JP4158435B2 - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池、液晶画像表示装置、各種ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ、CRT、PDP等に使用される機能性薄膜を有する光学フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間又はその近傍に基材を位置させ、更に反応ガス及び希ガスを含有する混合ガスを存在させて高周波電圧を印加することにより放電プラズマを発生させてプラズマ処理(以下、単に大気圧プラズマ処理ともいう)することにより、該基材表面に機能性薄膜を形成することが知られている。
【0003】
基材として、例えばガラス等を用いることにより、ガラス表面に反射防止膜等を形成したレンズやメガネとすることができ、基材として透明フィルムを用い、その表面に反射防止膜を設けることにより、CRTや液晶ディスプレイの表面に設置して視認性を向上させる効果を得ることができる。
【0004】
透明フィルムとしては、ポリエステルフィルムが安価で、防湿性及び強靱性に優れることから、好ましい基材として用いられてきており、その表面に反射防止機能等の機能性薄膜を設けた高付加価値フィルムが市販されている。
【0005】
また、表示装置は高精細化、高機能化が求められている。例えば、視認性を改善するため、反射防止性が求められており、反射防止層が形成されたフィルム等を表示装置全面に張り付けることが行われている。フィルムの材質としては、液晶表示装置ではセルロースエステルフィルムが好ましく用いられているが、裂けやすい等取り扱いにくいという欠点があった。そこで、安価で取り扱い性に優れるポリエステルフィルムが用いられる場合があったが、ポリエステル支持体上に直接又は他の層を介して金属酸化物層を設けた場合、製造工程で金属酸化物層に擦り傷が多発するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜厚の均一性に優れ、擦り傷の少ない光学フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0008】
1.少なくともアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を含有し、かつ、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物(含有量をMモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有するポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、金属酸化物層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
【0009】
0.1≦M/P≦5
2.アンチモン化合物を含有し、かつ、マグネシウム化合物(含有量をMgモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有するポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、金属酸化物層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
【0010】
0.1≦Mg/P≦3
3.ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートを有し、かつ、チタン化合物を含有しないポリエステルであることを特徴とする前記1又は2記載の光学フィルム。
【0011】
4.前記活性線硬化樹脂層が、クリアハードコート層または防眩層であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の光学フィルム。
【0012】
5.金属酸化物層が大気圧プラズマ処理によって形成されたことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の光学フィルム。
【0013】
6.ポリエステルフィルムの膜厚が10〜75μmであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の光学フィルム。
【0014】
7.少なくともアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を含有し、かつ、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物(含有量をMモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有する長尺ポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理により連続的に金属酸化物層を設けることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0015】
0.1≦M/P≦5
8.アンチモン化合物を含有し、かつ、マグネシウム化合物(含有量をMgモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有する長尺ポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理により連続的に金属酸化物層を設けることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0016】
0.1≦Mg/P≦3
9.金属酸化物層を設ける前にポリエステルフィルム基材があらかじめガラス転移温度(Tg)以上Tg+180℃以下の温度範囲で熱処理されていることを特徴とする前記7又は8記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
10.前記1〜6のいずれか1項記載の光学フィルムを設けたことを特徴とする表示装置。
【0018】
本発明を更に詳しく説明する。本発明は、ポリエステルフィルムに含まれる元素比率を所定の範囲とすることによって上記問題を解決できることを見いだした。特に大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理によって形成した金属酸化物層で、幅1m以上のポリエステル支持体上であっても均一な金属酸化物層が形成でき、擦り傷の発生が著しく低減された。ポリエステル支持体はプラズマ処理を行う前にあらかじめTg〜Tg+180℃の温度で熱処理しておくことが、更に好ましく、擦り傷が減少する。又、ポリエステル支持体上に活性線硬化樹脂層を設け、その上に直接又は他の層を介して金属酸化物層を形成することで、更に金属酸化物層の擦り傷が減少した。
【0019】
本発明のポリエステルフィルム基材を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)等である。中でもより好ましいポリエステルはPETならびにPEN及びPCであり、特に好ましくはPETである。ここでいう構成されているものとは、共重合体およびポリマーブレンド物であっても良く、全体に占める構成要素の質量比率が50質量%以上のものを指す。
【0020】
