量を測定した。尚、含有量測定においては結合エネ
ルギー0eVから1100eVの範囲を、データ取り込
み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出される
かを求めた。次に、検出された、エッチングイオン種を
除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.
2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークにつ
いてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定
した。
【0171】得られたスペクトルは、測定装置、又はコ
ンピューターの違いによる含有率算出結果の違いを生じ
せしめなくするために、VAMAS SCA JAPA
N製のCOMMON DATA PROCESSING
SYSTEM(Ver.2.3)上に転送した後、同
ソフトで処理を行い、検出された元素の含有率を原子数
濃度(atomic concentration)と
して求めた。定量処理を行う前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行った。定量処理では、バ
ックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps×
eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shir
leyによる方法を用いた。Shirley法について
は、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B
5,4709(1972)を参考にした。
【0172】尚、本発明では低屈折率層における、各元
素の平均含有率は上記深さ方向分析を行った結果得られ
た各分析点での元素含有量の平均とした。ここで、炭素
含有率は下式により求めた。
【0173】炭素含有率%=炭素含有量/(炭素含有量
+珪素含有量+酸素含有量)×100 《評価》得られた光学フィルム1〜40について以下の
ような評価を行った。 (巻き形状)光学フィルムを埃付着防止のためポリエチ
レンシートで包んだ後、42℃、80%RHの倉庫で1
ヶ月間保管し、1ヶ月経過後の巻きの状態を目視で観察
し、下記のようにランク評価した。
【0174】 A・・・ロールの表面に皺、変形等の変化は認められな
い B・・・ロールの表面に僅かに皺が認められるが、変形
は認められない C・・・ロールの表面に弱い皺が認められ、一部に変形
も認められる D・・・ロールの表面〜内部に強い皺、表面に強い変形
が有り、内部まで変形有り 上記のランクについての実用性判断は下記の通りであ
る。
【0175】 A・・・切除することなく使用できる B・・・数m切除して使用できる C・・・表面から数巻き分(数m〜十数m)を切除する
ことによって使用できる D・・・巻きの変形が認められなくなるまで、内部(数
10m以上)まで切除しなければ使用できない (カール)作製したロールフィルムを42℃、80%R
Hの雰囲気で1ヶ月間保管したフィルムを10cm×1
0cmの大きさに切り出して、23℃、55%RHの環
境下で反射防止層形成面を上にして平坦なガラス上に置
き、端部の浮き上がりの高さを測定した。
【0176】 A・・・端部の浮き上がり高さが5mm未満 B・・・端部の浮き上がり高さが5〜10mm未満 C・・・端部の浮き上がり高さが10〜15mm未満 D・・・端部の浮き上がり高さが15mm以上 (偏光板の作製)作製したロールフィルムを42℃、8
0%RHの雰囲気で1ヶ月間保管し、そのフィルムを表
面側の偏光板保護フィルムとして、裏面側の偏光板保護
フィルムには、表面側に用いた偏光板保護フィルムに用
いられているセルロースエステルフィルム(各塗布層及
び反射防止層を設ける前の)を各々使用して偏光板とし
た。 1.偏光膜の作製 厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルム
を一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これ
をヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100
gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ
化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率か
らなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し
長尺の偏光膜を得た。 2.偏光板の作製 次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と光学フィル
ムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
【0177】工程1:上記のように作製した長尺の光学
フィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に45
℃で50秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
【0178】同様に長尺のセルロースエステルフィルム
(光学フィルムの基材として用いたもの)を2mol/
Lの水酸化ナトリウム溶液に45℃で50秒間浸漬し、
次いで水洗、乾燥させた。
【0179】工程2:前述の長尺の偏光膜を固形分2質
量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸
漬した。
【0180】工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の
