JP2005272957A - 表面処理方法及び該表面処理方法により表面処理された基材 - Google Patents

表面処理方法及び該表面処理方法により表面処理された基材 Download PDF

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Abstract

【課題】高速で処理でき基材等へのダメージを与えない表面処理方法を提供する。
【解決手段】電子密度が1×1010〜1×1015cm-3であり、電子温度が0.5〜1.5eVであるプラズマを大気圧もしくはその近傍の圧力下で発生させて基材の表面処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、大気圧プラズマを用いた表面処理方法に関する。
大気圧プラズマ放電を用いて、製膜やエッチング、洗浄、親水化、疎水化といった各種表面処理ができることは知られている。
そしてこれらの表面処理において、最も影響を与えるプラズマ状態を規定する因子が電子密度と電子温度である。すなわち、一般的に電子密度が大きくなるとプラズマ密度が大きくなり、それに伴い各種反応に寄与する活性種も増大することから、処理速度が向上することは既知である。
一方、電子温度(電子のエネルギー)は、高い程、反応性は高くなり、プラズマ中の活性種のエネルギーを高めたり、各種表面処理に使用する原料ソースの分解を高めることができる反面、基材等へのダメージも発生する。
したがって、高速で処理でき基材等へのダメージを与えない為には、電子密度と電子温度を適正な範囲に調整する必要がある。
真空プラズマ等については、特許文献1〜6に、電子密度1012cm-3以上で電子温度が3eV以下のプラズマで良好な処理が可能との記載がある。
特開2003−332241号公報 特開2003−324094号公報 特開2003−293128号公報 特開2003−203904号公報 特開2003−183835号公報 特開2003−142471号公報
しかし、本発明者らの研究により、大気圧プラズマでは電子密度を上げ過ぎるとプラズマガス温度が高温化し、基材にダメージを与えることが判明した。そして、本発明者らは、高速で処理でき基材等へのダメージを与えない電子密度、電子温度の適正範囲を鋭意研究した末、電子密度が1×1010〜1×1015cm-3、電子温度が0.5〜1.5eVの範囲を適正範囲として見出した。
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、電子密度が1×1010〜1×1015cm-3であり、電子温度が0.5〜1.5eVであるプラズマを大気圧もしくはその近傍の圧力下で発生させて基材の表面処理を行う表面処理方法である。
請求項2記載の発明は、放電ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法である。
請求項3記載の発明は、前記表面処理が、表面処理ガスとして薄膜形成ガスを用いて前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法である。
請求項4記載の発明は、前記薄膜形成ガスが、有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項3に記載の表面処理方法である。
請求項5記載の発明は、前記有機金属化合物が、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物および有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法である。
請求項6記載の発明は、前記表面処理が、表面処理ガスとしてエッチングガスを用いて前記基材表面をエッチングするエッチングであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法である。
請求項7記載の発明は、前記エッチングガスが、ハロゲン系ガスを含有することを特徴とする請求項6に記載の表面処理方法である。
請求項8記載の発明は、前記表面処理が、表面処理ガスとして洗浄ガスを用いて前記基材表面を洗浄する洗浄であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法である。
請求項9記載の発明は、前記洗浄ガスが、酸素ガスを含有することを特徴とする請求項8に記載の表面処理方法である。
請求項10記載の発明は、前記表面処理が、表面処理ガスとして親水化ガスを用いて前記基材表面を親水化する親水化であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法である。
請求項11記載の発明は、前記親水化ガスが、窒素ガス、水素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気のうち何れか一又は二以上を含有することを特徴とする請求項10に記載の表面処理方法である。
請求項12記載の発明は、前記表面処理が、表面処理ガスとして疎水化ガスを用いて前記基材表面を疎水化する疎水化であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法である。
請求項13記載の発明は、前記疎水化ガスが、炭化水素及び/又はフッ化炭化水素ガスを含有することを特徴とする請求項12に記載の表面処理方法である。
請求項14記載の発明は、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスを含有するガスを供給し、
前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項15記載の発明は、前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項14に記載の表面処理方法である。
請求項16記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項14または15に記載の表面処理方法である。
請求項17記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項16に記載の表面処理方法である。
請求項18記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項19記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項18に記載の表面処理方法である。
請求項20記載の発明は、前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項14乃至19いずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項21記載の発明は、前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項22記載の発明は、前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が放電ガスであることを特徴とする請求項14乃至21の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項23記載の発明は、前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項22に記載の表面処理方法である。
請求項24記載の発明は、前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項22または23に記載の表面処理方法である。
請求項25記載の発明は、請求項1乃至24の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材である。
請求項26記載の発明は、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスおよび窒素ガスを含む放電ガスを含有するガスを供給し、
前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項27記載の発明は、前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項26に記載の表面処理方法である。
請求項28記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項26または27に記載の表面処理方法である。
請求項29記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項28に記載の表面処理方法である。
請求項30記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項26乃至29のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項31記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項26乃至30のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項32記載の発明は、前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項26乃至31のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項33記載の発明は、前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項27乃至32のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項34記載の発明は、前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が前記放電ガスであることを特徴とする請求項26乃至33の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項35記載の発明は、前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項34に記載の表面処理方法である。