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、PENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールから構成されるが、これらを触媒の存在下で適当な反応条件下で結合させることによって重合できる。このとき、適当な1種、または2種以上の第3成分を混合しても良い。適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物であればよく、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものが挙げられる。
【0021】
イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
【0022】
また、グリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
【0023】
本発明のPET樹脂及びフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。さらに好ましくは0.6〜0.7である。固有粘度が0.5未満だとデラミを起こしやすく、0.8を越えると切断性が悪く好ましくない。また固有粘度の異なるものを混合して使用しても良い。混合して使用する場合、用いる樹脂の固有粘度差が0.1以上0.3以下であるものを混合したものが必要である。好ましくは固有粘度差が0.15以上0.2以下である。
【0024】
本発明のPETの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のPETの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステル化合物が挙げられる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
【0025】
次に、本発明で用いるポリエステルフィルム基材の製膜方法について説明する。
【0026】
未延伸シートを得る方法および縦方向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法などにより冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群および/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポリエステルのTgからTg+100℃の範囲内に加熱し、縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常2.5倍〜8倍の範囲である。
【0027】
この際、延伸温度を支持体の表裏で温度差を持たせることで巻きぐせをつき難くすることができる。具体的には、縦延伸の加熱時に、赤外線ヒーター等の加熱手段を片面側に設けることで温度をコントロールすることができる。延伸時の温度差は、好ましく0℃〜40℃、より好ましくは0℃〜20℃である。温度差が40℃より大きくなると、均一に延伸できずにフィルムの平面性が劣化しやすくなり好ましくない。
【0028】
次に、上記の様にして得られた縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tg+120℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍率は通常3〜8倍であり、また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整される。ついで熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg+180℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。このとき、2つ以上の温度で熱固定されることが好ましい。このように2つ以上の温度で熱固定したフィルムは寸法安定性が向上する。
【0029】
また、本発明で用いる基材は寸法安定性の点で弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後に巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80℃〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは、処理温度が100℃〜180℃、更に好ましくは、処理温度が120℃〜160℃の範囲である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1%〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理されたポリエステルフィルムは、好ましい熱寸法変化率のポリエステル基材となる。
【0030】
本発明のポリエステル基材の透明性に関しては、ヘーズが3%以下であることが好ましく、更に好ましくは1%以下である。ヘーズが3%より大きいと光学フィルムに用いられる場合、画像が不鮮明になる。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従って測定したものである。また上記ヘーズは支持体中の金属含有量を以下の条件にすることで得られる。
【0031】
即ち、少なくともアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を含有し、かつ、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物(含有量をMモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)が下式を満足する。
【0032】
0.1≦M/P≦5
又は、アンチモン化合物を含有し、かつ、マグネシウム化合物(含有量をMgモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)が下式を満足する。
【0033】
0.1≦Mg/P≦3
更に、大気圧プラズマ処理による機能性薄膜の形成前の何れかの工程でTg以上Tg+180℃以下の温度範囲で熱処理することにより、更に歩留まりが高く、均一性の高い機能性薄膜を形成することができる。熱処理時間としては、好ましくは0.5〜300秒間である。
【0034】
本発明において、アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物を含有させるための方法は特に限定されないが、例えばアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物をポリエステルの製造工程の任意の段階で添加する方法等を挙げることができ、好ましくはポリエステルの製造が完了する以前の段階で添加する方法がよい。特に好ましくは、重縮合反応の触媒として添加する方法がよい。このようなアンチモン化合物としては、例えば酸化アンチモン、塩化アンチモン、酢酸アンチモンおよび有機アンチモン化合物等を挙げることができ、好ましくは酸化アンチモンもしくは酢酸アンチモンである。さらに、ゲルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマニウム−β−ナフトレート等のゲルマニウムフェノキシド化合物および酢酸ゲルマニウム化合物等を挙げることができ、好ましくは二酸化ゲルマニウムである。これらのゲルマニウムまたはアンチモン化合物は二種以上を併用してもよい。
