JP2004076076A - 大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法 - Google Patents

大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法 Download PDF

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Yoshikazu Kondo
近藤 慶和
Kazuhiro Fukuda
福田 和浩
Ko Mizuno
水野 航
Koji Fukazawa
深沢 孝二
Yoshiro Toda
戸田 義朗
Kiyoshi Oishi
大石 清
Akira Nishiwaki
西脇 彰
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Abstract

【課題】本発明の目的は、放電電極の長期耐久性を保持し、安定放電、電極部へのコンデンスを抑制し、電極の放電面の汚れを抑制し、長時間安定して製膜ができる大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法を提供することにある。
【解決手段】対向して配置された第一の電極および第二の電極の放電面が、薄膜を形成するための反応性ガスに、直接接触しないように構成されていることを特徴とする大気圧プラズマ処理装置および大気圧プラズマ処理方法。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや表示、記録、光電変換のための各種のデバイスには、基材上に高機能性の薄膜を設けた、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、反射防止膜、光学干渉膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜等の各種の材料が用いられている。
【0003】
このような高機能性の薄膜形成においては、従来、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法が用いられてきた。
【0004】
このような製膜方法は、真空設備を必要とする為、設備費用が高額となる。更に、連続生産が出来ず、製膜速度が低いことから、生産性が低いという課題を有していた。
【0005】
これらの真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、特開昭61−238961号等において、大気圧下で放電プラズマを発生させ、該放電プラズマにより高い処理効果を得る大気圧プラズマ処理方法が提案されている。大気圧プラズマ処理方法は、基材の表面に、均一な組成、物性、分布で製膜することができる。また、大気圧又は大気圧近傍下で処理を行うことができることから、真空設備を必要とせず、設備費用を抑えることができ、連続生産にも対応でき、製膜速度を速くすることができる。また、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する応用例が、特開平11−133205号、特開2000−185362、特開平11−61406号、特開2000−147209、同2000−121804等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これら公報に開示される大気圧プラズマ法は、対向する電極間に、パルス化され、周波数が0.5〜100kHzであり、且つ、電界の強さが1〜100V/cmの電界を印加し、放電プラズマを発生させるというものである。更に、特開平6−330326号には、大気圧プラズマ放電中に、金属アルコキシド等の原料ガスを添加することにより、金属酸化膜を形成する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の金属アルコキシド、例えば、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物、有機アルミ化合物、有機銅化合物、有機銀化合物等は、加熱してガス化させた後、不活性ガスと混合して放電空間に導入する必要があるが、常温下では液体であり、蒸気圧も高くないことから、上記金属アルコキシド等の成分が電極表面でコンデンス(結露)し、常に一定組成の混合ガスでなくなり、均一な製膜を達成するのが困難となる他、コンデンスした部分が反応して固化し、ガス通路を詰まらせたり、電極表面を汚してしまうという課題を抱えていることがわかった。
【0007】
一方、本発明者らは、100kHzを超え、1W/cm以上であるハイパワーの高周波電圧を印加してプラズマ放電処理を行うことにより、より均一で、より良質の薄膜を迅速に形成することに成功したが、ハイパワーの場合、連続して生産する際に、電極の汚れが発生しはじめる時間が短くなるばかりでなく、汚れの程度はひどくなることが目立つようになり、汚れた電極をそのまま使用し続けると、基材への薄膜の形成性が著しく劣って来て、薄膜の品質の劣化、または膜厚のムラ、薄膜の強度が低下等の現象が見られることがわかった。
生産中にこのような状態になると、生産を一時中断して、電極等の清掃をし、更に生産を開始するための条件出しやウォームアップによるロス時間が多くなり生産効率が低下してしまう。
また、電極表面における露結防止策として、例えば、電極を加熱しすぎると、部分的な絶縁破壊等による不均一放電を誘発し、均一な製膜ができない。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みなされたもので、その目的は、放電電極の長期耐久性を保持すると共に、安定放電を実現し、かつ電極部へのコンデンスおよび汚れを抑制し、長時間安定して高品位な製膜ができる大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0010】
1.第一の電極と第二の電極とを対向させて配置した放電空間と、前記電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記放電空間に反応性ガスおよび不活性ガスを流入させるガス導入手段とを有し、大気圧または大気圧近傍の圧力下、前記電圧印加手段から電圧を印加することにより、前記放電空間に流入された前記反応性ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を前記放電プラズマに晒すことによって前記基材の表面処理を行う大気圧プラズマ処理装置において、
前記第一の電極または前記第二の電極の放電面が、前記反応性ガスに直接接触しないように構成されていることを特徴とする大気圧プラズマ処理装置。
【0011】
2.前記ガス導入手段が、前記放電空間に、前記反応性ガスを流入させる反応性ガス導入手段と、前記不活性ガスを流入させる不活性ガス導入手段とを有し、前記反応性ガスと前記不活性ガスとを別々に前記放電空間に流入させるように構成されていることを特徴とする前記1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0012】
3.前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記反応性ガスが前記放電空間の前記第二の電極側に、前記不活性ガスが前記放電空間の前記第一の電極側に導入されるように構成されていることを特徴とする前記2項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0013】
4.前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記第一の電極は複数の電極群から構成され、前記ガス導入手段が、前記電極群の少なくとも一つの間隙から前記第二の電極上に載置された前記基材に向けて前記反応性ガスおよび前記不活性ガスを流入させるように構成されていることを特徴とする前記2項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0014】
5.前記反応性ガス導入手段が、温度制御手段を有していることを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0015】
6.前記温度制御手段が、反応性ガスの加温手段であることを特徴とする前記5項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0016】
7.前記温度制御手段が、前記反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高い温度に制御することを特徴とする前記6項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0017】
8.前記第一の電極または前記第二の電極が、誘電体を被覆した誘電体被覆電極であることを特徴とする前記1〜7項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0018】
9.前記誘電体が、セラミックス溶射後、封孔処理を行ったものであることを特徴とする前記8項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0019】
10.前記第一の電極または前記第二の電極を冷却する冷却手段を有することを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0020】
11.前記第一の電極および前記第二の電極が、それぞれ同一平面を挟むように配置された平行平板型であることを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0021】
12.前記第一の電極および前記第二の電極の少なくとも一方が、ロール状回転電極であることを特徴とする前記1〜10項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0022】
13.前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が複数の電極群から構成され、前記電極群が前記第二の電極に対し略平行となるように配置されていることを特徴とする前記12項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0023】
14.前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ前記第一の電極が前記第二の電極に対し略平行となる凹面を有することを特徴とする前記12項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0024】
15.前記第一の電極が印加電極、前記第二の電極がアース電極であることを特徴とする前記1〜14項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0025】
16.前記表面処理が、薄膜形成であることを特徴とする前記1〜15項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0026】
17.大気圧または大気圧近傍の圧力下、第一の電極と第二の電極とを対向させて配置した放電空間に、反応性ガスおよび不活性ガスを導入し、前記電極間に電圧を印加することにより前記反応性ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を前記放電プラズマに晒すことによって前記基材の表面処理を行う大気圧プラズマ処理方法において、
