JP2010064013A - 積層フィルムの製造方法、積層フィルムの製造装置 - Google Patents

積層フィルムの製造方法、積層フィルムの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材フィルム上に硬化樹脂層を備える積層フィルムであって、十分な表面硬度を備え、かつ、カールが少なく、しわの少ない積層フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】連続で搬送される基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液を塗布し、基材フィルム上に塗膜を形成する工程と、連続で搬送される基材フィルム上の塗膜を乾燥する工程と、連続で搬送される基材フィルム上の塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程とを順に備え、該塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程において、連続で搬送される基材フィルムの塗膜面と反対側の面を温調ロールで支持した状態で塗膜面側から塗膜に対して電離放射線が照射され、且つ、前記基材フィルムが前記温調ロールとの抱き角が30°以上90°以下の範囲内で連続搬送されることを特徴とする積層フィルムの製造方法とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイのようなディスプレイの表面を保護する目的で利用される基材フィルムの一方の面に硬化樹脂層を備える積層フィルムに関する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイに用いる光学部材には、基材フィルム上に耐引っ掻き性、擦り傷性を有するハードコート層を備える積層フィルムがディスプレイ表面に設けられる。一般的に基材フィルム上に耐引っ掻き性、擦り傷性を有するハードコート層を形成する技術としては、オルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬化型材料をコーティングする方法、あるいは、多官能アクリレート系の電離放射線硬化性材料をコーティングする方法がある。
近年、このような方法の中で、大面積の加工が容易で生産性に優れる電離放射線硬化型材料を採用し、基材フィルム上に硬化樹脂層をハードコート層として形成する場合が多い。しかしながら、高い鉛筆硬度を得るには硬化樹脂層の層厚を厚くする必要があり、その結果、硬化樹脂層形成後にカールが発生するといった弊害が発生した。
そこで硬化樹脂層の強度を保ちつつカールを抑制する方法として、これまでに幾つかの方法が提案されている。例えば特許文献1では、透明プラスチックフィルム上にビッカーズ硬度を規定した2層のハードコート層を設ける方法が開示されている。また、特許文献2では、平板長尺基材に一方の面にハードコート層を設け、もう一方の面にカール防止層を形成する方法が開示されている。
特開2000−127281号公報 特開2004−250614号公報
しかしながら、これらの方法は何れも工程が2倍となり製造コストが高いという問題があった。また、基材フィルム上に硬化樹脂層を形成するにあっては、ロール・ツー・ロール方式により、連続で搬送される基材フィルム上に硬化樹脂層が形成される。このとき、電離放射線硬化型材料を含む塗膜に電離放射線を照射して硬化させる際に、電離放射線照射により基材フィルム温度が上昇し、得られる積層フィルムにシワが発生するといった問題があった。
本発明にあっては、基材フィルム上に硬化樹脂層を備える積層フィルムであって、十分な表面硬度を備え、かつ、カールが少なく、しわの少ない積層フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1にかかる発明としては、長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に硬化樹脂層を備える積層フィルムの製造方法であって、連続で搬送される基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液を塗布し、基材フィルム上に塗膜を形成する工程と、連続で搬送される基材フィルム上の塗膜を乾燥する工程と、連続で搬送される基材フィルム上の塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程とを順に備え、該塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程において、連続で搬送される基材フィルムの塗膜面と反対側の面を温調ロールで支持した状態で塗膜面側から塗膜に対して電離放射線が照射され、且つ、前記基材フィルムが前記温調ロールとの抱き角が30°以上90°以下の範囲内で連続搬送されることを特徴とする積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項2にかかる発明としては、前記温調ロールの温度が20℃以上80℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項3にかかる発明としては、該塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程において、電離放射線の照射が複数回にわたっておこなわれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層フィルムの製造方法とした。
