JP2006146165A - 防眩フィルム、反射防止防眩フィルム、光学素子および画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、反射防止防眩フィルム、光学素子および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、防眩層を有する防眩フィルムの製造方法であって、防眩性が良好であり、硬度に優れる防眩フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】 透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、防眩層を有する防眩フィルムの製造方法であって、防眩層は、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する塗工液を透明プラスチックフィルムに塗工し、硬化することにより形成するものであり、前記希釈溶媒は、粘性率1cp以上であり、防眩層は、厚み10〜30μmであることを特徴とする防眩フィルムの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に防眩層を少なくとも設けた防眩フィルムおよび反射防止防眩フィルムに関する。さらに本発明は、当該防眩フィルムまたは反射防止防眩フィルムを用いた偏光板等の光学素子に関する。本発明の防眩フィルム、反射防止防眩フィルム、光学素子は画像表示装置、特にCRT、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)およびELディスプレイ(ELD)等に好適に用いられる。
各種画像表示装置の一つにLCDがあるが、LCDの高視野角化、高精細化、高速応答性、色再現性などに関する技術革新に伴い、LCDを利用するアプリケーションもノートパソコンやモニターからテレビへと変化しつつある。LCDの基本的な構成は、二枚の透明電極を有する平板状ガラスの間に一定間隔のギャップがスペーサーにより設けられており、そこに、液晶材料が注入、封止されており、平板状ガラスの表裏面には偏光板が貼付されている。偏光板は傷付き易いため、従来は、LCD表面にガラスやプラスチックからなるカバープレートを装着し、LCD表面に貼付している偏光板への傷付き防止を図っていた。しかし、カバープレートを装着するとコスト、重量の面で不利であり、次第に表面にハードコート処理が施された偏光板が用いられるようになってきた。ハードコート処理は、通常、透明プラスチックフィルム基材にハードコート層を設けたハードコートフィルムを偏光板表面に設けることにより行われる。
ハードコート層は、通常、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂を用いて透明プラスチックフィルム基材上に2〜10μm程度の薄い塗膜として形成される。しかし、前記厚みではハードコート層の厚さが十分でないために、ガラス上に塗工した場合の鉛筆硬度が4H以上の特性を有するハードコート樹脂であっても、下地である透明プラスチックフィルム基材の影響を受け、透明プラスチックフィルム基材上に形成したハードコート層の表面硬度は鉛筆硬度にて2H以下となるのが一般的である。
LCDのアプリケーションが家庭用のテレビに移行することにより、一般的な家庭用テレビの使用者は、LCDを使用したテレビであっても従来のガラス製のCRTを利用したテレビと同様な取り扱いを行うことが容易に想定される。ガラス製のCRTの鉛筆硬度は9H程度あり、現状のハードコートフィルムの鉛筆硬度特性との差異は明確である。そのため、鉛筆硬度が9Hには及ばないにしても、ハードコートフィルムには更なる硬度アップが要求されている。
ハードコート層の硬度を向上させる方法として、単純にハードコート層の厚みを増加させることが考えられる。前記方法では硬度はより硬くなり、表面の鉛筆硬度が4H以上であるものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
一方、LCDの広視野角化、高精細化といった表示デバイスとしての見やすさを追求していくと、LCD表面、すなわち偏光板表面の表面反射によるコントラストの低下が無視できなくなっている。とりわけ、屋外での使用頻度の高いカーナビゲーション用モニターやビデオカメラ用モニターは表面反射による視認性の低下が顕著である。このためこれらの機器に装着される偏光板には、表面反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、表示装置使用時の反射像の映り込みを低減するために、防眩層が設けられている。防眩層は、表面の微細凹凸構造により可視光領域の反射光を散乱させるような設計が行なわれている。
防眩層の形成には、ハードコート層と同様の硬化型樹脂を用いることができる。防眩層は、一般的には、透明プラスチックフィルム基材に、硬化形樹脂、微粒子を分散含有する溶液を塗工し、硬化することにより形成することができる。また防眩層の厚さは、ハードコート層と同様に2〜10μm程度であるが、前述の通り、ハードコート材料を用いて厚さを厚くすれば、表面硬度を向上させることができる。
しかし、防眩層の形成において、防眩層の厚みを厚くして硬度に優れた防眩層を形成しようとすると、防眩層の微細凹凸構造を形成する微粒子が、底部(透明プラスチックフィルム基材付近)に沈降、凝集した状態で、硬化してしまう。そのため、微粒子によって表面に十分な防眩機能を付与した、微細凹凸構造を形成することが困難であった。