接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理し
た光学フィルムとセルロースエステルフィルムで挟み込
んで、積層配置した。
【0181】工程4:2つの回転するローラにて20〜
30N/cm2の圧力で約2m/minの速度で張り合
わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施し
た。
【0182】工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作
製した試料を2分間乾燥処理し、本発明の偏光板1を作
製した。
【0183】次いで、偏光板1の作製において、光学フ
ィルム1に代えて、同じく光学フィルム2〜40を用い
た以外は同様にしてそれぞれ偏光板2〜40を作製し
た。10m2当たりの故障を確認した。
【0184】 A・・・泡、皺等による故障・欠陥なし B・・・泡、皺等による故障・欠陥が2個以下 C・・・泡、皺等による故障・欠陥が3〜10個未満 D・・・泡、皺等による故障・欠陥が10個以上 市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプ
レイ MultiSync LCD1525J 型名
LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離
し、ここに偏光方向を合わせた本発明の偏光板1〜3
4、比較例である偏光板35〜40を張り付けた。それ
ぞれの液晶表示パネルについて、目視にて観察した。 《反射率の測定》反射率は分光光度計U−4000型
(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射
率の測定を行った。測定は、観察側の裏面を粗面化処理
した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フ
ィルム裏面での光の反射を防止して反射率(400〜7
00nmの波長について)の測定を行った。450〜6
50nmの平均反射率を求めた。
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】表2、表3から明らかなように、本発明の
光学フィルムはカールが少なく、巻き形状での保管性に
特に優れ、又偏光板作製における欠陥の発生や故障が少
ないことが確認された。それに対して、比較例の光学フ
ィルムはカールが生じ、巻き形状での保管性に劣り、偏
光板作製における欠陥が発生しやすいことが確認され
た。特にクリアハードコート層や防眩層にアクリルウレ
タン系樹脂を使用したものはよりカールが少なく、偏光
板作製における欠陥が更に少なくなることが確認され
た。
【0188】又、本発明の偏光板を用いた液晶表示パネ
ルは、反射光が少なく、表示性能に優れていることが確
認された。又、偏光板1〜34は指紋が付着しても容易
に布でふき取ることが出来、特に偏光板17〜34は簡
単に拭き取ることが出来た。又、布で擦っても傷つくこ
とはなかった。
【0189】実施例2 実施例1で作製した基材フィルム1のクリアハードコー
ト層上に、下記の方法で第1酸化チタン層(屈折率2.
15、平均膜厚15nm)、第1酸化珪素層(屈折率
1.46、平均膜厚33nm)、第2酸化チタン層(屈
折率2.15、平均膜厚119nm)を順に形成した。
基材フィルム1に変えて基材フィルム17についても同
様に形成した。
【0190】実施例1と同様のプラズマ放電処理装置を
使用し、電源は高周波電源(日本電子製)を使用し、連
続周波数を13.56MHzとし、3W/cm2の電力
を供給した。ロール電極は、ドライブを用いて基材フィ
ルムの搬送に同期して回転させた。尚、電極間隙は1.
4mm、反応ガスの圧力を大気圧+2kPaとして行っ
た。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に
記す。 (第1、第2酸化チタン層(高屈折率層)形成用反応ガス) 不活性ガス(ヘリウム) 99.6体積% 反応ガス(水素ガス) 0.2体積% 反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.2体積% (第1酸化珪素層(低屈折率層)形成用反応ガス) 不活性ガス(ヘリウム) 99.6体積% 反応ガス(酸素ガス) 0.2体積% 反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.2体積% この第2酸化チタン層の上に、低屈折率層として下記表
4に示すガス条件を採用して表面の低屈折率領域として
第2酸化珪素層(屈折率1.46、平均膜厚86nm)
を設けた。この表4に示すガス条件は以下の表5に記載
のガス条件A、ガス条件Bに表記する。
【0191】
【表4】
【0192】表5に記載のようにガス条件Aで所定膜厚
の層を形成した後、引き続きガス条件Bで所定膜厚の層
を形成した。得られた反射防止フィルムを用いて実施例
1と同様にして偏光板を作製し、評価した。
【0193】
【表5】
【0194】 *1:基材フィルム54の表面をガス条件14でプラズ
マ放電処理を行った *2:基材フィルム46の表面をガス条件13でプラズ
マ放電処理を行った 表5から明らかなように、本発明の光学フィルムはカー
ルが少なく、巻き形状での保管性に特に優れ、又偏光板
作製における欠陥の発生や故障が少ないことが確認され
た。それに対して、比較例の光学フィルムはカールが生
じ、巻き形状での保管性に劣り、偏光板作製における欠
陥が発生しやすいことが確認された。
【0195】
【発明の効果】本発明によれば、保管安定性に優れ、カ
ールが少なく、偏光板作製の際に凹みや泡の抱き込みが
少ない反射防止フィルムを得ることができ、それを生産
性高く製造出来る方法を見出すことが可能となり、顕著
に優れた効果を奏する。更に該反射防止フィルムを組み
