JP4014133B2 - 反射防止フィルム、光学素子および画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、EL、PDPなどの表示装置において画面の視認性の低下を抑えるために用いられている反射防止フィルム、当該反射防止フィルムが設けられている光学素子に関する。また当該反射防止フィルムまたは光学素子が装着されている画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは近年の研究開発によりディスプレイとしての確固たる地位を確保しつつある。しかし、明るい照明下での使用頻度の高いカーナビゲーション用モニターやビデオカメラ用モニターは表面反射による視認性の低下が顕著である。そのため液晶パネルに用いる偏光板には反射防止処理を施すことが必要不可欠になりつつあり、屋外使用頻度の高い液晶ディスプレイのほとんどには反射防止処理を施した偏光板が使用されている。
【0003】
反射防止フィルムの構成は、通常、基材となる透明基板/ハードコート性付与のための樹脂層/低屈折率の反射防止層からなる構成となっている。かかる反射防止フィルムにおいて、反射率の観点からハードコート層には高屈折率が求められ、反射防止層にはより低い屈折率が求められる。前記反射防止層を形成する低屈折率材料としては、低反射性や防汚染性(指紋、汗脂等の人的な汚れの付き難さや拭き取り易さ)の観点からフッ素含有化合物が用いられている。しかし、フッ素含有化合物はその撥水性からマイナス電荷に帯電しやすい。そのため、これを反射防止層の低屈折率材料に用いると、反射防止層に埃が付着しやすく、また付着した埃を拭き取り難いという問題がある。
【0004】
また、特開平11−326602号には、透明基材フィルム上に、透明導電性層、ハードコート層および低屈折率層をこの順で積層した低反射帯電防止ハードコートフィルムが提案されている。しかし、この低反射帯電防止ハードコートフィルムでは、ハードコート層および低屈折率層の他に、帯電防止効果を付与するために透明導電性層を別途に設けなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明基板の片面に、ハードコート層および反射防止層が、この順に透明基板側から積層されている反射防止フィルムであって、帯電防止効果を有し、防汚染性に優れた反射防止フィルムを提供することを目的とする。また、当該反射防止フィルムが設けられている光学素子を提供することを目的とする。また当該反射防止フィルムまたは光学素子が装着されている表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す反射防止フィルムにより前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明は、透明基板の片面に、ハードコート層およびハードコート層より低い屈折率材料よりなる反射防止層が、この順に透明基板側から積層されている反射防止フィルムにおいて、前記ハードコート層は、ウレタン系樹脂100重量部に対して、平均粒子径1〜10μmの微粒子を5〜15重量部を含有してなるもので形成されており、かつ、平均粒子径1〜10μmの微粒子が、金メッキを施した導電性微粒子であり、前記ハードコート層の表面は凹凸形状になっており、さらに前記ハードコート層の表面抵抗率が1×1011Ω/□以下であることを特徴とする反射防止フィルム、に関する。
【0008】
上記本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層として、表面抵抗率が1×1011Ω/□以下のものを形成することにより、ハードコート層を高導電性層とすることで、反射防止フィルムに帯電防止効果を付与しており防汚染性がよく、埃付着性を低下させ、また埃拭き取り性を向上させている。このように本発明ではハードコート層が高導電性層となっているため、ハードコート層の他に別途導電性層を設ける必要がなく、またハードコート層は帯電しやすい低屈折率の反射防止層に接しており帯電防止効果に優れる。ハードコート層の表面抵抗率は低いほど好ましく、1×1010Ω/□以下、さらには1×109 Ω/□以下であるのが好ましい。なお、表面抵抗率は、JIS K6911に準拠した電極であるデジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト製)により測定した値である。また本発明の反射防止フィルムは、透明性に優れも優れる。一般的に反射防止フィルムの光透過率は80%以上であることが好ましい。
【0009】
前記反射防止フィルムのハードコート層は、ウレタン系の樹脂により形成されている。ウレタン系の樹脂は、透明性がよく、また皮膜強度が強くハードコート層としての耐擦傷性に優れる。また、ウレタン系の樹脂としては、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂がよく、硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく樹脂皮膜層を形成することができる。
【0010】
前記反射防止フィルムにおいて、反射防止層が、フッ素含有化合物により形成されていることが好ましい。低反射性や防汚染性の点から、反射防止層の低屈折率材料として、フッ素含有化合物が好ましく用いられる。従来、フッ素含有化合物を反射防止層の形成材料として用いると防汚染性に問題があったが、本発明では、前記の通り高導電性のハードコート層を形成しているため、フッ素含有化合物により反射防止層を形成した場合にも防汚染性が良好である。
【0011】
前記反射防止フィルムにおいて、ハードコート層中に、導電性微粒子を分散含有させることができる。ハードコート層に導電性微粒子を分散させることにより、ハードコート層を効率よく高導電性層とすることができ、反射防止層の帯電に対する防汚染性を改善することができる。
【0012】
前記反射防止フィルムのハードコート層の表面は凹凸形状となっている。ハードコート層の表面を凹凸形状とすることにより、反射防止能の反射防止効果に加え、光拡散性を付与した反射防止防眩性フィルムとすることができる。
【0013】
また本発明は、前記反射防止フィルムが、光学素子の片面又は両面に設けられていることを特徴とする光学素子に関する。本発明の反射防止フィルムは各種の用途に用いることができ、たとえば、偏光板等の光学素子に用いられる。
【0014】
さらに本発明は、前記反射防止フィルムまたは前記光学素子を装着した表示装置に関する。本発明の反射防止フィルム、光学素子は各種の用途に用いることができ、たとえば、画像表示装置の最表面等に設けられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、参考例に係わり、透明基板1上のハードコート層2の表面に反射防止層3が積層された反射防止フィルムである。図2は、本発明の反射防止フィルムであり、ハードコート層2の表面を凹凸形状としている。ハードコート層2の表面凹凸形状は、ハードコート層2中に分散させた微粒子4により形成されている。なお、図2ではハードコート層2を透明基板1上に一層積層しているが、ハードコート層2は複数設けることもできる。
【0016】
透明基板1は、可視光の光線透過率に優れ(光透過率90%以上)、透明性に優れるもの(ヘイズ値1%以下)であれば特に制限はない。透明基板1としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。偏光板の保護フィルムの観点よりは、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン構造を有するポリオレフィンなどが好適である。
【0017】
透明基板1の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
【0018】
ハードコート層2はハードコート性に優れ、皮膜形成後に十分な強度を持ち、光透過率の優れたものであり、簡単な加工操作にて効率よくハードコート層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0019】
