JP4553237B2 - 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4553237B2
JP4553237B2 JP2004168671A JP2004168671A JP4553237B2 JP 4553237 B2 JP4553237 B2 JP 4553237B2 JP 2004168671 A JP2004168671 A JP 2004168671A JP 2004168671 A JP2004168671 A JP 2004168671A JP 4553237 B2 JP4553237 B2 JP 4553237B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
refractive index
film
antiglare
antireflection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004168671A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005345983A (ja
Inventor
山田  敦
宮武  稔
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2004168671A priority Critical patent/JP4553237B2/ja
Publication of JP2005345983A publication Critical patent/JP2005345983A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4553237B2 publication Critical patent/JP4553237B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、防眩性反射防止フィルムおよび光学素子に関する。本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた防眩性反射防止偏光板等の光学素子は、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の各種画像表示装置に好適に利用できる。
各種ディスプレイの一つに液晶ディスプレイがあるが、例えば、液晶ディスプレイの広視野角化、高精細化といった表示デバイスとしての見やすさを追求していくと、液晶ディスプレイ表面、すなわち偏光板表面の表面反射によるコントラストの低下が無視できなくなっている。とりわけ、屋外での使用頻度の高いカーナビゲーション用モニターやビデオカメラ用モニターは表面反射による視認性の低下が顕著である。このためこれらの機器に装着される偏光板には、反射防止膜が必要不可欠になりつつあり、屋外使用頻度の高い液晶ディスプレイには、ほとんどが反射防止処理や防眩処理が施された偏光板が使用されている。
反射防止処理は、表面での反射を抑えることで反射像の視認性を低下させて、表示装置使用時の反射像の映り込みを低減するためのものである。反射防止処理は、一般的には真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法等の乾式法により、またはダイやグラビアロール塗工等を用いた湿式法によって、屈折率の異なる材料からなる複数の薄膜の多層積層体を作製し、これにより光の干渉効果の利用により可視光領域の反射をできるだけ低減させるように設計がされている。上記乾式法は、真空処理設備の整備、量産性等の問題で処理費用が非常に高価となる。そのため、最近では比較的安価に反射防止膜の形成が可能な湿式法による反射防止膜の形成が進められている。
たとえば、透明基材フィルム上に、中屈折率層、高屈折率層、さらに低屈折率層を、この順に積層することより、光の干渉作用による打消し効果を利用して反射防止に対する要求を満たした反射防止フィルムが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では反射防止層になる低屈折率層の形成を湿式法で行なっている。しかしながら、湿式法により作製した反射防止フィルムは約1%程度まで反射率を下げることができるが、反射像の映り込みを完全になくすことができない。またそれぞれの薄層は非常に高い精度で塗工しなければ、ムラとなってしまうため、技術的に難易度が高い。
一方、防眩処理は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、表示装置使用時の反射像の映り込みを低減するためのものである。防眩処理は、一般的にはサンドブラスト、エンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理する方法、金型による転写方法、微粒子を分散含有する樹脂層を形成する方法などにより、表面に微細凹凸構造を付与するものであり、表面の微細凹凸構造により可視光領域の反射光を散乱させるような設計が行なわれている。たとえば、透明基材フィルム上に放射性硬化型樹脂、平均粒子径10μm以下の微粒子、さらにチクソトロピー化剤を分散させてなる分散液から防眩層を形成した防眩性フィルムが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの防眩性フィルムは表面の凹凸構造により、画像のボケや反射光の散乱により画像の白ボケが問題となっていた。
そのため、防眩性フィルムに反射防止処理を行うことで、散乱自体の反射を低減させた、白ボケ感のない防眩性反射防止フィルムが提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。これらの防眩性反射防止フィルムでは、白ボケ感は低減できるが、表面の凹凸構造により生じるボケを解消したクリアな画像を得ることができていなかった。さらに、表面に凹凸構造を有する基材へ反射防止層を湿式法により塗工するときには、凹凸構造に対する均一厚さで塗膜形成が困難になり、反射防止の光学設計の実現が非常に困難である。
特開2003−75603号公報 特開平10−219136号公報 特開2002−22952号公報 特開2003−121620号公報
本発明は、透明基材フィルム上に、防眩層および反射防止層をこの順に有する防眩性反射防止フィルムにおいて、映り込みを低減し、クリア性(ボケのないこと)を向上し、かつ塗工ムラを抑えることができる防眩性反射防止フィルムを提供することを目的とする。
また本発明は、当該防眩性反射防止フィルムを用いた防眩性反射防止偏光板等の光学素子を提供すること、さらには当該光学素子等を搭載した画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す防眩性反射防止フィルムにより前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、透明基材フィルム上に、表面が微細凹凸構造を形成している防眩層および反射防止層をこの順に有する防眩性反射防止フィルムにおいて、
