JP2000309885A - 傾斜機能材料の製造方法 - Google Patents

傾斜機能材料の製造方法

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JP2000309885A
JP2000309885A JP11666799A JP11666799A JP2000309885A JP 2000309885 A JP2000309885 A JP 2000309885A JP 11666799 A JP11666799 A JP 11666799A JP 11666799 A JP11666799 A JP 11666799A JP 2000309885 A JP2000309885 A JP 2000309885A
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Hideki Hayashi
秀樹 林
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長尺基材でも連続的に傾斜機能薄膜を被覆で
き、且つ、高度の真空度を必要とせず、大気圧近傍でプ
ラズマ放電を行うことにより、高速で薄膜を形成でき、
屈折率を厚さ方向に向かって連続的に変化させることの
できる傾斜機能材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極
3、4間に基材5を連続して移動するように配置し、該
対向電極3、4間に電圧立ち上がり時間が100μs以
下、電界強度が1〜100kV/cmのパルス状の電圧
を印加して、放電プラズマ処理を行うに当たり、処理中
または処理直後に、基材5の処理面に紫外線を照射す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜機能材料の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】傾斜機能材料は新しい概念に基づく材料
であり、PVD、CVD等の気相合成法等を利用して製
造された傾斜機能材料は、電気・磁気、光学、化学、生
体・医学、航空・宇宙等の広い分野で応用が望まれてい
る。上記傾斜機能材料は、クラック防止や基材への密着
性の向上手段として効果的であることは公知である。そ
こで、近年、屈折率を連続的に変化させ新しい光学材料
への応用が報告されつつある。
【0003】また、カラーディスプレイの普及に伴い、
高い解像度が要求されており、光の干渉を利用した多層
の蒸着膜やCVD膜を被覆した反射防止機能が付与され
たものが実用化されている。しかし、これらの多層被覆
膜による反射防止膜は、その形成コストが高いため、限
られた高級品種のみに適用されているのが現状であり、
高性能の反射防止膜を低コストで得ることが課題となっ
ている。また、多層被覆膜による反射防止膜は、屈折率
が膜厚方向に段階的に変化するため、光導波の損失が大
きく、また、広帯域における反射防止性能が低下してい
た。また、膜同士の密着性が悪くなるという問題も発生
していた。
【0004】そこで、プラスチック基材上にプラズマC
VD法でハードコート層を形成するにあたり、プラスチ
ック基材と接触する部位の屈折率が基材の屈折率と略等
しく、厚さ方向に向かって連続的に低下させることによ
り反射率を広域にわたり減少させる方法(特開平7─5
6002号公報)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
は、プラズマCVD法でハードコート層を形成するにあ
たり、高度の真空度が必要となり、量産化の妨げになる
ばかりでなく、長尺品に対応できないという欠点があ
り、かつ処理速度が遅いものであった。
【0006】さらに、大気圧近傍でプラズマ放電を行う
と、基材への損傷が大きいため、耐熱性の低い基材上へ
の薄膜形成には適用できなかった。
【0007】本発明は上記の課題を解決し、長尺基材で
も連続的に傾斜機能薄膜を被覆でき、且つ、高度の真空
度を必要とせず、大気圧近傍でプラズマ放電を行うこと
により、高速で薄膜を形成でき、屈折率を厚さ方向に向
かって連続的に変化させることのできる傾斜機能材料の
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の傾斜機能
材料の製造方法(以下、「本発明」という)は、大気圧
近傍の圧力下で、一対の対向電極間に基材を連続して移
動するように配置し、該対向電極間に電圧立ち上がり時
間が100μs以下、電界強度が1〜100kV/cm
のパルス状の電圧を印加して、放電プラズマ処理を行う
に当たり、処理中または処理後に、基材の処理面に紫外