ウレタン系の紫外線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0020】
前記ハードコート層2には、これを前記所定の表面抵抗率に調節するために、導電性微粒子を分散させることができる。前記導電性微粒子としては、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、AZO(酸化アンチモン/酸化亜鉛)、金コロイド、銀コロイド等を用いるのが好ましい。これら導電性微粒子は、一般的に、平均粒子径0.1μm以下の超微粒子であり、これら導電性超微粒子は、前記ハードコート層を形成する樹脂100重量部に対して50〜900重量部程度が好ましく、さらには100〜800重量部含有させるのが好ましい。
【0021】
ハードコート層2の表面は凹凸形状にして防眩性を付与する。表面に凹凸形状を形成する方法は、図2のようにハードコート層2に微粒子4を分散含有させて凹凸形状を付与する方法があげられる。凹凸表面の形成性等の観点より、微粒子4を分散含有するハードコート層2を設ける方法が好ましい。
【0022】
微粒子4としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスティックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化カルシウムや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。また、微粒子としては上記粒子に金メッキを施し、導電性を付与したものを用いることができる。なお、これらの形状は特に制限されずビーズ状の球形であってもよく、粉末等の不定型のものであってもよい。これら微粒子4は1種または2種以上を適宜に選択して用いる。微粒子の平均粒子径は1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。また、微粒子には、屈折率制御や、導電性付与の目的で、金属酸化物の超微粒子などを分散、含浸しても良い。微粒子4の割合は、微粒子4の平均粒子径、ハードコート層の厚さ等を考慮して適宜に決定されるが、樹脂100重量部に対して、5〜15重量部である。
【0023】
前記ハードコート層2の形成には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を用いることができる。チクソトロピー剤を用いると、微細凹凸構造表面における突出粒子の形成に有利である。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ、スメクタイト等があげられる。
【0024】
ハードコート層2の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記透明基板1上に、樹脂(微粒子4を含有する)を塗工し、乾燥後、硬化処理する。微粒子4を含有することで表面に凹凸形状を呈するようなハードコート層2を形成する。前記樹脂の塗工は、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の適宜な方式で塗工される。なお、塗工にあたり、前記樹脂は、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等の一般的な溶剤で希釈してもよく、希釈することなくそのまま塗工することもできる。また、ハードコート層2の厚さは特に制限されないが、1.5〜8μm程度、特に2〜6μmとするのが好ましい。
【0025】
ハードコート層2の表面には反射防止層3が積層される。反射防止層3は前記ハードコート層2よりも低い屈折率材料よりなる。ハードコート層2の屈折率は特に制限されないが、通常、1.49〜1.70程度である。反射防止層3の材料はハードコート層2よりも屈折率の低いものであれば特に制限されない。反射防止層3を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン、チタンテトラエトキシド等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等があげられる。また、それぞれの材料は、表面の防汚染性付与するためフッ素基を含有する化合物を選択するものが好ましい。耐擦傷性の面からは、無機成分含有量が多い低屈折率層材料が優れる傾向にあり、特にゾル−ゲル系材料が好ましい。反射防止層3の屈折率は1. 35〜1. 49であるのが好ましい。反射防止層3の形成法は、特に制限されず、適宜な方式にてハードコート層2の表面に施されるが、簡易なコーティング法により行うことが好ましい。例えば、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、デイッピング法等の適宜な方式にて形成することができる。反射防止層3の厚さは特に制限されないが、50〜500nm、さらには50〜200nmであるのが好ましい。
【0026】
また、前記図2の反射防止フィルムの透明基板1には、光学素子を接着することができる(図示せず)。
【0027】
光学素子としては、偏光子があげられる。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フイルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フイルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フイルム等の親水性高分子フイルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フイルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フイルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0028】
ポリビニルアルコール系フイルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フイルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フイルムを水洗することでポリビニルアルコール系フイルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フイルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0029】
前記偏光子は、通常、片側または両側に透明保護フイルムが設けられ偏光板として用いられる。透明保護フイルムは透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フイルムとしては前記例示の透明基板と同様の材料のものが用いられる。前記透明保護フイルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フイルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フイルムを用いてもよい。前記反射防止フィルムを、偏光子 (偏光板)の片側または両側に設ける場合、反射防止フィルムの透明基板は、偏光子の透明保護フイルムを兼ねることができる。
【0030】
その他、透明保護フイルムの偏光子を接着させない面は、ハードコート層やスティッキング防止や目的とした処理を施したものであってもよい。ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フイルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。なお、前記ハードコート層、スティッキング防止層等は、透明保護フイルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フイルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0031】
