JPH11241165A - 表面処理品の製造方法 - Google Patents

表面処理品の製造方法

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JPH11241165A
JPH11241165A JP4539398A JP4539398A JPH11241165A JP H11241165 A JPH11241165 A JP H11241165A JP 4539398 A JP4539398 A JP 4539398A JP 4539398 A JP4539398 A JP 4539398A JP H11241165 A JPH11241165 A JP H11241165A
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JP
Japan
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electrodes
gas
electric field
base material
thin film
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP4539398A
Other languages
English (en)
Inventor
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Tomoyuki Bessho
知之 別所
Mamoru Hino
守 日野
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧近傍の圧力の下で、基材の片面に連続
的に製膜でき、且つ、膜厚及び膜質の均一性に優れた積
層体の製造方法を提供する。また、薄膜と基材等との密
着性に優れた表面処理品の製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方の対向面に固体誘電体6
0〜63が設置された対向電極30/40、31/41
間に処理用ガス90、91を導入して、大気圧近傍の圧
力となし、対向電極30/40、31/41間に電圧立
ち上がり時間が100μs以下、電界強度が1〜100
kV/cmのパルス化された電界を印加することによ
り、放電プラズマを発生させるとともに、前記対向電極
対向電極30/40、31/41間に、基材12を連続
して、且つ、何れか一方の対向面30、31に密着させ
て通過させる。基材又は少なくとも1種の薄膜が積層さ
れた面に予めプラズマ処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理品の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック、金属、紙、繊維などから
なる基材は、家庭用、工業用材料として広く利用されて
いるが、その表面に電気特性、光学特性、機械特性など
の特定の機能が付与されれば、その用途が更に拡大さ
れ、又、大きな付加価値を有するようになる。
【0003】上記のような基材の表面に特定の機能を付
与した薄膜を積層してなる表面処理品を製造する方法と
しては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビ−ム
法、イオンプレ−ティング法、減圧下でのグロー放電を
利用したプラズマCVD法などが知られている。しか
し、これらの方法は、いずれも真空系で行われ、真空チ
ャンバー、大型真空ポンプなど大がかりな設備が必要で
あり、製造には各種の限界がある。
【0004】長尺基材の表面に薄膜を真空系で形成する
には、製造にバッチ方式と連続方式の2種類がある。バ
ッチ方式に於いては、薄膜形成が減圧・閉鎖系で行わ
れ、基材を長尺に巻いたロールを真空チャンバーに入
れ、この中でロールから基材を巻き出しながら表面に薄
膜が成膜される。この方式では、原料の搬入や製品の搬
出ごとに、真空の解除と形成を繰り返さなくてはならな
く、設備の大きさにより、基材ロールの直径、薄膜原料
などの容量に限界がでるので、生産効率も悪くなる。
【0005】連続方式に於いては、減圧状態を得るため
に差動排気方式を用い、大気圧から減圧下へ徐々に排気
を行って、薄膜の成膜に必要な真空度を連続的に保持し
た空間中で薄膜が形成される。この方式は、ロール基材
の搬入や原料補充は容易であるが、薄膜形成装置内への
空気の流入以上に排気を行って真空度を保持する必要が
あるので、大容量の真空ポンプが必要となり、設備の巨
大化は避けられない。
【0006】又、一つの基材に複数の機能を付与した
り、より高度な機能を添加する場合は、複数種の薄膜を
積層する試みがなされている。しかし、工業的に多層膜
を形成する場合は、バッチ方式では、真空の形成−薄膜
の成膜−真空の解除のサイクルを、層の種類毎に、繰り
返さなくてはならないため、極めて非能率的で、現実的
でない。又、連続方式では、単層でも大規模な設備が必
要であり、多層膜形成のプロセスの導入は困難である。
更に、連続方式は、設備投資上、少量多種の対応が困難
であり、基材に特定機能を個々に付加する用途への対応
などは極めて困難であった。
【0007】上述のような表面処理品を製造する方法
は、種々の提案がなされ、例えば、特開平2−1817
01号公報、(特表平3−518202)号公報には、
真空蒸着法に於いて、電子銃の入射角度や蒸着ロールと
蒸着源との角度を制御して、基材の表面に積層膜を形成
する方法が提案されているが、差動排気方式を用いた連
続方式に変わりはなく、実施するには設備投資が過大と
なり過ぎるので、極めて非能率的であることを承知しな
がら、バッチ方式を採用せざるを得なかった。
【0008】さらに、反射防止の向上のため、基材の片
面のみに薄膜を形成する場合に於いては、膜質を均一に
するために、蒸着源と基材の位置を極めて厳密に設計制
御する必要があり、さらに蒸発物が基材の裏面に回り込
むことを防ぐため、基材の保護を行ったり、邪魔板を設
けたりするなど、設備が大型化していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決し、その第1の目的は、大気圧近傍の圧力の下で、
基材の片面に連続的に製膜でき、且つ、膜厚及び膜質の
均一性に優れた表面処理品の製造方法を提供することに
あり、その第2の目的は、薄膜と基材等との密着性に優
れた表面処理品の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の表面処
理品の製造方法(以下、「本発明」という)は、少なく
とも一方の対向面に固体誘電体が設置された対向電極間
に処理用ガスを導入して、大気圧近傍の圧力となし、対
向電極間に電圧立ち上がり時間が100μs以下、電界
強度が1〜100kV/cmのパルス化された電界を印
加することにより、放電プラズマを発生させるととも
に、前記対向電極間に、基材を連続して、且つ、何れか
一方の対向面に密着させて通過させるものである。
【0011】本発明に於いて、大気圧近傍の圧力下と
は、13.3〜106.4kPaの圧力下を意味し、圧
力調整が容易で、装置が簡便になる93.1〜103.