線を照射するものである。
【0009】本発明において大気圧近傍の圧力下とは、
100〜800Torrの圧力下を指す。特に、圧力調
整が容易で、装置が簡便になる700〜780Torr
の範囲が好ましい。
【0010】本発明において、一対の対向電極として
は、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮
等の合金、金属間化合物等からなるものが挙げられる。
上記対向電極は、電界集中によるアーク放電の発生を避
けるために、対向電極間の距離が略一定となる構造であ
ることが好ましい。この条件を満たす電極構造として
は、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲
面対向平板型、同軸円筒型構造等が挙げられる。
【0011】さらに、通常、当該電極の対向面の少なく
とも一方に固体誘電体が設置されている装置において行
われる。この場合プラズマが発生する放電空間は、上記
電極の一方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体
と電極の間、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場
合は、固体誘電体同士の間の空間である。
【0012】上記固体誘電体の材質としては、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の
プラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化
物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0013】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮し
て決定されるが、1〜50mmであることが好ましい。
1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充
分でない。50mmを超えると、均一な放電プラズマを
発生させることが困難である。
【0014】本発明において使用される基材としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラ
フルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガ
ラス、セラミック、金属等が挙げられる。基材の形状と
しては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特
にこれらに限定されない。本発明の表面処理方法によれ
ば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応するこ
とができる。
【0015】本発明においては、上記電極間に印加され
る電界がパルス化されたもの(以下、「パルス電圧」ま
たは「パルス電界」という)である。
【0016】本発明におけるパルス電圧は、立ち上がり
時間が短いほど、プラズマを発生する際の処理用ガスの
電離が効率よく行われる。立ち上がり時間が100μs
を超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なも
のとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を期待
できなくなる。また、立ち上がり時間は速いほうがよい
が、常圧でプラズマが発生する程度の大きさの電界強度
を有し、かつ、立ち上がり時間が速い電界を発生させる
装置には制約があり、現実的には40ns未満の立ち上
がり時間のパルス電界を実現することは困難である。従
って、パルス電圧の立ち上がり時間は100μs以下に
限定され、好ましくは40ns〜100μs、さらに好
ましくは50ns〜5μsである。なお、ここでいう立
ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時間を
指すものとする。
【0017】上記電界強度は、弱すぎると処理に時間が
かかりすぎ、強すぎるとアーク放電が発生しやすくなる
ので、1〜100kV/cmに限定される。
【0018】また、パルス電界の立ち下がり時間も急峻
であることが好ましく、立ち上がり時間と同様の100
μs以下のタイムスケールであることが好ましい。パル
ス電界発生技術によっても異なるが、例えば、本発明の
実施例で使用した電源装置では、立ち上がり時間と立ち
下がり時間が同じ時間に設定できる。
【0019】電極間に印加されるパルス電界の波型、及
びパルス継続時間は、特開平10─154598号公報