光学素子としては、実用に際して、前記偏光板に、他の光学素子(光学層)を積層した光学フイルムを用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2 や1/4 等の波長板を含む)、視角補償フイルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フイルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フイルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0032】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ、前記透明保護フイルム等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0033】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フイルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
【0034】
反射板は前記偏光板の透明保護フイルムに直接付与する方式に代えて、その透明フイルムに準じた適宜なフイルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フイルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0035】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0036】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1 /4 波長板(λ/4 板とも言う)が用いられる。1 /2 波長板(λ/2 板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0037】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフイルムを延伸処理してなる複屈折性フイルムや液晶ポリマーの配向フイルム、液晶ポリマーの配向層をフイルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0038】
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フイルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0039】
視角補償フイルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフイルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フイルム、液晶ポリマー等の配向フイルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフイルムが用いられるのに対し、視角補償フイルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフイルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フイルムのような二方向延伸フイルムなどが用いられる。傾斜配向フイルムとしては、例えばポリマーフイルムに熱収縮フイルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフイルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0040】
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフイルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0041】
偏光板と輝度向上フイルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フイルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フイルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フイルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フイルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フイルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フイルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フイルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フイルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フイルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フイルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0042】
前記の輝度向上フイルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フイルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フイルムやその配向液晶層をフイルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0043】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フイルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フイルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0044】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フイルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0045】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0046】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0047】
前記光学素子への反射防止フィルムの積層、さらには偏光板への各種光学層の積層は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても行うことができるが、これらを予め積層したものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0048】
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フイルム等の光学素子の少なくとも片面には、前記反射防止フィルムが設けられているが、反射防止フィルムが設けられていない面には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0049】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0050】
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0051】
偏光板、光学フィルム等の光学素子への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で光学素子上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを光学素子上に移着する方式などがあげられる。粘着層は、各層で異なる組成又は種類等のものの重畳層として設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0052】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフイルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0053】
なお本発明において、上記した光学素子を形成する偏光子や透明保護フイルムや光学層等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0054】
本発明の反射防止フィルムを設けた光学素子は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学素子を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0055】
液晶セルの片側又は両側に前記光学素子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学素子は液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0056】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0057】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0058】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0059】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0060】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0061】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0062】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0063】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0064】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。
【0065】
参考例1
ウレタンアクリレート系樹脂100重量部および紫外線重合開始剤(ベンゾフェノン)3部に、ATO100重量部を分散させ、メチルエチルケトンにて固形分40%に希釈して溶液を調製した。当該メチルエチルケトン溶液を、トリアセチルセルロースフィルム(厚み80μm)上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、溶媒乾燥後に低圧UVランプにて紫外線照射し5μm厚みのハードコート層を形成した。ハードコート層の表面抵抗率は、1×1011Ω/□であった。またハードコート層の屈折率は1.54であった。
【0066】
このハードコート層上に、固形成分約1%のフッ素系ポリマー(アルキルトリメトキシシラン(トリメトキシペルフルオロシラン))よりなる塗工液を、塗工し、乾燥・硬化処理を行い乾燥後の厚みが100nmの厚さになるように反射防止層を形成し、反射防止フィルムを得た。反射防止層の屈折率は1.39であった。
【0067】
実施例1
参考例1において、ハードコート層を形成するメチルエチルケトン溶液として、ウレタンアクリレート系樹脂100重量部に対して5重量部の金メッキを施した平均粒子径2μmのシリカビーズをさらに添加したものを用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、表面が凹凸形状のハードコート層を形成した。ハードコート層の表面抵抗率は、1×1011Ω/□であった。またハードコート層の屈折率は1.54であった。次いで、参考例1と同様にして反射防止層を形成し、反射防止フィルムを得た。
【0068】
参考例2
参考例1において、ATOの含有量を200重量部としたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、表面が凹凸形状のハードコート層を形成した。ハードコート層の表面抵抗率は、1×1010Ω/□であった。またハードコート層の屈折率は1.56であった。次いで、参考例1と同様にして反射防止層を形成し、反射防止フィルムを得た。
【0069】
比較例1
参考例1において、ハードコート層を形成するメチルエチルケトン溶液として、ATOを分散含有させていないものを用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、ハードコート層を形成した。ハードコート層の表面抵抗率は、1×1014Ω/□以上であった。またハードコート層の屈折率は1.51であった。次いで、参考例1と同様にして反射防止層を形成し、反射防止フィルムを得た。
【0070】
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
(反射率)
島津製作所製UV2400の傾斜積分球付分光光度計を用いて全反射率(%)を測定した。
【0072】
(光透過率)
島津製作所製UV2400の傾斜積分球付分光光度計を用いて光透過率(%)を測定した。
【0073】
(埃拭き取り性)
反射防止フィルムの反射防止層の表面に、ちり紙などの微小ね埃を強制的に散りばめた後、綿添付白布で拭き取る作業を行い、その拭き取り性を以下の基準で判定した。
【0074】
○:1回の拭き取り作業で殆どの埃が取れる。
×:2回以上の拭き取り作業で埃が残る。
【0075】
(防眩性)
防眩性を以下の基準で判定した。60°光沢度は、JIS K7105−1981に準じて、スガ試験機(株)製(デジタル変角光沢計UGV−5DP)を用いて測定した。
○:60°の光沢度が85%未満。
×:60°の光沢度が85%以上。
【0076】
【表1】
上記結果に示すとおり参考例、実施例の反射防止フィルムは、低反射率で透明性がよく、また反射防止層にフッ素系化合物を用いた場合にも拭き取り性(防汚染性)が良好である。また実施例1のようにハードコート層表面を凹凸形状とすることで、防眩性を付与できる。また、参考例1および実施例1の反射防止フィルムを偏光板の保護層(保護フィルム)として用いたところ、上記特性を維持した、実用性の高い反射防止機能付きの偏光板が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の反射防止フィルムの断面図の一例である。
【図2】本発明の反射防止フィルムの断面図の一例である。
【符号の説明】
1:透明基板
2:ハードコート層
3:反射防止層
4:微粒子
Claims (5)
- 透明基板の片面に、ハードコート層およびハードコート層より低い屈折率材料よりなる反射防止層が、この順に透明基板側から積層されている反射防止フィルムにおいて、前記ハードコート層は、ウレタン系樹脂100重量部に対して、平均粒子径1〜10μmの微粒子を5〜15重量部を含有してなるもので形成されており、かつ、平均粒子径1〜10μmの微粒子が、金メッキを施した導電性微粒子であり、前記ハードコート層の表面は凹凸形状になっており、さらに前記ハードコート層の表面抵抗率が1×1011Ω/□以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 前記ハードコート層は、ウレタン系樹脂100重量部に対して、平均粒子径0.1μm以下の導電性超微粒子を50〜900重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
- 反射防止層が、フッ素含有化合物により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルムが、光学素子の片面又は両面に設けられていることを特徴とする光学素子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項4記載の光学素子を装着した画像表示装置。
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