また、請求項4にかかる発明としては、長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に硬化樹脂層を備える積層フィルムの製造であって、長尺状の基材フィルムを連続で搬送する搬送機構と、基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液を塗布し、塗膜を形成する塗布機構と、塗布機構により塗布形成された塗膜を乾燥する乾燥機構と、塗膜に電離放射線を照射するための電離放射線照射機構を備え、該電離放射線照射機構において搬送される基材フィルムと対向するように温調ロールと電離放射線照射装置が配置され、搬送される基材フィルムと温調ロールの抱き角が30°以上90°以下の範囲となるように温調ロールが配置されていることを特徴とする積層フィルムの製造装置とした。
また、請求項5にかかる発明としては、前記温調ロールが基材フィルム面に対して垂直方向に可動できる移動手段を備えることを特徴とする請求項4記載の積層フィルムの製造装置とした。
本発明の積層フィルムの製造方法を用いて積層フィルムを製造することにより、十分な表面硬度を備え、かつ、カールが少なく、しわの少ない積層フィルムを安価で提供することができた。
本発明の積層フィルムについて説明する。図1に本発明の積層フィルムの説明断面図を示した。
本発明の積層フィルムにあっては、基材フィルム1の少なくとも一方の面に硬化樹脂層2を備える。硬化樹脂層は電離放射線硬化型材料に電離放射線を照射することにより形成され、耐引っ掻き性、擦り傷性を有するハードコート層として作用させることができる。なお、本発明の積層フィルムにあっては、基材フィルム1の両面に硬化樹脂層を備えていてもよい。また、基材フィルム1表面、基材フィルム1と硬化樹脂層2の間、硬化樹脂層2表面に他の機能層を設けても良い。他の機能層としては、反射防止層、導電層、帯電防止層、防汚層、電磁波遮蔽層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層、バリア層等が挙げられる。なお、これらの機能層は単層であってもかまわないし、複数の層であってもかまわない。機能層は、防汚性能を有する反射防止層というように、1層で複数の機能を有していても構わない。また、これらの機能層は、透明基材と防眩層の間に設けても良いし、防眩層上に設けても良い。また、本発明にあっては、各種層間の接着性向上のために、各層間にプライマー層や接着層等を設けても良い。
本発明の積層フィルムにあっては、基材フィルムの厚みは5μm以上80μm以下の範囲内であることが好ましい。基材フィルムの厚みが小さいほど得られる積層フィルムにカール及びシワが発生しやすく、基材フィルムの厚みが80μm以下の場合に本発明の積層フィルムの製造方法を好適に使用できる。一方、厚みが5μmを下回るような基材フィルムは現実的でない。また、硬化樹脂層の厚みは、4μm以上30μm以下の範囲内であることが好ましい。硬化樹脂層の厚みが大きいほど得られる積層フィルムにカール及びシワが発生しやすくなる。硬化樹脂層の厚みが4μmを下回る場合にあっては、十分なハードコート性能汚を有する硬化樹脂層とすることができなくなってしまう。一方、硬化樹脂層の厚みが30μmを超えるような場合にあっては、本発明の積層フィルムの製造方法を用いたとしてもカール及びシワの発生を低減することができなくなる場合がある。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法及び製造装置について説明する。なお、本発明は、以下に記載する各実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
本発明の積層フィルムの製造装置の説明図を図2に示した。本発明の積層フィルムの製造方法にあっては、積層フィルムはロール・ツー・ロール方式により連続的に作製される。長尺状の基材フィルムは、巻き出しロール11から巻き取りロール16まで連続的に搬送され、塗布機構A、乾燥機構B、電離放射線照射機構Cを順に搬送される。このとき、複数のガイドロール17等を用いて基材フィルム1は搬送される。
塗布機構Aにあっては、バックアップロール18に支持された基材フィルム1の一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液がダイヘッド12のリップ先端から吐出され、基材フィルム1上に塗液からなる塗膜が形成される。なお、塗布方法にあっては、ダイヘッド12を用いたダイコーターによる塗布方法に限定されるものではない。ダイコーターのほかにもロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等を用いた塗布方法を使用できる。
乾燥機構Bにあっては、塗布機構Aにより塗布された基材フィルム1上の塗膜に含まれる溶媒を除去することを目的としておこなわれる。乾燥は、塗膜が形成された基材フィルムが乾燥炉13を通過することによりおこなわれる。乾燥は、加熱機構及び/または送風機構によりおこなわれ、乾燥炉13を用いなくてもよい。
電離放射線照射機構Cにあっては、搬送される基材フィルム1と対向するように温調ロール15と電離放射線照射装置14が配置され、搬送される基材フィルム1と温調ロール15の抱き角が30°以上90°以下の範囲となるように温調ロールが配置されて電離放射線が照射される。なお、基材フィルム1と温調ロール15の抱き角とは、基材フィルム1と温調ロール15との接触している部分の角度である。
図3に電離放射線照射機構の説明図を示した。図3(a)、図3(b)は従来の電離放射線照射機構の説明図であり、図3(c)は本発明の電離放射線照射機構の説明図である。