防眩層は、屈折率1.4〜1.7であり、
反射防止層は、屈折率1.2〜1.5であり、
防眩層と反射防止層の間には、厚さ1.5μm以上、屈折率1.55〜1.85の高屈折率層が積層されており、
防眩層と高屈折率層との屈折率差が0.15〜0.45であり、
高屈折率層表面および反射防止層表面は、防眩層表面の凹凸構造よりも低減された凹凸構造を有しており、かつ、
防眩性反射防止フィルムを反射防止層側から測定したヘイズが3.1%以上23.8%以下であり、
反射防止層表面のRa値が0.01〜0.4μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム、に関する。
上記本発明では防眩層と反射防止層の間に厚さ1.5μm以上の高屈折率層を設けている。かかる高屈折率層により、防眩層表面の凹凸構造が高屈折率層、反射防止層の表面で低減され、クリア性を増大させるとともに、反射防止層の厚みムラを低減することができる。高屈折率層を量産に適している湿式法により塗布、形成すると、乾燥過程でのレベリング効果により、高屈折率表面の凹凸構造は防眩層表面の凹凸構造より緩やかになる。そのため、湿式法で反射防止層を塗布するときに、防眩層に反射防止層を直接塗布するより凹凸構造が緩やかな高屈折率層に塗布することで、反射防止層の厚みムラを低減することができ、反射防止の光学設計が実現容易になる。また湿式法により、防眩層のない透明基材フィルム上に高屈折率層を1.5μm以上塗布すると、塗工ムラが発生しやすい。本発明では高屈折率層を防眩層上に塗布しているので、防眩層の散乱効果により塗工ムラが見えにくくなる。一方本発明では、防眩層と高屈折率層との屈折率差を0.15〜0.45にすることにより、防眩層と高屈折率層との間で光を散乱させ、防眩性を付与している。屈折率差があることで、防眩層の凹凸構造により光が散乱することで、防眩性を増加させることができる。このように、本発明の防眩性反射防止フィルムは、防眩層により映り込みを低減することができ、かつ反射防止性を有している。また、防眩層と反射防止層の間に設けた高屈折率層は、防眩層を介して透明基材フィルムに設けられているため、高屈折率層の塗工ムラが見えにくく、さらに高屈折率表面は防眩層表面よりも凹凸が少ないので、反射防止層の厚みムラを低減することができ、クリア性を向上させることができる。
上記防眩性反射防止フィルムにおいて、前記各層の屈折率は、高屈折率層>防眩層>反射防止層の関係と、透明基材フィルム>反射防止層の関係を満たすことが好ましい。防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率を上記のように調整することにより表示品位や反射防止効果を向上させることができ、また干渉縞の発生を防止することができる。
上記防眩性反射防止フィルムにおいて、防眩層は、熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂と、平均粒子径が10μm以下、かつ屈折率1.4〜1.8の有機物および/または無機物の微粒子を含有する形成剤により形成されたものであることが好ましい。熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂は防眩層の形成が容易であり、また防眩層に上記屈折率の微粒子を添加することにより、防眩層の屈折率の制御、表面の凹凸構造の調整が容易になる。
上記防眩性反射防止フィルムにおいて、高屈折率層は、熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂と、金属および/または金属酸化物の超微粒子を含有する形成剤により形成されたものであることが好ましい。熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂は高屈折率層の形成が容易であり、また金属および/または金属酸化物の超微粒子を添加することにより、屈折率の調整が容易になり、さらには高屈折率層の硬さおよび耐擦傷性を向上させることができる。
上記防眩性反射防止フィルムにおいて、反射防止層は、金属アルコキシドと、フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤とを含有するゾル−ゲル系材料により形成されたものであることが好ましい。ゾル−ゲル系材料を用いることにより、反射防止層の耐擦傷性を向上させることができる。
また本発明は、光学素子の片面又は両面に、前記防眩性反射防止フィルムが設けられていることを特徴とする光学素子、に関する。さらに本発明は、前記防眩性反射防止フィルムまたは光学素子を搭載した画像表示装置、に関する。
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、透明基材フィルム1上に、防眩層11、高屈折率層12、反射防止層13が、この順で積層形成されている防眩性反射防止フィルムAである。防眩層11中には微粒子aが分散されており、微細凹凸構造表面を形成している。
透明基材フィルム1としては、可視光の光線透過率が高く、透明性に優れる材料であれば特に制限はない。可視光の透過率は90%以上であることが好ましく、ヘイズ値は1%以下であることが好ましい。前記特性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
また、基材フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである基材フィルムが好ましく用いられる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
透明基材フィルム1の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
透明基材フィルム1の屈折率は、特に制限されないが、通常、1.3〜1.8程度、特に1.4〜1.7であることが好ましい。
前記防眩層11を形成する有機樹脂材料としては防眩層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも前述の通り熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂の放射線硬化性樹脂が好ましい。特に、紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく防眩層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