【0035】
また、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物及びリン化合物を含有させる方法も上述したアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物を含有させる方法に準ずる。
【0036】
本発明のマグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物としては、特に限定されることはないが、例えばこれらの元素の水素化物、アルコラート、酢酸塩、塩化物およびモノカルボン酸塩等を挙げることができ、好ましくは酢酸塩もしくは塩化物である。これらのマグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物は単独で用いる以外に、複数の化合物を併用しても構わない。
【0037】
リン化合物としては特に限定されることはないが、例えばリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸もしくはこれらのエステル、ハーフエステル等を挙げることができる。なかでも亜リン酸、ホスホン酸もしくはこれらのエステル、ハーフエステルが寸法安定性、電気特性および結晶化特性の点で好ましく、さらにはホスホン酸もしくはこのエステル、ハーフエステルが好ましい。これらのリン化合物は単独で用いる以外に複数の化合物を併用しても構わない。
【0038】
一般に光学フィルムに用いられるポリエステルフィルムは10〜300μmの膜厚であり、10〜90μmの薄いフィルムが効果的であるが、本発明においては10〜75μmであることが好ましい。
【0039】
本発明の光学フィルムは、ポリエステルフィルム上に直接又は他の層を介して金属酸化物層を形成することを特徴としているが、樹脂硬化層あるいは他の層を介して形成することがより好ましい。上記のようにして得られたポリエステルフィルム上には、熱硬化樹脂層あるいは活性線硬化樹脂層を形成することが好ましく、特に紫外線硬化樹脂層を設けることが好ましい。尚、これらの層を形成する前にポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理又はグロー放電処理することが好ましい。
【0040】
樹脂硬化層は、種々の機能を有していてもよく、例えば、防眩層やクリアハードコート層であってもよい。樹脂硬化層はエチレン性不飽和結合を有するモノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するモノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂あるいは熱硬化樹脂を硬化させて形成された層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
【0041】
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0042】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0043】
具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0044】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
【0045】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
【0046】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
【0047】
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。
【0048】
上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
【0049】
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0050】
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
【0051】
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することができる。
【0052】
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、あるいはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0053】
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布量は、ウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
【0054】
硬化樹脂層塗布液には、ブロッキングを防止するために、また対擦り傷性等を高めるために、無機化合物あるいは有機化合物の微粒子を加えることもできる。
【0055】
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が好ましく用いられる。二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0056】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹脂、加工ポリスチレン樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0057】
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005μm〜5μmが好ましく0.01〜1μmであることが特に好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、該樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
【0058】
紫外線硬化樹脂層はJIS−B−0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が1〜50nmのクリアハードコート層であっても、Raが0.1〜1μmの防眩層であってもよい。また、紫外線硬化樹脂層の屈折率は1.5〜1.7、好ましくは1.52〜1.65であることが好ましい。
【0059】
本発明では、これらの層の上にプラズマ放電処理によって膜厚ムラが著しく改善された金属酸化物薄膜層を形成することができる。
【0060】
本発明では金属酸化物薄膜層を設ける方法は特に限定されず、塗布、スパッタ、蒸着、CVD法によって形成することができるが、特にCVD中でもプラズマCVDによって形成されたものであることが好ましい。
【0061】
本発明の金属酸化物層を形成する方法としての大気圧もしくはその近傍の圧力下のプラズマ放電処理は、下記のごときプラズマ放電処理装置を用いることによって行われる。
【0062】
図1は、本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【0063】