従来、基材フィルム上の電離放射線硬化型材料を含む塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化させる場合、図3(a)に示すようにガイドロールで基材フィルムを直状に支持した状態で電離放射線を照射する方式(フリースパン搬送方式)、または、図3(b)のように大径の温調ロールで基材を支持、冷却しながら電離放射線を照射する方式(ロールサポート搬送方式)が用いられてきた。
図3(a)に示すようなフリースパン搬送方式は、電離放射線照射装置14から照射される電離放射線により基材フィルム1に熱が加えられ、基材フィルム1が変形してしまうという問題があった。これに対し、図3(b)に示すようなロールサポート搬送方式は、温調ロール15を使用することにより電離放射線照射による基材フィルム1の温度上昇を抑えると共に、高速搬送時の基材フィルム1の走行安定性を図るものである。しかしながら、この方式においても、特に幅広の基材フィルムを使用する場合や、高速で基材フィルムを連続搬送する場合には、温調ロール15と基材フィルム1の間に巻き込んだ空気により数μm〜数mmのオーダーで基材フィルム1が浮上し、基材フィルム1の温度コントロールが十分におこなえず、得られる積層フィルムにカールやシワが発生するという問題が生じる。これに対し、基材フィルム搬送時の張力を大きくすれば、基材フィルムの浮上量を低く抑えることが可能であるが、基材フィルムがストレスのかかった状態で温調ロールに拘束されていることから、電離放射線硬化型材料の硬化収縮により基材フィルムのカールが大きくなるという問題があった。
本発明においては、図3(c)に示すように、基材フィルム1は30°以上90°以下の浅い抱き角θで温調ロール15に支持された状態において電離放射線照射装置14により電離放射線が照射される。このように抱き角θが浅くすることにより基材フィルム1と温調ロールの間に入り込んだ空気は基材の幅方向だけでなく、基材の搬送方向からも外に逃げることができるので、比較的低い張力でも基材の浮上量を低く抑えることができ、カールを抑制できる。これに対し、温調ロール15による基材フィルム1の抱き角が30°に満たない場合には、温調ロール15と搬送中の基材フィルム1との接触時間が短くなり、基材フィルムの温度コントロールが困難になり、シワの抑制が困難になる。逆に、温調ロールによる基材フィルムの抱き角が90°を超える場合は、基材の浮上量が大きくなり、基材フィルムの温度コントロールが難しくなり、シワとカールの抑制が困難になる。
本発明者は、電離放射線照射工程において、電離放射線照射装置から電離放射線を照射する際に塗膜面と裏側を温調ロールで支持し、さらには、温調ロールと基材フィルムの抱き角を30°以上60°以下とすることにより、カールやシワの少ない積層フィルムを製造することができることを見出し、本発明に至った。
本発明においては、電離放射線照射工程における温調ロール15の温度は20℃以上80℃以下の範囲内であることが好ましい。温調ロールの温度が80℃を超える場合には、搬送される基材フィルムを加熱することとなり好ましくない。一方、温調ロールの温度が20℃を下回る場合には、結露が発生する可能性があり好ましくない。さらには、温調ロールの温度は30℃以上60℃以下であることが好ましい。
図4に本発明の電離放射線照射機構の別の態様の説明図を示した。本発明にあっては、塗膜に電離放射線を照射する工程が複数回にわたっておこなわれることが好ましい。電離放射線を複数回にわたって照射することにより、カールやしわの発生を低減させることができる。
また、本発明にあっては、温調ロール15が基材フィルム面に対して垂直方向に可動できる移動手段を備えることが好ましい。温調ロールと基材フィルムの抱き角は30°以上90°以下の範囲内で、基材の種類、大きさ、搬送速度や塗液の種類などにより最適値が異なるため調整可能であることが好ましく、温調ロールが基材フィルム面に対して垂直方向に可動できる移動手段を備えることにより抱き角の調整を容易におこなうことができる。
また、本発明にあっては、基材フィルムは張力が30N/m以上200N/m以下の範囲で温調ロールに保持されながら電離放射線照射装置により電離放射線を照射されることが好ましい。張力が200N/mを超える場合にあっては、塗膜の硬化収縮による積層フィルムにカールやシワが発生してしまうことがある。一方、張力が30N/mに満たない場合にあっては、スリップが発生するなど基材フィルムを安定して搬送することができなくとなってしまうことがある。
さらに詳細に本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明の積層フィルムにおける基材フィルムとしては、長尺状のプラスチックフィルムを用いることができる。また、本発明の基材フィルムとしては、プラスチックシートを用いても構わない。具体的には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アクリル、ナイロン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等のフィルムもしくはシートを挙げることができる。本発明においては、特に、ディスプレイ部材として積層フィルムを用いる場合にあっては、トリアセチルセルロース、及び一軸延伸ポリエステルが透明性に優れていることに加えて、光学的に異方性が無い点で好ましく用いることができる。
本発明の硬化樹脂層を形成する電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液において電離放射線硬化型材料としては、アクリレート基を備えるアクリレート材料もしくはメタクリレート基を備えるメタクリレート材料を用いることができる。なお、アクリレート材料もしくメタクリレート材料は、モノマーであってもよく、オリゴマー、ポリマーであってもよい。