また、樹脂、微粒子および溶媒からなる塗工液により、防眩フィルムの防眩層を形成するにあたり、溶媒として、樹脂に対する良溶媒と貧溶媒の組み合わせた溶媒を用い、乾燥工程で貧溶媒の作用で微粒子と樹脂をゲル化させて、防眩層表面の凹凸を制御することが開示されている(特許文献3)。特許文献3では、防眩層の膜厚が微粒子の粒径を超える場合であっても防眩層表面の凹凸を制御可能とされているが、この方法では、防眩層の膜厚が微粒子の粒径の3倍を超えると制御が困難あり、また不具合が生じるものであった。そのため、この方法では、十分な硬度を維持できる膜厚において、防眩機能を付与した、微細凹凸構造を形成することは困難であった。
特開2000−112379号公報 特開2002−156504号公報 特開2000−338310号公報
本発明は、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、防眩層を有する防眩フィルムの製造方法であって、防眩性が良好であり、硬度に優れる防眩フィルムの製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該製造方法により得られた防眩フィルムを提供することを目的とする。
また本発明は、前記防眩フィルムの防眩層上に反射防止層を有する反射防止防眩フィルムを提供することを目的とする。
さらに本発明は、前記防眩フィルムまたは反射防止防眩フィルムを用いた光学素子を提供すること、さらには前記フィルムまたは光学素子を有する画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記防眩フィルム等により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、防眩層を有する防眩フィルムの製造方法であって、
防眩層は、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する塗工液を透明プラスチックフィルム基材に塗工し、硬化することにより形成するものであり、
前記希釈溶媒は、粘性率0.8cp以上であり、
防眩層は、厚み10〜30μmであることを特徴とする防眩フィルムの製造方法、に関する。
上記本発明の製造方法では、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する塗工液の塗工、硬化により、厚み10〜30μmの防眩層を形成しており、高硬度の防眩層が得られる。防眩層の厚みは、14〜27μmであるのが好ましく、さらには、17〜23μmであるのが好ましい。厚みが10μmより薄くなると十分な硬度の防眩層が得られ難い。一方、厚みが30μmより厚くなると防眩層にクラックが発生したり、硬化収縮によるカールが生じたりするおそれがある。
また、本発明の製造方法では、防眩層の形成に用いる塗工液には、粘性率1cp以上の希釈溶媒を用いている。当該希釈溶媒を用いた塗工液は、当該塗工液を透明プラスチックフィルム基材に塗工し、硬化する防眩層の塗工形成において、微粒子が沈降、凝集することを抑制することができるため、防眩層の膜厚が10〜30μmになった場合にも、微粒子によって表面に微細凹凸構造を形成することができ、十分な防眩機能を付与した防眩層を形成することができる。
希釈溶媒の粘性率は、0.8cp以上である。好ましくは0.9cp以上であり、さらに好ましくは1cp以上である。希釈溶媒の粘性率が0.8cp未満では、微粒子が沈降、凝集してしまうため、厚み10〜30μmの防眩層では、十分な防眩機能を付与した防眩層を形成することが困難である。なお、希釈溶媒の粘性率の上限は特に制限されるものではないが、粘性率が高くなりすぎると、塗工液の取り扱い難くなるため、希釈溶媒の粘性率は10cp以下、さらには5cp以下であるのが好ましい。
希釈溶媒は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、本発明における希釈溶媒の粘性率は、塗工液に用いた希釈溶媒の全体の粘性率である。すなわち、希釈溶媒として1種を用いる場合には、希釈溶媒の粘性率はその1種の希釈溶媒の粘性率であり、希釈溶媒として2種以上を混合して用いる場合には、希釈溶媒の粘性率は混合希釈溶媒の粘性率である。なお、かかる希釈溶媒の調製にあたっては、溶媒は硬化型樹脂の良溶媒が少なくとも用いられるが、希釈溶媒の粘性率が、0.8cp以上のものであれば、特許文献3のように、樹脂に応じて良溶媒、貧溶媒を組み合わせて用いる必要はない。
上記防眩フィルムの製造方法において、前記塗工液に用いる希釈溶媒は、50重量%以上が粘性率1cp以上の溶媒であるが好ましい。塗工液に用いる希釈溶媒の粘性率を0.8cp以上に調整するには、希釈溶媒を構成する溶媒として、粘性率1cp以上の溶媒を50重量%以上用いるのが好ましい。前記希釈溶媒を構成する溶媒は、粘性率は、1.1cp以上あるのがより好ましく、さらに好ましくは1.2cp以上である。なお、当該溶媒の粘性率の上限は特に制限されるものではないが、粘性率が高くなりすぎると、塗工液の取り扱い難くなるため、粘性率は10cp以下、さらには5cp以下であるのが好ましい。また、当該溶媒の割合は、60重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは70重量%以上である。
上記防眩フィルムの製造方法において、粘性率1cp以上の溶媒としては、例えば、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられ、好適である。これら溶媒は、1種を単独で、または2種以上を選択して用いることができる。