防眩層11に防眩性付与のための微細凹凸構造を形成する方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、透明基材フィルム1の表面を、予め、サンドブラスト、エンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸構造を付与する方法、金型による転写方式等により微細凹凸構造を付与する方法、微粒子を分散含有させた樹脂層により微細凹凸構造に形成する方法等があげられる。これら方法は、二種以上の方法を組み合わせ、異なる状態の微細凹凸構造表面を複合させた層として形成してもよい。前記形成方法のなかでも、微細凹凸構造表面の形成性等の観点より、微粒子を分散含有する樹脂層を設ける方法が好ましい。
以下、微粒子を分散含有させて樹脂層を設ける方法について説明する。前記防眩層11に含有させる微粒子は、屈折率1.4〜1.8の微粒子が好ましい。かかる微粒子としては、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、メラミン樹脂等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機系粒子や、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンまたはこれらの複合物等の導電性無機系粒子などがあげられる。微粒子の平均粒子径は、防眩性達成の点から、0.01〜10μmであり、好ましくは0.1〜5μm、さらには好ましくは1〜4μmである。微粒子の使用量は樹脂100重量部に対して、1〜30重量部程度とするのが好ましい。
防眩層11の形成には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。防眩層11の形成に当たり、チクソトロピー剤(0.1μm以下のシリカ、マイカ等)を含有させることにより、防眩層表面において、突出粒子により微細凹凸構造を容易に形成することができる。防眩層11の厚さは特に制限されないが、1〜20μm程度、特に2〜10μmとするのが好ましい。
防眩層11の屈折率は、1.4〜1.7になるように調整する。当該屈折率は好ましくは1.45〜1.65、さらに好ましくは1.45〜1.55である。
高屈折率層12は、ハードコート性に優れ(JIS K5400の鉛筆硬度試験でH以上の硬度を示すもの)、十分な強度を持ち、光線透過率の優れたものであれば特に制限はない。当該高屈折率層12を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも前述の通り熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂の放射線硬化性樹脂が好ましい。特に、紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく防眩層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーを成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
高屈折率層12の厚みは、薄すぎると防眩層11表面の凹凸構造を高屈折率層表面で低減することが難しく、クリア性を増大できないおそれがあるため、1.5μm以上である。一方、高屈折率層12の厚みが厚すぎると、フォルムのカール発生および屈曲時のクラック発生のおそれがある。そのため、高屈折率層12の厚みは、好ましくは1.5〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。
高屈性率層12の屈折率は、1.6〜1.8になるように調整する。当該屈折率が低くなると反射率が上がり反射防止機能を損なうおそれがあり、一方高くなると反射光に色が着くため、好ましくは1.65〜1.75である。また防眩層11と高屈折率層12との屈折率差は0.15〜0.45になるように調整する。前記屈折率差は0.15〜0.3であるのが好ましい。
高屈折率層12の屈折率の調整法は特に制限されない。高屈折率層12の屈折率の調整は、高屈折率層12の形成材料として、前記樹脂のなかから所望の屈折率を有するものを用いるのが好ましい。しかしながら、通常、用いられる樹脂の屈折率は、S、N、Pなどの元素や芳香環などの原子、分子を導入しても1.6以上には到達しにくいため、前記樹脂に高屈性率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加して高屈折率層12の屈折率の調整を行なうのがよい。前記高屈折率の超微粒子としては、たとえば、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO(酸化インジウム/酸化スズ)、ATO(酸化アンチモン/酸化スズ)、ジルコニアなどを用いるのが好ましい。超微粒子の平均粒子径は0.1μm以下であるのが好ましい。
高屈折率層12の表面には、反射防止層13が形成される。反射防止層13の材料は高屈折率層12よりも屈折率の低いものであれば特に制限されない。反射防止層13を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性付与するためフッ素基を含有するものを選択することができる。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率層材料が優れる傾向にあり、特にシロキサンオリゴマーおよびフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤を含有するゾル−ゲル系材料が好ましい。
反射防止層13の厚みは特に制限されず、通常、0.05〜0.3μm程度、特に0.1〜0.3μmとするのが好ましい。反射率低下の観点から、通常、厚み(nm)×屈折率の値が140nm程度となるように設定するのが好ましい。
反射防止層13の屈折率は1.2〜1.5になるように調整する。当該屈折率は低いほど良いが、あまり低すぎると反射光に色が付くため好ましくない。反射防止層13の屈折率は好ましくは1.3〜1.5、より反射率を抑制するには1.45以下であるのが好ましい。
反射防止層13は、適宜な方法によって形成することができる。たとえば、高屈折率層12表面に、反射防止層13の形成材料を含む溶液を、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、ディッピング法、スピンコート法、刷塗り法、フレキソ法、ダイコーター法等の適宜な方式で塗布して、乾燥、硬化させるのが好ましい。乾燥、硬化の温度は特に制限されず、通常、60から150℃、好ましくは70〜130℃において、通常100時間以下、好ましくは5〜10時間で行なうことができる。なお、温度、時間は前記範囲に制限されず、適宜に調整することができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、ベルト炉などによる方法が適宜に採用される。