請求項36記載の発明は、前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項34または35に記載の表面処理方法である。
請求項37記載の発明は、前記周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする請求項26乃至36のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項38記載の発明は、前記周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする請求項26乃至37のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項39記載の発明は、請求項26乃至38の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材である。
請求項40記載の発明は、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスを含有するガスを供給し、
前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上で、且つ、前記第2の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項41記載の発明は、前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項40に記載の表面処理方法である。
請求項42記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項40または41に記載の表面処理方法である。
請求項43記載の発明は、前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項42に記載の表面処理方法である。
請求項44記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項40乃至43のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項45記載の発明は、前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項44に記載の表面処理方法である。
請求項46記載の発明は、前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項40乃至45のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項47記載の発明は、前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項41乃至46のいずれか1項に記載の表面処理方法である。
請求項48記載の発明は、前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が放電ガスであることを特徴とする請求項40乃至47の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項49記載の発明は、前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項48に記載の表面処理方法である。
請求項50記載の発明は、前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項48または49に記載の表面処理方法である。
請求項51記載の発明は、前記第1の高周波電界の電流I1より、前記第2の高周波電界の電流I2の方が高いことを特徴とする請求項40乃至50の何れか1項に記載の表面処理方法である。
請求項52記載の発明は、前記周波数ω2の前記周波数ω1に対する比が、100倍以上であることを特徴とする請求項51に記載の表面処理方法である。
請求項53記載の発明は、請求項40乃至52の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材である。
以下は、薄膜形成方法及び大気圧プラズマ放電処理装置の好ましい構成である。
(101) 大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する第1電極と第2電極との間にガスを供給し、該第1電極と該第2電極との間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起した該ガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、該高周波電界が、第1の周波数ω1の電界成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電界成分とを重ね合わせた成分を有することを特徴とする薄膜形成方法。
(102) 前記第1の周波数ω1の電界波形および前記第2の周波数ω2の電界波形がサイン波であることを特徴とする(101)に記載の薄膜形成方法。
(103) 前記第1の周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする(101)または(102)に記載の薄膜形成方法。
(104) 前記第2の周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする(101)乃至(103)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(105) 前記高周波電界が、第1の高周波電界強度V1および第2の高周波電界強度V2を重畳したものであることを特徴とする(101)乃至(104)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(106) 前記第1の高周波電界強度V1、前記第2の高周波電界強度V2および放電開始電界IVとの関係が、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2を満たすことを特徴とする(105)に記載の薄膜形成方法。
(107) 前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする(101)乃至(106)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(108) 大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する第1電極と第2電極との間に放電ガスおよび薄膜形成ガスを供給し、該第1電極と該第2電極との間に高周波電界を印加することにより該放電ガスを励起して放電を開始し、該薄膜形成ガスを励起し、基材を励起した該薄膜形成ガスに晒すことにより該基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、該高周波電界が、第1の高周波電界強度V1および第2の高周波電界強度V2を重畳したものであって、放電開始電界をIVとしたとき、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2を満たすことを特徴とする薄膜形成方法。
(109) 前記第1の高周波電界強度V1を印加する際の第1の周波数ω1より、前記第2の高周波電界強度V2を印加する際の第2の周波数ω2の方が高いことを特徴とする(108)に記載の薄膜形成方法。
(110) 前記第1の周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする(109)に記載の薄膜形成方法。
(111) 前記第2の周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする(109)または(110)に記載の薄膜形成方法。
(112) 前記第1の高周波電界の電界波形および前記第2の高周波電界の電界波形がサイン波であることを特徴とする(108)乃至(111)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(113) 前記第1電極と前記第2電極との間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が放電ガスであることを特徴とする(101)乃至(112)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(114) 前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする(101)乃至(113)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(115) 前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする(101)乃至(114)に記載の薄膜形成方法。
(116) 前記薄膜形成ガスが、有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物から選ばれる少なくとも一つの添加ガスを含有することを特徴とする(101)乃至(115)の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
(117) 前記有機金属化合物が、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物および有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする(116)に記載の薄膜形成方法。