74kPaの範囲が好ましい。
【0012】大気圧近傍の圧力下では、ヘリウム、ケト
ン等の特定のガス以外は、安定したプラズマ放電状態が
保持されずに、瞬時にアーク放電状態に移行することが
知られている。しかし、パルス化された電界を印加する
と、アーク放電に移行する前に放電を止め、再び放電を
開始するというサイクルが実現し、安定して放電プラズ
マを発生させることができる。
【0013】本発明に於ける特定のパルス化された電界
を印加する方法によれば、プラズマ発生空間中に存在す
る気体の種類を問わず放電プラズマを発生させることが
可能である。従来より、放電プラズマを利用する処理
は、公知の低圧条件下でも、特定のガス雰囲気下でも、
外気から遮断された密閉容器内で行うことが必須であっ
たが、本発明によれば、開放系でも、気体の自由な流失
を防ぐ程度の低気密系でも実施でき、且つ、高密度のプ
ラズマ状態を実現できる。
【0014】本発明に於いて、電界強度が1〜100k
V/cmで、立ち上がり時間が100μs以下という、
急峻な立ち上がりを有するパルス電界を印加することに
より、プラズマ発生空間中に存在する気体分子が、効率
よく励起する。立ち上がりが遅いパルス電界を印加する
ことは、異なる大きさを有するエネルギーを段階的に投
入することに相当し、まず低エネルギーで電離する分
子、即ち、第一イオン化ポテンシャルの小さい分子の励
起が優先的に起こり、次に高いエネルギーが投入された
際には既に電離している分子がより高い準位に励起し、
プラズマ発生空間中に存在する分子を効率よく電離する
ことは難しい。これに対して、立ち上がり時間が100
μs以下であるパルス電界によれば、空間中に存在する
分子に一斉にエネルギーを与えることに相当し、空間中
の電離した状態にある分子の絶対数が多くなり、プラズ
マ密度が高くなることになる。
【0015】放電プラズマが発生する部位は、上記電極
の一方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体と電
極の間、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合
は、固体誘電体同士の間の空間である。
【0016】電極としては、例えば、銅、アルミニウム
等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合
物等からなるものが挙げられる。対向電極は、電界集中
によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の
距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条
件を満たす電極構造としては、平行平板型、双曲面対向
平板型、同軸円筒型構造等が挙げられる。電極端部が鋭
敏であると、端部でアーク放電が発生する虞があるた
め、端部はテーパー加工してあることが好ましい。
【0017】固体誘電体としては、電極の対向面の一方
又は双方に設置する。この際、固体誘電体と設置される
側の電極が密着し、且つ、接する電極の対向面を完全に
覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極同
士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が
生じる。
【0018】固体誘電体としては、例えば、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプ
ラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、
二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チ
タン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0019】固体誘電体の形状は、シート状でもフィル
ム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであることが
好ましい。厚過ぎると、放電プラズマを発生するのに高
電圧を要し、薄過ぎると、電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生する。
【0020】又、固体誘電体は、比誘電率が2以上(2
5°C環境下、以下同)であることが好ましい。比誘電
率が2以上の誘電体の具体例としては、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化物からなる膜
等を挙げることができる。更に、高密度の放電プラズマ
を安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の
固定誘電体を用いことが好ましい。比誘電率の上限は、
特に限定されるものではないが、現実の材料では18,
500程度のものが知られている。比誘電率が10以上
の固体誘電体としては、酸化チタニウム5〜50重量
%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金
属酸化物薄膜、又は、酸化ジルコニウムを含有する金属
酸化物薄膜からなり、その薄膜の厚みが10〜1000
μmであるものを用いることが好ましい。
【0021】電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、印加