前記第一の電極または前記第二の電極の放電面に、前記反応性ガスが直接接触しないようにすることを特徴とする大気圧プラズマ処理方法。
【0027】
18.前記放電空間に、前記反応性ガスと前記不活性ガスとを別々に流入させることを特徴とする前記17項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0028】
19.前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記反応性ガスを前記放電空間の前記第二の電極側に、前記不活性ガスを前記放電空間の前記第一の電極側に導入することを特徴とする前記18項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
【0029】
20.前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記第一の電極は複数の電極群から構成され、前記電極群の少なくとも一つの間隙から前記第二の電極上に載置された前記基材に向けて前記反応性ガスおよび前記不活性ガスを流入させることを特徴とする前記18項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0030】
21.前記反応性ガスの温度を制御することを特徴とする前記17〜20項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0031】
22.前記温度制御が、前記反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高い温度に制御することを特徴とする前記21項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0032】
23.前記第一の電極または前記第二の電極が、誘電体を被覆した誘電体被覆電極であることを特徴とする前記17〜22項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0033】
24.前記誘電体が、セラミックス溶射後、封孔処理を行ったものであることを特徴とする前記23項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0034】
25.前記第一の電極または前記第二の電極を冷却することを特徴とする前記17〜24項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0035】
26.前記第一の電極および前記第二の電極が、同一平面を挟むように配置された平行平板型であることを特徴とする前記17〜25項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0036】
27.前記第一の電極および前記第二の電極の少なくとも一方が、ロール状回転電極であることを特徴とする前記17〜25項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0037】
28.前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が複数の電極群から構成され、前記電極群が前記第二の電極に対し略平行となるように配置されていることを特徴とする前記27項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0038】
29.前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が前記第二の電極に対し略平行となる凹面を有することを特徴とする前記27項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0039】
30.前記電圧が、周波数100kHzを越える高周波電圧であることを特徴とする前記17〜29項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0040】
31.前記高周波電圧が、出力1W/cm以上であることを特徴とする前記30項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0041】
32.前記反応性ガスが、有機金属化合物及び有機物から選択される成分を含有していることを特徴とする前記17〜31項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0042】
33.前記有機金属化合物が、金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれることを特徴とする前記32項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0043】
34.前記反応性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素から選択される成分を含有していることを特徴とする前記33項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0044】
35.前記反応性ガスが、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素、水、窒素酸化物、アンモニアから選択される成分を含有していることを特徴とする前記34項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0045】
36.前記不活性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素から選択される成分を含有していることを特徴とする前記17〜35項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0046】
37.前記不活性ガスが、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素、水、窒素酸化物、アンモニアから選択される成分を含有していることを特徴とする前記36項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0047】
38.前記第一の電極が印加電極、前記第二の電極がアース電極であることを特徴とする前記17〜37項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0048】
39.前記表面処理が、薄膜形成であることを特徴とする前記17〜38項のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明の大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法について、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0050】
本発明の大気圧プラズマ処理装置は、基材上に高機能の各種薄膜を形成することができ、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、エレクトロクロミック膜、蛍光膜、超伝導膜、誘電体膜、太陽電池膜、反射防止膜、耐摩耗性膜、光学干渉膜、反射膜、帯電防止膜、導電膜、防汚膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜、電磁波遮蔽膜、赤外線遮蔽膜、紫外線吸収膜、潤滑膜、形状記憶膜、磁気記録膜、発光素子膜、生体適合膜、耐食性膜、触媒膜、ガスセンサ膜、装飾膜等の形成に用いることができる。
【0051】
図1は、本発明の大気圧プラズマ処理装置のガス導入部及び電極部の一例を示す断面図である。
【0052】
図1において、1は薄膜を形成する基材である。
本発明で用いることができる基材としては、フィルム状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。
【0053】
基材の材質も特に限られるものではなく、ガラスや樹脂等を使用できる。
基材の材質は特に限られないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のプラズマ放電であることから、樹脂を好ましく用いることができる。
【0054】
例えば、本発明に係る薄膜が反射防止膜である場合、基材として好ましくはフィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上にエチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層等を塗装した防眩層やクリアハードコート層を有するもの、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
【0055】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0056】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0057】
本発明において、基材上に設ける薄膜が、反射防止膜である場合には、本発明に係る支持体としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが低い反射率の積層体が得られる為、好ましい。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0058】
図1において、2a、2bは、各々印加電極(第一の電極)であり、印加電極2aと印加電極2bは、金属母材3a、3bの表面を誘電体4a、4bで被覆した誘電体被覆電極である。放電中は、図示しないが、その内部を冷却水等を流通させることにより、電極表面温度を一定に制御する(冷却手段)。
【0059】
一方、上記印加電極2a、2bに対向する位置には、基材保持用のアース電極(第二の電極)5が配置されている。アース電極5の印加電極2a、2b側表面には、基材1が接触して図中矢印方向に搬送される。アース電極5は、印加電極2a、2b同様に、金属母材7上に、誘電体6を被覆した誘電体被覆電極である。アース電極5も同様に、その内部に冷却水等を流通し、電極表面温度を制御する(不図示)。
【0060】
尚、本実施例においては、印加電極を第一の電極として、アース電極を第二の電極として説明しているが、逆に、印加電極を第一の電極として、アース電極を第二の電極としてももちろんよいが、基材を放電空間に載置して製膜する場合、アース電極側を基材で覆い、露出した印加電極の放電面が反応性ガスと接触しないようにすることが装置の設計上および安全上好ましい。
【0061】
上記各電極において、金属母材(3a、3b、7)としては、例えば、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスやチタンであることが好ましい。
【0062】
誘電体4a、4b、6は、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、アルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0063】
誘電体被覆電極において、ハイパワーの電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることを本発明者らは見いだした。好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。尚、誘電体の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより導電性母材に被覆された誘電体の空隙率を測定した。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0064】