(118) (101)乃至(117)の何れか1項に記載の薄膜形成方法により形成された薄膜を有することを特徴とする基材。
(119) 第1電極と第2電極とが対向して配置され、前記第1電極に第1の高周波電界を印加する第1の電源、前記第2電極に第2の高周波電界を印加する第2の電源及び前記第1電極と前記第2電極との放電空間にガスを供給するガス供給手段を有することを特徴とする大気圧プラズマ放電処理装置。
(120) 前記第1電極から前記第1の電源の間に、前記第2の電源からの周波数の電流を通過しにくくし、且つ前記第1の電源からの周波数の電流を通過し易くする第1フィルター、及び前記第2電極から前記第2の電源の間に、前記第1の電源からの周波数の電流を通過しにくくし、且つ前記第2の電源からの周波数の電流を通過し易くする第2フィルターを有することを特徴とする(119)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(121) 前記第1電極または前記第2電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することを特徴とする(119)または(120)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(122) 前記第1の電源が、前記第2の電源より高い電界を印加する能力を有することを特徴とする(119)乃至(121)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(123) 前記第2の電源が、前記第1の電源より高い周波数を印加する能力を有することを特徴とする(119)乃至(122)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(124) 前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方の電極が、導電性の金属質母材を誘電体で被覆した誘電体被覆電極であって、前記誘電体の空隙率が10体積%以下であることを特徴とする(119)乃至(123)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(125) 前記誘電体の空隙率が8体積%以下であることを特徴とする(124)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(126) 前記誘電体被覆電極の耐熱温度が100℃以上であることを特徴とする(124)または(125)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(127) 前記誘電体被覆電極の前記導電性の金属質母材と前記誘電体の線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項24乃至26の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(128) 前記誘電体の厚みが、0.5〜3mmであることを特徴とする(124)乃至(127)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(129) 前記誘電体が、比誘電率6〜45の無機化合物であることを特徴とする(124)乃至(128)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(130) 前記誘電体が、セラミックスを溶射した後、更に無機化合物で封孔処理されていることを特徴とする(124)乃至(129)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(131) 前記セラミックスがアルミナを主成分とすることを特徴とする(130)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(132) 前記誘電体の表面が研磨処理によって表面仕上げをされていることを特徴とする(124)乃至(131)の何れか1項に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
(133) 前記誘電体の表面粗さRmaxが10μm以下であることを特徴とする(132)に記載の大気圧プラズマ放電処理装置。
本発明によれば、高速で基材等へのダメージを与えない各種表面処理が可能である。
また、本発明により、窒素のような安価且つ安全な放電ガスを用いて、高密度プラズマの発生することが出来、また緻密な薄膜を得ることが出来、更に良質な薄膜を高速で製膜出来る薄膜形成方法を提供出来る。これにより良質で高性能の薄膜を有する基材を安価に提供出来る。
本発明実施形態の薄膜形成方法、エッチング方法、洗浄方法、親水化方法及び疎水化方法は、共通事項として、電子密度が1×1010〜1×1015cm-3であり、電子温度が0.5〜1.5eVであるプラズマを大気圧もしくはその近傍の圧力下で発生させて行う。
大気圧下での電子密度及び電子状態は、YAGレーザーを用いたレーザートムソン散乱法により測定する。
エッチングガスしては、主としてハロゲン系ガスを用いることができ、またプラズマ中でハロゲンを分離することのできるものであれば、基本的にはどのような表面処理ガスであってもよい。
エッチングに用いる表面処理ガスとしてのハロゲン系ガスは、具体的には、塩素ガス、臭素ガス、フッ素ガス等があり、ハロゲンと炭素あるいはハロゲンと水素とを含有するハロゲン化合物ガスも含まれる。ハロゲン化合物ガスとしては、例えば、CF4、CCl3F3、SF6、HCl等が挙げられる。また、酸素などの反応性のガスは、ハロゲン系ガスに由来して起こるエッチングに対して直接的あるいは触媒的に働いて効果を高める場合があるので、酸素あるいは空気等の汎用のガスで希釈しても良い。
洗浄ガスとしては、酸素ガスが効果的である。また酸素ガスには、酸素ラジカルを発生させるガスを用いてもよい。酸素ラジカルとしては、例えば、酸素分子、励起酸素分子、酸素分子イオン、酸素原子、酸素原子イオン、励起オゾン分子、オゾン分子イオン等が挙げられる。これらの発生源としては、含酸素ガスであれば良く、酸素の他に一酸化炭素、二酸化炭素、空気、水蒸気等も用いることができる。プラズマ中に上記のような酸素を含有するガスを導入すると、非常に活性で酸化力の強いラジカルが発生し、レジストの除去等で知られるアッシングのような酸化処理による不要樹脂の除去にも有効である。
親水化ガスとしては、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、アンモニア(NH3)ガス、酸素(O2)ガス、二酸化炭素(CO2)ガス、水蒸気等を挙げることが出来る。ガス中放電プラズマ処理によって、分離(遊離)した反応性の分子が支持体表面に反応し、−NH2基、−OH基、−COOH基等のような化学的活性基が発現し、プラスティック支持体表面を化学的に改質することが出来、上物に対する接着性の増強に寄与することもできる。
疎水化ガスとしては、炭化水素及び/またはフッ化炭化水素ガスを用いることができる。
炭化水素ガスとしては、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、ペンタンガス、ヘキサンガス、シクロヘキサン等を挙げることが出来る。炭素原子数の4以上のものは、処理温度を上げることによってガス状態で処理が出来る。またフッ化炭化水素ガスとしては、CH3Fガス、C2H5Fガス、C3H7Fガス、C4H9Fガス、C5H11Fガス、C6H13Fガス等を挙げることが出来る。いずれも有用であるが、特に炭化水素ガスが好ましい。また炭化水素ガスとフッ化炭化水素ガスを混合して用いてもよい。
本発明実施形態の薄膜形成方法、エッチング方法、洗浄方法、親水化方法及び疎水化方法は、以下に説明する装置構成を共通に適用する。薄膜形成ガスについては後述する。
以下、本発明を詳述する。
本発明において、プラズマ放電処理は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるが、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
本発明の薄膜形成方法において、対向電極間(放電空間)に供給するガスは、少なくとも、電界により励起する放電ガスと、そのエネルギーを受け取ってプラズマ状態あるいは励起状態になり薄膜を形成する薄膜形成ガスを含んでいる。
しかしながら、上記の薄膜形成方法では、ヘリウムやアルゴン等の希ガスの放電ガスでは、薄膜を形成する際の生産コストが放電ガスのコストに依存するところが多く、また環境的な見地からも代替の放電ガスの使用を本発明者らは検討していた。その代替の放電ガスとして、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、水素等を検討した結果、これらのガスであっても同様に高密度プラズマを発生できる条件を求め、且つ薄膜形成性に優れ、形成した薄膜が緻密且つ均一となる条件及び方法を検討した結果、本発明に至ったものである。
本発明における放電条件は、放電空間に、前記第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し、前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ、前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上である。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
重畳する高周波電界が、ともにサイン波である場合、第1の高周波電界の周波数ω1と該周波数ω1より高い第2の高周波電界の周波数ω2とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重なった鋸歯状の波形となる。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離などによって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