図1においては、この装置は一対の回転電極10Aと10Bを有し、回転電極10Aと10Bには、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源80が電圧供給手段81、82を介して接続されている。
【0064】
回転電極10Aと10Bはポリエステルフィルムを巻き回しながら搬送するもので、ロール電極もしくはベルト状の電極であることが好ましく、図1ではロール電極を示している。
【0065】
これらの回転電極間の間隙(電極間隙)は放電が行われる場所であり、ポリエステルフィルムFが搬送できる間隔に設定されいる。この電極間の間隙が放電部50となる。
【0066】
この電極間隙は大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下に維持されており、ここに反応ガス供給部30より反応ガスGが幅手方向に均一に供給され、ポリエステルフィルムF表面がプラズマ放電処理される。
【0067】
ここで、元巻きロールから巻き出されたポリエステルフィルムFまたは前工程から搬送されてくるポリエステルフィルムFがガイドロール20を経て、まず、移送方向に回転する回転電極10Aに接しながら移送され、放電部50を通過して、ポリエステルフィルムFの表面に薄膜が形成される。
【0068】
一旦放電部50から出たポリエステルフィルムFは、Uターンロール11A〜11DでUターンされて、今度は、ポリエステルフィルムFは回転電極10Aと反対方向に回転している回転電極10Bに接しながら移送され、再び前記放電部50を通過して、先ほど薄膜が形成されたポリエステルフィルムFの表面に更にプラズマ放電処理され薄膜が形成される。Uターンは通常0.1秒〜1分程度で行なわれる。
【0069】
処理に使用された反応ガスGはガス排出口40より反応後の排ガスG′として排出される。排ガスG′に含まれるパーティクルや分解生成物はフィルターや活性炭処理により取り除かれ、希ガスは回収再利用することもできる。
【0070】
図ではポリエステルフィルムF上に形成された薄膜は省略してある。表面に薄膜が形成されたポリエステルフィルムFは、ガイドローラ21を介して次工程または巻き取りロール(図示してない)方向に搬送される。
【0071】
従って、ポリエステルフィルムFは回転電極10A、10Bに密着した状態で放電部50を往復してプラズマ放電処理されることとなる。
【0072】
なお、図示してないが、回転電極10Aと10B、ガイドロール20、21、Uターンロール11A−11D、反応ガス供給部30、ガス排出口40等の装置は外界と遮断するプラズマ放電処理容器内に囲まれて納められていることが好ましい。
【0073】
また、図示してないが、必要に応じて、回転電極10A、と10Bの温度制御をするための温度制御用媒体が循環され、各々の電極表面温度を所定の値に制御するようになっている。通常、常温〜200℃、好ましくは50〜120℃に制御されることが好ましく、特に60〜100℃に制御されることが好ましい。電極表面温度の変動や幅手ムラは±1℃以内であることが好ましく、特に±0.1℃以内であることが好ましい。
【0074】
図2は本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに有用な回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【0075】
回転電極110とそれに対向して配置された複数の固定電極111を有し、図示されていない元巻きロールまたは前工程からから搬送されて来るポリエステルフィルムFがガイドロール120、ニップロール122を経て回転電極110に導かれ、ポリエステルフィルムFは回転電極110に接した状態で回転電極110の回転と同期しながら移送され、大気圧もしくはその近傍の圧力下にある放電部150に反応ガス発生装置131で調製された反応ガスGが給気管130から供給され、固定電極111に対向しているポリエステルフィルム面に薄膜が形成される。
【0076】
回転電極110と固定電極には、プラズマ放電を発生させるための電圧を印加できる電源180が電圧供給手段181、182を介して接続されている。
【0077】
また、回転電極110、固定電極111、放電部150はプラズマ放電処理容器190で覆われ、外界と遮断されている。処理された排ガスG′は処理室の下部にあるガス排気口140から排出される。
【0078】
プラズマ放電処理されたポリエステルフィルムFはニップロール123及びガイドロール121を経て次工程または図示してない巻き取りロールへ搬送される。
【0079】
ポリエステルフィルムFがプラズマ放電処理容器の出入り部分のニップロール122及び123のところに外界との仕切板124及び125が設けられており、外界からニップロール122と共にポリエステルフィルムFに同伴して来る空気を遮断し、また出口においては、反応ガスGまたは排ガスG′が外界に漏れないようになっている。なお、図示してないが、必要に応じて、回転電極110及び固定電極111は温度調節のための温度制御された媒体を循環するようになっており、図1の回転電極10A、10Bと同様に温度制御することができる。
【0080】
このように、本発明において、薄膜が形成されるポリエステルフィルムは回転電極上で移送しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0081】
回転電極がポリエステルフィルムと接する表面は高い平滑性が求められ、回転電極の表面の表面粗さがJIS−B−0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下である。また、回転電極上のゴミ、異物、パーティクル等は形成する薄膜の欠陥の原因となるため、粘着ロール、ブラシ、エアブロア等によって除去することが望まれる。
【0082】
用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙げることができる。
【0083】
特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、チタン合金等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
【0084】
また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0085】
本発明において、電極はその裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度及びポリエステルフィルムの温度を制御することが好ましい。
【0086】
媒体としては、蒸留水、油特にシリコンオイル等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0087】
放電処理の際のポリエステルフィルムの温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃以下が好ましく、より好ましくは50〜120℃以下であり、更に好ましくは60〜110℃である。
【0088】
放電処理の際にポリエステルフィルム面の特に幅手方向で温度ムラが生じないようにすることが望ましく、±5℃以内とすることが好ましく、より好ましくは±1℃以内であり、特に好ましくは±0.1℃以内である。
【0089】