に記載されているように、インパルス型、方形波型、変
調型のなどが挙げられ、さらに、正又は負のいずれかの
極性側に電圧を印加する、いわゆる片波状の波形を用い
てもよい。また、パルス継続時間も、弱すぎると処理に
時間がかかりすぎ、強すぎるとアーク放電が発生しやす
くなるので、1〜1000μsであることが好ましい。
【0020】さらに、絶縁破壊電圧を超えない範囲で、
パルス波形、立ち上がり時間、周波数の異なるパルスを
用いて変調またはバイアスを重畳してもよい。
【0021】パルス電界の周波数は、0.5kHz〜1
00kHzであることが好ましい。0.5kHz未満で
あるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりす
ぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発生しやすく
なる。より好ましくは、1kHz以上であり、このよう
な高周波数のパルス電界を印加することにより、処理速
度を大きく向上させることができる。
【0022】上記パルス電界を印加する際の電源も特開
平10─154598号公報に記載された装置(例え
ば、ハイデン研究所社製、半導体素子:IXYS社製、
型番「TO−247AD」)が使用できる。
【0023】上記プラズマを発生する際の処理用ガス
は、放電空間中で励起分解し、基材上に薄膜を形成する
ものであれば特に限定されず、この選択により任意の処
理が可能である。
【0024】上記処理用ガスとしては、無機質の薄膜を
形成したい場合には、金属有機化合物、金属−ハロゲン
化合物、金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金
属アルコキシド等の金属含有ガスが好適に使用できる。
これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用さ
れてもよい。
【0025】上記金属がSiである場合、例えば、テト
ラメチルシラン〔Si(CH3)4]、ジメチルシラン〔S
i(CH3)22]、テトラエチルシラン〔Si(C25)
4]等の有機金属化合物;4フッ化珪素(SiF4)、4塩
化珪素(SiCl4)、2塩化珪素(SiH2Cl2)等の
金属ハロゲン化合物;モノシラン(SiH4)、ジシラン
(SiH3SiH3)、トリシラン(SiH3SiH2Si
3)等の金属水素化合物;テトラメトキシシラン〔Si
(OCH3)4]、テトラエトキシシラン〔Si(OC
25)4]、トリエトキシメチルシラン〔SiCH3(OC2
5)] 等の金属アルコキシドなどが挙げられる。これら
は単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されても
よい。
【0026】上記金属がTiである場合、例えば、テト
ラメチルチタン〔Ti(CH3)4]、ジメチルチタン〔T
i(CH3)22]、テトラエチルチタン〔Ti(C25)
4]等の有機金属化合物;4フッ化珪素(TiF4)、4塩
化珪素(TiCl4)、2塩化珪素(TiH2Cl2)等の
金属ハロゲン化合物;モノチタン(TiH4)、ジチタン
(TiH3TiH3)、トリチタン(TiH3TiH2Ti
3)等の金属水素化合物;テトラメトキシチタン〔Ti
(OCH3)4]、テトライソプロポキシチタン〔Ti(O
CH3CHCH3)4]等の金属アルコキシドなどが挙げら
れる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上
併用されてもよい。
【0027】上記の金属含有ガスに於いて、安全性を考
慮して、金属アルコキシドや金属ハロゲン化合物などの
常温、大気中で発火、爆発など危険性がないものが好ま
しく、腐食性、有害ガスの発生の点から、金属アルコキ
シドが好適に使用される。
【0028】上記の金属含有ガスが気体であれば、放電
空間にそのまま導入することができるが、液体、固体状
であれば、気化装置を経て放電空間に導入すればよい。
このような処理用ガスを用いることによりSiO2 、T
iO2 、SnO2 等の金属酸化物薄膜を形成させ、基材
表面に電気的、光学的機能を与えることが出来る。
【0029】さらに、上記処理用ガスとしてフッ素含有
化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含
有重合薄膜を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水
性表面を得ることが出来る。
【0030】一方、有機質の薄膜を形成したい場合に
は、不飽和炭化水素、不飽和ハロゲン化合物等が好適に
使用できる。また、分子内に親水性基と重合性不飽和結