上記で述べたような高周波電界を放電空間に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することが出来ると推定される。
ここで重要なのは、このような高周波電界が対向する電極に印加され、すなわち、同じ放電空間に印加されることである。前述の特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる高周波電界を印加する方法では、本発明の薄膜形成は達成出来ない。
上記でサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電界を有していてもよい。
上記本発明の高周波電界を、同一放電空間に印加する具体的な方法としては、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電界強度V1である第1の高周波電界を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電界強度V2である第2の高周波電界を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いることである。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルタを、また第2電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルタを接続することが好ましく、第1フィルタは第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
更に、本発明の大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より高い高周波電界強度を印加出来る能力を有していることが好ましい。
ここで、本発明でいう高周波電界強度(印加電界強度)と放電開始電界強度は、下記の方法で測定されたものをいう。
高周波電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記高周波電界強度測定と同じである。
なお、上記測定に使用する高周波電圧プローブとオシロスコープの位置関係については、後述の図1に示してある。
本発明で規定する放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来るのである。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp-p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を印加することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数および高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが本発明の重要な点である。
また、第1の高周波電界の出力密度を高くすることで、放電の均一性を維持したまま、第2の高周波電界の出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマが生成でき、更なる製膜速度の向上と、膜質の向上が両立出来る。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置において、前記第1フィルタは、第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする。本発明において、かかる性質のあるフィルタであれば制限無く使用出来る。
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10pF〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルタとして使用出来る。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、前記対向電極間に導入したガスをプラズマ状態とし、前記対向電極間に静置あるいは電極間を移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
図1は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図1では図示してない(後述の図2に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加出来、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より低い周波数を印加出来る。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルター24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図2に図示してあるようなガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図2に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
また、図1に前述の高周波電界強度(印加電界強度)と放電開始電界強度の測定に使用する測定器を示した。25及び26は高周波電圧プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることが出来るので、何回も処理され高速で処理することも出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
図2は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
図2は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜20mA/cm2である。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させたガスGは、流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図3は、図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図3において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御するため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図4は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図4において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図3同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
図2に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図3及び4において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極および第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図1において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことが出来る電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることが出来る。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立出来る。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項および5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655号に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X線光電子分光法)により誘電体層の断層を分析することにより測定する。
本発明の薄膜形成方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化出来ること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることが出来る。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。更にJIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、大気圧プラズマ処理で用いられる電圧において絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、上記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、少なくとも放電ガスおよび薄膜形成ガスを含有する。放電ガスと薄膜形成ガスは混合して供給してもよいし、別々に供給してもかまわない。
放電ガスとは、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことの出来るガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本発明において、放電ガスとして好ましいのは窒素である。放電ガスの50〜100体積%が窒素ガスであることが好ましい。このとき、放電ガスとして窒素以外の放電ガスとしては、希ガスを50体積%未満含有することが好ましい。また、放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