本発明において、電極間隙は固体誘電体の厚さ、印加電圧や周波数、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電プラズマを発生させるという観点から0.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。
【0090】
本発明において、電極間隙の放電部には、ガス発生装置で発生させた混合ガスを流量制御して、反応ガス供給口よりプラズマ放電部に導入される。反応ガスの濃度、流量、温度等は適宜調整されるが、ポリエステルフィルムの搬送速度に対して十分な速度で処理用ガスを電極間隙に供給することが好ましい。例えば、幅手方向1cmあたり0.1〜200L/minの流量で反応ガスを供給することが好ましい。放電部では供給した反応ガスのほとんどが反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件が設定するのが望ましい。
【0091】
放電部に大気が混入したり、反応ガスが装置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中のポリエステルフィルムは全体を囲むことが好ましい。本発明において、放電部の気圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持される。
【0092】
ここで大気圧近傍とは、20〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93〜110kPaが好ましい。装置外の大気圧力に対して、放電部がやや陽圧であることが好ましくプラズマ装置外の大気圧力+0.1kPa〜5kPaであることがより好ましい。
【0093】
本発明に有用なプラズマ放電処理装置では、一方の電極は電源に接続して電圧を印加し、もう一方の電極はアースに接地し放電プラズマを発生させることが安定したプラズマを発生させるために好ましい。
【0094】
本発明で用いる高周波電源より電極に印加する電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、印加する周波数は1kHz〜150MHzに調整し、波形をパルス波であってもサイン波としてもよい。特に周波数を100kHzを超えて50MHz以下とすることが好ましい放電部(放電空間)が得られるため好ましい。
【0095】
放電部における放電密度は5〜1000W・min/m2であることが好ましく、特に50〜500W・min/m2であることが望ましい。
【0096】
プラズマ放電処理部はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等で適宜囲まれていることが望ましく、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。また、放電部や回転電極の側面部、ポリエステルフィルム搬送部等の側面を囲むことによって、反応ガスや排ガスを適切に放電部に供給したり排気することもできる。
【0097】
本発明の金属酸化物薄膜層の形成方法に用いる反応ガスについて説明する。
薄膜層を形成するための反応ガスは、窒素もしくは希ガスを含むことが好ましい。つまり、反応ガスは窒素もしくは希ガスと後述の反応性ガスの混合ガスであることが好ましい。ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の各元素を挙げることができるが、本発明においては、中でもヘリウム元素、アルゴン元素を好ましく用いることができる。反応ガス中の希ガスの濃度は90%以上であることが安定したプラズマ放電を発生させるために好ましく、90〜99.99体積%であることが望ましい。希ガスは安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、該プラズマ中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、基材表面に堆積あるいは付着するなどして薄膜が形成される。
【0098】
本発明では、様々な反応性ガスを用いることによって、様々な機能を持った薄膜をポリエステルフィルム上に形成することができる。例えば、反応性ガスとして、フッ素含有有機化合物、珪素化合物を用いての低屈折率層を形成することもでき、反射防止層に利用することができる。
【0099】
また、有機金属化合物、金属水素化合物、金属ハロゲン化物を用いて、これらの金属酸化物層(金属酸化物窒化物層も含む)または金属窒化物層等を形成することができ、これらの層は反射防止層の中屈折率層又は高屈折率層としたり、あるいは導電層又は帯電防止層とすることもできる。特に金属酸化物層が好ましく用いられる。
【0100】
また、フッ素含有有機化合物で防汚層や低屈折率層を形成することもでき、珪素化合物でガスバリア層や低屈折率層、防汚層を形成することもできる。本発明は、高、中屈折率層と低屈折率層を交互に多層を積層して形成される反射防止層の形成に特に好ましく用いられる。
【0101】
本発明で形成される金属酸化物層の膜厚としては、1〜1000nmの範囲のものが好ましく得られる。
【0102】
大気圧プラズマ処理では原料ガスにフッ素含有有機化合物を用いることでフッ素化合物含有層を形成することができる。
【0103】
フッ素含有有機化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。具体的には、フッ素含有有機化合物としては、例えば、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物、アルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体等を挙げることができる。これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等の各ガスを挙げることができる。更に一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0104】
また、これらの化合物は分子内にエチレン性不飽和基を有していてもよい。また、上記の化合物は混合して用いてもよい。
【0105】
本発明に有用な反応性ガスにフッ素含有有機化合物を用いる場合、プラズマ放電処理によりポリエステルフィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしてのフッ素含有有機化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましく、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0106】
また、本発明に好ましく用いられるフッ素含有有機化合物が常温常圧で気体である場合は、反応性ガスの成分としてそのまま使用できる。
【0107】
また、フッ素含有有機化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0108】
本発明に有用な反応性ガスとしての珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シラン、四フッ化珪素などの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、などのアルコキシシラン、オルガノシラン等を用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることができる。あるいは別の有機化合物を添加して膜の物性を変化あるいは制御することもできる。
【0109】
本発明において、反応性ガスとして珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ放電処理によりポリエステルフィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしての珪素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0110】
本発明に有用な反応性ガスとしての有機金属化合物としては、特に限定されないが、Al、As、Ag、Au、B、Bi、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Hg、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Pt、Rh、Se、Si、Sn、Ti、Zr、Y、V、W、Zn等の金属酸化物を形成するための金属化合物を挙げることができる。
【0111】
例えば、反射防止層の高屈折率層を形成するには、チタン化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラジメチルアミノチタンなどの有機アミノ金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを挙げることができる。
【0112】
本発明において、前記の珪素化合物、有機金属化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、中でも金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0113】
本発明において、反応性ガスとして有機金属化合物を用いる場合、プラズマ放電処理によりポリエステルフィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしての有機金属化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。また、珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を放電部へ導入するには、両者は常温常圧で気体、液体または固体いずれの状態であっても使用し得る。気体の場合は、そのまま放電部に導入できるが、液体や固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射、噴霧等の気化手段により気化させて使用することができる。
【0114】
珪素化合物、チタン化合物等の金属化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなどのように常温で液体で、且つ、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが本発明の金属酸化物薄膜層の形成する方法に好適である。上記金属アルコキシドは、有機溶媒によって希釈して使用してもよく、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、n−ヘキサンなどの有機溶媒またはこれらの混合有機溶媒を使用することができる。更に、反応ガス中に酸素、オゾン、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、二酸化窒素、一酸化窒素、過酸化水素アンモニア等を0.1〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することができる。
【0115】
以上の方法により酸化珪素、酸化チタン等の非晶性の金属酸化物層を好ましく作製することができる。
【0116】
本発明の光学フィルムは、例えば低屈折率層と高屈折率層を積層した反射防止層を有する光学フィルム又は導電層、帯電防止層を有する光学フィルムである。
【0117】
本発明において、プラズマ放電装置を複数設けることによって、多層の薄膜を連続的に設けることができ、薄膜のムラもなく多層の積層体を形成することができる。
【0118】
例えば、ポリエステルフィルム上に反射防止層を有する光学フィルムを作製する場合、屈折率1.6〜2.6の高屈折率層及び屈折率1.3〜1.5の低屈折率層をポリエステルフィルム表面に連続して積層し、効率的に作製することができる。
【0119】
低屈折率層としては、含フッ素有機化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された含フッ素化合物層、あるいはアルコキシシラン等の有機珪素化合物を用いてプラズマ放電処理により形成された主に酸化ケイ素を有する層が好ましく、高屈折率層としては、有機金属化合物を含むガスをプラズマ放電処理により形成された金属酸化物層、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウムを有する層が好ましい。
【0120】
本発明はこれらに限定されるものではなく、層構成もこれらに限定されるものではない。例えば、最表面にフッ素含有有機化合物ガス存在下で大気圧もしくはその近傍の圧力下でのプラズマ放電処理して防汚層を設けてもよい。あるいは塗布により防汚層を設けてもよい。又はプラズマ放電処理の際に、金属酸化物を還元して金属層を形成してもよい。
【0121】
上記の方法により、本発明においては、多層の薄膜を積層することができ、各層の膜厚ムラもなく、均一な光学フィルムを得ることができる。
【0122】
金属酸化物層等の薄膜の膜厚は、積層体の断面を作製し、透過電子顕微鏡(Transmission Electoron Microscope:以下、TEMと称す)で観察を行うことによって求めることができる。
【0123】
断面の作製は、具体的には積層体を基材と共に電子顕微鏡観察前処理用のエポキシ包埋樹脂に包埋し、ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて、厚さ約0.1μmの超薄切片を作製するか、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置を用いて、積層体表面にGaイオンビームを集束走査し、厚さ約0.1μmの薄片化した断面を切り出すことで作製することができる。
【0124】
TEMによる観察は倍率として50,000〜500,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに記録する。TEMの加速電圧としては、80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0125】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)、「電子顕微鏡Q&A」(アグネ承風社)をそれぞれ参考にすることができる。適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行なうことが好ましい。画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なものであれば特に限定はされないが、一例としてMEDIA CYBERNETICS社(USA)製画像解析ソフトImage−Pro PLUSが挙げられる。
【0126】
画像処理を行なうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって、積層体界面に相当する箇所を抽出し、界面間の幅(Thickness)を計測する。同様にして少なくとも25箇所以上、好ましくは50箇所以上について求めた値から平均膜厚及びその変動を算出することができる。
【0127】
このように、本発明においては様々な機能を有する金属酸化物層を形成した光学フィルムを提供することができる。
【0128】
本発明の光学フィルムは特に反射防止フィルム、導電フィルムとして有用である。又、これを用いて公知の方法で偏光板を作製することもできる。
【0129】
この光学フィルムを有する偏光板や光学フィルムを有する表示装置は視認性に優れており、過酷な環境下であっても優れた表示性能を提供することができたのである。
【0130】
本発明の光学フィルムには必要に応じて、クリアハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、導電層、光拡散層、易接着層、防汚層、電磁波遮蔽層を単独であるいは適宜組み合わせて設けることができる。
【0131】
本発明の光学フィルムは反射防止フィルム、帯電防止フィルム、導電フィルム、電磁波遮蔽フィルム、偏光板等の保護フィルム、光学補償フィルム、偏光板、プラズマディスプレイ前面フィルター等に好ましく用いられる。
【0132】
また、本発明の光学フィルムは反射型、透過型、半透過型液晶表示装置あるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いることができる。
【0133】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0134】
実施例1
〔ポリエステルフィルムの作製〕
(ポリエステルフィルム1、2、3、6、7、9及び10)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部およびエチレングリコール50質量部の混合物に、酢酸マグネシウム二水和物0.06質量部、三酸化アンチモン0.065質量部を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、フェニルホスホン酸ジメチル0.70質量部添加した後、重合反応槽に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して133.3Paの減圧下、290℃で常法により重縮合を行なった。ポリエステル中の金属分析を行なったところ、Mgは65ppm、Pが330ppmおよびSbが540ppm検出され、M/Pを計算したところ0.25であった。該ポリエステルを溶融押出製膜して未延伸フィルムを得た後、常法に従って二軸延伸して5μmのポリエステルフィルム1を得た。
【0135】
同様にして、酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン及びフェニルホスホン酸ジメチルの添加量を変えて表1に示すポリエステルフィルム2、3、6、7、9及び10を得た。
【0136】
(ポリエステルフィルム4、5、8、11〜14)
ナフタレン−2,6−カルボン酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール50質量部とを酢酸亜鉛二水和物0.05質量部を触媒として、常法に従いエステル交換反応せしめたのち、二酸化ゲルマニウムを0.01質量部添加した。次いで、フェニルホスホン酸ジメチルエステル0.15質量部添加したのち、重合縮反応槽に移行した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して、133.3Paの減圧下、290℃で常法に従い重縮合反応を行なった。亜鉛含有量はポリエステルに対して146ppm、リン含有量はポリエステルに対して122ppmでM/Pは0.57であった。該ポリエステルを溶融押出製膜して未延伸フィルムを得た後、常法に従って二軸延伸して厚さ70μmのポリエステルフィルム4を得た。
【0137】
同様にして表1に示す、ポリエステルの種類、使用する金属化合物、およびゲルマニウム化合物、アンチモン化合物の種類、添加量を変えて表1に示すポリエステルフィルム5、8、11〜14を得た。
【0138】
表中
PET:ポリエチレンテレフタレート
PEN:ポリエチレン−2,6−ナフタレート
Mg:酢酸マグネシウム二水和物
Zn:酢酸亜鉛二水和物
Ca:酢酸カルシウム水和物
Ge:二酸化ゲルマニウム
Sb:三酸化アンチモン
をそれぞれ用いたことを示す。
【0139】
実施例2
実施例1で形成したポリエステルフィルム1〜14の上にクリアハードコート層(CHC)又は防眩層(AG)を塗設し、その上にプラズマ処理装置を用いて下記反射防止層を形成し、それぞれ対応する光学フィルム1〜14を得た。ポリエステルフィルムは下記の塗布層を設ける前にコロナ放電処理で濡れ性を改善した後、塗布した。
【0140】
Figure 0004158435
上記を溶媒(酢酸エチル)にてホモジナイザーにより混合して、揮発分濃度60%の均質な分散液を調製した。
【0141】
これをポリエステルフィルムにワイヤーバーコートし、90℃で2分間乾燥させた後、130mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、膜厚3μmの防眩層1を形成した。
【0142】
クリアハードコート層(CHC)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部
光重合開始剤(イルガキュア184 チバガイギー社製) 4部
酢酸エチル 50部
メチルエチルケトン 50部
イソプロピルアルコール 50部
これをポリエステルフィルムにワイヤーバーコートし、90℃で2分間乾燥させた後、130mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、膜厚3μmのクリアハードコート層(CHC)を形成した。
【0143】
〈金属酸化物層の形成〉
上記ポリエステルフィルム上に設けた紫外線硬化樹脂層(AG又はCHC)の上に、大気圧プラズマ処理装置を用いて、第1酸化チタン層(屈折率2.15、平均膜厚15nm)、第1酸化珪素層(屈折率1.46、平均膜厚33nm)、第2酸化チタン層(屈折率2.15、平均膜厚119nm)、第2酸化珪素層(屈折率1.46、平均膜厚86nm)を順に形成した。第2酸化珪素層の表面は下記、酸化珪素層形成用反応ガス2にて汚れ防止性を付与する表面処理を行った。
【0144】
プラズマ放電処理装置の電源は、パール工業製高周波電源を使用し、連続周波数を2MHzとし、放電電極に対し2W/cm2の電力を供給した。回転電極はドライブを用いてポリエステルフィルムの搬送に同期して回転させた。なお、電極間隙は1.4mm、反応ガスの圧力は大気圧+1kPa、反応ガスの温度は80℃として行った。
【0145】
大気圧プラズマ放電処理は図2記載の装置を使用した。回転電極には、内部にシリコンオイルを循環させることによる冷却機能を有するステンレス製ジャケットロール母材を用いた。
【0146】
これにセラミック溶射によりアルミナを1mm被覆し、その上にテトラエトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させて封孔処理を行いRmax、1μmの誘電体を有する回転電極を製作しアース(接地)した。
