JP2000204475A - 傾斜機能材料の製造方法 - Google Patents

傾斜機能材料の製造方法

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JP2000204475A
JP2000204475A JP11005368A JP536899A JP2000204475A JP 2000204475 A JP2000204475 A JP 2000204475A JP 11005368 A JP11005368 A JP 11005368A JP 536899 A JP536899 A JP 536899A JP 2000204475 A JP2000204475 A JP 2000204475A
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discharge
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Motokazu Yuasa
基和 湯浅
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度の真空度を必要とせず、大気圧近傍でプ
ラズマ放電を行うことにより、高速で薄膜を形成できる
傾斜機能材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極
3、4間に基材5を配置し、該対向電極3、4間に電圧
立ち上がり時間が100μs以下、電界強度が1〜10
0kV/cmのパルス状の電圧を印加して、放電プラズ
マ処理を行うに当たり、上記基材の温度を連続的に変化
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜機能材料の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】傾斜機能材料は新しい概念に基づく材料
であり、PVD、CVD等の気相合成法等を利用して製
造された傾斜機能材料は、電気・磁気、光学、化学、生
体・医学、航空・宇宙等の広い分野で応用が望まれてい
る。上記傾斜機能材料は、クラック防止や基材への密着
性の向上手段として効果的であることは公知である。そ
こで、近年、屈折率を連続的に変化させ新しい光学材料
への応用が報告されつつある。
【0003】また、カラーディスプレイの普及に伴い、
高い解像度が要求されており、光の干渉を利用した多層
の蒸着膜やCVD膜を被覆した反射防止機能が付与され
たものが実用化されている。しかし、これらの多層被覆
膜による反射防止膜は、その形成コストが高いため、限
られた高級品種のみに適用されているのが現状であり、
高性能の反射防止膜を低コストで得ることが課題となっ
ている。
【0004】例えば、プラスチック基材上にプラズマC
VD法でハードコート層を形成するにあたり、プラスチ
ック基材と接触する部位の屈折率が基材の屈折率と略等
しく、厚さ方向に向かって連続的に低下させることによ
り反射率を広域にわたり減少させる方法(特開平7─5
6002号公報)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
は、プラズマCVD法でハードコート層を形成するにあ
たり、高度の真空度が必要となり、量産化の妨げになる
ばかりでなく、長尺品に対応できないという欠点があ
り、かつ処理速度が遅いものであった。
【0006】さらに、大気圧近傍でプラズマ放電を行う
と、基材への損傷が大きいため、耐熱性の低い基材上へ
の薄膜形成には適用できなかった。
【0007】本発明は上記の課題を解決し、高度の真空
度を必要とせず、大気圧近傍でプラズマ放電を行うこと
により、高速で薄膜を形成できる傾斜機能材料の製造方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の傾斜機能材料の
製造方法は、大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極間
に基材を配置し、該対向電極間に電圧立ち上がり時間が
100μs以下、電界強度が1〜100kV/cmのパ
ルス状の電圧を印加して、放電プラズマ処理を行うに当
たり、上記基材の温度を連続的に変化させるものであ
る。
【0009】本発明において大気圧近傍の圧力下とは、
100〜800Torrの圧力下を指す。とりわけ、圧
力調整が容易で、装置が簡便になる700〜780To
rrの範囲が好ましい。
【0010】本発明において、一対の対向電極として
は、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮
等の合金、金属間化合物等からなるものが挙げられる。
上記対向電極は、電界集中によるアーク放電の発生を避
けるために、対向電極間の距離が略一定となる構造であ
ることが好ましい。この条件を満たす電極構造として
は、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲
面対向平板型、同軸円筒型構造等が挙げられる。
【0011】本発明において、当該電極の対向面の少な