また、誘電体被覆電極の他の好ましい仕様としては、誘電体を、溶融法により得られるガラスを用いてガラスライニング法で形成したものである。このときの誘電体は、泡混入量の異なる2層以上の層からなることがより耐久性を高める。前記泡混入量としては、導電性母材に接する最下層が20〜30体積%であり、次層以降が5体積%以下であることが好ましい。泡混入量は、ガラス自体の固有密度と、ガラスライニング層の密度との関係から算出することが出来る。ガラスへの泡混入量の制御方法としては、もともとガラスの溶融物には泡が混入しているため、脱気を行うが、該脱気度合いを変化させることによって所望の値とできる。このような泡混入量をコントロールし、層状に設けたガラスライニング法による誘電体も、耐久性の高い電極が得られる。また、このときの誘電体層のトータル厚みは0.5mm以上2.0mm以下であり、更に最下層の膜厚が、0.1mm以上あり次層以降のトータル膜厚が0.3mm以上あることが好ましい。
【0065】
また、本発明の誘電体被覆電極において、他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。尚、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射で設けた誘電体を適用したり、下記導電性母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0066】
また、本発明の誘電体被覆電極において、別の好ましい仕様としては、誘電体と導電性母材との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、さらに好ましくは5×10−6/℃以下、さらに好ましくは2×10−6/℃以下である。尚、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0067】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性母材と誘電体との組み合わせとしては、
1) 導電性母材が純チタンで、誘電体がセラミックス溶射被膜
2) 導電性母材が純チタンで、誘電体がガラスライニング
3) 導電性母材がチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
4) 導電性母材がチタン合金で、誘電体がガラスライニング
5) 導電性母材がステンレスで、誘電体がセラミックス溶射被膜
6) 導電性母材がステンレスで、誘電体がガラスライニング
7) 導電性母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
8) 導電性母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
9) 導電性母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
10) 電性母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1)〜4)および7)〜10)が好ましい。
【0068】
また、本発明の誘電体被覆電極において、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0069】
上記、導電性母材に対し、セラミックスを誘電体として高密度に、高密着に溶射する方法としては、大気プラズマ溶射法が挙げられる。大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655公報に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法によれば、被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率を10体積%以下、さらには8体積%以下とすることが可能である。
【0070】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、セラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0071】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、UV照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0072】
本発明の誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X−ray Photoelectoron Spectroscopy)により誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0073】
また、誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0074】
図1において、8は印加電極2a、2bとアース電極5の間に高周波電圧を印加するための電圧印加手段としての高周波電源である。印加する高周波電圧は、100kHzを越えていることが、高品位な膜を形成する上で好ましい。好ましくは上限値が150MHz以下である。本発明で用いることのできる高周波電源としては、特に限定はないが、例えば、パール工業製高周波電源(200kHz)、同(800kHz)、同(2MHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等を用いることができる。
【0075】
9はアースであり、アース電極5はアース9に接地している。また、電極間(放電空間)に導入する電圧の放電出力が、1W/cm以上であることが同様に高品位な膜を形成する上で好ましく、より好ましくは1〜50W/cmである。放電出力を上記で規定した範囲とすることにより、放電プラズマのプラズマ密度を上げることができる。
【0076】
図1において、10は、ガス導入手段としてのガス導入部である。ガス導入部10は、その中心部に薄膜を形成するための反応性ガス通路11(反応性ガス導入手段)を有し、その周囲に実質的に薄膜を形成しない不活性ガス通路12a、12b(不活性ガス導入手段)を有している。反応性ガス通路は、反応性ガスが、直接、印加電極2a、2bに接触しないように、その出口は、印加電極2a、2bの底部とほぼ同位置に設けられている。反応性ガス通路11と不活性ガス通路12a、12bは、ガス通路壁14a、14bで隔離され、また不活性ガス通路12a、12bは外部とガス通路壁15a、15bにより隔離されている。
【0077】
図中、黒矢印で示す反応性ガスが、白矢印で示す不活性ガスに挟まれ、基材1上に流入される。基材1に衝突した反応性ガスは基材1表面に沿って、不活性ガスは電極の放電面に沿って外側に排気される。
【0078】
反応性ガス導入手段である反応性ガス通路11及び不活性ガス導入手段である第二ガス通路12a、12bの構造としては、反応性ガスが電極の放電面と直接接しないように構成されていれば特に限定はない。例えば、直線的な通路壁14a、14b、15a、15bで分離されたスリット状の形態でも、あるいは、それぞれ内径の異なる円筒を組み合わせた構造でも良いが、簡便性及び温度制御の容易性からは、前者が好ましい。本発明においては、反応性ガスを加温し、コンデンスの問題が起きないようにガス通路壁14a、14bの温度を制御する温度制御手段を有することが好ましい。図中13a、13bは、反応性ガスを導入する内部配管部(ガス通路壁14a、14b)の温度を、加温する加温手段としての保温制御システムである。反応性ガスの放電空間への導入時の温度を、前記反応性ガス導入時の濃度における飽和蒸気圧を示す温度より高い温度とすることが好ましい。
【0079】
尚、反応性ガス通路11、あるいは不活性ガス通路12a、12bを構成する通路壁14a、14b、15a、15bの材料は、各ガスに対する耐腐食性と強度を有し、かつ熱伝導率の高い材料であれば、その材質に特に制限はないが、セラミックが好ましい。
【0080】
図示しないが、保温制御システム13a、13bは、温度センサ部、加熱部及び制御部からなり、温度センサで検知した温度を基にして、所望の温度となるようにガス通路壁に組み込まれた加熱媒体により昇温を行う。
【0081】
ここで、放電空間に導入させるガスについて説明する。
本発明において用いられるガスは、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスである。反応性ガスは、放電空間に導入させる全ガス量に対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。薄膜の膜厚としては、1〜1000nmの範囲の薄膜が得られる。
【0082】
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素の希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等)等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。また、不活性ガスとして、窒素も使用することができる。不活性ガスの量は、放電空間に導入する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0083】
また、不活性ガスは、水素を含有することができ、水素を含有することにより、薄膜の硬度を著しく向上させることができる。このときの水素の含有量は、放電空間に導入する全ガス量に対し、0.1〜10体積%であることが好ましい。
【0084】
また、不活性ガスは、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択されることができ、これらを含有することにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。同様に反応促進させるガスとして、水(HO)、窒素酸化物(NOx)、アンモニア(NH)を添加することにより同様な効果が得られる。これら反応促進させるガスの含有量は、放電空間に導入する全ガス量に対し、0.01〜5体積%であることが好ましい。
【0085】
反応性ガスは、ジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含むことができ、これを用いることにより、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な金属酸化物層を形成することができる。
【0086】
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CFCFCF)、8フッ化シクロブタン(C)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いるのが好ましい。
【0087】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
【0088】
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0089】
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有するガスを用いることにより、反射防止膜の低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
【0090】