電離放射線硬化型材料にあっては、中でも、ウレタン(メタ)アクリレート材料を好適に用いることができる。硬化樹脂層形成材料として、ウレタン(メタ)アクリレート材料を用いることにより、十分な表面硬度を有し、且つ、柔軟性やゴム弾性といったウレタン樹脂の特徴を有し、基材フィルムへの追随性が良好で屈曲性に優れる硬化樹脂層を得ることができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
ウレタン(メタ)アクリレート材料は、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られるが。具体的には、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306I等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を用いることができる。
また、電離放射線硬化型材料としては、単官能の(メタ)アクリレート化合物、2官能の(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等を用いることができる。
前記単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
また、電離放射線硬化型材料としては、ポリエステル(メタ)アクリレート材料、ポリエーテル(メタ)アクリレート材料、エポキシ(メタ)アクリレート材料、シリコーン(メタ)アクリレート材料等を用いることもできる。具体的にはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等がある。
なお、これらの活性エネルギー線硬化型材料は1種類に限定されるものではなく、複数の電離放射線硬化型材料を用いてもよい。
本発明の硬化樹脂層を形成する電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液において溶媒としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、2−ブタノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロペンタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トリクロロエチレン、エチレンクロライド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム等を用いることができる。なお、溶媒は1種類に限定されるものではなく、複数の溶媒を混合して混合溶媒としてもよい。
また、本発明の硬化樹脂層を形成する電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液においては電離法や線硬化型材料と溶媒のほかに他の成分も加えられる。
電離放射線が紫外線である場合には、塗液には光重合開始剤を添加される。ラジカル発生型の光重合開始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2、2、−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類、メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4、4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物などを用いることができる。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
また、塗液には熱可塑性樹脂等を加えることもできる。熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂を加えることにより、基材フィルムと硬化樹脂層との密着性を向上させることができる。また、熱可塑性樹脂を加えることにより、製造される積層フィルムのカールをさらに抑制することができる。
また塗液には、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、硬化剤、表面調整剤などを添加することもできる。以上により、塗液は調整される。
本発明の電離放射線照射工程において、電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源を電離放射線照射装置として用いることができる。また、電離放射線として電子線を用いる場合は、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を電離放射線照射装置として用いることができる。
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
80μmトリアセチルセルロースフィルム基材を基材フィルムとして用い、下記の材料を混合した塗液を、ダイコートにより硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、40℃の温調ロールに抱き角45°、張力150N/mで基材フィルムを保持、搬送しながらメタルハライドランプにより400mJの紫外線を照射しハードコート層を形成した。

・塗液の組成
ウレタンアクリレートUA−306H(共栄社化学社製) 30重量部
アクリルモノマーPE−3A
(ペンタエリスリトールトリアクリレート/共栄社化学社製) 20重量部