反射防止層13の形成にあたって、高屈折率層12の表面を放電処理および/または放射線照射処理して表面を改質した後に行なうことができる。放電処理および/または放射線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などがあげられ、なかでもコロナ放電処理および紫外線照射処理が好ましい。これらの表面改質によって、高屈折率層12と反射防止層13の界面において、高屈折率層12と反射防止層13の密着性を高め、耐薬品性を向上させることができる。
前記防眩性反射防止フィルムAの透明基材フィルム1には、光学素子を接着することができる。光学素子としては、偏光子があげられる。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フィルムが設けられ偏光板として用いられる。透明保護フィルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムとしては前記例示の透明基材フィルムと同様の材料のものが用いられる。前記透明保護フィルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。また透明保護フィルムは、位相差等の光学的異方性が少ないほど好ましい場合が多い。前記の透明保護フィルムを形成するポリマーとしてはトリアセチルセルロースが最適である。前記防眩性反射防止フィルムを、偏光子 (偏光板)の片側または両側に設ける場合、防眩性反射防止フィルムの透明基材フィルムは、偏光子の透明保護フィルムを兼ねることができる。透明保護フィルムの厚さは、特に制限されないが10〜300μm程度が一般的である。
図2は、防眩性反射防止フィルムAに偏光板Bを積層した反射防止偏光板である。反射防止偏光板は、図2に示すように、防眩性反射防止フィルムに透明保護フィルム22、偏光子21、透明保護フィルム22を順次に積層したものでもよいし、図3に示すように防眩性反射防止フィルムAに偏光子21、透明保護フィルム22を順次に積層したものでもよい。
その他、透明保護フィルムの偏光子を接着させない面は、ハードコート層やスティッキング防止を目的とした処理を施したものであってもよい。ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。なお、前記ハードコート層、スティッキング防止層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また偏光板の層間へ、例えばハードコート層、プライマー層、接着剤層、粘着剤層、帯電防止層、導電層、ガスバリヤー層、水蒸気遮断層、水分遮断層等を挿入、または偏光板表面へ積層しても良い。また。偏光板の各層を作成する段階では、例えば、導電性粒子あるいは帯電防止剤、各種微粒子、可塑剤等を各層の形成材料に添加、混合等することにより改良を必要に応じておこなっても良い。
光学素子としては、実用に際して、前記偏光板に、他の光学素子(光学層)を積層した光学フィルムを用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。楕円偏光板、光学補償付き偏光板等では偏光板側に防眩性反射防止フィルムAが付与される。
さらに必要に応じて、耐擦傷性、耐久性、耐候性、耐湿熱性、耐熱性、耐湿性、透湿性、帯電防止性、導電性、層間の密着性向上、機械的強度向上等の各種特性、機能等を付与するための処理、または機能層の挿入、積層等を行うこともできる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ、前記透明保護フィルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
反射板は前記偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
前記光学素子への防眩性反射防止フィルムの積層、さらには偏光板への各種光学層の積層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行うことができるが、これらを予め積層したのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルム等の光学素子の少なくとも片面には、前記防眩性反射防止フィルムが設けられているが、防眩性反射防止フィルムが設けられていない面には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
防眩性反射防止フィルム、光学フィルム等の光学素子への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で光学素子上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを光学素子上に移着する方式などがあげられる。粘着層は、各層で異なる組成又は種類等のものの重畳層として設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した光学素子を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学層等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の防眩性反射防止フィルムを設けた光学素子は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に前記光学素子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学素子は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。各例中、部および%は重量基準である。本発明の屈折率の測定は、(株)アタゴ製アッベ屈折率計により行った。
実施例1
(防眩層の形成)
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製,ユニディック17-806,屈折率1.52)100部、シリカ微粒子(粒子径2.5μm,屈折率1.46)3部、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガキュア907)5部およびレベリング剤(大日本インキ化学工業社製,メガファックF407)0.5部をトルエン中に分散させ、固形分濃度40%の塗工液を調製した。厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム:屈折率1.48)上に前記塗工液をバーコーターで塗布した後、90℃で3分間加熱することにより塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して、塗膜を硬化し、防眩層(厚み3μm,屈折率1.52)を形成した。
(高屈折率層の形成)