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0091】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
【0092】
上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、放電空間に導入する全ガス量を100体積%としたとき、有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0093】
また、前記有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0094】
反応性ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、放電空間に導入するガス全量に対し、チタン化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
【0095】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0096】
また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
【0097】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0098】
上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、放電空間に導入するガス全量に対し、珪素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。
【0099】
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0100】
反応性ガスに、有機金属化合物を添加する場合、例えば、有機金属化合物としてLi、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される金属を含むことができる。より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0101】
上記反応性ガスは、上記説明した有機金属化合物ガスや有機物ガス等の薄膜を形成するための成分を含有することが必須であるが、上記説明した不活性ガスと同様の成分を含有してもよい。すなわち、周期表の第18属元素の希ガスや窒素等である。また、同様に、反応促進させるためのガスとして、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素、水、窒素酸化物、アンモニアから選択される成分を含有することができる。これらのガスの添加量は、不活性ガスの場合と同様である。
【0102】
次に、図1で示した大気圧プラズマ処理装置を用いた大気圧プラズマ処理方法について説明する。
【0103】
基材1は、ベルトコンベア(不図示)等の搬送手段により、印加電極2a、2bと基材保持用のアース電極5間に搬送される。
【0104】
一方、反応性ガス通路11に反応性ガスを、不活性ガス通路12a、12bに不活性ガスを導入する。この際、必要に応じて、保温制御システム13a、13bにより、ガス通路壁14a、14bを加温する。加温された反応性ガスの温度は、該反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高いことが好ましい。各ガスは、印加電極2a、2bとアース電極5間、すなわち放電空間に導入され、大気圧近傍の圧力下で、印加電極2a、2bとアース電極5間に高周波電源8にて高周波電圧を印加し、放電プラズマを発生させる。発生した放電プラズマにて、ベルトコンベアにて運搬されてきた基材1の薄膜形成を行う。薄膜形成を終えた基材1はベルトコンベアにて、印加電極2a、2bとアース電極5間の外へと運搬される。または、基材1は、移動させながら処理を行っても良い。
【0105】
図2は、本発明の大気圧プラズマ処理装置のガス導入部及び電極部の別の一例を示す断面図である。図中の参照符号を有する部材は、図1で説明した同じ参照符号の部材と同様である。尚、参照符号の2は印加電極(第一の電極)、11は反応性ガスを放電空間に導入するための反応性ガス通路(反応性ガス導入手段)で、14cおよび14dで示されるガス通路壁によって構成されている。12は不活性ガスを放電空間に導入するための不活性ガス通路(不活性ガス導入手段)で、ガス通路壁14cおよび15cにより構成されている。
【0106】
図2において、基材1は、ベルトコンベア(不図示)等の搬送手段により、印加電極2a、2bと基材保持用のアース電極5間に搬送される。
【0107】
一方、導入用の反応性ガス通路11には反応性ガス(黒矢印)を、導入用の不活性ガス通路12cに不活性ガス(白矢印)を導入する。この際、必要に応じて、保温制御システム13a、13bにより、ガス通路壁14c、14dを加温する。同様にこの加温された反応性ガス温度は、該反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高いことが好ましい。導入された各ガスは、印加電極2とアース電極5間に導入され、大気圧近傍の圧力下で、印加電極2とアース電極5間に高周波電源8にて高周波電圧を印加し、放電プラズマを発生させる。発生した放電プラズマにて、ベルトコンベアにて運搬されてきた基材1の薄膜形成を行う。反応性ガスと不活性ガスは、図中左上から流下して放電空間に至り、製膜した後、図中右上に強制排出される機構をとっているので、基材上には、一方方向に一定の流速でガスが供給される。また、ガス通路壁を、図のように印加電極2を囲うような形状とすることで、放電空間において各ガスの流れが乱れにくくなり、少なくとも放電空間において、印加電極2側に不活性ガスが、基材1側には反応性ガスが接触するようにできる。これによって、印加電極2の表面は、薄膜を形成するための反応性ガスに直接接触せず、アース電極5は基材1に覆われているために電極汚れ等の問題が発生せず、効率的に薄膜の形成が達成出来る。
【0108】
薄膜形成を終えた基材1はベルトコンベアにて、印加電極2とアース電極5間の外へと運搬される。または、基材1は、移動させながら処理を行っても良い。
【0109】
図3に、本発明で用いることのできる印加電極の一例を示す。
図3は、角柱型で固定されている電極の一例を示す斜視図であり、印加電極2aは、金属母材3aである中空のステンレスパイプに対して、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理の誘電体4aを被覆した組み合わせで構成されているものである。図1および図2の印加用電極2a、2b、2において、この電極を用いてもよい。本図においては、金属母材の全面(4面)に誘電体が設けられているが、少なくとも放電面とその周辺だけに誘電体を設けてもよい。
【0110】
図4は、複数の印加電極(第一の電極)とアース電極(第二の電極)とが同一平面を挟むように配置された平行平板型の大気圧プラズマ処理装置の模式図である。大気圧プラズマ処理装置100は、電圧印加手段としての高周波電源8、複数の印加電極2およびアース電極5などから概略構成されており、複数の印加電極2とアース電極5は対向して、それぞれ同一平面を挟むように位置している。
【0111】
印加電極2は、複数の固定された角柱型の電極が左右に対向して配置されて構成されたもので、これら複数の印加電極2の間隙がそれぞれガス導入手段としてのガス通路110となっている。ガス供給部50から、反応性ガスおよび不活性ガスが供給され、ガス通路110内に給送されて、基材1で覆われたアース電極5に向けて導入される(図中上から下方向)。
【0112】
アース電極5は、アース(接地)してあり、基材1をその表面に載置し、かつ、基材1を図中水平方向に往復運動させる。したがって、このアース電極5が移動することによって、放電面積より大面積の基材1に対しても製膜を行うことができる。
【0113】
ここにおいて、各印加電極2と、アース電極5と、ガス通路110との関係は、図1または図2で説明した電極部およびガス導入部を適用することが出来る。
【0114】
図5は、本発明の大気圧プラズマ処理装置の別の一例を示す概略図である。
図5は、大気圧プラズマ処理装置30、ガス供給部50、高周波電源40、及び冷却手段である電極温度調節手段60から構成されている。図5では、図1または図2に記載の対向して配置されている印加電極2a、2bおよびアース電極5と同様にして、複数の角柱型固定電極(印加電極)36およびロール回転電極(アース電極)25を採用し、フィルム状の基材1にプラズマ放電処理を施すものである。基材1は、図示されていない元巻きから巻きほぐされて搬送してくるか、または前工程から搬送されてきて、ガイドロール64を経てニップロール65で基材1に同伴してくる空気等をカットし、ロール回転電極25に接触したまま巻き回されながら、複数の角柱型固定電極36との間を移送され、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取られるか、次工程に移送する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界を仕切る仕切板である。
【0115】
反応性ガスおよび不活性ガスGは、ガス供給部50により、ガス発生装置51で発生させ、流量制御して、上記図1で示したガス通路11、12a、b、または、図2で示したガス通路11、12の構成を有するガス通路52よりプラズマ放電処理容器31内に入れられ、放電処理部(放電空間)32へと送られる。製膜した後の排ガスG′は、図示しないサクションポンプ等によって排気口53より排出するようにする。図では、ガス導入口10、排気口53は一つしか示してないが、各角柱型固定電極36の間に、交互に、設けることにより均一にガスの導入、排出をすることができ好ましい。次に、高周波電源40で、角柱型固定電極36に電圧を印加し、ロール回転電極25にはアースを接地し、放電プラズマを発生させる。図では、省略してあるが、各々の角柱型固定電極36には、それぞれ高周波電源40から同じ高周波電圧が印加されるようになっている。ロール回転電極25または角柱型固定電極36には、それぞれ電極温度調節手段60を用いて、媒体を加熱または冷却して電極に送液することができる。電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て、ロール回転電極25または角柱型固定電極36の内部から温度を調節する。図5では、各電極からの復路の配管については省略してある。プラズマ放電処理の際、基材の温度によって得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して温度を適宜制御することが好ましい。
【0116】
熱媒体としては、空気等の気体を用いることができるが、蒸留水、シリコンオイルの様な油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。基材フィルムの温度は処理条件によって異なるが、通常室温〜350℃の温度が用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材フィルムの温度ムラが出来るだけ生じないようにロールを用いた回転電極の内部の温度を制御することが望まれる。
【0117】
図6は、本発明の大気圧プラズマ処理装置の別の一例を示すものである。図6においては、基材として長尺のフィルム状の基材を用いている。
【0118】
印加電極(第一の電極)37とアース電極(第二の電極)25との間隙(放電空間)120をガスGの雰囲気とし、図示してないが元巻きから繰り出されて来る基材1、または前工程から搬送されて来る基材1が、ガイドロール64に導かれ、アース電極25に巻き回されながら間隙(放電空間)120を通過する際に、大気圧もしくはその近傍の圧力下プラズマ放電処理される。