くとも一方に固体誘電体が設置されている装置において
行うのが好ましいわれる。この場合プラズマが発生する
部位は、上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合
は、固体誘電体と電極の間、上記電極の双方に固体誘電
体を設置した場合は、固体誘電体同士の間の空間であ
る。
【0012】上記固体誘電体の材質としては、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の
プラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化
物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0013】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮し
て決定されるが、1〜50mmであることが好ましい。
1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充
分でない。50mmを超えると、均一な放電プラズマを
発生させることが困難である。
【0014】本発明においては、上記電極間に印加され
る電界がパルス化されたものであり電圧立ち上がり時間
が100μs以下、電界強度が1〜100kV/cm4
0ns〜100μs、電界強度が1〜100kV/cm
となされている。
【0015】図1にパルス電圧波形の例を示す。波形
(A)、(B)はインパルス型、波形(C)は方形波
型、波形(D)は変調型の波形である。図1には電圧印
加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負の
いずれかの極性側に電圧を印加する、いわゆる片波状の
波形を用いてもよい。
【0016】本発明におけるパルス電圧波形は、ここで
挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時間
が短いほどプラズマ発生の際の処理用ガスの電離が効率
よく行われる。パルスの立ち上がり時間が100μsを
超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なもの
となり、パルス電界による高密度プラズマ状態を期待で
きなくなる。また、立ち上がり時間は速いほうがよい
が、常圧でプラズマが発生する程度の大きさの電界強度
を有し、かつ、立ち上がり時間が速い電界を発生させる
装置には制約があり、現実的には40ns未満の立ち上
がり時間のパルス電界を実現することは困難である。よ
り好ましくは立ち上がり時間が50ns〜5μsであ
る。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧変化が
連続して正である時間を指すものとする。
【0017】また、パルス電界の立ち下がり時間も急峻
であることが好ましく、立ち上がり時間と同様の100
μs以下のタイムスケールであることが好ましい。パル
ス電界発生技術によっても異なるが、例えば、本発明の
実施例で使用した電源装置では、立ち上がり時間と立ち
上がり時間が同じ時間に設定できる。
【0018】さらに、パルス波形、立ち下がり時間、周
波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。
【0019】パルス電界の周波数は、0.5kHz〜1
00kHzであることが好ましい。0.5kHz未満で
あるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりす
ぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発生しやすく
なる。より好ましくは、1kHz以上であり、このよう
な高周波数のパルス電界を印加することにより、処理速
度を大きく向上させることができる。
【0020】また、上記パルス電界におけるパルス継続
時間は、1〜1000μsであることが好ましい。1μ
s未満であると放電が不安定なものとなり、1000μ
sを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。より好ま
しくは、3μs〜200μsである。ここで、ひとつの
パルス継続時間とは、図2中に例を示してあるが、O
N、OFFの繰り返しからなるパルス電界における、パ
ルスが連続する時間をいう。図2(a)のような間欠型
のパルスでは、パルス継続時間はパルス幅時間と等しい
が、図2(b)のような波形のパルスでは、パルス幅時
間とは異なり、一連の複数のパルスを含んだ時間をい
う。
【0021】さらに、放電を安定させるためには、放電
時間1ms内に、少なくとも1μs継続するOFF時間
を有することが好ましい。
【0022】本発明において、上記放電電圧を印加する
にあたり、印加する電圧の一サイクル中の最大値及び最
小値を、連続的に変化させるものである。また、パルス
電圧の印加において、直流を重畳してもよい。
【0023】図3に、このようなパルス電界を印加する