上記防眩フィルムの製造方法によれば、防眩層の表面が、鉛筆硬度が4H以上のものを得ることができる。防眩層の表面硬度は、防眩層の形成材料によりことなるため、用途に応じて適宜に設定されるが、鉛筆硬度が4H以上であれば、高硬度を有しているものと認められる。
上記防眩フィルムの製造方法によれば、防眩層の表面が、中心線平均表面粗さ(Ra)が0.035〜0.5μmを有するものを得ることができる。防眩層の表面粗さは、用途に応じて適宜に設定されるが、前記Raを有するものは防眩性が良好であると認められる。Raは、0.04〜0.4μmであるのがより好ましい。Raが0.035μm未満では、防眩性は十分とは言い難い。一方、Raが0.5μmを超える場合には、白ボケが発生し易くなる点で好ましくない。
上記防眩フィルムの製造方法において、防眩層を形成する塗工液に用いる微粒子としては、平均粒径が、1〜7μmであるものを用いるのが好ましい。前記範囲の平均粒径を有する微粒子は、前記Raを有する防眩層を形成するうえで好適である。前記微粒子の平均粒径は、2〜6μmであるのがより好ましく、さらには2.5〜5μmであるのが好ましい。本発明の製造方法によれば、かかる平均粒径の微粒子を用いた場合には、当該平均粒径の3倍以上、さらには5倍以上、さらには10倍の厚みを有する防眩層を形成した場合にも、微粒子の沈降、凝集を抑えて防眩性の良好な防眩層を形成することができる。
また本発明は、前記製造方法により得られた防眩フィルム、に関する。
また本発明は、前記防眩フィルムの防眩層上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止防眩フィルム、に関する。前記防眩層上に反射防止層を設けた反射防止防眩フィルムは、良好な反射防止効果が発現する。
さらに本発明は、光学素子の片面または両面に、前記防眩フィルムまたは反射防止防眩フィルムが積層されていることを特徴とする光学素子、に関する。
さらに本発明は、前記防眩フィルム、前記反射防止防眩フィルム、または前記光学素子を有する画像表示装置、に関する。
本発明の防眩フィルム、反射防止防眩フィルムは、偏光子、偏光板等の光学素子に好適に用いることができ、高硬度でありながら、良好な防眩性を有しており、家庭用テレビ等のLCD等の画像表示装置に対しても好適に用いることができる。
本発明の製造方法および当該製造方法により得られる防眩フィルムを、図面を参照しながら説明する。本発明の防眩フィルムAは、図1に示すように、透明プラスチックフィルム1の片面に防眩層4を有する。防眩層4は、硬化樹脂層2中に、微粒子3が分散されている。防眩層4は、硬化型樹脂、微粒子3および希釈溶媒を含有する塗工液を透明プラスチックフィルム1に塗工し、硬化して形成される硬化樹脂層2よりなっている。また、図1では、防眩層4の厚みは、微粒子3の粒径の3倍以上あり、微粒子3によって、表面の凹凸形状が形成されている。なお、図1には示していないが、防眩層4は透明プラスチックフィルム1の両面に設けることも可能である。また、図1の防眩フィルムAは、防眩層4には反射防止層を配して、反射防止防眩フィルムとすることができる。
本発明の透明プラスチックフィルムとしては、透明性を阻害しないものを特に制限なく使用できる。フィルム基材の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
また、透明プラスチックフィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである基材フィルムが好ましく用いられる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
これらフィルムは延伸加工したものを用いることができる。これらの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。また、フィルム面内の位相差が非常に少ないという点でトリアセチルセルロースも好ましい。
このような透明プラスチックフィルムの厚み、適用される材料によって適宜選択されるが、作業性や性能を考慮して、通常は、3〜300μm程度、好ましくは5〜250μm、さらには好ましくは10〜200μmである。
防眩層は、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する塗工液を、上記透明プラスチックフィルムに塗工し、硬化することにより形成する。
硬化型樹脂は、ハードコート性に優れ(JIS K5400の鉛筆硬度試験でH以上の硬度を示すもの)、十分な強度を持ち、光線透過率の優れたものであれば特に制限はない。硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂の電離放射線硬化型樹脂があげられる。これらのなかでも電離放射線硬化型樹脂が好ましく、特に紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく防眩層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系、ウレタンアクリル系等の各種のものがあげられ、これらには紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、硬化型樹脂には、硬化手段に応じて各種の重合開始剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