合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことによ
り、親水性の重合薄膜を堆積させることもできる。これ
らは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されて
もよい。
【0031】本発明で得られる傾斜機能材料を、光学用
途に利用する場合には、上記の処理用ガスとして上記の
中からTiO2,ZrO2 などの高屈折率の薄膜を形成す
る処理用ガス、SiO2,Al23,フッ素系薄膜などの
低屈折率の薄膜を形成する処理用ガスを、上記した処理
用ガスから適宜選択して用いればよい。
【0032】一方、電子材料に応用する場合には、誘電
率(低誘電率SiO2,Al23等;高誘電率TiO2,
タン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム)や導伝率
(低導伝率SiO2,高導伝率ITO、ZnO)の異なる
薄膜を合成できるような反応ガスが選ばれる。
【0033】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガス単独の雰囲気よりも、希釈ガスで薄められた雰囲気
中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、例
えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガ
ス、窒素ガス等が挙げられ、これらは単独で使用されて
もよいし、2種類以上併用されてもよい。処理用ガスが
液体で、沸点が高い場合には、加熱するか、超音波を利
用した気化器で気化し、大量の希釈ガスで希釈して用い
るのが好適である。
【0034】なお、希釈ガスとしては電子を多く有する
化合物のほうがプラズマ密度を高め高速処理を行う上で
有利である。しかし、アルゴン又は窒素が、入手が容易
で、安価である点で好適である。又、希釈ガスを用いる
場合、処理用ガスの濃度は0.01〜10体積%である
ことが好ましい。また、処理用ガスとして金属アルコキ
シドを使用する場合には、有機成分が少ない緻密な金属
酸化物薄膜を形成するためには、酸素ガスを添加しても
よい。
【0035】本発明において使用される紫外線として
は、近紫外光(波長;190〜380nm、真空紫外光
(波長;1〜190nm)のいずれを使用してもよい
が、真空紫外光を使用する場合には、ガス中に含まれる
酸素を分解してオゾンを発生する虞があるため、装置内
を1Torr以下にした後、処理ガスに置き換えるのが
好ましい。また、照射密度は、低すぎると、基材の表面
に形成される薄膜の屈折率が変化せず、高すぎると基材
が損傷をうけることがあるので、1〜100mW/cm
2 が好ましい。
【0036】上記紫外線の光源としては、例えば、 低圧水銀ランプ(波長185〜254nm)、 エキシマランプ(KrCl、波長222nm;XeC
l、波長308)、 エキシマレーザー(KrF、波長248nm;XeC
l、波長308) Deep UVランプ(Hg−Xe、波長185〜3
00nm;D2 、波長185〜300nm) エキシマランプ(Xe2 、波長172nm)、 エキシマレーザー(ArF、波長193nm) 等が挙げられる。
【0037】なお、基材として三酢酸セルロース、ポリ
エチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルムを
使用する場合、基材は紫外線を吸収し、ラジカルを発生
する。従って、紫外線は基材の処理面に、プラズマ処理
中または処理直後に、照射する。例えば、基材の一面を
対向電極の一方に密着させながらプラズマ処理する場
合、紫外線は他方の対向電極側より、基材の他面に照射
する。また、基材を対向電極に沿わせず、対向電極間に
設置し、放電プラズマ処理を基材の両面に施す場合に
は、紫外線は基材の両面に照射してもよい。
【0038】(作用)本発明の傾斜機能材料の製造方法
は、大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極間に基材を
連続して移動するように配置し、該対向電極間に電圧立
ち上がり時間が100μs以下、電界強度が1〜100
kV/cmのパルス状の電圧を印加して、放電プラズマ
処理を行うに当たり、処理中または処理直後に、基材の
処理面に紫外線を照射するものであるから、急峻な電圧
立ち上がり時間でパルス状の電圧を印加することにより
放電プラズマ処理を行うため、アーク放電に移行する前
に放電を止め、再び放電を開始するというサイクルが実
現されていると考えられ、大気圧近傍の圧力下で、ヘリ