薄膜形成ガスとは、それ自身が励起して活性となり、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料のことである。
次に、本発明に使用する薄膜を形成するために放電空間に供給するガスについて説明する。基本的に放電ガスと薄膜形成ガスであるが、更に、添加ガスを加えることもある。放電空間に供給する全ガス量中、放電ガスを90〜99.9体積%含有することが好ましい。
本発明に使用する薄膜形成ガスとしては、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等を挙げることが出来る。
本発明に有用な有機金属化合物は下記の一般式(I)で示すものが好ましい。
一般式(I)
1 xMR2 y3 z
式中、Mは金属、R1はアルキル基、R2はアルコキシ基、R3はβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、何れも0または正の整数である。R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることが出来る。R2のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることが出来る。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。R3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることが出来、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えば、アセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることが出来、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることが出来、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることが出来る。これらの基の炭素原子数は、上記例有機金属示化合物を含んで、18以下が好ましい。また例示にもあるように直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。
本発明において取り扱いの問題から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも一つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。このようなものとしてR2のアルコキシ基を少なくとも一つを含有する有機金属化合物、またR3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも一つ有する金属化合物が好ましい。
なお、具体的な有機金属化合物については後述する。
本発明において、放電空間に供給するガスには、放電ガス、薄膜形成性ガスの他に、薄膜形成の反応を促進する添加ガスを混合してもよい。添加ガスとしては、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アンモニア等を挙げることが出来るが、酸素、一酸素化炭素及び水素が好ましく、これらから選択される成分を混合させるのが好ましい。その含有量はガス全量に対して0.01〜5体積%含有させることが好ましく、それによって反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することが出来る。
上記形成された酸化物または複合化合物の薄膜の膜厚は、0.1〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明において、薄膜形成性ガスに使用する有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物の金属として、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることが出来る。
本発明の薄膜形成方法で、上記のような有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等の金属化合物を放電ガスと共に使用することにより様々な高機能性の薄膜を得ることが出来る。本発明の薄膜の例を以下に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
電極膜:Au、Al、Ag、Ti、Ti、Pt、Mo、Mo−Si
誘電体保護膜:SiO2、SiO、Si34、Al23、Al23、Y23
透明導電膜:In23、SnO2
エレクトロクロミック膜:WO3、IrO2、MoO3、V25
蛍光膜:ZnS、ZnS+ZnSe、ZnS+CdS
磁気記録膜:Fe−Ni、Fe−Si−Al、γ−Fe23、Co、Fe34、Cr、SiO2、AlO3
超導電膜:Nb、Nb−Ge、NbN
太陽電池膜:a−Si、Si
反射膜:Ag、Al、Au、Cu
選択性吸収膜:ZrC−Zr
選択性透過膜:In23、SnO2
反射防止膜:SiO2、TiO2、SnO2
シャドーマスク:Cr
耐摩耗性膜:Cr、Ta、Pt、TiC、TiN
耐食性膜:Al、Zn、Cd、Ta、Ti、Cr
耐熱膜:W、Ta、Ti
潤滑膜:MoS2
装飾膜:Cr、Al、Ag、Au、TiC、Cu
尚、上記窒化物の窒化度、酸化物の酸化度、硫化物の硫化度、炭化物の炭化度はあくまでも一例であり、金属との組成比は適宜変化して良い。また、薄膜には、上記金属化合物以外に、炭素化合物、窒素化合物、水素化合物等の不純物が含有されてもよい。
本発明において、特に好ましい金属化合物の金属は、上記のうちSi(珪素)、Ti(チタン)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、In(インジウム)及びAl(アルミニウム)であり、これらの金属と結合する金属化合物のうち、上記一般式(I)で示した有機金属化合物が好ましい。有機金属化合物の例示については後述する。
ここで、上記の高機能膜のうち反射防止膜(層)及び反射防止膜を積層した反射防止フィルム及び透明導電フィルムについて詳細に説明する。
本発明に係る高機能膜のうちの反射防止フィルムの反射防止層は中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層それぞれの薄膜が積層されたものである。
本発明に係る反射防止層薄膜形成性用のガス材料において、高屈折率層を形成するチタン化合物、中屈折率層を形成する錫化合物、低屈折率層を形成する珪素化合物について述べる。反射防止層を有する反射防止フィルムは、各屈折率層を基材上に直接または他の層を介して積層して得られるものであるが、積層は、例えば、図2のような大気圧プラズマ放電処理装置を、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に3層を積層するために、直列に3基並べて連続的に処理することが出来、この連続的積層処理は品質の安定や生産性の向上等から本発明の薄膜の形成に適している。また積層せずに、1層処理ごと、処理後巻き取り、逐次処理して積層してもよい。本発明において、反射防止層の上に防汚層を設ける場合には、上記のプラズマ放電処理装置を更にもう1基続けて設置し、4基並べて最後に防汚層を積層してもよい。また、反射防止層を設ける前に、基材の上に予めハードコート層や防眩層を塗布によって設けてもよく、また、その裏側に予めバックコート層を塗布によって設けてもよい。
本発明に係る反射防止フィルムの反射防止層薄膜形成性ガスには、適切な屈折率を得ることの出来る化合物であれば制限なく使用出来るが、本発明において、高屈折率層薄膜形成性ガスとしてはチタン化合物を、中屈折率層薄膜形成性ガスとしては錫化合物またはチタン化合物と珪素化合物の混合物(または高屈折率形成用のチタン化合物で形成した層と低屈折率層を形成する珪素化合物で形成した層を積層してもよい)を、また低屈折率層薄膜形成性ガスとしては珪素化合物、フッ素化合物、あるいは珪素化合物とフッ素化合物の混合物を好ましく用いることが出来る。これらの化合物を屈折率を調節するために、何れかの層の形成用薄膜形成性ガスとして2種以上混合して使用してもよい。
本発明に有用な中屈折率層薄膜形成性ガスに用いる錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、ジブチルジエトキシ錫、ブチル錫トリス(2,4−ペンタンジオナート)、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、エチルエトキシ錫、メチルメトキシ錫、イソプロピルイソプロポキシ錫、テトラブトキシ錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、ジブチリロキシ錫、ジエチル錫、テトラブチル錫、錫ビス(2,4−ペンタンジオナート)、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫(2,4−ペンタンジオナート)、ジメチル錫ジ(2,4−ペンタンジオナート)、ジアセトメチルアセタート錫、ジアセトキシ錫、ジブトキシジアセトキシ錫、ジアセトオキシ錫ジアセトアセトナート等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることが出来、何れも本発明において、好ましく用いることが出来る。また、これらの薄膜形成性ガスを2種以上同時に混合して使用してもよい。なお、このようにして、形成された酸化錫層は表面比抵抗値を1×1011Ω/cm2以下に下げることが出来るため、帯電防止層としても有用である。