電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決
定されるが、1〜50mmであることが好ましい。1m
m未満では、電極間の距離が小さ過ぎて、基材などを通
過させることが難しく、50mmを超えると、均一なグ
ロー放電プラズマを発生させることが困難となる。
【0022】本発明に於いては、上記電極間に印加され
る電界がパルス化されたものであり、電圧立ち上がり時
間が100μs以下、電界強度が1〜100kV/cm
となされている。
【0023】図1にパルス電圧波形の例を示す。波形
(A)、(B)はインパルス型、波形(C)は方形波
型、波形(D)は変調型の波形である。図1には電圧印
加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負の
いずれかの極性側に電圧を印加する、いわゆる片波状の
波形を用いてもよい。
【0024】本発明に於けるパルス電圧波形は、ここで
挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時間
が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行
われる。パルスの立ち上がり時間が100μsを超える
と、放電状態がアークに移行し易く不安定なものとな
り、パルス電界による高密度プラズマ状態を期待できな
くなる。又、立ち上がり時間は早い方がよいが、常圧で
プラズマが発生する程度の大きさの電界強度を有し、且
つ、立ち上がり時間が早い電界を発生させる装置には制
約があり、現実的には40ns未満の立ち上がり時間の
パルス電界を実現することは困難である。立ち上がり時
間は、50ns〜5μsがより好ましい。尚、ここでい
う立ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時
間を意味する。
【0025】又、パルス電界の立ち下がり時間も急峻で
あることが好ましく、立ち上がり時間と同様の100μ
s以下のタイムスケールであることが好ましい。パルス
電界発生技術によっても異なるが、例えば、本発明の実
施例で使用した電源装置では、立ち上がり時間と立ち下
がり時間が同じ時間に設定できる。
【0026】更に、パルス波形、立ち上がり時間、周波
数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。
【0027】上記放電は電圧の印加によって行われる。
電圧の大きさは適宜決められるが、本発明に於いては、
電極間の電界強度が1〜100kV/cmとなる範囲に
する。1kV/cm未満であると処理に時間がかかり過
ぎ、100kV/cmを超えるとアーク放電が発生し易
くなる。なお、上記電界強度は実効電圧ではなく、電極
間に印加された電圧のピーク−ピークの値を電極間距離
で除したものをいう。又、パルス電圧の印加に於いて、
直流を重畳してもよい。
【0028】このようなパルス電圧の印加に使用される
電源としては、例えば、特願平9−186314号に記
載のものが使用される。
【0029】上記の方法により得られる放電に於いて、
対向電極間の放電電流密度は、0.2〜300mA/c
2 となされていることが好ましい。
【0030】上記放電電流密度とは、放電により電極間
に流れる電流値を、放電空間に於ける電流の流れ方向と
直交する方向の面積で除した値を言い、電極として平行
平板型のものを用いた場合には、その対向面積で上記電
流値を除した値に相当する。本発明では電極間にパルス
電界を形成するため、パルス状の電流が流れるが、この
場合にはそのパルス電流の最大値、つまりピーク−ピー
ク値を、上記の面積で除した値をいう。
【0031】大気圧近傍の圧力下でのグロー放電では、
下記に示すように、放電電流密度がプラズマ密度を反映
し、表面処理品の製造を左右する値であることが、本発
明者らの研究により明らかにされており、電極間の放電
電流密度を前記した0.2〜300mA/cm2 の範囲
とすることにより、均一な放電プラズマを発生して良好
な表面処理品の製造結果を得ることができる。
【0032】本発明に使用される基材としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフ
ェニレンサルファイト、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラス
チック、ガラス、セラミック、金属等が挙げられる。基
材の形状としては、特に限定されるものではないが、連
続して処理を行うので、板状、フィルム状、パイプ状な
ど長尺型の基材に適している。
【0033】本発明に於いて、後述する金属元素含有ガ
スのみでなく、放電プラズマ発生空間に存在する気体
(以下、処理用ガスと呼ぶ)の選択により任意の薄膜の
積層が可能である。
【0034】処理用ガスとしては、フッ素含有化合物ガ
スを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形
成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得るこ
とができる。
【0035】フッ素元素含有化合物としては、6フッ化
プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロブタ
ン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物が挙げられる。
安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成し