込んだ偏光板、表示装置は泡、皺等による故障・欠陥が
改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【図2】回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理
装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
F セルロースエステルフィルム G 反応ガス G′ 排ガス 10A、10B、110 回転電極 11A、11B、11C、11D Uターンロール 20、21 ガイドロール 30 反応ガス供給部 40、140 ガス排気口 50、150 放電部 80、180 電源 81、82、181、182 電圧供給手段 111 固定電極 120、121 ガイドロール 122、123 ニップロール 124、125 仕切板 130 給気管 131 反応ガス発生装置 190 プラズマ放電処理容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BB65 BC10 2K009 AA02 AA10 BB28 CC01 CC03 DD04 4F100 AA37B AA37C AB11C AH05C AJ06B AJ06C AK51D AR00B AR00C AT00A BA03 BA04 BA07 BA10C BA44 CC02D EJ61C GB41 JN06 JN18B JN18C YY00C

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム上に、少なくとも1つの高
    屈折率領域とその上方に少なくとも1つの低屈折率領域
    とを有する反射防止層が形成されている反射防止フィル
    ムにおいて、表面の低屈折率領域は屈折率1.3〜1.
    5であり、かつ珪素を含有し、表面に向かって段階的も
    しくは連続的に炭素含有量が増加する領域を有すること
    を特徴とする反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】 低屈折率領域の基材フィルム側に下記式
    で示される炭素含有率が5%未満の領域を有し、かつ低
    屈折率領域の上方表面側に炭素含有率が5〜60%の領
    域を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フ
    ィルム。 炭素含有率(%)=炭素含有量/(炭素含有量+珪素含
    有量+酸素含有量)×100
  3. 【請求項3】 低屈折率領域の最表面にフッ素化合物を
    有することを特徴とする請求項1又は2記載の反射防止
    フィルム。
  4. 【請求項4】 反射防止層が膜厚10〜80μmのセル
    ロースエステルフィルム上に直接又は他の層を介して形
    成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記
    載の反射防止フィルム。
  5. 【請求項5】 反射防止層がセルロースエステルフィル
    ム上に形成された紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂
    層の上に直接又は他の層を介して形成されたことを特徴
    とする請求項1〜3の何れか1項記載の反射防止フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 低屈折率領域が大気圧プラズマCVD法
    によって形成されたことを特徴とする請求項1〜5の何
    れか1項記載の反射防止フィルム。
  7. 【請求項7】 屈折率が1.3〜1.5であり、かつ珪
    素を含有し、表面に向かって段階的もしくは連続的に炭
    素含有量が増加する領域を有する低屈折率領域を、珪素
    を含む有機物を含有する反応ガスの大気圧もしくは大気
    圧近傍の圧力下、プラズマ放電処理によって形成するこ
    とを特徴とする低屈折率領域の作製方法。
  8. 【請求項8】 低屈折率領域を作製する際に、珪素を含
    む有機物として低屈折率領域の膜厚の半分以上を主に下
    記一般式(1)で表される化合物を用い、低屈折率領域
    の表層を形成する際に下記一般式(2)〜(4)で表さ
    れる化合物の何れか、もしくはこれらの何れかと下記一
    般式(1)で表される化合物との混合物を用いることを
    特徴とする請求項7記載の低屈折率領域の作製方法。 一般式(1) Si(OR1)(OR2)(OR3)(OR4) 一般式(2) R11Si(OR1)(OR2)(OR3) 一般式(3) R1112Si(OR1)(OR2) 一般式(4) R111213Si(OR1) −OR1〜−OR4は置換基を有してもよいアルコキシ基
    であり、R11〜R13は置換基を有してもよいアルキル
    基、アルケニル基、水素原子、ハロゲン原子から選択さ
    れる置換基であり、それぞれ異なっていても同じでもよ
    い。
  9. 【請求項9】 低屈折率領域の表層を形成する際に、前
    記反応ガス中にフッ素化合物を含有させてプラズマ放電
    処理することを特徴とする請求項7又は8記載の低屈折
    率領域の作製方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6の何れか1項記載の反射
    防止フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6の何れか1項記載の反射
    防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
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