本発明に有用な高屈折率層薄膜形成性ガスに使用するチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、トリエチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジ(2,4−ペンタンジオナート)、エチルチタントリ(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(アセトメチルアセタート)、トリアセトキシチタン、ジプロポキシプロピオニルオキシチタン等、ジブチリロキシチタン、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。またこれらの薄膜形成性ガスを2種以上を同時に混合して使用することが出来る。
本発明に有用な低屈折率層薄膜形成性ガスに使用する珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることが出来、有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジ(2,4−ペンタンジオナート)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることが出来る。また、前記フッ素化合物を使用することが出来る。これらの薄膜形成性ガスを2種以上を同時に混合して使用することが出来る。また、屈折率の微調整にこれら錫化合物、チタン化合物、珪素化合物を適宜2種以上同時に混合して使用してもよい。
上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、アルコキシ金属が好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、アルコキシ金属が好ましく用いられる。また、上記の有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体何れの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入出来るが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。有機錫化合物、有機チタン化合物または有機珪素化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシ金属、テトライソプロポキシ金属などの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記アルコキシ金属は、溶媒によって希釈して使用されても良く、この場合、希ガス中へ気化器等により気化して混合ガスに使用すればよい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。
薄膜形成性ガスについて、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、全ガス中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
なお、中屈折率層については、上記珪素化合物、上記チタン化合物または上記錫化合物を、目標とする屈折率に合わせて適宜混合することによっても得ることが出来る。
なお、各屈折率層の好ましい屈折率と膜厚は、例えば、中屈折率層の酸化錫層では屈折率として1.6〜1.8、また膜厚として50〜70nm程度、高屈折率層の酸化チタン層では屈折率として1.9〜2.4、また膜厚として80〜150nm程度、低屈折率層の酸化珪素層では屈折率として1.3〜1.5、また膜厚として80〜120nm程度である。
次に、本発明に係る高機能膜の他の例として透明導電膜を有する薄膜の形成について説明する。
前述の反射防止層を形成する際に使用する有機金属化合物の金属成分がインジウム等の透明性と導電性を有する薄膜を形成すると言う点が若干異なるが、有機基についてはほぼ同じような成分が用いられる。
透明導電膜を形成する好ましい有機金属化合物の金属は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)及び錫(Sn)から選ばれる少なくとも1種の金属である。
本発明において、好ましい有機金属化合物の好ましい例は、インジウムトリス(2,4−ペンタンジオナート)、インジウムトリス(ヘキサフルオロペンタンジオナート)、インジウムトリアセトアセタート、トリアセトキシインジウム、ジエトキシアセトキシインジウム、トリイソポロポキシインジウム、ジエトキシインジウム(1,1,1−トリフルオロペンタンジオナート)、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)インジウム、エトキシインジウムビス(アセトメチルアセタート)、ジ(n)ブチル錫ビス(2,4−ペンタンジオナート)、ジ(n)ブチルジアセトキシ錫、ジ(t)ブチルジアセトキシ錫、テトライソプロポキシ錫、テトラ(i)ブトキシ錫、ビス(2,4−ペンタンジオナート)亜鉛等を挙げることが出来る。これらの有機金属化合物は一般に市販(例えば、東京化成工業(株)等から)されている。
本発明においては、上記分子内に少なくとも1つの酸素原子を有する有機金属化合物の他に、該有機金属化合物から形成された透明導電膜の導電性を更に高めるために該透明導電膜をドーピングすることが好ましく、薄膜形成性ガスとしての該有機金属化合物とドーピング用有機金属化合物ガスを同時に混合して用いることが好ましい。ドーピングに用いられる有機金属化合物またはフッ素化合物の薄膜形成性ガスとしては、例えば、トリイソプロポキシアルミニウム、トリス(2,4−ペンタンジオナート)ニッケル、ビス(2,4−ペンタンジオナート)マンガン、イソプロポキシボロン、トリ(n)ブトキシアンチモン、トリ(n)ブチルアンチモン、ジ(n)ブチルビス(2,4−ペンタンジオナート)錫、ジ(n)ブチルジアセトキシ錫、ジ(t)ブチルジアセトキシ錫、テトライソプロポキシ錫、テトラブトキシ錫、テトラブチル錫、亜鉛ジ(2,4−ペンタンジオナート)、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン、四フッ化メタン等を挙げることが出来る。
前記透明導電膜を形成するに必要な有機金属化合物と上記ドーピング用の薄膜形成性ガスの比は、製膜する透明導電膜の種類により異なるが、例えば、酸化インジウムに錫をドーピングして得られるITO膜においては、InとSnの比の原子数比が100:0.1〜100:15の範囲になるように薄膜形成性ガス量を調整することが必要である。好ましくは、100:0.5〜100:10になるよう調整することが好ましい。酸化錫にフッ素をドーピングして得られる透明導電膜(FTO膜という)においては、得られたFTO膜のSnとFの比の原子数比が100:0.01〜100:50の範囲になるよう薄膜形成性ガスの量比を調整することが好ましい。In23−ZnO系アモルファス透明導電膜においては、InとZnの比の原子数比が100:50〜100:5の範囲になるよう薄膜形成性ガスの量比を調整することが好ましい。In:Sn比、Sn:F比及びIn:Zn比の各原子数比はXPS測定によって求めることが出来る。
本発明において、透明導電薄膜形成性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
本発明において、得られる透明導電膜は、例えば、SnO2、In23、ZnOの酸化物膜、またはSbドープSnO2、FドープSnO2(FTO)、AlドープZnO、SnドープIn23(ITO)等ドーパントによるドーピングした複合酸化物を挙げることが出来、これらから選ばれる少なくとも一つを主成分とするアモルファス膜が好ましい。またその他にカルコゲナイド、LaB6、TiN、TiC等の非酸化物膜、Pt、Au、Ag、Cu等の金属膜、CdO等の透明導電膜を挙げることが出来る。
上記形成された酸化物または複合酸化物の透明導電膜の膜厚は、0.1〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明に用いられる基材について説明する。
本発明に用いられる基材としては、板状、シート状またはフィルム状の平面形状のもの、あるいはレンズその他成形物等の立体形状のもの等の薄膜をその表面に形成出来るものであれば特に限定はない。基材が静置状態でも移送状態でもプラズマ状態の混合ガスに晒され、均一の薄膜が形成されるものであれば基材の形態または材質には制限ない。形態的には平面形状、立体形状でもよく、平面形状のものとしては、ガラス板、樹脂フィルム等を挙げることが出来る。材質的には、ガラス、樹脂、陶器、金属、非金属等様々のものを使用出来る。具体的には、ガラスとしては、ガラス板やレンズ等、樹脂としては、樹脂レンズ、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板等を挙げることが出来る。
樹脂フィルムは本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置の電極間または電極の近傍を連続的に移送させて透明導電膜を形成することが出来るので、スパッタリングのような真空系のようなバッチ式でない、大量生産に向き、連続的な生産性の高い生産方式として好適である。
樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂レンズ、樹脂成形物等成形物の材質としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等を挙げることが出来る。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することも出来る。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカ(株)製)などの市販品を好ましく使用することが出来る。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延製膜、溶融押し出し製膜等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより使用することが出来るものを得ることが出来る。
これらのうち光学的に等方性に近いセルロースエステルフィルムが本発明の光学素子に好ましく用いられる。セルロースエステルフィルムとしては、上記のようにセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられるものの一つである。セルローストリアセテートフィルムとしては市販品のコニカタックKC4UX等が有用である。