【0119】
本発明において、対向電極の間隙(放電空間)120は、本発明に好ましく使用し得る基材がフィルム状のものである場合、その厚さが1〜200μm程度のものが適切で、間隙は図においては、第一の電極に接触している基材の表面からではなく、厚さを持った基材の表面から第二の電極の表面までをいうこととし、その間隙は5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは0.5〜2mmである。
【0120】
放電プラズマの発生は高周波電源40から対向電極に電圧を印加することによって行われる。高周波電源40より印加電極37及びアース電極25に印加される電圧の値は適宜決定される。高周波電源としては上述のものが用いられる。
対向電極間には、50kHz〜150MHzの範囲に周波数を有する高周波電界を印加するのが本発明において好ましい。対向電極間に、100kHzを越えた高周波電圧で、1W/cm以上の電力を供給し、ガスを励起してプラズマを発生させる。このようなハイパワーの電界を印加することによって、緻密で、膜厚均一性の高い高機能性の薄膜、または基材表面改質を、生産効率高く得ることが出来る。本発明において、対向電極間に印加する高周波電圧の周波数は、好ましくは150MHz以下である。また、高周波電圧の周波数としては、好ましくは200kHz以上、さらに好ましくは800kHz以上である。また、対向電極間に供給する電力は、好ましくは1.2W/cm以上であり、好ましくは50W/cm以下、さらに好ましくは30W/cm以下である。尚、対向電極における電圧の印加面積(/cm)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。電極の放電が起こる面のことを放電面といい、該放電面で挟まれた空間のことを放電空間と言う。
【0121】
対向電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。ここで電圧の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な薄膜が得られる。
【0122】
本発明においては、上記の放電は、大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0123】
本発明において、プラズマ放電処理を、外界と遮断しなくとも行うことが出来るが、好ましくは外界の空気を遮断することが好ましい。処理系が外界と遮断するには、容器を設けて遮断したり、ニップロールのような基材に同伴して来る空気を遮断する等の手段で行うことが出来る。基材同伴してくる空気を遮断する手段としては、ニップロールが有効であり、ガイドロール64に導かれた基材1をニップロール65で圧力を掛けて基材1をアース電極25に押しつけ、同伴する空気を遮断することが出来る。搬送されてくる基材1の同伴して来る空気を遮断する手段として、上記ニップロールだけでも充分であるが、更に同伴空気を遮断する手段としては、図6における大気圧プラズマ処理装置の容器31内に基材1が導入される前に、基材が同伴して来る空気を遮断するための予備室を設けることが好ましい。
【0124】
予備室は特開2000−72903公報に記載されている手段と同様なものを設置すればよい。処理部内の内圧が、該処理部と隣接する予備室の内圧より高いことが必要であり、好ましくは0.3Pa以上高いことである。このように処理部と予備室の間でも圧力差を設けることにより、外部空気の混入を防止し、導入ガスの有効使用が可能となり、処理効果も更に向上する。処理部に隣接して入口側に二つ以上、出口側に二つ以上予備室を設けた場合、その予備室と隣り合う予備室の間の差圧は、処理部に近い側の予備室の内圧が高く設定されることが好ましく、0.3Pa以上高く設定されることが好ましい。このように複数の予備室同士の間でも圧力差を設けることによって、外部空気の混入をより効率的に防止し、導入ガスの有効使用がより可能となり、処理効果も更に向上する。
【0125】
図6において、ニップロール65でアース電極に密着するように押しつけられ、そのまま基材1は容器31の中に入る。容器31内にはガス導入口10からのガスGを満たし、更に間隙(放電空間)120にも同様にガスGを導入する。処理後のガスG′は排出口53から排出される。処理された基材1はニップロール66を経て容器31を出て、ガイドロール67を経て、図示されていない巻き取り機に巻き取られるか、または次工程に搬送される。
【0126】
容器31はニップロール64と66、及び仕切板68と69とで外界と遮断されている。容器はパイレックス(R)ガラス製やアルミ、または、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けたものでも良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとっても良い。電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。また、更に容器31の内側の間隙(放電空間)120を対向電極の側面部、基材搬送部等の側面を囲むことによって安定した処理を行うことが出来好ましい。ガス導入口10から容器31内に満たされたガスGは排出口53から排出される。
【0127】
本発明において、放電空間120内におけるガスGは、アース電極25上の基材1と印加電極37の間隙(放電空間)120中では、基材面が反応性ガスに覆われるように、また印加電極面が不活性ガスに覆われるようにそれぞれ間隙(放電空間)120に導入して処理することが特徴である。
【0128】
アース電極に接触しながら移送され処理される基材面を覆う反応性ガスと、印加電極側を覆う不活性ガスとが、それぞれのガスがそれぞれの面を覆うようにガス導入手段から別々に供給される。放電空間内で反応性ガスと不活性ガスが入り乱れ、完全に均一に混合されることは、結果的に印加電極が汚れることになるので好ましくない。すなわち、2つの電極のギャップ方向において、反応性ガスがリッチな領域と、不活性ガスがリッチな領域とが存在することが好ましい。最も好ましくは、反応性ガスと不活性ガスが層流を形成していることである。
【0129】
本発明に係る反応性ガスと不活性ガスの導入経路について、以下に図を用いて説明する。ここで、下記の図は曲面を有する対向電極を模式的に平板状の電極に置き換えて説明している。
【0130】
図7は、対向電極間において、反応性ガスが基材面を、また不活性ガスが印加電極面を覆うように流れている状態を示した図である。図7において、アース電極25上を接触しながら移送して処理される基材1面側を覆っている反応性ガスGaと、印加電極37面側を覆っている不活性ガスGnとがそれぞれ流れてプラズマ処理されている状態を示している。図においては、模式的に反応性ガスGaと不活性ガスGnとを点線で区切って表したが、これに限られるわけではなく、反応性ガスの流れが、印加電極に直接接しない状態となっていればよい。
【0131】
本発明において、反応性ガスと不活性ガスの放電空間内における状態は、反応性ガスまたは不活性ガス何れかが、基材または印加電極の表面上をガス層が非常に薄い境膜のように覆っていてもよく、また基材面から印加電極面に向かって反応性ガスの濃度が徐々に薄くなる濃度勾配を有していてもよい。また印加電極面を覆っている不活性ガスは、印加電極面を汚さない範囲において、ごく僅か原料ガスが混合していてもよい。
【0132】
いずれにせよ、本発明において、反応性ガスと不活性ガスとがそれぞれ放電空間に導入され、高周波電圧を印加してプラズマ放電処理を行っても、基材にはプラズマ処理が充分に行き届き、逆に、印加電極面は、全く汚れが付着しないか、付着しても連続運転に支障がない程度にしか付着せず、生産性の向上が達成出来る。
【0133】
次に、図6で説明した本発明の大気圧プラズマ処理装置に使用する電極について説明する。
【0134】
本発明においては、移送する基材を処理するため、基材は回転するアース電極(第二の電極)によりその回転と同期した速度で搬送されるのが好ましい。印加電極(第一の電極)は、平板状の電極でも本発明に使用出来るが、基材と電極との間ですり傷を発生し易く、ロール状回転電極の方が好ましい。また、図6に示したように、本発明において、固定の印加電極37の形状は、図6のように、回転するアース電極25に対して概略平行となる凹面を有している。印加電極37は固定型のもので、印加電極の凹面の円弧は、回転するアース電極25の円弧の長さとほぼ同等以下であれば、特に制限ないが、アース電極25の円周の10〜50%程度が好ましい。
【0135】
本発明に使用し得る電極は、金属母材とそれを覆う誘電体から構成されている。金属母材は、例えば回転するアース電極の場合は、円柱または円筒型が好ましい。
【0136】
図8はロール状の回転するアース電極の見取り図である。アース電極25は、図8のように金属母材3cと誘電体4cとから構成される。金属母材3cは電極の温度を制御するジャケットタイプのものであることが好ましい。金属母材および誘電体の材料は上述のものと同様である。
【0137】
図9は印加電極の一例を見取り図として示したものである。図9に示した印加電極37は図8のアース電極25に対応した凹面を有している。この印加電極37の金属母材3dの上に誘電体4dを被覆することが好ましい。金属母材及び誘電体の材質は上述のものと同様である。
【0138】
本発明の大気圧プラズマ処理装置の放電空間に反応性ガスと不活性ガスを導入するガス導入手段は、放電空間の入り口の直ぐ手前に反応性ガスと、不活性ガスとを別に導入口から重ねて吹き出すようになっている。
【0139】
図10は反応性ガスと不活性ガスとを放電空間に導入するガス導入手段を有する大気圧プラズマ処理装置の一例を示す図である。図10において、反応性ガスGaはガス導入口310から導入ノズル311を通して放電空間120へ、反応性ガスGaを導入し、アース電極25に接触しながら移送している基材1表面を反応性ガスGaが覆うように基材1と共に流れ、処理後のガスG′として排出口330から排出される。一方、不活性ガスGnはガス導入口320から導入ノズル321を通して放電空間120へ、不活性ガスGnを導入し、印加電極37の面を不活性ガスGnが覆うように印加電極37面に沿って流れ、排出口330から処理後のガスG′として排出される。導入ノズル311及び321の先端はブレードの刃のようになっていることが好ましい。排出口330では若干減圧になっていて、ガスが乱れない程度に吸引するのが好ましい。312及び322はガス通路である。ここで、ガス導入口310、導入ノズル311およびガス通路312が反応性ガス導入手段、ガス導入口320、導入ノズル321およびガス通路322が不活性ガス導入手段である。40は高周波電源である。
【0140】
図11は反応性ガスと不活性ガスを放電空間に導入するガス導入手段を有する大気圧プラズマ処理装置の一例を示す図である。図10と図11の異なっているところは、導入ノズル311及び321が丸みを持っているもので、図11の方がガスがより層流となり易く好ましい形態である。上記図10及び11は反応性ガスと不活性ガスを2層として模式的に示したが、実際は3層あるいは濃度傾斜をもっている場合もある。また、図10および11において、三つ以上の導入口及び導入ノズルを有してもよい。
【0141】
本発明において、導入ノズルの開口部分の開口幅は、処理部内での基材面と印加電極面との間隙を反応性ガスと不活性ガスとがどのような比で分けるかによって決める。この場合流速をそれぞれ同じとすることが望ましい。ガスの流速は、基材側では基材の移送速度と同等程度でよいが、印加電極側では印加電極面の境界で流速が0になるため基材速度、つまり基材側のガスの流速よりも若干早い方が望ましい。このように移送する基材側、ガス層とガス層の間、また停止している印加電極面(第一の電極面)それぞれガスが乱流にならないように調節して流速をコントロールすることが望ましい。