微粒子は、防眩層も形成に使用されるものを特に制限なく使用することができる。例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、メラミン樹脂等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機系粒子があげられる。これら微粒子の平均粒径は、前述の通り、1〜7μm程度であるのが好ましい。微粒子の使用量は、防眩性達成の点から、硬化型樹脂100重量部に対して、1〜50重量部程度、さらには、20〜40重量部とするのが好ましい。
希釈溶媒としては、粘性率0.8cp以上のものを用いる。粘性率は25℃における値である。かかる希釈溶媒の調製には、粘性率1cp以上の溶媒を少なくとも1種用いるのが好ましい。粘性率1cp以上の溶媒としては、例えば、n−ブタノール(粘性率:2.549)、エチルセロソルブ(粘性率:1.85)、ブチルセロソルブ(粘性率:2.928)、酢酸エチルセロソルブ(粘性率:1.025)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(粘性率:1.75)、シクロヘキサノン(粘性率:2.2)、シクロペンタノン(粘性率:1.13)、エタノール(粘性率:1.06)、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、セロソルブアセテート(粘性率:1.025)、カルビトール、(粘性率:3.71)等があげられる。これらのなかでも、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。これら粘性率1cp以上を有する溶媒は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、希釈溶媒の少なくとも50重量%以上を用いるのが好ましい。
前記粘性率1cp以上の溶媒とともに用いることができる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンなどがあげられる。これら溶媒は1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、塗膜への残存がなく、蒸発が速すぎて、乾燥時の塗膜にムラが生じることがない点で、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、トルエンなどが好ましい。これら溶媒は、上記粘性率1cp以上の溶媒と混合して得られる希釈溶媒の粘性率が0.8cp以上になるように用いられる。
塗工液は、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する他、屈折率を調整するために、必要に応じて、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンまたはこれらの複合物等の導電性無機系粒子などを用いることができる。その他、前記塗工液には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。
塗工液の固形分の濃度は、特に制限されないが、通常、20〜70重量%が好ましく、より好ましくは30〜65重量%である。
本発明の防眩フィルムは、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、前記塗工液を塗工して塗膜を形成した後、これを硬化して、硬化塗膜層である防眩層を形成することにより製造する。
前記塗工液の塗工方法としては、公知のファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等の塗工法を用いることができる。塗工液は、得られる防眩層が、厚み10〜30μmとなるように塗工される。
塗工液の塗工により得られた塗膜は、通常、硬化前に希釈溶媒を乾燥することにより形成される。乾燥条件は希釈溶媒の種類、塗工液の濃度等により適宜決定されるが、通常は、40〜130℃程度、好ましくは60〜120℃で、1〜10分間程度、好ましくは2〜5分間行われる。
塗膜の硬化は、硬化型樹脂の種類に応じて、熱硬化または紫外線等の電離放射線硬化が行われる。硬化型樹脂は電離放射線硬化型樹脂が好ましく、硬化手段としては、電離放射線硬化が好ましい。その手段には各種活性エネルギーを用いることができるが、紫外線が好適である。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm2が好ましい。照射量が、50mJ/cm2未満の場合は、硬化が不十分となるため、防眩層の硬度が低下する場合がある。また5000mJ/cm2を超えると、防眩層が着色して透明性が低下するおそれがある。
前記防眩層上には反射防止層を設けることができる。光は物体に当たるとその界面での反射、内部での吸収、散乱といった現象を繰り返して物体の背面に透過していく。画像表示装置に防眩フィルムを装着した際、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気と防眩層界面での光の反射があげられる。反射防止層は、その表面反射を低減させる。
反射防止層の材料は防眩層よりも屈折率の低いものであれば特に制限されない。反射防止層を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性付与するためフッ素基を含有するものを選択することができる。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率層材料が優れる傾向にあり、特にシロキサンオリゴマーおよびフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤を含有するゾル−ゲル系材料が好ましい。反射防止層の屈折率は通常、1.2〜1.5になるように調整するのが好ましい。
反射防止層の厚みは特に制限されず、通常、0.05〜0.3μm程度、特に0.1〜0.3μmとするのが好ましい。反射率低下の観点から、通常、厚み(nm)×屈折率の値が140nm程度となるように設定するのが好ましい。
反射防止層は、適宜な方法によって形成することができる。たとえば、反射防止層の形成材料を含む溶液を、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、ディッピング法、スピンコート法、刷塗り法、フレキソ法、ダイコーター法等の適宜な方式で塗布して、乾燥、硬化させるのが好ましい。
防眩フィルムの作製、反射防止防眩フィルムの作製にあたっては、透明プラスチックフィルム、さらに防眩層に各種表面処理を行うことによって、透明プラスチックフィルムと防眩層、防眩層と反射防止層の接着性を向上させることができる。その表面処理としては、低圧プラズマ処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。また、トリアセチルセルロースを透明プラスチックフィルムとして用いた場合の表面処理としてはアルカリ鹸化処理が好ましい。アルカリ鹸化処理は、トリアセチルセルロースフィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液があげられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3Nであることが好ましく、0.5N〜2Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、25〜90℃の範囲が好ましく、40〜70℃がさらに好ましい。その後、水洗処理、乾燥処理を行い、表面処理を施したトリアセチルセルロースを得ることができる。
防眩フィルム、反射防止防眩フィルムは、通常、その透明プラスチックフィルム基材側を、粘着剤や接着剤を介して、CRT、LCD、PDP、ELDの表面に貼り合わせて用いることができる。
また防眩フィルム、反射防止防眩フィルムは、通常、その透明プラスチックフィルム側を、粘着剤や接着剤を介して、LCDやELDに用いられている光学素子に貼り合せることができる。貼り合わせにあたり、透明プラスチックフィルム基材には、前記同様の表面処理を施すことができる。
光学素子としては、例えば、偏光子または偏光板があげられる。偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であっても良いし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。通常、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フィルムが設けられ偏光板として用いられる。透明保護フィルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。上記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体、スチレン・マレイミド共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、等の透明樹脂からなるフィルムがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂等の透明樹脂からなるフィルムもあげられる。さらに芳香族ポリイミドやポリイミドアミド等のイミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂や前記樹脂のブレンド物等の透明樹脂からなるフィルムなどもあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板等の保護フィルムに適用した場合には歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
前記透明保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性の点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等があげられる。セルロース系樹脂としては、富士写真フイルム(株)製の製品名「フジタック」等、ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製の製品名「ゼオノア」、JSR(株)製の製品名「アートン」等があげられる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。より好ましくは5〜200μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。上記の範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記透明保護フィルムは、フィルム面内の位相差値および厚み方向の位相差値が液晶表示装置の視野角特性に影響を及ぼす場合があるので、位相差値が最適化されたものを用いることが好ましい。ただし、位相差値の最適化が望まれる透明保護フィルムは、液晶セルに近い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムであり、液晶セルに遠い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムは、液晶表示装置の光学特性を変化させることはないので、この限りではない。