これらの樹脂の表面にゼラチン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂等を塗設したものも使用出来る。またこれら樹脂フィルムの薄膜側に防眩層、クリアハードコート層、バリア層、防汚層等を設けてもよい。また、必要に応じて接着層、アルカリバリアコート層、ガスバリア層や耐溶剤性層等を設けてもよい。
また、本発明に用いられる基材は、上記の記載に限定されない。フィルム形状のものの膜厚としては10〜1000μmが好ましく、より好ましくは40〜200μmである。
本発明を実施例により詳述するが、これらに限定されない。
実施例1(薄膜形成)
〔条件〕
図2に示した大気圧プラズマ放電処理装置を使用し、基材としてのコニカタックKC8UXの上に、下記組成の混合ガスを用いて、表1に示す条件1〜15でそれぞれ順に薄膜形成した薄膜形成試料1a〜15aを得た。
〈混合ガス組成〉
放電ガス:窒素 96.9体積%
薄膜形成性ガス:テトライソプロポキシチタン 0.1体積%
添加ガス:水素 3.0体積%
Figure 2005272957
〔評価〕
以下の基準で放電状態を評価し、以下の条件で屈折率を測定した。
〈放電状態〉
対向電極間で放電の状況を下記のランクに分けた。
○:安定した放電が起こっている
△:放電はしているがやや不安定
×:全く放電が起こらない。
〈屈折率〉
各試料につき分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件で反射スペクトルの測定を行った。測定は反射防止フィルムの反射防止層のない側の面を粗面化処理した後、黒色スプレーを用いて光吸収処理を行い反射防止フィルムの裏面の光の反射を防止して、400〜700nmの波長の反射スペクトルを測定し、該スペクトルのλ/4値より光学膜厚を算出し、それをもとに屈折率を算出した。なお、屈折率が低いということは、層の構造に緻密さに欠けて孔が多数あり、測定時に孔に空気が入ることによる現象や、放電空間で生じたパーティクルが膜中にとり込まれる場合があり不良な膜である。
(結果)
薄膜形成試料1a〜15aについての放電状態の評価結果と屈折率の測定結果を表2に示した。
Figure 2005272957
本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にある薄膜形成試料1a〜10aについては、放電状況もよく、緻密な薄膜(屈折率が高い程、密度が高く良質な膜と判断出来る)が形成された。これに対して、本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にない薄膜形成試料11a〜15aでは、放電は良好であっても薄膜形成する能力が不足し、孔が多く緻密な薄膜が得られず(屈折率が小さい)、または、放電が起こらず薄膜の形成が出来なかった。
実施例2(エッチング)
〔条件〕
図1に示した大気圧プラズマ放電処理装置を使用し、基材としてSiO2膜によりコーティングされたシリコンウエハのSiO2膜を、下記組成の混合ガスを用いて、表1に示す条件1でそれぞれ順にエッチングしたエッチング試料1b〜15bを得た。
〈混合ガス組成〉
放電ガス:窒素 95.0体積%
エッチングガス:フッ化メタン 5.0体積%
〔評価〕
SiO2膜のエッチング速度を測定するとともに、基材の状態を観察した。
(結果)
エッチング試料1b〜15bについてのエッチング速度と基材状態の観察結果を表3に示した。
Figure 2005272957
本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にあるエッチング試料1b〜10bについては、エッチング速度が速く、基材状態も良好であった。これに対して、本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にないエッチング試料11b〜15bでは、エッチング速度が遅くて、表面が白濁する結果となるか(試料11b〜13b)又はエッチングの効果が認められなかった(試料14b,15b)。
実施例3(洗浄)
〔条件〕
図1に示した大気圧プラズマ放電処理装置を使用し、基材としてのガラス基板上を、下記組成の混合ガスを用いて、表1に示す条件1でそれぞれ順に洗浄した洗浄試料1c〜15cを得た。
〈混合ガス組成〉
放電ガス:窒素 95.0体積%
洗浄ガス:酸素ガス 5.0体積%
〔評価〕
ガラス基板上の一定量のカーボン成分の除去に要した洗浄時間を測定するとともに、基材の状態を観察した。
(結果)
洗浄試料1c〜15cについての洗浄時間と基材状態の観察結果を表4に示した。
Figure 2005272957
本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にあるエッチング試料1c〜10cについては、洗浄時間が短く(従って、洗浄速度が速く)、基材状態も良好であった。これに対して、本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にないエッチング試料11c〜15cでは、洗浄時間が長くかかるもの(試料11c〜13c)、洗浄ができないもの(洗浄効果が認められないもの)があった(試料14c,15c)。洗浄効果が認められても変形が認められないもの(試料11c)、表面に有機物が残存し、十分な洗浄効果が得られないものがあった(試料12c,13c)。
実施例4(親水化)
〔条件〕
図2に示した大気圧プラズマ放電処理装置を使用して親水化実験をおこなった。このとき、角筒型固定電極群36のうち図2に示す位置の一つの角筒型固定電極36−1のみを第2電極とした。表面速500m/秒で搬送される基材としてのPETフィルムに対し、下記組成の混合ガスを用いて、表1に示す条件1〜15でそれぞれ順に親水化処理を施した親水化試料1d〜15dを得た。
〈混合ガス組成〉
放電ガス:窒素 95.0体積%
親水化ガス:酸素ガス 5.0体積%
〔評価〕
基材に対する水の接触角を測定するとともに、基材状態を観察した。
(結果)
薄膜形成試料1d〜15dについての接触角の測定結果と基材状態の観察結果を表5に示した。
Figure 2005272957
本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にある薄膜形成試料1d〜10dについては、接触角が小さく、従って、親水度が良好であるとともに、表面の状態も良好であった。これに対して、本発明の電子密度範囲及び電子温度範囲にない薄膜形成試料11d〜15dでは、接触角が大きく、従って、親水度が芳しくないとともに、表面が白濁するものと(試料11d〜13d)、親水化できない(親水化の効果が認められない)ものがあった(試料14d,15d)。
本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体を有するロール回転電極の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
符号の説明
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
20 電界印加手段
21 第1電源
22 第2電源

Claims (53)

  1. 電子密度が1×1010〜1×1015cm-3であり、電子温度が0.5〜1.5eVであるプラズマを大気圧もしくはその近傍の圧力下で発生させて基材の表面処理を行う表面処理方法。
  2. 放電ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記表面処理が、表面処理ガスとして薄膜形成ガスを用いて前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  4. 前記薄膜形成ガスが、有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項3に記載の表面処理方法。
  5. 前記有機金属化合物が、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物および有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の表面処理方法。
  6. 前記表面処理が、表面処理ガスとしてエッチングガスを用いて前記基材表面をエッチングするエッチングであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  7. 前記エッチングガスが、ハロゲン系ガスを含有することを特徴とする請求項6に記載の表面処理方法。
  8. 前記表面処理が、表面処理ガスとして洗浄ガスを用いて前記基材表面を洗浄する洗浄であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  9. 前記洗浄ガスが、酸素ガスを含有することを特徴とする請求項8に記載の表面処理方法。
  10. 前記表面処理が、表面処理ガスとして親水化ガスを用いて前記基材表面を親水化する親水化であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  11. 前記親水化ガスが、窒素ガス、水素ガス、アンモニアガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気のうち何れか一又は二以上を含有することを特徴とする請求項10に記載の表面処理方法。
  12. 前記表面処理が、表面処理ガスとして疎水化ガスを用いて前記基材表面を疎水化する疎水化であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  13. 前記疎水化ガスが、炭化水素及び/又はフッ化炭化水素ガスを含有することを特徴とする請求項12に記載の表面処理方法。
  14. 大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスを含有するガスを供給し、