イルガキュアー184(光重合開始剤/チバジャパン社製) 2.5重量部
メチルイソブチルケトン 50重量部
BYK−307(表面調整剤/ビックケミー) 0.15重量部
<実施例2>
紫外線照射での温調ロールにおける基材フィルムの抱き角90°をとした以外は実施例1と同様にハードコート層を形成した。
<比較例1>
紫外線照射での温調ロールにおける基材フィルムの抱き角を10°とした以外は実施例1と同様にハードコート層を形成した。
<比較例2>
紫外線照射での温調ロールにおける基材フィルムの抱き角180°とした以外は実施例1と同様にハードコート層を形成した。
<比較例3>
紫外線照射での温調ロールにおける基材フィルムの抱き角を10°、張力300N/mとした以外は実施例1と同様にハードコート層を形成した。
以上の実施例1、2及び比較例1〜3で得られた積層フィルムについて以下の評価をおこなった。
(a)カール・・・50mm×2mmの大きさにカットした積層フィルムの曲率半径Rを測定した。
(b)シワ・・・目視によりシワの発生の有無を中心に評価した。
(表1)に実施例1、2及び比較例1〜3で得られた積層フィルムの評価結果について示す。
Figure 2010064013
このとき、各積層フィルムについて総合評価結果を右欄に示した。
(実施例1)の積層フィルムは、カールが小さく、弱いシワが確認されたものの許容範囲内と評価し、丸印とした。
(実施例2)の積層フィルムは、カールが小さく、また、シワもなく、二重丸評価とした。
(比較例1)の積層フィルムは、カールは小さいものの強いシワが確認され、バツ印評価とした。
(比較例2)の積層フィルムは、(実施例1)、(実施例2)と比較してカールが確認され、また、強いシワが確認されたことからバツ印評価とした。
(比較例3)の積層フィルムは、実施例1)、(実施例2)と比較して大きいカールが確認され、また、弱いシワが確認されたことから三角印評価とした。
以上の評価結果から、温調ロールでの抱き角が小さい方がカールを低く抑えられることができるが、基材フィルムと温調ロールとの接触時間が短くなるため、電離放射線の照射による熱で基材にシワが発生することがわかる。つまり、本発明の示す通り、浅い抱き角で基材フィルムの温度コントロールをおこなうことでカールが低く、シワのない積層フィルムを作製するができることが確認できた。
図1は本発明の積層フィルムの説明断面図である。 図2は本発明の積層フィルムの製造装置の説明図である。 図3(a)、図3(b)は従来の電離放射線照射機構の説明図であり、図3(c)は本発明の電離放射線照射機構の説明図である。 図4は本発明の電離放射線照射機構の別の態様の説明図である。
符号の説明
1 基材フィルム
2 硬化樹脂層
11 巻き出しロール
12 ダイヘッド
13 乾燥炉
14 電離放射線照射装置
15 温調ロール
16 巻き取りロール
17 ガイドロール
18 バックアップロール

Claims (5)

  1. 長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に硬化樹脂層を備える積層フィルムの製造方法であって、
    連続で搬送される基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液を塗布し、基材フィルム上に塗膜を形成する工程と、
    連続で搬送される基材フィルム上の塗膜を乾燥する工程と、
    連続で搬送される基材フィルム上の塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程とを順に備え、
    該塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程において、連続で搬送される基材フィルムの塗膜面と反対側の面を温調ロールで支持した状態で塗膜面側から塗膜に対して電離放射線が照射され、且つ、前記基材フィルムが前記温調ロールとの抱き角が30°以上90°以下の範囲内で連続搬送されることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  2. 前記温調ロールの温度が20℃以上80℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
  3. 該塗膜に電離放射線を照射し硬化樹脂層を形成する工程において、電離放射線の照射が複数回にわたっておこなわれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層フィルムの製造方法。
  4. 長尺状の基材フィルムの少なくとも一方の面に硬化樹脂層を備える積層フィルムの製造であって、
    長尺状の基材フィルムを連続で搬送する搬送機構と、
    基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化型材料と溶媒を含む塗液を塗布し、塗膜を形成する塗布機構と、
    塗布機構により塗布形成された塗膜を乾燥する乾燥機構と、
    塗膜に電離放射線を照射するための電離放射線照射機構を備え、
    該電離放射線照射機構において搬送される基材フィルムと対向するように温調ロールと電離放射線照射装置が配置され、搬送される基材フィルムと温調ロールの抱き角が30°以上90°以下の範囲となるように温調ロールが配置されていることを特徴とする積層フィルムの製造装置。
  5. 前記温調ロールが基材フィルム面に対して垂直方向に可動できる移動手段を備えることを特徴とする請求項4記載の積層フィルムの製造装置。
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