別途、アクリル系紫外線硬化型樹脂20部、ZrO2微粒子(粒子径0.01〜0.1μm)80部をキシレン/メチルエチルケトン(70/30:重量比)の混合溶媒中に分散させ固形分濃度40%に調製した塗工液(JSR社製,デソライトZ7405,屈折率1.52)を用いた。前記防眩層上に、前記塗工液をバーコーターで塗布した後、120℃で3分間加熱することにより塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して、塗膜を硬化し、高屈折率層(厚み3μm,屈折率1.71)を形成した。防眩層と高屈折率層との屈折率差は0.19である。
(反射防止層の形成)
テトラアルコキシシラン(コルコート社製,コルコートN103X)70部およびフルオロアルキル構造およびポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤(JSR社製,JTA105)30部をイソプロピルアルコール/酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン(70/18/12:重量比)の混合溶媒中に分散させ固形分濃度2%の塗工液を調製した。前記高屈折率層上に、前記塗工液をバーコーターで塗布した後、120℃で3分間加熱することにより乾燥および硬化して、反射防止層(厚み0.1μm,屈折率1.43)を形成して、防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例2
実施例1において、防眩層の形成に用いた微粒子として、シリカ微粒子(粒子径1.3μm,屈折率1.46)6.5部およびシリカ微粒子(粒子径2.5μm,屈折率1.46)7.5部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で防眩層を形成した。また実施例1と同様の方法で高屈折率層、反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例3
実施例1において、防眩層の形成に用いた微粒子として、ポリスチレン微粒子(粒子径3.5μm,屈折率1.59)14部を用いたこと、塗工液に増粘剤(コープケミカル社製,ルーセンタイトSAN)2.5部を加えたこと、防眩層の厚みを6μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で防眩性反射防止フィルムを得た。また実施例1と同様の方法で高屈折率層、反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例4
実施例1において、防眩層の形成に用いた微粒子として、ポリメタクリル酸メチル微粒子(粒子径7.4μm,屈折率1.49)14部を用いたこと、塗工液に増粘剤(コープケミカル社製,ルーセンタイトSAN)2.5部を加えたこと、防眩層の厚みを8μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で防眩性反射防止フィルムを得た。また実施例1と同様の方法で高屈折率層、反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例5
実施例3と同様にして防眩層を形成した。また実施例1において、高屈折率層の形成に用いた塗工液中のZrO2微粒子の使用量を45部に変えて塗膜形成後の高屈折率層の屈折率を1.69としたこと、溶媒をメチルエチルケトンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で高屈折率層を形成した。また実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。防眩層と高屈折率層との屈折率差は0.17である。
実施例6
実施例4において、高屈折率層の厚みを2μmに変えたこと以外は実施例4と同様にして防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例7
実施例4において、高屈折率層の厚みを5μmに変えたこと以外は実施例4と同様にして防眩性反射防止フィルムを得た。
実施例8
実施例4において、高屈折率層の厚みを8μmに変えたこと以外は実施例4と同様にして防眩性反射防止フィルムを得た。
比較例1
実施例3と同様にして防眩層を形成した。また実施例1において、高屈折率層の形成に用いた塗工液中のZrO2微粒子の使用量を31部に変えて塗膜形成後の高屈折率層の屈折率を1.65としたこと、溶媒をメチルエチルケトンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で高屈折率層を形成した。また実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。防眩層と高屈折率層との屈折率差は0.13である。
比較例2
実施例3と同様にして防眩層を形成した。また実施例1において、高屈折率層の形成に用いた塗工液中のZrO2微粒子の使用量を12部に変えて塗膜形成後の高屈折率層の屈折率を1.59としたこと、溶媒をメチルエチルケトンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で高屈折率層を形成した。また実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。防眩層と高屈折率層との屈折率差は0.07である。
比較例3
実施例3と同様にして防眩層を形成した。また実施例1において、高屈折率層の形成に用いた塗工液中のZrO2微粒子の使用量を0部に変えて塗膜形成後の高屈折率層の屈折率を1.52としたこと、溶媒をメチルエチルケトンとしたこと以外は実施例1と同様の方法で高屈折率層を形成した。また実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。防眩層と高屈折率層との屈折率差は0である。
比較例4
実施例4と同様にして防眩層を形成した。また実施例1において、高屈折率層の厚みを1μmに変えたこと以外は実施例1と同様の方法で高屈折率層を形成した。また実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
比較例5
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製,ユニディック17-806,屈折率1.52)100部、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガキュア907)5部およびレベリング剤(大日本インキ化学工業社製,メガファックF407)0.5部をトルエン中に分散させ、固形分濃度40%の塗工液を調製した。厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム:屈折率1.48)上に前記塗工液をバーコーターで塗布した後、90℃で3分間加熱することにより塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して、塗膜を硬化しハードコート層(厚み8μm,屈折率1.52)を形成したフィルムを得た。
比較例6