際の電源のブロック図を示す。さらに、図4に、電源の
等価回路図を示す。図4にSWと記されているのはスイ
ッチとして機能する半導体素子である。上記スイッチと
して500ns以下のターンオン時間及びターンオフ時
間を有する半導体素子を用いることにより、上記のよう
な電界強度が1〜100kV/cmであり、かつ、パル
スの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が100μs以
下であるような高電圧かつ高速のパルス電界を実現する
ことができる。
【0024】以下、図4の等価回路図を参照して、電源
の原理を簡単に説明する。+Eは、正極性の直流電圧供
給部、−Eは、負極性の直流電圧供給部である。SW1
〜4は、上記のような高速半導体素子から構成されるス
イッチ素子である。D1〜4はダイオードを示してい
る。I1 〜I4 は電流の流れ方向を表している。
【0025】第一に、SW1をONにすると、正極性の
負荷が電流I1 の流れ方向に充電する。次に、SW1が
OFFになってから、SW2を瞬時にONにすることに
より、充電された電荷が、SW2とD4を通ってI3
方向に充電される。また次に、SW2がOFFになって
から、SW3をONにすると、負極性の負荷が電流I2
の流れ方向に充電する。次に、SW3がOFFになって
から、SW4を瞬時にONにすることにより、充電され
た電荷が、SW4とD2を通ってI4 の方向に充電され
る。上記一連の操作を繰り返し、図5の出力パルスを得
ることができる。この回路の利点は、負荷のインピーダ
ンスが高い場合であっても、充電されている電荷をSW
2とD4又はSW4とD2を動作させることによって確
実に放電することができる点、及び、高速ターンオンの
スイッチ素子であるSW1、SW3を使って高速に充電
を行うことができる点にあり、このため、図5のように
立ち上がり時間、立ち下がり時間の非常に速いパルス信
号を得ることができる。
【0026】上記の方法により得られる放電において、
対向電極間の放電電流密度は、0.2〜300mA/c
2 となされていることが好ましい。
【0027】上記放電電流密度とは、放電により電極間
に流れる電流値を、放電空間における電流の流れ方向と
直交する方向の面積で除した値をいい、電極として平行
平板型のものを用いた場合には、その対向面積で上記電
流値を除した値に相当する。本発明では電極間にパルス
電界を形成するため、パルス状の電流が流れるが、この
場合にはそのパルス電流の最大値、つまりピーク−ピー
ク値を、上記の面積で除した値をいう。
【0028】大気圧近傍の圧力下でのグロー放電では、
下記に示すように、放電電流密度がプラズマ密度を反映
し、表面処理効果を左右する値であることが、本発明者
らの研究により明らかにされており、電極間の放電電流
密度を前記した0.2〜300mA/cm2 の範囲とす
ることにより、均一な放電プラズマを発生して良好な表
面処理を行うことができる。
【0029】本発明において使用される基材としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラ
フルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガ
ラス、セラミック、金属等が挙げられる。基材の形状と
しては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特
にこれらに限定されない。本発明によれば、様々な形状
を有する基材の処理に容易に対応することができる。
【0030】本発明の傾斜機能材料の製造方法は、放電
プラズマ処理を行うに当たり、上記基材の温度を、連続
的に変化させるものである。
【0031】上記基材温度を連続的に変化させる方法は
特に限定されず、例えば、ドライヤー、赤外線ヒーター
などにより基材を加熱する方法、基材が接触している側
の電極を所定速度で加熱・冷却する方法などが挙げられ
る。上記連続的に変化させる基材温度は特に限定されな
いが、低すぎると後述するを処理用ガスが基材等に結露
することがあり、高すぎると基材の劣化が発生する虞が
あるので、処理用ガスの露点温度〜基材の耐熱温度の範
囲が好ましい。
【0032】本発明において、放電プラズマ処理を行う
に当たり、処理時間中に処理用ガスを基材に供給する。
上記処理用ガスは、放電プラズマ発生空間で励起分解
し、基材上に薄膜を形成するものであれば特に限定され
ず、この選択により任意の処理が可能である。
【0033】上記処理用ガスとして、金属含有ガスが好
適に使用できる。金属としては、例えば、Al、As、
Bi、B、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Ga、G
e、Au、In、Ir、Hf、Fe、Pb、Li、N
a、Mg、Mn、Hg、Mo、Ni、P、Pt、Po、
Rh、Sb、Se、Si、Sn、Ta、Te、Ti、
V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該金属を
含有する処理用ガスとしては、金属有機化合物、金属−