    前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
    前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
    前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
    前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
    1≧IV>V2
    または V1>IV≧V2 を満たし、
    前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法。
  15. 前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項14に記載の表面処理方法。
  16. 前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項14または15に記載の表面処理方法。
  17. 前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項16に記載の表面処理方法。
  18. 前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  19. 前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項18に記載の表面処理方法。
  20. 前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項14乃至19いずれか1項に記載の表面処理方法。
  21. 前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  22. 前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が放電ガスであることを特徴とする請求項14乃至21の何れか1項に記載の表面処理方法。
  23. 前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項22に記載の表面処理方法。
  24. 前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項22または23に記載の表面処理方法。
  25. 請求項1乃至24の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材。
  26. 大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスおよび窒素ガスを含む放電ガスを含有するガスを供給し、
    前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
    前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
    前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
    前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
    1≧IV>V2
    または V1>IV≧V2 を満たし、
    前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法。
  27. 前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項26に記載の表面処理方法。
  28. 前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項26または27に記載の表面処理方法。
  29. 前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項28に記載の表面処理方法。
  30. 前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項26乃至29のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  31. 前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項26乃至30のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  32. 前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項26乃至31のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  33. 前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項27乃至32のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  34. 前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が前記放電ガスであることを特徴とする請求項26乃至33の何れか1項に記載の表面処理方法。
  35. 前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項34に記載の表面処理方法。
  36. 前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項34または35に記載の表面処理方法。
  37. 前記周波数ω1が、200kHz以下であることを特徴とする請求項26乃至36のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  38. 前記周波数ω2が、800kHz以上であることを特徴とする請求項26乃至37のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  39. 請求項26乃至38の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材。
  40. 大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に表面処理ガスを含有するガスを供給し、
    前記放電空間に高周波電界を印加することにより前記ガスを励起し、基材を励起した前記ガスに晒すことにより前記基材の表面処理を行う表面処理方法において、
    前記高周波電界が、第1の高周波電界および第2の高周波電界を重畳したものであり、
    前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、
    前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2および放電開始電界の強さIVとの関係が、
    1≧IV>V2
    または V1>IV≧V2 を満たし、
    前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上で、且つ、前記第2の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の表面処理方法。
  41. 前記放電空間が、対向する第1電極と第2電極とで構成されることを特徴とする請求項40に記載の表面処理方法。
  42. 前記第2の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項40または41に記載の表面処理方法。
  43. 前記第2の高周波電界の出力密度が、20W/cm2以下であることを特徴とする請求項42に記載の表面処理方法。
  44. 前記第1の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上であることを特徴とする請求項40乃至43のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  45. 前記第1の高周波電界の出力密度が、50W/cm2以下であることを特徴とする請求項44に記載の表面処理方法。
  46. 前記第1の高周波電界および前記第2の高周波電界がサイン波であることを特徴とする請求項40乃至45のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  47. 前記第1の高周波電界を前記第1電極に印加し、前記第2の高周波電界を前記第2電極に印加することを特徴とする請求項41乃至46のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  48. 前記放電空間に供給される全ガス量の50〜99.9体積%が放電ガスであることを特徴とする請求項40乃至47の何れか1項に記載の表面処理方法。
  49. 前記放電ガスが、50〜100体積%の窒素ガスを含有することを特徴とする請求項48に記載の表面処理方法。
  50. 前記放電ガスが、50体積%未満の希ガスを含有することを特徴とする請求項48または49に記載の表面処理方法。
  51. 前記第1の高周波電界の電流I1より、前記第2の高周波電界の電流I2の方が高いことを特徴とする請求項40乃至50の何れか1項に記載の表面処理方法。
  52. 前記周波数ω2の前記周波数ω1に対する比が、100倍以上であることを特徴とする請求項51に記載の表面処理方法。
  53. 請求項40乃至52の何れか1項に記載の表面処理方法により表面処理された表面を有することを特徴とする基材。
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