比較例5で得られたハードコートフィルムのハードコート層上に、実施例1と同様の方法により反射防止層を形成して反射防止フィルムを得た。
比較例7
テトラアルコキシシラン10部、およびATO超微粒子(粒子径10〜60nm)90部をシクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/エタノール/プロピレングリコールモノメチルエーテル(20/5/10/45/20:重量比)の混合溶媒中に分散させ固形分濃度1.5%の塗工液を調製した。厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム:屈折率1.48)上に前記塗工液をバーコーターで塗布した後、130℃で3分間加熱することにより乾燥および硬化して、厚み0.08μm、屈折率1.59の屈折率を有する層(中屈折率層)を形成した。上記で形成した層上に、実施例1と同様の方法で高屈折率層、反射防止層を形成して反射防止フィルムを得た。中屈折率層と高屈折率層との屈折率差は0.12である。
比較例8
実施例3において、防眩層のみを形成したものを、防眩性フィルムとして用いた。
比較例9
実施例3と同様にして防眩層を形成した。当該防眩層上に、実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
比較例10
(防眩層の形成)
アクリル系紫外線硬化型樹脂(JSR社製,デソライトZ7405で用いたものと同じ樹脂)20部、ZrO2微粒子(粒子径0.01〜0.1μm)80部、ポリスチレン微粒子(粒子径3.5μm,屈折率1.59)14部、レベリング剤(大日本インキ化学工業社製,メガファックF407)0.5部および増粘剤(コープケミカル社製,ルーセンタイトSAN)2.5部をトルエン中に分散させ、固形分濃度40%の塗工液を調製した。厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明基材フィルム:屈折率1.48)上に前記塗工液をバーコーターで塗布した後、120℃で3分間加熱することにより塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して、塗膜を硬化し、防眩層(厚み8μm,屈折率1.71)を形成した。当該防眩層上に、実施例1と同様の方法で反射防止層を形成して防眩性反射防止フィルムを得た。
上記の実施例および比較例で得られた防眩性反射防止フィルム等について以下の評価を行った。各フィルムの各層の屈折率、厚み等を表1に示す。また評価結果を表2に示す。
(映り込み:防眩性評価)
上記フィルムの反射防止層等の形成されていない面に、日東樹脂工業製の黒色アクリル板(厚み2mm)を粘着剤で貼り合わせて裏面の反射をなくした。作製したサンプルの反射防止層等が形成されている側に発光している蛍光灯の光を直接反射させ、サンプル表面に映り込んだ蛍光灯の像のイメージを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・・蛍光灯の像のイメージが全くわからない。
○・・・・蛍光灯の像のイメージがわからない。
△・・・・蛍光灯の像のイメージはぼやけているが、かすかに輪郭が確認できる。
×・・・・蛍光灯の像のイメージが明確に視認できる。
(クリア性の評価)
上記フィルムの反射防止層等の形成されていない面に、MATSUNAMI製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせた。作製したサンプルの反射防止層等が形成されている側から物体を眺め、物体の像のイメージを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・・物体の像のイメージがはっきりとわかる。
○・・・・物体の像のイメージがわかる。
△・・・・物体の像のイメージはぼやけているが、かすかに輪郭が確認できる。
×・・・・蛍光灯の像のイメージが全くわからない。
(ムラの評価)
上記フィルムの反射防止層等の形成されていない面に、日東樹脂工業製の黒色アクリル板(厚み2mm)を粘着剤で貼り合わせて裏面の反射をなくした。作製したサンプルの反射防止層等が形成されている側に三波長蛍光灯の光を反射させ、サンプル表面のムラを以下の判定基準により目視にて判定した。
◎・・・・ムラが全くわからない。
○・・・・ムラがわからない。
△・・・・ムラが、かすかに輪郭が確認できる。
×・・・・ムラが明確に視認できる。
(反射率測定方法)
上記フィルムの反射防止層等の形成されていない面に、日東樹脂工業製の黒色アクリル板(厚み1mm)を粘着剤で貼り合わせて裏面の反射をなくした。日立製作所製U−4100/高感度積分球分光光度計にて分光反射率(鏡面反射率+拡散反射率)を測定し、C光源/2°視野の全反射率(Y値)を計算により求めた。
(全光線透過率測定方法)
スガ試験機製ヘイズメーターHGM−2DPにて上記フィルムの反射防止層等が光源側に向くようにして測定した。
(ヘイズ測定方法)
スガ試験機製ヘイズメーターHGM−2DPにて上記フィルムの反射防止層等が光源側に向くようにして測定した。
(写像性測定方法)
スガ試験機製写像性測定器ICM−1にて上記フィルムの反射防止層等が検出器側を向くようにして測定し、光学クシが0.5mmと2.0のときの写像性を求めた。
(表面粗さ測定法)
上記フィルムの反射防止層等の形成されていない面に、MATSUNAMI製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせた。小阪研究所製高精度微細形状測定器サーフコーダET4000にて測定し、JIS B0601―1994記載のRa値およびSm値を求めた。
反射防止層(高屈折率層)表面のRa値は0.01〜0.4μm、Sm値は0.05〜0.3mmであるのが好ましい。防眩層表面のRa値は0.05〜0.5μm、Sm値は0.03〜0.3mmであるのが好ましい。
Figure 0004553237
Figure 0004553237
上記比較例8で得られた防眩性フィルムの防眩層の上に高屈折率層/反射防止層を形成したものが実施例3に相当する。実施例3では比較例8に比べて、Ra値が小さくなっており、かつSm値が大きくなっており、防眩層表面の凹凸構造が反射防止表面で低減していることが分かる。また実施例6〜8に示すように高屈折率層の厚みが増すとRa値が次第に小さく、かつSm値が次第に大きくなっていることから、防眩層の上に高屈折率層、反射防止層を設けることで防眩層表面の凹凸構造が最表面では低減されていることが分かる。
本発明の防眩性反射防止フィルムの一例である。 本発明の防眩性反射防止偏光板の一例である。 本発明の防眩性反射防止偏光板の一例である。
符号の説明
A 防眩性反射防止フィルム
1 透明基材フィルム
11 防眩層
12 高屈折率層
13 反射防止層
a 微粒子
B 偏光板
21 偏光子
22 透明保護フィルム

Claims (9)

  1. 透明基材フィルム上に、表面が微細凹凸構造を形成している防眩層および反射防止層をこの順に有する防眩性反射防止フィルムにおいて、