ハロゲン化合物、金属−水素化合物、金属−ハロゲン化
合物、金属アルコキシド等の処理用ガスが挙げられる。
これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用さ
れてもよい。
【0034】上記金属がSiである場合、例えば、テト
ラメチルシラン〔Si(CH3)4]、ジメチルシラン〔S
i(CH3)22]、テトラエチルシラン〔Si(C25)
4]等の有機金属化合物;4フッ化珪素(SiF4)、4塩
化珪素(SiCl4)、2塩化珪素(SiH2Cl2)等の
金属ハロゲン化合物;モノシラン(SiH4)、ジシラン
(SiH3SiH3)、トリシラン(SiH3SiH2Si
3)等の金属水素化合物;テトラメトキシシラン〔Si
(OCH3)4]、テトラエトキシシラン〔Si(OC
25)4]、トリエトキシメチルシラン〔SiCH3(OC2
5)] 等の金属アルコキシドなどが挙げられる。これら
は単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されても
よい。
【0035】上記金属がTiである場合、例えば、テト
ラメチルチタン〔Ti(CH3)4]、ジメチルチタン〔T
i(CH3)22]、テトラエチルチタン〔Ti(C25)
4]等の有機金属化合物;4フッ化珪素(TiF4)、4塩
化珪素(TiCl4)、2塩化珪素(TiH2Cl2)等の
金属ハロゲン化合物;モノチタン(TiH4)、ジチタン
(TiH3TiH3)、トリチタン(TiH3TiH2Ti
3)等の金属水素化合物;テトラメトキシチタン〔Ti
(OCH3)4]、テトライソプロポキシチタン〔Ti(O
CH3CHCH3)4]等の金属アルコキシドなどが挙げら
れる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上
併用されてもよい。上記の金属含有ガスに於いて、安全
性を考慮して、金属アルコキシドや金属ハロゲン化合物
などの常温、大気中で発火、爆発など危険性がないもの
が好ましく、腐食性、有害ガスの発生の点から、金属ア
ルコキシドが好適に使用される。
【0036】上記の金属含有ガスが気体であれば、放電
空間にそのまま導入することができるが、液体、固体状
であれば、気化装置を経て放電空間に導入すればよい。
このような処理用ガスを用いることによりSiO2 、T
iO2 、SnO2 等の金属酸化物薄膜を形成させ、基材
表面に電気的、光学的機能を与えることが出来る。
【0037】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガス単独の雰囲気よりも、希釈ガスで薄められた雰囲気
中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、例
えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガ
ス、窒素ガス等が挙げられ、これらは単独で使用されて
もよいし、2種類以上併用されてもよい。処理用ガスが
液体で、沸点が高い場合には、加熱するか、超音波を利
用した気化器で気化し、大量の希釈ガスで希釈して用い
るのが好適である。
【0038】なお、希釈ガスとしては電子を多く有する
化合物のほうがプラズマ密度を高め高速処理を行う上で
有利である。しかし、アルゴン又は窒素が、入手が容易
で、安価である点で好適である。又、希釈ガスを用いる
場合、処理用ガスの濃度は0.01〜10体積%である
ことが好ましい。また、処理用ガスとして金属アルコキ
シドを使用する場合には、有機成分が少ない緻密な金属
酸化物薄膜を形成するためには、酸素ガスを添加しても
よい。
【0039】さらに、上記処理用ガスとしてフッ素含有
化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含
有重合膜を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性
表面を得ることが出来る。
【0040】また、分子内に親水性基と重合性不飽和結
合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことによ
り、親水性の重合膜を堆積させることもできる。
【0041】本発明で得られる傾斜機能材料を、光学用
途に利用する場合には、上記の処理用ガスとして上記の
中からTiO2,ZrO2 などの高屈折率の膜を形成する
処理用ガス、SiO2,Al23,フッ素系薄膜などの低
屈折率の膜を形成する処理用ガスを、上気した処理用ガ
スから適宜選択して用いればよい。
【0042】(作用)本発明の傾斜機能材料の製造方法
は、大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極間に基材を
配置し、該対向電極間に電圧立ち上がり時間が100μ
s以下、電界強度が1〜100kV/cmのパルス状の
電圧を印加して、放電プラズマ処理を行うものであるか
ら、パルス化された電界を印加することにより、アーク
放電に移行する前に放電を止め、再び放電を開始すると
いうサイクルが実現されていると考えられ、ヘリウム等