ウム等のプラズマ放電状態からアーク放電状態に至る時
間が長い成分を含有しない雰囲気においても、放電空間
中に存在する気体の種類を問わず、安定して放電プラズ
マを発生させることが可能となる。よって、高度の真空
度を必要とせず、大気圧近傍でプラズマ放電を行うこと
により、高速で薄膜を形成することができる。
【0039】一方、紫外線を照射することにより生成中
の薄膜の有機物の分解が起きるため、紫外線を照射した
部分が実質的にプラズマ処理の反応が促進され、より緻
密な薄膜が形成される。その結果、屈折率を厚さ方向に
向かって連続的に変化させ、薄膜自身も明確な界面が存
在しない傾斜機能材料を得ることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面に基
づいて詳しく説明する。図1は、本発明の傾斜機能材料
を製造するための装置の一例を示した模式的断面図であ
る。
【0041】図1に示すように、本発明の傾斜機能材料
を製造するための装置は、容器2の中に、1対の対向電
極3、4が設けられ、上部電極3はパルス電源1に電気
的に接続され、下部電極4は接地されており、上部電極
3と下部電極4の間にパルス電圧が印加され、プラズマ
が発生するようになされている。基材5は、繰り出しロ
ール9から、シール機構91を有する容器2内に供給さ
れ、支持ロール92により、下部電極4上に密着しなが
ら走行し、巻き取りロール93により巻き取られる。
【0042】一方、処理用ガス供給部7から、流量制御
部71によって流量を制御された処理用ガスは、ガス導
入部6を経て、上部電極3と、基材5との間に導入さ
れ、放電空間が形成される。
【0043】上部電極3の後部には、窓31が設けられ
ており、紫外線を透過する石英製のガラスが補強のため
に装着されている。そして、紫外線照射装置8から窓3
1を通過して基材5に紫外線が照射されるようになされ
ている。
【0044】図2(a)〜(d)は、本発明の傾斜機能
材料を製造するための装置の、対向電極と紫外線照射装
置の位置関係を示した模式的断面図であり、図3(a)
〜(d)は、図2(a)〜(d)の装置でプラズマ処理
及び紫外線照射された傾斜機能材料5a、5b、5c、
5dに対応する屈折率を示したグラフであり、屈折率n
の基材上に形成された薄膜の深さd方向の分布を示し
た。
【0045】図2(a)〜(d)に示したように、基材
5の走行方向に向かって後方から順に上部電極3a、3
b、3cにそれぞれ窓31を設けた場合、また、上部電
極3dと、下部電極4を通過した直後に紫外線照射を行
った場合(d)、得られた傾斜機能材料5a、5b、5
c、5dの基材上に形成された薄膜51の深さd方向の
分布は、紫外線照射する位置が、図2(a)〜(d)
中、左側から右側になるに従って、屈折率nのピーク位
置が、基材5側から傾斜機能材料表面510側に移行す
るが、屈折率nの変化は連続的であることがわかる。
【0046】図4は上部電極と窓との位置関係の一例を
拡大して示す断面図であり、図5は上部電極と窓との位
置関係の他の例を拡大して示す断面図である。図4に示
すように、上部電極3中に窓31が設けられたものであ
ってもよいし、図5に示すように、上部電極を32、3
3とに分割して、紫外線を殆ど透過しない中空のブロッ
ク材311とともに一体化され、結線34で電気的に接
続されたものであってもよい。
【0047】
【実施例】本発明を実施例をもってさらに詳しく説明す
る。なお、以下の実施例では、電源として、パルス発生
電源(ハイデン研究所社製、半導体素子:IXYS社
製、型番TO−247ADを使用)を用いた。
【0048】(実施例1)図1に示した装置において、
上部電極3と下部電極4(SUS304製、奥行き35
0mm、幅100mm、厚み20mm)のそれぞれの対
向面に、固体誘電体として8重量%の酸化イットリウム
を含むジルコニウムの溶射膜(比誘電率16、膜厚50
0μm)が密着形成されているものを用いた。上部電極
3には、紫外線を透過する石英製の窓31(奥行き30
0mm、幅20mm、厚み20mm)を、出口側から2
0〜40mmの位置に設けたこと以外は下部電極4と同
様である。
【0049】上部電極3と下部電極4の距離は2mmと
し、基材5として5μmの多官能アクリル系ハードコー
ト剤(大日精化社製、品番「EXF−37」)を被覆し
た、厚み80μmのトリアセチルセルロースを、繰り出
しロール9から、シール機構91を有する容器2内に供
給し、支持ロール92により、下部電極4上に密着させ
ながら走行させた。
【0050】次いで、容器2内を、油回転ロール(図示
せず)により1Torrになるまで排気した後、アルゴ
ンガスを、760Torrになるまで導入した後、テト