    防眩層は、屈折率1.4〜1.7であり、
    反射防止層は、屈折率1.2〜1.5であり、
    防眩層と反射防止層の間には、厚さ1.5μm以上、屈折率1.55〜1.85の高屈折率層が積層されており、
    防眩層と高屈折率層との屈折率差が0.15〜0.45であり、
    高屈折率層表面および反射防止層表面は、防眩層表面の凹凸構造よりも低減された凹凸構造を有しており、かつ、
    防眩性反射防止フィルムを反射防止層側から測定したヘイズが3.1%以上23.8%以下であり、
    反射防止層表面のRa値が0.01〜0.4μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
  2. 前記各層の屈折率が、高屈折率層>防眩層>反射防止層の関係と、透明基材フィルム>反射防止層の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. 防眩層は、熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂と、平均粒子径が10μm以下、かつ屈折率1.4〜1.8の有機物および/または無機物の微粒子を含有する形成剤により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. 高屈折率層は、熱硬化性樹脂または放射線硬化性樹脂と、金属および/または金属酸化物の超微粒子を含有する形成剤により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. 反射防止層は、金属アルコキシドと、フルオロアルキル基を有するシランカップリング剤とを含有するゾル−ゲル系材料により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  6. 防眩層の厚さが、1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  7. 反射防止層の厚さが、0.05〜0.3μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  8. 光学素子の片面又は両面に、請求項1〜のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムが設けられていることを特徴とする光学素子。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムまたは請求項記載の光学素子を搭載した画像表示装置。
JP2004168671A 2004-06-07 2004-06-07 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置 Expired - Fee Related JP4553237B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004168671A JP4553237B2 (ja) 2004-06-07 2004-06-07 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004168671A JP4553237B2 (ja) 2004-06-07 2004-06-07 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005345983A JP2005345983A (ja) 2005-12-15
JP4553237B2 true JP4553237B2 (ja) 2010-09-29

Family

ID=35498401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004168671A Expired - Fee Related JP4553237B2 (ja) 2004-06-07 2004-06-07 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4553237B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006154040A (ja) * 2004-11-26 2006-06-15 Sumitomo Chemical Co Ltd 表面処理防眩板
JP4866629B2 (ja) * 2006-02-27 2012-02-01 中興化成工業株式会社 複合シート及びその製造方法
JP5202819B2 (ja) * 2006-04-26 2013-06-05 富士フイルム株式会社 反射防止フィルムの製造方法
JP2009211061A (ja) * 2008-02-04 2009-09-17 Nippon Zeon Co Ltd 反射防止フィルム
JP5185653B2 (ja) * 2008-02-25 2013-04-17 大王製紙株式会社 銘板作製用積層体
JP2010191090A (ja) * 2009-02-17 2010-09-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板、ならびにそれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置
JP5909454B2 (ja) * 2012-03-30 2016-04-26 富士フイルム株式会社 防眩フィルム、その製造方法、偏光板、及び画像表示装置
KR101510563B1 (ko) * 2013-12-10 2015-04-08 영남대학교 산학협력단 반사 방지 필름

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002156508A (ja) * 2000-11-21 2002-05-31 Fuji Photo Film Co Ltd 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2003075604A (ja) * 2001-09-03 2003-03-12 Nitto Denko Corp 反射防止防眩フィルムおよびその製造方法、光学素子、画像表示装置
JP2003311911A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Nitto Denko Corp 複層フィルムの製造方法、反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP2003322703A (ja) * 2002-05-02 2003-11-14 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルムおよびその形成方法、偏光板、画像表示装置