のプラズマ放電状態からアーク放電状態に至る時間が長
い成分を含有しない雰囲気において、プラズマ発生空間
中に存在する気体の種類を問わず、安定して放電プラズ
マを発生させることが可能となる。さらに急峻な電圧印
加により、効率よく反応ガスを分解することができる。
【0043】さらに本発明によれば、放電プラズマ処理
を行うに当たり、上記基材の温度を連続的に変化させる
ものであるから、厚み方向に膜質が連続して傾斜的に変
化し、明確な界面が存在しない膜が基材上に形成され
た、傾斜機能材料を得ることができる。
【0044】
【実施例】本発明を実施例をもってさらに詳しく説明す
る。なお、以下の実施例では、図3の等価回路図による
電源(ハイデン研究所社製、半導体素子:IXYS社
製、型番TO−247ADを使用)を用いた。
【0045】図6は、本発明の傾斜機能材料を製造する
ための装置の一例を示した模式断面図である。
【0046】図6に示すように、本発明の傾斜機能材料
を製造するための装置は、容器2の中に、1対の対向電
極3、4が設けられ、上部電極3はパルス電源1に電気
的に接続され、下部電極4は接地されており、上部電極
3と下部電極4の間にパルス電圧が印加されるようにな
されている。基材5は、下部電極4上に載置され、上記
パルス電圧によりプラズマが発生するようになされてい
る。
【0047】上部電極3と、基材5の表面には、処理用
ガス導入部6が設けられ、処理用ガス供給部7、希釈ガ
ス供給部72から、流量制御部8によりそれぞれのガス
混合比率を所定の値とするようになされている。
【0048】また、下部電極4には、温度調節機9によ
り冷水、温水が供給され、一定の温度、連続的な温度変
化、ステップ状の温度変化などを施し、このようにする
ことにより、基材5の温度を連続的に変化させることが
できる。
【0049】図6に示した装置において、上部電極3と
下部電極4(SUS304製、直径80mm、厚み10
mm)のそれぞれの対向面に、固体誘電体として8重量
%の酸化イットリウムを含むジルコニウムの溶射膜(比
誘電率16、膜圧500μm)が密着形成されているも
のを用いた。上部電極3と下部電極4の距離は3mmと
し、基材5として5μmの多官能アクリル系ハードコー
ト剤(大日精化社製、品番「EXF−37」)からなる
皮膜が形成された厚み80μmのトリアセチルセルロー
スを下部電極4上に密着するように設置し、下部電極4
は電極内部に設けられた水路(図示せず)に温度調節機
9から温水を供給し電極温度を60℃に保った。
【0050】次いで、容器2内を1Torrになるまで
油回転ポンプ(図示せず)で排気した後、アルゴンガス
を、760Torrになるまで導入した。次に、テトラ
イソプロポキシチタンを処理用ガス供給部7から0.5
体積%になるように、3SLMのアルゴンガスで希釈
し、処理用ガス導入部6より、上部電極3と基材5の間
に導入し、上部電極3と下部電極4間に、立ち上がり速
度1μs、周波数2kHz、印加電圧±2kVのパルス
電圧をパルス電源1より印加し、放電プラズマを発生さ
せた。
【0051】その後、温水を加熱し、下部電極4の温度
を10℃/minで昇温し、1分間で70℃まで昇温し
た。
【0052】その結果、多官能アクリル系ハードコート
皮膜上に4000Åの膜が形成された傾斜機能材料を得
た。得られた傾斜機能材料の表面の屈折率をエリプソメ
ーター(溝尻光学社製)で測定した結果、1.98であ
った。さらに形成された薄膜を1000Åずつアルゴン
ガス中でプラズマ放電させながらエッチングしながら屈
折率オージェ電子分光法で厚み方向に測定した結果、夫
々、1.96、1.90、1.85であった。
【0053】
【発明の効果】本発明の傾斜機能材料の製造方法は上述
の如き構成となされているので、高度の真空度を必要と
せず、大気圧近傍でプラズマ放電を行うことにより、高
速で薄膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルス電界の例を示す電圧波形図である。
【図2】パルス継続時間の説明図である。
【図3】パルス電界を発生させる電源のブロック図であ
る。
【図4】パルス電界を発生させる電源の等価回路図であ
る。
【図5】パルス電界の動作に対応する出力パルス信号の
図である。
【図6】本発明の傾斜機能材料を製造するための装置の
一例を示した模式断面図である。
【符号の説明】
1 パルス電源 2 容器 3 上部電極 4 下部電極 5 基材 6 処理用ガス導入部 9 温度調節機

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極間
    に基材を配置し、該対向電極間に電圧立ち上がり時間が
    100μs以下、電界強度が1〜100kV/cmのパ
    ルス状の電圧を印加して、放電プラズマ処理を行うに当
    たり、上記基材の温度を連続的に変化させることを特徴
    とする傾斜機能材料の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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