前記液晶セルに近い側の偏光子の表面に積層される透明保護フィルムの位相差値としては、フィルム面内の位相差値(Re:(nx−ny)・d)が0〜5nmであることが好ましい。より好ましくは、0〜3nmである。更に好ましくは、0〜1nmである。厚み方向の位相差値(Rth)は、0〜15nmであることが好ましい。より好ましくは0〜12nmである。更に好ましくは0〜10nmである。特に好ましくは0〜5nmである。最も好ましくは、0〜3nmである。
防眩フィルム等を積層した偏光板は、防眩フィルム等に透明保護フィルム、偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよいし、防眩フィルムに偏光子、透明保護フィルムを順次に積層したものでもよい。
その他、透明保護フィルムの偏光子を接着させない面は、ハードコート層やスティッキング防止や目的とした処理を施したものであってもよい。ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。なお、前記ハードコート層、スティッキング防止層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また偏光板の層間へ、例えばハードコート層、プライマー層、接着剤層、粘着剤層、帯電防止層、導電層、ガスバリヤー層、水蒸気遮断層、水分遮断層等を挿入、または偏光板表面へ積層しても良い。また。偏光板の各層を作成する段階では、例えば、導電性粒子あるいは帯電防止剤、各種微粒子、可塑剤等を各層の形成材料に添加、混合等することにより改良を必要に応じておこなっても良い。
前記透明保護フィルムの偏光子との積層方法は、特に限定されず、例えばアクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいはホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミンやシュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。これにより湿度や熱の影響で剥がれにくく光透過率や偏光度に優れるものとすることができる。前記接着剤としては、偏光子の原料であるポリビルアルコールとの接着性に優れる点より、ポリビニルアルコール系接着剤を用いることが好ましい。
前記ノルボルネン系樹脂を含む高分子フィルムを透明保護フィルムとして、偏光子と積層する場合の粘着剤としては、透明性に優れ、複屈折などが小さく、薄い層として用いても充分に粘着力を発揮できるものが好ましい。そのような粘着剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアネート樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤、例えば、エポキシ樹脂とポリチオールの二液からなるもの、エポキシ樹脂とポリアミドの二液からなるものなどを用いることができ、特に溶剤型接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤が好ましく、透明のものが好ましい。接着剤によっては、適当な接着用下塗り剤を用いることで接着力を向上させることができるものがあり、そのような接着剤を用いる場合は接着用下塗り剤を用いることが好ましい。
上記接着用下塗り剤としては、接着性を向上できる層であれば特に制限はないが、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、および同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。なかでも、工業的に取扱いやすいという観点から、シラン系カップリング剤を含有する層であることが好ましい。
光学素子としては、実用に際して、前記偏光板に、他の光学素子(光学層)を積層した光学フィルムを用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。楕円偏光板、光学補償付き偏光板等では偏光板側に防眩フィルムが付与される。
さらに必要に応じて、耐擦傷性、耐久性、耐候性、耐湿熱性、耐熱性、耐湿性、透湿性、帯電防止性、導電性、層間の密着性向上、機械的強度向上等の各種特性、機能等を付与するための処理、または機能層の挿入、積層等を行うこともできる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ、前記透明保護フィルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
反射板は前記偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板または反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってもよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層または3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
前記光学素子への防眩フィルムの積層、さらには偏光板への各種光学層の積層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行うことができるが、これらを予め積層したものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルム等の光学素子の少なくとも片面には、前記防眩フィルムが設けられているが、防眩フィルムが設けられていない面には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
前記接着剤または粘着剤にはベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができうる。また粘着層等は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板、光学フィルム等の光学素子への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物または混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解または分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で光学素子上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを光学素子上に移着する方式などがあげられる。粘着層は、各層で異なる組成または種類等のものの重畳層として設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した光学素子を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学層等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の防眩フィルムを設けた光学素子は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、および必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側または両側に前記光学素子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学素子は液晶セルの片側または両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、本発明の実施例について説明するがこれらに制限されるものではない。
(粘性率)
粘性率は、25℃における値であり、ドイツ・ハーケ社製のレオメータ(センサー:DG43使用(double gas),剪断速度:200[1/s]により測定した。
(屈折率)
屈折率の測定(25℃)は、(株)アタゴ製アッベ屈折率計により行った。なお、硬化型樹脂の屈折率は、微粒子を配合することなく、硬化したのちの屈折率を測定した。
(防眩層の厚み)
(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計にて測定を行った。透明プラスチックフィルムに防眩層を設けた防眩フィルムの厚みを測定し、基材の厚みを差し引くことで防眩層の膜厚を算出した。
実施例1
(透明プラスチックフィルム基材)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.48)を用いた。
(塗工液の調製)
水添キシリレンジイソシアネートのイソシアネート基をペンタエリスリトールのアクリル酸エステルの水酸基と反応させて得られるアクリルウレタン36重量%、ペンタエリスリトールアクリレート(テトラアクリレート/トリアクリレート/ジアクリレート=56/32/2(重量比))24.7重量%、ジペンタエリスリトールアクリレート17.7重量%、ならびに側鎖にヒドロキシエチル基および2,3−ジヒドロキシプロピル基を有するメタクリルポリマー21.3重量%からなるウレタンアクリル系紫外線硬化型樹脂を用いた。当該ウレタンアクリル系紫外線硬化型樹脂100重量部を酢酸ブチル(粘性率:0.706cp)53.8重量部で希釈して固形分65重量%に調整した溶液と、PMMA微粒子(平均粒径3.0μm,屈折率1.49)30重量部、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガキュア907)5重量部およびレベリング剤(大日本インキ化学工業社製,メガファックF407)0.5部をn−ブタノール(粘性率:2.549cp)142.13重量部中に分散させ、固形分濃度35%の塗工液を調製した。塗工液における混合希釈溶媒の割合は、酢酸ブチル:n−ブタノール=53.8:142.13(重量比)であり、混合希釈溶液における、n−ブタノールの割合は73重量%である。また当該混合希釈溶媒の粘性率は1.568cpであった。
(防眩フィルムの作製)
上記透明プラスチックフィルム表面に、上記塗工液をバーコーターにて塗工し、90℃で3分間加熱することにより塗膜を乾燥し、その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化処理して厚み20μmの防眩層を形成した防眩フィルムを得た。
実施例2
(塗工液の調製)
実施例1において、n−ブタノールの代わりに酢酸エチルセロソルブ(粘性率:1.243)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて塗工液を調製した。酢酸ブチルと酢酸エチルセロソルブからなる混合希釈溶媒の粘性率は1.072cp以上であった。
(防眩フィルムの作製)
実施例1において、上記塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