ない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用い
る。
【0036】各組毎の対向電極間に導入する処理用ガス
は、公知の方法で導入でき、例えばスリットやノズル状
のガス供給器によって処理用ガスを吹き出す方法、基材
処理面に対向する電極に所望の方向に処理用ガスを供給
する孔を設けてこれを吹き出す方法、ポンプ、ブロア
ー、送風機を用いて電極間に供給・循環する方法等が挙
げられる。
【0037】又、分子内に親水性基と重合性不飽和結合
を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、
親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性
基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、
1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級ア
ンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親
水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖
を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積
が可能である。
【0038】上記モノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メ
タクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリ
ル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリル
アルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアク
リル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1
種が使用できる。
【0039】本発明に於いて請求項2に記載したよう
に、複数組隣接されて設けられた対向電極間に、基材を
連続して、且つ、何れか一方の対向面に密着させて通過
させることにより、各組毎に同種又は異種の薄膜が順次
連続的に堆積させて、表面処理品を製造することができ
る。
【0040】この場合、対向電極が複数組隣接して配置
され、該対向電極の少なくとも一方の対向面に固体誘電
体が設置されている装置に於いて行われる。従って、本
発明の各小単位の放電プラズマ処理装置は、上記条件を
満足すれば、全ての対向電極の固体誘電体の配置が同一
である必要はない。
【0041】この場合、各組の対向電極が収納されてい
る領域は、それぞれ独立した小単位の放電プラズマ処理
装置を構成し、該装置に処理用ガスが大気圧近傍の圧力
となるように供給され、基材は公知の方法により、対向
電極間の空間を連続的に走行させられ、順次、次の小単
位の放電プラズマ処理装置に導入される。
【0042】本発明に於いて請求項3に記載したよう
に、パルス化された電界は、周波数が0.5〜100k
Hz、パルス継続時間が1〜1000μsとなされてい
るのが好ましい。
【0043】パルス電界の周波数は、0.5kHz未満
であると、プラズマ密度が低いため処理に時間がかかり
すぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発生し易く
なる。より好ましくは、1kHz以上であり、このよう
な高周波数のパルス電界を印加することにより、処理速
度を大きく向上させることができる。
【0044】又、上記パルス電界に於けるパルス継続時
間は、1μs未満であると放電が不安定なものとなり、
1000μsを超えると、アーク放電に移行し易くな
る。より好ましくは、3μs〜200μsである。ここ
で、一つのパルス継続時間とは、図2中に例を示してあ
るが、ON、OFFの繰り返しからなるパルス電界に於
ける、パルスが連続する時間をいう。図2(a)のよう
な間欠型のパルスでは、パルス継続時間はパルス幅時間
と等しいが、図2(b)のような波形のパルスでは、パ
ルス幅時間とは異なり、一連の複数のパルスを含んだ時
間をいう。
【0045】更に、放電を安定させるためには、放電時
間1ms内に、少なくとも1μs継続するOFF時間を
有することが好ましい。
【0046】本発明に於いて請求項4に記載したよう
に、複数組の対向電極のいずれか1組以上に導入される
処理用ガスが、金属元素含有ガスを含むものが好まし
い。
【0047】このような金属元素含有ガスを含む雰囲気
は放電状態が安定し難く、本発明のパルス化された電界
を用いる方法によらないと処理を行うことができない。
上記金属としては、例えば、Al、As、Au、B、B
i、Sb、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Fe、G
a、Ge、Hg、Hf、In、Ir、Li、Mg、M
n、Mo、Na、Ni、P、Pb、Po、Pt、Rh、
Se、Si、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Y、Z
n、Zr等の金属が挙げられ、該金属を含有するガスと
しては、金属有機化合物、金属−ハロゲン化合物、金属
−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコキシ
ド等の処理用ガスが挙げられる。
【0048】具体的には、金属がSiである場合を例に
とって説明すると、テトラメチルシラン〔Si(C
3 4 〕、ジメチルシラン〔Si(CH3
2 2 〕、テトラエチルシラン〔Si(C2 5 4
等の有機金属化合物;4フッ化珪素(SiF4 )、4塩
化珪素(SiCl4 )、2塩化珪素(SiH2 Cl2
等の金属ハロゲン化合物;モノシラン(SiH4 )、ジ
シラン(SiH3 SiH3 )、トリシラン(SiH3
iH2 SiH3 )等の金属水素化合物;テトラメトキシ
シラン〔Si(OCH3 4 〕、テトラエトキシシラン
〔Si(OC2 5 4 〕等の金属アルコキシド等が挙
げられ、必要に応じて、他の金属を含めこれらの少なく
とも1種が使用できる。上記の金属含有ガスに於いて、
安全性を考慮して、金属アルコキシドや金属ハロゲン化
合物などの常温、大気中で発火、爆発など危険性がない
ものが好ましく、腐食性、有害ガスの発生の点から、金
属アルコキシドが好適に使用される。
【0049】上記の金属含有ガスが気体であれば、放電
空間にそのまま導入することができるが、液体、固体状
であれば、気化装置を経て放電空間に導入すればよい。
【0050】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガス単独の雰囲気よりも、希釈ガスで薄められた雰囲気
中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、例
えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガ
ス、窒素ガス等が挙げられ、これらの少なくとも1種が
使用される。又、希釈ガスを用いる場合、処理用ガスの
割合は1〜10体積%であることが好ましい。
【0051】尚、上述したように、雰囲気ガス(処理用
ガス)としては電子を多く有する化合物のほうがプラズ
マ密度を高め高速処理を行う上で有利である。しかし、
アルゴン又は窒素が、入手が容易で、安価である点で好
適である。
【0052】本発明に於いて請求項5に記載したよう
に、基材又は少なくとも1種の薄膜が積層された面に予
めプラズマ処理するのも、基材と薄膜、又は、薄膜同士
の密着性の向上に好ましい。
【0053】予めプラズマ処理する際の雰囲気は上記基
材及び薄膜を著しく劣化させるものでなければ特に限定
されないが、経済性及び安全性の観点から、例えば、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素
ガス等が挙げられ、これらの少なくとも1種が使用され
る。
【0054】予めプラズマ処理する際の印加電圧は、低
すぎると基材と薄膜、又は、薄膜同士の密着性の向上が
少なく、高すぎると放電がアーク化するため、プロセス
が安定しないので、アルゴン雰囲気では1〜2kVが好
ましく、さらに好ましくは1.2〜1.7kVであり、
窒素雰囲気では6〜11kVが好ましく、さらに好まし
くは7〜8.5kVである。
【0055】また、プラズマ処理する際の周波数は、低
すぎると基材と薄膜、又は、薄膜同士の密着性の向上が
少なく、高すぎるとプラズマ密度が高くなり、基材又は
薄膜が平滑に削られるため、基材と薄膜、又は、薄膜同
士の密着性の向上が少なくなるので、アルゴン雰囲気、
又は、窒素雰囲気では1〜8kHzが好ましく、さらに
好ましくは2〜4kHzである。
【0056】さらに、プラズマ処理に必要な時間は、短
すぎると基材と薄膜、又は、薄膜同士の密着性の向上が
少なく、長すぎると、基材又は薄膜が平滑に削られるた
め、基材と薄膜、又は、薄膜同士の密着性の向上が少な
くなるので、アルゴン雰囲気、又は、窒素雰囲気では5
〜20secが好ましい。
【0057】(作用)本発明の表面処理品の製造方法
は、少なくとも一方の対向面に固体誘電体が設置された
対向電極間に処理用ガスを導入して、大気圧近傍の圧力
となし、対向電極間に電圧立ち上がり時間が100μs
以下、電界強度が1〜100kV/cmのパルス化され
た電界を印加することにより、放電プラズマを発生させ
るとともに、前記対向電極間に、基材を連続して、且
つ、何れか一方の対向面に密着させて通過させるもので
あるから、処理用ガスが対向電極間に導入されて、大気
圧近傍の圧力となされた状態で、パルス化された電界を
印加して、安定化した高密度プラズマを発生させると同
時に、対向電極に所定のパルス電界が印加されることに
より、前記処理用ガスに依存した放電プラズマが発生
し、この放電プラズマ中を通過する基材に薄膜が形成さ
れる。
【0058】ここで、対向電極の間に基材を連続して、
且つ、何れか一方の対向面に密着させて通過させること
により、基材がばたつくことなく電極間を走行し、何れ
か一方の対向面に密着させて通過させることにより、基
材の片面のみに薄膜が形成される。さらに各々の対向電
極間に存在させるガスの種類を変えた複数組の対向電極
を連続して通過させることにより、ガスの種類に対応し
た各種の特性をもつ複数の薄膜を、同時に高速で連続的
に積層させることができる。又、常圧で処理を行うこと
ができるので、装置内は大気圧近傍の圧力下で処理が行
われる。基材の導入口、排出口は、気体の漏れを許容し
うる程度の機密状態にシールされていれば良く、真空系
で行う処理のような大がかりな排気装置は必要としな
い。従って、基材の供給、基材の変更、ガス組成の変更
が自由にでき、各種の表面処理品の製造を経済的に行う
ことができる。
【0059】さらに、基材又は少なくとも1種の薄膜が
積層された面に予めプラズマ処理することにより、基材