ライソプロポキシチタンを処理用ガス供給部7から流量
制御部71によって0.5体積%になるように、3SL
Mのアルゴンガスで希釈し、ガス導入部6を経て、上部
電極3と、基材5との間に導入した。
【0051】次いで、エキシマランプ8(ウシオ電機社
製、型式「UER−20H−222」;KrCl)によ
り、波長222nmの紫外線を、基材5の表面で5mW
/cm2 となるように石英製窓ガラス31を通して照射
しながら、電圧立ち上がり時間1μs、周波数8kH
z、印加電圧±3kVのパルス電圧をパルス電源1より
上部電極3と下部電極4間に印加し、放電プラズマを発
生させた。この間、基材5は、搬送速度1m/分になる
ように、巻き取りロール92により、搬送した。
【0052】その結果、多官能アクリル系ハードコート
皮膜上に1000Å強の薄膜が形成された傾斜機能材料
を得た。
【0053】(実施例2)エキシマランプ8として、
(ウシオ電機社製、型式「UER−20H−172」;
Xe2 )により、波長172nmの紫外線を、基材5の
表面で7mW/cm 2 となるように照射したこと以外
は、実施例1と同様にして、傾斜機能材料を得た。
【0054】(比較例)紫外線照射をしなかったこと以
外は実施例と同様にして、1000Å強の薄膜が形成さ
れた傾斜機能材料を得た。
【0055】得られた傾斜機能材料の表面に形成された
薄膜を、アルゴン雰囲気下で放電してエッチングしなが
ら、深さ方向の屈折率の変化を、エリプソメーター(溝
尻社製、型式「DVA─36VW」)で測定した。結果
を表1に纏めて示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の傾斜機能材料の製造方法は上述
の如き構成となされているので、長尺基材でも連続的に
傾斜機能薄膜を被覆でき、且つ、高度の真空度を必要と
せず、大気圧近傍でプラズマ放電を行うことにより、高
速で薄膜を形成でき、屈折率を厚さ方向に向かって連続
的に変化させることのできる傾斜機能材料の製造方法を
提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の傾斜機能材料を製造するための装置の
一例を示した模式断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の傾斜機能材料を製
造するための装置の、対向電極と紫外線照射装置の位置
関係を示した模式的断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、図2(a)〜(d)の装置
でプラズマ処理及び紫外線照射された傾斜機能材料5
a、5b、5c、5dに対応する屈折率を示したグラフ
である。
【図4】上部電極と窓との位置関係の一例を拡大して示
す断面図である。
【図5】上部電極と窓との位置関係の他の例を拡大して
示す断面図である。
【符号の説明】
1 パルス電源 2 容器 3 上部電極 31 窓 4 下部電極 5 基材 6 処理用ガス導入部 8 紫外線ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/66 101 H04N 5/66 101A 5/72 5/72 A // C23C 14/58 C23C 14/58 C 16/56 16/56 C08L 101:00 Fターム(参考) 4F073 AA14 AA32 BA03 BA07 BA08 BA16 BA18 BA19 BA24 BA26 BB01 CA01 CA45 CA47 4K029 AA11 BC07 EA03 EA09 GA02 KA01 4K030 AA06 AA09 AA11 BA44 BA45 BA46 BB11 CA07 CA17 DA02 DA08 FA03 FA08 FA15 GA14 JA14 JA17 KA37 KA47 LA01 LA11 4K044 AA01 AA12 AA13 AA16 AB02 BA12 BA13 BA14 BA21 CA14 CA67 5C058 BA35 DA01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気圧近傍の圧力下で、一対の対向電極間
    に基材を連続して移動するように配置し、該対向電極間
    に電圧立ち上がり時間が100μs以下、電界強度が1
    〜100kV/cmのパルス状の電圧を印加して、放電
    プラズマ処理を行うに当たり、処理中または処理直後
    に、基材の処理面に紫外線を照射することを特徴とする
    傾斜機能材料の製造方法。
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