実施例3
(塗工液の調製)
実施例1において、n−ブタノールの代わりにブチルセロソルブ(粘性率:2.928)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて塗工液を調製した。酢酸ブチルとブチルセロソルブからなる混合希釈溶媒の粘性率は1.828cp以上であった。
(防眩フィルムの作製)
実施例1において、上記塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
比較例1
(塗工液の調製)
実施例1において、n−ブタノールの代わりにメチルイソブチルケトン(粘性率:0.581)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて塗工液を調製した。酢酸ブチルとメチルイソブチルケトンからなる混合希釈溶媒の粘性率は0.647cpであった。
(防眩フィルムの作製)
実施例1において、上記塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
比較例2
(防眩フィルムの作製)
実施例1において、防眩層の厚みを7μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを得た。
また得られた防眩フィルムについて下記評価を行った。結果を表1に示す。
(ヘイズ)
JIS−K7136のヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーターHR300(村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。
(中心線平均表面粗さ(Ra))
上記防眩フィルムの防眩層の形成されていない面に、MATSUNAMI製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせた。小阪研究所製高精度微細形状測定器サーフコーダET4000にて測定し、JIS B0601―1994記載のRa値を求めた。
(映り込み:防眩性評価)
上記防眩フィルムの防眩層等の形成されていない面に、日東樹脂工業製の黒色アクリル板(厚み2mm)を粘着剤で貼り合わせて裏面の反射をなくした。作製したサンプルの反射防止層等が形成されている側に発光している蛍光灯の光を直接反射させ、サンプル表面に映り込んだ蛍光灯の像のイメージを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・・蛍光灯の像のイメージが全くわからない。
○・・・・蛍光灯の像のイメージがわからない。
△・・・・蛍光灯の像のイメージはぼやけているが、かすかに輪郭が確認できる。
×・・・・蛍光灯の像のイメージが明確に視認できる。
(鉛筆硬度)
防眩フィルムの防眩層が形成されていない面を、ガラス板に厚さ約20μmの粘着剤にて貼り付けた後、防眩層表面について、JIS K−5400記載の鉛筆硬度試験に従い試験を実施した。
Figure 2006146165
本発明の防眩フィルムの断面図の一例である。
符号の説明
1・・・透明プラスチックフィルム基材
2・・・硬化樹脂層
3・・・微粒子
4・・・防眩層
A・・・防眩フィルム

Claims (10)

  1. 透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、防眩層を有する防眩フィルムの製造方法であって、
    防眩層は、硬化型樹脂、微粒子および希釈溶媒を含有する塗工液を透明プラスチックフィルムに塗工し、硬化することにより形成するものであり、
    前記希釈溶媒は、粘性率0.8cp以上であり、
    防眩層は、厚み10〜30μmであることを特徴とする防眩フィルムの製造方法。
  2. 前記塗工液に用いる希釈溶媒は、50重量%以上が粘性率1cp以上の溶媒であることを特徴とする請求項1記載の防眩フィルムの製造方法。
  3. 粘性率1cp以上の溶媒が、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれるいずれか少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項2記載の防眩フィルムの製造方法。
  4. 防眩層の表面は、鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防眩フィルムの製造方法。
  5. 防眩層の表面は、中心線平均表面粗さ(Ra)が0.035〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルムの製造方法。
  6. 微粒子の平均粒径は、1〜7μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防眩フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6の製造方法により得られた防眩フィルム。
  8. 請求項7記載の防眩フィルムの防眩層上に、反射防止層を有することを特徴とする反射防止防眩フィルム。
  9. 光学素子の片面または両面に、請求項7記載の防眩フィルムまたは請求項8記載の反射防止防眩フィルムが積層されていることを特徴とする光学素子。
  10. 請求項7記載の防眩フィルム、請求項8記載の反射防止防眩フィルム、または請求項9記載の光学素子を有する画像表示装置。
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