【0142】
本発明において、基材の移送速度は、0〜100m/分が好ましく、より好ましくは0.5〜50m/分である。0というのは、基材が動かない、つまり定形のシートまたは板状のもの、または立体的な形のものなど静止した状態でプラズマ放電をおこなってもよい。
【0143】
本発明において、反応性ガスと不活性ガスを放電空間においてなるべく層流に近い状態で流すには、それぞれのガスを等速で同じ方向に流すこと、基材の移送速度と同じにすること、基材が速い場合は印加電極側(第一の電極側)のガスの流速を基材側の流速より速くすること等実際に適合した方法をとることが好ましい。
【0144】
上述のようにすることにより、基材表面には反応性ガスが常に流れており、プラズマ放電により基材表面に薄膜を形成させることが出来る。反対に印加電極は、不活性ガスで覆われていることで、長時間プラズマ放電処理しても反応性ガスからの生成物がほとんど蓄積せず、汚れることがない。
【0145】
大気圧プラズマ処理装置で薄膜を形成する場合、基材が帯電することやそれに伴うゴミ付着等を引き起こすこともあるが、上述の解決手段により、特に問題とはならない。
【0146】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0147】
(実施例1)
《基材の作製》
以下に示す方法に従って、基材であるセルロースエステルフィルムを作製した。
【0148】
〔ドープ液の調製〕
〈酸化ケイ素分散液の調製〉
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製)          1kg
エタノール                           9kg
上記素材をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行った。
【0149】
〈添加液の調製〉
セルローストリアセテート(アセチル置換度:2.65)      6kg
メチレンクロライド                     140kg
上記素材を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解、濾過した。これに10kgの上記酸化ケイ素分散液を撹拌しながら加えて、さらに30分間撹拌した後、濾過し、添加液を調製した。
【0150】
Figure 2004076076
溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら素材を投入し、加熱、撹拌しながら、完全に溶解、混合した。ドープを流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過して、ドープ原液を調製した。
【0151】
ついで、上記ドープ原液100kgあたり、上記添加液を2kgの割合で添加し、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機H−Mixer、SWJ)で十分混合した後、濾過してドープ液を調製した。
【0152】
〔セルロースエステルフィルムの作製〕
上記で調製したドープ液を用いて下記のようにしてセルロースエステルフィルムを作製した。
【0153】
(セルロースエステルフィルムの作製)
濾過したドープ液を、ベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で30℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は35%であった。
【0154】
ステンレスバンド支持体から剥離した後、幅方向に保持しながら115℃で乾燥させた後、幅保持を解放して、ロール搬送しながら120℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作製した。
【0155】
〔基材フィルムの作製〕
上記で得られたセルロースエステルフィルムを用いて、下記のように基材フィルムを作製した。
【0156】
前述の方法で作製したセルロースエステルフィルムのa面(流延製膜時にベルト支持体にドープが接していた面(b面)の反対側の面)に下記の塗布組成物(1)をウェット膜厚で13μmとなるように押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥させて、バックコート層を設けた。
【0157】
次いで、セルロースエステルフィルムのb面に、下記の塗布組成物(2)をウェット膜厚で13μmとなるように押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cmで紫外線照射し、乾燥膜厚で4μm、中心線平均表面粗さ(Ra)15nmのクリアハードコート層を設けた。
【0158】
Figure 2004076076
《高屈折率層の形成》
(試料1の作製)
上記作製した基材フィルムに対し、図5で示した大気圧プラズマ処理装置を用いて、プラズマ放電処理を連続10時間行って、本発明の試料1を作製した。
【0159】
〈ガス条件〉
ガス種A(不活性ガス):アルゴンガス99.0%、水素ガス1.0%
ガス種B(反応性ガス):アルゴンガス99.9%中に、テトライソプロポキシチタン0.1%をリンテックス製気化器によりそれぞれ気化させた。
【0160】
なお、ガス種Aとガス種Bは、2:1の割合で導入した。
〈ガスの導入方法〉
図5における電極部を拡大して示した図1にある様に、スリット状に配置した不活性ガス通路12a、12bにガス種Aを導入し、一方、反応性ガス通路11にガス種Bを導入しながら、アース電極5(図5においてロール回転電極25)と印加電極2a、2b(図5において角柱型固定電極36)に、高周波電源40として、パール工業製高周波電源より、周波数2MHz、放電出力が20W/cmで印加した。ここで、ロール回転電極25と角柱型固定電極36との間隙は、1mmに設定して行った。
また、反応性ガス温度が、80℃となるように保温制御システム13a、bを作動させた。尚、反応性ガスの濃度が飽和蒸気圧となる温度は、約50℃である。
【0161】
〈電極の構成〉
電極の構成を、ガス導入部及び電極部を拡大した図1にて説明する。
【0162】
印加電極2a、2bの金属母材として、ステンレスSUS316を用い、誘電体は長手の側面を残し、全面に渡り、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナセラミック溶射被覆を片肉1mmで行った後、アルコキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液を、該セラミックス被膜に対し塗布、乾燥した後、100℃にて加熱処理することで設けた。
【0163】
このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。
【0164】
また、最終的な誘電体の空隙率は5体積%であった。
また、このときの誘電体層のSiOx含有率は75モル%であった。
【0165】
また、最終的な誘電体の膜厚は、1mm(膜厚変動±1%以内)であった。
また、誘電体の比誘電率は10であった。
【0166】
また、導電性母材と誘電体の線熱膨張係数の差は、9.8×10−6/℃であった。
【0167】
また、被覆を施していない側面は、ガスに曝されないように、チャンバー外に配置し、その部分より高周波電圧の給電を行った。
【0168】
一方、基材を保持する側のアース電極5は、基材と接する面全域及び側面に、上記と同様にして加工を行いロール電極を作製した。
【0169】
これら各電極の具体的構成図が図3である。また、各電極を構成する金属母材は、ジャケット仕様とし、その内部に冷却水が循環できるようにし、冷却水の温度を25℃に設定して、連続処理を行った。
【0170】
(試料2〜4の作製)
上記試料1の作製において、不活性ガス(ガス種A)と反応性ガス(ガス種B)との分離導入を行わずに、予め、ガス種Aとガス種Bを、2:1の割合で混合したガスを、不活性ガス通路12a、12b及び反応性ガス通路11より均等に導入し、更に各電極の冷却水温度を表1に記載のように変更した以外は同様にして、比較の試料2〜4を作製した。
【0171】
(各特性の評価)
〈電極表面のコンデンスの観察〉
連続10時間のプラズマ処理を行った後、各電極の表面を目視観察し、コンデンス(露結)及びその他の付着物の有無を目視観察し、下記に記載の基準に則り評価を行った。
【0172】
○:全く発生が認められなかった
△:僅かにコンデンスが認められるが、実技上問題は低い
×:コンデンスあるいは付着物が認められ、実技上やや問題がある
××:極めてひどいコンデンスあるいは付着物が認められ、実技上不可のレベルである
〈薄膜の膜厚分布の測定〉
プラズマ処理の開始直後及び連続10時間処理した後の各試料の形成された薄層の膜厚を、任意の100点についてそれぞれ測定し、その平均膜厚値を算出した後、平均膜厚と測定膜厚との差の絶対値(Δhd)の平均値を求め、下式により膜厚分布を求めた。
【0173】
膜厚分布=Δhdの平均値/平均膜厚値×100(%)
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0174】
【表1】
Figure 2004076076
【0175】
表1より明らかなように、本発明の不活性ガスと反応性ガスを分離導入してプラズマ処理を施して作製した試料は、長時間の連続プラズマ処理を行っても、形成した薄膜の膜厚分布に優れ、かつ電極の放電面でのコンデンスが発生しないことが判る。
【0176】
(実施例2)
上記実施例1で作製した試料1の表面に、ガス種Bを下記の様に変更した以外は試料1の作製と同様にして、低屈折率層の設けた本発明の試料5を作製した。
【0177】
ついで、上記実施例1で作製した試料2の表面に、ガス種Bを下記の様に変更した以外は試料2の作製と同様にして、低屈折率層の設けた比較の試料6を作製した。
【0178】
ガス種B(反応性ガス):アルゴンガス99.8%(不活性ガス)中に、テトラエトキシシラン0.3%(原料ガス)をエステック社製気化器により気化させた。
【0179】
なお、薄膜形成に当たり、所望の膜厚を得るため、各ガスの導入量は適宜調製して行った。
【0180】
以上のようにして作製した低屈折率層を有する本発明の試料5は、光学フィルムとしての反射率が、平均で0.8%となり、かつ反射率の100点における分布も0.1%と、非常に均一性が高い薄膜を形成することができ、比較の試料6(反射率:平均で2.3%、反射率分布:1.2%)に比較し、優れた結果を確認することができた。
【0181】
なお、反射率は、分光光度計1U−4000型(日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて反射率の測定を行った。
【0182】
(実施例3)
実施例1に記載の試料1の作製において、印加電圧を50kHzで行った以外は同様にして、試料7を作製して、下記に記載の方法で屈折率の測定を行った結果、試料1(屈折率n=2.25)に対して、屈折率が1.84に低下した。
【0183】
(実施例4)
実施例1に記載の試料1の作製において、電圧の放電電圧を75W/cmで行った以外は同様にして、試料8を作製して、実施例1に記載の方法で、プラズマ放電処理を連続10時間行った後の薄膜の膜厚分布を測定した結果、試料1(0.8%)に対して、7.8%と劣化した。
【0184】
(実施例5)
実施例1に記載の試料1の作製において、ガス通路壁の温度を、10℃高い温度に設定した以外は同様にして試料9を作製し、実施例1に記載の方法で、プラズマ放電処理を連続10時間行った後の薄膜の膜厚分布を測定した結果、試料1が0.3%→0.8%に変化したのに対し、試料10では、0.3%→0.3%と膜厚分布の変動が殆ど認められなかった。
【0185】
Figure 2004076076
(セルローストリアセテートフィルムの製膜)
30℃に温度調整したドープをダイに導入し、ダイスリットからドープを無限移行する無端の金属支持体走行する無端のステンレススティールベルト上に均一に流延した。ステンレススティールベルトの流延部は裏面から35℃の温水で加熱した。流延後、支持体上のドープ膜(ステンレススティールベルトに流延以降はウェブということにする)に44℃の温風をあてて乾燥させ、流延から90秒後に剥離残留溶媒量を80質量%として剥離した。剥離部のステンレススティールベルトの温度は11℃とした。剥離されたウェブは、50℃に設定された第1乾燥ゾーンを1分間搬送させた後、第2乾燥ゾーンはテンター乾燥装置を用い、85℃に設定して幅手方向に1.06倍に延伸を行い、30秒間搬送させた。更に120℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。なお、フィルム巻き取り時の残留溶媒量は何れも0.01質量%未満であった。残留溶媒量は次式のように表される。
【0186】
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは工程中、ウェブの任意時点での質量、NはMのものを110℃、3時間で乾燥させた時の質量である。
【0187】
上記セルローストリアセテートフィルムの片面に下記のバック層(BC層と略すことがある)及びクリアハードコート層(CHC層と略すことがある)を塗設し、下記プラズマ放電処理に供した。
【0188】
《BC層の塗設》
後述のCHC層の塗設前に、下記のBC層塗布組成物を上記セルローストリアセテートフィルムの片面に、ウェット膜厚14μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、乾燥温度85℃にて乾燥させてBC層を塗設した。
【0189】
(BC層塗布組成物)
アセトン                          30質量部
酢酸エチル                         45質量部
イソプロピルアルコール                   10質量部
セルロースジアセテート                  0.5質量部
アエロジル200V                    0.1質量部
《CHC層の塗設》
BC層を塗設したセルローストリアセテートフィルムのBC層側の反対面に下記のCHC層塗布組成物をウェット膜厚で13μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、次いで85℃に設定された乾燥部で乾燥した後、115mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの中心線平均表面粗さ(Ra)12nmのCHC層を設け、基材を得た。
【0190】
Figure 2004076076
〈高周波電源〉
下記高周波電源を使用し表2に記載したように試料11〜16を得た。
【0191】
1:神鋼電機製(50kHz)
2:ハイデン研究所製インパルス高周波電源(連続モードで使用、100kHz)
3:パール工業製高周波電源(200kHz)
4:パール工業製高周波電源(800kHz)
5:日本電子製高周波電源(13.56MHz)
6:パール工業製高周波電源(27MHz)
〈試料の作製〉
図11に記載のプラズマ放電処理装置を用いて、長尺の上記基材のCHC層の上に、上記反応性ガス及び不活性ガスを使用し、反応性ガスGaを基材面側を覆うように、また不活性ガスGnを印加電極側を覆うようにそれぞれ導入して、間隙が1mmの対向電極間に反応性ガスGaと不活性ガスGnをそれぞれ等量(1:1)で流し、基材を20m/分で移送しながら上記高周波電源を表2のように代えて24時間プラズマ放電処理を連続運転し、薄膜を形成させ、試料10〜15を得た。
【0192】
また、対向電極間に反応性ガスGaだけを流した以外は試料10〜15と同様に行い、試料16〜21を得た。
【0193】
〔評価〕
24時間連続プラズマ放電処理後の下記の印加電極面の汚れ、薄膜の膜強度、及び薄膜の膜厚変動の評価を行った。
【0194】
〈印加電極の汚れの評価〉
A:全く汚れが観察されない
B:何となくうっすらと膜のようなものが観察されるが、ハッキリと汚れとは見えない
C:薄膜のような汚れがうっすらと観察される
D:汚れがハッキリと観察される
E:多くの汚れが観察される
〈薄膜の膜強度評価〉
試料の薄膜面に、1cm角にスティールウールを貼り付けたすり傷試験用プローブのスティールウールのある側を置き、スティールウールの無い側に250gの加重を載せ、プローブを10往復させてすり傷をつけ、下記のごとく、すり傷の評価を行った。
【0195】
A:全くすり傷がなかった
B:1〜2本のすり傷があった
C:3〜5本のすり傷があった
D:6〜20本のすり傷があった
E:21本以上のすり傷があった
〈薄膜の膜厚変動の評価〉
形成した薄膜の膜厚の分布を、分光光度計U−400型(日立製作所製)を用いて、5°正反射条件にて反射スペクトルの測定を行い、反射のピーク値をとる波長より算出した。測定は10cm幅、2mm間隔で行い、その変動の割合を下記の基準で評価した。
【0196】
A:0〜1%
B:2〜7%
C:8〜20%
D:21〜60%
E:61〜100%
プラズマ放電処理した印加電極の汚れ、薄膜の膜強度及び薄膜の膜厚変動の評価の結果を下記表2に示した。
【0197】
【表2】
Figure 2004076076
【0198】
(実施例6)
図4に示した平行平板型の大気圧プラズマ処理装置において、印加電極2には、20mm角で長さ120mmのステンレスに保温用の穴を貫通させ、角をR3に加工したステンレス材を用い、アース電極5には、100×150×20mmの平板ステンレスに保温用の穴を100×20mmの面に3ヶ所貫通させたステンレス材を用い、上記実施例の電極作成法と同様にして誘電体を被覆した。
【0199】
ガス供給部50からガスが供給され、放電空間に流入するためのガス通路110は次のように作成した。印加電極2は除き、その他の部分の素材には2mm厚のロスナボード板を用い、この板2枚を用い手2mmのスリット状間隔を作り、これを反応性ガスを導入するためのガス通路(反応性ガス導入手段)とした。また、このロスナボード板の両側に4mmの間隔で隣接するように印加電極を配置して不活性ガスを導入するためのガス通路とした(不活性ガス導入手段)。また反応性ガスを導入するガス通路壁に設けた保温制御システムを80℃に設定した。
【0200】
反応性ガス(ガス種A)および不活性ガス(ガス種B)として、以下を用いた。
【0201】
ガス種A:He 99.9体積%、テトライソプロポキシチタン 0.1体積%
ガス種B:He 99.9体積%、水素ガス 1.0体積%
尚、ガス種Aは0.2SLM/cm、ガス種Bは0.5SLM/cmで導入した。
【0202】
高周波電源には、日本電子製高周波電源JRF−10000を用いた。13.56MHzの周波数であり、10W/cmの放電出力を印加するように設定した。
【0203】
基材として、大きさ100×100mm、厚み0.5mmのガラス板10枚を用い、すべてのガラス板に100mmのTiO膜の製膜を施した。基材の搬送速度は往復で0.1m/secとした。以上を本発明の試料22とする。
【0204】
一方、ガスの導入において、ロスナボード板を用いたガス通路壁を用いず、また、印加電極間にガス種AおよびBを予め混合したものをそのままガス通路110に導入した以外は、試料22と同様にして作成したものを比較の試料23とする。
【0205】
それぞれ基材10枚に製膜を行った後の大気圧プラズマ処理装置の印加電極の付着物汚れを評価した。
【0206】
なお付着物汚れの評価は以下の基準で行った。
1:清掃を必要とするほどの付着物汚れが観察された
2:清掃を必要とするまではいかないが、若干の付着物汚れが観察された
3:ほとんど付着物に汚れが観察されなかった
さらに製膜状況も評価した。結果を表3に示す。
【0207】
【表3】
Figure 2004076076
【0208】
表3より、本発明の大気圧プラズマ処理装置を用いた製膜では、印加電極の放電面の汚れが抑えられ、生産性の向上を図ることができることがわかった。
【0209】
(結果)
基材面を反応性ガスが覆うように、また印加電極面を不活性ガスが覆うように分けて対向電極間に流してプラズマ放電処理した本発明は、24時間の連続運転にも拘わらず第2電極の汚れもなく、薄膜の品質が良好であった。また100kHzを超えて高周波電圧を掛けても全く汚れはなかった。これに対して対向電極間にガスを分けずに反応ガスだけを流した比較試料は、印加電極の汚れがひどく、出来上がった薄膜の品質も劣化していた。
【0210】
【発明の効果】
本発明により、放電電極の長期耐久性を保持すると共に、安定放電を実現し、かつ電極部へのコンデンスを抑制し、電極の放電面の汚れを抑制し、長時間安定して製膜ができる大気圧プラズマ処理装置及び大気圧プラズマ処理方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大気圧プラズマ処理装置のガス導入部及び電極部の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の大気圧プラズマ処理装置のガス導入部及び電極部の別の一例を示す断面図である。
【図3】本発明で用いることのできる角柱型で固定されている電極の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の平行平板型の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す模式図である。
【図5】本発明のロール電極型の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。
【図6】本発明のロール電極型の大気圧プラズマ処理装置の別の一例を示す概略図である。
【図7】対向電極間を、反応性ガスが基材面を、また不活性ガスが印加電極面を覆うように分かれて流れている状態を説明する図である。
【図8】ロール状の回転するアース電極の一例を示す斜視図である。
【図9】印加電極の一例を示す斜視図である。
【図10】反応性ガスと不活性ガスを処理部に導入する手段を拡大して示した本発明の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す図である。
【図11】反応性ガスと不活性ガスを処理部に導入する手段を拡大して示した本発明の大気圧プラズマ処理装置の別の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基材
2、2a、2b 印加電極(第一の電極)
3a、3b、7 金属母材
4a、4b、6 誘電体
5 アース電極(第二の電極)
8、40 高周波電源
10 ガス導入部
11 反応性ガス通路
12 不活性ガス通路
13a、13b 保温制御システム
14a、14b、14c、14d、15a、15b、15c ガス通路壁
25 ロール回転電極
30 大気圧プラズマ処理装置
31 プラズマ放電処理容器
32、110、120 放電空間
36 角柱型固定電極
37 凹面を有する固定電極
50 ガス供給部
51 ガス発生装置
53 排気口
60 電極温度調節手段
64、67 ガイドロール
65、66 ニップロール
68、69 仕切板
312、322 ガス通路
311、321 導入ノズル
Ga 反応性ガス
Gn 不活性ガス
G′ 処理後のガス
P 送液ポンプ

Claims (39)

  1. 第一の電極と第二の電極とを対向させて配置した放電空間と、前記電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記放電空間に反応性ガスおよび不活性ガスを流入させるガス導入手段とを有し、大気圧または大気圧近傍の圧力下、前記電圧印加手段から電圧を印加することにより、前記放電空間に流入された前記反応性ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を前記放電プラズマに晒すことによって前記基材の表面処理を行う大気圧プラズマ処理装置において、
    前記第一の電極または前記第二の電極の放電面が、前記反応性ガスに直接接触しないように構成されていることを特徴とする大気圧プラズマ処理装置。
  2. 前記ガス導入手段が、前記放電空間に、前記反応性ガスを流入させる反応性ガス導入手段と、前記不活性ガスを流入させる不活性ガス導入手段とを有し、前記反応性ガスと前記不活性ガスとを別々に前記放電空間に流入させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  3. 前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記反応性ガスが前記放電空間の前記第二の電極側に、前記不活性ガスが前記放電空間の前記第一の電極側に導入されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  4. 前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記第一の電極は複数の電極群から構成され、前記ガス導入手段が、前記電極群の少なくとも一つの間隙から前記第二の電極上に載置された前記基材に向けて前記反応性ガスおよび前記不活性ガスを流入させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  5. 前記反応性ガス導入手段が、温度制御手段を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  6. 前記温度制御手段が、反応性ガスの加温手段であることを特徴とする請求項5に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  7. 前記温度制御手段が、前記反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高い温度に制御することを特徴とする請求項6に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  8. 前記第一の電極または前記第二の電極が、誘電体を被覆した誘電体被覆電極であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  9. 前記誘電体が、セラミックス溶射後、封孔処理を行ったものであることを特徴とする請求項8に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  10. 前記第一の電極または前記第二の電極を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  11. 前記第一の電極および前記第二の電極が、それぞれ同一平面を挟むように配置された平行平板型であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  12. 前記第一の電極および前記第二の電極の少なくとも一方が、ロール状回転電極であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  13. 前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が複数の電極群から構成され、前記電極群が前記第二の電極に対し略平行となるように配置されていることを特徴とする請求項12に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  14. 前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ前記第一の電極が前記第二の電極に対し略平行となる凹面を有することを特徴とする請求項12に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  15. 前記第一の電極が印加電極、前記第二の電極がアース電極であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  16. 前記表面処理が、薄膜形成であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  17. 大気圧または大気圧近傍の圧力下、第一の電極と第二の電極とを対向させて配置した放電空間に、反応性ガスおよび不活性ガスを導入し、前記電極間に電圧を印加することにより前記反応性ガスを励起して放電プラズマを発生させ、基材を前記放電プラズマに晒すことによって前記基材の表面処理を行う大気圧プラズマ処理方法において、
    前記第一の電極または前記第二の電極の放電面に、前記反応性ガスが直接接触しないようにすることを特徴とする大気圧プラズマ処理方法。
  18. 前記放電空間に、前記反応性ガスと前記不活性ガスとを別々に流入させることを特徴とする請求項17に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  19. 前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記反応性ガスを前記放電空間の前記第二の電極側に、前記不活性ガスを前記放電空間の前記第一の電極側に導入することを特徴とする請求項18に記載の大気圧プラズマ処理装置。
  20. 前記第二の電極の放電面を覆うように前記基材を載置し、前記第一の電極は複数の電極群から構成され、前記電極群の少なくとも一つの間隙から前記第二の電極上に載置された前記基材に向けて前記反応性ガスおよび前記不活性ガスを流入させることを特徴とする請求項18に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  21. 前記反応性ガスの温度を制御することを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  22. 前記温度制御が、前記反応性ガスの濃度を飽和蒸気圧とする温度よりも高い温度に制御することを特徴とする請求項21に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  23. 前記第一の電極または前記第二の電極が、誘電体を被覆した誘電体被覆電極であることを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  24. 前記誘電体が、セラミックス溶射後、封孔処理を行ったものであることを特徴とする請求項23に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  25. 前記第一の電極または前記第二の電極を冷却することを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  26. 前記第一の電極および前記第二の電極が、同一平面を挟むように配置された平行平板型であることを特徴とする請求項17〜25のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  27. 前記第一の電極および前記第二の電極の少なくとも一方が、ロール状回転電極であることを特徴とする請求項17〜25のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  28. 前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が複数の電極群から構成され、前記電極群が前記第二の電極に対し略平行となるように配置されていることを特徴とする請求項27に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  29. 前記第二の電極がロール状回転電極であり、且つ、前記第一の電極が前記第二の電極に対し略平行となる凹面を有することを特徴とする請求項27に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  30. 前記電圧が、周波数100kHzを越える高周波電圧であることを特徴とする請求項17〜29のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  31. 前記高周波電圧が、出力1W/cm以上であることを特徴とする請求項30に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  32. 前記反応性ガスが、有機金属化合物及び有機物から選択される成分を含有していることを特徴とする請求項17〜31のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  33. 前記有機金属化合物が、金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれることを特徴とする請求項32に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  34. 前記反応性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素から選択される成分を含有していることを特徴とする請求項33に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  35. 前記反応性ガスが、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素、水、窒素酸化物、アンモニアから選択される成分を含有していることを特徴とする請求項34に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  36. 前記不活性ガスが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素から選択される成分を含有していることを特徴とする請求項17〜35のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  37. 前記不活性ガスが、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素、水、窒素酸化物、アンモニアから選択される成分を含有していることを特徴とする請求項36に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  38. 前記第一の電極が印加電極、前記第二の電極がアース電極であることを特徴とする請求項17〜37のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
  39. 前記表面処理が、薄膜形成であることを特徴とする請求項17〜38のいずれか1項に記載の大気圧プラズマ処理方法。
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