又は薄膜の表面がエッチングされ、アンカー効果によ
り、新たに形成される薄膜との密着性が向上する。
【0060】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ詳しく説明する。図3は本発明の表面処理
品の製造方法に使用される装置の一例を示す模式図であ
る。図3に示される様に、本発明に使用される装置は、
主として、高電圧パルス電源部10、11、放電プラズ
マ処理装置20、21、巻出ロール80、及び引取ロー
ル81から構成され、各放電プラズマ処理装置20、2
1は、それぞれ、平行平板型の対向電極(上部電極3
0、31、下部電極40、41)、処理用ガス供給部5
0、51、52、53、54、55、固体誘電体60、
61、62、63、処理用ガス排出部70、71から構
成されている。
【0061】又、固体誘電体は60、61が上部電極3
0、31に、62、63が下部電極40、41に装着さ
れている。
【0062】各種の処理用ガス90、91は、隣接した
放電プラズマ処理装置20、21の対向電極(即ち、3
0/40、31/41)間毎に大気圧近傍の圧力下で、
目的に応じて、任意の種類が選択されて導入され、各電
極に上述の条件によるパルス化された電界が印加され
て、処理用ガスの種類に応じた放電プラズマが発生させ
られ、これに上部電極30、31の固体誘電体60、6
1に密着させられた基材12が密着させられて、各種の
薄膜が基材12の下面に堆積され、表面処理品13が形
成される。各放電プラズマ処理装置20、21に導入さ
れる処理用ガス90、91の種類は、目的により異な
り、同種であっても、異種であっても構わない。
【0063】各放電プラズマ処理装置20、21には、
隣接して加熱・冷却装置82、83が設けられ、基材1
2を所望の温度にできるようになっている。無論、放電
プラズマ処理装置20、21に加熱・冷却機構を組み込
み、温度制御可能としても構わない。
【0064】放電プラズマ処理装置20、21は図示し
ないシール機構によりシールされており、真空ポンプP
により放電プラズマ処理装置20、21内を略真空状態
に減圧状態にした後処理用ガス90、91を供給する。
【0065】処理用ガス供給部50〜55から供給さ
れ、対向電極(即ち、30/40、31/41)間中に
存在するガスは基材12上で層流を形成し、その流速が
基材の処理幅にわたってほぼ均一である必要がある。
【0066】図4は処理用ガス供給部50〜55の一例
を示し、(A)はその断面図、(B)はそのA−A断面
図である。
【0067】直方形状の処理用ガス供給部50の長手方
向の一端部に、ガス供給管Gが接続されるガス導入口5
6が設けられるとともに、長手方向に2つの室が設けら
れ、第1室57にはガス導入方向に対向するように第1
室57の対角線上に斜板14を設けられることにより、
ガス導入口56から遠ざかる程狭くなる区画を形成し、
ガス導入口56から導入された反応ガスを乱流化し、そ
の区画内での密度を略均一化させてその流速を略一様な
ものとすると同時に、その方向を偏向させた後、第1室
57の縁部近傍に設けた一様な多数の小孔群15からガ
スを整流して吹き出す構造を有している。
【0068】その小孔群15から出たガスが導入される
第2室58を設けられ、その第2室58内には、一端に
一様な隙間23を有する仕切り板24を配置するととも
に、縁部近傍に一様な幅のスリット25を形成して、第
1室57の小孔群15から出たガスが仕切り板24を回
り込んでスリット25から層流となって放電空間に吹き
出すように構成されている。これにより、小孔群15か
ら出たガスの流れが平均化される。
【0069】図5は本発明の表面処理品の製造方法に使
用される装置の別の例を示す模式図である。図5に示さ
れる様に、本発明に使用される装置は、主として、高電
圧パルス電源部110、111、放電プラズマ処理装置
120、121、巻出ロール180、及び引取ロール1
81から構成され、各放電プラズマ処理装置120、1
21は、それぞれ、同軸円筒型の対向電極(上部電極1
30、131、下部電極140、141)、処理用ガス
供給部150、151、シール機構152、153、1
54、155、固体誘電体160、161、処理用ガス
排出部170、171から構成されている。
【0070】又、固体誘電体160、161が下部電極
140、141に装着されている。
【0071】各種の処理用ガス190、191は、隣接
した放電プラズマ処理装置120、121の対向電極
(即ち、130/140、131/141)間毎に大気
圧近傍の圧力下で、目的に応じて、任意の種類が選択さ
れて導入され、各電極に上述の条件によるパルス化され
た電界が印加されて、処理用ガスの種類に応じた放電プ
ラズマが発生させられ、これに上部電極130、131
に密着させられた基材112が密着させられて、各種の
薄膜が基材112の上に堆積され、表面処理品113が
形成される。
【0072】各放電プラズマ処理装置120、121に
は、隣接して加熱・冷却装置182、183が設けら
れ、基材112を所望の温度にできるようになってい
る。
【0073】放電プラズマ処理装置120、121は図
示しないシール機構によりシールされており、シール機
構152、153、154、155によりシールされて
おり、真空ポンプPにより放電プラズマ処理装置12
0、121内を略真空状態に減圧状態にした後処理用ガ
ス190、191を供給する。
【0074】尚、本発明に於いて、図3、図5に示すよ
うに、高圧パルス電源部10、11、110、111は
各放電プラズマ装置の個々に独立した電源を使用してい
るが、本発明の方法に於ける放電プラズマを発生する条
件を満足する限り、電源を共通に使用しても構わない。
【0075】また、図3、図5において放電プラズマ処
理装置20、21、120、121のみ減圧にし、処理
ガスで置換する例を示したが、巻出ロール80、18
0、引取ロール81、181、加熱・冷却装置82、8
3、182、183全てを減圧にし、処理ガスで置換し
てもよい。
【0076】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。尚、以下の実施例では、高電圧パルス電源1
0、11として(ハイデン研究所社製、半導体素子:I
XYS社製、型番IXBH40N160−627Gを使
用)を用いた。
【0077】実施例1 図3に示した装置に於いて、処理用ガス供給部50〜5
5として、図4に示したスリット状のガス吹き出し口を
有するものを用い、表面処理品の製造装置とした。
尚、放電プラズマ処理装置の上部電極30、31、下部
電極40、41は、共に、幅350×長さ150mmの
サイズで、両電極の対向面に固体誘電体60〜63とし
て、肉厚1.5mmの酸化アルミニウムを溶射法でコー
ティングしたものを使用した。
【0078】基材12は、厚み50μm、幅300mm
のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商
品名「ルミラーT50」、以下「PETフィルム」とい
う)を使用し、上部電極30、31の固体誘電体60、
61に密着させて使用した。
【0079】上記の表面処理品の製造装置に、基材12
のPETフィルムを巻出ロール80、巻取ロール81を
介して、10kgf/m2 の引張応力をかけながら、走
行速度0.5m/minで、各放電プラズマ処理装置2
0、21に導入し、真空ポンプPで放電プラズマ処理装
置20、21内をそれぞれ10Torrにした後、表1
に示した諸条件(電界強度、周波数、放電電流密度)
で、放電プラズマで励起した処理用ガスをPETフィル
ムの片面に接触させて、表面処理品を製造した。尚、他
の条件は、パルス電圧波形が図1に示す波形(A)、立
ち上がり時間5μs、パルス幅70μsとした。
【0080】
【表1】
【0081】また、処理用ガスは、処理用ガス供給部5
0〜55から各電極間に、それぞれ、総流量15SLM
で導入し、処理用ガス供給部50〜52には0.5体積
%のテトライソ−プロポキシチタネートを含むアルゴン
ガス、処理用ガス供給部53〜55には0.5体積%の
テトラエトキシシランと2体積%の酸素ガスを含む窒素
ガスを使用して、PETフィルムへの積層順に第1層に
は酸化チタン(TiO 2 )の薄膜、第2層には、酸化珪
素(SiO2 )の薄膜を積層して、PETフィルムの2
層表面処理品13を製造した。
【0082】(比較例)基材12を、上部電極30、3
1の固体誘電体60、61に密着させないこと以外は実
施例1と同様にしてPETフィルムの2層表面処理品を
製造した。基材12の裏面にも薄膜が形成されていた。
【0083】表面処理品の評価 (薄膜の評価)実施例1、比較例で得られた表面処理品
の各薄膜の屈折率、及び、膜厚をエリプソメーター(溝
尻光学工業所社製、型式「BVA−36VW」)を用い
て測定した。なお、比較例で得られた表面処理品の薄膜
は基材両面に形成された膜の合計の厚みを記した。更
に、上記PETの2層表面処理品を任意にA4版に切断
し、光干渉式自動膜厚測定装置(ナノメトリックスジャ
パン社製、型式「M−5100」)を用いて5mm間隔
に各薄膜の膜厚均一性を測定した。
【0084】(表面処理品の反射率)実施例1、比較例
で得られた表面処理品の反射率を分光光度計(日立製作
所社製、型式「U−3000」)で測定し、可視光線平
均(波長400〜700nm)反射率をもとめた。以上
の結果を表2に纏めて示した。
【0085】
【表2】 表2からわかるように比較例で得られた表面処理品は基
材走行中のばたつきが影響して膜厚の均一性が低下して
いる。
【0086】実施例2〜9
【0087】上記の表面処理品の製造装置の上部電極3
0の長さを表3に示した通り、下部電極40、41の長
さを150mmとし、油圧ポンプPで放電プラズマ処理
装置20、21内をそれぞれ0.1Torrにした後、
放電プラズマ処理装置20に760Torrになるまで
表3に示したガスを導入し、その後980SCCMで同
ガスを導入した。そして表3に示した諸条件(電界強
度、周波数)で、放電プラズマで励起した処理用ガスを
PETフィルムの片面に接触させた。尚、他の条件は、
パルス電圧波形が図1に示す波形(A)、立ち上がり時
間5μs、パルス幅50μsとした。一方で、放電プラ
ズマ処理装置21内に6フッ化プロピレン20SCC
M、アルゴンガス980SCCMで導入し、電界強度、
周波数8kHz、パルス電圧波形が図1に示す波形
(A)、立ち上がり時間5μs、パルス幅50μsの条
件で、放電プラズマで励起した処理用ガスをPETフィ
ルムの片面に接触させた。そして基材12のPETフィ
ルムを巻出ロール80、巻取ロール81を介して、走行
速度0.45m/minでプラズマ処理し、表面処理品
13を得た。なお、放電プラズマ処理装置20内におけ
る実質的な処理時間を表3に併せ示した。
【0088】表面処理品の評価 実施例2〜9で得られた表面処理品を40℃、95%R
Hの雰囲気に1000時間曝した後、以下の試験に供し
た。
【0089】(テープ剥離試験)JIS K5400に
準拠して碁盤目試験を行い、100ブロックの内、剥離
していないブロック数を計測した。
【0090】(残留炭素量)テープ剥離面に残留した炭
素量をESCAで分析し、検出した炭素量を示した。な
お、炭素量は多いほど、界面密着性が低くなる。
【0091】(クラックの発生)薄膜層を目視で観察
し、クラックの発生の有無を調べた。以上の結果を表3
に纏めて示した。
【0092】
【表3】
【0093】実施例2〜4と実施例5〜9を比較すると
明確なように、特定の条件で予めプラズマ処理を行うこ
とにより、基材と薄膜層の密着性は高くなり、クラック
の発生も無くなることが分かる。
【0094】
【発明の効果】本発明の表面処理品の製造方法は、上述
のように構成されているので、大気圧近傍の圧力下で、
基材の片面に連続的に製膜でき、且つ、膜厚及び膜質の
均一性に優れた表面処理品を製造することができる。従
って、本発明の方法を用いて、反射防止膜、光選択透過
膜、赤外線反射膜、帯電防止膜、電磁波シール膜、半導
体デバイス材料など各種機能膜の製造に利用できる。
【0095】又、本発明の積層膜の連続製造装置は、従
来の様に、減圧系にする必要がないので、大型の排気装
置が不要であり、原料や製品の搬入・搬出が容易となる
ので、生産操業性、生産設備の経済性の点から、極めて
有用である。
【0096】さらに、基材又は少なくとも1種の薄膜が
積層された面に予めプラズマ処理することにより、新た
に製膜する薄膜との密着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルス電界の例を示す電圧波形図である。
【図2】パルス継続時間の説明図である。
【図3】本発明の表面処理品の製造方法に使用される装
置の一例を示す模式図である。
【図4】処理用ガス供給部の一例を示し、(A)はその
断面図、(B)はそのA−A断面図である。パルス電界
を発生させる電源の等価回路図である。
【図5】 本発明の表面処理品の製造方法に使用される
装置の別の例を示す模式図である。
【符号の説明】
10、11、110、111 高電圧パルス電源部 12 基材 13 表面処理品 20、21、120、121 放電プラズマ処理装置 30、31、130、131 上部電極 40、41、140、141 下部電極 50〜55、150、151 処理用ガス供給部 60〜63、160、161 固体誘電体 90、91、190、191 処理用ガス
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 16/54 C23C 16/54 // C08J 7/00 306 C08J 7/00 306

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の対向面に固体誘電体が
    設置された対向電極間に処理用ガスを導入して、大気圧
    近傍の圧力となし、対向電極間に電圧立ち上がり時間が
    100μs以下、電界強度が1〜100kV/cmのパ
    ルス化された電界を印加することにより、放電プラズマ
    を発生させるとともに、前記対向電極間に、基材を連続
    して、且つ、何れか一方の対向面に密着させて通過させ
    ることを特徴とする表面処理品の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数組隣接された対向電極間に、基材を
    連続して、且つ、何れか一方の対向面に密着させて通過
    させることを特徴とする請求項1記載の表面処理品の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 パルス化された電界に於いて、周波数が
    0.5〜100kHz、パルス継続時間が1〜1000
    μsとなされていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の表面処理品の製造方法。
  4. 【請求項4】 対向電極のいずれか1組以上に導入され
    る処理用ガスが、金属元素含有ガスを含むことを特徴と
    する請求項1〜3何れかに記載の表面処理品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 基材又は少なくとも1種の薄膜が積層さ
    れた面に予めプラズマ処理することを特徴とする請求項
    1〜4何れかに記載の表面処理品の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002040742A1 (fr) * 2000-11-14 2002-05-23 Sekisui Chemical Co., Ltd. Procede et dispositif de traitement au plasma atmospherique
US7678429B2 (en) 2002-04-10 2010-03-16 Dow Corning Corporation Protective coating composition
WO2012133154A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 積水化学工業株式会社 フィルム表面処理方法及び装置
US8859056B2 (en) 2005-05-12 2014-10-14 Dow Corning Ireland, Ltd. Bonding an adherent to a substrate via a primer

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