【0147】
一方、固定電極としては、中空のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、相対する電極群とした。但し、回転電極は、ドライブを用いてポリエステルフィルムの搬送に同期して回転させた。回転電極の表面温度は70℃とした。プラズマ放電処理に用いた反応ガスの組成を以下に記す。
【0148】
(第1及び第2酸化チタン層(高屈折率層)形成用反応ガス)
希ガス(ヘリウム) 99.4体積%
反応ガス(水素ガス) 0.3体積%
反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積%
(第1酸化珪素層(低屈折率層)形成用反応ガス)
希ガス(ヘリウム) 99.4体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.3体積%
反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
(第2酸化珪素層(低屈折率層)形成用反応ガス2)
希ガス(ヘリウム) 99.8体積%
反応ガス(トリメチルエトキシシラン) 0.2体積%
反応ガス(水素ガス) 0.3体積%
得られた光学フィルムの評価結果を表1に示す。
【0149】
(評価方法)
膜厚均一性
積層された金属酸化物層の膜厚測定は、積層体の断面を作製し透過電子顕微鏡により、第1酸化珪素層の膜厚を測定した。測定個所は光学フィルム1m×1mの範囲について25点選んだ。測定基準は以下の通り。
【0150】
◎:膜厚の標準偏差が0.4nm未満
○:膜厚の標準偏差が0.4nm以上0.7nm未満
△:膜厚の標準偏差が0.7nm以上1.5nm未満
×:膜厚の標準偏差が1.5nm以上
得られた結果を表1に示す。尚、第1酸化珪素層の膜厚変動が変動する反射光の色ムラとなりやすく、△以上は実用可能レベルである。
【0151】
擦り傷
得られた金属酸化物層を目視で評価し、1m×1mの範囲の長さ1mm以上の擦り傷の数をカウントした。10個以下は実用可能なレベル。得られた結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
Figure 0004158435
【0153】
表1から、本発明の光学フィルムは、膜厚の均一性に優れ、擦り傷の少ない光学フィルムであることが判る。
【0154】
【発明の効果】
本発明により、膜厚の均一性に優れ、擦り傷の少ない光学フィルム及びその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに用いられるプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の金属酸化物薄膜層を形成するのに有用な回転電極と固定電極を有するプラズマ放電処理装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
F ポリエステルフィルム
G 反応ガス
G′ 排ガス
10A、10B、110 回転電極
11A、11B、11C、11D Uターンロール
20、21 ガイドロール
30 反応ガス供給部
40、140 ガス排気口
50、150 放電部
80、180 電源
81、82、181、182 電圧供給手段
111 固定電極
120、121 ガイドロール
122、123 ニップロール
124、125 仕切板
130 給気管
131 反応ガス発生装置
190 プラズマ放電処理容器

Claims (10)

  1. 少なくともアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を含有し、かつ、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物(含有量をMモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有するポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、金属酸化物層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
    0.1≦M/P≦5
  2. アンチモン化合物を含有し、かつ、マグネシウム化合物(含有量をMgモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有するポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、金属酸化物層を設けたことを特徴とする光学フィルム。
    0.1≦Mg/P≦3
  3. ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートを有し、かつ、チタン化合物を含有しないポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2記載の光学フィルム。
  4. 前記活性線硬化樹脂層が、クリアハードコート層または防眩層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光学フィルム。
  5. 金属酸化物層が大気圧プラズマ処理によって形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光学フィルム。
  6. ポリエステルフィルムの膜厚が10〜75μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルム。
  7. 少なくともアンチモン化合物又はゲルマニウム化合物を含有し、かつ、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、コバルトを含有する化合物の中から選択された少なくとも1種の化合物(含有量をMモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有する長尺ポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理により連続的に金属酸化物層を設けることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    0.1≦M/P≦5
  8. アンチモン化合物を含有し、かつ、マグネシウム化合物(含有量をMgモルとする)とリン化合物(含有量をPモルとする)を下式を満足するように含有する長尺ポリエステルフィルム上に活性線硬化樹脂層を有し、その上に直接又は他の層を介して、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理により連続的に金属酸化物層を設けることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    0.1≦Mg/P≦3
  9. 金属酸化物層を設ける前にポリエステルフィルム基材があらかじめガラス転移温度(Tg)以上Tg+180℃以下の温度範囲で熱処理されていることを特徴とする請求項7又は8記載の光学フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項記載の光学フィルムを設けたことを特徴とする表示装置。
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