JP2004004777A (ja) * 2002-04-24 2004-01-08 Dainippon Printing Co Ltd 防眩性フィルム、偏光素子、および画像表示装置
JP2004069867A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Dainippon Printing Co Ltd 低反射フィルム

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3093427B2 (ja) * 1992-03-30 2000-10-03 日本写真印刷株式会社 低反射シート
JPH06119888A (ja) * 1992-10-06 1994-04-28 Nippon Electric Glass Co Ltd 陰極線管用パネル

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002156508A (ja) * 2000-11-21 2002-05-31 Fuji Photo Film Co Ltd 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2003075604A (ja) * 2001-09-03 2003-03-12 Nitto Denko Corp 反射防止防眩フィルムおよびその製造方法、光学素子、画像表示装置
JP2004004777A (ja) * 2002-04-24 2004-01-08 Dainippon Printing Co Ltd 防眩性フィルム、偏光素子、および画像表示装置
JP2003311911A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Nitto Denko Corp 複層フィルムの製造方法、反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP2003322703A (ja) * 2002-05-02 2003-11-14 Fuji Photo Film Co Ltd 反射防止フィルムおよびその形成方法、偏光板、画像表示装置
JP2004069867A (ja) * 2002-08-05 2004-03-04 Dainippon Printing Co Ltd 低反射フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005345983A (ja) 2005-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4174344B2 (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、光学素子および画像表示装置
JP3879657B2 (ja) 反射防止層用硬化性樹脂組成物、反射防止層、反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP3980423B2 (ja) ハードコートフィルム、その製造方法、光学素子および画像表示装置
TW520445B (en) Optical diffusing layer, optical diffusing sheet, and optical element
KR100676658B1 (ko) 광확산성 시트, 광학소자 및 화상 표시장치
JP4429862B2 (ja) ハードコートフィルム、反射防止ハードコートフィルム、光学素子および画像表示装置
JP3953922B2 (ja) 反射防止フィルム、光学素子および表示装置
JP4526126B2 (ja) ハードコートフィルム及びその製造方法
JP2003161816A (ja) 光拡散性シート、光学素子および表示装置
WO2003100477A1 (fr) Feuille diffusant la lumiere, element optique et unite d'affichage d'image
JP4169268B2 (ja) 被膜シートの製造方法、光学機能層、光学素子および画像表示装置
JP2004294601A (ja) 反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP2003344608A (ja) 反射防止フィルム、光学素子および表示装置
JP4014133B2 (ja) 反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP4212020B2 (ja) 反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP2006010724A (ja) 光拡散性防眩フィルム
JP4553237B2 (ja) 防眩性反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置
JP4010542B2 (ja) 光拡散性シート、光学素子および画像表示装置
JP2006218449A (ja) ハードコートフィルムの製造方法、ハードコートフィルム、光学素子および画像表示装置
JP2005017707A (ja) 反射防止フィルム、偏光板、光学素子および画像表示装置
JP4236237B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2004061601A (ja) 被膜シートの製造方法、反射防止シートの製造方法、反射防止シート、光学素子および画像表示装置
JP3849920B2 (ja) 光拡散層、光拡散性シート、光学素子および画像表示装置
JP2004004644A (ja) 光拡散性シート、光学素子および画像表示装置
JP4521852B2 (ja) 光拡散性シート、光学素子および表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061106

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090819

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100707

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100708

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130723

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4553237

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160723

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees